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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65F
管理番号 1156834
審判番号 不服2006-4936  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-16 
確定日 2007-05-09 
事件の表示 特願2002-351791号「ゴミ袋の取付具」拒絶査定不服審判事件〔平成16年5月27日出願公開、特開2004-149318号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成14年10月28日の出願であって,平成18年2月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年3月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同年4月11日付けで手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成18年4月11日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「ゴミ袋収納部とその上方に配置した筒状のゴミ袋支持体とからなるゴミ袋の取付具において、ゴミ袋収納部の開口部に設けた開閉蓋の回転軸にバネを取り付け、かつ、ゴミ袋支持体を昇降可能に取り付けると共に、ゴミ袋支持体の上昇時におけるゴミ袋支持体の下端部とゴミ袋収納部との間隔を開閉蓋の奥行より大きくして、ゴミ袋支持体を上昇してゴミ袋収納部と離開させると上記開閉蓋が上記バネにより自動的に開くように構成するとともに、先に上昇したゴミ袋支持体を下降させると上記開閉蓋がストッパーとして機能し、ゴミ袋支持体の底部とゴミ袋収納部の開口部とは離開状態にて空間が形成維持されるように構成し、かつ、ゴミ袋支持体の側壁に上部開口縁から下部開口縁へ連続するスリットを設けたことを特徴とするゴミ袋取付具。」

3.引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された実願平2-406797号(実開平4-91901号)のマイクロフィルム(以下,「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。
(1)段落【0001】
「【産業上の利用分野】
本考案は,上部に蓋を取りつけたゴミ袋収納部とその上方に配置した筒状のゴミ袋支持体とからなるゴミ袋の取付具に関するものである。」
(2)段落【0006】
「【技術的手段の作用】
袋の支持体11と収納部2とは上下二段構成で,支持体が昇降可能に取り付けられているために,支持体11を上昇して両者を離開させると,袋収納部2の開口部に枢着された蓋3を開閉することができる。即ち,支持体を上昇させて蓋を開き,所要の袋を取り出した後蓋を閉じて支持体を下降させ,袋を支持体に装着する。
支持体を下降すると,開閉蓋3は支持体によってその移動が規制され,袋は開閉蓋を底にした状態で支持体に取り付けられる。」
(3)段落【0007】
「筒状に構成した支持体11の側壁に形成されるスリット15は,下部開口縁に連続させられているため,収納部2から袋を取り出した後,袋をスリット15に沿ってそのまま持ち上げることによって袋を支持体11の上部に導いて支持体の内側から外側へ反転させ,その状態で支持体を下降させることになる。」
(4)段落【0010】下段
「支持体11を上昇させ,蓋3を開けて点線の位置に来た段階で支持体11を下降させると,蓋3は,支持体11のストッパとして機能すると共に垂直状態で押圧力を受け蓋3が閉まることはない。従って,両手で袋の収納や取り出しを行うことができる。」
(5)上記記載事項(2)を踏まえれば,【図1】には,支持体11の上昇時における支持体11の下端部と収納部2との間隔を蓋3の奥行より大きくして,支持体11を上昇して収納部2と離開させると,袋収納部2の開口部に枢着された蓋3を開閉することができる点が,また,上記記載事項(3)を踏まえれば,支持体11の側壁に上部開口縁近傍から下部開口縁へ連続するスリット15が形成された点が,それぞれ図示されているといえる。
上記記載事項(1)ないし(4)及び図示事項(5)によれば,引用例には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ゴミ袋収納部とその上方に配置した筒状のゴミ袋支持体とからなるゴミ袋の取付具において,袋収納部2の開口部に蓋3を枢着し,かつ,支持体を昇降可能に取り付けるとともに,支持体11の上昇時における支持体11の下端部と収納部2との間隔を蓋3の奥行より大きくして,支持体11を上昇して収納部2と離開させると,袋収納部2の開口部に枢着された蓋3を開閉することができるとともに,支持体11を上昇させ,蓋3を開けて点線の位置に来た段階で支持体11を下降させると,蓋3は支持体11のストッパとして機能し,両手で袋の収納や取り出しを行うことができるよう垂直状態で押圧力を受け蓋3が閉まることはなく,かつ,支持体11の側壁に上部開口縁近傍から下部開口縁へ連続するスリット15が形成されたゴミ袋の取付具。」

(2)対比
本願発明と引用発明を対比するに,後者の「袋収納部2」は,その機能及び作用からみて,前者の「ゴミ袋収納部」に相当し,以下同様に,後者の「蓋3」は前者の「開閉蓋」に,後者の「支持体」は前者の「ゴミ袋支持体」に,後者の「ストッパ」は前者の「ストッパー」に,後者の「スリット15」は前者の「スリット」に,後者の「ゴミ袋の取付具」は前者の「ゴミ袋取付具」に,後者の「形成され」が前者の「設け」に,それぞれ相当する。
また,引用発明の「枢着し」とは,蓋3の一端部に回転軸を取り付け,当該蓋3が回転により開閉可能とすることを意味することから,引用発明の「袋収納部2の開口部に蓋3を枢着し」と本願発明の「ゴミ袋収納部の開口部に設けた開閉蓋の回転軸にバネを取り付け」とは,ゴミ袋収納部の開口部に設けた開閉蓋に回転軸を取り付けた点で共通する。
さらに,引用発明の「支持体11を上昇させ,蓋3を開けて点線の位置に来た段階で支持体11を下降させると」は,まず支持体11を上昇させた後に同支持体11を下降させることを意味することから,本願発明の「先に上昇したゴミ袋支持体を下降させると」に相当する。
そして,引用発明の「蓋3は支持体11のストッパとして機能し,両手で袋の収納や取り出しを行うことができるよう垂直状態で押圧力を受け蓋3が閉まることはなく」は,収納部2内へ袋を収納し,あるいは,そこから袋を取り出したりすることができるよう,ストッパで係止された支持体11の底部と当該収納部2の袋の収納・取り出しのための開口部との間を離開状態とし空間が形成維持されることを示すことは明らかであるから,引用発明の「両手で袋の収納や取り出しを行うことができるよう垂直状態で押圧力を受け蓋3が閉まることはなく」は,本願発明の「ゴミ袋支持体の底部とゴミ袋収納部の開口部とは離開状態にて空間が形成維持されるように構成し」に相当する。
してみれば,本願補正発明と引用発明とは,本願発明の用語を用いて表現すると,
「ゴミ袋収納部とその上方に配置した筒状のゴミ袋支持体とからなるゴミ袋の取付具において、ゴミ袋収納部の開口部に設けた開閉蓋に回転軸を取り付け、かつ、ゴミ袋支持体を昇降可能に取り付けると共に、ゴミ袋支持体の上昇時におけるゴミ袋支持体の下端部とゴミ袋収納部との間隔を開閉蓋の奥行より大きくして、ゴミ袋支持体を上昇してゴミ袋収納部と離開させるとともに,先に上昇したゴミ袋支持体を下降させると上記開閉蓋がストッパーとして機能し、ゴミ袋支持体の底部とゴミ袋収納部の開口部とは離開状態にて空間が形成維持されるように構成し、かつ、ゴミ袋支持体の側壁に下部開口縁へ連続するスリットを設けたことを特徴とするゴミ袋取付具。」
である点で一致し,次の点で相違する。

ア 相違点1
開閉蓋について,本願発明においては,「開閉蓋の回転軸にバネを取り付け」るとともに,「上記開閉蓋が上記バネにより自動的に開くように構成する」のに対して,引用発明においては,そうではない点。

イ 相違点2
ゴミ袋支持体の側壁に設けた下部開口縁へ連続するスリットについて,本願発明においては,「上部開口縁から」連続して設けているのに対して,引用発明においては,「上部開口縁近傍から」設けている点。

(3)判断
ア 相違点1について
開閉蓋において自動的に開放できるよう回転軸部にバネを設けることは周知技術である(特開平7-41024号公報,実願昭62-147777号(実開昭64-53055号)のマイクロフィルム,実願昭59-4530号(実開昭60-115857号)のマイクロフィルム等を参照)ので,引用発明の開閉蓋の回転軸にバネを取り付け,自動的に開くよう構成することことは,当業者が容易になし得ることである。

イ 相違点2について
引用発明の「スリット」を「上部開口縁近傍から」でなく「上部開口縁から」連続するように設けることは,上記記載事項(3)に摘記したように,当該スリットが袋を支持体11の上部,すなわち上部開口縁に導くためのものであることを踏まえれば,必要に応じて行うことのできる設計事項に過ぎない。
また,袋吊下具において,間隔を置いて設けた2本のアーチ(腕)により袋を支持することは周知技術である(特開平9-203409号公報,実願昭55-178103号(実開昭57-99806号)のマイクロフィルムを参照)ことからも,引用発明の支持体11を,スリットを上部開口縁から連続して設けることにより,間隔を置いて設けた2本のアーチ(腕)の形状とすることは,当業者が容易になし得ることであるといえる。

上記相違点1及び2によって,本願発明が奏する作用・効果も,引用発明及び上述の周知技術から予測される範囲のものであって,格別なものとは認められない。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び上述の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-26 
結審通知日 2007-03-06 
審決日 2007-03-19 
出願番号 特願2002-351791(P2002-351791)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武井 健浩  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 芦原 康裕
増沢 誠一
発明の名称 ゴミ袋の取付具  
代理人 中谷 武嗣  

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