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審決分類 審判 全部無効 特17条の2、3項新規事項追加の補正 訂正を認める。無効とする(申立て一部成立) A01K
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 訂正を認める。無効とする(申立て一部成立) A01K
審判 全部無効 発明同一 訂正を認める。無効とする(申立て一部成立) A01K
管理番号 1166229
審判番号 無効2004-35154  
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-03-23 
確定日 2007-10-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3104838号「中通し釣竿の製造方法」の特許無効審判事件についてされた平成17年2月1日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において、審決中「特許第3104838号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す、との判決(平成17年行(ケ)第10267号 平成17年7月15日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する 
結論 訂正を認める。 特許第3104838号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、その3分の2を請求人の負担とし、3分の1を被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3104838号の請求項1乃至3に係る発明についての出願は、平成6年11月16日に特許出願され、平成12年9月1日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その特許について平成16年3月23日に本件無効審判が請求され、平成17年2月1日付けで「本件の請求項1に係る発明についての特許を無効とする、請求項2ないし3に係る発明についての審判請求は成り立たない」とする旨の審決がなされたところ、平成17年3月14日付けで本件の被請求人から東京高等裁判所に当該審決の取消を求める訴が平成17年(行ケ)第97号として提起され、裁判所の組織変更により知的財産高等裁判所に平成17年(行ケ)第10267号として移管され、平成17年6月13日付けで本件特許につき訂正2005-39093号として特許庁に訂正審判の請求がなされるとともに全文訂正明細書及び意見書が提出され、これに基づいて平成17年7月15日付けで知的財産高等裁判所にて本件を審判官に差し戻すために前記審決を取り消す旨の決定がなされ、平成17年8月17日付けで訂正請求のための期間指定通知がなされ、前記訂正2005-39093号の訂正審判における訂正請求を援用したものとみなされ、平成18年3月22日付けで請求人に弁駁が指令され、平成18年4月21日付けで請求人より弁駁書が提出されたものである。

2.請求人の主張
請求人は、下記の証拠方法を提示し、特許第3104838号の請求項1乃至3に係る発明の特許は、次の理由により特許法第123条第1項第1号、第2号又は第4号に該当し、無効とすべきものである旨主張する。
(1)本件請求項1の発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(以下、「無効理由1」という。)。
(2)本件請求項1の発明は、本件の出願前に出願され、その後出願公開された甲第4号証の発明と実質的に同一であるから、その発明は特許法第29条の2の規定に違反してされたものである(以下、「無効理由2」という。)。
(3)本件の平成12年2月4日付の手続補正書(甲第6号証)による補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した範囲においてするものではないから、本件発明に係る特許は特許法第17条の2第3項の要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである(以下、「無効理由3」という。)。
(4)本件明細書はその記載が不備であるから、本件発明に係る特許は特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(以下、「無効理由4」という。)。

甲第1号証:フランス特許第2123967号明細書
甲第2号証:特開平6-31828号公報
甲第3号証:特開昭59-159322号公報
甲第4号証:特願平6-187986号の出願当初の明細書又は図面
(特開平8-51894号公報)
甲第5号証:本件出願(特願平6-306930号)の出願当初の明細書
又は図面(特開平8-140532号公報)
甲第6号証:本件平成12年2月4日付手続補正書
甲第7号証:「特許法概説(第11版)」(吉藤幸朔外著、第157頁
及び第158頁)
参考資料1:特公平6-24791号公報
参考資料2:特公平5-37819号公報
参考資料3:写真撮影報告書
写真1 (株)シマノが保有する凹凸形成用テープ等巻き機
写真2 同上巻き機の要部
写真3 同上巻き機により芯金に凹凸形成用テープ等を巻回
している状況
写真4 巻回し後の芯金の拡大
参考資料4:〔ラッピングテープ〕物性評価結果

3.被請求人の反論
(1)訂正請求後の請求項1に係る発明は、(素材としての)釣糸ガイド部材が隙間に沿って配置される。一方、甲第4号証のテープ7Aは、全周面に巻かれており、請求項1に係る発明の「樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグ」に相当するものであり、請求項1に係る発明の隙間に沿って配置される(素材としての)釣糸ガイド部材に相当するものではない。
また、甲第4号証の図8に示す製法は、凹凸形成用テープ4で形成された間隔に直接プリプレグテープ7Gを巻回しており、本発明の柔軟部材に相当する部材を介在していない。
さらに、甲第4号証における離型用のポリエステルテープ5は、一応、請求項1に係る発明の柔軟部材に対応する部材であるが、請求項1に係る発明の柔軟部材は隙間を覆うものであり、他方、甲第4号証は、テープ5の側面同士が接触する状態になるように密巻するものであり、テープ5の側面同士が接触する状態になるように密巻する場合、必ずしも隙間を覆うことにはならない。しかも、テープ5は、離型を目的としたテープであり、請求項1に係る発明の柔軟部材とはその技術的意義が異なる。
そして、請求項1に係る発明では「該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く」としているので、甲第4号証は、請求項1に係る発明における「前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」の要件を備えていない。(答弁書12頁13行?13頁29行)、
(2)審査基準によれば、「除く」クレイムを認める理由として、
(i)先行技術に係る記載事項は、事実に係ることであり、このような明りょうな事項のみを出願当初の請求項に記載した事項から除外することは、当該記載した事項の枠組みに変更をもたらさないごく軽微な補正であること
(ii)進歩性はあるが先行技術と重複するために新規性などがないような発明ついて、このような補正を認めないこととした場合には発明の適正な保護が図れないことを挙げている。
すなわち、この種の「除く」記載は、進歩性がある発明について、たまたま新規性が欠如した場合に、その部分(新規性が欠如している部分)を請求項記載の発明から除くことにより特許性を認めるという趣旨である。
本件請求項1に係る発明は、すでに述べたとおり、公知技術を超えて進歩性があり(釣糸ガイド部材の表面を滑らかにする)、先願(甲第4号証)の発明とはその工程も異なり、技術思想も全く異なる発明である。甲第4号証に「離型用のポリエステルテープ5をそのテープ5の側面同士が接触する状態に密巻する。」のテープ5が本件発明の柔軟部材に対応する部材であることから、これを権利範囲から除くという意味で「該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く」と補正したものである。このような補正は除く記載を認める審査基準に合致する。(答弁書15頁28行?16頁17行)、
(3)「請求項1の『マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側緑間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い』と同様の記載は、例えば【0010】などにあり、その技術的意義も説明されている。『隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い』との記載があれば、当業者は、技術常識に従って、厚さの薄い柔軟部材によって隙間を覆うことができ、隙間を覆うことにより本発明の目的を達成できる。すなわち、詳細な説明の欄には当業者が容易に実施できる程度の具体的な記載がある。」(答弁書18頁7?13行)。

そして、本件無効審判事件の被請求人が平成17年6月13日付けでした訂正2005-39093号の訂正審判の請求において提出した意見書に添付した証拠は、以下のとおりのものである。ただし、当該証拠の表示は、平成17年行(ケ)第97号において原告として提示した各甲号証について、これを各乙号証として読み替えるとともに、読み替えた乙第1号証乃至乙第7号証については、本件無効審判事件の請求人が提出した甲第1号証乃至甲第7号証と同一証拠なので記載を省略する。
乙第8号証:無効2004-35154審決(平成17年2月1日付け)
乙第9号証:特開平1-304836号公報
乙第10号証:実開平5-88259号公報
乙第11号証:特公平3-74903号公報
乙第12号証:特公平5-56257号公報
乙第13号証:特公平6-24791号公報
乙第14号証:特公平5-37819号公報
乙第15号証:審査基準のうち、第III部第I節新規事項に関する審査基
準・抜粋
乙第16号証:中通し竿の製造に供せられる一般的な繊維強化プリプレグ
、釣糸ガイド部材、釣糸ガイド部材を有する製品としての
中通し釣竿の竿管断面を写したデジタル画像
乙第17号証:特許第3104838号公報(本件特許公報)
乙第18号証:第1回無効2004-35154(平成17年2月1日付
け)において被請求人が提出した平成16年6月7日付け
訂正請求書
乙第19号証の1:審査基準のうち、第II部特許要件第3章特許法第2
9条の2に関するもの
乙第19号証の2:特許法第29条の2に関する審査基準で引用した審査
基準、第II部第2章新規性進歩性1.5.3(3)
第29条第1項に掲げる発明として引用する発明(引
用発明)の認定に関する審査基準・抜粋
乙第20号証の1:特願平6-306930号(本件特許出願)の平成1
2年1月26日記録作成された対応記録
第20号証の2:特願平6-306930号の出願経過情報
検乙第1号証:乙第16号証の被写体である繊維強化プリプレグのサンプ

検乙第2号証:乙第16号証の被写体である釣糸ガイド部材のサンプル
検乙第3号証:乙第16号証の被写体である、釣糸ガイド部材を有する製
品としての中通し釣竿の竿管断面

4.当審の判断
4-1.訂正請求について
4-1-1.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、次のとおりである(下線部分が訂正個所である)。
(1)訂正事項aについて
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側縁間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)、該薄い柔軟部材の上から前記隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去することを特徴とする中通し釣竿の製造方法。」を、
「樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側縁間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)、且つ、上記巻回部材の表面全体に亘って覆い、該薄い柔軟部材の上から前記隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去する中通し釣竿の製造方法であって、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成することを特徴とする中通し釣竿の製造方法。」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許明細書の段落【0007】の記載を、
「【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本発明は、請求項1において、樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側縁間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)、且つ、上記巻回部材の表面全体に亘って覆い、該薄い柔軟部材の上から前記隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去する中通し釣竿の製造方法であって、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成することを特徴とする中通し釣竿の製造方法を提供する。」と訂正する。

4-1-2.訂正の適否
(1)訂正事項aについて
特許明細書には、「・・・この隙間の上を、耐熱性の高いポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)から成る厚さの薄い柔軟部材22で覆う。この実施例では巻回作業が容易となるように厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆っている。」(段落【0014】)及び「・・・そこで、上記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、これを介して釣糸ガイド部材を沿わせれば、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状は、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向内方に突出する表面が滑らかに形成され、釣糸を滑らかに案内できる。」(段落【0010】)と記載されている。
上記訂正事項aは、特許明細書の前記記載に基づいて、請求項1に係る発明において、「薄い柔軟部材によって厚さの厚い巻回部材の表面全体に亘って覆う」とともに「中通し釣竿の製造方法であって、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成する」構成を付加して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、そして、上記訂正事項aによる訂正は、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項bについて
上記訂正事項bは、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項bによる訂正は、特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

4-1-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書きに適合し、特許法第134条の2第5項において準用する平成6年改正前特許法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

4-2.本件発明
上記「4-1.訂正請求について」で示したように上記訂正が認められるから、本件特許第3104838号の請求項1に係る発明は、訂正後の特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記4-1-1.(1)訂正事項a参照)により特定されるものである。
4-3.特許法第29条の2違反(無効理由2)について
4-3-1.先願明細書記載の発明
特願平6-187986号(特開平8-51894号)の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の記載が認められる。
(a)「【産業上の利用分野】本発明は樹脂と強化繊維とからなる竿素材の内周面を、凹凸面に形成してある中通し竿及びその製造方法に関する。」(2頁右欄13?15行)、
(b)「【実施例】
〔第1実施例〕中通し竿を製造工程に従って離型用テープ3,5を使用する場合について説明する。図1(イ)に示すように、芯金1に離型材としてのワックス2を塗布するとともに、図1(ロ)に示すように、この上から離型用のポリエステルテープ3をそのテープ3の側面同士が接触する状態に密巻きし、この状態から図1(ハ)に示すように、凹凸形成用のテープ4を芯金軸芯方向に所定間隔を持って巻回するようにしてある。この凹凸形成用のテープ4は基材が布であり、細い芯金1へも適用できるように柔軟性、凹凸面の精度を維持する為の耐熱性、芯金軸芯方向での所定間隔の精度を維持する為の無延伸性、を備えることが要求される。図1(ニ)に示すように、更に、凹凸形成用テープ4の上より、離型用のポリエステルテープ5をそのテープ5の側面同士が接触する状態に密巻きする。これによって、凹凸形成用テープ4の剥離が容易になる。この凹凸形成用テープ4を巻回したものに油性ワックス6を塗布し、凹凸形成用テープ4の剥離を良好に行えるようにするとともに、凹凸形成用テープ4が施されていない竿内面部(後記する凹凸面9A,9Bにおける凸面9Bに相当する部分)に油性ワックス6を残して撥水性を付与するようにしてある。この状態より、図2(イ)に示すように、周方向に配した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状プリプレグをテープ状に細断し、そのテープ7Aを側面同士が接触する状態に密巻きして、最内層を形成する。これより更に、図2(ロ)に示すような、前後端の膨出嵌合部を形成するプリプレグパターン7aを巻回した後、図2(ハ)に示すように、炭素繊維を軸芯方向に配したプリプレグテープ7Bを、その側面同士が接触する状態になるように密巻きして、第2層を形成する。そして、さらに、周方向に炭素繊維を配したプリプレグテープ7Cと軸芯方向に炭素繊維を配したプリプレグテープ7Dを巻回して第3層及び第4層を形成し、図4に示すように、4層構造の竿素材7を形成する。このような竿素材7の上から、図2(ニ)に示すように、保形用テープとしてのポリエステルテープ8を巻回して、図3(イ)に示すように、焼成し、図3(ロ)に示すように、焼成後ポリエステルテープ8を剥離し、図3(ハ)に示すように、離型用テープ3,5とともに凹凸形成用テープ4を取り外す。これによって、内周面に螺旋状の凹凸面9A,9Bを有する竿素材7を形成することができるとともに、凸面9B内に周方向の繊維を配置することができるのである。」(4頁左欄50行?同頁右欄42行)、
(c)「凸面9Bの断面形状としては、角形に近いが、台形、三角形等を採用できる。又、角部が先鋭とならないように丸みを持たせたものでもよい。」(4頁右欄47?50行)、
(d)「図8に示すように、軸芯方向に強化繊維を配したプリプレグ7Eを複数段に重合わせるとともに、それらプリプレグ7Eの間に、強化繊維を二方向に配したガラスクロス7Fを挟み込んで、竿素材7を形成してもよい。この場合に、第1層としてガラスクロス7Fを配しているが、この場合に製造工程としては次のようになる。つまり、芯金1にワックス2を塗布した状態で、凹凸形成用テープ4を所定間隔をおいて巻回するとともに、その間隔内に表面高さを揃えてプリプレグテープ7Gを巻回し、この上からガラスクロス7Fを巻回する。このように、ガラスクロス7Fを層間に介在させることによって、巻回する場合に軸芯方向に強化繊維を配したプリプレグが所謂バラケを生ずることを阻止できる。」(5頁左欄40行?同頁右欄2行)。
上記記載によると、先願明細書には、
樹脂と強化繊維とからなる竿素材の内周面を、凹凸面に形成してある中通し竿の製造方法であって、
(イ)芯金1に離型材としてのワックス2を塗布し、
(ロ)この上から離型用のポリエステルテープ3をそのテープ3の側面同士が接触する状態に密巻きし、
(ハ)凹凸形成用のテープ4を芯金軸芯方向に所定間隔を持って巻回し、
(ニ)更に、凹凸形成用テープ4の上より、離型用のポリエステルテープ5をそのテープ5の側面同士が接触する状態に密巻きし、
(ホ)周方向に配した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状プリプレグをテープ状に細断し、そのテープ7Aを側面同士が接触する状態に密巻きして、最内層を形成し、
(ヘ)前後端の膨出嵌合部を形成するプリプレグパターン7aを巻回し、
(ト)炭素繊維を軸芯方向に配したプリプレグテープ7Bを、その側面同士が接触する状態になるように密巻きして、第2層を形成し、さらに、周方向に炭素繊維を配したプリプレグテープ7Cと軸芯方向に炭素繊維を配したプリプレグテープ7Dを巻回して第3層及び第4層を形成して4層構造の竿素材7を形成し、
(チ)竿素材7の外周面に保形用テープとしてのポリエステルテープ8を巻回して竿素材7を焼成し、
(リ)焼成後ポリエステルテープ8を剥離し、離型用テープ3,5とともに凹凸形成用テープ4を取り外し、内周面に螺旋状の凹凸面9A,9Bを有する竿素材7を形成する中通し竿の製造方法(以下、「先願明細書の発明」という。)が記載されているものと認められる。

4-3-2.対比
請求項1に係る発明と先願明細書の発明とを対比すると、先願明細書の発明の「芯金1」、「凹凸形成用テープ4」及び「プリプレグテープ7B、プリプレグテープ7C、プリプレグテープ7D」が、請求項1に係る発明の「マンドレル」「厚さの厚い巻回部材」及び「樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグ」にそれぞれ相当し、先願明細書の発明の「テープ5」が請求項1に係る発明の「薄い柔軟部材」に対応している。
また、請求項1に係る発明の「薄い柔軟部材の上から隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設」することと先願明細書の発明の「(ホ)周方向に配した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状プリプレグをテープ状に細断し、そのテープ7Aを側面同士が接触する状態に密巻きして、最内層を形成」することとは、薄い柔軟部材の上から釣糸ガイド部材を構成する素材を配設することで共通する。
さらに、マンドレルに樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻回して焼成して釣竿を形成する際に加圧すること、及び、焼成後マンドレルを引き抜くことは常套手段である。
そうすると、請求項1に係る発明と先願明細書の発明とは、
樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側縁間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、且つ、上記巻回部材の表面全体に亘って覆い、該薄い柔軟部材の上から釣糸ガイド部材を構成する素材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去する中通し釣竿の製造方法で一致し、次の点で構成が一応相違する。
相違点(A)
厚さの厚い巻回部材間の隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆う構成が、請求項1に係る発明では、「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」であるのに対し、先願明細書の発明では、薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きされたものである点。
相違点(B)
釣糸ガイド部材を構成する素材を配設するのに、請求項1に係る発明では、「前記隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設し」ているのに対し、先願明細書の発明では、周方向に配した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状プリプレグをテープ状に細断し、そのテープ7Aを側面同士が接触する状態に密巻きしている点。
相違点(C)
前記薄い柔軟部材の存在によって、請求項1に係る発明では、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成するのに対し、先願明細書の発明では、不明である点。

4-3-3.判断
上記相違点について検討する。
相違点(A)について
特許明細書には、請求項1に係る発明の「厚さの薄い柔軟部材」に関し、
「【作用】請求項1では、厚さの厚い巻回部材を、釣糸ガイド部材を沿わせられる隙間を有してマンドレルに巻回させれば、この隙間に沿わせて釣糸ガイド部材を配設し、この上からプリプレグを巻回して成形すれば、竿管内面に釣糸ガイドが突出形成できるが、これでは前記隙間における釣糸ガイド部材にプリプレグの樹脂が流入して硬化すると、釣糸ガイド部材の表面に樹脂による角部を形成することになるため、釣糸が接触すると損傷したり切断されたりする虞がある。そこで、上記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、これを介して釣糸ガイド部材を沿わせれば、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状は、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向内方に突出する表面が滑らかに形成され、釣糸を滑らかに案内できる。」(段落【0010】)、
「ここでは巻回部材20は帯状に細長い形態を成しており、これを図のように、その巻回部材20の側縁間に針金状の釣糸ガイド部材24を沿わせる適切な間隔をおいて螺旋状に巻回し、螺旋状に連続した隙間SPを形成している。この隙間の上を、耐熱性の高いポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)から成る厚さの薄い柔軟部材22で覆う。この実施例では巻回作業が容易となるように厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆っている。」(段落【0014】)、と記載されている。
上記記載によると、請求項1に係る発明の「厚さの薄い柔軟部材」は、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、竿管の半径方向内方に突出する表面が滑らかに形成させるためのものであり、その巻き方としては、厚い巻回部材20の隙間とともに厚い巻回部材20の表面全体を厚さの薄い柔軟部材22で覆う方法が発明の詳細な説明で裏付けられているのみであり、その他の構成は発明の詳細な説明には記載されていないので、請求項1に係る発明における「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」は、隙間とともに厚い巻回部材20の表面全体を厚さの薄い柔軟部材22で覆うものを含むが、薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きするものは含まれないものと認められる。
そこで、先願明細書の発明の「テープ5」についてみると、先願明細書には、「凹凸形成用テープ4の上より、離型用のポリエステルテープ5をそのテープ5の側面同士が接触する状態に密巻きする。これによって、凹凸形成用テープ4の剥離が容易になる。」(上記(b)の記載参照。)と記載されている。先願明細書の発明の「テープ5」は、凹凸形成用テープ4の剥離を容易にするためのものであり、離型用のポリエステルテープ5をそのテープ5の側面同士が接触する状態に密巻きされているが、テープ5は凹凸形成用テープ4及びその隙間を被覆していれば、離型用テープの側面同士が接触する状態に密巻きしたものでなくてもその作用を奏することは明らかである。
そうすると、先願明細書の発明において、凹凸形成用テープ4及びその隙間を被覆するように構成することは当業者なら適宜できる程度の設計上の微差に過ぎない。
本件無効審判事件の被請求人である特許権者は、先願明細書の発明のようにテープ5の側面同士が接触する状態になるように密巻きする場合、必ずしも隙間を覆うことにはならない旨主張しているが、テープ5により密巻きすると必ず隙間の部分にテープ5の側面同士が位置してしまうというものではないし、隙間の部分にテープ5の側面同士が位置することでうまく密巻きできない状況が想定されるのであれば、予めそれを回避するようにテープ5を密巻きすればよいだけのことであるから、被請求人の主張は採用できない。

相違点(B)について
先願明細書の発明では、テープ7Aは、炭素繊維が周方向に配されていて細断されていて、薄い柔軟部材(テープ5)の上から凹凸形成用テープ4とその隙間に巻回されており、凹凸形成用テープ4上に巻回されたテープ7Aは、焼成後、竿の内周面(凹面9A)を形成し、凹凸形成用テープ4間の隙間に巻回されたテープ7Aは、焼成後、竿の内周面に凸面9Bを形成し釣糸ガイドとしても作用するものであるから、凹凸形成用テープ4間の隙間に巻回されたテープ7Aは、薄い柔軟部材の上から前記隙間に沿って配設した、釣糸ガイド部材形成用のテープということができる。
また、先願明細書には、「凹凸形成用テープ4を所定間隔をおいて巻回するとともに、その間隔内に表面高さを揃えてプリプレグテープ7Gを巻回し」(上記(d)記載参照。)と、薄い柔軟部材の上からではないが、凹凸形成テープ4の間隔内にプリプレグテープ7Gを巻回することが記載されている。
そうすると、先願明細書の発明において、釣糸ガイド部材形成用のテープを凹凸形成テープ4の間隔に沿って巻回することは当業者が適宜できる設計上の微差に過ぎない。

相違点(C)について
先願明細書の発明は、凹凸形成用テープ4間の隙間を薄い柔軟部材(テープ5)で覆っており、その上から隙間に釣糸ガイド部材を形成するテープ7Aが巻回されているので、それを焼成すると、薄い柔軟部材は、剥離を容易にするためのものであるが、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状が、竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成する作用を奏することは明らかであるから、実質的な構成の差異があるとはいえない。
以上のとおり、請求項1に係る発明は、その出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された上記先願出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であると認められ、しかも、請求項1に係る発明の発明者が上記先願明細書等に記載された発明の発明者と同一であるとも、本件出願の時において、その出願人が上記先願出願の出願人と同一であるとも認められないので、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条の2第1項の規定に違反してされたものである。

4-4.特許法第17条第2項違反(無効理由3)について
願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)には、請求項1に係る発明の「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」に関し、
「【作用】
第1では、厚さの厚い巻回部材を、釣糸ガイド部材を沿わせられる隙間を有してマンドレルに巻回させれば、この隙間に沿わせて釣糸ガイド部材を配設し、この上からプリプレグを巻回して成形すれば、竿管内面に釣糸ガイドが突出形成できるが、これでは前記隙間における釣糸ガイド部材と厚さの厚い巻回部材の側縁間にプリプレグの樹脂が流入して硬化すると、釣糸ガイド部材を竿管に固定できるが、釣糸ガイド部材の表面に樹脂による角部を形成することになるため、釣糸が接触すると損傷したり切断されたりする虞がある。そこで、上記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、これを介して釣糸ガイド部材を沿わせれば、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状は、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向内方に突出する表面が滑らかに形成され、釣糸を滑らかに案内できる。また、巻回部材や柔軟部材はマンドレルを引き抜いた後に容易に取り出せる。」(段落【0010】)、
「ここでは巻回部材20は帯状に細長い形態を成しており、これを図のように、その巻回部材20の側縁間に針金状の釣糸ガイド部材24を沿わせる適切な間隔をおいて螺旋状に巻回し、螺旋状に連続した隙間SPを形成している。この隙間の上を、耐熱性の高いポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)から成る厚さの薄い柔軟部材22で覆う。この実施例では巻回作業が容易となるように厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆っている。」(段落【0014】)、と記載されている。
当初明細書又は図面には、請求項1に係る発明の「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆」う構成は、「この隙間の上を、耐熱性の高いポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)から成る厚さの薄い柔軟部材22で覆う。この実施例では巻回作業が容易となるように厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆っている。」とその実施例が記載されているが、「薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法」は当初明細書等に記載されておらず、且つ、示唆されてもいない。
ところで、平成12年2月4日付けの審判請求書には、
「【拒絶査定の要点】
請求項1につき、拡大先願の地位にある引例1(特願平6-187986号)に記載された離型用テープ5はテープの側面が接触する状態に密巻きされているため、凹凸形成用テープの隙間が覆われているといえるから、隙間を覆うという意味において請求項1と区別できない、との理由による拒絶査定である。
【本願発明が特許されるべき理由】
補正書に示す通り新しい特許請求の範囲では、拒絶査定の唯一の理由となった引例1の開示の離型用テープの側面同士が接触する状態に密巻きされる方法を除外しており、もはや拒絶査定の理由は解消したものと考えます。」と記載されている。
この記載によると、請求項1に係る発明の「該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法」は、先願である特願平6-187986号の明細書及び図面(甲第6号証)に記載されており、この先願のものを請求項1に係る発明が含まないようにするために特許請求の範囲に、「(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」を記載したものといえる。
以上のことから、本件の当初明細書には、「薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法」は記載されておらず、当然、その方法を除くことが示唆されているものでもなく、「薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法」は特願平6-187986号の明細書及び図面に記載されていることである。
被請求人は、審査基準を挙げ「この種の「除く」記載は、進歩性がある発明について、たまたま新規性が欠如した場合に、その部分(新規性が欠如している部分)を請求項記載の発明から除くことにより特許性を認めるという趣旨である。」(上記「3.被請求人の反論」における(2)参照。)と主張するが、審査基準は、当初明細書又は図面に、「除く」べき特定の構成が記載されており、その特定の構成を「除く」ことにより新規性が満たされるような場合を意図していると思料されるから、被請求人の主張は採用できない。
そうすると、本件平成12年2月4日付の手続補正における「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」は、当初明細書又は図面に記載されておらず、且つ、自明のことともいえないから、該手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではなく、特許法第17条の2第2項の規定により準用する同法第17条第2項の規定に違反している。

4-5.特許法第36条違反(無効理由4)について
請求項1に係る発明の「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)」に関し、特許明細書には、
「【作用】請求項1では、厚さの厚い巻回部材を、釣糸ガイド部材を沿わせられる隙間を有してマンドレルに巻回させれば、この隙間に沿わせて釣糸ガイド部材を配設し、この上からプリプレグを巻回して成形すれば、竿管内面に釣糸ガイドが突出形成できるが、これでは前記隙間における釣糸ガイド部材にプリプレグの樹脂が流入して硬化すると、釣糸ガイド部材の表面に樹脂による角部を形成することになるため、釣糸が接触すると損傷したり切断されたりする虞がある。そこで、上記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、これを介して釣糸ガイド部材を沿わせれば、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状は、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向内方に突出する表面が滑らかに形成され、釣糸を滑らかに案内できる。」(段落【0010】)、
「ここでは巻回部材20は帯状に細長い形態を成しており、これを図のように、その巻回部材20の側縁間に針金状の釣糸ガイド部材24を沿わせる適切な間隔をおいて螺旋状に巻回し、螺旋状に連続した隙間SPを形成している。この隙間の上を、耐熱性の高いポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)から成る厚さの薄い柔軟部材22で覆う。この実施例では巻回作業が容易となるように厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆っている。」(段落【0014】)、と記載されている。
特許明細書には、厚さの厚い巻回部材間の隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆うことを主体として、厚さの薄い柔軟部材22で上記厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆うことが記載されており、「薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法」について、係る文言以上の具体的な記載がないが、当該記載に接した当業者は、薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法について、技術常識に基づいてその具体的内容を理解することができるものと認められる。
すなわち、特許明細書の別の実施例において、「図4は本発明に係る第3の方法の一過程を示す図である。厚く、かつ帯状に長い巻回部材20’の幅方向中央部に溝SP’を形成しておき、これをマンドレル10の表面にその側縁同士が互いに接触して隙間を生じないように詰めて巻回する。」(段落【0019】)と、厚さの厚い巻回部材の巻回方法が記載されており、請求項1に係る発明における厚さの薄い柔軟部材とは対象部材の種類が異なるものの、「側面同士が接触する状態に密巻きする方法」と軌を一にする「側縁同士が互いに接触して隙間を生じないように詰めて巻回する」巻回方法が開示されているところからみて、当業者は、薄い柔軟部材を密巻きする方法について、その具体的内容を当然理解することができるというべきである。
そして、訂正後の請求項1に係る発明は、「隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)、且つ、上記巻回部材の表面全体に亘って覆い」というものであるから、「薄い柔軟部材の側面同士が離間された状態に巻く方法」は明らかに除外され、例えば「側面同士が互いに重なり合う状態に巻く方法」を含むものとしてその技術事項を理解できるものであって、発明の詳細な説明には当業者が容易に実施できる程度に記載されているものといえる。
なお、上記の判断は、特許明細書の請求項1に「薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く」という記載が存在することを前提に成り立つことで、無効理由3における判断においては、出願当初の明細書又は図面が新規性に係る判断の基準となり、そこには前記密巻きする方法に係る記載が何ら存在しないから、隙間を覆う方法を認定する根拠がないことは明らかである。
したがって、本件明細書は、請求項1に係る発明について、特許法第36条第4項及び第5項に規定する記載要件を満たしているから、その特許を無効とすることはできない。

4-6.結び
以上のとおり、本件請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたもの、あるいは、同法第17条の2第3項の要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第1号又は第2号に該当し、無効とされるべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その3分の2を請求人の負担とし、3分の1を被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
中通し釣竿の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側縁間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)、該薄い柔軟部材の上から前記隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去する中通し釣竿の製造方法であって、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成することを特徴とする中通し釣竿の製造方法。
【請求項2】樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材の側部が互いに重合するように巻回し、この重合部と開放部の境界の段差部を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、該薄い柔軟部材の上から前記段差部に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去することを特徴とする中通し釣竿の製造方法。
【請求項3】樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、表面に釣糸ガイド部材を沿わせる溝を形成した巻回部材をマンドレルに巻回し、前記溝に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記巻回部材を除去することを特徴とする中通し釣竿の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成し、内側面に釣糸ガイド部材を配設した中通し釣竿の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】釣糸の滑り性の向上や竿管内面の摩耗損傷防止等の観点から、竿管内面に単一繊維の釣糸案内環状体を一体化させる方法が特開平4-341133号に開示されている。即ち、マンドレルの外周面に単一繊維を適数箇所巻き付け、この上からプリプレグを巻回して常法に従って竿管を一体形成する。またマンドレルに段差部を設け、この段差部に釣糸案内環状体を位置決めしてプリプレグを巻回する方法等が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、釣糸案内環状体は、その内面がマンドレル表面によって規制されているため、外側からプリプレグを巻回すると、該プリプレグは釣糸案内環状体近傍が半径方向外方に凸状になり、その他の部分がマンドレルの表面に沿ってマンドレルに接触する。即ち、プリプレグによる竿管の成形では該竿管内面と釣糸案内環状体の内面とが面一になり、釣糸案内環状体が竿管内面から半径方向内方に突出することができない上、加熱成形時にプリプレグから樹脂がマンドレル表面に流れて釣糸案内環状体が樹脂に埋もれてしまうため、釣糸案内環状体は竿管内面の内方に露出できない。
【0004】
また釣糸案内環状体の内面を一部露出することがあってもその周囲に樹脂がバリ状に貼り付いていることが多く、この状態で釣糸を案内するとそのバリ状樹脂によって釣糸が損傷することがあり、安定した釣糸案内機能を発揮できない。マンドレルに位置決めの段差部を設けた場合も、単一繊維の大きさでは同様に樹脂によって埋没する。
【0005】
こうした問題の他、前述のようにプリプレグは釣糸環状体の近傍で外方向に凸状態になり、繊維が蛇行して竿管の強度が低下するという問題もある。
【0006】
依って本発明は、繊維蛇行を防止しつつ釣糸ガイド部材が竿管内表面から安定露出し、釣糸を円滑に案内して挿通抵抗を小さくできる中通し釣竿の製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本発明は、請求項1において、樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材側縁間に釣糸ガイド部材を沿わせる隙間を有するように巻回し、前記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い(該薄い柔軟部材の側面同士が接触する状態に密巻きする方法を除く)、該薄い柔軟部材の上から前記隙間に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去する中通し釣竿の製造方法であって、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状を、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向に突出する表面を滑らかに形成することを特徴とする中通し釣竿の製造方法を提供する。
【0008】
また請求項2において、樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、マンドレルに厚さの厚い巻回部材を、該巻回部材の側部が互いに重合するように巻回し、この重合部と開放部の境界の段差部を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、該薄い柔軟部材の上から前記段差部に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記厚い巻回部材と薄い柔軟部材を除去することを特徴とする中通し釣竿の製造方法を提供する。
【0009】
更に請求項3では、樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化形成された竿管内に釣糸を挿通させる中通し釣竿の製造方法であって、表面に釣糸ガイド部材を沿わせる溝を形成した巻回部材をマンドレルに巻回し、前記溝に沿って釣糸ガイド部材を配設し、その上に前記樹脂を含浸又は混合した繊維強化プリプレグを巻回し、加圧、加熱して形成し、その後、前記マンドレルを引き抜き、前記巻回部材を除去することを特徴とする中通し釣竿の製造方法を提供する。
【0010】
【作用】請求項1では、厚さの厚い巻回部材を、釣糸ガイド部材を沿わせられる隙間を有してマンドレルに巻回させれば、この隙間に沿わせて釣糸ガイド部材を配設し、この上からプリプレグを巻回して成形すれば、竿管内面に釣糸ガイドが突出形成できるが、これでは前記隙間における釣糸ガイド部材にプリプレグの樹脂が流入して硬化すると、釣糸ガイド部材の表面に樹脂による角部を形成することになるため、釣糸が接触すると損傷したり切断されたりする虞がある。そこで、上記隙間を厚さの薄い柔軟部材によって覆い、これを介して釣糸ガイド部材を沿わせれば、釣糸ガイド部材周りに流入する樹脂によって囲まれた釣糸ガイド部材の断面形状は、前記薄い柔軟部材の存在によって竿管の半径方向内方に突出する表面が滑らかに形成され、釣糸を滑らかに案内できる。
【0011】
請求項2では、請求項1の方法の隙間の代りに巻回部材の重合部と開放部との境の段差部を利用し、この段差部に薄い柔軟部材を覆って釣糸ガイド部材を沿わせ、この上からプリプレグを巻回すれば、角部が形成されることを防止できる。その他は請求項1の方法と同様である。
【0012】請求項3では、巻回部材の表面に溝が形成してあるため、これをマンドレルに巻回した後、その溝に沿って釣糸ガイド部材を配設し、この上からプリプレグを巻回して成形すれば、釣糸ガイド部材はプリプレグ等の流動化した樹脂によって竿管に固定され、竿管内面に釣糸ガイドが安定して突出形成できる。上記溝の断面が流入した樹脂によって角部を生じる形状の場合は、請求項1と2の場合と同様に、溝の深さに比べて薄い柔軟部材によって覆ってから釣糸ガイド部材を沿わせれば角部の発生が防止される。
【0013】
【実施例】以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づき、更に詳細に説明する。図1は本発明に係る中通し釣竿の第1製造方法の途中の一過程を示す側面図、図2はその後のプリプレグ等を巻回し、熱硬化処理した作業後の矢視線B-B位置における断面拡大図である。まず、マンドレル10の表面に、皮、シリコン、テフロン、又はゴム等、人工材や天然材から成る厚さの厚い巻回部材20を巻回する。
【0014】
ここでは巻回部材20は帯状に細長い形態を成しており、これを図のように、その巻回部材20の側縁間に針金状の釣糸ガイド部材24を沿わせる適切な間隔をおいて螺旋状に巻回し、螺旋状に連続した隙間SPを形成している。この隙間の上を、耐熱性の高いポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)から成る厚さの薄い柔軟部材22で覆う。この実施例では巻回作業が容易となるように厚さの厚い巻回部材20の表面全体に亘って覆っている。
【0015】
上記薄い柔軟部材22の上から離型剤を塗布し、この上から上記螺旋状の隙間SPに沿って釣糸ガイド部材24を巻回する。この釣糸ガイド部材24は、径の大きな炭素繊維やセラミックス繊維、その他、竿管の繊維強化プリプレグと同様な紐状の繊維強化プリプレグや、金属やセラミックスによって強化された紐状の繊維強化プリプレグ等から成る。この上から炭素繊維等の強化繊維に熱硬化性樹脂等を含浸や混合させた繊維強化プリプレグ30を適数回巻回する。この後は、常法に従って加圧しつつ加熱処理して竿管を形成する。
【0016】
この加熱後の図1の矢視線B-Bに相当する領域の断面を示す図2を参照すると、加熱成形時に繊維強化プリプレグ30から流れ出た樹脂26が釣糸ガイド部材24の周囲に流れ込み、釣糸ガイド部材24を竿管に一体化させることができると共に、厚さの厚い巻回部材20の側縁20eと20fによって形成された隙間SPに釣糸ガイド部材24を沿わせることによって、該隙間に押し込められた薄い柔軟部材22の存在は、図示の如く、釣糸ガイド部材24の周りに樹脂の角部が生じることを防止して滑らかに形成する。この後、マンドレル10を引き抜き、厚い巻回部材20と薄い柔軟部材22とを除去する。薄い柔軟部材22は部分的に残留していてもよい。こうして釣糸ガイド部材24は竿管の内面に突出するよう固定されて、その表面が滑らかに形成され、釣糸を滑らかに案内することができる。
【0017】
上記実施例では、釣糸ガイド部材20は一本の針金状部材から成り、螺旋状に連続して竿管内面に固定しているが、本発明はこれに限らない。厚い巻回部材20が複数の部材20A,20B,・・・20Hに分割形成され、これら部材の側縁間に適切な隙間を設けるように夫々をマンドレルに巻回して、夫々独立した釣糸ガイド部材を隙間に沿わせてもよい。従って、竿管に固定された夫々の釣糸ガイド部材形状は環状リング形状等であってもよい。また、釣糸ガイド部材24の竿管内面との固定を強化させるために、例えば、その断面形状を半円形状に形成し、平面側を竿管内面側(沿わせる作業時にマンドレル表面から遠い側)にして沿わせるとよい。更には、こうした釣糸ガイド部材24の配設は釣竿の部分領域でもよく、また全体に亘って設けてもよい。更には他の方式によって形成した釣糸ガイド部材を竿管内に有していてもよい。
【0018】
図3は本発明に係る第2の方法を説明する図であり、マンドレル10の表面に第1方法に使用の巻回部材と同様な帯状巻回部材20を、側部が互いに重なり合うように巻回させる。この巻回部材20の重合部と開放部との境界段差部の凹部SPを、第1の方法の場合と同様な薄い柔軟部材で覆い、この上から離型剤を塗布する。この他は第1の方法の場合と同様である。
【0019】
図4は本発明に係る第3の方法の一過程を示す図である。厚く、かつ帯状に長い巻回部材20’の幅方向中央部に溝SP’を形成しておき、これをマンドレル10の表面にその側縁同士が互いに接触して隙間を生じないように詰めて巻回する。この巻回部材20’の断面を図5に拡大図示するが、溝SP’は滑らかな形状に形成されている。この巻回部材20’の上に離型剤を塗布し、溝に沿って以上の各場合と同様な釣糸ガイド部材を沿わせ、その上から繊維強化プリプレグを巻回する。以下、常法によって形成しても、釣糸ガイド部材周囲にプリプレグから流入した樹脂は、溝SP’が滑らかな形状に形成されているため、角部を生じることが防止される。巻回部材20’はマンドレル10を引き抜いた後除去できる。この実施例のマンドレル10の先部においては、巻回部材20’に溝SP’を形成していない。これは、竿管の先部は継合部のため、釣糸ガイドを形成しないためである。
【0020】
上記溝SP’の深さは0.3mm以上が好ましく、幅は釣糸ガイド部材の幅や傾斜角度等により任意に選択する。また、巻回部材20’の厚さは0.5mm以上が好ましい。
【0021】
更には、巻回部材20’の巻回時に、側縁間に隙間が生じて樹脂のバリが発生することを防止すべく、巻回された巻回部材の上を既述と同様な薄い柔軟部材で覆うとよい。また、溝SP’の断面が滑らかに形成されていない場合にも、第1や第2の方法と同様に柔軟部材で覆えばよい。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明によれば、竿管の繊維が蛇行することも防止されて釣糸ガイド部材が竿管内表面から安定露出すると共に、釣糸を円滑に案内して釣糸の挿通抵抗を小さくできる中通し釣竿が提供可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る中通し釣竿の第1の製造方法の一過程の側面図である。
【図2】図2は図1の矢視線B-Bに相当する部分の加熱後の断面図である。
【図3】図3は本発明に係る中通し釣竿の第2の製造方法の一過程の側面図である。
【図4】図4は本発明に係る中通し釣竿の第3の製造方法の一過程の側面図である。
【図5】図5は図4に使用している巻回部材の拡大横断面図である。
【符号の説明】
10 マンドレル
20,20’厚い巻回部材
20e,20f 側縁
22 薄い柔軟部材
24 釣糸ガイド部材
26 樹脂
SP 隙間
SP’,SP”溝
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2004-12-21 
結審通知日 2006-05-24 
審決日 2005-02-01 
出願番号 特願平6-306930
審決分類 P 1 112・ 561- ZD (A01K)
P 1 112・ 161- ZD (A01K)
P 1 112・ 534- ZD (A01K)
最終処分 一部成立  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 川島 陵司
辻野 安人
登録日 2000-09-01 
登録番号 特許第3104838号(P3104838)
発明の名称 中通し釣竿の製造方法  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 河野 哲  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 中村 誠  
代理人 中村 誠  
代理人 井上 裕史  
代理人 小林 茂雄  
代理人 平井 真以子  
代理人 河野 哲  
代理人 岩坪 哲  
代理人 幸長 保次郎  

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