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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G05B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G05B
管理番号 1158654
審判番号 不服2005-18382  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-22 
確定日 2007-06-07 
事件の表示 特願2001-330407「アナンシエータの操作案内方法及びアナンシエータ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 9日出願公開、特開2003-131732〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年10月29日の出願であって、平成17年8月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月22日に審判請求がなされるとともに、同年10月24日に手続補正がなされたものである。

2.平成17年10月24日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年10月24日付け手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の請求項3に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項3は、次のとおりに補正された。

「設備機器を監視するアナンシエータにおいて、
設備機器の管理ポイントの状態を表示する表示部と、
この表示部に表示された管理ポイントの中から操作対象となる管理ポイントを選択させる選択部と、
各管理ポイントに対する操作を入力する複数の入力手段を備えた操作部と、
管理ポイント毎の操作手順を予め記憶する記憶部と、
各管理ポイントの選択がオペレータによって行われたときに、この選択された管理ポイントに対応する前記操作手順に基づいて、前記入力手段の中から、前記選択された管理ポイントについて操作可能な複数の入力手段を選別して、この選別した入力手段を明示し、前記選別した入力手段の中から所望の入力手段がオペレータによって操作された場合は、この操作と前記操作手順に基づいて次に操作可能な複数の入力手段を選別して、この選別した入力手段を明示する選別明示手段とを有することを特徴とするアナンシエータ。」

上記補正は、補正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「選択明示手段」について「管理ポイントの選択がオペレータによって行われたときに、」操作可能な「複数の」入力手段を選別して、明示するとの限定を付加し請求項3とするものであって、特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項3に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)これに対して、当審における、平成18年12月26日付で通知した拒絶の理由に引用した特開平3-214396号公報(平成3年9月19日公開、以下、「引用例1」という。)には、「アナンシェータ」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「施設における各種管理ポイントの状態を各個に区切られた仕切領域にて発光表示するアナンシェータにおいて、前記仕切領域に敷設されたタッチセンサと、このタッチセンサのセンサ出力に基づきそのタッチセンサの敷設された仕切領域に対応する管理ポイントに関してのアナログ情報を表示するディスプレイ部とを備えてなるアナンシェータ。」(特許請求の範囲)

・「(従来の技術)
高層ビル、集合住宅、病院、工場などの施設においては、各種の設備が配置されている。例えば、その設備として空調設備、電力設備、防犯設備、防災設備、熱源設備などの設備系統が挙げられ、これら設備は設備機器としての各種機器を多数備えている。
これらの施設において各種ポイントの状態を管理する場合、アナンシェータが用いられ、各種管理ポイントの状態を各個に区切られた仕切領域にて発光表示する。すなわち、アナンシェータにおいて、例えば、管理ポイントとしての空調機のオン状態を緑色LEDにて発光表示するものとし、オフ状態を赤色LEDにて発光表示するものとし、異常状態を赤色LEDの点滅にて発光表示するものとする。」(第(1)頁左下欄第18行から同頁右下欄第13行)

・「第1図はアナンシェータ2をその正面から見た拡大図であり、アナンシェータ2には、上述したディスプレイ部2cの他に、個別操作部2dが設けられている。この個別操作部2dは、上スクロールキー2d1,下スクロールキー2d2,起動キー2d3,停止キー2d4,確認キー2d5,自動キー2d6,変更キー2d7,ランプテストキー2d8,ログインログアウトキー2d9,およびキャンセルキー2d10から構成されている。
次に、アナンシェータ2の構成について、その代表例を示して説明する。
第1図において、「1階室温」を知りたい場合には、仕切領域2-1をタッチする。すると、ディスプレイ部2cに、例えば25℃という風にその時の「1階室温」が表示される(第4図(a)参照)。この時、赤色LED2a-1が点滅していれば、下スクロールキー2d2を操作し、ディスプレイ部2cにおける画面をスクロールさせることにより、その異常内容を、例えば第4図(b)に示すよな「ハイアラーム」として知ることができる。さらに、この状態から下スクロールキー2d2を操作し、ディスプレイ部2cにおける画面をスクロールさせれば、その「ハイアラーム」の設定温度を、例えば第4図(c)に示すよな「ハイ設定24℃」として知ることができる。さらに、この状態から下スクロールキー2d2を操作し、ディスプレイ部2cにおける画面をスクロールさせれば、第4図(a)に示した画面に戻る。なお、ディスプレイ部2cにおける表示内容は、30secで消え、通常の時計表示へ戻る。」(第(2)頁右下欄第8行から第(3)頁左上欄第17行)

「仕切領域に敷設されたタッチセンサ」は、「「1階室温」を知りたい場合には、仕切領域2-1をタッチする。すると、ディスプレイ部2cに、例えば25℃という風にその時の「1階室温」が表示される(第4図(a)参照)。この時、赤色LED2a-1が点滅していれば、下スクロールキー2d2を操作し、ディスプレイ部2cにおける画面をスクロールさせる」との記載より、個別操作部の操作対象となる管理ポイントを選択するものであるといえるから、
これらの記載によると、引用例1には、

「設備機器を管理するアナンシェータにおいて、
各種管理ポイントの状態を発光表示する緑色LED、赤色LEDを備え各個に区切られた仕切領域と、
上スクロールキー、下スクロールキー、起動キー、停止キー、確認キー、自動キー、変更キー、ランプテストキー、ログインログアウトキー、およびキャンセルキーから構成される個別操作部と、
仕切領域に敷設され、個別操作部の操作対象となる管理ポイントを選択するタッチセンサと、
を有するアナンシェータ。」の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

(2-2)また、当審における、前記拒絶の理由に引用した特開平11-238367号公報(平成11年8月31日公開、以下、「引用例2」という。)には、「使用可能キー表示システム」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【0010】この発明の第1の目的は、種々な操作キーのうちその時点で操作可能なキーをユーザに通知できる使用可能キー表示システムを提供することである。」

・「【0540】図79は、図76の再生装置で通常の再生が行われている場合において、図78のリモートコントローラ5のうちユーザ操作可能なキーのみが点灯表示される例を示す。この例では、再生キー(PLAY)、一時停止キー(PAUSE)、停止キー(STOP)、早送りキー(FF)、早戻しキー(REW)、チャプタスキップキー(SKIP)、タイトルキー(TITLE)、メニューキー(MENU)およびオンスクリーン・オンオフキー(OSD)のバックライト(図77のLED)だけが点灯し、これらのキーだけが目立って見えるようになっている。この場合、ユーザは、その時点で操作できるキーがバックライトで目立っているキーだけであることを知ることができる。このため、キーを押しても反応しない(またはそのキー操作ができない旨の操作禁止表示が出る)キーをユーザが暗中模索でむやみに試し押しすることがなくなる。
【0541】図80は、図76の再生装置でメニュー操作が行われている場合において、図78のリモートコントローラのうちユーザ操作可能なキーのみが点灯表示される例を説明する図である。
【0542】たとえば図79の操作可能キーのうちメニューキーMENUがオンされると、リモートコントローラ5のMPU5Bは再生装置全体のMPU50にメニューにエンターするユーザ指令を送る。すると、MPU50は装置動作状態をメニュー選択モードに設定するとともに、ディスク10からその時のユーザ操作制御情報(図75のUOP)取り出し、ユーザ操作が禁止されていないキーを判定する。この判定結果はリモートコントローラ5のMPU5Bに転送される。すると、MPU5Bは、そのときにユーザ操作可能なキーを決定し、対応するバックライトのLEDを点灯させる信号を発生する。その結果、図80に例示するように、メニュー操作に関連したキー、すなわちセレクトキー/カーソルキー(または十字キー)、エンターキー(ENTER)およびリターンキー(RETURN)だけが目立って見えるようにバックライトLEDで照明される。」

(3)対比
本願補正発明と引用例1記載の発明を対比すると、後者における「管理する」、「アナンシェータ」はそれぞれ、前者における「監視する」、「アナンシエータ」に相当し、以下同様に、後者の「各種管理ポイントの状態を発光表示する緑色LED、赤色LEDを備え各個に区切られた仕切領域」は前者の「設備機器の管理ポイントの状態を表示する表示部」に、後者の「上スクロールキー、下スクロールキー、起動キー、停止キー、確認キー、自動キー、変更キー、ランプテストキー、ログインログアウトキー、およびキャンセルキーから構成される個別操作部」は前者の「各管理ポイントに対する操作を入力する複数の入力手段を備えた操作部」に、後者の「仕切領域に敷設され、個別操作部の操作対象となる管理ポイントを選択するタッチセンサ」は前者の「表示部に表示された管理ポイントの中から操作対象となる管理ポイントを選択させる選択部」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、「設備機器を監視するアナンシエータにおいて、設備機器の管理ポイントの状態を表示する表示部と、この表示部に表示された管理ポイントの中から操作対象となる管理ポイントを選択させる選択部と、各管理ポイントに対する操作を入力する複数の入力手段を備えた操作部と、を有するアナンシエータ」である点で一致し、次の点において相違する。

[相違点]
本願補正発明においては、さらに、「管理ポイント毎の操作手順を予め記憶する記憶部と、各管理ポイントの選択がオペレータによって行われたときに、この選択された管理ポイントに対応する操作手順に基づいて、入力手段の中から、選択された管理ポイントについて操作可能な複数の入力手段を選別して、この選別した入力手段を明示し、選別した入力手段の中から所望の入力手段がオペレータによって操作された場合は、この操作と操作手順に基づいて次に操作可能な複数の入力手段を選別して、この選別した入力手段を明示する選別明示手段」を備えているのに対して、引用例1記載の発明においては、そのような手段を備えていない点。

(4)判断
引用例2には、再生装置で通常の再生が行われている場合において、リモートコントローラのうちユーザ操作可能なキーのみが点灯表示されるものとして、再生キー(PLAY)、一時停止キー(PAUSE)、停止キー(STOP)、早送りキー(FF)、早戻しキー(REW)、チャプタスキップキー(SKIP)、タイトルキー(TITLE)、メニューキー(MENU)およびオンスクリーン・オンオフキー(OSD)のバックライトが点灯し、ここでメニューキーMENUがオンされるとセレクトキー/カーソルキー(または十字キー)、エンターキー(ENTER)およびリターンキー(RETURN)だけが目立って見えるようにバックライトが点灯するものが例示され、種々な操作キーのうちその時点で操作可能なキーを点灯してユーザに通知する使用可能キー表示システムが記載されている。該引用例2の記載は再生装置のリモートコントローラに関するものではあるが、種々な操作キーのうちその時点で操作可能なキーを点灯してユーザに通知することでユーザがむやみに試し押しすることがなくなるという作用、効果は、特に再生装置のリモートコントローラの機能とは関わりなく、種々の操作キーを有する操作装置一般に適用できることは、当業者にとって容易に想到しうることであり、引用例1に記載されたようなアナンシェータに適用することも、当業者にとって容易に想到しうることである。また、本願補正発明においては、各管理ポイントの選択がオペレータによって行われたときに、この選択された管理ポイントに対応する操作手順に基づいて、入力手段の中から、選択された管理ポイントについて操作可能な複数の入力手段を選別して、この選別した入力手段を明示し、選別した入力手段の中から所望の入力手段がオペレータによって操作された場合は、この操作と操作手順に基づいて次に操作可能な複数の入力手段を選別して、この選別した入力手段を明示しているが、引用例2に記載されたものも、例えば、再生状態において操作可能なキーを点灯表示し、再生状態で操作可能なキーが点灯表示されている状態で、操作可能なキーであるメニューキー(MENU)をオンすると、次に操作可能な複数のキーが点灯するように構成されており、操作可能な入力手段の選別の仕方において、両者の間に格別な差異があるとは認められない。よって、引用例1記載の発明において前記相違点にかかる構成とすることは、引用例2の記載に基づいて、当業者が容易になしうる程度のことにすぎない。

そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1、引用例2に記載された事項から当業者が予測し得る程度のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成17年10月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)は平成17年8月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項7に記載された次のとおりのものである。

「請求項6記載のアナンシエータにおいて、
前記選別明示手段は、前記選別した入力手段が操作された場合、この操作と前記操作手順に基づいて次に操作可能な入力手段を選別して明示することを特徴とするアナンシエータ。」

なお、請求項6に係る発明は次のとおりのものである。

「設備機器を監視するアナンシエータにおいて、
設備機器の管理ポイントの状態を表示する表示部と、
この表示部に表示された管理ポイントの中から操作対象となる管理ポイントを選択させる選択部と、
各管理ポイントに対する操作を入力する複数の入力手段を備えた操作部と、
管理ポイント毎の操作手順を予め記憶する記憶部と、
前記選択された管理ポイントに対応する前記操作手順に基づいて、前記選択された管理ポイントについて操作可能な1つ又は複数の入力手段を選別して明示する選別明示手段とを有することを特徴とするアナンシエータ。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した引用例、及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「選択明示手段」について「管理ポイントの選択がオペレータによって行われたときに、」操作可能な「複数の」入力手段を選別して、明示するとの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-04-09 
結審通知日 2007-04-10 
審決日 2007-04-23 
出願番号 特願2001-330407(P2001-330407)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (G05B)
P 1 8・ 121- WZ (G05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 豊英西村 泰英  
特許庁審判長 田良島 潔
特許庁審判官 渋谷 善弘
丸山 英行
発明の名称 アナンシエータの操作案内方法及びアナンシエータ  
代理人 山川 政樹  
代理人 黒川 弘朗  
代理人 紺野 正幸  
代理人 山川 茂樹  
代理人 西山 修  

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