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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1162821
審判番号 不服2004-5048  
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-11 
確定日 2007-08-16 
事件の表示 特願2001-169311「データ処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月20日出願公開、特開2002-366882〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年6月5日の出願であって、平成16年2月5日付で拒絶査定がなされ(発送日同年2月10日)、これに対し、同年3月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月12日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月12日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月12日付の手続補正を却下する。
[理由]
(2-1)平成16年4月12日付の手続補正書により補正された本願発明
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は、平成16年1月26日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものであった。
「コンピュータ上で動作するソフトウェアプログラムにより実現されるデータ処理方法であって、
スプレッドシートに登録されている特性項目のデータに基づいて表示手段の画面にグラフを表示するステップと、
前記表示手段の画面に表示されたグラフに対して、入力手段を用いて指定された処理対象となる任意の領域の情報を受け取るステップと、
前記特性項目のデータの内の、指定された前記領域の情報に対応する領域に含まれるデータに対して所定の加工処理を施すステップとを含むことを特徴とするデータ処理方法。」

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、下記のように補正された。
「入力手段、表示手段、記憶手段および制御手段を備えるコンピュータ上で動作するソフトウェアプログラムを実行することにより実現されるデータ処理方法であって、
前記記憶手段に記憶され、スプレッドシートに登録されている特性項目のデータに基づいて前記表示手段の画面にグラフを表示させるステップと、
前記表示手段の画面に表示されたグラフに対して、前記入力手段を用いて指定された処理対象となる任意の領域の情報を受け取る処理を前記制御手段に実行させるステップと、 前記特性項目のデータの内の、指定された前記領域の情報に対応する領域に含まれるデータを前記制御手段に検出させ、この検出されたデータに対して所定の加工処理を施す処理を前記制御手段に実行させるステップとを含むことを特徴とするデータ処理方法。」

(2-2)本件補正の目的の検討
上記補正の目的について、請求人は、審判請求の理由において、「平成16年4月10日付提出の手続補正書における、請求項1、2及び5の補正は、特許請求の範囲の限定的減縮です。請求項4の補正は請求項2の記載に合わせて補正したもので、規定内容は補正前と同一です。」と主張しているので、まず、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるか否かについて検討する。

(2-2-1)特許請求の範囲の減縮
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定する事項である「コンピュータ」について「入力手段、表示手段、記憶手段および制御手段を備える」との限定を付加している。しかし、「スプレッドシートに登録されている特性項目のデータに基づいて表示手段の画面にグラフを表示するステップ」が「前記記憶手段に記憶され、スプレッドシートに登録されている特性項目のデータに基づいて前記表示手段の画面にグラフを表示させるステップ」と補正され、該ステップの主体が変更されていることにより、技術的に異なるステップとなっているから、当該補正個所は限定的減縮とはいえない。同様に、「前記表示手段の画面に表示されたグラフに対して、入力手段を用いて指定された処理対象となる任意の領域の情報を受け取るステップ」についても「前記表示手段の画面に表示されたグラフに対して、前記入力手段を用いて指定された処理対象となる任意の領域の情報を受け取る処理を前記制御手段に実行させるステップ」と補正されて、ステップの主体が変更されており、さらに、「前記特性項目のデータの内の、指定された前記領域の情報に対応する領域に含まれるデータに対して所定の加工処理を施すステップ」についても、「前記特性項目のデータの内の、指定された前記領域の情報に対応する領域に含まれるデータを前記制御手段に検出させ、この検出されたデータに対して所定の加工処理を施す処理を前記制御手段に実行させるステップ」と補正されて、ステップの主体が変更されて技術的に異なるステップとなっている。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。

(2-2-2)明瞭でない記載の釈明
平成15年12月4日付けで審査官が起案した拒絶理由通知書では、拒絶すべきの理由2として、「2.この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

「発明の詳細な説明」の欄の記載では、如何なるハードウエア資源を用い、ハードウエア資源に対して如何なる処理をさせるのかについて具体的でなく、コンピュータで行いたい要求仕様が記載されているだけである。したがって、当該記載では、当業者が容易に発明を実施できる程度に記載されているとはいえない。」と記載されている。また、平成16年2月5日付けで審査官が起案した拒絶査定でも、理由2について「(理由2について)
「発明の詳細な説明」の欄には、情報処理装置であれば当然に備えている表示装手段や入力手段を用いた入出力インターフェースの仕様が開示されているだけで、本願のデータ処理を如何なるハードウエア資源を用い、ハードウエア資源に対して如何なる処理をさせるのかについて具体的に記載されていない。
したがって、当該記載では、依然として、当業者が容易に発明を実施できる程度に記載されているとはいえない。」と記載されている。

したがって、特許請求の範囲の請求項1等を補正する本件補正は、「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものとはいえないから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第4号に規定する「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)」に該当しない。

(2-2-3)請求項の削除、誤記の訂正
本件補正は、請求項の削除でもなく、誤記の訂正でもないことは、明らかである。

(2-2-4)補正の目的違反による補正の却下
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号ないし第4号のいずれの事項を目的とするものではないから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしておらず、同法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

(2-3)独立特許要件の検討
念のため、請求人が主張するように本件補正の目的が特許請求の範囲の限定的減縮であると仮定して、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2-3-1)特許法第29条第1項柱書き
本件補正後の請求項1の記載は、各ステップの主体が人間であると解釈し得るものであるから、全体として、人為的取り決めそのものである業務手順と解釈可能であるから、本願補正発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるとはいえず、特許法第2条で定義された「発明」とはいえない。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項柱書きの規定により独立して特許を受けることができない。

(2-3-2)特許法第36条第4項
本願の発明の詳細な説明の欄では、「やりたいこと」が抽象的に記載されているのみであり、いかなるハードウェア資源をどのように用いて具体的に情報処理ステップを行うのかということが記載されていない。例えば、本件補正後の請求項1の「所定の加工処理」をコンピュータの制御手段が行う旨の記載はあるものの、具体的に、コンピュータの制御手段がどのように他のハードウェア資源と協働してデータを加工処理しているのか、必要かつ十分な記載がない。
したがって、本願補正発明を当業者が実施できる程度に、発明の詳細な説明の記載が十分でないから、特許法第36条第4項の規定により、本願は拒絶すべきものである。

(2-3-3)特許法第36条第6項第2号
本件補正後の請求項1の記載は、各ステップの主体が人間であるとも、コンピュータ外部の何らかの動作主体によるものとも、解釈し得るものであるから、技術的に不明瞭であり、特許法第36条第6項第2号の規定により、本願は拒絶すべきものである。

(2-3-4)特許法第29条第2項
当審が発見した特開平3-226878号公報(以下、「引用例」という。)には、時系列データをグラフ表示する手段と、グラフ上で異常値を示す点をカーソルで指定させる手段と、カーソルで指定されたデータを消去する手段を備えた時系列データ処理システムが記載されている。
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到しえたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができない。

(2-3-5)むすび
以上のとおり、本件補正は、その目的が特許請求の範囲の限定的減縮であると仮定しても、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年4月12日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年1月26日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「コンピュータ上で動作するソフトウェアプログラムにより実現されるデータ処理方法であって、
スプレッドシートに登録されている特性項目のデータに基づいて表示手段の画面にグラフを表示するステップと、
前記表示手段の画面に表示されたグラフに対して、入力手段を用いて指定された処理対象となる任意の領域の情報を受け取るステップと、
前記特性項目のデータの内の、指定された前記領域の情報に対応する領域に含まれるデータに対して所定の加工処理を施すステップとを含むことを特徴とするデータ処理方法。」

(3-1)原査定の理由
原査定では、以下の理由(a)?(c)により、本願は、拒絶すべきものとしている。
(a)特許法第29条第1項柱書き
(b)特許法第36条第4項
(c)特許法第36条第6項第2号

(3-2)当審の判断
(3-2-1)特許法第29条第1項柱書き
本願発明は、「コンピュータ上で動作するソフトウェアプログラムにより実現されるデータ処理方法で」あることから、コンピュータソフトウェア関連発明であると認められ、「表示手段」及び「入力手段」とのハードウェア資源を一応利用しているものの、これらのハードウェア資源は、コンピュータが通常備える入出力手段に過ぎず、コンピュータ内部での情報処理ステップがどのようなハードウェア資源をどのように用いて具体的になされているのかという点が請求項1の記載上明らかとなっていないから、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえず、本願発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではない。
したがって、本願発明は、特許法第2条で定義された「発明」とはいえないから、特許法第29条第1項柱書きの規定により特許を受けることができない。

(3-2-2)特許法第36条第4項
本願の発明の詳細な説明の欄では、「やりたいこと」が抽象的に記載されているのみであり、いかなるハードウェア資源をどのように用いて具体的に情報処理ステップを行うのかということが記載されていない。例えば、本願の請求項1の「所定の加工処理」をコンピュータの制御手段が行う旨の記載はあるものの、具体的に、コンピュータの制御手段がどのように他のハードウェア資源と協働してデータを加工処理しているのか、必要かつ十分な記載がない。
したがって、本願発明を当業者が実施できる程度に、発明の詳細な説明の記載が十分でないから、本願は、特許法第36条第4項の規定により、拒絶すべきものである。

(3-2-3)特許法第36条第6項第2号
特に、請求項1の「所定の加工処理を施すステップ」という記載は、いかなる加工処理が含まれるかのかという点で技術的意味が不明瞭であり、本願は、特許法第36条第6項第2号の規定により、拒絶すべきものである。

(3-3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項柱書きの規定により特許を受けることができず、本願は、同法第36条第4項及び第6項第2号の規定により拒絶すべきものである。
したがって、本願は、他の請求項について特に検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-06-13 
結審通知日 2007-06-19 
審決日 2007-07-02 
出願番号 特願2001-169311(P2001-169311)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 537- Z (G06F)
P 1 8・ 14- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 野崎 大進
青柳 光代
発明の名称 データ処理方法  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 三和 晴子  

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