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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03B
管理番号 1154642
審判番号 不服2005-3760  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-03 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 特願2002-218142「画像記録装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月27日出願公開、特開2003-177478〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年3月26日に出願した特願平9-73166号の一部を平成14年7月26日に新たな特許出願としたものであって、平成17年1月24日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成17年3月3日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、当審から平成18年9月26日付で拒絶理由が通知され、平成18年11月29日付で手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願発明は、平成18年11月29日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「長尺な感光材料をロール状に巻回して遮光性の筐体に収納してなる感光材料マガジンを装填する装填部、および前記感光材料マガジンから感光材料を引き出す引き出し手段を有する感光材料供給部と、
前記引き出し手段によって引き出された感光材料を切断するカッタと、
前記切断された感光材料を、下方に搬送して、次工程に搬送する搬送手段と、
前記切断された感光材料を所定の記録位置に保持しつつ下方に向けて走査搬送する走査搬送手段、およびデジタル画像信号に応じて変調した記録光ビームで前記走査搬送手段によって下方に向かって走査搬送される感光材料を露光する露光手段を有する画像記録部と、
前記搬送手段による感光材料の搬送経路中に配置される、感光材料の非記録面にバックプリントを記録するバックプリント部とを有し、
前記画像記録部は、前記カッタによる前記長尺な感光材料の切断が前記走査搬送手段による前記切断感光材料の走査搬送に負荷変動を与えることを防止するカットバッファを、前記カッタから前記記録位置までの前記搬送手段による前記切断感光材料の搬送経路を最大サイズの前記切断された感光材料の前記搬送手段による搬送方向の長さ以上の長さとすることによって確保するように配置され、
前記バックプリント部は、接触型プリンタを用いるものである場合には、前記バックプリントの記録が前記走査搬送手段による前記切断感光材料の走査搬送に負荷変動を与えることを防止する露光前バッファまたは露光後バッファを、前記バックプリント部と前記記録位置との間の前記搬送手段による前記切断感光材料の搬送経路を最大サイズの前記切断された感光材料の前記搬送手段による搬送方向の長さ以上の長さとすることによって確保するように、それぞれ前記記録位置の上流側または下流側に配置されるものであることを特徴とする画像記録装置。」

3.引用例
当審の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平8-29885号公報(以下、引用例1という。)には、以下の点が記載されている。
ア.【0037】
マガジン1に予めセットされたロール印画紙のような感光材料(以下単に印画紙又はカラーペーパという)(使用ペーパ巾によりマガジンを交換)はプリンタ部本体(フィルム画像露光ユニット)50Aのサブドライブローラ16によりマガジンから引き出される。予め指示されたプリントサイズに応じてマガジン1からの引出し量が管理され(本例の場合にはパルスモータ使用)所定量(プリント1枚分)送り出されるとカッタ17が動作し印画紙が切断される。切断された印画紙は第1ローラ18でベルト搬送部19に送られる。ベルト搬送部は搬送ベルトによりその下面に接して設けられているバキューム部により吸引されながら露光位置まで移動し待機する。
【0038】
ネガキャリア8上にセットされたネガに対して光源部10、ズームレンズ5、ダークシャッタ4等が制御され、印画紙上に露光が与えられる。
【0039】
露光が終了すると印画紙は再び搬送ベルトにより下流に送られる。第2ローラ23及び排出ローラ24によってベルトから送り出し部への印画紙の移送が行われる送り出し部はカットされた印画紙の最少進行方向長さより短いピッチで配置された複数の送りローラ対で構成され、印画紙を現像部へと搬送する。
【0040】
送り出し部の途中にはバックプリンタ部26があり、ここで印画紙裏面に露光条件等のデーターが印字可能になっている。

イ.【0043】
マガジン1及び前記本体50Aへの位置決めのため、マガジン1にはドッキングピン61が設けられており該本体50Aへのセット時該本体50A内部の嵌合穴に嵌合させセット位置精度を保証している。

上記記載事項イ.の記載から、引用例1は、マガジン1を装填する装填部を有し、上記記載事項ア.に記載された「サブドライブローラ16」は、印画紙をマガジンから引き出すものであるので、印画紙を引き出す引き出し手段と言え、装填部と引き出し手段で、印画紙供給部を構成していることは、当業者にとって自明である。

また、上記記載事項ア.の「第1ローラ18」、「ベルト搬送部19」、「第2ローラ23」、「排出ローラ24」、「複数の送りローラ対で構成された送り出し部」等が、印画紙を次工程に搬送する搬送手段を開示していることは、当業者にとって自明である。

また、上記記載事項ア.の段落【0038】の記載から、引用例1は、露光手段を有する画像記録部を開示していることは、当業者にとって自明であり、【図1】等から画像記録部は、切断された印画紙を所定の記録位置に搬送する搬送手段を有していることも自明である。

したがって、上記記載事項、及び【図1】も参照すれば、引用例1には、
「ロール印画紙のような感光材料(以下単に印画紙という)が予めセットされたマガジン1を装填する装填部およびマガジン1から印画紙を引き出す引き出し手段を有する印画紙供給部と、
前記引き出し手段によって引き出された前記印画紙を切断するカッタ17と、
前記切断された印画紙を、次工程に搬送する搬送手段と、
前記切断された印画紙を所定の記録位置に搬送する搬送手段、および前記搬送手段によって搬送された印画紙を露光する露光手段を有する画像記録部と、
前記搬送手段による前記印画紙の搬送経路中に配置される、印画紙裏面にバックプリントを記録するバックプリンタ部26とを有するプリンタ部本体。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

また、当審の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平8-234316号公報(以下、引用例2という。)には、以下の点が記載されている。
ウ.【0063】
図5に示されるように、写真焼付装置81には、情報カード作成手段83が内蔵されている。
【0064】
写真焼付装置81は、焼付部84、現像処理部85、乾燥部86、ペーパーカット部87および仕分部88を有している。焼付部84は、光源91、レンズ92およびミラー93を内蔵し、帯状の印画紙89に画像を焼き付ける。

また、当審の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平7-196195号公報(以下、引用例3という。)には、以下の点が記載されている。
エ.【0013】
このレーザープリンタ10は、内部を暗箱状態に形成された装置本体11内に、主にカートリッジ12、フィルム給送部13、画像形成部14および熱現像部15がそれぞれ図示のように配設されている。このレーザープリンタ10で取り扱う記録媒体(メディア)は、医療用画像やカラー画像を取り扱う感光性フィルム16であり、図1では、感光性フィルム16が収納されたカートリッジ12を装置本体11内に装着した状態が示されている。また、本実施例のレーザープリンタ10の画像形成部14では、フィルム16の搬送方向が下から上へ向かう縦方向となっており、この縦方向に搬送されるフィルム16に対して副走査がなされ、所定の画像が形成されるようになっている。フィルム給送部13により給送されたフィルム16は、画像形成部14の上流側から下流側の領域にかけては、略コの字形状を呈する搬送経路に沿って搬送される。

オ.【0020】
画像形成部14は、光学ユニット40と副走査ユニット41とを有し、光学ユニット40は、副走査ユニット41の図中左側に位置して配置されている。この光学ユニット40の下方に前記下側水平搬送エリア17Lが形成され、上方に前記上側水平搬送エリア17Uが形成されている。
【0021】
光学ユニット40は、レーザー光源、光変調器、ポリゴンミラー、折り返しミラーなどが内蔵され、画像信号に応じて変調されたレーザービームLをポリゴンミラーの回転を用いて主走査方向に偏向し、記録位置のフィルム16の感光面を光走査する。なお、フィルム16の搬送中には、シャッタなどでレーザービームLがフィルム16に向けて照射されないようになっている。
【0022】
副走査ユニット41は、上流側の主駆動ローラ対42(第1駆動ローラ対に相当する)と、下流側の従駆動ローラ対43(第2駆動ローラ対に相当する)とを有し、各ローラ42、43は弾性部材で被覆されている。フィルム16は、主駆動ローラ対42と従駆動ローラ対43とにより挟持されて搬送されるが、このとき光学ユニット40から両ローラ対42、43の間で主走査されるレーザービームLにて画像露光される。

また、当審の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平8-314022号公報(以下、引用例4という。)には、以下の点が記載されている。
カ.【0052】
センサ37よりも印画紙Pの搬送方向下流側には、露光部38が設けられている。図1に示すように、露光部38は、印画紙Pの搬送経路の上方に、前述した制御装置20によって作動が制御される走査露光系40を備えている。図6に示すように、走査露光系40は、印画紙Pにカラー画像を形成させるための波長が各々異なる3本のレーザー発信器42、集光レンズ系44、ポリゴンミラー46、走査レンズ系48を備えている。

キ.【0067】
図12に示すように、印画紙Pの搬送方向先端がセンサ37で検出されると(ステップ104)、図13に示すように、下ローラ36Aから離間していた上ローラ36Bが下降して印画紙Pの搬送方向先端付近が下ローラ36Aと上ローラ36Bとに挟持され、第2搬送ローラ対36及び第3搬送ローラ対50が所定速度(第1搬送ローラ対26の速度よりも小)で駆動され、露光部38に至った印画紙Pは、走査露光系40から射出されたレーザービームSによって搬送方向先端側から幅方向に走査されて順次露光される(ステップ106)。
【0068】
3列全ての印画紙Pが第2搬送ローラ対36で挟持され、センサ37で検出されると(ステップ108)、マガジン14の送り出しローラ18及び第1搬送ローラ対26の回転がはやめの速度(>第2搬送ローラ対36の速度)で回転して所定量を送り出すと共に、図14に示すように第1アキュムレーター28のガイド部材32Aが垂直状態とされ(ステップ110)、第2搬送ローラ対36で挟持された3列の印画紙Pの中間部が下側に湾曲して蓄えられる。
【0069】
マガジン14から印画紙Pが所定量を送り出されると、送り出しローラ18及び第1搬送ローラ対26が一旦停止し、カッタ駆動装置24が作動して3列の印画紙Pの後端がカッタ22でほぼ同時に切断される(ステップ112、図15参照)。
【0070】
印画紙Pが切断されると、再び第1搬送ローラ対26は回転し、3列の印画紙Pを送りだす(ステップ114)。
【0071】
図16に示すように、露光された印画紙Pの先端が第2アキュムレーター52を介して第4搬送ローラ対54の直後に配置されたセンサ55によって検出されると(ステップ116)、第4搬送ローラ対54のところでは下ローラ36Aから離間していた上ローラ36Bが下降して印画紙Pの搬送方向先端付近が下ローラ36Aと上ローラ36Bとに挟持され、先端の検出された印画紙Pは第2搬送ローラ対36によってプロセッサ部60の搬送速度に合わせて低速でプロセッサ部60へ送り込まれる。これと同時に、センサ55によって検出さた印画紙Pに対応する第2アキュムレーター52のガイド部材32Aが垂直状態とされる(ステップ118)。ここで、第3搬送ローラ対50よりも第4搬送ローラ対54の搬送速度が遅いので、第4搬送ローラ対54の手前側では、図17に示すように印画紙Pが下側に湾曲して蓄えられる。

また、本願出願前に頒布された特開平7-49536号公報(以下、周知例1という。)には、以下の点が記載されている。
ク.【0005】
・・・感光材料を長尺のまま露光部に搬送した場合は、搬送機構の振動等の外乱が感光材料に伝達し、また感光材料が蛇行したりぶれたりして良好な走査露光を行うことができない。即ち、感光材料を長尺のまま搬送して良好な走査露光を行うには、搬送機構について外乱防止のための対策が必要になる。
【0006】
また、感光材料には画像情報を識別するマークが付され、このマークに基づいて露光を行うようになっている。感光材料がシート状である場合は、露光位置から所定間隔の位置にマークを付すことができる。しかし、感光材料が帯状であれば例えばパンチにより穿孔マークを形成する場合などその振動が感光材料に伝わって走査露光に悪影響を及ぼす。

ケ.【0009】
(2) 感光材料を所定経路で搬送する搬送手段と、前記感光材料を画像情報に基づき露光して潜像を形成する露光手段とを備えた感光材料露光装置において、前記感光材料を長尺形態で前記搬送手段に供給し且つ長尺形態のまま搬送するとともに、この搬送経路中に、前記感光材料を走査露光して潜像を形成する露光手段と、該露光手段の上流側と下流側に長尺形態の前記感光材料に搬送時のバッファとなるループを形成するループ形成手段を設けたことを特徴とする感光材料露光装置。

コ.【0053】
更に、露光手段の上流側と下流側において感光材料にループを形成するように構成したので、搬送中の感光材料に一時停止等の外乱が発生しても走査露光部分に外乱の影響が及ばず、良好な走査露光を行うことができる。

また、本願出願前に頒布された特開平8-43937号公報(以下、周知例2という。)には、以下の点が記載されている。
サ.【0003】
このため、透明ガラスの原稿台に載置された原稿面を下方から走査ユニットによりスリット状に走査し、搬送されるシート状の感光材に原稿のスリット状画像をレンズを介して露光するようにすると、装置は簡単で小型化が可能となり、コピー感覚で複製できる。また、縮小拡大機能を持たせるために、原稿からレンズおよびレンズから感光材までの光路長の比を変化可能とするとともに、走査ユニットの走査速度と感光材の送り速度の比を調節できるようにしてある。
・・・
【0006】
従ってもし、露光工程と現像および転写工程を同時に稼動させると、この衝撃によって装置が振動すると正確に露光することができず、画像に悪影響を与える。

また、本願出願前に頒布された特開平6-95260号公報(以下、周知例3という。)には、以下の点が記載されている。
シ.【0005】【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の画像記録装置では、ロール状に巻き取られた感光材料をシート状に切断し、画像の品質を高めるべく露光部内を低速で安定して搬送し像露光すると共に、露光時の搬送速度を維持して画像の品質を確保する為のバッファ領域を通した後、次処理工程に搬送するようにしていた。
【0006】
すなわち、画像の品質を高める為、露光部において感光材料に振動を与えず、振動による位置ずれのない正しい位置に光を当てる必要がある。
【0007】
しかし、特に大きな動作エネルギが必要な気体や液体を送給するポンプ、あるいはロール状に巻き取られた感光材料をシート状に切断する際に大きな振動が生じるカッタ等は、極めて大きな振動源となり、露光部を通過する感光材料に振動を与えて適正な露光を妨げる虞を有しているが、通常露光時も作動していた。
・・・
【0010】【課題を解決するための手段】
請求項1による画像記録方法は、異なる二種の画像記録材料を用い、一方の画像記録材料を搬送しながら像露光し画像形成用溶媒塗布部で画像形成用溶媒を塗布した後に、他方の画像記録材料を前記一方の画像記録材料と密着して重ね合わせて加熱ドラムに巻き付け、熱現像転写処理をして他方の画像記録材料に画像を形成した後に、前記両方の画像記録材料を互いに分離すると共に加熱ドラムから剥離して画像記録処理を行う画像記録方法において、前記一方の画像記録材料を像露光する露光時の前後に、振動を発生する振動発生部材を作動させることを特徴とする。

ス.【0069】
次に本実施例の作用を説明する。
上記構成の画像記録装置10では、感材マガジン14がセットされた後には、ニツプローラ18が作動され、感光材料16がニツプローラ18によって引き出される。感光材料16が所定長さ引き出されると、カッタ20が作動し、感光材料16が所定長さに切断され、この際に振動が発生する。
【0070】
カッタ20の作動後は、切断後の感光材料16が搬送ローラ19、21、23、24、26によって搬送される。搬送ローラ19、21、23、24、26によって搬送される感光材料16は、反転されてその感光(露光)面を上方へ向けた状態で露光部22へ搬送される。感光材料16が搬送ローラ23にニツプされた時点で搬送ローラ23の駆動が一旦停止され、感光材料16は露光部22の直前で待機状態となる。
【0071】
次いで、搬送ローラ23および搬送ローラ24の駆動が開始され、感光材料16は露光部22を所定速度(例えば、12mm/sec)で通過する。この感光材料16の搬送(露光部22の通過)と同時に露光装置38が作動し、露光部22に位置する感光材料16へ走査露光される。

また、本願出願前に頒布された特開平5-134325号公報(以下、周知例4という。)には、以下の点が記載されている。
セ.【0003】【発明が解決しようとする課題】
かかる複写カメラにおいて、感光材はマガジン内にロール状に収納されており、これを搬送ローラ群で水平方向に引き出し、製作する版下の大きさに応じた長さにカッターで切断し、シート状になった感光材を露光ユニットと同期して移動させながら露光する。従って、カッターと露光位置までの距離は、少なくともその複写カメラで製作する最大の版下の長さだけ取っていた。

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「ロール印画紙のような感光材料(以下単に印画紙という)が予めセットされたマガジン1」は、本願発明の「長尺な感光材料をロール状に巻回して筐体に収納してなる感光材料マガジン」に相当し、以下、同様に「印画紙供給部」は「感光材料供給部」に、「前記引き出し手段によって引き出された前記印画紙を切断するカッタ17」は「前記引き出し手段によって引き出された感光材料を切断するカッタ」に、「切断された印画紙」は「切断された感光材料」に、「印画紙裏面」は「感光材料の非記録面」に、「プリンタ部本体」は「画像記録装置」に、それぞれ相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、「長尺な感光材料をロール状に巻回して筐体に収納してなる感光材料マガジンを装填する装填部、および前記感光材料マガジンから感光材料を引き出す引き出し手段を有する感光材料供給部と、
前記引き出し手段によって引き出された感光材料を切断するカッタと、
前記切断された感光材料を、次工程に搬送する搬送手段と、
前記切断された感光材料を所定の記録位置に搬送する搬送手段、および前記搬送手段によって搬送される感光材料を露光する露光手段を有する画像記録部と、
前記搬送手段による感光材料の搬送経路中に配置される、感光材料の非記録面にバックプリントを記録するバックプリント部とを有することを特徴とする画像記録装置。」の点で一致し、以下の各点で相違している。

相違点1;
本願発明は、感光材料マガジンの筐体が遮光性であるのに対して、引用発明では、そのような限定がない点。

相違点2;
本願発明は、切断された感光材料を、下方に搬送しているのに対して、引用発明は、そうではない点。

相違点3;
本願発明は、露光手段へ感光材料を搬送する手段が、感光材料を保持しつつ下方に向けて走査搬送する走査搬送手段であるのに対して、引用発明では、そのような限定がない点。

相違点4;
本願発明は、露光手段が、デジタル画像信号に応じて変調した記録光ビームで露光するのに対して、引用発明は、そうではない点。

相違点5;
本願発明は、画像記録部は、カッタによる長尺な感光材料の切断が、走査搬送手段による切断感光材料の走査搬送に負荷変動を与えることを防止するカットバッファを、カッタから記録位置までの前記搬送手段による切断感光材料の搬送経路を最大サイズの切断された感光材料の搬送手段による搬送方向の長さ以上の長さとすることによって確保するように配置され、
バックプリント部は、接触型プリンタを用いるものである場合には、バックプリントの記録が走査搬送手段による切断感光材料の走査搬送に負荷変動を与えることを防止する露光前バッファまたは露光後バッファを、バックプリント部と記録位置との間の搬送手段による切断感光材料の搬送経路を最大サイズの切断された感光材料の搬送手段による搬送方向の長さ以上の長さとすることによって確保するように、それぞれ記録位置の上流側または下流側に配置されるものであるのに対して、引用発明は、そうではない点。

5.判断
上記各相違点について検討する。
相違点1について
感光材料マガジンの筐体が遮光性であることは、当業者にとって自明であり、相違点1に係る本願発明の構成は格別のものではない。

相違点2について
画像記録装置内で、感光材料をどのように搬送するかは、当業者が必要に応じて決定し得る設計事項程度のことであり、また、引用例2には、上記記載事項ウ.及び【図5】から明らかなように、帯状の印画紙89を下方に搬送して、露光位置に搬送した点が記載され、引用例3には、上記記載事項エ.に、画像形成部14で、フィルム16の搬送方向が下から上へ向かう縦方向となっている点が記載されていることからも、相違点2に係る本願発明の構成に限定することは当業者にとって容易である。

相違点3、4について
走査搬送される感光材料に対し、デジタル画像信号に応じて変調した記録光ビームで露光する露光手段は、引用例3、4に記載されている。また、走査搬送の向きをどのようにするかは、当業者が必要に応じて決定し得る設計事項程度のことであるので、相違点3、4に係る本願発明の構成に限定することは当業者にとって容易である。

相違点5について
A.カットバッファについて
引用例4の第1アキュムレーター28は、印画紙Pの中間部が下側に湾曲して蓄えられているので、印画紙の長さが長くなっており、露光部38より上流の負荷変動を防止する機能を有するものであることは、明らかである。ループが負荷変動を防止することは、周知例1の上記記載事項ケ.、コ.からも明らかである。
また、周知例1?3から、走査露光においては、振動が好ましくないことは、当業者にとって明らかである。
また、周知例3の上記記載事項ス.の「カッタ20の作動後は、切断後の感光材料16が搬送ローラ19、21、23、24、26によって搬送される。搬送ローラ19、21、23、24、26によって搬送される感光材料16は、反転されてその感光(露光)面を上方へ向けた状態で露光部22へ搬送される。」の記載、及び【図1】も参照すれば、カッタ20から露光部22までの距離、即ち、本願発明の「カットバッファ」に相当する距離は、切断された感光材料の長さ以上の長さとなっていることが理解される。
また、周知例4の「カッターと露光位置までの距離は、少なくともその複写カメラで製作する最大の版下の長さだけ取っていた。」の記載からも、本願発明の「カットバッファ」に相当する距離は、切断された感光材料の長さ以上の長さとなっていることが理解される。

B.露光前バッファまたは露光後バッファについて
引用例4の第2アキュムレーター52は、印画紙Pの中間部が下側に湾曲して蓄えられているので、印画紙の長さが長くなっており、露光部38より下流の負荷変動を防止する機能を有するものであることは、明らかである。ループが負荷変動を防止することは、周知例1の上記記載事項ケ.、コ.からも明らかである。
また、周知例1?3から、走査露光においては、振動が好ましくないことは、当業者にとって明らかである。
そして、接触型プリンタが振動を与えるものであることは、当業者にとって自明であるので、バックプリント部が接触型プリンタを用いるものである場合には、振動の影響を受けないよう、走査搬送手段から接触型プリンタまでの距離を、切断された感光材料の長さ以上の長さとすることは、当業者にとって容易である。

C.結局、相違点5に係る本願発明の構成に限定することは当業者にとって容易である。

そして、本願発明の作用・効果も、引用例1?4に記載された発明、及び従来周知の技術事項から、予測される範囲内のもので格別のものとは言えない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1?4に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-17 
結審通知日 2007-01-23 
審決日 2007-02-05 
出願番号 特願2002-218142(P2002-218142)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 信田 昌男  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 佐藤 昭喜
青木 和夫
発明の名称 画像記録装置  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 三和 晴子  
代理人 福島 弘薫  

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