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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1157157
異議申立番号 異議2002-71999  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2007-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-12 
確定日 2007-03-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3254758号「印刷システム」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3254758号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 理 由
1.手続の経緯
特許第3254758号は、平成4年10月19日に出願され、平成13年11月30日に設定登録され、その後、小湊勇次より特許異議の申立てがなされ、特許の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年1月7日に願書に添付した明細書又は図面の訂正が請求されたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正内容
本件訂正は、次の訂正事項aないしeを内容とするものである。

訂正事項a)
特許請求の範囲の請求項1の「前記印刷情報データを受信して前記印刷装置に転送する」を「前記印刷情報データを受信して該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送する」と訂正する。

訂正事項b)
特許請求の範囲の請求項1の「転送されてきた前記印刷情報データ」を「前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷情報データ」と訂正する。

訂正事項c)
特許請求の範囲の請求項2の「前記印刷情報データを受信して前記印刷装置に転送する」を「前記印刷情報データを受信して該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送する」と訂正する。

訂正事項d)
特許請求の範囲の請求項3の「転送されてきた前記印刷情報データ」を「前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷情報データ」と訂正する。

訂正事項e)
本件明細書の段落【0016】の「データ処理部5」、段落【0021】の「データ処理部1」、段落【0022】の「データ処理部5」、段落【0025】の「データ処理部5」を、「データ処理部23」、「データ処理部13」、「データ処理部23」、「データ処理部23」とそれぞれ訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項a)、c)は、「前記印刷情報データを受信して前記印刷装置に転送する」に、「該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で」という限定を付加するものであり、訂正事項b)、d)は、「転送されてきた前記印刷情報データ」に、「該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で」という限定を付加するものであるから、これらの訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的にするものであって、本件特許の願書に添付した明細書又は図面の段落【0003】に、「最近のコンピュータと通信の技術の進展に伴い、図7に示すようにコンピュータ31と印刷装置33?36の接続方式に関してもチャネル制御を採用したインタフェース41やLANを採用したインタフェース42、MODEMを採用したインタフェース43、他のコンピュータ32を介して構成されるインタフェース44のように様々な接続方式が提供されている。」と記載されており、これらの接続方式に対応した転送方式でデータが転送されることは技術常識であるから、これらの訂正事項は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

さらに、訂正事項e)は、段落【0016】、【0021】、【0022】、【0025】の「データ処理部」に付した符号を図面に付した符号と一致するように訂正するもので、明らかな誤記の訂正を目的とするものである。

したがって、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮や明らかな誤記の訂正を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
本件訂正が認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、本件訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】 ホストコンピュータと印刷装置から構成される印刷システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するホストコンピュータデータ処理部と、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータデータ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送するホストコンピュータインターフェース制御部と
を有し、
前記印刷装置は、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータインターフェース制御部から前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部と、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部と
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】 印刷装置と接続されるホストコンピュータであって、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するデータ処理部と、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記データ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送するインターフェース制御部と
を有することを特徴とするホストコンピュータ。
【請求項3】 ホストコンピュータと接続される印刷装置であって、
印刷装置とホストコンピュータの接続方式によって異なり、ホストコンピュータから前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを受信するインターフェース制御部と、
印刷装置とホストコンピュータの接続方式について共通であって、前記インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部と
を有することを特徴とする印刷装置。

(2)刊行物記載の発明
取消理由通知書で引用した特開昭63-185671号公報(異議申立人小湊勇次の提出した甲第1号証。以下、「刊行物1」という。)には、次の記載がある。

イ)第4頁左下欄第4行?同頁右下欄第17行
[実施例]
以下、本発明の一実施例を図を用いて説明する。なお、本実施例は、ワードプロセッサに適用した例であるが、パーソナルコンピュータ等にも適用することができる。
第3図は、本発明を実施するためのハードウェア構成の一例である。100と110はマイクロプロセッサである。100は文書の編集と印刷に携わるマイクロプロセッサであり以下メインCPUと呼ぶ。110は、メインCPUの指示に基づき、グラフィックメモリ111に文字や直線などを展開するプロセッサであり、以下サブCPUと呼ぶ。…(中略)…103と104はプリンタであり、第2図では、低速で安価なワイヤドットプリンタ103と高速なレーザプリンタ104の2種類のプリンタをサポートするシステムの例を示している。

ロ)第4頁右下欄第19行?第5頁右上欄第16行
第2図は、本発明の一実施例である印刷処理システムのソフトウェア構成を示している。201と202は、テキスト、図形、グラフなど各アプリケーションに依存する印刷プログラム群である。…(中略)…これら印刷プログラムは、対応する編集プログラムのデータから、後で説明するOS(オペレーティングシステム)が用意する印刷用コマンドを発生する。
203は印刷管理プログラムであり、印刷プログラムの実行順序等を制御する。204は印刷条件設定プログラムであり、印刷条件を入力して後、印刷管理プログラム203を起動する。以上の201?204の各プログラムは各々独立したタスクとしてOS205で制御される。
OS205は基本的なタスク制御や入出力制御などを行うカーネル部207と上述した印刷用コマンドからドットイメージを発生させるなどの印刷処理特有の機能を実現する印刷制御プログラム206に別れる。印刷制御プログラム206は、プログラム201?204に対して高度な印刷処理機能を提供する。印刷プログラム201?202は、それぞれ編集プログラムのデータからテキスト列描画、直線描画、円描画などの描画コマンドを発生する。該コマンドにより、印刷制御プログラムは所望の印刷用バッファに印刷用ドットイメージを展開する。
208はワイヤドットプリンタドライバであり、209はレーザプリンタドライバである。これらは各々ワイヤドットプリンタ103、レーザプリンタ104を制御する。レーザプリンタ104は、実際の印字を行うレーザプリンタエンジン211と、レーザプリンタエンジン211を制御し、ワードプロセッサ200と通信を行い、ワードプロセッサ200から転送された印刷データを、レーザプリンタエンジン211が印字できる形に変換するコントローラ部210からなる。

ハ)第6頁右上欄第7行?同頁左下欄第14行
第7図はレーザプリンタで印刷する場合の処理の流れが示してある。ただし印刷条件設定プログラム204は省略されている。この図に従って印刷処理の概略を説明し、その後のプログラム単位の詳細な処理を説明する。
印刷管理プログラム203は印刷条件設定プログラム204によって起動されると印刷制御ブロック601の606から文書管理データを読みだし、その内容に従って適当な印刷プログラム201を起動する。印刷プログラム201は印刷管理プログラム203から指示されたファイル名でデータファイル340を読みだし、印刷制御プログラム206に対して印刷コマンドをレーザプリンタ104に転送するファンクションを発行する。
印刷コマンドは第11図(a)の1100に示すようにコマンド1100aとパラメータ1100bからなる。たとえば直線の場合描画コマンドは、同図(b)の1101のように直線を示すコマンド1101aと始点x座標、始点y座標、終点x座標、終点y座標の四つのパラメータ1101bからなる。同図(c)の1102にはテキスト描画のコマンドが示されている。
印刷制御プログラム206は、レーザプリンタドライバ209を介してレーザプリンタ104のコントローラ部210に印刷コマンドを転送する。コントローラ部210は転送されてきた印刷コマンドに基づき、頁メモリ650に1頁の印刷イメージを展開する。頁メモリ650に展開された印刷イメージは、レーザプリンタエンジン211によって印刷される。

これらの記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載発明」という。)が記載されていると認められる。

ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等にも適用することができる、低速で安価なワイヤドットプリンタ103と高速なレーザプリンタ104の2種類のプリンタをサポートする印刷処理システムにおいて、
ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等は、
テキスト、図形、グラフなど各アプリケーションに依存し、対応する編集プログラムのデータから、OS(オペレーティングシステム)が用意する印刷用コマンドを発生し、印刷制御プログラム206に対して、コマンド1100aとパラメータ1100bからなる印刷コマンドをレーザプリンタ104に転送するファンクションを発行する印刷プログラム201と、
ワイヤドットプリンタ103を制御するワイヤドットプリンタドライバ208と、
レーザプリンタ104を制御するレーザプリンタドライバ209と、
基本的なタスク制御や入出力制御などを行うカーネル部207と、上述した印刷用コマンドからドットイメージを発生させるなどの印刷処理特有の機能を実現し、レーザプリンタドライバ209を介してレーザプリンタ104のコントローラ部210に印刷コマンドを転送する印刷制御プログラム206に別れるOS205と
を有し、
レーザプリンタ104は、
実際の印字を行うレーザプリンタエンジン211と、
ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等と通信を行い、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等から転送されてきた印刷コマンドに基づき、頁メモリ650に展開された1頁の印刷イメージをレーザプリンタエンジン211に転送し、レーザプリンタエンジン211が印刷するように制御するコントローラ部210と
を有する印刷処理システム。

また、取消理由通知書で引用した特開昭64-67354号公報(異議申立人小湊勇次の提出した甲第2号証。以下、「刊行物2」という。)には、次の記載がある。

イ)第3頁左上欄第10行?同頁右上欄第11行
[作用]
本発明では、第1図に示す如く、各種インタフェースから入力されたデータストリームを入力管理部10が共通のフォーマットに変換し、これを展開管理部20が所望の印刷パターンに展開する。出力管理部30は、展開された印刷パターンを各種印刷機構部に対応させて出力する。
各管理部10、20、30はシリアルかつ変換可能に接続され、データを所望の印刷パターンに展開する展開管理部20と入力管理部10/出力管理部30との間の内部インタフェースを規定しておき、外部のインタフェースや印刷機構部が変更されても、入力管理部10又は出力管理部30のみを変換するだけで対応する。これは、各管理部10、20、30がそれぞれ専用のプロセッサ11、21、31及びファームウェア12、22、32を備えていることにより、各部が独立できることと、メインプロセッサが全面管理する場合のようにデータを往復させるのでなく、分割管理でデータをシリアルに流すことにより、切離し可能になるのである。

ロ)第3頁右上欄第12行?同欄第18行
[実施例]
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
第2図は、本発明を実施した印刷装置の制御部の一例を示す構成図である。図において、制御部は入力管理部10と展開管理部20と出力管理部30とから成る。

ハ)第3頁左下欄第18行?同頁右下欄第20行
入力管理部10のバスにはホストインタフェースへのチャネルコントローラ6が連結され、出力管理部30のバスには印刷機構部へのプリンタコントローラ8が接続されている。
入力管理部10は、各種のインタフェース、例えばセントロニクス、RS-232C、IBMチャネルなどから入力されるデータストリームを本実施例の装置内に共通するフォーマットに書き直すもので、データは第1のデータメモリ13へ格納し、命令などは第1のデュアルポートメモリ14へ格納する。コマンド体系も各種のインタフェースによって異なっているので、共通の体系に変換する必要がある。変換の照合はコントロールストレージ12に格納されたテーブルにより、相手のインタフェースが変更されると当然コントロールストレージ12も変換されるが、プロセッサ11は、例えばパソコン用のように小規模の場合は汎用でもよく、制御部の規模が大きい場合はプログラムが膨大かつ複雑になり過ぎるので各種のインタフェース毎に変換するものとする。いずれにせよ第1のデータメモリ13及び第1のデュアルポートメモリ14の内容は、必ず同一のフォーマットで格納されることになる。

これらの記載によれば、刊行物2には、次の発明(以下、「刊行物2記載発明」という。)が記載されていると認められる。

印刷装置の制御部は、
ホストインタフェースへのチャネルコントローラ6が連結され、セントロニクス、RS-232C、IBMチャネルなどの各種インタフェースから入力されるデータストリームを共通のフォーマットに変換する入力管理部10と、
所望の印刷パターンに展開する展開管理部20と、
展開された印刷パターンを各種印刷機構部に対応させて出力する出力管理部30と有し、
展開管理部20と入力管理部10との間の内部インタフェースを規定しておき、外部のインタフェースが変更されても、入力管理部10のみを変換するだけで対応する印刷装置の制御部。

また、取消理由通知書で引用した特開平1-140328号公報(異議申立人小湊勇次の提出した甲第3号証。以下、「刊行物3」という。)には、次の記載がある。

イ)第1頁右下欄第5行?第2頁左上欄12行
[従来の技術]
第5図は従来の計算機システムを示すブロック接続図であり、図において、1は処理結果を印字コードとして出力する計算機、2は計算機1からの印字コードにより印字を行う印字装置である。
また、第6図は印字装置2の内部構成を示すブロック接続図であり、3は計算機1よりセントロニクスまたはRS-232Cのどちらか一方のインターフェイスにて印字コードを受信する印字コード受信部、4は受信した印字コードを格納する印字コード格納部、5は印字コード格納部4に格納したコードをどのように印字するかを制御する印字コード処理部、6は印字コード処理部5で処理した内容を印字する印字部である。
次に動作について説明する。計算機1により計算処理された出力の内容は印字装置2に入力され、この印字装置2にて印字を行う。この時の計算機1と印字装置2のインターフェイスはセントロニクスかRS-232Cのどちらか一方によるインターフェイスである。印字装置2の内部ではセントロニクスまたはRS-232Cどちらか一方のインターフェイス仕様により、印字コード受信部3にて印字コードが受信される。そしてこの印字コードは一時印字コード格納部4にてバッファされ、印字コード処理部5にて印字コードを1つずつ処理し、印字可能な状態にする。これにより印字部6では印字を行い、計算機1の出力結果を表示する。

ロ)第2頁左下欄第7行?同欄第18行
[実施例]
以下、この発明の一実施例を図において説明する。第1図において、9はセントロニクスとRS-232Cの各インターフェイスを持ち、印字コードを出力する計算機、10はセントロニクスとRS-232Cの各インターフェイスを持つ印字装置である。また、この印字装置10において、11はセントロニクスインターフェイスによる印字コード受信部、12はRS-232Cインターフェイスによる印字コード受信部、4?6は従来の印字装置と同様の回路で、それぞれ印字コード格納部、印字コード処理部、印字部である。

ハ)第2頁右下欄第3行?第3頁右上欄第18行
次に動作について説明する。まず、印字装置10のインターフェイス接続部7、8を利用して計算機9と印字装置10とを第1図に示すように接続する。いま、計算機9からセントロニクス及びRS-232Cの各インターフェイスにて印字コードが出力されると、印字装置10はそれぞれのインターフェイスにて印字コードを受信する。すなわち、セントロニクスインターフェイスの印字コードはセントロニクスインターフェイス印字コード受信部11で、RS-232Cインターフェイスの印字コードはRS-232Cインターフェイス印字コード受信部12にてそれぞれ受信される。このようにして受信された印字コードは印字コード格納部4に格納されるが、セントロニクスとRS-232Cの各インターフェイスでの印字コードが混在しないようにするために、先に印字コードを受信したインターフェイス印字コード受信部11または12では他のインターフェイス印字コード受信部12または11に受信中であることを告げ、それを受けたインターフェイス印字コード受信部12または11が計算機9に対しビジーであることを告げて、印字コードの送信を待つようにする。それにより、セントロニクスインターフェイスとRS-232Cインターフェイスの印字コードを混在しないように制御している。…(中略)…そして、この印字コード格納部4、印字コード処理部5、印字部6では、上記従来の印字装置2と同様の印字コードの処理を実行し、印字するように動作する。

ニ)第3頁左下欄第7行?同欄第16行
〔発明の効果〕
以上のように、この発明によれば、セントロニクスとRS-232Cの各インターフェイスに対応できるセントロニクスインターフェイス印字コード受信部およびRS-232Cインターフェイス印字コード受信部を計算機に接続できるように構成したので、印字装置の各インターフェイスに対する流用性が高くなり、新たなハードウェアの追加の必要なく、ローコストにて印字コードの印字出力を実現できるものが得られる効果がある。

これらの記載によれば、刊行物3には、次の発明(以下、「刊行物3記載発明」という。)が記載されていると認められる。

計算機9は、セントロニクス及びRS-232Cの各インターフェイスを有し、
印字装置2は、
計算機9から出力されるセントロニクスインターフェイスの印字コードを受信するセントロニクスインターフェイス印字コード受信部11と、RS-232Cインターフェイスの印字コードを受信するRS-232Cインターフェイス印字コード受信部12と、
セントロニクスとRS-232Cのどちら一方のインターフェイス仕様により受信した印字コードを格納する印字コード格納部4と、
印字コード格納部4に格納したコードをどのように印字するかを制御する印字コード処理部5と、
印字コード処理部5で処理した内容を印字する印字部6とを有し、
新たなハードウェアの追加の必要なく、セントロニクスとRS-232Cの各インターフェイスに対応できる計算機システム。

(3)本件発明1についての対比・判断
(3?1)対比
本件発明1と刊行物1記載発明とを対比すると、刊行物1記載発明の「ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等にも適用することができる、低速で安価なワイヤドットプリンタ103と高速なレーザプリンタ104の2種類のプリンタをサポートする印刷処理システム」、「コマンド1100aとパラメータ1100bからなる印刷コマンド」、「OS205」、「レーザプリンタドライバ209」は、それぞれ、本件発明1の「ホストコンピュータと印刷装置から構成される印刷システム」、「印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データ」、「ホストコンピュータデータ処理部」、「ホストコンピュータインターフェース制御部」に相当している。
また、刊行物1記載発明の「コントローラ部210」は、ワードプロセッサ200から転送されてきた印刷コマンドに基づき、頁メモリ650に展開された1頁の印刷イメージをレーザプリンタエンジン211に転送し、レーザプリンタエンジン211が印刷するように制御するから、「前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部」と「前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部」とを兼ねたものである。
さらに、刊行物1記載発明において、レーザプリンタドライバ209を介してレーザプリンタ104のコントローラ部210に印刷コマンドを転送しているから、レーザプリンタドライバ209とコントローラ部210との間に何らかの転送方式があって、その転送方式がワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等と、高速なレーザプリンタ104との間の接続方式に対応していることは技術常識である。

したがって、本件発明1と刊行物1記載発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
ホストコンピュータと印刷装置から構成される印刷システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、
印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するホストコンピュータデータ処理部と、
前記ホストコンピュータデータ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して該印刷情報データをホストコンピュータと印刷装置の接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送するホストコンピュータインターフェース制御部とを有し、
前記印刷装置は、
前記ホストコンピュータインターフェース制御部から前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷情報データを受信し、受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷システムである点。

相違点:
本件発明1では、印刷装置は、印刷装置インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有し、ホストコンピュータデータ処理部と印刷装置データ処理部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるのに対して、
刊行物1記載発明では、印刷装置が印刷装置インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有していることや、ホストコンピュータデータ処理部、印刷装置データ処理部、ホストコンピュータインターフェース制御部、印刷装置インターフェース制御部のうち、どれが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通で、どれが異なるのかが明らかでない点。

(3-2)判断
刊行物2記載発明の「ホストインタフェース」、刊行物3記載発明の計算機9の有する「セントロニクス及びRS-232Cの各インターフェース」は、本件発明1の「ホストコンピュータインターフェース制御部」に相当し、
刊行物2記載発明の「セントロニクス、RS-232C、IBMチャネルなどの各種インタフェースから入力されるデータストリームを共通のフォーマットに変換する入力管理部10」、刊行物3記載発明の「セントロニクスインターフェイス印字コード受信部11とRS-232Cインターフェース印字コード受信部12」は、本件発明1の「印刷装置インターフェース制御部」に相当し、
刊行物2記載発明の「所望の印刷パターンに展開する展開管理部20」、刊行物3記載発明の「印字コード処理部5」は、本件発明1の「印刷装置データ処理部」に相当している。
また、刊行物2記載発明は、展開管理部20と入力管理部10との間の内部インタフェースを規定しておき、外部のインタフェースが変更されても、展開管理部20は共通で入力管理部10のみを変換するだけで対応するから、本件の特許請求の範囲で用いている用語で表現すると、印刷装置データ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることで、外部のインタフェースが変更されても、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部を切り換えるだけで対応できると認められる。
さらに、刊行物3記載発明も、新たなハードウェアの追加の必要なく、計算機9の有するセントロニクスとRS-232Cの各インタフェースに「印字コード処理部5」が共通に対応できるから、本件の特許請求の範囲で用いている用語で表現すると、印刷装置データ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることで、外部のインタフェースが変更されても、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部を切り換えるだけで対応できると認められる。
これらの刊行物2記載発明や刊行物3記載発明等を参照すれば、次のような技術が周知であることは明らかである。

印刷装置インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有する印刷装置において、印刷装置データ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることで、外部のインタフェースが変更されても、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部を切り換えるだけで対応できる技術。

そうすると、刊行物1記載発明において、「印刷装置インターフェース制御部」と「印刷装置データ処理部」とを兼ねていた「コントローラ部210」を、上記周知技術のように、「印刷装置インターフェース制御部」と「印刷装置データ処理部」とに分離し、さらに、外部のインタフェースが変更されても、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部を切り換えるだけで対応するために、印刷装置データ処理部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
そして、刊行物1記載発明において、OS205は、ワイヤドットプリンタドライバ208とレーザプリンタドライバ209を介して、低速で安価なワイヤドットプリンタ103と高速なレーザプリンタ104の2種類のプリンタを制御している、つまり、印刷装置が異なる場合について、OS205をそのまま使えるから、刊行物1記載発明のOS205(本件発明1の「ホストコンピュータデータ処理部」に相当)を、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式が異なる場合についても、そのまま使えるように、つまりホストコンピュータと印刷装置の接続方式についても共通にすることは、当業者が容易になし得ることである。

したがって、本件発明1は、刊行物1記載発明ないし刊行物3記載発明に基づいて当業者が容易になし得るものである。

(4)本件発明2についての対比・判断
(4-1)対比
本件発明2と刊行物1記載発明とを対比すると、刊行物1記載発明の「ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等」、「コマンド1100aとパラメータ1100bからなる印刷コマンド」、「OS205」、「レーザプリンタドライバ209」は、それぞれ、本件発明2の「ホストコンピュータ」、「印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データ」、「データ処理部」、「インターフェース制御部」に相当している。
また、刊行物1記載発明において、レーザプリンタドライバ209を介してレーザプリンタ104のコントローラ部210に印刷コマンドを転送しているから、レーザプリンタドライバ209とコントローラ部210との間に何らかの転送方式があって、その転送方式がワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等と、高速なレーザプリンタ104との間の接続方式に対応していることは技術常識である。

したがって、本件発明2と刊行物1記載発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
印刷装置と接続されるホストコンピュータであって、
印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するデータ処理部と、
前記データ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して該印刷情報データをデータホストコンピュータと印刷装置の接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷装置に転送するインターフェース制御部と
を有するホストコンピュータである点。

相違点:
本件発明2では、コンピュータデータ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、インターフェース制御部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるのに対して、
刊行物1記載発明では、データ処理部、インターフェース制御部のうち、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式についてどちらが共通で、どちらが異なるのかが明らかでない点。

(4-2)判断
上記「(3-2)判断」の項で検討したように、印刷装置インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有する印刷装置において、印刷装置データ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることで、外部のインタフェースが変更されても、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部を切り換えるだけで対応できる技術は周知である。
そうすると、刊行物1記載発明において、外部のインタフェースが変更されても、インターフェース制御部を切り換えるだけで対応するために、上記周知技術のように、インターフェース制御部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
そして、上記「(3-2)判断」の項で検討したように、刊行物1記載発明において、ホストコンピュータデータ処理部は、印刷装置が異なる場合について、そのまま使えるから、刊行物1記載発明のホストコンピュータデータ処理部を、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式が異なる場合についても、そのまま使えるように、つまりホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通にすることは、当業者が容易になし得ることである。

したがって、本件発明2は、刊行物1記載発明ないし刊行物3記載発明に基づいて当業者が容易になし得るものである。

(5)本件発明3についての対比・判断
(5-1)対比
本件発明3と刊行物1記載発明とを対比すると、刊行物1記載発明の「高速なレーザプリンタ104」、「コマンド1100aとパラメータ1100bからなる印刷コマンド」は、それぞれ、本件発明3の「ホストコンピュータと接続される印刷装置」、「印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データ」に相当している。
また、刊行物1記載発明の「コントローラ部210」は、ワードプロセッサ200から転送されてきた印刷コマンドに基づき、頁メモリ650に展開された1頁の印刷イメージをレーザプリンタエンジン211に転送し、レーザプリンタエンジン211が印刷するように制御するから、「前記印刷情報データを受信するインターフェース制御部」と「前記インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部」とを兼ねたものである。
さらに、刊行物1記載発明において、レーザプリンタドライバ209を介してレーザプリンタ104のコントローラ部210に印刷コマンドを転送しているから、レーザプリンタドライバ209とコントローラ部210との間に何らかの転送方式があって、その転送方式がワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等と、高速なレーザプリンタ104との間の接続方式に対応していることは技術常識である。

したがって、本件発明3と刊行物1記載発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
ホストコンピュータと接続される印刷装置であって、
ホストコンピュータから印刷装置とホストコンピュータの接続方式に対応した転送方式で転送されてきた印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを受信し、受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置である点。

相違点:
本件発明3は、インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有し、印刷装置データ処理部が、印刷装置とホストコンピュータの接続方式について共通であって、インターフェース制御部が、印刷装置とホストコンピュータの接続方式によって異なるのに対して、
刊行物1記載発明では、インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有しており、印刷装置データ処理部、インターフェース制御部のうち、印刷装置とホストコンピュータの接続方式についてどちらが共通で、どちらが異なるのかが明らかでない点。

(5-2)判断
上記「(3-2)判断」の項で検討したように、印刷装置インターフェース制御部と印刷装置データ処理部とを有する印刷装置において、印刷装置データ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部とが、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なるようにすることで、外部のインタフェースが変更されても、ホストコンピュータインターフェース制御部と印刷装置インターフェース制御部を切り換えるだけで対応できる技術は周知である。
そうすると、刊行物1記載発明において、「インターフェース制御部」と「印刷装置データ処理部」とを兼ねていた「コントローラ部210」を、上記周知技術のように、「印刷装置インターフェース制御部」と「印刷装置データ処理部」とに分離し、さらに、外部のインタフェースが変更されても、インターフェース制御部を切り換えるだけで対応するために、上記周知技術のように、印刷装置データ処理部が、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、インターフェース制御部が、印刷装置とホストコンピュータの接続方式によって異なるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。

したがって、本件発明3は、刊行物1記載発明ないし刊行物3記載発明に基づいて当業者が容易になし得るものである。

(6)むすび
以上のとおりであるから、本件発明1ないし本件発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明1ないし本件発明3についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
印刷システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ホストコンピュータと印刷装置から構成される印刷システムにおいて、
前記ホストコンピュータは、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するホストコンピュータデータ処理部と、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータデータ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送するホストコンピュータインターフェース制御部と
を有し、
前記印刷装置は、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータインターフェース制御部から前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部と、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部と
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】印刷装置と接続されるホストコンピュータであって、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するデータ処理部と、
ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記データ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して該印刷情報データを前記接続方式に対応した転送方式で前記印刷装置に転送するインターフェース制御部と
を有することを特徴とするホストコンピュータ。
【請求項3】ホストコンピュータと接続される印刷装置であって、
印刷装置とホストコンピュータの接続方式によって異なり、ホストコンピュータから前記接続方式に対応した転送方式で転送されてきた印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを受信するインターフェース制御部と、
印刷装置とホストコンピュータの接続方式について共通であって、前記インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部と
を有することを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、印刷データを生成するホストコンピュータとこれに接続される印刷装置から構成される印刷システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7はホストコンピュータとプリンタとの接続方式の多様性を説明するための図、図8は従来の印刷システムの構成例を示す図、図9は印刷装置との接続方式が異なる場合におけるホストコンピュータの書き出しプログラムの構成例を説明するための図である。
【0003】
最近のコンピュータと通信の技術の進展に伴い、図7に示すようにコンピュータ31と印刷装置33?36の接続方式に関してもチャネル制御を採用したインタフェース41やLANを採用したインタフェース42、MODEMを採用したインタフェース43、他のコンピュータ32を介して構成されるインタフェース44のように様々な接続方式が提供されている。ここでホストコンピュータ31で生成された印刷データは、勿論どの印刷装置33?36にも出力可能であるように構成されているが、それぞれの印刷装置33?36との接続方式が異なると、印刷装置33?36の制御方式も異なる。そのため、ホストコンピュータ31には、図8に示すように各接続方式に対応した書き出しプログラム(ライタ)51?54が必要である。また、印刷装置33?36においても各接続方式に対応した印刷処理プログラムが必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の印刷システムでは、書き出しプログラム、印刷処理プログラムが各接続方式ごとに個別に提供されていたため以下のような2つの問題があった。
【0005】
1つは、図9(a)に示すように印刷制御情報をロードして印刷データを出力するというように、ある印刷装置に出力するために生成された印刷データを別の印刷装置に出力したい場合、当該別の印刷装置との接続方式に適合したデータ形式に印刷データを変換する必要があり、これを行うために図9(b)に示すような印刷制御情報をもとに印刷データを再構築して印刷データを出力するというように、ホストコンピュータに多大な負荷がかかることである。
【0006】
もう1つは、印刷制御方式が接続方式によって異なり、機能も異なるため、同一の印刷資源を使って同一の印刷データを出力した場合でも、図8に示すように各印刷装置33?36からの出力結果Q1?Q4が全く同一のものとして得られるとは限らない。すなわち互換出力が保証できないことである。
【0007】
本発明は、前記した従来技術の欠点を除去し、ホストコンピュータの負担を軽減しかつ容易にどの接続方式の印刷装置に対しても印刷の互換出力を保証できる印刷システムを提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、ホストコンピュータと印刷装置から構成される印刷システムにおいて、前記ホストコンピュータは、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するホストコンピュータデータ処理部と、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータデータ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して前記印刷装置に転送するホストコンピュータインターフェース制御部とを有し、前記印刷装置は、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータインターフェース制御部から転送されてきた前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部と、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部とを有することを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の印刷システムでは、ホストコンピュータは、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するホストコンピュータデータ処理部と、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータデータ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して前記印刷装置に転送するホストコンピュータインターフェース制御部とを有し、印刷装置は、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータインターフェース制御部から転送されてきた前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部と、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部とを有するので、ホストコンピュータに多大な負荷をかけることなく様々な方式で接続された印刷装置に互換出力することが可能となる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る印刷システムの1実施例を示す図、図2は本発明に係る印刷システムで使用される印刷情報データの例を示す図である。
【0011】
図1において、ホストコンピュータでは、アプリケーションプログラム1で印刷データが作成されると、指定された印刷制御パラメータと共に印刷データがスプールファイル2の待ち行列に登録される。書き出しプログラム3は、スプールファイル2の待ち行列に登録された印刷データと印刷制御パラメータを読み込むと、印刷制御パラメータから印刷制御用データを展開して図2に示すように印刷データと指定された印刷制御用データをひとかたまりの印刷情報データとして構成し、データ転送の形でI/F制御回路4に出力する。
【0012】
印刷情報データは、図2に示すように印刷制御データインデックス、長さ、印刷制御データからなる複数の印刷制御用データとそれに続く印刷データがひとかたまりで構成されたものである。
【0013】
印刷装置では、データ受信プログラム6でI/F制御回路5を通して図2に示すような印刷情報データを受信すると、このひとかたまりになった印刷情報データを印刷制御データと印刷データに分離して処理して印刷制御部7に送る。
【0014】
図3はホストコンピュータの書き出しプログラムの構成例を示す図、図4は印刷装置のデータ受信プログラムの構成例を示す図、図5は書き出しプログラムのデータ処理部による処理の流れを説明するための図、図6はデータ受信プログラムのデータ処理部による処理の流れを説明するための図である。
【0015】
ホストコンピュータ上の書き出しプログラムは、図3に示すようにデータ処理部13とI/F制御部14に分かれ、データ処理部13でスプールファイル11から印刷制御パラメータと印刷データを読み込むと、印刷制御パラメータの場合にはその印刷制御パラメータに基づきパラメータライブラリ12から印刷制御データインデックス、印刷制御データ、長さ等を読み込んでバッファにセットし、I/F制御部14にWRITEする。このようにデータ処理部13は、全接続方式について共通で印刷データと指定された印刷制御用データをひとかたまりの印刷情報データに構成してデータ転送の形で出力し、I/F制御部3は、ホストコンピュータ上の書き出しプログラムにおいて各接続方式によって異なるがデータ処理部14とは共通なインターフェースを有するものである。したがって、データ処理部13とI/F制御部14とのインタフェースは、すべてPUTやWRITEあるいはSENDのような標準的なコマンドにより行われ、印刷データと印刷制御用データがひとかたまりになった印刷情報データがI/F制御部14からI/F制御回路15へ出力される。
【0016】
印刷装置のデータ受信プログラムは、図4に示すようにI/F制御部22とデータ処理部23に分かれ、I/F制御部22は、各接続方式によって異なるがデータ処理部23とは共通なインタフェースを有するものであり、データ処理部23は、全接続方式に対し共通で、図2に示すような印刷データと印刷制御用データがひとかたまりになった印刷情報データを処理するものである。I/F制御部22は、I/F制御回路21を通してホストコンピュータとのインタフェースをとりながら図2に示す印刷情報データを受信しデータ処理部23に渡す。I/F制御部22とデータ処理部23とのインタフェースは、接続方式よらずデータ受信割り込みとGET,READ,あるいはRECIEVEのような標準的なコマンドにより行われる。従って同一機種でI/F制御部22とI/F制御回路21のみを切り替えればどのような接続方式にも対応可能となる。
【0017】
次に書き出しプログラムのデータ処理部及びデータ受信プログラムのデータ処理部による処理の流れを図5、図6を用いて説明する。
【0018】
書き出しプログラムのデータ処理部13では、図5のフローチャートに示すようにまず、スプールファイルをオープンすると(ステップS1)、印刷制御パラメータを検出し、印刷制御データインデックス、印刷制御データ、印刷制御データの長さをそれぞれバッファにセットしてバッファの内容をI/F制御部にWRITEする(ステップS2?S6)。
【0019】
制御データがなくなるまでステップS2に戻って同様の処理を繰り返し行い、全ての制御データの処理が終わると(ステップS7)、印刷データインデックスをバッファにセットした後、印刷データをバッファにセットしてその内容をI/F制御部にWRITEする(ステップS8?S10)。
【0020】
印刷データがなくなるまでステップS9に戻って同様の処理を繰り返し行い、全ての印刷データの処理が終わると(ステップS11)、スプールファイルをクローズして(ステップS12)、処理を終了する。
【0021】
このように書き出しプログラムのデータ処理部13では、アプリケーションプログラムの出力した印刷データと指定された印刷制御情報をもとに、印刷情報データを構成しながらI/F制御部14にWRITE命令を出すことにより印刷情報データを出力する。なおデータ処理プログラムはすべての接続方式において共通である。
【0022】
また、データ受信プログラムのデータ処理部23では、図6に示すようにデータを受信すると(ステップS21)、データをREADして図2で示した印刷情報データのデータ種別インデックスをサーチし制御データか否かを判断する(ステップS22?24)。
【0023】
制御データの場合には、該当制御データ処理プログラムをコールする(ステップS25)。さらに制御データがあれば、次の制御データをREADしてステップS25に戻って同様の処理を繰り返し行い(ステップS26?S27)、現制御データの処理が終わればステップS22に戻る(ステップS26)。
【0024】
ステップS24の判断処理で制御データでない場合には、受信した印字データをフォーマッティングし、そのデータを印字制御部に出力する(ステップS28?S29)。さらに印字データがあれば、次の印字データをREADしてステップS28に戻って同様の処理を繰り返し行い(ステップS30?S31)、印字データが終わりであれば処理を終了する(ステップS30)。
【0025】
このようにデータ受信プログラムのデータ処理部23では、データの種別を認識しながら該当する処理を行い印字制御部を駆動する。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施例では、書き出しプログラムが図2に示す印刷情報データを生成しながらI/F制御回路に出力したが、アプリケーションプログラムの出力側に印刷情報データの生成し登録する印刷情報データ登録手段を設け、この印刷情報データ登録手段を使って、アプリケーションプログラムの出力する印刷データと指定された印刷制御データをもとに図2に示す印刷情報データを生成し、これを一旦スプールファイルの印刷待ち行列に登録するように構成することにより、従来の書き出しプログラムをそのまま使用して互換出力することも可能である。この場合、印刷データと印刷制御データを単に合成するだけなので従来のように印刷データを再構成するのと比較して、ホストコンピュータの負担を軽減することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ホストコンピュータは、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、印刷制御用データと印刷データからなる印刷情報データを生成して出力するホストコンピュータデータ処理部と、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータデータ処理部から出力された前記印刷情報データを受信して前記印刷装置に転送するホストコンピュータインターフェース制御部とを有し、印刷装置は、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式によって異なり、前記ホストコンピュータインターフェース制御部から転送されてきた前記印刷情報データを受信する印刷装置インターフェース制御部と、ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通であって、前記印刷装置インターフェース制御部が受信した前記印刷情報データに基づき印刷制御を行う印刷装置データ処理部とを有するので、ホストコンピュータに多大な負荷をかけることなく様々な方式で接続された印刷装置に互換出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る印刷システムの1実施例を示す図である。
【図2】
本発明に係る印刷システムで使用される印刷情報データの例を示す図である。
【図3】
ホストコンピュータの書き出しプログラムの構成例を示す図である。
【図4】
印刷装置のデータ受信プログラムの構成例を示す図である。
【図5】
書き出しプログラムのデータ処理部による処理の流れを説明するための図である。
【図6】
データ受信プログラムのデータ処理部による処理の流れを説明するための図である。
【図7】
ホストコンピュータとプリンタとの接続方式の多様性を説明するための図である。
【図8】
従来の印刷システムの構成例を示す図である。
【図9】
印刷装置との接続方式が異なる場合におけるホストコンピュータの書き出しプログラムの構成例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…アプリケーションプログラム、2…スプールファイル、3…書き出しプログラム、4…I/F制御回路、5…I/F制御回路、6…データ受信プログラム、7…印刷制御部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-09-14 
出願番号 特願平4-279994
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G06F)
最終処分 取消  
特許庁審判長 大日方 和幸
特許庁審判官 治田 義孝
山崎 慎一
登録日 2001-11-30 
登録番号 特許第3254758号(P3254758)
権利者 富士ゼロックス株式会社
発明の名称 印刷システム  
代理人 木村 高久  
代理人 木村 高久  

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