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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16K |
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管理番号 | 1162833 |
審判番号 | 不服2004-22645 |
総通号数 | 94 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-11-04 |
確定日 | 2007-08-16 |
事件の表示 | 特願2001-206984「ゲートバルブ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月24日出願公開、特開2003- 21244〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年7月6日の出願であって、平成16年9月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月4日に審判請求がなされるとともに同年12月6日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年12月6日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年12月6日付け手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の請求項1に記載された発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。 「駆動源と、 前記駆動源の駆動軸に連結され、該駆動源の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第1変位部材と、 前記第1変位部材と一体的に軸線方向に沿って変位するとともに、軸線方向に沿った変位終端において支持部材を支点として傾動自在に設けられた第2変位部材と、 前記第2変位部材に連結された弁ロッドを介して通路を開閉する弁ディスクと、 前記第2変位部材の相互に対向する両外側面にそれぞれ装着され、一部が前記外側面よりも突出するように設けられた一組の保持プレートと、 前記第1変位部材に連結されて該第1変位部材と一体的に変位するように設けられ、前記一組の保持プレートにそれぞれ接触する一組の折曲部を有する保持部材と、 一端部が前記第1変位部材に係着され他端部が前記第2変位部材に係着されて、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを軸線方向に沿って離間する方向に付勢するばね部材と、 前記第2変位部材の相互に対向する両外側面に係止された一組のピン部材と、 を備え、 前記保持プレートと接触する前記保持部材の折曲部には、前記ピン部材と係合する係合用孔部が形成されることを特徴とするゲートバルブ。」 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である保持プレートが「一組の」ものであり、かつ、第2変位部材の「相互に対向する両」外側面に「それぞれ」装着するとの限定を付加し、また、「保持部材」について、「第1変位部材に連結されて」設けられ、一組の保持プレートに「それぞれ」接触する「一組の折曲部を有する」ものとの限定を付加するとともに、「一端部が第1変位部材に係着され他端部が第2変位部材に係着されて、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを軸線方向に沿って離間する方向に付勢するばね部材と、前記第2変位部材の相互に対向する両外側面に係止された一組のピン部材と」を備え、「保持プレートと接触する保持部材の折曲部には、ピン部材と係合する係合用孔部が形成され」るとの構成を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-356271号公報(平成12年12月26日公開、以下「引用例1」という。)には、「ゲートバルブ」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】駆動源と、 前記駆動源の駆動軸に連結され、該駆動源の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第1変位部材と、 前記第1変位部材と一体的に軸線方向に沿って変位するとともに、軸線方向に沿った変位終端において支持部材を支点として傾動自在に設けられた第2変位部材と、 前記第2変位部材に連結された弁ロッドを介して通路を開閉する弁ディスクと、 前記第1変位部材と第2変位部材とを変位方向に沿って位置決めした状態で一体的に保持する位置決め保持手段と、 を備えることを特徴とするゲートバルブ。 【請求項2】請求項1記載のゲートバルブにおいて、 前記位置決め保持手段は、第1変位部材と第2変位部材との間に介装されたばね部材と、前記第1変位部材の側面に係止されたピン部材と、前記第2変位部材の側面に形成されピン部材が係合する係合用溝部とを含むことを特徴とするゲートバルブ。」(特許請求の範囲) ・「【0030】さらに、駆動部22は、図2および図3に示されるように、ロックナット74およびスペーサ76を介してピストンロッド64の他端部に固定されるレバー部材(第1変位部材)78と、前記レバー部材78と一体的に変位する変位部材(第2変位部材)80とを有する。」 ・「【0042】前記ピストンロッド64が上昇することにより、該ピストンロッド64とともにレバー部材78、変位部材80、弁ロッド24a、24bおよび弁ディスク26が一体的に上昇する。この場合、レバー部材78はばね部材84の弾発力によって下方側に押圧された状態にあり、前記レバー部材78の両側面に固着された一組のピン部材94が変位部材80の係合用溝部96の下端部96aに保持されることにより、レバー部材78と変位部材80とは、それぞれ、上下方向および前後方向(図3において、紙面と略直交する方向)の位置ずれを防止した所定位置に位置決め保持された状態にある。従って、レバー部材78および変位部材80は、前記所定位置に位置決め保持された状態で一体的に上昇する。」 これらの記載によると、引用例1には、 「駆動源と、前記駆動源の駆動軸に連結され、該駆動源の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第1変位部材と、前記第1変位部材と一体的に軸線方向に沿って変位するとともに、軸線方向に沿った変位終端において支持部材を支点として傾動自在に設けられた第2変位部材と、前記第2変位部材に連結された弁ロッドを介して通路を開閉する弁ディスクと、前記第1変位部材と第2変位部材とを変位方向に沿って位置決めした状態で一体的に保持する位置決め保持手段と、を備え、前記位置決め保持手段は、第1変位部材と第2変位部材との間に介装され、第1変位部材を弾発力によって下方側に押圧するばね部材と、前記第1変位部材の両側面に係止された一組のピン部材と、前記第2変位部材の側面に形成されピン部材が係合する係合用溝部とを含むゲートバルブ。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)対比 本願補正発明と引用発明を対比する。前者において、「保持部材」は第1変位部材に連結されて該第1変位部材と一体的に変位するように設けられるとともに一組の折曲部を有し、また、第2変位部材の相互に対向する両外側面に係止された一組のピン部材が設けられ、かつ、前記折曲部にはピン部材と係合する係合用孔部が形成されている。一方、後者においては、「位置決め保持手段」として、第1変位部材の両側面に係止された一組のピン部材と、第2変位部材の側面に形成されピン部材が係合する係合用溝部とが設けられている。よって、後者における「第1変位部材」は、前者における「保持部材」と、「第2変位部材の相互に対向する外側面と対向する保持面を有する保持する部材」である点で共通するといえる。また、後者における「第1変位部材の両側面に係止された一組のピン部材と、第2変位部材の側面に形成されピン部材が係合する係合用溝部」と、前者における「第2変位部材の相互に対向する両外側面に係止された一組のピン部材」および保持部材の折曲部に形成された、ピン部材と係合する「係合用孔部」とは、「保持する部材と第2変位部材に設けられた、ピン部材を用いた係合部材」である点で共通するといえる。 また、後者における「第1変位部材と第2変位部材との間に介装され、第1変位部材を弾発力によって下方側に押圧するばね部材」は第1変位部材と第2変位部材とを軸線方向に沿って離間する方向に付勢しているので、前者における「一端部が第1変位部材に係着され他端部が第2変位部材に係着されて、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを軸線方向に沿って離間する方向に付勢するばね部材」に相当する。 したがって、両者は、「駆動源と、前記駆動源の駆動軸に連結され、該駆動源の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第2変位部材を保持する変位部材と、前記第1変位部材と一体的に軸線方向に沿って変位するとともに、軸線方向に沿った変位終端において支持部材を支点として傾動自在に設けられた第2変位部材と、前記第2変位部材に連結された弁ロッドを介して通路を開閉する弁ディスクと、第2変位部材の相互に対向する外側面と対向する保持面を有する保持する部材と、一端部が前記第1変位部材に係着され他端部が前記第2変位部材に係着されて、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを軸線方向に沿って離間する方向に付勢するばね部材と、保持する部材と第2変位部材に設けられた、ピン部材を用いた係合部材を備えたゲートバルブ。」である点で一致し、次の各点において相違する。 [相違点1] 「保持する部材」について、本願補正発明においては、「第1変位部材に連結されて該第1変位部材と一体的に変位するように設けられ、一組の折曲部を有する保持部材」であるのに対して、引用発明においては、「第1変位部材」が該部材を兼ねている点。 [相違点2] 「保持する部材と第2変位部材に設けられた、ピン部材を用いた係合部材」について、本願補正発明においては、第2変位部材の相互に対向する両外側面に係止された一組のピン部材と保持部材の折曲部に形成された、ピン部材と係合する係合用孔部であるのに対し、引用発明においては、第1変位部材の両側面に係止された一組のピン部材と、第2変位部材の側面に形成されピン部材が係合する係合用溝部である点。 [相違点3] 本願補正発明においては、「第2変位部材の相互に対向する両外側面にそれぞれ装着され、一部が外側面よりも突出するように設けられた一組の保持プレート」を備えているのに対し、引用発明においては、かかる構成を備えていない点。 (4)判断 相違点1について、引用発明における「第1変位部材」も、第2変位部材の両外側面に対向する面を有しており、機能的には本願補正発明における「保持部材」と格別な差異があるとは認められない。また、部材を形成する上で、製造上の観点から部材を適宜分割することは、例示するまでもなく、周知の技術であり、「保持部材」を「第1変位部材」とは別体として構成することは、当業者にとって、適宜採用しうる設計上の事項にすぎない。 相違点2について、該相違点は、ピン部材と係合する相手が、本願補正発明においては孔部であるのに対し、引用発明においては溝であり、また、ピン部材が設けられているのが、本願補正発明においては、「第2変位部材」であるのに対し、引用発明においては、本願補正発明における「保持部材」に対応する「第1変位部材」である点であるといえるが、ピン部材の係合相手を孔とすることは周知であり(一例として、特開平8-279696号公報参照)、また、ピン部材と、該ピン部材と係合する孔または溝を設けるに際し、対向する部位のいずれの一方にピン部材を、他方に孔または溝を設けても作用、効果上格別な差異は認められず、該相違点2に関する相違は、当業者にとって適宜選択しうる事項にすぎない。 相違点3について、本願補正発明においては、段落【0009】、あるいは【0053】に記載されているように、「保持プレート」を設けることにより、組み付け誤差または製造誤差があった場合でも、第2変位部材の直線精度が確保され、前記誤差に起因してガタ等が発生することを防止できるものと認められるが、摺動する2つの構成部材間に、本願補正発明における「保持プレート」のような摺動部材を設け、ガタを防止することは周知技術であり(例えば、実願平3-85290号(実開平6-3760号)のCD-ROM段落【0007】、特開平11-62955号公報、特開平8-93760号公報参照)、該相違点3にかかる構成は、当業者にとって、該周知技術に基づいて、容易に採用しうる構成にすぎない。 そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1に記載された事項、および周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明、および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成16年12月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「駆動源と、 前記駆動源の駆動軸に連結され、該駆動源の駆動作用下に軸線方向に沿って変位する第1変位部材と、 前記第1変位部材と一体的に軸線方向に沿って変位するとともに、軸線方向に沿った変位終端において支持部材を支点として傾動自在に設けられた第2変位部材と、 前記第2変位部材に連結された弁ロッドを介して通路を開閉する弁ディスクと、 前記第2変位部材の外側面に装着され、一部が前記外側面よりも僅かに突出するように設けられた保持プレートと、 前記第1変位部材と一体的に変位するように設けられ、前記保持プレートに接触することにより、前記第2変位部材の直線運動を確保する保持部材と、 を備えることを特徴とするゲートバルブ。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した引用例、及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から保持プレートが「一組の」ものであり、かつ、第2変位部材の「相互に対向する両」外側面に「それぞれ」装着するとの限定を省き、「保持部材」について、「第1変位部材に連結されて」設けられ、「一組の」保持プレートに「それぞれ」接触する「一組の折曲部を有する」ものとの限定を省くとともに、「一端部が第1変位部材に係着され他端部が第2変位部材に係着されて、前記第1変位部材と前記第2変位部材とを軸線方向に沿って離間する方向に付勢するばね部材と、前記第2変位部材の相互に対向する両外側面に係止された一組のピン部材と、」を備え、「保持プレートと接触する保持部材の折曲部には、ピン部材と係合する係合用孔部が形成され」るとの構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明、および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-06-14 |
結審通知日 | 2007-06-19 |
審決日 | 2007-07-02 |
出願番号 | 特願2001-206984(P2001-206984) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F16K)
P 1 8・ 575- Z (F16K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齊藤 公志郎、柳田 利夫 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
丸山 英行 本庄 亮太郎 |
発明の名称 | ゲートバルブ |
代理人 | 千葉 剛宏 |
代理人 | 宮寺 利幸 |