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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1156033
審判番号 不服2006-27426  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-05 
確定日 2007-04-12 
事件の表示 特願2006-143811「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 2日出願公開、特開2006-300513〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成13年5月18日に出願された特許出願の一部を平成18年5月24日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成18年7月5日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認められる(以下、「本願発明」という。)。

「本体の吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、フィルタと、送風ファンとを設けるとともに、前記本体内に、前記送風ファンを駆動するモータと、前記フィルタ上のごみを除去するごみ除去手段を設けてなる壁掛け型空気調和機において、前記ごみ除去手段を、前記フィルタの風上側に設けられたごみ除去部と、吸引ファン部と、前記ごみ除去部と前記吸引ファン部とを連結する吸引ダクト部とで構成してなり、前記吸引ファン部を本体内の長手方向の一側に配置し、前記モータを他側に配置したことを特徴とする壁掛け型空気調和機。」

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用した特開平9-184656号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユニット本体内に送風機及び熱交換器を設置するとともに上記ユニット本体の室内に面する部分に空気吸込口を設け、この空気吸込口に連なる吸込流路にエアフィルタを設置してなる天井設置形空気調和機において、
上記エアフィルタに対応してそのフィルタ面に付着している塵埃を吸引して清掃する掃除機構を設置したことを特徴とする天井設置形空気調和機。」

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は天井に埋め込み又は天井に吊り下げることによって設置される天井設置形空気調和機に関する。」

・「【0021】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態が図1に示されている。図1(A) に示すように、エアフィルタFLの下面に近接して吸込口21が配置され、この吸込口21はフレキシブルダクト22を介してフィルタ23に接続され、このフィルタ23はダクト26を介してフアン24に接続され、これらによって掃除機構20が構成される。
【0022】フアン24はコントローラ25からの指令を受けて一定時間毎に自動的に作動し又はリモートスイッチの操作によって随時作動しうるようになっている。
【0023】しかして、フアン24が作動すると、エアフィルタFLのフィルタ面に付着している塵埃がその周囲の空気と一緒に吸込口21に吸込まれ、フレキシブルダクト22を経てフィルタ23に入り、ここで塵埃が空気から除去される。次いで、この空気はフアン24に付勢されて大気中に放出される。」

また、フィルタには、その風上側からごみが付着することから、ごみを吸引する吸込口をフィルタの風上側に設けることは、当業者にとって自明なことである。

したがって、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用例発明」という。)。

「本体の空気吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、エアフィルタと、送風機とを設けるとともに、前記本体内に、前記送風機を駆動するモータと、前記フィルタ上のごみを除去する掃除機構を設けてなる天井設置形空気調和機において、前記掃除機構を、前記フィルタの風上側に設けられた吸込口と、ファンと、前記吸込口と前記ファンとを連結するフレキシブルダクトとで構成してなる天井設置形空気調和機。」

3.対比

本願発明と引用例発明とを対比する。

引用例発明の「空気吸込口」は本願発明の「吸込口」に相当し、以下同様に、「エアフィルタ」は「フィルタ」に、「送風機」は「送風ファン」に、「掃除機構」は「ごみ除去手段」に、「吸込口」は「ごみ除去部」に、「ファン」は「吸引ファン部」に、また、「フレキシブルダクト」は「吸引ダクト部」に、それぞれ相当するから、

両者は、

「本体の吸込口と吹出口を結ぶ空気通路に、フィルタと、送風ファンとを設けるとともに、前記送風ファンを駆動するモータと、前記フィルタ上のごみを除去するごみ除去手段を設けてなる空気調和機において、前記ごみ除去手段を、前記フィルタの風上側に設けられたごみ除去部と、吸引ファン部と、前記ごみ除去部と前記吸引ファン部とを連結する吸引ダクト部とで構成してなる空気調和機。」

の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明では、空気調和機が壁掛け型であり、ごみ除去手段をその本体内に設け、吸引ファン部を本体内の長手方向の一側に配置し、送風ファンを駆動するモータを他側に配置したのに対して、引用例発明では、空気調和機が天井設置形であり、ごみ除去手段が本体内に設けられているのか否か不明であり、又、吸引ファン部と前記モータとの配置関係が不明である点。

4.上記相違点についての検討

天井設置形空気調和機と壁掛け型空気調和機とは、共に例示するまでもなく、従来周知の形式の空気調和機であって、単に、天井に設置するか、又は、壁に掛けるかという設置箇所が異なるだけであり、空気調和機としての基本的な構成は同じであること、また、空気調和機の付属品等は、本体内に設けた方が外観上好ましい等のことから、天井設置形空気調和機に設けたごみ除去手段を、壁掛け型空気調和機に適用し、その本体内に設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、壁掛け型空気調和機の長手方向の中央部は、空気流通路になっており、他の部材等を設置することは不適切であるから、天井設置形空気調和機に設けたごみ除去手段を壁掛け型空気調和機の本体内に設ける場合には、ごみ除去手段の吸引ファン部は、壁掛け型空気調和機の長手方向のいずれか一方の側に配置されることになる。

しかるに、壁掛け型空気調和機の送風ファンを駆動するモータは、長手方向の一方の側に配置されることが一般的であり、吸引ファン部をこのモータと同じ側に設けたとき、ダクトの配置等で不都合が生じる場合に、この吸引ファン部をモータとは反対側の一方の側に設けるようなことは、当業者が適宜なし得た設計事項といえる。

したがって、上記相違点に係る本願発明の構成は、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例の記載から当業者が予測できた範囲内のものである。

5.むすび

本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-31 
結審通知日 2007-02-06 
審決日 2007-02-27 
出願番号 特願2006-143811(P2006-143811)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田々井 正吾  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 長浜 義憲
間中 耕治
発明の名称 空気調和機  

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