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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G |
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管理番号 | 1158613 |
審判番号 | 不服2004-9575 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-06 |
確定日 | 2007-06-07 |
事件の表示 | 特願2000- 20663「遺失物管理システムおよびその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月31日出願公開、特開2001-206516〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本願発明 本願は、平成12年1月28日の出願であって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成15年9月19日付け、平成16年5月17日付けの手続補正書によって補正された明細書、及び、図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認められる。 「【請求項1】遺失物を管理するためのデータベース、並びに、前記データベースに対する登録、更新および検索処理を通信路を介して複数の端末装置へ提供するサーバを有する遺失物管理システムであって、 前記データベースには、少なくとも遺失物を特定する情報、前記遺失物が包含する他の物品の詳細を示す明細情報を含む前記遺失物の詳細を示す情報、並びに、前記遺失物の所在地に関する情報が存在することを特徴とする遺失物管理システム。」 2.引用文献記載の発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-91340号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 ア.「【0004】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の遺失物情報管理装置は、それぞれが各機関に設置された複数の第1の処理装置(端末101)と、該第1の処理装置(端末101)に接続された遺失物管理ファイル(103?105)を備えた第2の処理装置(ホストコンピュータ102)を有する遺失物情報管理方法において、第1の処理装置(端末101)の一つから拾得物を特徴づける1以上の属性情報と該第1の処理装置(端末101)が設置されている機関名とを対応づけて入力し第2の処理装置(ホストコンピュータ102)の遺失物管理ファイル(103?105)に格納する遺失物情報格納ステップと、第1の処理装置(端末101)の一つから紛失物の少なくとも一つの属性情報を入力して第2の処理装置(ホストコンピュータ102)にある拾得物管理ファイル(103?105)の情報を検索する検索ステップと、該検索ステップで検索された遺失物に関する属性情報と該属性情報が入力された第1の処理装置(端末101)が設置されている機関名とを併せて出力する出力ステップとからなっている。 ・・・ 【0007】【発明の実施の形態】本発明においては、各機関に設置された第1の処理装置(端末)から紛失物の属性情報を入力するとこの情報が第2の処理装置(センタのホストコンピュータ)の拾得物管理ファイル(共有ファイル)に格納される。紛失物の検索を行うときには、各機関の第1の処理装置(端末)から紛失物の特徴等の属性情報をキー入力して紛失物の検索を行う。この際、第2の処理装置(センタのホストコンピュータ)の拾得物管理ファイル(共有ファイル)には、紛失物の属性情報と、この属性情報が入力された処理装置の設置された機関名とが対応づけて格納されるため、検索された紛失物の届け出があった機関を特定することができる。」(段落0004から0007) イ.「【0009】【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本システムの一実施例を示す全体構成図である。同図において、101は駅、交番、銀行等の各機関に設置された端末(第1の処理装置)である。102は各端末101と接続されたホストコンピュータ(第2の処理装置)である。103は拾得物の届け出があったときにその拾得物の属性情報を格納しておく拾得物管理テーブルが格納されたファイルであり、104は紛失届テーブルが格納されたファイル、105は拾得物の画像情報が格納される画像データファイルである。各ファイル103?105はホストコンピュータ102に接続されている。 【0010】図2はファイル103内の拾得物管理テーブル、図3はファイル104内の紛失届テーブルの詳細を示す図である。図2の拾得物管理テーブルにおいて、201は拾得物の物品名、202は届出日時、204は拾得場所、205は届出者、206は物品の色、種類などの特徴を示している。207は拾得物の画像情報を格納したファイルの番号を示すものであり、その詳細は後述する。また、図3の紛失届テーブルにおいて、301は紛失物名、302は紛失日時、303は紛失場所、304は落とし主名、305は紛失届出機関名、306は紛失物の色、形状、その他の特徴を示している。届出者205および落とし主名304は個人を特定するための情報であり、実際には住所等も必要であるが本実施例では省略してある。 【0011】図2の拾得物管理テーブルの例は、黒い2つ折りのサイフが平成7年8月1日にAによって東京駅で拾得されて東京駅派出所に届けられ、その画像情報が画像ファイル番号1に格納されていることを示し、茶色のセカンドカバンが平成7年8月2日にBによって京都デパートで拾得されて京都駅派出所に届けられ、その画像情報が画像ファイル番号2に格納されていることを示し、キャッシュカードが平成7年8月3日にCによって名古屋駅で拾得されて名古屋駅に届けられ、その画像情報が画像ファイル番号3に格納されていることを示している。また、図3の紛失届テーブルの例は、Dが平成7年8月10日にJCCのクレジットカードを紛失し(紛失場所不明)、名古屋駅に届けたことを、また、Aが平成7年8月1日に黒の2つ折りのサイフが東京駅を紛失し、大阪駅派出所に届けたことを示している。 ・・・ それ以降、この紛失届テーブルに格納された紛失物について、その属性情報に基づいて定期的かつ循環的に拾得物管理テーブルの検索を行う。」(段落0009から0013) ウ.「【0016】一方、上述した実施例においては、該当するものが検索されなかったときには、属性情報をファイル104内の紛失届テーブルに格納するようにしているが、これは各機関毎の第1の処理装置(端末)101に保持しておくようにしてもよい。 【0017】このシステムにおいて、例えば紛失物が落とし主に戻ったことを契機に拾得物管理テーブルおよび紛失届テーブルの該当するデータを消去すれば、テーブルを格納するメモリを有効に使用することができる。また、図4のフローチャートに示した実施例では端末101より入力された属性情報がカードか否かを判別した後に検索を行うようにしているが、はじめに検索を行って該当するものがあった場合にそれがカードか否かの判別を行うようにしてもよい。なお、インターネット等の広域ネットワーク上で本発明を実現することにより、各家庭のパーソナルコンピュータからでも紛失物の検索を行うことが可能になるとともに、全世界的に遺失物情報の管理を行うことも可能である。」(段落0016、0017) エ.「【0018】【発明の効果】本発明によれば、駅や交番等の各機関で紛失物の情報管理を統一的に行うことができ、また、拾得物の情報を各機関で共有して持つことができ、各機関から検索を行うことができるため、落とし主は1箇所の機関にのみ紛失届けを出すだけで済むという効果がある。」(段落0018) (2)ここで、上記記載事項ア.ないしエ.、及び図1ないし5から、次のことがわかる。 本発明においては、各機関に設置された第1の処理装置(端末)から紛失物の属性情報を入力するとこの情報が第2の処理装置(センタのホストコンピュータ)の拾得物管理ファイル(共有ファイル)に格納される。紛失物の検索を行うときには、各機関の第1の処理装置(端末)から紛失物の特徴等の属性情報をキー入力して紛失物の検索を行う。この際、第2の処理装置(センタのホストコンピュータ)の拾得物管理ファイル(共有ファイル)には、紛失物の属性情報と、この属性情報が入力された処理装置の設置された機関名とが対応づけて格納されるため、検索された紛失物の届け出があった機関を特定することができる。 本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本システムの一実施例を示す全体構成図である。同図において、101は駅、交番、銀行等の各機関に設置された端末(第1の処理装置)である。102は各端末101と接続されたホストコンピュータ(第2の処理装置)である。103は拾得物の届け出があったときにその拾得物の属性情報を格納しておく拾得物管理テーブルが格納されたファイルであり、104は紛失届テーブルが格納されたファイル、105は拾得物の画像情報が格納される画像データファイルである。各ファイル103?105はホストコンピュータ102に接続されている。図2はファイル103内の拾得物管理テーブル、図3はファイル104内の紛失届テーブルの詳細を示す図である。図2の拾得物管理テーブルにおいて、201は拾得物の物品名、202は届出日時、204は拾得場所、205は届出者、206は物品の色、種類などの特徴を示している。 該当するものが検索されなかったときには、属性情報をファイル104内の紛失届テーブルに格納するようにしているが、これは各機関毎の第1の処理装置(端末)101に保持しておくようにしてもよい。このシステムにおいて、例えば紛失物が落とし主に戻ったことを契機に拾得物管理テーブルおよび紛失届テーブルの該当するデータを消去すれば、テーブルを格納するメモリを有効に使用することができる。 このことから、拾得物管理ファイル103?105は、拾得物を管理するためのものであり、拾得物管理ファイル103?105、並びに、前記ファイル103?105に対するデータの入力、格納、消去および検索処理を通信路を介して複数の端末へ提供するホストコンピュータ102を有する拾得物情報管理システムであって、前記ファイル103?105には、少なくとも拾得物を特定する情報が存在する拾得物情報管理システムであることがわかる。 (3)引用文献記載の発明 上記記載事項(2)より、引用文献には次の発明が記載されていると認められる。 「拾得物を管理するための拾得物管理ファイル103?105、並びに、前記ファイル103?105に対するデータの入力、格納、消去および検索処理を通信路を介して複数の端末へ提供するホストコンピュータ102を有する拾得物情報管理システムであって、前記ファイル103?105には、少なくとも拾得物を特定する情報が存在する拾得物情報管理システム。」 (以下、「引用文献記載の発明」という。) 3.対比 そこで、本願発明と引用文献記載の発明を対比すると、引用文献記載の発明の「拾得物」、「端末101」、「ファイル103?105に対するデータの入力、格納、消去」は、それぞれ、本願発明の「遺失物」、「端末装置」、「データベースに対する登録、更新」に相当する。 引用文献記載の発明の「拾得物管理ファイル103?105」は、遺失物を管理するためのデータベースである限りにおいて、本願発明の「データベース」に相当する。 また、引用文献記載の発明の「ファイル103?105に対するデータの入力、格納、消去および検索処理を通信路を介して複数の端末へ提供するホストコンピュータ102を有する拾得物情報管理システム」は、端末を含むコンピュータシステムからなる遺失物情報管理システムである限りにおいて、本願発明の「データベースに対する登録、更新および検索処理を通信路を介して複数の端末装置へ提供するサーバを有する遺失物管理システム」に相当する。 してみると、両者は、 「遺失物を管理するためのデータベース、並びに、前記データベースに対する登録、更新および検索処理を通信路を介して複数の端末装置へ提供するコンピュータシステムを有する遺失物情報管理システムであって、前記データベースには、少なくとも遺失物を特定する情報が存在する遺失物情報管理システム。」の点で一致し、以下の点で相違している。 (1)相違点1 本願発明は、「前記データベースには、少なくとも遺失物を特定する情報、前記遺失物が包含する他の物品の詳細を示す明細情報を含む前記遺失物の詳細を示す情報、並びに、前記遺失物の所在地に関する情報が存在する」のに対し、引用文献記載の発明は、「前記ファイル103?105には、少なくとも拾得物を特定する情報が存在する」点。 (2)相違点2 本願発明は、端末装置とサーバーからなる遺失物管理システムであるのに対し、引用文献記載の発明は、端末とホストコンピュータからなる遺失物情報管理システムである点。 4.判断 上記相違点について検討する。 (1)相違点1 遺失物を管理するための情報として、遺失物が包含する他の物品の詳細を示す情報を含めることは、周知技術にすぎない(特開平1-152567号公報の2頁左下欄20行から右下欄4行等。特開平7-302286号公報の段落0019等。)。また、遺失物の保管に際して、遺失物の所在場所に関する情報を含めることは慣用技術にすぎない。 したがって、引用文献記載の発明において、前記周知慣用技術を適用して、前記相違点1に係る本願発明のような構成とすることは当業者が格別困難なく想到し得た設計的事項にすぎないものと認められる。 (2)相違点2 端末装置とサーバーからなるコンピュータシステムや、コンピュータによる物流管理システムは慣用技術であり、引用文献記載の発明において、前記相違点1に係る本願発明のような構成とし、その際に、前記慣用技術を適用して、前記相違点2に係る遺失物管理システムとすることは当業者が格別困難なく想到し得たものと認められる。 以上のように、本願発明は、引用文献記載の発明、前記周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものと認められ、しかも、本願発明は、全体構成でみても、引用文献記載の発明、前記周知慣用技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとも認められない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用文献記載の発明、前記周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-04-09 |
結審通知日 | 2007-04-13 |
審決日 | 2007-04-24 |
出願番号 | 特願2000-20663(P2000-20663) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 槙原 進 |
特許庁審判長 |
大橋 康史 |
特許庁審判官 |
飯塚 直樹 石井 孝明 |
発明の名称 | 遺失物管理システムおよびその方法 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |