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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1165489
審判番号 不服2003-6154  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-10 
確定日 2007-10-11 
事件の表示 特願2000-317066「情報附帯システム,物品流通方法,記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月26日出願公開,特開2002-123654〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成12年10月17日の出願であって,平成14年11月25日付け拒絶理由通知に応答して平成15年2月3日付けで手続補正がなされたが,同年3月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月10日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同年5月12日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成15年5月12日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年5月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲を,本件補正前の
「【請求項1】単独で流通可能な物品の生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において設けられる端末装置と,前記物品に取り付けられた記録媒体とを有し,前記物品を流通させつつ,前記端末装置によって,前記記録媒体に対して情報の読み書きを行う情報附帯システムであって,
前記端末装置は,
前記物品が自身の端末装置が設けられた流通過程を流通する場合に,前記物品に対して生成される情報を該物品に取り付けられた前記記録媒体に書き込む書き込み部と,
前記物品が流通されてきた場合に,自身の端末装置が設けられた流通過程以外の過程において書き込まれた情報について前記物品に取り付けられた前記記録媒体から読み出す読み出し部と,
前記読み出し部によって読み出された情報を表示する表示部とを有し,
前記記録媒体は,
前記端末装置の書き込み部による前記情報の書き込みが可能であるとともに,前記端末装置の読み出し部からの情報の読み出し指示に基づいて前記情報の読み出しが可能な記憶領域を有する
ことを特徴とする情報附帯システム。
【請求項2】前記生産過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の生産に関する情報である製品情報であり,
前記輸送過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の輸送状況に関する情報である輸送情報であり,
前記販売過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の販売日に関する情報である販売情報であり,
前記利用過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の修理履歴に関する情報である修理対応情報であり,
前記廃棄過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品をリサイクルした回数または前記物品の耐用年数に関する情報を含む情報である
ことを特徴とする請求項1記載の情報付帯システム。
【請求項3】前記記録媒体は,前記物品を構成する部品毎に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報附帯システム。
【請求項4】前記利用過程において前記物品に対して生成される情報は,前記物品を修理履歴に関する情報である修理対応情報であり,
前記利用過程において設けられた端末装置は,前記物品に対して修理が行われた場合に,該行われた修理に関する情報を修理履歴として,前記物品に取り付けられた記録媒体に前記書き込み部によって書き込むとともに,
前記廃棄過程に設けられた端末装置は,
前記廃棄過程に物品が流通されてきた場合に,前記利用過程における端末装置によって書き込まれた前記修理対応情報を前記記録媒体から読み出し,読み出された修理対応情報に基づいて,前記記録媒体が取り付けられた物品がリサイクル可能か否かを検出し,リサイクル不能である場合に廃棄処理に仕分け機構によって仕分けする仕分け部
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の情報付帯システム。
【請求項5】前記仕分け部は,前記物品が解体された部品に取り付けられた記録媒体から読み出される修理対応情報に基づいて,部品毎にリサイクル可能か否かを検出して仕分けすることを特徴とする請求項4に記載の情報附帯システム。
【請求項6】前記書き込み部によって行われる前記記録媒体の記憶領域に対する情報の書き込みと前記読み出し部によって行われる前記記録媒体から前記情報の読み出しは,無線通信によって行われることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれかに記載の情報附帯システム。
【請求項7】前記記録媒体は,RFIDタグまたはICタグまたは磁気タグであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれかに記載の情報附帯システム。
【請求項8】単独で流通可能な物品の生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において設けられる端末装置を有する情報付帯システムにおいて用いられる記録媒体であって,
前記端末装置からの書き込み指示に基づいて,前記情報の書き込みが可能であるとともに,前記端末装置の読み出し部からの情報の読み出し指示に基づいて,前記情報の読み出しが可能な記憶領域を有し,
前記記録媒体は,前記物品に取り付けられて該物品とともに前記流通過程を流通されつつ,
前記流通過程に設けられた端末装置からの情報の書き込み指示に基づいて,前記記録領域に前記情報を記憶し,
端末装置からの読み出し指示に基づいて,該読み出し指示を行った端末装置が設けられた流通過程以外の流通過程の端末装置によって書き込まれた情報を読み出し指示を行った端末装置に出力する
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項9】前記記録媒体は,RFIDタグまたはICタグまたは磁気タグであることを特徴とする請求項8記載の記録媒体。
【請求項10】単独で流通可能な物品の生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において設けられる端末装置と,前記物品に取り付けられた記録媒体とを有し,前記物品を流通させつつ,前記端末装置によって,前記記録媒体に対して情報の読み書き可能な情報附帯システムに用いられる物品流通方法であって,
前記物品を前記記録媒体が設けられた状態で各流通過程において流通させつつ,
前記端末装置は,前記物品が自身の端末装置が設けられた流通過程を流通する場合に,前記物品に対して生成される情報を該物品に取り付けられた前記記録媒体に書き込み,前記物品が流通されてきた場合に,自身の端末装置が設けられた流通過程以外の過程において書き込まれた情報について前記物品に取り付けられた前記記録媒体から読み出し,前記読み出し部によって読み出された情報を出力する
ことを特徴とする物品流通方法。」
から,本件補正後の
「【請求項1】単独で流通可能な物品の生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において設けられる端末装置と,前記物品に取り付けられた記録媒体とを有し,前記物品を流通させつつ,前記端末装置によって,前記記録媒体に対して情報の読み書きを行う情報附帯システムであって,
前記端末装置は,
前記物品が自身の端末装置が設けられた流通過程を流通する場合に,前記物品に対して生成される情報を該物品に取り付けられた前記記録媒体に書き込む書き込み部と,
前記物品が流通されてきた場合に,自身の端末装置が設けられた流通過程以外の過程において書き込まれた情報について前記物品に取り付けられた前記記録媒体から読み出す読み出し部と,
前記読み出し部によって読み出された情報を表示する表示部とを有し,
前記記録媒体は,
前記端末装置の書き込み部による前記情報の書き込みが可能であるとともに,前記端末装置の読み出し部からの情報の読み出し指示に基づいて前記情報の読み出しが可能な記憶領域を有し,前記物品を構成する部品毎に取り付けられている
ことを特徴とする情報附帯システム。
【請求項2】前記記録媒体は,さらに前記物品に設けられていることを特徴とする請求項1記載の情報附帯システム。
【請求項3】前記生産過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の生産に関する情報である製品情報であり,
前記輸送過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の輸送状況に関する情報である輸送情報であり,
前記販売過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の販売日に関する情報である販売情報であり,
前記利用過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品の修理履歴に関する情報である修理対応情報であり,
前記廃棄過程の端末装置によって書き込まれる情報は,前記物品をリサイクルした回数または前記物品の耐用年数に関する情報を含む情報である
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の情報付帯システム。
【請求項4】前記利用過程において前記物品に対して生成される情報は,前記物品を修理履歴に関する情報である修理対応情報であり,
前記利用過程において設けられた端末装置は,前記物品に対して修理が行われた場合に,該行われた修理に関する情報を修理履歴として,前記物品に取り付けられた記録媒体に前記書き込み部によって書き込むとともに,
前記廃棄過程に設けられた端末装置は,
前記廃棄過程に物品が流通されてきた場合に,前記利用過程における端末装置によって書き込まれた前記修理対応情報を前記記録媒体から読み出し,読み出された修理対応情報に基づいて,前記記録媒体が取り付けられた物品がリサイクル可能か否かを検出し,リサイクル不能である場合に廃棄処理に仕分け機構によって仕分けする仕分け部
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の情報付帯システム。
【請求項5】前記仕分け部は,前記物品が解体された部品に取り付けられた記録媒体から読み出される修理対応情報に基づいて,部品毎にリサイクル可能か否かを検出して仕分けすることを特徴とする請求項4に記載の情報附帯システム。
【請求項6】前記書き込み部によって行われる前記記録媒体の記憶領域に対する情報の書き込みと前記読み出し部によって行われる前記記録媒体から前記情報の読み出しは,無線通信によって行われることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれかに記載の情報附帯システム。
【請求項7】前記記録媒体は,RFIDタグまたはICタグまたは磁気タグであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれかに記載の情報附帯システム。
【請求項8】単独で流通可能な物品の生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において設けられる端末装置を有する情報付帯システムにおいて用いられる記録媒体であって,
前記端末装置からの書き込み指示に基づいて,前記情報の書き込みが可能であるとともに,前記端末装置の読み出し部からの情報の読み出し指示に基づいて,前記情報の読み出しが可能な記憶領域を有し,
前記記録媒体は,前記物品を構成する部品に取り付けられて該物品とともに前記流通過程を流通されつつ,
前記流通過程に設けられた端末装置からの情報の書き込み指示に基づいて,前記記録領域に前記情報を記憶し,
端末装置からの読み出し指示に基づいて,該読み出し指示を行った端末装置が設けられた流通過程以外の流通過程の端末装置によって書き込まれた情報を読み出し指示を行った端末装置に出力する
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項9】前記記録媒体は,さらに前記物品に設けられていることを特徴とする請求項8記載の記録媒体。
【請求項10】前記記録媒体は,RFIDタグまたはICタグまたは磁気タグであることを特徴とする請求項8または請求項9記載の記録媒体。」
へと補正する補正事項を含むものである。

2 補正の適否
2-1 補正の目的の適否
(1) 本件補正は,平成15年改正前特許法(以下「特許法」という。)第17条の2第1項第3号の規定に基づき,特許請求の範囲についてする補正であるので,その補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない(同条第3項)だけでなく,同条第4項第1号(請求項の削除),第2号(特許請求の範囲の減縮),第3号(誤記の訂正)及び第4号(明りょうでない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものに限られる。
(2) 請求人は,本件補正の目的について特段の主張をしていないが,上記1の補正の内容をみると,本件補正は,本件補正前の請求項10(物品流通方法)を削除するとともに,残りの請求項(情報附帯システム及び記録媒体)について発明特定事項を追加するものであるから,請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を意図したものと解される。
そこで,本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるかについて検討する。
(3) ところで,特許法第17条の2第4項2号の括弧書きの規定によれば,同号にいう「特許請求の範囲の減縮」は,補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって,かつ,補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請されるものというべきであって,補正前の請求項と補正後の請求項とは,一対一又はこれに準じるような対応関係に立つものでなければならない。そうであってみれば,増項補正は,補正後の各請求項の記載により特定される各発明が,全体として,補正前の請求項の記載により特定される発明よりも限定されたものとなっているとしても,上述したような一対一又はこれに準じるような対応関係がない限り,同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しないというべきである。
(4) 本件補正は,本件補正前の請求項10を削除するものであるから,本件補正後の請求項の数は,本件補正前の請求項の数である10より,少なくとも1少ない9以下であるべきところ,本件補正後の請求項の数は,本件補正前の請求項の数と同じ10である。
そこで,本件補正後の請求項と本件補正前の請求項との対応関係をみると,
(ア) 本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項3に対応し,本件補正前の請求項1または2を引用する発明を,請求項1のみを引用する発明に限定し,その記載形式を独立形式としたものであり,
(イ) 本件補正後の請求項2は,本件補正前の請求項1に対応し,本件補正前の「記録媒体」に関し,「前記物品を構成する部品毎に取り付けられている」点,及び,「さらに前記物品に設けられている」点を追加して限定したものであり,
(ウ) 本件補正後の請求項3は,本件補正前の請求項2に対応し,
(エ) 本件補正後の請求項4?7は,それぞれ,本件補正前の請求項4?7に対応し,
(オ) 本件補正後の請求項8は,本件補正前の請求項8に対応し,本件補正前の「記録媒体」に関し,「前記物品を構成する部品に取り付けられている」点を追加して限定したものであり,
(カ) 本件補正後の請求項9は,本件補正前の請求項8に対応し,本件補正前の「記録媒体」に関し,「前記物品を構成する部品に取り付けられている」点,及び,「さらに前記物品に設けられている」点を追加して限定したものであり,
(キ) 本件補正後の請求項10は,本件補正前の請求項9に対応する
と解するのが相当である。
(5) してみると,本件補正後の請求項1?7,及び,10は,本件補正前の請求項と一対一の対応関係に立つものであるということができる。
しかし,本件補正後の請求項8及び9は,共に,本件補正前の請求項8に対応しており,しかも,本件補正前の請求項8は,独立形式の請求項であって,多数項を引用するものではなく,また,発明特定事項が択一的なものとして記載されているわけでもないから,本件補正後の請求項8及び9は,本件補正前の請求項と一対一又はこれに準じるような対応関係に立つものではない。
すなわち,本件補正後の請求項8又は9に係る補正は,一の請求項を分割して実質的に新しい請求項を追加するもの(いわゆる増項補正)である。
したがって,本件補正後の請求項8又は9に係る補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。
そして,本件補正後の請求項8又は9に係る補正が,請求項の削除,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは,明らかである。
(6) したがって,本件補正は,特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項のいずれをも目的としない補正事項を含むものであり,同条第4項の規定に違反する。

2-2 独立特許要件の適否
上記2-1のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるが,仮に,本件補正が,請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合につき,本件補正後の請求項1に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1) 本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は,上記1の補正の内容に摘記した本件補正後の請求項1のとおりである。
(2) 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-334583号公報(以下「引用例」という。)には,下記の事項が開示されている。
(ア) 「【請求項1】製品の再利用方法であるリサイクル処理を判定する製品のリサイクルシステムであって,
前記製品に付加されている情報を読み込む読み込み手段と,
前記製品に付加されている情報と対応付けられた,当該製品を再利用する際の情報のデータベースを記憶する記憶手段と,
前記読み込み手段で読み込んだ製品に付加されている情報に基づいて前記記憶手段に記憶するデータベースの製品を再利用する際の情報を参照して当該製品についての前記リサイクル処理を判定するリサイクル判定手段と,
当該製品についての,前記リサイクル判定手段により判定された結果を出力する出力手段とを有することを特徴とする製品のリサイクルシステム。」
(イ) 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,廃製品の処理(再資源化処理,廃棄処理)を行なうための廃製品処理システムに関する。」
(ウ) 「【0028】つぎに,リサイクル工場6,7におけるリサイクル処理方法判定処理システムについて説明する。図5に,本実施例におけるリサイクルシステムのリサイクル処理方法判定処理システムの構成を示す。
【0029】図5において,リサイクル処理方法判定処理システムは,リサイクル処理方法の判定を行なうリサイクル処理方法判定処理部29,情報を入力するための入力部34,リサイクル工場内の設備等を制御するためのリサイクル工場設備制御部39,各製品ごとの履歴情報を蓄積する履歴情報蓄積部40,製品を再利用する際の情報についてのデータベースを記憶する記憶部350,および,リサイクル処理方法判定処理部29において判定されたリサイクル処理方法の結果を記憶するリサイクル処理方法判定結果記憶部79を備える。
【0030】入力部34としては,種々の廃製品に対応するために以下に示すような装置を備える。
【0031】製品において,製品情報を記憶した製品情報記憶部と,製品情報を外部へ出力するための製品情報出力端子とを有する場合には,この製品の製品情報出力端子に接続され,製品情報を読み出すための情報出力端子接続用コネクタ43を備える。」
(エ) 「【0038】また,リサイクル工場設備制御部39は,処理結果を表示する処理結果表示装置38とリサイクルの分解ライン設備を制御するための分解ライン制御部42と,処理結果等を印刷出力する情報出力プリンタ48とを備える。」
(オ) 「【0071】(1)製品仕様情報(図7に製品仕様情報の詳細を示す)
(a)基本情報
(内容)製造メーカ名,製品種別,製品名,型名,製造年月,製造番号
(入手先)廃製品から入手
(b)設計情報
(内容)外形寸法,質量,性能情報(消費電力量など),構成部品情報(部品番号,部品名称,メーカ,型名,材質,材料メーカ名,数量,質量,有害物・危険物に該当するか否かの情報,再使用品候補か否か,使用履歴など),分解方法,組立方法,品質検査方法など
(入手先)廃製品から入手,または廃製品外部の製品情報データベースより入手
(2)製品履歴情報(図8に製品履歴情報の詳細を示す)
(内容)通電時間,電源投入及び切断回数,使用環境温度など
(入手先)廃製品から入手する。これについては後述する。」
(カ) 「【0073】まず,基本となる製品情報の入手を容易にするために,リサイクル対象であるそれぞれの製品に,以下に示すような特徴を持たせると良い。
【0074】図6に,製品の構成例を示す。図6に示すように,製品には,上述した(1)(a)および(b)に示すような製品仕様情報を記憶する製品仕様情報記憶部21bと,上述した(2)に示すような製品履歴情報を記憶する製品履歴情報記憶部21gと,製品仕様情報記憶部21bおよび製品履歴情報記憶部21gに記憶する情報を出力するための製品情報出力端子21hとを予め設ける。図1に示す生産工場1では,製品の生産時に,予め製品仕様情報記憶部21bのメモリに,図7に示すな製品仕様情報を記録して出荷する。図7に示すように,製品仕様情報記憶部21bは,アドレスおよびアドレスに対する見出しを記憶するアドレス見出し部と,アドレスごとに領域分けされ,それぞれのアドレスに対する見出しについての製品使用情報を記憶するデータ部とを備える。例えば,上述した(1)(a)および(b)に示すような項目を見出しとすることができ,その見出しごとにさらに記憶する項目が分けられている。」
(キ) 「【0113】リサイクル処理方法判定処理装置29は,廃製品21の製品情報(製品仕様情報及び製品履歴情報)を入手した後,入手した製品情報に基づいて,図5に示すリサイクル処理方法判定処理装置29内のリサイクル処理方法判定部31に格納されたリサイクル処理方法判定手順32に従い,必要に応じて各種データベースよりリサイクル処理方法判定に必要な情報を入手しながら,廃製品のリサイクル処理方法を判定する。リサイクル処理方法の判定手順32については上述したように図2に示す手順で行うが,以下,その詳細をさらに述べる。また,リサイクル処理方法判定部31のリサイクル処理方法判定手順32で判定された結果は,リサイクル処理方法判定結果記憶部79に,それぞれの製品の名称および製造番号と判定結果,さらに,再製品化しない製品についてはそのすべての部品(もしくは組品)のそれぞれとその判定結果とが記録される。さらに,それぞれの製品もしくはその部品のそれぞれに判定結果を付加するようにしてもよい。付加する方法としては,後述するように,図15に示すような再使用部品情報64や分解情報62を印字した紙等を付加しておくことができる。」
(ク) 「【0122】つぎに,ステップ204では,再生製品化年月を製品の製品仕様情報記憶部および筐体等に記録し,清掃,梱包等の再生製品化処理が施された後,出荷される。
【0123】なお,再生製品化に当って,部品等を交換した場合は,廃製品21の製品仕様情報記憶部の製品仕様情報にその内容を記録する。具体的には,構成部品情報のデータの中の交換した部品の部品交換年月のアドレスに部品交換年月を記録し,もし交換部品が中古部品の場合は仕様履歴のアドレスにその使用履歴(使用年数)を記録する(図7参照)。また,リサイクル時以外で,例えば製品の保守時等に部品交換が発生した場合も同様の処理を行う必要がある。そのため保守を行うサービスセンタ11等にも,製品仕様情報を変更するための装置が必要である。また,サービスセンタ11に持ち込まないで販売店3で交換する場合もあるので販売店3にも同製品仕様情報を変更するための装置を設置することは必要である。また,販売店3に装置により製品の製品情報記憶部に販売年月日を記録することが可能になり(予め,製品情報記憶部の製品履歴情報記憶部に販売年月日記録用アドレスを設ける。),保証期限の確認が容易になる。また同様に製品履歴情報記憶部に保守履歴情報記録用アドレスを設けることで,製品の保守時にも保守内容と保守年月を製品情報記憶部に記録することが可能になり,次回以降の保守時の参考や再生製品化,部品再使用化の判断材料になる。」
(ケ) 「【0141】図32において,リサイクル処理方法判定部31において,前述したように廃製品の構成部品のリサイクル方法が判定される(ステップ320)と,それぞれの判定結果をリサイクル処理方法判定結果記憶部79が記憶する(ステップ321)。リサイクル処理手順作成部33では,図7に示すような製品仕様情報データベース35からこの廃製品の分解方法もしくは分解手順情報を読み出す(ステップ323)。各分解手順における分離する部品のリサイクル処理方法を,リサイクル処理方法判定結果記憶部79を検索して読み出す(ステップ324)。製品仕様情報データベース35から読み出されたこの廃製品の分解方法もしくは分解手順情報と,リサイクル処理方法判定結果記憶部79から読みだされた分離部品のリサイクル方法とを合わせてリサイクル処理手順として,図5に示す処理結果表示装置38に表示する。処理結果表示装置38に表示する処理結果の内容としては,具体的には,図14に示すような内容が表示される。これについては後述する。」
(コ) 「【0144】図14に示す分解工程において,廃テレビ21が搬送されてくると,処理結果表示装置38には廃テレビ21の分解手順が表示され,その一方で情報出力プリンタ48からは,分解工程で分解,分離する部品に関する情報が紙等に印刷されて出力される。出力される情報は分解工程で分解,分離する部品の番号,名称,材質,質量,リサイクル処理方法,使用履歴,使用されていた製品のメーカ名,製品名,型名,製造年月,製造番号等で,文字およびバーコードで表示される。図14は,廃テレビからカバー60を分解,分離する例を示している。分解作業者61は,処理結果表示装置38に表示された分解手順を見ながら,廃テレビからカバー60を分解,分離する。そして分離したカバー60に情報出力プリンタ48から出力されたカバーに関する分解部品情報62を貼付けて,分解部品搬送ライン63に投入する。投入されたカバー60は,貼付けられたカバーに関する分解部品情報62表示してあるリサイクル処理方法に応じた処理工程へ搬送される。またカバー60が分離された廃テレビ21は,次の分解工程へ搬送され,そこで,上記と同様にして他の部品が分解,分離され,分離された部品は同様に分解部品搬送ラインに投入される。」
(サ) 「【0147】いずれにしても,次処理工程や処理業者などへ送ってリサイクル処理を行う製品,部品,組品,材料には,上記のようなリサイクル処理に必要な情報を付加して送ることが必要である。これにより上記リサイクル処理方法判定処理装置29で判定した適正なリサイクル処理を次々に各工程,業者が実施し,本発明の製品のリサイクルシステムが駆動する。」
(3) 引用発明
上記(コ)において,再利用する製品として記載されているテレビは,単独で流通可能な製品であることは明らかであるから,上記(ア)?(サ)の記載を総合すると,引用例には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているということができる。

「単独で流通可能な製品の生産工場,サービスセンタ又は販売店,リサイクル工場において設けられる装置と,前記製品に付加された製品情報記憶部とを有し,前記製品を流通させつつ,前記装置によって,製品情報記憶部に対して情報の読み書きを行うリサイクルシステムであって,
生産工場に設けられる装置は,製品情報記憶部に製品仕様情報を記録し,
サービスセンタ又は販売店に設けられる装置は,部品等を交換した場合に,製品情報記録部に,その内容を記録し,
サービスセンタ又は販売店に設けられる装置は,製品情報記録部の内容を読出し保守時の参考とし,
リサイクル工場に設けられる装置は,部品等を交換した場合に,製品情報記録部に,その内容を記録し,
リサイクル工場に設けられる装置は,製品情報記録部の内容を読出しリサイクル処理を判定し,判定された結果を表示する
リサイクルシステム。」
(4) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比するに,引用発明の「装置」が,「書き込み部」,「読み出し部」及び「表示部」に相当する手段を具備することは明らかである。
また,引用発明の「製品情報記憶部」が装置の「書き込み部による情報の書き込みが可能であるとともに,読み出し部からの情報の読み出し指示に基づいて情報の読み出しが可能な記憶領域」に相当する手段を有していることも明らかである。
したがって,引用発明における「製品」,「装置」,「製品情報記憶部」及び「リサイクルシステム」は,それらの機能・作用からみて,本願補正発明における「物品」,「端末装置」,「記録媒体」及び「情報附帯システム」にそれぞれ相当する。
そして,引用発明の装置が製品情報記憶部に記録する「製品仕様情報」及び「内容」は,生産工場,サービスセンタ又は販売店,リサイクル工場のそれぞれにおいて生じる情報であるから,引用発明における製品情報記憶部に記録する「製品仕様情報」及び「内容」は,本願補正発明における「前記物品が自身の端末装置が設けられた流通過程を流通する場合に,前記物品に対して生成される情報」に相当する。
そして,引用発明の装置が製品情報記憶部から読み出す「内容」は,製品がサービスセンタ又は販売店やリサイクル工場に搬送される前に製品情報記憶部に記録された「製品仕様情報」及び「内容」であるから,引用発明における製品情報記憶部から読み出す「内容」は,本願補正発明における「前記物品が流通されてきた場合に,自身の端末装置が設けられた流通過程以外の過程において書き込まれた情報」に相当する。
すると,本願補正発明と引用発明とは,次の点で一致する。
(一致点)
「単独で流通可能な物品の流通過程において設けられる端末装置と,前記物品に取り付けられた記録媒体とを有し,前記物品を流通させつつ,前記端末装置によって,前記記録媒体に対して情報の読み書きを行う情報附帯システムであって,
前記端末装置は,
前記物品が自身の端末装置が設けられた流通過程を流通する場合に,前記物品に対して生成される情報を該物品に取り付けられた前記記録媒体に書き込む書き込み部と,
前記物品が流通されてきた場合に,自身の端末装置が設けられた流通過程以外の過程において書き込まれた情報について前記物品に取り付けられた前記記録媒体から読み出す読み出し部と,
前記読み出し部によって読み出された情報を表示する表示部とを有し,
前記記録媒体は,
前記端末装置の書き込み部による前記情報の書き込みが可能であるとともに,前記端末装置の読み出し部からの情報の読み出し指示に基づいて前記情報の読み出しが可能な記憶領域を有する
ことを特徴とする情報附帯システム。」
一方,本願補正発明と引用発明とは,次の点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明では,「生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において」端末装置が設けられて情報の読み書きを行うのに対して,引用発明では,生産工場,サービスセンタ又は販売店,リサイクル工場のような特定の流通過程で特定の情報の読み書きを行う点。
(相違点2)
本願補正発明では,記録媒体が,物品を構成する部品毎に取り付けられているのに対し,引用発明では,そのような特定がない点。
(5)判断
(相違点1について)
無線タグ等の記録媒体を物品に付加して,物品の製造,使用,メンテナンス,回収,中古販売,処理,再利用等のライフサイクル全体を管理することは,特開平10-222568号公報,特開2000-48066号公報,特開2000-285170号公報に記載されているように,周知の技術である。
してみれば,引用発明に上記周知技術を適用して,特定の流通過程での特定の情報の読み書きに加え,生産過程,輸送過程,販売過程,利用過程,廃棄過程の流通過程のそれぞれの流通過程において端末装置を設け,所定の情報の読み書きをすることは,当業者が容易になし得るものである。
(相違点2について)
引用例には,製品(廃テレビ)を分解して分離した部品(カバー)に対して分解部品情報を貼付けて分解部品搬送ラインに投入し,次の処理工程に搬送すること(上記(コ)参照),次処理工程や処理業者などへ送ってリサイクル処理を行う製品,部品,組品,材料には,上記のようなリサイクル処理に必要な情報を付加して送ることが必要であること(上記(サ)参照)が記載されており,物品を構成する部品毎に情報を付加することが示唆されている。
そして,その付加の仕方として,物品自体に記録媒体を設けることを参考に,物品を構成する部品にもそれぞれ記録媒体を設けることは,当業者が容易になし得るものである。
(作用効果について)
本願補正発明の作用効果について検討しても,引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る程度のものであり,格別のものとはいえない。

したがって,本願補正発明は,引用発明及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり,また,仮に,本件補正が請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても,本願補正発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。
したがって,本件補正は,特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成15年5月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?10に係る発明は,平成15年2月3日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?10に記載されたとおりのものであるところ,請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記第2,1の補正の内容に摘記した本件補正前の請求項1のとおりである。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例,その記載事項及び引用発明は,上記第2,2-2,(2)及び(3)に記載したとおりである。

3 対比,判断
本願発明は,本願補正発明から「記録媒体」の限定事項である「前記物品を構成する部品毎に取り付けられている」との構成を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,上記第2,2-2,(4)及び(5)に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,本願補正発明と同様の理由により,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-08-08 
結審通知日 2007-08-14 
審決日 2007-08-27 
出願番号 特願2000-317066(P2000-317066)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 直也  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 森次 顕
山本 穂積
発明の名称 情報附帯システム、物品流通方法、記録媒体  
代理人 高橋 詔男  
代理人 村山 靖彦  
代理人 鈴木 三義  
代理人 渡邊 隆  
代理人 青山 正和  
代理人 西 和哉  
代理人 志賀 正武  

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