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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65F |
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管理番号 | 1157905 |
審判番号 | 不服2004-12793 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-22 |
確定日 | 2007-05-16 |
事件の表示 | 特願2002-240073「袋保持具」拒絶査定不服審判事件〔平成16年3月11日出願公開,特開2004-75352号〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は,平成14年8月21日の出願であって,平成16年1月13日付けで特許請求の範囲等を補正する手続補正がなされた後に平成16年5月12日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成16年6月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けで特許請求の範囲等を補正する手続補正がなされたものである。 II.平成16年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年6月22日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正後の本願の請求項1に係る発明 本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項4は請求項1とされ, 「袋を開口状態で保持する袋保持具であって,嵌合凹部を有する断面コの字形状の第1の環状枠体と,該嵌合凹部に適嵌する嵌合凸部を有する断面長方形状の第2の環状枠体とからなり,該第2の環状枠体の縦巾は該第1の環状枠体の嵌合凹部の深さより大きく設定されており,該第1の環状枠体および/または第2の環状枠体には該袋に入れられる内容物の種類を識別する標識が付されており,袋開口部周縁を該第1の環状枠体の嵌合凹部と第2の環状枠体の嵌合凸部とで挟持することによって,袋を開口状態で該一対の環状枠体によって保持することを特徴とする袋保持具。」(下線は補正箇所を示す。) と補正された。 本件補正は,本件補正前の請求項4に記載された発明を特定するために必要な事項である「袋保持具」について「袋を開口状態で保持する」との限定を付加するものであって,特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2.引用刊行物記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-309402号公報(以下,「引用刊行物」という。)には,図1?図18と共に,次の事項が記載されている。 a.「【請求項1】 ゴミ袋を入口が開いた状態に装着する枠機構と, 前記ゴミ袋の入口を上方に向けるとともに卓の下側に部分的を潜り込ませた状態で前記枠機構を卓の縁に固定する固定手段とを具備することを特徴とする卓用ゴミ袋取付装置。 ・・・ 【請求項5】 前記枠機構は枠状の下枠部材と前記下枠部材に沿って上方より噛み合う枠状の上枠部材とを備え,前記下枠部材と前記上枠部材の噛み合い部分の形状は噛み合った状態で分離しないように付勢される関係を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の卓用ゴミ袋取付装置。 ・・・」(【特許請求の範囲】) b.「図1乃至図4に示すように,本実施形態の卓用ゴミ袋取付装置1は,略U字の枠状をした下枠部材2と,前記下枠部材2に沿って噛み合う略U字の枠状をした上枠部材3とを備えている。下枠部材2の上枠部材3との噛み合い部分は凸状の凸部2aとなっており,上枠部材3の下枠部材2との噛み合い部分は凹状の凹部3aとなっている。下枠部材2,上枠部材3は,凸部2a,凹部3aの間に後述するゴミ袋11の入口の周縁部分を介在して噛み合うことによってゴミ袋11(後述)を入口が開いた状態に装着する枠機構を構成する。」(段落【0024】) c.「図13に示すように,本実施形態の卓用ゴミ袋取付装置41は,上記第一実施形態の卓用ゴミ袋取付装置1において,U字状の下枠部材2の両端を同じ断面形状のまま繋いでループ状にするとともに,同様に,U字状の上枠部材3の両端を同じ断面形状のまま繋いでループ状にしたものである。下枠部材2,上枠部材3は閉じた枠状になっても凸部2aと凹部3aとが互いに噛み合う。しかも,下枠部材2,上枠部材3は,いずれも閉じた枠状になることにより変形しにくくなるとともに,ループ全領域において噛み合うことができる。」(段落【0041】) 上記記載事項を総合すると,上記引用刊行物には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「ゴミ袋11を入口が開いた状態に装着する卓用ゴミ袋取付装置1であって,下枠部材2と噛み合う凹部3aを有するループ状の上枠部材3と,上枠部材3と噛み合う凸部2aを有するループ状の下枠部材2とからなり,下枠部材2,上枠部材3は,凸部2a,凹部3aの間にゴミ袋11の入口の周縁部分を介在して噛み合うことによってゴミ袋11を入口が開いた状態に装着する卓用ゴミ袋取付装置1。」 3.対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると,後者における「ゴミ袋11を入口が開いた状態に装着する卓用ゴミ袋取付装置1」はその構成・機能からみて前者における「袋を開口状態で保持する袋保持具」に相当し,同様に,「下枠部材2,上枠部材3は,凸部2a,凹部3aの間にゴミ袋11の入口の周縁部分を介在して噛み合うことによってゴミ袋11を入口が開いた状態に装着する」ことは「袋開口部周縁を該第1の環状枠体の嵌合凹部と第2の環状枠体の嵌合凸部とで挟持することによって,袋を開口状態で該一対の環状枠体によって保持すること」に相当する。 また,後者における「下枠部材2と噛み合う凹部3aを有するループ状の上枠部材3」と前者における「嵌合凹部を有する断面コの字形状の第1の環状枠体」とは,「嵌合凹部を有する第1の環状枠体」という概念で共通し,同様に「上枠部材3と噛み合う凸部2aを有するループ状の下枠部材2」と「該嵌合凹部に適嵌する嵌合凸部を有する断面長方形状の第2の環状枠体」とは「該嵌合凹部に適嵌する嵌合凸部を有する第2の環状枠体」という概念で共通する。 してみれば,両者は, 「袋を開口状態で保持する袋保持具であって,嵌合凹部を有する第1の環状枠体と,該嵌合凹部に適嵌する嵌合凸部を有する第2の環状枠体とからなり,袋開口部周縁を該第1の環状枠体の嵌合凹部と第2の環状枠体の嵌合凸部とで挟持することによって,袋を開口状態で該一対の環状枠体によって保持する袋保持具。」 である点で一致し,次の点で相違する。 相違点1:本願補正発明では,第1の環状枠体は断面コの字形状で,第2の環状枠体は断面長方形状であって,第2の環状枠体の縦巾は第1の環状枠体の嵌合凹部の深さより大きく設定されているのに対して,引用発明ではそのようになっていない点。 相違点2:本願補正発明では,第1の環状枠体および/または第2の環状枠体には袋に入れられる内容物の種類を識別する標識が付されているのに対して,引用発明ではそのようになっていない点。 4.当審の判断 (1)相違点1について 引用発明においては,ゴミ袋11は,上枠部材3の凹部と下枠部材2の凸部との噛み合いで挟持されるが,互いに噛み合う凹部,凸部の形状を適宜選定することは,袋体の保持力等を勘案することにより,当業者が適宜採用し得る程度の事項にすぎない。 また,引用発明において,挟持された袋体を取り外すため,上枠部材3の凹部と下枠部材2の凸部との噛み合いを解除する際は,上枠部材3と下枠部材2との間隙を広げることにより行うものと解され,その際の操作性を勘案し,上枠部材3の凹部の縦巾と下枠部材の凸部との差を適宜選定することもまた,当業者が発明を具体化する上で適宜採用し得る程度の事項にすぎない。 しかも,袋取付装置において,嵌合凹部を断面コの字形状,嵌合凸部を断面長方形状とし,断面長方形状の縦巾を嵌合凹部の深さより大きくすることは,例えば,実願昭62-164645号(実開平1-70703号)のマイクロフィルムに記載されているように周知技術である。 以上を総合すれば,引用発明に上記の周知技術を適用して,相違点1に係る本願補正発明の事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点2について ゴミ袋取付装置において,袋に入れられる内容物の種類を識別する標識を付し,ゴミの分別を容易にすることは,例えば,実願平5-40474号(実開平7-8308号)のCD-ROM,特開2001-97503号公報,特開2002-167005号公報に記載されているように周知技術である。引用発明においてもゴミの分別を容易にした方がよいことは明らかであるから,引用発明に上記の周知技術を適用して,相違点2に係る本願補正発明の事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 そして,本願補正発明の奏する効果も,引用発明及び周知技術から当業者が予測できた程度のものに過ぎない。 したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.むすび よって,本件補正は,特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり,特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 III.本願発明について 平成16年6月22日付けの手続補正は上記II.のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成16年1月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「嵌合凹部を有する断面コの字形状の第1の環状枠体と,該嵌合凹部に適嵌する嵌合凸部を有する断面長方形状の第2の環状枠体とからなり,該第2の環状枠体の縦巾は該第1の環状枠体の嵌合凹部の深さより大きく設定されており,袋開口部周縁を該第1の環状枠体の嵌合凹部と第2の環状枠体の嵌合凸部とで挟持することによって,袋を開口状態で該一対の環状枠体によって保持することを特徴とする袋保持具。」 1.引用刊行物記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は,前記「II.2.引用刊行物記載事項」に記載したとおりである。 2.対比・当審の判断 本願発明は,前記「II.平成16年6月22日付けの手続補正についての補正却下の決定」で検討した本願補正発明から「袋保持具」についての限定である「袋を開口状態で保持する」との事項を省き,「該第1の環状枠体および/または第2の環状枠体には該袋に入れられる内容物の種類を識別する標識が付されており」との事項も省いたものである。 そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「II.4.当審の判断」に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 IV.むすび したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-28 |
結審通知日 | 2007-03-06 |
審決日 | 2007-03-22 |
出願番号 | 特願2002-240073(P2002-240073) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65F)
P 1 8・ 575- Z (B65F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 武井 健浩、金丸 治之 |
特許庁審判長 |
石原 正博 |
特許庁審判官 |
山本 信平 和泉 等 |
発明の名称 | 袋保持具 |
代理人 | 宇佐見 忠男 |