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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1164756
審判番号 不服2004-19107  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-16 
確定日 2007-09-20 
事件の表示 平成 9年特許願第108746号「オーダーデータ処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月13日出願公開、特開平10-301989〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年4月25日の出願であって、平成16年8月6日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月18日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年10月18日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年10月18日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
平成16年10月18日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は、
「オーダーメニューを含むオーダーデータを入力可能なデータ入力手段と入力された各オーダーデータを管理可能なオーダー管理手段と管理中のオーダーデータについて会計処理可能な会計手段とを有するオーダーデータ処理装置において、前記オーダーデータ入力手段は係員用オーダーデータ入力手段と調理人用オーダーデータ入力手段とを有し、前記係員用オーダーデータ入力手段は、そのオーダーデータ入力手段から選択されたメニューを表示する表示器と、前記オーダーデータ入力手段から選択されたすべてのメニューを前記表示器に表示する表示手段と、前記表示器に表示されたメニューのうち選択されたメニューの調理指示をする調理指示手段と、この調理指示手段によって調理指示されたメニューを前記オーダー管理手段に送信する手段と、前記オーダー管理手段から送信された配膳指示されたメニューについて配膳指示の旨を前記表示器に表示する配膳指示表示手段と、配膳指示がされているメニューについて配膳完了を入力する配膳完了入力手段と、この配膳完了入力手段によって入力された配膳完了を前記オーダー管理手段に送信する手段と、配膳完了が入力されたメニューについて配膳完了の旨を前記表示器に表示されたすべてのメニューのうちの当該メニューに対応させて表示する配膳完了表示手段とを備え、前記調理人用オーダーデータ入力手段は、調理済の各メニューごとに配膳指示を入力する配膳指示入力手段と、この配膳指示入力手段によって入力された配膳指示を前記オーダー管理手段に送信する配膳指示送信手段とを備え、前記オーダー管理手段は、前記調理人用オーダーデータ入力手段から送信された配膳指示を前記係員用オーダーデータ入力手段に送信する配膳指示転送手段を備えたオーダーデータ処理装置。」
と補正された。

(2)補正の目的
請求項1に係る本件補正は、補正前の請求項1の記載に「前記オーダーデータ入力手段から選択されたすべてのメニューを前記表示器に表示する表示手段と」の記載を追加する補正事項を含むものである。
補正後の請求項1に記載された「前記オーダーデータ入力手段から選択されたすべてのメニューを前記表示器に表示する表示手段」は、補正前の請求項1に記載された「そのオーダーデータ入力手段から選択されたメニューを表示する表示器表示器」、「この表示器に表示されたメニューのうち選択されたメニューの調理指示をする調理指示手段」、「この調理指示手段によって調理指示されたメニューを前記オーダー管理手段に送信する手段」、「前記オーダー管理手段から送信された配膳指示されたメニューについて配膳指示の旨を前記表示器に表示する配膳指示表示手段」、「配膳指示がされているメニューについて配膳完了を入力する配膳完了入力手段」、「この配膳完了入力手段によって入力された配膳完了を前記オーダー管理手段に送信する手段」、「配膳完了が入力されたメニューについて配膳完了の旨を前記表示器に表示する配膳完了表示手段」等の手段の下位概念とは認められず、それらの手段と同位の概念であるので、当該補正事項は、補正前の請求項1に記載された「係員用オーダーデータ入力手段」に新たに「表示手段」を追加するものであり、補正前の請求項1に記載された発明特定事項を限定的に減縮するものとは認められず、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮( 第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものに該当するとは認められない。
また、当該補正事項は、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」、同第3号に掲げられた「誤記の訂正」、及び同第4号に掲げられた「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」のいずれかを目的とするものに該当しないのは明らかである。
したがって、当該補正事項は特許法第17条の2第4項の規定を満たしていないので、当該補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反してなされたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明
平成16年10月18日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年10月27日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「オーダーメニューを含むオーダーデータを入力可能なデータ入力手段と入力された各オーダーデータを管理可能なオーダー管理手段と管理中のオーダーデータについて会計処理可能な会計手段とを有するオーダーデータ処理装置において、前記オーダーデータ入力手段は係員用オーダーデータ入力手段と調理人用オーダーデータ入力手段とを有し、前記係員用オーダーデータ入力手段は、そのオーダーデータ入力手段から選択されたメニューを表示する表示器と、この表示器に表示されたメニューのうち選択されたメニューの調理指示をする調理指示手段と、この調理指示手段によって調理指示されたメニューを前記オーダー管理手段に送信する手段と、前記オーダー管理手段から送信された配膳指示されたメニューについて配膳指示の旨を前記表示器に表示する配膳指示表示手段と、配膳指示がされているメニューについて配膳完了を入力する配膳完了入力手段と、この配膳完了入力手段によって入力された配膳完了を前記オーダー管理手段に送信する手段と、配膳完了が入力されたメニューについて配膳完了の旨を前記表示器に表示する配膳完了表示手段とを備え、前記調理人用オーダーデータ入力手段は、調理済の各メニューごとに配膳指示を入力する配膳指示入力手段と、この配膳指示入力手段によって入力された配膳指示を前記オーダー管理手段に送信する配膳指示送信手段とを備え、前記オーダー管理手段は、前記調理人用オーダーデータ入力手段から送信された配膳指示を前記係員用オーダーデータ入力手段に送信する配膳指示転送手段を備えたオーダーデータ処理装置。」

4.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由として引用された特開平8-153282号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「【0035】上記の情報管理装置は、図1に示すように、店舗内システムを構築する店舗内情報管理装置(以下、管理装置と称する)1と、複数の店舗の管理装置1…の情報を管理・統合する本体装置2とで構成されている。管理装置1は、各店舗に設置されており、情報処理装置(以下、システム装置と称する)3と、各種端末装置4・5…・6…・7…とで構成されている。」(第4頁右欄第39行-同頁同欄第45行)

(b)「【0037】システム装置3は、CPU11、外部記憶装置12、記憶装置13、プリンタ14、タイマ15、表示装置16、レジスター(ドロア)17、キーボード18、入力装置19、インターフェイス20?23、およびモデム24を備えている。CPU11や外部記憶装置12、記憶装置13、プリンタ14、タイマ15、表示装置16、キーボード18は、店舗内の所定位置、例えば店長室等に設置されている。
【0038】CPU(制御手段、切替手段)11は、各種コントローラを備えることによりコントロール機能を有しており、管理装置1全体を制御するための各種演算処理を行うと共に、記憶装置13等に記憶されている各種情報の集計および分類等を行う。また、CPU11は、各種コントローラやインターフェイス20?23、モデム24等を介して、無線回線で、各種端末装置4・5…・6…・7…、表示装置16、情報処理装置2a等から各種情報を必要に応じて受信すると共に、これら装置4・5…・6…・7…・16・2a等に、各種情報や制御信号等を必要に応じて送信する。さらに、CPU11は、上記装置4・5…・6…・7…・16間の情報の送受信(通信)を中継するようになっている。また、CPU11は、記憶装置13等に記憶されている各種情報のうち、例えば、調理や配膳が済んだり、或いは客に対する精算処理が終了する等して不要となった情報を必要に応じて消去(削除)するようになっている。」(第5頁左欄第6行-同頁同欄第30行)

(c)「【0059】携帯用端末装置(オーダー情報入力手段、表示手段)5…は、タイマ等からなる計時装置(計時手段)を備えており、各接客店員に携帯され、無線回線によりインターフェイス21を介してCPU11との間で情報の送受信を適宜行う。携帯用端末装置5は、タッチパネルによって入力されたオーダー情報、つまり料理の種類等を記憶装置に記憶し、表示画面に表示すると共に、該オーダー情報をシステム装置3に送信する。該オーダー情報は、客のオーダーに関する情報であり、具体的には、オーダーを受けた接客店員を示すID番号、テーブル番号、座席番号、人数、このオーダー情報を送信する携帯用端末装置5の装置番号、オーダーを受けた時刻、オーダーを受けた料理の料理番号等を含む。また、上記のオーダー情報は、システム装置3を介して情報処理端末装置4および厨房内端末装置6…にも送信される。さらに、携帯用端末装置5は、オーダー情報が入力されることにより、空席が占められたことを示す座席情報を発生して、記憶装置に記憶すると共に、システム装置3に送信する。そして、システム装置3のタイマ15は、該座席情報を受信すると、客が座席に着いてオーダーがなされたことを示すスタンプ(カウント・アップ)を行う。
【0060】尚、携帯用端末装置5の表示画面に表示されている各種情報のうち、例えば、調理や配膳が済んだり、或いは客に対する精算処理が終了する等して不要となった情報は、タッチパネルによって信号が入力されることにより記憶装置から消去される。また、携帯用端末装置5の個数は、特に限定されるものではなく、例えば、接客店員の人数等に応じて適宜増減される。
【0061】また、携帯用端末装置5は、プリンタを内蔵しており、客がオーダーした料理の種類を、その個数や料金、伝票番号等と共に伝票情報としてプリントアウトする。即ち、プリントアウトされた用紙は、請求書(勘定書)となっている。尚、請求書は、食事が済んだ後、客若しくは接客店員によりレジスター17に運搬される。」(第7頁右欄第27行-第8頁左欄第12行)

(d)「【0063】そして、厨房内端末装置6は、タッチパネルによって調理が済んだことを示す調理済情報が入力されるようになっている。つまり、調理人は、表示画面に表示されたオーダー情報に基づいて調理し、料理が出来上がると、料理を配膳台に載置すると共に、タッチパネルによって調理が済んだことを示す調理済情報を入力するようになっている。入力された上記調理済情報は、記憶装置に記憶され、システム装置3に送信されると共に、システム装置3を介して厨房外端末装置7…、および該当する携帯用端末装置5にも送信される。
【0064】尚、上記の調理済情報には、料理の状況(例えば調理中等)に関する情報も含まれる。また、厨房内端末装置6の表示画面に表示されている各種情報のうち、例えば、調理や配膳が済む等して不要となった情報は、タッチパネルによって信号が入力されることにより記憶装置から消去される。厨房内端末装置6の個数は、特に限定されるものではなく、例えば、調理人の人数や、厨房の広さ等に応じて適宜増減される。
【0065】上記の表示内容により、調理人は、オーダー情報、即ち、オーダーされた料理の種類や個数、オーダー順等を一目で確認することができる。このため、同じ料理を一度に作り上げる等、調理を効率的に行うことができる。また、調理人は、タッチパネルによって調理済情報を入力するだけで、料理が出来上がったことを接客店員に簡単に知らせることができる。
【0066】厨房外端末装置(料理情報入力手段、表示手段)7…は、厨房外における見易くかつ取り扱い易い位置、例えば配膳台の近傍に設置され、無線回線によりインターフェイス23を介してCPU11との間で情報の送受信を適宜行う。厨房外端末装置7は、システム装置3を介して送信されてきた調理済情報を受信して記憶装置に記憶し、料理の配膳が可能となったことを表示画面に表示すると共に、接客店員に対して各種指示や店舗内の状況等の各種情報等を表示する。つまり、図5に示すように、表示画面には、所定のデータファイルフォーマットに従って、調理した調理人を示すID番号欄7k、オーダーを受けた接客店員を示すID番号欄7a、テーブル番号および座席番号を示すテーブル番号欄7b、料理が出来上がった時刻を示す時刻欄7c、料理番号欄7dおよび料理名欄7eからなるオーダー欄7f、個数を示す個数欄7g、該料理がそのテーブルで何番目にオーダーされたかを示すオーダー番号欄7h、上記各欄7a?7h・7kの表示内容をスクロールするスクロール・キー7i・7jが上記厨房内端末装置6の表示画面と同様に表示される。また、表示画面上において、全オーダー情報は料理の出来上がり順に一覧表として一括表示されると共に、或るオーダーに関するオーダー情報は一行で表示される。尚、厨房外端末装置7の表示画面に表示される上記調理済情報は、該当する携帯用端末装置5の表示画面にも表示される。」(第8頁左欄第35行-同頁右欄第34行)

(e)「【0075】次に、予約客が来店すると、接客店員は、情報処理端末装置4の表示画面に表示されている状況欄4c…(図6)を確認し、緑の点滅で表示されているテーブルに客を案内する。尚、客が予約無しで来店した場合には、接客店員は、情報処理端末装置4の表示画面に表示されている状況欄4c…を確認し、白で表示されているテーブルに客を案内すると共に、該テーブルの仮押さえを行う。
【0076】客が着席し、接客店員がオーダーを受けると、図10に示すように、該接客店員によって携帯用端末装置5にオーダー情報が入力され(S1)、該携帯用端末装置5は上記のオーダー情報を記憶装置に記憶する。携帯用端末装置5の計時装置は、オーダーを受けた時刻を情報として発生すると共に、客が座席に着いてオーダーがなされたことを示すスタンプ(カウント・アップ)を行う(S2)。また、携帯用端末装置5は、記憶装置からオーダーを受けた接客店員を示すID番号やオーダー番号等の情報を読み出す(S3)。そして、携帯用端末装置5は、インターフェイス21を介して、上記のオーダー情報やID番号等の各種情報をシステム装置3のCPU11に送信する(S4)。CPU11は、該各種情報を受信し、各種演算処理を行った後、その結果を記憶装置13に記憶する(S5)。
【0077】次に、CPU11は、記憶装置13に記憶された各種情報をインターフェイス20・22を介して、情報処理端末装置4、および該当する厨房内端末装置6…に送信する(S6)。情報処理端末装置4および厨房内端末装置6…は、受信した各種情報を記憶装置に記憶すると共に、座席情報やオーダー情報等の各種情報を表示画面に表示する(S7)。
【0078】その後、調理が済んで所望の料理が出来上がると、図11に示すように、調理人によって厨房内端末装置6に調理済情報が入力され(S11)、該厨房内端末装置6は上記の調理済情報を記憶装置に記憶する。また、厨房内端末装置6は、記憶装置から調理人を示すID番号等の情報を読み出し、インターフェイス22を介して、上記の調理済情報やID番号等の各種情報をCPU11に送信する(S12)。CPU11は、受信した各種情報に基づいて、該当する情報を記憶装置13から読み出し、該情報に対して例えば経過欄38h(図8)の表示を「3」に切り替える等の各種演算処理を行った(S13)後、この情報を記憶装置13に再度記憶すると共に、表示装置16、情報処理端末装置4、厨房外端末装置7…、該当する携帯用端末装置5等に送信する(S14)。
【0079】情報処理端末装置4、携帯用端末装置5、および厨房外端末装置7…では、該各種情報を受信し、この情報を記憶装置に記憶すると共に、表示画面に表示する(S15)。また、各種端末装置4・5・7…における上記動作が終了すると、CPU11は、厨房内端末装置6に情報を送信し、該厨房内端末装置6においては、受信した各種情報に基づいて、該当する情報を記憶装置から消去する(S16)。
【0080】次いで、携帯用端末装置5または厨房外端末装置7…に表示された上記各種情報が接客店員によって確認され、オーダーを受けたテーブルに料理が配膳されると、図12に示すように、該接客店員によって携帯用端末装置5(或いは厨房外端末装置7)に配膳済情報が入力され(S21)、該携帯用端末装置5は上記の配膳済情報を記憶装置に記憶する。また、携帯用端末装置5は、記憶装置から接客店員を示すID番号等の情報を読み出し、インターフェイス21を介して、上記の配膳済情報やID番号等の各種情報をCPU11に送信する(S22)。CPU11は、受信した各種情報に基づいて、該当する情報を記憶装置13から読み出し、該情報に対して例えば経過欄38hの表示を「4」に切り替える等の各種演算処理を行った(S23)後、この情報を記憶装置13に再度記憶すると共に、表示装置16、情報処理端末装置4、厨房外端末装置7…、該当する携帯用端末装置5等に送信する(S24)。」(第9頁右欄第11行-第10頁左欄第30行)

(f)「【0088】本実施例にかかる情報管理装置は、以上のように、予約に関する情報が入力される情報処理装置2aと、座席31a…に関する情報が入力される情報処理端末装置4と、客のオーダーに関する情報が入力される携帯用端末装置5…と、オーダーに従って調理される料理に関する情報が入力される厨房内端末装置6…および厨房外端末装置7…と、上記各装置4・5…・6…・7…・2a等と通信可能であり、かつ、これら装置4・5…・6…・7…・2a等に入力された情報に対して各種演算処理を行い、その演算結果に基づいて上記各種端末装置4・5…・6…・7…等を制御するCPU11と、上記各種端末装置4・5…・6…・7…等に一体的に設けられ、上記各種情報を表示する複数の表示装置(表示装置16および各種端末装置4・5…・6…・7…の表示装置)とを備えている構成である。
【0089】このため、上記複数の表示装置には、客が来店してから食事が済んで精算が終了するまでの各種情報をリアルタイムで表示することができる。これにより、いわゆる空席管理、オーダー管理、予約管理等の各種管理、および、例えば各店舗の売上げや稼働効率等の集計等をリアルタイムで一括して迅速かつ正確に行うことができる情報管理装置を提供することができる。」(第11頁左欄第3行-同頁同欄第24行)

また、上記摘記事項(e)及び(f)からみて、「携帯用端末装置(5)」は表示装置を備え、その表示装置に各種情報を表示しており、配膳済情報に基づいて処理された配膳済を表す経過欄の「4」を表示すると認められるので、引用例1に記載された事項において、配膳済の旨を「携帯用端末装置(5)」の表示装置に表示することは明らかである。
してみると、引用例1には、
『料理の種類を含むオーダー情報を入力可能な「携帯用端末装置(5)」及び「厨房内端末装置(6)」と、オーダー情報を管理可能な「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」と、オーダー情報について会計可能な「レジスター(17)」とを有する情報管理装置において、
前記「携帯用端末装置(5)」は、「携帯用端末装置(5)」により選択された料理名を表示する表示装置と、選択された料理についてのオーダー情報を入力するタッチパネルと、タッチパネルにより入力されたこの選択された料理のオーダー情報を「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」に送信する手段と、前記「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」から送信された調理済情報を受信して表示装置に表示する手段と、調理済の料理について配膳済を入力する手段と、この手段によって入力された配膳済情報を「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」に送信する手段と、配膳済情報が入力された料理について配膳済の旨を表す経過欄の「4」を表示装置に表示する手段とを備え、
前記「厨房内端末装置(6)」は、各料理ごとに配膳を指示する調理済情報を入力するタッチパネルと、このタッチパネルにより入力された調理済情報を前記「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」に送信する手段とを備え、
前記「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」は、前記「厨房内端末装置(6)」から送信された調理済情報を前記「携帯用端末装置(5)」に送信する「インターフェイス(21)」を備えた情報管理装置。』
との発明(以下「引用例1発明」という。)が記載されている。

(2)引用例2
原査定で周知技術の一例として引用された特開平3-110669号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(g)「第2図は携帯用無線式入力端末機を図に示したものである。(7)は本体、(8)は電源の入力やメニューの入力時に使用する電源キー、(9)は大型の液晶ディスプレイで上部にシートキーが配され、(10)はメニューの出来上り時に音でそれを伝えるアラームである。第3図は、注文メニューの入力時の具体例である。(11)はオーダのテーブルナンバーを表示する領域、(12)は人数を表示する領域、(13)は注文メニューの名称、数量を表示する領域(14-1?3)はマルチウィンドウ方式によるメニューの表示領域で、(14-1)は大分類で例ではランチを選択していることを示しており、(14-2)は小分類で例ではカレーを選択していることを示しており、(14-3)はメニューで例ではインドカレーを選択していることを示している。この例は注文メニュー人力の一例であって、大型液晶ディスプレイとシートキーとの組み合せによりフレキシブルな表示、入力が行えることを示している。
次に、第1図、第2図、第3図を参照してこの発明の実施例の具体的な動作について説明する。
まずウエイターはお客の注文を携帯用端末(2)にテーブルナンバー、人数、メニュー、数量等を入力する。このとき、携帯用端末(2)では、コントローラ(6)から事前に送信されている品切メニューについてチエツクを行い、第4図(a)に示すような品切れ表示を行う。全ての注文をとり終えた後送受信機(3)に注文情報を送信する。これを受信した受信機(3)はコントローラ(6)に対して送信する。コントローラ(6)ではこの情報を蓄積し調理中ディスプレイ(4)へ送信する。厨房の調理人はこれを見て調理にとりかかるが、この時調理開始入力を行う。」(第2頁右上欄第3行-同頁左下欄第13行)

してみると、引用例2には、
「携帯用無線式入力端末機から選択されたカレーのメニューを大型液晶ディスプレイに表示し、大型液晶ディスプレイに表示されたカレーのメニューからインドカレーを選択して、インドカレーの注文情報を送信する」
との事項が記載されている。

5.対比
本願発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「料理の種類」、「オーダー情報」、「携帯用端末装置(5)」、「表示装置」、「厨房内端末装置(6)」、「レジスター(17)を除くシステム装置(3)」、「レジスター(17)」、「情報管理装置」、「配膳済情報」は、本願発明の「オーダーメニュー」、「オーダーデータ」、「係員用オーダーデータ入力手段」、「表示器」、「調理人用オーダーデータ入力手段」、「会計手段」、「オーダーデータ処理装置」、「配膳完了」に相当する。
また、引用例1発明において、「携帯用端末装置(5)」のタッチパネルにより調理すべき料理のオーダー情報が設定されるので、引用例1発明の「携帯用端末装置(5)」の「タッチパネル」が、本願発明の「調理指示手段」に相当する。
また、引用例1発明において、調理済の料理は配膳されるので、引用例1発明の「調理済情報」は、本願発明の「配膳指示」に相当し、引用例1発明の「調理済情報を入力された料理」は、本願発明の「配膳指示されたメニュー」又は「配膳指示されるメニュー」に相当する。
これらの点を考慮すると、本願発明と引用例1発明は、
「オーダーメニューを含むオーダーデータを入力可能なデータ入力手段と入力された各オーダーデータを管理可能なオーダー管理手段と管理中のオーダーデータについて会計処理可能な会計手段とを有するオーダーデータ処理装置において、
前記オーダーデータ入力手段は係員用オーダーデータ入力手段と調理人用オーダーデータ入力手段とを有し、
前記係員用オーダーデータ入力手段は、そのオーダーデータ入力手段から選択されたメニューを表示する表示器と、この選択されたメニューの調理指示をする調理指示手段と、この調理指示手段によって調理指示されたメニューを前記オーダー管理手段に送信する手段と、前記オーダー管理手段から送信された配膳指示されたメニューについて配膳指示の旨を前記表示器に表示する配膳指示表示手段と、配膳指示がされているメニューについて配膳完了を入力する配膳完了入力手段と、この配膳完了入力手段によって入力された配膳完了を前記オーダー管理手段に送信する手段と、配膳完了が入力されたメニューについて配膳完了の旨を前記表示器に表示する配膳完了表示手段とを備え、
前記調理人用オーダーデータ入力手段は、調理済の各メニューごとに配膳指示を入力する配膳指示入力手段と、この配膳指示入力手段によって入力された配膳指示を前記オーダー管理手段に送信する配膳指示送信手段とを備え、
前記オーダー管理手段は、前記調理人用オーダーデータ入力手段から送信された配膳指示を前記係員用オーダーデータ入力手段に送信する配膳指示転送手段を備えたオーダーデータ処理装置。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明では、オーダー入力手段から選択されたメニューを表示器に表示し、前記表示器に表示されたメニューのうち選択されたメニューの調理指示をするのに対して、引用例1発明では、選択されたメニューの調理指示を行なうものの、そのようなことは行なっていない点。

6.判断
(相違点1について)
引用例2には、携帯用無線式入力端末機から選択されたカレーのメニューを大型液晶ディスプレイに表示し、大型液晶ディスプレイに表示されたカレーのメニューからインドカレーを選択して、インドカレーの注文情報を送信することが記載されており、引用例2に記載された事項の「携帯用無線式入力端末機」、「選択されたカレーのメニュー」、「インドカレー」、「大型液晶ディスプレイ」は、本願発明の「係員用オーダーデータ入力手段」、「選択されたメニュー」、「表示されたメニューのうち選択されたメニュー」、「表示器」に対応するので、引用例1発明において、オーダー入力手段から選択されたメニューを表示器に表示し、前記表示器に表示されたメニューのうち選択されたメニューの調理指示をすることは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用例1発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1及び引用例2から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用例1発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-19 
結審通知日 2007-07-24 
審決日 2007-08-06 
出願番号 特願平9-108746
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 田川 泰宏
森次 顕
発明の名称 オーダーデータ処理装置  
代理人 波多野 久  

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