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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服200525368 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61H 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 A61H |
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管理番号 | 1154801 |
審判番号 | 不服2006-24765 |
総通号数 | 89 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-11-02 |
確定日 | 2007-03-29 |
事件の表示 | 平成9年特許願第70226号「美容方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年5月6日出願公開、特開平10-113370号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成9年3月24日(優先日:平成8年8月21日)の出願であって,平成18年9月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成18年11月2日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに,同年12月4日付けで明細書の特許請求の範囲を対象とする手続補正がなされたものである。 第2 平成18年12月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年12月4日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は,本願の請求項1について, 「美容師又は一般人が、皮膚表面に崩壊性粒子と血行促進剤を含有する化粧料を適用し、マッサージすることからなる崩壊性粒子含有化粧料の使用方法であって、マッサージを入浴後に行う方法。」とする補正を含むものである。(下線部は,補正箇所。) 2 補正の目的の適否 上記補正は,その補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「マッサージする」或いは「マッサージを入浴後に行う」の主体として「美容師又は一般人が」との限定を追加するとともに,マッサージを行う時期を補正前の「入浴中又は入浴後」から「入浴後」に限定するものであり,その補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件 そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 本願補正発明の「皮膚表面に崩壊性粒子と血行促進剤を含有する化粧料を適用し、マッサージすることからなる崩壊性粒子含有化粧料の使用方法であって、マッサージを入浴後に行う方法」(以下,「本願補正発明の方法」という。)は,本願明細書の段落【0005】の「本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり,一般人でも手軽に行うことができ,かつ大きなマッサージ効果を得,それにより大きな美容効果を達成する新たな美容方法を提供することを目的とする。」という記載,段落【0010】の「また、このようなマッサージを行うことによる血行促進方法、肌色改善方法、むくみ低減方法、にきび予防・解消方法、化粧崩れ防止方法、皮膚のはり改善方法、皮膚のたるみ改善方法及び化粧のり改善方法を提供し、このようなマッサージからなる美容のためのマッサージ方法を提供する。」との記載,及び,段落【0076】の「本発明によれば、一般人でもマッサージを手軽に行うことができ、かつマッサージによる大きな美容効果を得ることができる。より具体的には、血行促進、肌色改善、むくみ低減、にきびの予防と解消、化粧崩れの防止、皮膚のはりの改善、たるみの改善、化粧のりの改善という種々の効果を得ることができる。したがって、本発明は日常的に行えるスキンケアの一つとして、有用な方法となる。」との記載からもわかるとおり,その主体を美容師等の専門家だけでなく一般人を限定したとしても,血行促進,肌色改善,皮膚のたるみ改善といった健康を維持するための方法,または,にきびの予防方法といった病気の予防方法,或いは,にきびの解消方法といった治療方法としての技術上の意義を有するものであるといえるので,本願補正発明は人間を治療する方法に該当する。 よって,本願補正発明は,人間を治療する方法に該当するので,特許法第29条第1項柱書に規定される産業上利用することができる発明に該当しない。 なお,平成18年2月4日付けの手続補正で補正された審判請求書において,出願人は,「本発明の方法は、医師又は医師の指示を受けた者によってなされるものではなく、美容師又は一般人によってなされることが補正により明確となっております。美容効果を得るために、美容師又は一般人が特定の化粧料を用いてマッサージを行う方法と、医師又は医師の指示を受けたものが治療行為として健康状態を維持するためにマッサージを行う方法とは明確に区別できます。」と主張する。 しかしながら,本願補正発明の「美容師又は一般人が」との限定は,出願人の「本発明の方法は、医師又は医師の指示を受けた者によってなされるものではなく、美容師又は一般人によってなされることが補正により明確となっております。」との主張からもわかるとおり,本願補正発明の技術上の意義を限定するものではなく,むしろ,本願補正発明の実施の主体(行為者)を制限するものであるといえる。 そして,本願補正発明の実施主体を制限する旨を請求項に記載したからといって,本願補正発明は,血行促進,肌色改善,皮膚のたるみ改善といった健康を維持するための方法,または,にきびの予防方法といった病気の予防方法,或いは,にきびの解消方法といった治療方法としての技術上の意義を有するものであることは明らかである。 してみれば,「美容効果を得るために、美容師又は一般人が特定の化粧料を用いてマッサージを行う方法と、医師又は医師の指示を受けたものが治療行為として健康状態を維持するためにマッサージを行う方法とは明確に区別できます。」という出願人の主張は失当である。また,上述の本願明細書の段落【0005】,【0010】,【0076】の記載内容からみても,出願人が主張するような「区別」ができるものではないことは明らかである。出願人の主張は,技術的思想たる発明とその実施である行為とを混同してなされたものである。 ところで,特許・実用新案審査基準では,「第II部第1章産業上利用することができる発明」の「2.1『産業上利用することのできる発明』」に該当しないものの類型」として,「(1)人間を手術,治療又は診断する方法」としており,その要件として方法発明の主体は規定していない。上記「(1)人間を手術,治療又は診断する方法」の説明の冒頭に,「人間を手術,治療又は診断する方法は,通常,医師(医師の指示を受けた者を含む。以下同じ。)が人間に対して手術,治療又は診断を実施する方法であって,いわゆる「医療行為」と言われているものである。」と記載しているが,ここでいう「医師(医師の指示を受けた者を含む。以下同じ。)」は,「通常」想定され得る主体を例示したに過ぎず,方法発明の主体が医師(医師の指示を受けた者を含む。)である発明だけが「人間を手術,治療又は診断する方法」であるということを意味しているものでない。 このことからも,本願補正発明が特許法第29条第1項柱書に規定される「産業上利用することができる発明」に該当するか否かを判断する際には,本願補正発明の方法の主体が医師であるか否かにかかわらず,当該発明の技術上の意義が人間を手術,治療又は診断する方法にあるか否かにより判断するものと解すべきであるといえる。 よって,出願人の主張は採用できない。 3 むすび 以上のとおり,本願補正発明は,特許法第29条第1項柱書に規定される産業上利用することができる発明に該当しないものであるので,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明についての判断 1 本願発明 本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成18年8月28日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて,その請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。 「皮膚表面に崩壊性粒子と血行促進剤を含有する化粧料を適用し、マッサージすることからなる崩壊性粒子含有化粧料の使用方法であって、マッサージを入浴中又は入浴後に行う方法。」 2 判断 本願発明は,本願補正発明の発明特定事項である「マッサージする」或いは「マッサージを入浴後に行う」の主体から「美容師又は一般人」との限定を省き,「入浴後」を「入浴中又は入浴後」としてマッサージを行う時期の範囲を拡張するものであるから,本願発明も,上記の「第2[理由]2」と同様の理由により,人間を治療する方法に該当することは明らかである。 よって,本願発明は,特許法第29条第1項柱書に規定される「産業上利用することができる発明」に該当しない。 3 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第1項柱書に規定される「産業上利用することができる発明」に該当しないので,特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-01-24 |
結審通知日 | 2007-01-30 |
審決日 | 2007-02-15 |
出願番号 | 特願平9-70226 |
審決分類 |
P
1
8・
14-
Z
(A61H)
P 1 8・ 575- Z (A61H) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長谷川 一郎 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
芦原 康裕 稲村 正義 |
発明の名称 | 美容方法 |
代理人 | 特許業務法人田治米国際特許事務所 |