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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1154791 |
審判番号 | 不服2006-4051 |
総通号数 | 89 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-03-06 |
確定日 | 2007-03-08 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第505053号「ブリスターパック」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 1月23日国際公開、WO97/02192、平成10年 6月 2日国内公表、特表平10-505567〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、1996年6月20日(パリ条約による優先権主張1995年6月30日、SE)を国際出願日とする出願であって、平成17年11月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年3月6日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年4月5日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成18年4月5日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下決定の結論] 平成18年4月5日付けの手続補正を却下する。 (理由) (1)補正の目的および補正後の本願発明 補正後の本願発明は、特許請求の範囲の請求項1を、 「少なくとも2つの平行なブリスター(4)の列(2,3)を包含し、 一方の列(2)の複数のブリスター(4)が他方の列(3)の複数のブリスター(4)に対して食い違っており、これにより折り畳んだ際にこれらの列(2,3)の複数のブリスター(4)が互いの間に接触して係合し、かつ複数のブリスターを形成しているベース・フォイル(5)がほぼ平らな蓋フォイル(6)に連結されている形態のブリスターパックであって、 これらの連結したフォイル、すなわちベース・フォイルと蓋フォイルには、それらの列(2,3)の間に、これらの列(2,3)に平行な少なくとも2つの折り線(10,10′)を有する中間部分(9)が設けてあり、前記ブリスターパックはこれらの折り線(10,10′)に沿って折り畳むことが可能となっており、 ブリスターパックを折り畳んだ状態においては、前記少なくとも2つのブリスターの列(2,3)の、互いの間に接触した状態で係合している複数のブリスター(4)が、1つの線に沿って位置付けられ、かつ これらのブリスター(4)の高さが外側の折り線(10,10′)間の寸法にほぼ一致している、 ことを特徴とするブリスターパック。」とする補正を含むものである。 上記補正は、実質的には、補正前の特許請求の範囲の請求項1の「ブリスター(4)」を「複数のブリスター(4)」とするもので、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された「ブリスター(4)」が「複数」であるという技術的事項を付加することにより、さらに限定するものであるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、発明の産業上の利用分野を変更するものではなく、かつ、当該補正が発明を解決しようとする課題を変更するものでもないから、特許法第17条の2第4項に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。 そこで、本願補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明という)について、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定する要件について検討する。 (2)刊行物について 英国特許第2250978号明細書(以下、「引用例という」という)は、本願出願前に頒布された刊行物であり、原査定の理由に引用されたものである。 (3)当審の判断 (3-1)引用例の記載事項 a.第3頁1行?第5頁25行には、概略、 「発明の、前述の特徴、および、さらなる特徴は添付の図面に関連して容易に理解されるであろう。 図1は、その開いた形式中のブリスター包装配置の平面図である; 図2は、部分的に折り重ねられた図1の配置の平面図である; 図3は、図2の状態に折りたたんだ際の正面図である; 図4と5は、目的とする段階まで折りたたんだ際の平面図と正面図である。 …略… 今、図面の図1を参照すると、この実施例においては、医薬品である円筒状カプセルのブリスター包装配置の平面図を示すものである。 その構成は、一般に折返してU字型になる支持シート10である。その腕は、その間に置かれたそれぞれの折れ線14を備えた第3のエリア13によって分離された第1のエリア11および第2のエリア12を持つ。 …略… 第2のエリア12上のブリスター17′は第1のエリア上のブリスター17に対してオフセットされている。その結果、図2,3に示されるように、第2のエリア12がそれぞれの第1のエリア11に第3のエリア13を介して折り重ねることが出来る。 図3において、配置された右手部分のブリスター17および17′のサイドウォール、折り重ねられた位置のエリア11および12を嵌入保持する。 …略… 患者が、完全に折り重ねられたフォーマットからの配置をほぐさずに、裏紙を剥離することにより、最初の服用量を明らかにすることができ、これが個々の一層の服用量に当てはまるので、服用目的が達成される。 示された配置によれば、ブリスター包装のオフセットによって、ほとんどの空隙が除去されるので、全面にわたってコンパクトなパッケージになるという長所を持つ。 …略… 折り重なる場合に、サイドウォールが相互に変形されることが可能であるために意図した大きさよりも小さく整えられる。」旨記載されている。 b.第1?3、5図には、 「第1のエリア11に4つの円筒状カプセルを収納可能としたブリスター17の列を、第2エリア12に4つの円筒状カプセルを収納可能としたブリスター17′の列を有し、各エリア11、12の長辺間には、折れ線14を備えた第3のエリア13を有し、かつ第2のエリア12上のブリスター17′を第1のエリア上のブリスター17に対して半ピッチづつオフセットすることにより、第3のエリア13と折れ線14によって、支持シート10を折返してU字型にすると、オフセットと、サイドウォールが相互に変形されることによって、ほとんどの空隙が除去されて相互に嵌合するので、嵌合時に全面にわたって11,12が平行でコンパクトに収納できる円筒状カプセル収納ブリスター。」が開示されている。 第1?5図および上記記載事項「a、b」を総合すれば、 引用例1には、 「第1のエリア11に4つの円筒状カプセルを収納可能としたブリスター17の列を、第2エリア12に4つの円筒状カプセルを収納可能としたブリスター17′の列を有し、各エリア11、12の長辺間には、折れ線14を備えた第3のエリア13を有し、かつ第2のエリア12上のブリスター17′を第1のエリア上のブリスター17に対して半ピッチづつオフセットすることにより、第3のエリア13と折れ線14によって、支持シート10を折返してU字型にすると、オフセットと、サイドウォールが相互に変形されることによって、ほとんどの空隙が除去されて相互に嵌合するので、嵌合時に全面にわたって11,12が平行でコンパクトに収納でき、裏紙を剥離して服用する円筒状カプセルのブリスター包装パッケージ。」の発明が記載されている。(以下、「引用例に記載の発明」という) (3-2)対比・判断 ここで、本願補正発明の「ベース・フォイル」が、「カプセルを収納可能としたブリスター」であることは当業者に自明である。 本願補正発明と引用例に記載の発明(以下、引用例に記載の発明という)とを対比すると、 後者の「ブリスターの列」、「4つの円筒状カプセルを収納可能としたブリスター」、「半ピッチづつオフセットすること」、「折返してU字型にすること」、「相互に嵌合すること」、「裏紙」、「折れ線」、「第3のエリア」、「サイドウォールが相互に変形されることによって、ほとんどの空隙が除去されること」、「平行にした時の11または12」は、前者の「ブリスター列」、「複数のブリスター」、「食い違っていること」、「折り畳むこと」、「接触して係合すること」、「蓋フォイル」、「折り線」、「中間部分」、「互いの間に接触した状態で係合していること」、「1つの線」に夫々相当するから、 両者は、「少なくとも2つの平行なブリスター(4)の列(2,3)を包含し、 一方の列(2)の複数のブリスター(4)が他方の列(3)の複数のブリスター(4)に対して食い違っており、これにより折り畳んだ際にこれらの列(2,3)の複数のブリスター(4)が互いの間に接触して係合し、かつ複数のブリスターを形成しているベース・フォイル(5)がほぼ平らな蓋フォイル(6)に連結されている形態のブリスターパックであって、 これらの連結したフォイル、すなわちベース・フォイルと蓋フォイルには、それらの列(2,3)の間に、これらの列(2,3)に平行な少なくとも2つの折り線(10,10′)を有する中間部分(9)が設けてあり、前記ブリスターパックはこれらの折り線(10,10′)に沿って折り畳むことが可能となっており、 ブリスターパックを折り畳んだ状態においては、前記少なくとも2つのブリスターの列(2,3)の、互いの間に接触した状態で係合している複数のブリスター(4)が、1つの線に沿って位置付けられることを特徴とするブリスターパック。」で一致し、以下の点で相違している。 相違点a:本願補正発明では、「ブリスター(4)の高さ」が「外側の折り線(10,10′)間の寸法にほぼ一致している」のに対し、引用例に記載の発明には、図5に示すように「オフセットと、サイドウォールが相互に変形されることによって、ほとんどの空隙が除去されて相互に嵌合するので、嵌合時に面にわたって11,12が平行でコンパクトに収納できる」と記載されているものの、その記載がない点。 〈判断〉 そこで上記相違点aについて検討する。 相違点aについて、 引用例に記載の発明においても、本願補正発明と同様、コンパクトに収納することを目的としたものである。そして、コンパクトに収納するためには空隙率を出来るだけ小さくすることは、当業者に自明の事項である。してみれば、本願補正発明のように「高さを外側の折り線(10,10′)間の寸法にほぼ一致」させることは、当業者が必要に応じ適宜なしえた程度である。 そうすると、本願補正発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下をすべきものである。 3.本願発明について 平成18年4月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年9月30日付け手続補正書に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「少なくとも2つの平行なブリスター(4)の列(2,3)を包含し、 ブリスターを形成しているベース・フォイル(5)をほぼ平らな蓋フォイル(6)に連結されている形態のブリスターパックであって、 これらの連結したフォイル、すなわちベース・フォイルと蓋フォイルには、それらの列(2,3)の間に、これらの列(2,3)に平行な少なくとも2つの折り線(10,10′)を有する中間部分(9)が設けてあり、前記ブリスターパックを折り線(10,10′)に沿って折り畳めるようにしてあり、 一方の列(2)の複数のブリスター(4)が他方の列(3)のブリスター(4)に対して食い違っており、折り畳んだ後にこれらの列(2,3)の複数のブリスター(4)が互いの間に接触して係合するようになっており、 ブリスターパックの折り畳んだ状態で、少なくとも2つのブリスターの列(2,3)の、互いの間に接触しで係合しているブリスター(4)が、1つの線に沿って位置しており、そして ブリスター(4)の高さが外側の折り線(10,10′)間の寸法にほぼ一致している、 ことを特徴とするブリスターパック。」 そこで、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)について検討する。 (1)引用例およびその記載事項 原査定の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願補正発明は、前記「2.(1)」で検討したように、本願発明の「ブリスター(4)」を「複数のブリスター(4)」と、技術的事項を付加付加して限定したものであり、本願発明の構成要件をすべてを含む本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)むすび それゆえ、本願出願は、特許請求の範囲の請求項2?17に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-14 |
結審通知日 | 2006-09-26 |
審決日 | 2006-10-11 |
出願番号 | 特願平9-505053 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 耕作、石田 宏之 |
特許庁審判長 |
粟津 憲一 |
特許庁審判官 |
中西 一友 溝渕 良一 |
発明の名称 | ブリスターパック |
代理人 | 高木 千嘉 |
代理人 | 三輪 昭次 |
代理人 | 結田 純次 |