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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1158118 |
審判番号 | 不服2004-9354 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-06 |
確定日 | 2007-05-23 |
事件の表示 | 特願2000-531940「データテレフォニーネットワークと専用接続テレフォニーネットワークの間の電話ネットワーク用インタフェースブリッジ」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 8月19日国際公開、WO99/41890、平成14年 2月 5日国内公表、特表2002-503921〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、1999年2月10日(パリ条約による優先権主張1998年2月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成16年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年5月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年6月4日付けで手続補正がなされたものである。 2 平成16年6月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年6月4日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 接続指向/交換テレフォニーネットワークすなわちCOSTネットワーク上で、COST呼を受信および発信する中継線ポートおよび関連する回路と、 データネットワーク上で、データネットワークテレフォニー呼すなわちDNT呼を、受信および発信するデータネットワークポートおよび関連する回路と、 呼を表すデータを、DNT呼とCOST呼の間で動的に変換する変換回路と、 テレフォニー用ブリッジユニットの動作を管理するように構成された制御ルーチンとを含むコンピュータ化されたテレフォニー用ブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COSTネットワークおよびDNTネットワークの1つから第1の呼を受信し、受信した呼に関連付けられた呼を、当該呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で発信し、前記関連付けられた複数の呼の間でデータを動的に変換するように構成されるブリッジユニット。 【請求項2】 前記データネットワークが、インターネットであり、前記DNT呼が、インターネットプロトコルネットワークテレフォニー呼すなわちIPNT呼である請求項1に記載のブリッジユニット。 【請求項3】 COST電話番号をIPアドレスに関連付けるディジタル記憶された参照テーブルをさらに含むブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COST呼かDNT呼のいずれかの着信呼から特定のデータを取り出し、前記取り出したデータを使用して、前記参照テーブルにアクセスして、関連付けられたCOST電話番号またはIPアドレスを決定し、前記関連付けられたCOST電話番号またはIPアドレスを使用して、前記着信呼に関連付けられた呼を発信するように構成される請求項1に記載のブリッジユニット。 【請求項4】 前記着信呼からの特定のデータが、前記着信呼に関連付けられたIPアドレスの一部分で符号化される請求項3に記載のブリッジユニット。 【請求項5】 符号ルーチンが、発呼者からのDNT呼を受信し、前記着信DNT呼に関連付けられたCOST呼を発信するのに使用するCOST電話番号を確認するために、前記発呼者と交渉するように構成される請求項1に記載のブリッジユニット。 【請求項6】 対話式音声応答(IVR)ユニットをさらに含むブリッジユニットであって、前記対話式音声応答(IVR)ユニットが、前記着信DNT呼に関連付けるべき呼のCOST電話番号を確認するために、前記発呼者と交渉する請求項5に記載のブリッジユニット。 【請求項7】 接続指向/交換テレフォニー呼すなわちCOST呼とデータネットワークテレフォニー呼すなわちDNT呼との間で、テレフォニー呼を変換する方法であって、 (a)COSTネットワーク上で、COST呼を受信および発信するために、COST中継線を、コンピュータ化されたテレフォニーブリッジユニット内にある中継線ポートおよび関連する回路に接続するステップと、 (b)データネットワーク上で、DNT呼を受信および発信するために、データネットワーク回線を、同じくコンピュータ化されたテレフォニーブリッジユニット内にあるデータネットワークポートおよび関連する回路に接続するステップと、 (c)前記COSTネットワークおよび前記データネットワークの1つから第1の呼を受信するステップと、 (d)前記第1の呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で、前記第1の呼に関連付けられた第2の呼を発信するステップと、 (e)前記2つの関連付けられた呼の間でデータを動的に変換し、それにより、前記COSTネットワークに接続されたCOST電話と前記DNTネットワークに接続されたDNT端末との間に連続的かつ動的なテレフォニー接続を提供するステップとを含む方法。 【請求項8】 前記ステップ(e)における動的な変換が、COSTネットワークとインターネットとの間で行われる請求項7に記載の方法。 【請求項9】 1つのネットワーク上の着信呼から特定のデータを取り出すステップと、 ディジタル記憶された参照テーブルにアクセスして、前記着信呼が受信されたネットワーク以外のネットワーク上のCOST電話番号またはIPアドレスを前記参照テーブルから取り出すために、前記取り出したデータを使用するステップと、 前記取り出した電話番号またはIPアドレスを使用して、呼を発信するステップであって、前記発信する呼が、前記着信呼に関連付けられるステップとをさらに含む請求項7に記載の方法。 【請求項10】 特定のデータを取り出すステップで、前記特定のデータが、前記着信呼のIPアドレスの一部から取り出される請求項9に記載の方法。 【請求項11】 発呼者からDNT呼を受信するステップと、前記着信DNT呼に関連付けられた呼を発信するためのCOST電話番号を確認するために、前記発呼者と交渉するステップとをさらに含む請求項7に記載の方法。 【請求項12】 前記発呼者と交渉するステップが、前記コンピュータ化されたテレフォニーブリッジユニット内の対話式音声応答ユニットによって行われる請求項11に記載の方法。 【請求項13】 第1のネットワークとの互換性を有するプロトコルに従ってデータを生成する回路を含み、前記第1のネットワーク上で、呼を受信および発信する第1のポートおよび関連する回路と、 第2のネットワークとの互換性を有するプロトコルに従ってデータを生成する回路を含み、前記第2のネットワーク上で、呼を受信および発信する第2のポートおよび関連する回路と、 第1のネットワークプロトコルと第2のネットワークプロトコルの間で、データを動的に変換する変換回路と、 テレフォニー用ブリッジユニットの動作を管理するように構成された制御ルーチンとを含むコンピュータ化されたテレフォニー用ブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、前記第1または第2のネットワークのいずれかから第1の呼を受信し、受信した呼に関連付けられた呼を、前記呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で発信し、前記関連付けられた複数の呼の間でデータを動的に変換するように構成されるブリッジユニット。 【請求項14】 前記第1のネットワークプロトコルが、接続指向/交換テレフォニーネットワークすなわちCOSTネットワークであり、前記第2のネットワークプロトコルが、コンピュータシミュレートされた呼を処理することのできるデータネットワークテレフォニーネットワークすなわちDNTネットワークである請求項13に記載のブリッジユニット。 【請求項15】 前記第1のネットワークが、公衆交換電話網(PSTN)であり、前記第2のネットワークが、インターネットである請求項14に記載のブリッジユニット。 【請求項16】 前記第1のネットワークプロトコルが、第1のDNTネットワークのプロトコルであり、前記第2のネットワークプロトコルが、第2のDNTネットワークのプロトコルであり、前記2つのDNTネットワークが、互換性のないデータプロトコルを有する請求項13に記載のブリッジユニット。 【請求項17】 前記第1のネットワークプロトコルが、第1の接続指向テレフォニーネットワークのプロトコルであり、前記第2のネットワークプロトコルが、第2の接続指向テレフォニーネットワークのプロトコルであり、前記2つの接続指向ネットワークが、互換性のないデータプロトコルを有する請求項13に記載のブリッジユニット。」は、 補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 接続指向/交換テレフォニーネットワークすなわちCOSTネットワーク上で、COST呼を受信および発信する中継線ポートおよび関連する回路と、 インターネット上で、インターネットプロトコールテレフォニーネットワーク呼すなわちIPNT呼を、受信および発信するデータネットワークポートおよび関連する回路と、 呼を表すデータを、IPNT呼とCOST呼の間で動的に変換する変換回路と、 テレフォニー用ブリッジユニットの動作を管理するように構成された制御ルーチンとを含むコンピュータ化されたテレフォニー用ブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COSTネットワークおよびインターネットネットワークの1つから第1の呼を受信し、受信した呼に関連付けられた呼を、当該呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で発信し、前記関連付けられた複数の呼の間でデータを動的に変換するように構成され、このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる、ブリッジユニット。 【請求項2】 COST電話番号をIPアドレスに関連付けるディジタル記憶された参照テーブルをさらに含むブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COST呼かIPNT呼のいずれかの着信呼から特定のデータを取り出し、前記取り出したデータを使用して、前記参照テーブルにアクセスして、関連付けられたCOST電話番号またはIPアドレスを決定し、前記関連付けられたCOST電話番号またはIPアドレスを使用して、前記着信呼に関連付けられた呼を発信するように構成される請求項1に記載のブリッジユニット。 【請求項3】 前記着信呼からの特定のデータが、前記着信呼に関連付けられたIPアドレスの一部分で符号化される請求項2に記載のブリッジユニット。 【請求項4】 符号ルーチンが、発呼者からのIPNT呼を受信し、前記着信IPNT呼に関連付けられたCOST呼を発信するのに使用するCOST電話番号を確認するために、前記発呼者と交渉するように構成される請求項1に記載のブリッジユニット。 【請求項5】 対話式音声応答(IVR)ユニットをさらに含むブリッジユニットであって、前記対話式音声応答(IVR)ユニットが、前記着信IPNT呼に関連付けるべき呼のCOST電話番号を確認するために、前記発呼者と交渉する請求項4に記載のブリッジユニット。 【請求項6】 接続指向/交換テレフォニー呼すなわちCOST呼とインターネットプロトコールテレフォニーネットワーク呼すなわちIPNT呼との間で、テレフォニー呼を変換する方法であって、 (a)COSTネットワーク上で、COST呼を受信および発信するために、COST中継線を、コンピュータ化されたテレフォニーブリッジユニット内にある中継線ポートおよび関連する回路に接続するステップと、 (b)インターネット上で、IPNT呼を受信および発信するために、インターネット回線を、同じくコンピュータ化されたテレフォニーブリッジユニット内にあるデータネットワークポートおよび関連する回路に接続するステップと、 (c)前記COSTネットワークおよび前記インターネットの1つから第1の呼を受信するステップと、 (d)前記第1の呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で、前記第1の呼に関連付けられた第2の呼を発信するステップと、 (e)前記2つの関連付けられた呼の間でデータを動的に変換し、それにより、前記COSTネットワークに接続されたCOST電話のユーザと前記インターネットに接続されたIPNT端末のユーザとの間でライブの会話を可能にする連続的かつ動的なテレフォニー接続を提供するステップとを含む方法。 【請求項7】 1つのネットワーク上の着信呼から特定のデータを取り出すステップと、 ディジタル記憶された参照テーブルにアクセスして、前記着信呼が受信されたネットワーク以外のネットワーク上のCOST電話番号またはIPアドレスを前記参照テーブルから取り出すために、前記取り出したデータを使用するステップと、 前記取り出した電話番号またはIPアドレスを使用して、呼を発信するステップであって、前記発信する呼が、前記着信呼に関連付けられるステップとをさらに含む請求項6に記載の方法。 【請求項8】 特定のデータを取り出すステップで、前記特定のデータが、前記着信呼のIPアドレスの一部から取り出される請求項7に記載の方法。 【請求項9】 発呼者からIPNT呼を受信するステップと、前記着信IPNT呼に関連付けられた呼を発信するためのCOST電話番号を確認するために、前記発呼者と交渉するステップとをさらに含む請求項6に記載の方法。 【請求項10】 前記発呼者と交渉するステップが、前記コンピュータ化されたテレフォニーブリッジユニット内の対話式音声応答ユニットによって行われる請求項9に記載の方法。 【請求項11】 接続指向/交換テレフォニーネットワークすなわちCOSTネットワークとの互換性を有するプロトコルに従ってデータを生成する回路を含み、COSTネットワーク上で、呼を受信および発信する第1のポートおよび関連する回路と、 インターネットとの互換性を有するプロトコルに従ってデータを生成する回路を含み、IPNT呼が処理され得るインターネットネットワーク上で、呼を受信および発信する第2のポートおよび関連する回路と、 COSTネットワークプロトコルとIPNTネットワークプロトコルの間で、データを動的に変換する変換回路と、 テレフォニー用ブリッジユニットの動作を管理するように構成された制御ルーチンとを含むコンピュータ化されたテレフォニー用ブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COSTネットワークまたはインターネットのいずれかから第1の呼を受信し、受信した呼に関連付けられた呼を、前記呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で発信し、前記関連付けられた複数の呼の間でデータを動的に変換するように構成され、このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる、ブリッジユニット。」と補正された。 上記補正は、 イ)補正前の請求項1、7、13、14、16、17を削除した。 ロ)補正前の請求項2の「構成される」を「、このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる、」として、補正後の請求項1とした。 ハ)補正前の請求項3の「DNT呼」を「IPNT呼」として、補正後の請求項2とした。 ニ)補正前の請求項4の「請求項3」を「請求項2」として、補正後の請求項3とした。 ホ)補正前の請求項5の「DNT呼」を「IPNT呼」とし、「前記着信DNT呼」を「前記着信IPNT呼」として、補正後の請求項4とした。 ヘ)補正前の請求項6の「前記着信DNT呼」を「前記着信IPNT呼」とし、「請求項5」を「請求項4」として、補正後の請求項5とした。 ト)補正前の請求項8の「(e)前記2つの関連付けられた呼の間でデータを動的に変換し、それにより、前記COSTネットワークに接続されたCOST電話と前記DNTネットワークに接続されたDNT端末との間に連続的かつ動的なテレフォニー接続を提供するステップ」を「(e)前記2つの関連付けられた呼の間でデータを動的に変換し、それにより、前記COSTネットワークに接続されたCOST電話のユーザと前記インターネットに接続されたIPNT端末のユーザとの間でライブの会話を可能にする連続的かつ動的なテレフォニー接続を提供するステップ」として、補正後の請求項6とした。 チ)補正前の請求項9の「請求項7」を「請求項6」として、補正後の請求項7とした。 リ)補正前の請求項10の「請求項9」を「請求項7」として、補正後の請求項8とした。 ヌ)補正前の請求項11の「DNT呼」を「IPNT呼」とし、「前記着信DNT呼」を「前記着信IPNT呼」とし、「請求項7」を「請求項6」として、て、補正後の請求項9とした。 ル)補正前の請求項12の「請求項11」を「請求項9」として、補正後の請求項10とした。 ヲ)補正前の請求項15の「構成される」を「、このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる、」として、補正後の請求項11とした。 上記イ)は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的とし、上記ロ)は、請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「ブリッジユニット」について、「このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とし、上記ハ)は、「DNT呼」を下位概念である「IPNT呼」とするものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とし、上記ニ)は、「請求項3」を「請求項2」という引用形式請求項の単なる変更であり、上記ホ)は、「DNT呼」を下位概念である「IPNT呼」とし、「前記着信DNT呼」を下位概念である「前記着信IPNT呼」とするものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とし、上記ヘ)は、「前記着信DNT呼」を下位概念である「前記着信IPNT呼」とし、「請求項5」を「請求項4」という引用形式請求項の単なる変更であり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記ト)は、請求項8に記載した発明を特定するために必要な事項である「提供するステップ」について、「前記COSTネットワークに接続されたCOST電話のユーザと前記インターネットに接続されたIPNT端末のユーザとの間でライブの会話を可能にする連続的かつ動的なテレフォニー接続を提供する」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とし、上記チ)は、「請求項7」を「請求項6」という引用形式請求項の単なる変更であり、上記リ)は、「請求項9」を「請求項7」という引用形式請求項の単なる変更であり、上記ヌ)は、「DNT呼」を下位概念である「IPNT呼」とし、「前記着信DNT呼」を下位概念である「前記着信IPNT呼」とし、「請求項7」を「請求項6」という引用形式請求項の単なる変更であり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記ル)は、「請求項11」を「請求項9」という引用形式請求項の単なる変更であり、上記ヲ)は、請求項15に記載した発明を特定するために必要な事項である「ブリッジユニット」について、「このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用刊行物に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-170288号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、次の事項がそれぞれ記載されている。 記載事項1 「【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、パケット交換網に接続された通信端末を利用する利用者が入力した音声通信の相手通信アドレスが回線交換網の通信アドレス(電話番号)である場合には、その通信端末と前記通信サーバとの間で通信制御を行って通信端末と通信サーバとの接続を確立し、通信サーバは、回線交換網に接続された電話機との間で通信制御を行って通信サーバと電話機とを通話状態とし、これにより通信サーバを介して前記通信端末と前記電話機との通話ができるようになる。以後は、電話機から送信される音声情報を受信しパケットに編集して通信端末に送信し、通信端末から送信されるパケットを受信し該パケット内の音声情報を電話機に送信するようにして、通話を行う。 【0011】パケット交換網に接続された通信端末を利用する利用者が入力した音声通信の相手通信アドレスがパケット交換網に接続された他の通信端末のアドレスである場合は、当然に、当該通信アドレスを持つ通信端末に対して通信制御を行って通話を行う。 【0012】また、回線交換網に接続された電話機からパケット交換網に接続された通信端末に通話要求を出すときは、予めパケット交換網に接続された通信端末のそれぞれに固有の内線番号を割当てておき、電話機から通信サーバの電話番号が入力されたとき、電話機と通信サーバとの間で通信制御を行って電話機と通信サーバとを通話状態とし、電話機からは入力された内線番号を通信サーバに送信するようにする。通信サーバは、電話機から送信された内線番号から通信端末アドレスを求め、接続すべき通信端末を決定し、その通信端末に向けて音声通信要求を送信して、該通信端末との間の接続を確立する。これにより通信サーバを介して前記電話機と前記通信端末との通話ができるようになる。以後は、電話機から送信される音声情報を受信しパケットに編集して通信端末に送信し、通信端末から送信されるパケットを受信し該パケット内の音声情報を電話機に送信するようにして、通話を行う。」(4頁6欄46行?5頁7欄32行) 記載事項2 「【0026】図1に、本発明の一実施例に係る音声通信システムの全体構成を示す。10-1,10-2は通信を行う通信端末、1は通信端末10-1,10-2が接続されているLAN(Local Area Network)、2は電話機、3は電話機2が接続されている公衆網、20は公衆網3とLAN1とに同時に接続する通信サーバを示す。」(6頁10欄10?16行) 記載事項3 「【0028】図2に、図1の通信端末10の構成を示す。通信端末10は、音声入力装置11、音声符号化装置12、メモリ13、LAN通信制御部14、音声復号化装置15、音声出力装置16、プロセッサ17、および蓄積装置18を備えている。LAN通信制御部14は、LAN1に接続されている。音声符号化装置12、音声復号化装置15、LAN通信制御部14、メモリ13、蓄積装置18、およびプロセッサ17は、内部バス19を介して相互に接続されている。 【0029】音声入力装置11は、音声情報を入力するためのものである。入力された音声情報は、音声符号化装置12により符号化される。音声符号化装置12から出力された符号化音声情報はメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、LAN通信制御部14に入力される。そして、LAN通信制御部14が、その符号化音声情報をLAN1を介して受信側通信端末へ送信する。 【0030】一方、送信側通信端末からLAN1を介して送信されてきた符号化音声情報は、LAN通信制御部14からメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、音声復号化装置15へ入力される。音声復号化装置15は、入力された符号化音声情報を復号化する。復号化された音声情報は、音声出力装置16へ入力する。これにより、受信した音声が出力される。 【0031】通信端末10における音声通信制御処理は、蓄積装置18に記憶した音声通信制御処理情報に基づき、プロセッサ17が所定のプログラムを実行することにより行われる。通信端末10における音声通信制御処理については、後に詳述する。」(6頁10欄22?49行) 記載事項4 「【0049】図6に、図1の通信サーバ20の構成を示す。通信サーバ20は、音声符号化装置12、メモリ13、LAN通信制御部14、音声復号化装置15、プロセッサ17、蓄積装置18、および公衆網通信制御部21を備えている。LAN通信制御部14はLAN1に接続され、公衆網通信制御部21は公衆網3に接続されている。音声符号化装置12、音声復号化装置15、公衆網通信制御部21、LAN通信制御部14、メモリ13、蓄積装置18、およびプロセッサ17は、内部バス19を介して接続されている。 【0050】公衆網3を介して電話機から送信されてきた音声情報は、公衆網通信制御部21を介して音声符号化装置12に入力される。音声符号化装置12は、入力された音声情報を符号化して出力する。音声符号化装置12から出力された符号化音声情報はメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、LAN通信制御部14に入力される。LAN通信制御部14は、入力された符号化音声情報をLAN1を介して通信端末へ送信する。 【0051】一方、通信端末からLAN1を介して送信されてきた符号化音声情報は、LAN通信制御部14からメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、音声復号化装置15へ入力される。音声復号化装置15は、入力された符号化音声情報を復号化する。復号化された音声情報は、公衆網通信制御部21へ入力する。公衆網通信制御部21は、公衆網3を介して電話機へ音声を送信する。 【0052】通信サーバ20における音声通信制御処理は、蓄積装置18に記憶した音声通信制御処理情報に基づき、プロセッサ17が所定のプログラムを実行することにより行われる。通信サーバ20における音声通信制御処理については、後に詳述する。」(8頁13欄27行?14欄7行) (3)対比 本願補正発明1と引用刊行物1に記載された発明を対比すると、両者は、 「接続指向/交換テレフォニーネットワークすなわちCOSTネットワーク上で、COST呼を受信および発信する中継線ポートおよび関連する回路と、 (ネットワーク)上で、ネットワーク呼すなわちNT呼を、受信および発信するデータネットワークポートおよび関連する回路と、 呼を表すデータを、NT呼とCOST呼の間で動的に変換する変換回路と、 テレフォニー用ブリッジユニットの動作を管理するように構成された制御ルーチンとを含むコンピュータ化されたテレフォニー用ブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COSTネットワークおよびネットワークの1つから第1の呼を受信し、受信した呼に関連付けられた呼を、当該呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で発信し、前記関連付けられた複数の呼の間でデータを動的に変換するように構成され、このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方が(ネットワーク)上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる、ブリッジユニット。」である点で一致し、 次の点で相違する。 a)ネットワークとして、本願補正発明1は「インターネット」ネットワークを用いているのに対し、引用刊行物1に記載された発明はそのように構成されていない点。 b)ネットワーク呼として、本願補正発明1は「インターネットプロトコールテレフォニー」ネットワーク呼を用いているのに対し、引用刊行物1に記載された発明はそのように構成されていない点。 c)NT呼として、本願補正発明1は「IP」NT呼を用いているのに対し、引用刊行物1に記載された発明はそのように構成されていない点。 (4)判断 相違点a)b)c)について検討する。 パケット通信ネットワークの分野において、ネットワークとして、インターネットネットワークを用いること、ネットワーク呼として、インターネットプロトコールテレフォニーネットワーク呼を用いること、NT呼として、IPNT呼を用いることは、周知技術(国際公開第97/14238号パンフレット[特表2000-508125号公報]、国際公開第97/28628号パンフレット[特表2000-504183号公報])であり、その周知技術を引用刊行物1に記載された発明に適用することには格別の困難性が存在しないので、相違点a)b)c)は、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願補正発明1の作用効果も、引用刊行物1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明1は、引用刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3 本願発明について 平成16年6月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明2」という。)は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 接続指向/交換テレフォニーネットワークすなわちCOSTネットワーク上で、COST呼を受信および発信する中継線ポートおよび関連する回路と、 データネットワーク上で、データネットワークテレフォニー呼すなわちDNT呼を、受信および発信するデータネットワークポートおよび関連する回路と、 呼を表すデータを、DNT呼とCOST呼の間で動的に変換する変換回路と、 テレフォニー用ブリッジユニットの動作を管理するように構成された制御ルーチンとを含むコンピュータ化されたテレフォニー用ブリッジユニットであって、 前記制御ルーチンが、COSTネットワークおよびDNTネットワークの1つから第1の呼を受信し、受信した呼に関連付けられた呼を、当該呼を受信したネットワーク以外のネットワーク上で発信し、前記関連付けられた複数の呼の間でデータを動的に変換するように構成されるブリッジユニット。 【請求項2】 前記データネットワークが、インターネットであり、前記DNT呼が、インターネットプロトコルネットワークテレフォニー呼すなわちIPNT呼である請求項1に記載のブリッジユニット。」 (1)引用刊行物に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1及びその記載事項は、前記「2 (2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明2は、前記「2」で検討した本願補正発明1の、「ブリッジユニット」の限定事項である「このデータの動的な変換により、たとえ二人のうちの一方がインターネット上で、他方がCOSTネットワーク上であったとしても、ライブの会話を行うことができる」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明2の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明1が、前記「2 (4)」に記載したとおり、引用刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明2も同様の理由により、引用刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明2は、引用刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-12-18 |
結審通知日 | 2006-12-19 |
審決日 | 2007-01-09 |
出願番号 | 特願2000-531940(P2000-531940) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04L)
P 1 8・ 575- Z (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 江嶋 清仁 |
特許庁審判長 |
鈴木 康仁 |
特許庁審判官 |
北村 智彦 中木 努 |
発明の名称 | データテレフォニーネットワークと専用接続テレフォニーネットワークの間の電話ネットワーク用インタフェースブリッジ |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 一入 章夫 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 川口 義雄 |