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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1154697
審判番号 不服2004-7109  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-08 
確定日 2007-02-22 
事件の表示 平成4年特許願第250360号「血管塞栓用懸濁液」拒絶査定不服審判事件〔平成6年3月1日出願公開、特開平6-56676〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成4年8月5日の出願であって、本件請求項1に係る発明は、平成16年1月16日付け手続補正書により補正された請求項1に記載された下記のとおりのものと認める。
「【請求項1】 アクリル酸ソーダとビニルアルコールとの重合体を主成分とし、平均粒子径を約1.0mm以下とする高吸水性樹脂粒子を油性造影剤に懸濁させてなる血管塞栓用懸濁液。」(以下、本願発明という。)

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された刊行物には、それぞれ以下の事項が記載されている。
(1)「日本医学放射線学会雑誌,50巻(11号) 1439-41頁 (1990年)」
(以下、刊行物Aという。)
(1-1)「高吸水性ポリマーの一つであるアクリル酸重合体の瞬間的な吸水膨潤性に着目し,Lipiodolを分散媒とした懸濁液を作成した.これを用いて実験的に肝区域動脈塞栓術を行い,塞栓された肝区域の壊死を確認した.」(1439頁左欄)
(1-2)「使用した高吸水性ポリマー1)は,アクリル酸ソーダ重合体(Sumikagel (R),N-1010)で、粒径10?20μmの無定型白色粉末である(fig-1).」(1439頁左下欄末行?右欄2行)
(2-3)「このポリマーは,ほぼ瞬間的に水を吸収し,5?10分で吸水量は最大に達する.純水で1,000倍,生理食塩水で80?100倍の吸水能力を有する.吸水後はゲル状となる.このポリマーは水に溶解せず,毒性はなく,また,抗原性を有しない.」(1439頁右欄)

(2)「住友化学,1985-I,、35-47頁(1985年)」
(以下、刊行物Bという。)
(2-1)「当社は、高吸水状態にあっても強度のあるビニルアルコール/アクリル酸塩共重合体を主成分とする高吸水性樹脂スミカゲルを開発した。……ポリビニルアルコール相は若干の水膨潤性を示すが,スミカゲルの膨潤は主としてポリアクリル酸塩相によるものである。ポリビニルアルコール相は,ポリアクリル酸塩相が数百倍に膨潤する時に延伸され,いわゆる配向下の結晶化を受けるものと思われる。……ビニルアルコールを含まないアクリル酸塩架橋体系の高吸水性樹脂に比べ,スミカゲルの圧縮強度は高吸水状態において3?5倍の値を示す。」(37頁左欄末行?38頁左欄)
(2-2)スミカゲルS-50の粒径は200?280μmであること
(38頁右欄、第2表)
(2-3)「現在、スミカゲルS-50とそれを粉砕したスミカゲルSP-520がある」(39頁右欄)
(2-4)「スミカゲルは速やかに水を吸収し、5?10分で吸水量は最大に達する」(39頁右欄)
(2-5)安全性については厚生省の衛生材料用医薬部外品として認可を受けていること(47頁左欄)

3.対比・判断

(1) Lipiodol(リピオドール)とは、本願実施例でも使用している、周知のヨウ素を含む油性の造影剤あるから(Merk Index 11th.ed.795頁(1989年);項番4917のIonized Oil の項参照)、刊行物Aには「アクリル酸ソーダ重合体を主成分とし、平均粒子径を約1.0mm以下とする高吸水性樹脂粒子を油性造影剤に懸濁させてなる血管塞栓用懸濁液。」が記載されているといえる。

(2)刊行物A記載の発明と本願発明とを比較すると、両者は「高吸水性ポリマーを主成分とし、平均粒子径を約1.0mm以下とする高吸水性樹脂粒子を油性造影剤に懸濁させてなる血管塞栓用懸濁液。」である点で一致し、前者が高吸水性ポリマーとして「アクリル酸ソーダ重合体」を使用するのに対し、後者は「アクリル酸ソーダとビニルアルコールとの重合体」を使用する点で相違する。

(3)以下、相違点について検討する。

刊行物A記載の発明は、「アクリル酸ソーダ重合体」の瞬間的な吸水膨潤性に着目して血管の塞栓用懸濁液に使用したものである。
一方、刊行物Bには、「アクリル酸ソーダとビニルアルコールとの重合体」として、粒径200?280μmのスミカゲルS-50及びその粉砕物であるSP-520があり、高吸水性で速やかに水を吸収して膨潤してゲル状となり、しかも、その強度はビニルアルコールを含まないアクリル酸塩よりも大であり、毒性もないことが記載されている。
そうすると「アクリル酸ソーダ重合体」と同様に速やかに水を吸収して膨潤する性質を有し、しかも、アクリル酸ソーダ重合体よりも優れた性質を有する「アクリル酸ソーダとビニルアルコールとの重合体」を塞栓用懸濁液に使用することは当業者が容易に推考できたものといえる。
また、本願明細書の記載からみて、「アクリル酸ソーダとビニルアルコールとの重合体」を使用することによる格別顕著な効果があるものと認めることもできない。

したがって、本願発明はその出願前に頒布された刊行物である刊行物A及びBに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり、審決する。
 
審理終結日 2006-12-12 
結審通知日 2006-12-19 
審決日 2007-01-09 
出願番号 特願平4-250360
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守安 智  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 横尾 俊一
福井 悟
発明の名称 血管塞栓用懸濁液  
代理人 大屋 憲一  
代理人 平木 祐輔  
代理人 石井 貞次  
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