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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B01D
管理番号 1155895
審判番号 訂正2006-39150  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-09-12 
確定日 2007-04-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2634230号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2634230号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2634230号の請求項1?19に係る発明は、平成1年2月23日(パリ条約による優先権主張1988年2月25日、フランス国)に特許出願され、平成9年4月25日に特許権の設定の登録がされ、平成10年6月18日に訂正審判(「平成10年審判39042号」)が請求され、平成10年12月9日に訂正審決が確定した。その後、東京地裁に特許権侵害差止請求事件が出訴(「平成17年(ワ)第2274号」)され、平成18年5月26日に「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」旨の判決が言い渡され、平成18年9月12日に訂正審判が請求されたものである。なお、東京地裁の判決に対しては知財高裁に控訴(「平成18年(ネ)第10065号」)されている。また、平成18年10月20日付けで、上記侵害差止請求事件の当事者(被控訴人)より、控訴審における無効抗弁の理由等に関する上申書の提出を受けた。そして、その後、当審より平成18年11月30日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、期間内に意見書が提出された。

II.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2634230号発明の明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである。

III.訂正の内容
(1)訂正事項a:【特許請求の範囲】の
「【請求項1】コロイド混入及び不安定化スペースが内部につくりあげられている未処理液流内に試薬を注入するという沈降による液体処理法であって、前記液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し、次に清澄化された液体が取出される分離板を備える沈降スペースに入り、液より濃厚な不溶性粒状物質があらかじめ定められた比率で、乱流が維持される混合スペース内の液中に注入され、乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保って凝集体を成長させ、事実上すべての粒状物質が沈降スペースにもたらされ、沈降スペース内で回収されたスラッジが除去され、粒状物質がそこから除去され、洗滌後に再循環されることを特徴とする、方法。」を
「【請求項1】コロイド混入及び不安定化スペースが内部につくりあげられている未処理液流内に試薬を注入するという沈降による液体処理法であって、前記液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し、次に清澄化された液体が取出される分離板を備える沈降スペースに入り、液より濃厚な不溶性粒状物質があらかじめ定められた比率で、中間凝集スペース内で維持されるよりも大きな速度勾配の乱流が維持される混合スペース内の液中に注入され、乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保って凝集体を成長させ、その速度勾配は成長した凝集体の破壊をもたらさず、事実上すべての粒状物質が沈降スペースにもたらされ、沈降スペース内で回収されたスラッジが除去され、粒状物質がそこから除去され、洗滌後に再循環されることを特徴とする、方法。」に訂正する。

IV.当審の判断
1.訂正の目的の適否
訂正事項aは、【請求項1】の(ア)「乱流が維持される混合スペース」の「乱流」について「中間凝集スペース内で維持されるよりも大きな速度勾配の乱流」に限定し、また(イ)「中間凝集スペース内に生じ」る「乱流」について「その速度勾配は成長した凝集体の破壊をもたらさず」と上限値を規定する訂正をしようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当するといえる。そして、訂正事項aの(ア)については、明細書の【特許請求の範囲】【請求項2】、本件特許公報第7欄30?31行、第9欄下から10?7行、第10欄26?31行に、また、(イ)については、同公報第6欄下から5?3行、第8欄24?26行、第10欄下から3行?第11欄1行、第11欄11?14行に記載されていることから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でなされるものであって、新規事項の追加には当たらない。そして、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

2.そこで、訂正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて、以下検討する。

3.独立特許要件について
3-1.本件訂正発明
訂正後の請求項1に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、「本件訂正発明」という。)。
【請求項1】コロイド混入及び不安定化スペースが内部につくりあげられている未処理液流内に試薬を注入するという沈降による液体処理法であって、前記液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し、次に清澄化された液体が取出される分離板を備える沈降スペースに入り、液より濃厚な不溶性粒状物質があらかじめ定められた比率で、中間凝集スペース内で維持されるよりも大きな速度勾配の乱流が維持される混合スペース内の液中に注入され、乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保って凝集体を成長させ、その速度勾配は成長した凝集体の破壊をもたらさず、事実上すべての粒状物質が沈降スペースにもたらされ、沈降スペース内で回収されたスラッジが除去され、粒状物質がそこから除去され、洗滌後に再循環されることを特徴とする、方法。

3-2.引用刊行物の記載内容
(1)引用例1:フランス特許第1411792号公報(本件審判請求書の参考資料2、上申書参考資料2:訳文)
(a)「発明によれば、懸濁物質を含む地表水又は工業用水の清澄化方法の特徴は浄化しようとする水(原水)に固体鉱物質及び粒状の清澄化補助物質(促進剤) 、「ポリ電解質」と呼ばれる鎖構造の重合体および場合によっては水質浄化用の通常の化学薬品を同時に入れること、及び通常の清澄化及び濾過作業を行った後鉱物質で粒状の固体補助物質を回収し環式工程により循環して再利用できるようにした上で浄化した水を回収することである。鉱物質、固体かつ粒状の清澄化補助物質として・・・石英砂を好んで用いる。」(公報第1頁右欄15?34行、訳文第1頁右欄9?22行)
(b)「濾過ドラムを通った原水には清澄化に必要な化学薬品が入れられる。・・・原水を導管を介して、底の閉じた清澄装置3の筒1に導かれる。その間、この原水には化学薬品並びに,導管gを介してサイクロン装置9内で再生された補助剤が加えられる。浄化する原水は清澄化に必要な全ての補助剤を受け取った後この目的で清澄装置内部の筒に入る。これは閉じた筒1から溢れて釣り鐘型の第1次清澄化空間2に流れ込む。その後、高速でこの釣り鐘の下端を超えて流れ、清澄化室内に上っていく。この際循環速度は段々と低くなっていく。原水に添加した清澄化剤の存在は循環速度が低下したことと沈降が始まったことにより確認され,非常に緻密で網状構造を持つ中身の詰まった流れる泥状の塊を形成する。その後、ここで清澄化された水は既知の方法で使用される急速フィルタ内に導かれる。追加的浄化工程中に通常の殺菌工程を適用することが出来る。清澄装置の底に沈澱する濁って泥状の砂は常時運転している採泥装置4により装置の底5に導かれる。次いでそれは汚泥ポンプ7により2?2.5気圧に加圧された導管を通って水理サイクロン装置8に入る。このサイクロン装置は補助剤を粒径および比重によって分類する。サイクロン装置の溢水口の中では水の清澄化で取り残された物質(即ち川の水の中の懸濁物質、金属水酸化物など)を取り除き,一方残りの場所内では化学薬品により活性化された、汚泥が取り除かれ純化された粒状清澄化補助剤を回収する。再生された補助剤は導管aからの化学薬品により処理された原水に加えられる。」(公報第4頁左欄33行?同頁右欄20行、訳文第4頁左欄16行?同頁右欄14行)
(c) 図2(第9頁)には、沈降を利用した清澄装置3が図示されており、そこには「筒1に撹拌機が設けられていること」が窺え、また「筒1の底に断面傾斜した曲線」が描かれていることが窺える。
(d) 表II(第5頁)には、「補助剤とポリ電解質の同時添加による清澄化」の実施例が記載されており、そこには「軽石、石英砂などの補助剤を一定の比率で添加すること」が開示されている。

(2)引用例2:厚生省監修水道施設設計指針・解説(1977年版) 昭和52年5月31日に発行、第155?175頁(上申書参考資料2)
(a)「5.4凝集池・・・・一般にコロイド粒子と総称され、そのままの状態ではほとんど沈でんしないし、急速ろ過・・・では捕そくすることができない。・・・このような濁質を効果的に除去するために前段の処理として、凝集操作によってコロイド状の濁質をフロック化し、・・・濁質の性状を変えることが絶対不可欠・・・・凝集操作の機能を分解して考えると、凝集剤を添加後できるだけ急速にかくはんして、濁質を微小なフロックに凝集させる前段と、生成した微小フロックを大きく成長させるために、緩やかにかくはんして、後に続く沈でんとろ過の処理を容易にする後段との二つの機能に分け・・・前段を混和、後段をフロック形成という。」(第155頁左欄12?同欄下から3行)
(b)「5.4.3フロックの形成・・・・混和によって、原水中の濁質を微小なフロックに凝集したのち、沈でん、ろ過するためには、続いてそのフロックを大きく、重くし、壊れないように強くしなければならない。フロック形成の過程は、・・・凝集した微小フロックを大きくしようという操作である。」(第157頁左欄8?24行)
(c)「2.について;かくはんによってフロックがある大きさまで成長すると、水流によるせん断作用に抵抗できなくなって破壊を起こすに至るので、フロックの成長には限度があり、かくはんの強度も、ある範囲が想定される。従って、できるだけ大きなフロックを作るために。フロックの粒径が小さい初期には強いかくはんを与えて、フロックが大きく成長するにつれて段々と3?4段にわけて、かくはん強度を下げていくテーパード・フロキュレーション方式を採用することが多い。」(第157頁右欄9?17行)
(d)「2.、3.、4.について;フロックの形成は、速度こう配G値に比例する」(第158頁4行)
(e)「2)機械エネルギーによるかくはん 機械的にかくはんする方式には・・・いずれもかくはん翼によって水流をかくはんし、フロックの成長を促す形をとっている。」(第158頁右欄下から9?6行)
(f)「パドルの周辺速度は、成長したフロックの破壊または沈でんを生じない15?18cm/秒程度がよい。」(第159頁左欄2?3行)
(g)「薬品沈でん池は、薬品注入、混和およびフロック形成の段階を経て、大きく重く成長したフロックの大部分を沈でん分離作用によって除去・・・するために設ける。」(第160頁左欄6?9行)
(h)「フロックの沈降速度v0を大きくして、沈でん効率をよりよくしようという試みは、・・・幾多の開発が行われ・・・できるだけ大きく、重いフロックを作ろうとして、凝集剤や凝集補助剤の研究、凝集操作のあり方の究明等に大きな努力が払われてきた。・・・・最近では、凝集の段階で砂粒を添加してフロックの核とし、重いフロックを形成して沈でんを促進する装置等も現れてきている。」(第161頁左欄1?13行)
(i)「1.について;傾斜板等の沈でん池は、図-5.36に示すように、沈でん池内に傾斜板や傾斜管をそう入して、一種の多階層沈でん池を構成して、沈でん効率を高めようと意図したものであり、・・・さまざまな形状のものが用いられている。」(第169頁右欄20?24行)
(j)「沈でん池内に、このような傾斜板等の沈降装置を設けて沈でん効率の改善を図った場合には、その効果に応じて、滞留時間を減じて沈でん池の処理能力をあげることができる。」(第170頁左欄7?10行)

3-3.対比・判断
引用例1には、記載事項(a)によると「懸濁物質を含む地表水又は工業用水の清澄化方法は浄化しようとする水(原水)に固体鉱物質及び粒状の清澄化補助物質(促進剤) 、「ポリ電解質」と呼ばれる鎖構造の重合体および場合によっては水質浄化用の通常の化学薬品を同時に入れ、清澄化及び濾過作業を行った後鉱物質で粒状の固体補助物質を回収し環式工程により循環して再利用できるようにし、浄化した水を回収すること」及び「鉱物質、固体かつ粒状の清澄化補助物質として石英砂」が用いられることが記載されている。そして、具体的な「清澄化方法」として、記載事項(b)には「浄化する原水は清澄化に補助剤を受け取った後清澄装置内部の筒に入り、筒から溢れて釣り鐘型の第1次清澄化空間に流れ込み、その後、高速でこの釣り鐘の下端を超えて流れ、清澄化室内に上がり、この際循環速度は段々と低くなっていき、原水に添加した清澄化剤の存在は循環速度が低下したことと沈降が始まったことにより確認され、非常に緻密で網状構造を持つ中身の詰まった流れる泥状の塊を形成する」こと、及び「清澄装置の底に沈澱する濁って泥状の砂は常時運転している採泥装置により装置の底に導かれ、次いでそれは汚泥ポンプにより導管を通って水理サイクロン装置に入り、このサイクロン装置は補助剤を粒径および比重によって分類し、サイクロン装置の溢水口の中では水の清澄化で取り残された物質を取り除き,一方残りの場所内では粒状清澄化補助剤を回収し、再生された補助剤は導管からの化学薬品により処理された原水に加えられる」ことが記載されている。そして、記載事項(c)によれば、この「清澄装置内部の筒」には「撹拌機」が設けられていることが開示されている。
これらのことを本件訂正発明の記載振りに則して整理すると、引用例1には「懸濁物質を含む原水中にあらかじめ定められた比率で補助剤(石英砂)、鎖構造の重合体及び化学薬品を添加して懸濁物質を沈殿させる清澄化方法であって、補助剤、鎖構造の重合体及び化学薬品が添加された原水は、筒の下部に流入し、筒内において撹拌機によって撹拌され、筒から溢れ出た原水は、釣り鐘型の第1次清澄化空間に流れ込み、高速でこの釣り鐘の下端を超えて流れ、清澄化室内に上がり、この清澄化室において沈降が行われ、清澄化された水は導管より取り出され、沈降した砂は、採泥装置により装置の底に導かれ、導管を通って回収され、回収された砂から補助剤を回収して再利用する方法」(以下、「引用1発明」という。)が記載されているといえる。

そこで、本件訂正発明と引用1発明とを対比すると、
引用1発明の「補助剤(石英砂)」、「鎖構造の重合体及び化学薬品」、「清澄化室」、「清澄化された水」及び「沈降した砂」は、それぞれ本件訂正発明の「不溶性粒状物質」、「試薬」、「沈降スペース」、「清澄化された液体」及び「スラッジ」に相当する。
また、引用1発明は、懸濁物質(コロイド)を含む原水中に補助剤、鎖構造の重合体及び化学薬品が添加されて筒の下部に流入し、そこで攪拌機により撹拌されるのであり、一方、本件訂正発明の「コロイド混入及び不安定化スペース」が「未処理液体及び試薬注入口、撹拌装置を備え」(特許掲載公報第3頁第6欄19?20行)るものであり、「反応-凝集スペースAは混合室1を含み、ここで未処理液体内に含まれるコロイドは不安定化され」(特許掲載公報第4頁第8欄23?24行)るのであるから、引用1発明の「筒」が本件訂正発明の「コロイド混入及び不安定化スペース」或いは「混合室」(混合スペース)に相当するといえる。そして、引用1発明の「鎖構造の重合体及び化学薬品を添加して懸濁物質を沈殿させる清澄化方法」は本件訂正発明の「試薬を注入するという沈降による液体処理法」であることは明らかである。
また、引用1発明では「筒から溢れ出た原水は、釣り鐘型の第1次清澄化空間に流れ込み、高速でこの釣り鐘の下端を超えて流れ、清澄化室内に上がり、この清澄化室において沈降が行われ」るところ、沈降による清澄化方法においては、沈降の前段で凝集させることが普通であることからすると、清澄化室内の前の第1次清澄化空間が凝集スペースとなっているとみることができ、この「第1次清澄化空間」が本件訂正発明の「中間凝集スペース」に該当し、該「第1次清澄化空間」ではその機能から「凝集体を成長させ」ているとみることができる。
以上のことから、両者は、
「コロイド混入及び不安定化スペースが内部につくりあげられている未処理液流内に試薬を注入するという沈降による液体処理法であって、前記液流は、中間凝集スペース、次に清澄化された液体が取出される沈降スペースに入り、液より濃厚な不溶性粒状物質があらかじめ定められた比率で、混合スペース内の液中に注入され、中間凝集スペース内で凝集体を成長させ、事実上すべての粒状物質が沈降スペースにもたらされ、沈降スペース内で回収されたスラッジが除去され、粒状物質がそこから除去され、洗滌後に再循環される方法。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点(a):本件訂正発明は、沈降スペースが「分離板を備える」のに対し、引用1発明では、清澄化室(沈降スペース)に分離板が備えられていない点
相違点(b):本件訂正発明は、「液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し」、「中間凝集スペース内で維持されるよりも大きな速度勾配の乱流が維持される」混合スペース内の液中に注入され、「乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保って」凝集体を成長させ「その速度勾配は成長した凝集体の破壊をもたらさ」ないのに対し、引用1発明には、かかる構成が特定されていない点

(1)相違点(a)について
引用例2の記載事項(g)、(i)及び(j)に記載からみれば、本件特許の優先日当時、沈殿を利用した浄水施設の分野において、沈殿槽に分離板を設けることは、周知の技術であったと認められるから、引用1発明の清澄装置が「薬品沈でん池」の技術分野に属するものであることを勘案すれば、引用1発明の沈降を行う清澄化室において「分離板」を設けて、相違点(a)に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことといえる。

(2)相違点(b)について
(ア)まず、本件訂正発明の相違点(b)にかかる技術事項の意義についてみておくと、
本件明細書には「本発明は・・凝集スペース内のかなりの乱れを結びついた粒状物質の使用を特徴とする・・・殆んどの沈降は分離板を含む沈降スペース内で生じ、これはまさしくより最近の方法が避けようと試みているところのもの・・・乱れは不利であると考えられていた。・・・砂は特定の場合、その望ましくない研磨特性が当業者をしてその利用を断念させていた。さらに、反応室と沈降室との間に凝集室を後者に沈降を生じることなく備えることに何らかの利点があることは明らかでなかった。」(特許掲載公報第3頁第6欄29?43行)、「中間室において粒状物質の粒子をとりまくコロイド凝集によって形成される凝集体の成長を沈降なしに達成することは不可能であることが明らかである。沈降なしにこれらの凝集体を懸濁状態に保つためには、一見したところでは、砂の粒子上に物質を保持しておく、従って成長の現象を除外することとは相容れないように思われる撹拌が必要である。」(特許掲載公報第3頁第6欄46行?第4頁第7欄2行)と記載されている。
これらの記載からみると、本件訂正発明の技術的意義は、上記技術事項の「中間凝集スペース内で維持され、循環され、粒状物質を懸濁状態に保って成長した凝集体の破壊をもたらさない」速度勾配の乱流の形成によって、粒状物質を沈降させずに循環させ、凝集体の成長を達成することができ、沈降なしの高濃度化を図ることができるものと理解できる。
(イ)一方、引用1発明は、上記したとおり、筒の下部に流入した粒状物質が添加された原水は、攪拌機で撹拌され、溢れ出た原水は、釣り鐘型の第1次清澄化空間に流れ込むものである。そして、引用1発明の「第1次清澄化空間」が本件訂正発明の「中間コロイド凝集スペース」に対応していることは上述したとおりである。この「第1次清澄化空間」では特段撹拌手段を備えていないので、そこで乱流を形成しているのか、速度勾配が如何ほどの乱流が形成されているのか定かではないが、筒における乱流が溢れ出て流れ込む限り、当初乱流が残留し、次第に下流に行くに従って減衰していくとみれる。そうすると、「筒」内では少なくとも「第1次清澄化空間」内よりも大きな速度勾配の乱流が維持されているとはみることができる。しかしながら、引用1発明の「第1次清澄化空間」においては、沈降しながら凝集体を成長させるものであって、沈降させずに循環するものではなく、そこで速度勾配を維持し、循環させることを意図しないことは明らかであるというべきであり、上記した本件訂正発明の技術的意義については何ら見い出すことはできない。
そのことについて、引用例1には「ポリ電解質の鎖状分子は先ず官能基により沈降しにくい粒子上、または・・・粒状補助剤の上に落ち着くと想定する事が出来、・・・粒状補助剤はそれ自体高い沈降速度を持っているので、同じく活性化された分散している微細粒子を活発に集める。・・事実、沈降は導入された補助剤により発生した塊の沈降速度に応じて進行する。沈降中に・・・濁った液の高濃度が行われる。」(公報第3頁左欄6?28行、訳文第3頁1?17行)とも記載され、この記載から、引用1発明は粒状補助剤の沈降中に高濃度化しているとみることができ、そこには本件訂正発明の上記した技術的意義が看取できないことは明らかである。
(ウ)本件訂正発明の相違点(b)にかかる技術事項について引用例2をみてみると、引用例2の記載事項(a)には、上記したとおり「凝集操作の機能」として「凝集剤を添加後できるだけ急速にかくはんして、濁質を微小なフロックに凝集させる前段と、生成した微小フロックを大きく成長させるために、緩やかにかくはんして、後に続く沈でんとろ過の処理を容易にする後段との二つの機能に分け、前段を混和、後段をフロック形成という」ことが記載されている。この記載の「フロック形成」に関して、該記載事項(a)及び(b)によると、「フロック形成は、凝集した微小フロックを大きく成長させる操作」といえ、記載事項(c)に「かくはんによってフロックがある大きさまで成長すると、水流によるせん断作用に抵抗できなくなって破壊を起こすに至るので、フロックの成長には限度があり、かくはんの強度も、ある範囲が想定される」こと、記載事項(d)に「フロックの形成は、速度こう配G値に比例する」こと、そして、記載事項(e)に「機械的にかくはんする方式には、かくはん翼によって水流をかくはんし、フロックの成長を促す形をとる」こと、さらには、記載事項(f)には「パドルの周辺速度は、成長したフロックの破壊または沈でんを生じない・・程度がよい」こと、が記載されている。
これらの記載から、引用例2には、「凝集操作は、凝集剤を添加後できるだけ急速に撹拌して濁質を微小なフロックに凝集させる混和と、凝集した微小フロックを大きく成長させるための、緩やかに撹拌するフロック形成からなり、フロック形成では、成長したフロックの破壊または沈澱を生じさせない速度勾配で撹拌させる」ことが記載されているといえる。また、引用例2が設計指針であることに鑑みれば、上記凝集操作は、凝集剤を添加するものとして通常広く行われているものとみれる。
つまり、引用例2には、凝集剤を添加する凝集操作であって、「混和」は「フロック形成」に比して大きな速度勾配を有し、「フロック形成」においては、成長したフロックの破壊または沈澱を生じさせない速度勾配で撹拌させている、ことが記載されているといえる。この技術的事項は、凝集剤の添加を除けば、本件訂正発明の「混合スペース」及び「中間コロイド凝集スペース」での速度勾配を有する乱流の態様と構成上類似したものとみることができる。
しかしながら、引用例2は、砂のような沈降補助剤を使用しない一般的な凝集剤を用いた凝集操作の指針を述べたに過ぎないものであって、これを砂のような粒状物質補助剤を使用したときに、上記した引用例2の凝集操作と同じ操作で処理が行えるという根拠は何処にも見出せない。むしろ、凝集剤と砂のように比重の大きい粒状補助剤とでは粒子同士の衝突の度合いなど乱流下での挙動の違いは明らかであることから、砂のように比重の大きい粒状補助剤を添加する操作では直ちに引用例2の凝集操作を適用しないとみるのが自然である。而して、引用例2に記載の凝集操作は、本件訂正発明の「液より濃厚な不溶性粒状物質があらかじめ混合スペース内の液中に注入され」る処理処理方法にあって「液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し、中間凝集スペース内で維持されるよりも大きな速度勾配の乱流が維持される混合スペース内の液中に注入され、乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保って凝集体を成長させ、その速度勾配は成長した凝集体の破壊をもたらさない」なる構成要件を満たしているとはいえない。
ただ、引用例2には、記載事項(h)に「凝集の段階で砂粒を添加してフロックの核とし、重いフロックを形成して沈でんを促進する装置等も現れてきている」との言及がなされているが、これが如何なる装置であるのか、混和とフロック形成の凝集操作で行われものかも特定できない。いわんや、引用例2には、本件訂正発明の上記構成要件を備えること、および本件訂正発明の技術的意義の「粒状物質を沈降させずに循環させ、凝集体の成長を達成できる」ことを窺わせる記載も示唆もないと云うべきである。そしてまた、この言及については、「沈でんを促進する」との記載の技術内容から、上記「(イ)」で述べた引用例1の記載による「沈降中の高濃度化」と同じレベルのものともみられるのである。
そしてさらに、引用1発明は、上記「(イ)」で述べたとおり、粒状補助剤の沈降中に高濃度化しているものであるから、これに引用例2の技術的事項を組み合わせる動機付けもないというべきである。
してみると、本件訂正発明の相違点(b)にかかる技術事項は引用例1及び引用例2から容易に導き出すことができないといえる。
(エ)ここで当審の訂正拒絶の理由で述べた、記載事項(c)から筒1が「筒1の底に断面傾斜した曲線」が描かれ、この曲線が「筒底の曲面を形成して、底部において部分的に断面積が徐々に広がっていることから上方の領域において維持される乱流よりも大きい速度勾配の乱流が下方の領域で発生している」のではないか、ということについて付言すると、
この「筒1の曲線」は、図面からのみでは、筒底部に曲面を形成させているものか、曲線の下側の直線部分は何を表すのかなど、必ずしも判然としない上、筒底の曲面を形成していることを窺わせる記載も示唆も引用例1の何処にも見当たらない。そうすると、この曲線を上記のとおりに解するとまでは言い切れない。また仮に、傾斜曲面を形成し部分的に上記した現象が生じたとしても、筒の果たす機能は、撹拌機による撹拌により原水と添加される補助剤(石英砂)、鎖構造の重合体及び化学薬品を混合させることにあると解されるのであって、それ以上の技術的意義を見い出すこともできない。しかも、本件訂正発明の「中間凝集スペース」が、相違点(ハ)に係る構成にもみられるとおり「液流は中間コロイド凝集スペース内を循環」するものである以上、この筒内で循環が行われているものではないことから、引用1発明の筒1の「上方の領域」を本件訂正発明の「中間凝集スペース」が該当するとまでいえない。
なお、このことは、請求人が提出した意見書の資料1の引用例1の実施化装置「シクロフロック」のパンフレットからも頷けるものである。
(オ)そして、本件訂正発明の上記相違点に係る構成を採ることによって、「細砂を用いた公知方法に比較して、30?60m/h及びさらには90m/hの沈降速度が期待でき、量的増大が図られる」(特許掲載公報第6頁第11欄31?34行)等の明細書記載の顕著な効果を奏するものといえる。
以上のことから、本件訂正発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、他に記載要件違反などの理由により特許を受けることができないといえるまでの特段の事情も見当たらない。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明についての特許は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではない。

V.むすび
したがって、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、いずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正前特許法第126条第1項ないし3項の規定に適合するので、当該訂正を認める
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
細砂を用いて沈降により液体を処理するための方法及び装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】コロイド混入及び不安定化スペースが内部につくりあげられている未処理液流内に試薬を注入するという沈降による液体処理法であって、前記液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し、次に清澄化された液体が取出される分離板を備える沈降スペースに入り、液より濃厚な不溶性粒状物質があらかじめ定められた比率で、中間凝集スペース内で維持されるものより大きな速度勾配の乱流が維持される混合スペース内の液中に注入され、乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保って凝集体を成長させ、その速度勾配は成長した凝集体の破壊をもたらさず、事実上すべての粒状物質が沈降スペースにもたらされ、沈降スペース内で回収されたスラッジが除去され、粒状物質がそこから除去され、洗滌後に再循環されることを特徴とする、方法。
【請求項2】混合スペース内で、中間凝集スペース内で維持されるものより明らかに大きな速度勾配が維持されることを特徴とする、特許請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項3】細砂の場合、中間凝集スペース内では、400?1,500s-1の速度勾配が成立することを特徴とする、特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の方法。
【請求項4】細砂の場合、混合スペース内で1,500?4,000s-1の速度勾配が成立することを特徴とする、特許請求の範囲第1項から第3項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】細砂の場合、混合スペース内の速度勾配が3,000?3,500s-1であり、さらに凝集スペース内の速度勾配が700?900s-1であることを特徴とする、特許請求の範囲第4項に記載の方法。
【請求項6】粒状物質が20?200μmの粒度の細砂であること、及びおよそ1?4g/Lの未処理液体に関する濃度で注入されることを特徴とする、特許請求の範囲第1項から第5項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】液体が中間凝集スペース内に滞留する時間が、液体が混合スペース内に滞留する時間の2.5?3.5倍であることを特徴とする、特許請求の範囲第1項から第6項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】液体が混合スペース内では上方向に流れ、中間凝集スペース内では下方向に流れることを特徴とする、特許請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】沈降により液体が処理する装置であって、連続して、未処理液体及び試薬注入口及び攪拌装置を備えたコロイド混合不安定化室と、中間凝集室及び、その上部に清澄化された液体の取出口と、その下部にスラッジ回収スペースを備えた分離板を備えた沈降室を備えており、液体中に不溶性の混合室内で液体より濃厚な粒状物質のための注入口と、凝集室内に攪拌装置と、及び粒状物質注入口が結合された取出口へのスラッジ/粒状物質分離局へ沈降室内で回収されたスラッジを取出すための出口を含んでいることを特徴とする、装置。
【請求項10】混合室及び中間凝集室が、断面がおよそ四角形であり、さらに各室の寸法及び対応する攪拌装置の直径の間の比がおよそ0.5?0.8であることを特徴とする、特許請求の範囲第9項に記載の装置。
【請求項11】混合室の攪拌装置が、1?2m/sの周速をかい形羽根に伝えるモータによって縦軸に沿って回転するかい形車であり、中間凝集室の攪拌装置が、0.2?2.5m/sの周速をかい形羽根に伝えるモータによって縦軸に沿って回転するかい形車であることを特徴とする、特許請求の範囲第9項又は第10項に記載の装置。
【請求項12】混合室からの液体の循環が、混合室と中間凝集室との間の第1分離壁の水平上縁を超えるオーバフローによって、中間凝集室と側方室との間の第2分離壁の水平縁の下をもぐることによって、側方室と沈降室の長さに沿って走る側方分配路との間の分離仕切りの上縁を超えるオーバフローによって、次に側方分配路と沈降室の間の分離壁の下縁の下をもぐることによって達成され、この下縁は側方室から離れた方向に上向きに傾斜していることを特徴とする、特許請求の範囲第9項から第11項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】中間凝集室が、断面がほぼ四角形であり、第1壁の上縁と第2壁の下縁との間の垂直方向の距離が、中間凝集室の寸法の1?3及び好ましくは1?1.5倍であり、さらに攪拌装置が、壁の上縁に比較してこの高さの0.5?0.9倍の深さに位置していることを特徴とする、特許請求の範囲第12項に記載の装置。
【請求項14】側方分配路及び沈降室間の分離壁の傾斜した下縁が、中間凝集室及び側方室間の分離壁の下縁とほぼ同じ高さから立上がることを特徴とする、特許請求の範囲第12項又は第13項に記載の装置。
【請求項15】沈降室の底部には、それが連通しかつスラッジ取出し通路と結合する中間凝集室のほぼ下側に位置する濃縮スペースのほうへスラッシを循環させるための手段が備えられていることを特徴とする、特許請求の範囲第12項から第14項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】沈降室の底部が前記濃縮スペースのほうへ傾斜していることを特徴とする、特許請求の範囲第15項に記載の装置。
【請求項17】中間凝集室の攪拌装置が、液体の流れにさからう方向に好ましくは駆動される軸流ねじであることを特徴とする、特許請求の範囲第9項から第16項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】粒状物質が事実上、所定条件の下で水に関して化学的及び/又は生物学的に不活性であることを特徴とする、特許請求の範囲第9項から第17項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】粒状物質が、所定条件の下で水に関して化学的及び/又は生物学的に活性であることを特徴とする、特許請求の範囲第9項から第17項のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
本発明は、濃厚化と沈降により液体を処理する(とくに清澄化と清浄化処理)ための方法及び装置に係る。
この処理の主たる目的は未処理液体から懸濁物質を除去することである。従ってこの方法で清澄化された液体は、要求に応じて、家庭用水として受入れられるか、工業ないし農業用として利用可能か、あるいは自然環境へ返還されるに適するかにするため、その後の処理作業を受ける。
除去されるべき懸濁状態粒子はきわめて多様な種類、きわめて小さなサイズ(1ミクロンのオーダーで)及びきわめて幅の広い比率であることができる。これらの粒子は自然沈降により高速で直接的に分離されることはできないから、あらかじめ未処理液体中に補助処理剤を加えることが知られており、それらは化学的ないし物理的作用によって、後工程で沈降による分離が比較的容易な粒子形成及び成長(通例ではフロックと呼ばれる)を容易にする。総じてこれらの補助処理剤は、懸濁物質の加水分解をひきおこす鉱塩(鉄又はアルミナ硫化物、鉄塩化物、等々)のような凝固剤、及びこのようにして形成される種粒子の成長及びアグロメレーションを容易にする凝集剤(「多価電解質」形ポリマー、等々)から成る。
このようにして形成された凝集体又はフロックは次に1個所又はそれ以上の沈降スペースを通過し、ここで清澄化された液が上部から回収され、スラッジが底部から回収され、適当な処理を伴う商業的開発に向けられる。
この方法は、清澄化された液体の排出速度と懸濁物質の抽出容量を増大する(固体粒子含有量と濁り度を減らす)ため数多くの方法で改良された。1987年6月15?18日にニースで開催されたA.G.T.H.M.会議でドゥトッイユ(Dauthuille)が発表した報告を参照すれば有益であろう。
例えば、種粒子を導入することによって濃厚化及びフロキュレーション工程でのフロック形成を促進させる試みがなされた。
1964年8月4日出願のフランス特許FR-1.41.792号は試薬を含む液体に対して補助清澄物質、とくに砂の細粒(20?200μm)を注入することを提案している。細砂の分散後、未処理液体は連続して減少する速度で循環される。下方向へは液中の砂の分散の安定化を重量が促進するから、1?4mmのオーダーの寸法まで砂粒上に形成されるフロックの成長を可能にし、上方向へは重量のためフロックは砂のバラストを受けて底部へ落下する。このようにして形成された砂を含むスラッジが回収され、そして砂の粒子が分離される。この原理で作動する「シクロフロック(CYCLOFLOC)」と呼ばれる沈降装置では、6?8m/hの沈降速度が定常的に得られる。
沈降速度は、流速(m3/h単位)を沈降スペースの自由表面積(m2単位)で除した商であることを想起されたい。
さらにまたとくにフランス特許FR-1.501.912号(1966年9月28日出願)及びFR-2.071.027号(1969年12月16日出願)では、未処理液体が粒状物質(実施上は砂)の流動化された床を通して上方へ連続して減少する速度で移動する方法も提案されている。スラッジを積んだ砂が流動床から持上げられ、スラッジを分離した後、再循環される。沈降を改善するための流動床の上に分離板が備えられている。この原理によって作動する、一般に「フルオラピッド(FLUORAPID)」と呼ばれる沈降又は清澄化装置は、8?15m/hの収量排出速度(流出又は沈降)をもつ。
より最近になると、砂を用いない、1983年10月7日出願のフランス特許FR-2.552.082号に開示された変化型において、反応室(フロキュレーション及び/又は沈殿)と、分離板を備えた沈降室との間に中間濃厚化及び沈降室を備えることを提案する沈降方法が開発された。この反応室はその上下端で連通する2個の室を含む。軸流ねじは中心室内に側方室から中心室の土台へ再循環を生じる注入未処理液体の流速よりはるかに早い流速をひきおこす、中間室の底部から回収されるスラッジのいくつかはこの点に戻される。フロックを負う液体は中間室の上部にあふれ出す。ここで濃厚化されたフロックとその85?95%が底部に堆積する。次に部分的に清澄化された液体は沈降を完成するため沈降室に入る。フロックの低残留濃度は全体の沈降工程を緩徐化できる沈降板の下にスラッジが堆積するのを防ぐ。この方法によって、処理液の質に対する強制が都市廃液の場合のように中位であれば、35m/hの早さの沈降速度を得ることができると考えられる。
公知の方法において、フロックの濃厚化はフロックの生長を混乱させやすい撹拌又は乱れが存在しないスペースで行われることが理解されよう。
本発明はこの方法で処理された液体の質を危うくすることなく沈降出力速度をさらに高めることを目指す。
本発明は試薬が、コロイド混入及び不安定化スペースが生じる未処理液流に注入された沈降により液体を処理する方法を提案する。前記液流は中間コロイド凝集スペース内を循環し、次に清澄化された液体が移動される分離板を備える沈降スペースに入り、本発明の特徴とするところは、液より濃厚な不溶性粒状物質が流れが乱される混合スペース内の液中にあらかじめ定められた比率で注入され、乱流は中間凝集スペース内に生じて粒状物質を懸濁状態に保ち、事実上すべての粒状物質が沈降スペースにいたらされ、沈降スペース内で回収されたスラッジが除去され、粒状物質がそこから除去され、洗滌後に再循環されることである。
本発明はさらに沈降により液体を処理する装置をも提案する。本装置は連続して、未処理液体及び試薬注入口及び撹拌装置を備えたコロイド混合不安定化室と、中間凝集室及び、その上部に清澄化された液体取出口と、その下部にスラッジ回収スペースを備えた分離板を備えた沈降室を備えており、その特徴とするところは、本装置が、液体中に不溶性の混合室内で液体より濃厚な粒状物質のための注入口と、凝集室内に撹拌装置と、及び粒状物質注入口が結合された取出口へのスラッジ/粒状物質分離局へ沈降室内で回収されたスラッジを取出すための出口を含んでいることである。
本発明は公知方法と関連して凝集スペース内のかなりの乱れを結びついた粒状物質の使用を特徴とすることが理解されよう。殆んどの沈降は分離板を含む沈降スペース内で生じ、これはまさしくより最近の方法が避けようと試みているところのものである。
注入粒状物質が、どの公知方法に比較しても沈降速度を向上させることができると考える理由が以前には存在しなかった。従って乱れは不利であると考えられていた。このためには再循環に先立ってそこから形成されるスラッジを分離するため外部再生回路を付加する必要があり、さらに砂は特定の場合、その望ましくない研磨特性が当業者をしてその利用を断念させていた。
さらに、反応室と沈降室との間に凝集室を後者に沈降を生じることなく備えることに何らかの利点があることは明らかでなかった。しかしながら、より最近の解決法はこの種の中間室をそこで沈降が生じないという明白な目的をもって備えている。
最後に最も重要な点は、中間室において粒状物質の粒子をとりまくコロイドの凝集によって形成される凝集体の成長を沈降なしに達成することは不可能であることが明らかである。沈降なしにこれらの凝集体を懸濁状態に保つためには、一見したところでは、砂の粒子上に物質を保持しておく、従って成長の現象を除外することとは相容れないように思われる撹拌が必要である。従って粒子物質の使用は一見したところでは、沈降なしの濃厚化室の構想を排除するように思われた。
しかしながら実験によれば、本発明は得られた液体の清澄化を危うくすることなしに公知速度(30?60さらには90m/h)より高い速度を達成することを可能にすることを示した。
補助的な方法では、本発明は粒状物質が撹拌された乱れの大きいスペース内でその試薬を含む未処理液体と混合されることを提案しており、これは、液体が反対方向に循環する仕切りによって分割された2つのスペース間に低い乱れの再循環が備えられた先行技術とは大きく異なっている。
粒状物質は砂であってもよい。さらに一般的には、天然又は人工材料という2大範疇のどちらかから選択されてもよい。従って求められる条件の下での液体の処理に役立たない化学的に不活性の材料であってもよい。この範疇で云えば、砂及びマイクロ砂に加えてガーネット、玄武岩、金属酸化物、とくに酸化鉄、軽石、等々でつくられてもよい。その物理的特性に加えて、材料は化学的及び/又は生物学的に活性であってもよく、その結果液体処理に役立つことができる。この範疇では、とくに活性炭、イオン交換樹脂、炭化カルシウム、ゼオライト、等々を挙げることができる。他の基準によれば、粒状物質はより有利にはできるかぎり低く負の表面電位あるいは正の表面電位をもつように選択されるであろう。
本発明方法の好ましい具体例では、そのいくつかが相互に結合されてもよい。
-混合スペースにおいては、中間凝集スペース内に維持されるよりはるかに大きな速度勾配が維持される。
-細砂の場合には、中間凝集スペース内では400?1,500s-1の速度勾配が達成される。
-細砂の場合には、混合スペース内に1,500?4,000s-1の速度勾配が達成される。
-細砂の場合、混合スペース内の速度勾配は好ましくは3,000?3,500s-1であり、凝集スペース内の速度勾配は好ましくは700?900s-1である。
本発明装置の好ましい具体例では、そのうち、いくつかを互いに結合してもよい。
-混合室及び中間凝集室は断面がほぼ四角形であり、各室の寸法と対応する撹拌装置の直径との間の比はおよそ0.5?0.8である。
-混合室の撹拌装置は、1?2m/sの周速をかい形羽根に伝えるモータによって縦軸に沿って回転するかい形車であり、中間凝集室の撹拌装置は、0.2?2.5m/sの周速をかい形羽根に伝えるモータによって縦軸に沿って回転するかい形車である。
-混合室からの液体の循環は、混合室と中間凝集室との間の第1分離壁と水平上縁を超えるあふれ出しによって、中間凝集室と側方室との間の第2分離壁の水平縁の下をもぐることによって、側方室と沈降室の長さに沿って走る側方分配路との間の分離仕切りの上縁を超えるあふれ出しによって、次に側方分配路と沈降室の間の分離壁の下縁の下をもぐることによって達成され、この下縁は側方室から離れた方向に上向きに傾斜し、これらの流れ方向はまた、適当な数の分離壁又は仕切りが流れを底部から沈降室へ入らせるために備えられることを条件にして、逆転されてもよい。
-中間凝集室は断面がほぼ四角形であり、第1壁の上縁と第2壁の下縁との間の垂直方向の距離は、中間凝集室の寸法の1?3及び好ましくは1?1.5倍であり、さらに撹拌装置は壁の上縁に比較してこの高さの0.5?0.9倍(好ましくは0.6?0.7倍)の深さに位置している。
-中間凝集室の撹拌装置は液体の流れにさからう方向に好ましくは駆動される軸流ねじである。
本発明の目的、特徴並びに利点は、添付図面を参照して非限定例として示した以下の説明から明らかとなるであろう。
第1図の装置は、凝集スペースA、沈降スペースB、スラッジ回収タンクC及びスラッジ/砂分離器Dを限定する一連の相互連結室を含む。
反応-凝集スペースAは混合室1を含み、ここで未処理液体内に含まれるコロイドは不安定化され、さらに中間凝集室2を含み、ここで不安定化されたコロイド化細砂の粒子のまわりに凝集する。混合室1内には、より有利にはすでに濃厚化された未処理液体を供給するパイプ3が通じ、パイプ4は付加フロキュレーションを供給し、パイプ5は分離器Dから細砂を供給する。
室1及び2はそれぞれの撹拌装置6及び7を含む。
沈降スペースBは分離板装置9を備えた室8を含む。室8の上部には、清澄化された液体を除去するためのパイプ10と結合する液体取出し手段が備えられ、さらに分離板装置の下側に収集されたスラッジを除去するための手段11もタンクCへスラッジを運ぶために備えられている。ポンプ手段13を備えたパイプ12は沈降室から分離器Dへ細砂を負ったスラッジを送る。後者は実際には液体サイクロンを含んでおり、その取出口からスラッジが砂を伴わずにパイプ14により排出され、そこから再生された細砂はパイプ5によって取出される。
第2図?第6図により詳しく図解された具体例では、第1図と同じ部分には同じ参照番号が付されており、室1及び2は断面が四角形で、その深さは(以下参照)それらの辺の寸法に等しいか又は僅かに大きめである。それらはコンクリートか鉄のタンクであってもよい。
混合室1の横側には供給室15があり、そこには多くの送りパイプが集結している。混合室1は仕切り16によって凝集室2から距てられ、仕切りはオーバーフローを形成する水平上縁16Aをもつ。
中間凝集室2の横側には下縁18Aに止まる壁18によって分離された側方室17がある。
側方室17は分配通路19と連通しており、そこから上縁20Aをもつ壁面20で分離されている。
側方分配通路19は沈降室8の側面に長さ方向に位置し、壁21によってそこから距てられ、その下縁21Aは室3から出発して傾斜し、この時、縁18Aの高さのほぼ近くから出発する。
室3の上部にはさまざまな分離板装置9が備えられ、板は第4図では右方へ上方へ傾斜し、流れを通路の方へ向かわせる方向へ傾いている。
分離板装置9の下側には、中間凝集室3の下側部分に位置するスラッジ収集器23と連結するみぞ22にスラッジを収集する手段11があり、これは壁面24によって室3から距てられている。
みぞは室3の底部と連結して、それ自体、重量で落下した残留物を回収する。図示しない変形例では、みぞは壁面24無しで室3のすぐ下にある。
沈降室8の底部はみぞ22のほうへ傾斜しており、収集手段11は例えばエンドレスねじを含む。
分離板装置の上には、排水パイプ10と連通する側方みぞ26につながる排出管25がある。縁16A及び18A(第2図参照)間の高さはより有利には四角形の室3の側方長さの1?1.2(この場合は1.2)であるのが有利であり、撹拌装置7はこの高さのおよそ0.75?0.90倍(この場合は0.8倍)の深さで縁16Aに対して位置決めされている。
撹拌装置7はかい形車のかたちをしており、室3の側辺のおよそ0.65?0.75倍(この場合はこの側辺の0.7倍)の直径をもつ。
撹拌装置7は、かいの先端の周速がおよそ1?2m/sであるような速度でこれを回転させるモータ27により駆動される。混合室1内の撹拌装置6は、かい(これもまた室1の側辺のおよそ0.7倍の直径をもつ)の先端が0.7?1.5m/sのオーダーの速度で動くような速度でこれを回転させるモータ28によって駆動される。
これらの撹拌装置は薄いかいを持つ。
撹拌装置7は例えば軸流らせん形であり、流れの方向に反対して駆動され、従って分離板装置9の下側の側方室のほうへ流れる液体中に細砂を懸濁させておくに充分な強い乱れを生じる。
作動においては、撹拌装置6は撹拌装置7より高い周速で駆動され、その結果、各室1及び2の内容物は活発に撹拌され、室2内より室1内でより強力な乱れを内部に生じる。
液体内に生じる変形を量子化するため、速度勾配Gとして推論すれば、室1内に与えられる速度勾配は室2に与えられるそれより大きい。
このパラメータは次の式によって限定されることを想起されたい。即ち、G=(P/μ・V)1/2
但し機能的撹拌機の混合はP=Np・ρ・N2D5であり、式中、
・Gは速度勾配(単位s-1)、
・Pは流体内で消失するエネルギー(単位W)、
・μは流速(単位kg/m.s)、
・Vは流体の容積(単位m3)、
・Npは撹拌機の力数(流体内の撹拌機羽根の抗力の非次元係数)、
・Pは単位体積当りの質量(単位kg/m3)、
・Nは撹拌羽根の回転速度(r.p.s.)、
・Dは撹拌かいの直径(単位m)
である。
このパラメータの妥当性は、「水と浄化技術(La Technique de l’Eau et de l’Assainissement)」誌第418号、1981年10月、21?32頁に掲載された「水質処理のさまざまな工程における動水勾配の決定(De’termihation des gradients hydrautiques dausles differentes phases du traitement des eaux)」と題する、コルネット(Cornet)による論文、及び、「水SA(Water SA)」誌第5巻第4号、1979年10月、196?207頁に掲載された「速度勾配実効値の意味と水質処理装置におけるその計算(The significance of the root wean square velocity gradient and its calculation in devices for water treatment)」と題する、ポラセック(Polasek)による論文において議論されている。
混合室1には、およそ1,000?1,500、及び4,000s-1(又はそれ以上)の(例えば3,000?3,500s-1のオーダで)速度勾配が与えられるのが望ましい。凝集室内には、例えば700?900s-1、オーダーでおよそ300?400及び1,500s-1(又はそれ以上)の速度勾配を与えることが望ましい。
これは混合室1内の処理時間のおよそ2.5?3.5倍に等しい室2内の処理時間に相当する。
本発明から得られる速度勾配は、通常のフロキュレーションで実施されている値(30s-1以下)よりはるかに高いことが認められよう。従って本発明によって提案さた凝集/凝集現象は、当業者が驚くであろうように公知のフロキュレーション現象とは異なる性質をもつ。
作動時には、第1高速撹拌室又はタンク1の底部に送り込まれた未処理液体は、室又はタンクに入るや否や、試薬、濃厚化剤、凝集剤及び細砂を受取る。タンク内の強力撹拌が生じさせた未処理液体の循環と結びついた一次乱れから出発して、非常に高いせん断係数をもつ二次乱流が液体内を運ばれる細砂によって生じる。このことは、凝固されるべきコロイド状粒子と水酸化物との間の有効接触数を、従ってこれもまた支持機能を果す細砂を介して直接接触によって増加する。およそ6分間維持された撹拌により処理された液体が次に第2タンク又は室2に移されると、不都合な堆積を生じることなし懸濁状態に保たれた細砂の作用で、処理すべき水の調和が完了する。この液体は等方性の強力乱流スペースを数回通過しなければならず(N回、但しNは撹拌によって生じる循環流速及び容量内で遷移状態で処理される液体の流速との間の比である)、放出されるべきコロイド状不純物と同じ寸法の非常に短かい「乱流長さ」への障壁を構成し、さらに細砂粒子上への橋かけ及び吸着によってまとめられる。
液体と懸濁状態の細砂の速度は、機械的撹拌室と沈降室との間の側方通路内を進むときのように、細砂作用が完了するまでは細砂の堆積が防がれるように設計されている。つまり細砂が板9の下のスペースに達するまでは、ということである。このスペースにおいては、細砂粒を背負っているため非常に重い粒状凝集物に濃厚化された不純物粒子は、それらを運ぶ液体に対して緩徐であり、従って60°の傾斜を示す板9上に沈降し、そこからスラッジみぞ22内にスライドする。板の上方へ集められた処理済みの液体は通例ではさらに下流側の処理へむけて排出され、みぞ内に堆積したスラッジを図示の例では逐次的に抽出される(他の場合には、スラッジは床に堆積され、連続して掻き取られ、単独ホッパに押込まれて除去される)。
次にスラッジは、適例ではサイクロンのバッテリを含むスラッジ/細砂分離装置に送られる。回収された細砂は濃厚化工程から出発するために戻される。
この場合、液体は混合室1内を上方へ循環し、次に凝集室2を下方へ、側方室を上方へ、そして通路を下方へ進む。分離板装置内では上方へ流れる。
壁21の下縁を限定する傾斜縁21Aは、さまざまな分離板装置9へのほぼ均一な分配を可能にすることが理解されよう。
本発明は、細砂を用いた公知方法に比較して、30?60m/h及びさらには90m/hの沈降速度が平常的に期待できる(レイノルズ数は200よりはるかに高い)から、非常に明らかな量的増大が得られることが証明された。
沈降装置の寸法は達成し得る沈降速度に直接左右されるから、本発明の経済的利益が容易に理解される。
100?150m3/hに規格されたパイロット装置についてのテスト結果を第1及び第2表に示す。これらは撹拌状態と達成された性能を示している。
細砂は40?100mの粒度をもち、処理すべき液体中に1?4g/Lの濃度に注入された。
第2表では、略号NTU、MES及びMOはそれぞれ、濁度計濁度単位、懸濁物質、組織材料を示す。
以上の説明は非限定例としてのみ示したものであって、当業者はこれらに対して本発明範囲を逸脱することなくさまざまな変化をもたらすことが可能であることは明らかである。


【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、粒剤として細砂を用いた本発明沈降装置の縦方向断面による概略図。
【図2】第2図は、細砂リサイクル回路を備えていない別の具体例を第3図のII-II線による縦方向断面で示した概略図。
【図3】第3図は、その平面図。
【図4】第4図は、第3図のIV-IV線による本発明装置の横断面図。
【図5】第5図は、第3図V-V線による本発明装置の横断面図。
【図6】第6図は、第3図のIV-IV線による本発明装置の横断面図である。
【符号の説明】
1 混合スペース
2 中間凝集スペース
5 粒剤注入口
7 撹拌装置
8 沈降スペース
10 清澄液取出口
D 分離ステーション
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2007-03-08 
結審通知日 2007-03-14 
審決日 2007-03-27 
出願番号 特願平1-45081
審決分類 P 1 41・ 856- Y (B01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 富永 正史  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 板橋 一隆
斉藤 信人
登録日 1997-04-25 
登録番号 特許第2634230号(P2634230)
発明の名称 細砂を用いて沈降により液体を処理するための方法及び装置  
代理人 坪倉 道明  
代理人 小野 誠  
代理人 大崎 勝真  
代理人 金山 賢教  
代理人 渡邉 千尋  
代理人 小野 誠  
代理人 金山 賢教  
代理人 大崎 勝真  
代理人 坪倉 道明  
代理人 川口 義雄  
代理人 渡邉 千尋  
代理人 川口 義雄  

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