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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F28F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 F28F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 F28F
管理番号 1165594
審判番号 不服2007-7711  
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-15 
確定日 2007-10-09 
事件の表示 特願2002-247319「多管式熱交換器のチューブ構造」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月18日出願公開、特開2004- 85090〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成14年8月27日の出願であって、平成19年2月6日付け(発送日:同2月13日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月15日に審判請求がなされるとともに、同年4月16日に手続補正がなされたものである。

2.平成19年4月16日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年4月16日付け手続補正を却下する。

[理由1]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。(以下「本願補正発明」という)

「EGRガス冷却装置に用いられる多管式熱交換器のチューブ構造において、各チューブの内面に、軸方向の同一位置で円周の1/4の長さを有するビードを、同一周上に2つのビードを同一長さの間隔をあけて配置し、軸方向に異なる位置で隣合う位置のビードを互いに円周の1/4の長さだけ周方向にずらして配置するとともに、チューブ内径Dの範囲をD=6?20mmとし、ビードの高さeとビード間ピッチPとをチューブ内径Dに対してe=0.05D?0.15D、P=8e?23eとしたことを特徴とする多管式熱交換器のチューブ構造。」

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「多管式熱交換器」について「EGRガス冷却装置に用いられる」との限定を付加し、また、補正前の「チューブの周方向へ長く突出するビードを、同一周上のビードについては前記周方向を任意個数に等分して振り分け、前記軸方向の異なる位置で隣合うビードについては、この隣合うビードの一方を周方向に等分して形成したビードの長さ以下の長さだけ前記隣合うビードの他方と周方向にずらして配置」について「円周の1/4の長さを有するビードを、同一周上に2つのビードを同一長さの間隔をあけて配置し、軸方向に異なる位置で隣合う位置のビードを互いに円周の1/4の長さだけ周方向にずらして配置」と、「伝熱管の内径DがD=5?30mmに対してビードの高さeをe=0.05D?0.2D、ビード間ピッチPをP=6e?25eとした」について「チューブ内径Dの範囲をD=6?20mmとし、ビードの高さeとビード間ピッチPとをチューブ内径Dに対してe=0.05D?0.15D、P=8e?23eとした」との限定を付加するものである。
しかしながら、補正前の請求項で規定されていた「軸方向よりも前記周方向へ長く突出するビード」との記載が削除されているので、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、同項第1号の請求項の削除にも、第3号の誤記の訂正にも、第4号の明りょうでない記載の釈明にも当たらないことは明らかである。

したがって、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[理由2]
仮に補正後の、「円周の1/4の長さを有するビードを、同一周上に2つのビードを同一長さの間隔をあけて配置」が、「軸方向よりも前記チューブの周方向へ長く突出するビードを、同一周上のビードについては前記周方向を任意個数に等分して振り分け」て配置を限定的に減縮したものに相当すると、この補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

しかしながら、補正後のチューブ内径Dを6?20mmとする点について、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という)では伝熱管の内径Dを5?30mmとすることが記載されているのみであり、6mmおよび20mmとの数値の記載はない。また、ビードの高さeと内径Dの関係をe=0.05D?0.15Dとすることについて、当初明細書ではe=0.05D?0.2Dとすることが記載されているのみであり、0.15Dとの数値の記載はない。さらに、ビードの高さeとビード間ピッチPの関係をP=8e?23eとすることについて、当初明細書ではP=6e?25eとすることが記載されているのみであり、8eおよび23eとの数値の記載はない。そして、チューブ内径Dを6?20mmと特定すること、ビードの高さeと内径Dの関係をe=0.05D?0.15Dと特定すること、ビードの高さeとビード間ピッチPの関係をP=8e?23eと特定することを認定するに足りる記載も当初明細書には存在しない。また、何れの事項についても、当初明細書または図面の記載から、自明なものでもない。

したがって、この補正は当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内でするものではないので、特許法第17条の2第3項に違反し、特許法159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[理由3]
仮にこの補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内でするものであるとして、本願補正発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開平9-243283号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。

・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 管内流体の攪拌部材として、管路の入側端から出側端に到る1もしくは複数の領域ないしほぼ全域の管内面に、周期的もしくはランダムな分布を有する突起が分散形成されていることを特徴とする内面突起付き熱交換用金属管。
【請求項2】 突起は、管軸とほぼ平行な向きの直線列もしくは波状列をなして断続的に反復形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換用金属管。
【請求項3】 突起は、管軸とほぼ直交する向きの直線列もしくは波状列をなして断続的に反復形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換用金属管。
【請求項4】 突起は、管軸に対し適宜傾斜角をもって管軸方向に螺回する1条ないし複数条の直線列もしくは波状列をなして断続的に反復形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換用金属管。
【請求項5】 突起は、溶接肉盛ビードとして形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の熱交換用金属管。
【請求項6】 エチレン製造用反応管であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の熱交換用金属管。」

・「【0001】【発明の属する技術分野】
本発明は、管内面に分散形成された突起による高い熱交換性を有し、例えばエチレン製造用反応管等として有用な熱交換用金属管に関する。」

・「【0005】 図1?図3は、管内面に形成された突起の形状を模式的に示している。(1)は母材管体、(2)は突起である。図1は母材管体(1)の内面に直接突起(2)を形成した例、図2は管体(1)の内面に下盛層(3)を設け、これに突起(2)を積層形成した例、図3は管体(1)として、材種の異なる合金からなる外層(11 )と内層(12 )からなる同心円状積層構造を有する二層管の内面(内層表面)に突起(2)を形成した例を示している。 突起(2)および下盛層(3)は、粉体プラズマアーク溶接,TIG溶接等による肉盛ビードとして形成することができる。
【0006】突起(2)のサイズ(高さ2H,幅2W,長さ2L 等)、および管内面上の分布形態は、熱交換用管の用途・使用条件,管サイズ等により適宜設計される。例えば、エチレン製造用反応管(管内径約30?150mm)では、突起高さ2H 約2?15mm,幅2W 約3?10mmとする例が挙げられ、その分散形態については、図4における直線列もしくは波状列の各列(La,Lb )の突起(2)同士の断点の間隔(D1 )は約1?50mm、列上の突起の長さ(2L )は約3?100mm、隣合う列間の間隔(D2 )は約3?400mmとする例が挙げられる。ランダムな分散分布パターンを与える場合の突起のサイズおよび分布密度も上記と同じように設計することができる。また、管内面の突起の形成領域は、具体的用途・使用態様等により適宜設定され、エチレン製造用反応管の場合には、図5のように、管路の入側近くの領域(A1 )、中央領域(A2 )、または出側端近くの領域(A3 )、あるいはその複数個所の領域、あるいは管路のほぼ全長に亘る領域に形成される。
【0007】図6?図9は、管内面の突起の形設パターンの例を示している。図6は、管軸(x)とほぼ平行な向きをなす直線列に沿って、管内面(13 )に突起(2)を断続的に反復形成した例である。図7は、直線列に代え、波状列をなすように突起(2)を断続形成した例である。また、図8は、突起(2)、管軸(x)とほぼ直交する向きの直線列に沿って断続的に反復形成し、図9に示す突起(2)は、管軸(x)に対し傾斜する向きに管内面(13 )螺回する直線列に沿って断続的に反復形成した例である。」

「【0013】【発明の効果】本発明の熱交換用管は、管内面の突起による管内流体に対する攪拌作用により高い熱伝達性能を有し、また突起が断続的な分散パターンであることにより、突起による管内流体の圧力損失も緩和される。本発明の熱交換用管をエチレン製造用熱分解炉の反応管として適用する場合は、管内流体の高速送給の維持,管径拡大等による製造能力の大幅な増大、あるいは管長の短縮による炉のコンパクト設計、炉内配管本数の削減による運転管理の容易化等が可能となり、その工業的価値は極めて大である。
本発明の熱交換用管は、この他に、例えば蒸気発生用ボイラーチューブ,都市ゴミ焼却炉発電用スーパーヒータチューブ,鋼材熱処理炉用ラジアントチューブ, 還元製鉄用プレヒータチューブ等として有用であり、その高熱伝達性能により、設備能力の増強,コンパクト化,運転管理の負担軽減等の効果を奏する。」

また、第4図、第8図には、軸方向の同一位置に一定の長さの突起が延び、軸方向に異なる位置で隣合う位置の突起を互いに周方向にずらして配置した様子が記載されている。

これらの記載及び第4図、第8図を参照すると、引用例には次の発明が記載されている(以下、「引用例発明」という。)。

「熱交換用金属管の構造において、管の内面に、軸方向の同一位置で一定の長さを有する突起を、同一周上に周期的に突起を形成し、軸方向に異なる位置で隣合う位置の突起を互いに周方向にずらして配置したことを特徴とする熱交換器の管構造。」

(2)対比
本願補正発明と上記引用例発明とを比較する。

引用例発明の「熱交換用金属管」は本願補正発明の「熱交換器のチューブ」に、「突起」は「ビード」に相当する。また、突起が周期的に形成されていればその間隔は同一長さとなる。

したがつて、両者は、

「熱交換器のチューブ構造において、チューブの内面に、軸方向の同一位置で円周に対して所定の長さを有するビードを、同一周上に複数のビードを同一長さの間隔をあけて配置し、軸方向に異なる位置で隣合う位置のビードを互いに円周の所定の長さだけ周方向にずらして配置したことを特徴とする熱交換器のチューブ構造。」の点で一致し、

次の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明では、EGRガス冷却装置に用いられる多管式熱交換器であるのに対して、引用例発明では、そのような熱交換器に使用することが例示されてない点。

[相違点2]
本願補正発明では、チューブ構造において、ビードの長さを円周の1/4とし、同一周上に2つのビードを配置し、軸方向に異なる位置で隣合う位置のビードを互いに円周の1/4の長さだけ周方向にずらして配置するとともに、チューブ内径Dの範囲をD=6?20mmとし、ビードの高さeとビード間ピッチPとをチューブ内径Dに対してe=0.05D?0.15D、P=8e?23eと限定しているのに対して、引用例発明では、そのような限定がされていない点。

(3)判断
相違点1について
EGRガス冷却装置に用いられる多管式熱交換器チューブにおいて、本願補正発明および引用発明と同様に熱交換性能を向上させることを目的として、チューブ内面にビードを設けることは、従来周知である(例えば、特開平10-306995号公報、特開2000-179410号公報、特開2001-182627号公報を参照。)。

したがって、引用例発明の内面にビードを設けた熱交換器チューブをEGRガス冷却装置の多管式熱交換器チューブに適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。

相違点2について
引用例発明では各種サイズについて特段の限定はされていないが、引用例中には、本願補正発明のビードに相当する突起のサイズ、分布形態は熱交換器の用途等によって適宜設定されることとされている。(項番【0006】参照)そして、具体例としてエチレン製造用反応管におけるサイズが示されているが、それによると管内径(チューブ内径D)は約30?150mmであって本願補正発明のチューブ内径とは異なるが、チューブにおけるビードの分布状態について見ると、ビードの長さは約3?100mmとされており、本願補正発明と同様にビードを円周の1/4の長さとするものが含まれている。同様に、ビード間の間隔は約1?50mmとされているため、同一周上にビードを2つ配置するものが含まれている。また、このサイズは軸方向に異なる位置で隣り合うずれた配列のビードに適用されるから、円周の1/4だけ周方向にずらすことも含まれる。さらに、突起高さ(ビードの高さe)は約2?15mmであるからe=0.05D?0.15Dを、隣り合う列間の間隔(ビード間ピッチp)が約3?400mmであることからP=8e?23eを含んでいる。してみると、相違点2に係る本願補正発明の構成は、ビードの分布形態として通常想定される範囲のものと言うことができる。

そして、チューブの内径は、適用される用途により自ずと決まるものであり、また、ビードのサイズ、分布形態は、熱交換器の用途、使用条件、等により適宜設計される事項であって、熱交換性能の向上を前提として単純な反復実験によって求められることである。さらに、相違点2に係る数値について、臨界的な意義があるとも認められない。

したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例に記載された事項、及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えるて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成19年4月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年10月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。

「チューブの軸方向の同一位置で前記チューブの内面に前記軸方向よりも前記チューブの周方向へ長く突出するビードを、同一周上のビードについては前記周方向を任意個数に等分して振り分け、前記軸方向の異なる位置で隣合うビードについては、この隣合うビードの一方を周方向に等分して形成したビードの長さ以下の長さだけ前記隣合うビードの他方と周方向にずらして配置し、伝熱管の内径DがD=5?30mmに対してビードの高さeをe=0.05D?0.2D、ビード間ピッチPをP=6e?25eとしたことを特徴とする多管式熱交換器のチューブ構造。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開平9-243283号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに先に摘記した記載がある。

また、図4及び図8には、金属管の軸方向の同一位置で軸方向よりも周方向に長い突起を周期的に配置し、前記軸方向の異なる位置で隣合う突起については、この隣り合う突起の一方を突起の長さ以下の長さだけ前記隣り合う突起の他方と周方向にずらして配置した様子が示されている。

したがって、引用例には次の発明が記載されている。(以下「引用例発明第2」という)
「金属管の軸方向の同一位置で前記管の内面に前記軸方向よりも前記金属管の周方向へ長く突出する突起を、同一周上の突起については前記周方向を任意個数に周期的に配置し、前記軸方向の異なる位置で隣合う突起については、この隣り合う突起の一方を周方向に周期的に形成した突起の長さ以下の長さだけ前記隣り合う突起の他方と周方向にずらして配置したことを特徴とする熱交換用の金属管」

(3)対比
本願発明と上記引用例発明第2とを比較する。

引用例発明第2の「金属管」は本願発明の「チューブ」に、「突起」は「ビード」に相当する。また、突起が周方向に周期的に形成されていれば、突起は等分して振り分けられることになる。

したがつて、両者は、

「チューブの軸方向の同一位置で前記チューブの内面に前記軸方向よりも前記チューブの周方向へ長く突出するビードを、同一周上のビードについては前記周方向を任意個数に等分して振り分け、前記軸方向の異なる位置で隣合うビードについては、この隣合うビードの一方を周方向に等分して形成したビードの長さ以下の長さだけ前記隣合うビードの他方と周方向にずらして配置したことを特徴とする熱交換用のチューブ構造。」の点で一致し、

次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では、チューブが多管式熱交換器に用いられるのに対して、引用例発明第2では、そのような熱交換器に使用することが例示されてない点。

[相違点2]
本願発明では、チューブ構造において、チューブ内径Dの範囲をD=5?30mmとし、ビードの高さeとビード間ピッチPとをチューブ内径Dに対してe=0.05D?0.2D、P=6e?25eと限定しているのに対して、引用例発明第2では、そのような限定がされていない点。

(4)判断
相違点1について
多管式熱交換器チューブにおいて、本願発明および引用例発明第2と同様に熱交換性能を向上させることを目的として、チューブ内面にビードを設けることは、従来周知である(例えば、特開平10-306995号公報、特開2000-179410号公報、特開2001-182627号公報を参照。)。

したがって、引用例発明第2の内面にビードを設けた熱交換器チューブを多管式熱交換器チューブに適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。

相違点2について
引用例発明第2では各種サイズについて特段の限定はされていないが、引用例中には、本願発明のビードに相当する突起のサイズ、分布形態は熱交換器の用途等によって適宜設定されることとされている。(項番【0006】参照)そして、具体例としてエチレン製造用反応管におけるサイズが示されているが、それによると管内径(チューブ内径D)は約30?150mmであって本願発明のチューブ内径と同じ30mmが示されている。さらに、突起高さ(ビードの高さe)は約2?15mmであるからe=0.05D?0.2Dを、隣り合う列間の間隔(ビード間ピッチp)が約3?400mmであることからP=6e?25eを含んでいる。してみると、相違点2に係る本願発明の構成は、ビードの分布形態として通常想定される範囲のものと言うことができる。

そして、チューブの内径は、適用される用途により自ずと決まるものであり、また、ビードのサイズ、分布形態は、熱交換器の用途、使用条件、等により適宜設計される事項であって、熱交換性能の向上を前提として単純な反復実験によって求められることである。さらに、相違点2に係る数値について、臨界的な意義があるとも認められない。

したがって、相違点2に係る本願発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された事項、及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-07-25 
結審通知日 2007-07-31 
審決日 2007-08-17 
出願番号 特願2002-247319(P2002-247319)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (F28F)
P 1 8・ 561- Z (F28F)
P 1 8・ 572- Z (F28F)
P 1 8・ 121- Z (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河野 俊二田々井 正吾篠原 将之  
特許庁審判長 小菅 一弘
特許庁審判官 岡本 昌直
岡 千代子
発明の名称 多管式熱交換器のチューブ構造  
代理人 土橋 皓  

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