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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1168004
審判番号 不服2005-9263  
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-18 
確定日 2007-11-15 
事件の表示 平成6年特許願第152081号「ストロボ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成8年1月19日出願公開、特開平8-17587号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年7月4日の出願であって、平成17年4月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年5月18日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、平成17年6月17日付けで手続補正がされたものである。

2.平成17年6月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年6月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、「閃光管に直列にIGBTを接続し、該IGBTのオンとオフを切り替えることで発光制御を行なうストロボ装置において、
前記IGBTのオンとオフを制御するための制御信号と、撮像装置内部のモータを駆動するための電圧を出力するCMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧とを受けて、前記制御信号を前記CMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧のレベルに変換するCMOSのレベルシフタと、変換した制御信号をCMOSのバッファ回路を介して前記IGBTのゲートに印加して前記IGBTをオンするIGBTドライブ回路を設けたことを特徴とするストロボ装置。」と補正された。(下線は、補正個所を示す。)
上記補正は、発明の構成に欠くことができない事項であるIGBTドライブ回路に関し、制御信号をCMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧のレベルに変換することについて、CMOSのレベルシフタを有すること、及び変換した制御信号をIGBTのゲートに印加することについて、CMOSのバッファ回路を介することを限定するものであるから、平成6年改正前の特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は、新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する平成6年改正前の特許法第126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物
ア.引用刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された実願平2-47153号(実開平4-8300号)のマイクロフイルム(以下「引用刊行物1」という。)には、第1?6図とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「第5図は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、IGBTと呼ぶ)により発光管をオン、オフして調光制御を行なう電子閃光装置の発光制御回路の従来例を示す。第5図により、その概要を説明する。
1は電源スイッチ、2は電池などの電源、3は電源2を昇圧する昇圧回路、4は発光エネルギーを蓄えるメインコンデンサ、5は突入電流防止用のインダクタ、6はダイオードである。
さらに、14は発光量を制御する調光制御回路、31は発光管22のトリガ電極に高圧を印加するトリガ回路、32はIGBT23をオンさせるためのゲート電圧用電源、60はIGBT23をオン、オフする制御回路である。
また、L1は高圧線、L2は基準電位線、L3は発光開始指令を伝送する信号線、L5はIGBT23をオン、オフする制御信号線である。
次に、この回路の動作を説明する。
電源スイッチ1をオンすると、昇圧回路3が電源2の電圧を昇圧してメインコンデンサ4を充電し、発光エネルギーが蓄えられる。この状態で不図示のカメラのX接点がオンすると、調光制御回路14から発光開始指令が信号線L3を介してトリガ回路31へ出力され、さらに調光制御回路14から制御信号(ハイレベルで発光開始、ローレベルで発光停止)が制御信号線L5を介して制御回路60へ出力される。この発光開始指令信号によってトリガ回路31は動作を開始し、発光管22のトリガ電極へ高圧を印加する。また、発光開始指令信号に同期してハイレベルな制御信号が信号線L5に発生するとトランジスタ38、39、40は順次オンし、トランジスタ41がオフする。そして、ゲート電圧用電源32の出力電圧がトランジスタ40を介してIGBT23のゲートに印加され、IGBT23がオンすると発光管22は発光を開始する。
発光が行なわれると調光制御回路14は発光量をモニタし、不図示の調光用受光素子の受光量の積分値が適正値になると、調光制御回路14は制御信号線L5をローレベルにする。これによって、トランジスタ38、39、40が順次オフし、トランジスタ41がオンする。その結果、トランジスタ41を介してIGBT23のゲートが基準電位線L2へ接続されてIGBT23がオフするので、発光管22は発光を停止する。」(明細書第2頁第16行?第4頁末行)
(イ)第5図には、(i)発光管22に直列にIGBT23が接続されること、(ii)ゲート電圧用電源32が昇圧回路3やメインコンデンサ4とは別に設けられ、制御回路60に接続されること、(iii)制御回路60はトランジスタ38、39、40、41から構成されること、(iv)トランジスタ38、39からなる回路は、制御信号線L5がnpn型のトランジスタ38のベースに接続され、そのコレクタは抵抗33及び34を介してゲート電圧用電源32からの線に接続され、pnp型のトランジスタ39のベースが抵抗33と34の接続点に接続され、そのコレクタが抵抗37を介して基準電位線L2に接続されること、(v)トランジスタ40、41からなる回路は、npn型のトランジスタ40とpnp型のトランジスタ41のベースが共通にトランジスタ39のコレクタと抵抗37の接続点に接続され、そのエミッタも共通にIGBT23のゲート接続され、トランジスタ40のコレクタがゲート電圧用電源32からの線にトランジスタ41のコレクタが基準電位線L2に接続されることが図示されている。
これらの記載事項(ア)及び図面の図示内容(イ)を総合すると、上記引用刊行物1には、「発光管22に直列にIGBT23を接続し、IGBTにより発光管をオン、オフして調光制御を行なう電子閃光装置において、
制御信号線L5を介して制御回路60へ出力される発光開始及び発光停止を行う制御信号と、昇圧回路3やメインコンデンサ4とは別に設けられるゲート電圧用電源32の出力とを受けて、トランジスタ38、39、40、41から構成され、制御信号線L5の制御信号がハイレベルで発光開始、ローレベルで発光停止するようにIGBT23をオン、オフする、制御回路60を設けるものであって、
制御回路60は、トランジスタ38、39からなる回路が、制御信号線L5がnpn型のトランジスタ38のベースに接続され、そのコレクタは抵抗33及び34を介してゲート電圧用電源32からの線に接続され、pnp型のトランジスタ39のベースが抵抗33と34の接続点に接続され、そのコレクタが抵抗37を介して基準電位線L2に接続されるのであり、トランジスタ40、41からなる回路は、npn型のトランジスタ40とpnp型のトランジスタ41のベースが共通にトランジスタ39のコレクタと抵抗37の接続点に接続され、そのエミッタも共通にIGBT23のゲートに接続され、トランジスタ40のコレクタがゲート電圧用電源32からの線にトランジスタ41のコレクタが基準電位線L2に接続される、電子閃光装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
イ.引用刊行物2
同じく引用された、本願出願前に頒布された特開平5-191970号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図1?5とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【従来の技術】従来より、例えば1.5〔V〕等の乾電池1本から集積回路用の電源電圧(例えば5〔V〕)を得る電源装置として、いわゆる高周波昇圧チョッパ型スイッチングレギュレータ構成のものがある。
また、コイルやトランス等の巻線類を使用しないで、DC-DCコンバータを実現する方式として、いわゆるチャージポンプ方式(或いはスイッチドキャパシタ方式)と呼ばれるものがあり、一般的に広く利用されている。
一方、コイルやトランスを用いたスイッチングレギュレータにおいて、目的とする2次出力電圧が例えば2系統以上必要とされる場合には、各系統各々専用の昇降圧機能を持たせた装置を準備するか、又は、必要とする電圧が他の電圧の整数倍でよい場合には、最も簡易的にはDC-DCコンバータが実現できる上記チャージポンプ方式(スイッチドキャパシタ方式)が利用される場合が多い。」(段落【0002】?【0004】)
(イ)「図5に示す従来の電源装置1においては、上記第二の2次側出力電圧VOUT2を得るための構成として、ダイオードD5,D6とコンデンサC20,C30からなるいわゆるチャージポンプ型DC-DCコンバータを設け、更に、例えば上記コンデンサC20をスイッチングさせるためのインバータIC5及び当該インバータIC5をスイッチングさせるための例えばオシレータ16を有している。」(段落【0010】)
(ウ)「なお、上記第二の2次側出力電圧VOUT2は、上記PWM回路3にも送られており、上記スイッチング用FETのトランジスタQ1のオン抵抗を下げるために当該トランジスタQ1のゲート駆動用電源として利用されている。」(段落【0013】)
(エ)「本実施例装置30は、上記第二の2次側出力電圧VOUT2が供給され、この第二の2次側出力電圧VOUT2に基づいて上記トランジスタQ1をスイッチングするためのスイッチング駆動電圧を生成する駆動電圧生成手段としての例えばレベルシフタ9をも有している。」(段落【0024】)

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「発光管22」は、その構成・機能からみて、前者の「閃光管」に相当し、以下同様に、後者の「調光制御」は前者の「発光制御」に、後者の「電子閃光装置」は前者の「ストロボ装置」に、後者の「IGBTにより発光管をオン、オフして調光制御を行なう」作動は前者の「IGBTのオンとオフを切り替えることで発光制御を行なう」作動に、後者の「制御信号線L5の制御信号がハイレベルで発光開始、ローレベルで発光停止するようにIGBT23をオン、オフする、制御回路60」は前者の「IGBTをオンするIGBTドライブ回路」にそれぞれ相当し、後者は「制御信号線L5を介して制御回路60へ出力される発光開始及び発光停止を行う制御信号」を「制御信号線L5の制御信号がハイレベルで発光開始、ローレベルで発光停止するようにIGBT23をオン、オフする、制御回路60」が受けるのであるから、後者の「制御信号線L5を介して制御回路60へ出力される発光開始及び発光停止を行う制御信号」は前者の「IGBTのオンとオフを制御するための制御信号」に相当する。
また、後者の「昇圧回路3やメインコンデンサ4とは別に設けられるゲート電圧用電源32の出力」と前者の「撮像装置内部のモータを駆動するための電圧を出力するCMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧」とは、ともにIGBTドライブ回路を駆動する、IGBTドライブ回路用電源から出力された電圧であるといえ、前者のレベルシフタにおける「CMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧のレベル」もIGBTドライブ回路用電源から出力された電圧のレベルの限りで共通している。
そうすると、両者は、「閃光管に直列にIGBTを接続し、該IGBTのオンとオフを切り替えることで発光制御を行なうストロボ装置において、
前記IGBTのオンとオフを制御するための制御信号と、IGBTドライブ回路用電源から出力された電圧とを受けて、前記IGBTをオンするIGBTドライブ回路を設けたストロボ装置。」である点で一致し、以下の点で相違すると認められる。
相違点A:ドライブ回路の具体的構成に関し、本願補正発明が「制御信号を」IGBTドライブ回路用電源から出力された電圧「のレベルに変換するCMOSのレベルシフタと、変換した制御信号をCMOSのバッファ回路を介して前記IGBTのゲートに印加」するものであるのに対して、引用発明は「トランジスタ38、39、40、41から構成され、制御信号線L5の制御信号がハイレベルで発光開始、ローレベルで発光停止するようにIGBT23をオン、オフする」ものであって、「トランジスタ38、39からなる回路が、制御信号線L5がnpn型のトランジスタ38のベースに接続され、そのコレクタは抵抗33及び34を介してゲート電圧用電源32からの線に接続され、pnp型のトランジスタ39のベースが抵抗33と34の接続点に接続され、そのコレクタが抵抗37を介して基準電位線L2に接続され、トランジスタ40、41からなる回路は、npn型のトランジスタ40とpnp型のトランジスタ41のベースが共通にトランジスタ39のコレクタと抵抗37の接続点に接続され、そのエミッタも共通にIGBT23のゲートに接続され、トランジスタ40のコレクタがゲート電圧用電源32からの線にトランジスタ41のコレクタが基準電位線L2に接続される」ものである点。
相違点B:IGBTドライブ回路用電源に関して、本願補正発明が「撮像装置内部のモータを駆動するための電圧を出力するCMOSのチャージポンプ回路」であり、IGBTドライブ回路のCMOSのレベルシフタが変換する電圧のレベルが「CMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧のレベル」であるのに対して、引用発明はそのような構成ではない点。

そこで、上記相違点について検討する。
ア.相違点Aについて
引用発明の「トランジスタ40、41からなる回路」は、「npn型のトランジスタ40とpnp型のトランジスタ41のベースが共通にトランジスタ39のコレクタと抵抗37の接続点に接続され、そのエミッタも共通にIGBT23のゲートに接続され、トランジスタ40のコレクタがゲート電圧用電源32からの線にトランジスタ41のコレクタが基準電位線L2に接続される」ものであるから、相補的なトランジスタのバッファ回路であって、その出力をIGBTのゲートに印加するものであり、IGBTドライブ回路用電源から出力された電圧によりIGBTのゲートをドライブするものといえる。そしてトランジスタ39のコレクタと抵抗37の接続点に接続されるので、トランジスタ38、39からなる回路の出力で駆動されるものである。
また、引用発明の「トランジスタ38、39からなる回路」は、「制御信号線L5がnpn型のトランジスタ38のベースに接続され、そのコレクタは抵抗33及び34を介してゲート電圧用電源32からの線に接続され、pnp型のトランジスタ39のベースが抵抗33と34の接続点に接続され、そのコレクタが抵抗37を介して基準電位線L2に接続され」るものであり、後段に続く相補的なトランジスタのバッファ回路とともに制御信号線L5の制御信号がハイレベルで発光開始、ローレベルで発光停止するようにIGBT23をオン、オフするIGBTドライブ回路を構成するものであるから、制御信号線L5の制御信号に基づき、後段のIGBTドライブ回路の出力段ともいえるバッファ回路が充分に駆動できるようになすものであって、入力された制御信号を、上記バッファ回路の電源でもあるIGBTドライブ回路用電源に対応した出力電圧のレベルとして出力するものである。さらに、引用刊行物2でも(2)イ.(ウ)及び(エ)に示されるように、出力段を充分にドライブするために駆動信号をより高い駆動信号とすることも周知であるから、入力された制御信号の電圧のレベルを変換するレベルシフタとすることも当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。引用発明の具体的回路構成をみても、当業者であれば、レベルシフタとしての動作を想起し得るものであって、npn型のトランジスタ38とpnp型のトランジスタ39が組み合わされている。信号の電圧のレベルを変換するのであるから、後段の「トランジスタ40、41からなる回路」の入力は、レベルシフタにより変換した制御信号である。
ところで、CMOS回路の構成とすることにより低消費電力化を求めることは、当業者にとって慣用手段(必要あれば、電気学会「電気工学ポケットブック」第4版第1刷、オーム社、P.326?328等参照。)であり、カメラの分野においても、特開平2-165499号公報、実願昭59-175426号(実開昭61-89821号)のマイクロフイルムや特開平5-103272号公報等に示されるように同様である。そして、引用発明のIGBTドライブ回路はトランジスタにより構成されるものであるが、IGBTとは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタといわれるMOS系デバイスであることも例えば特開平5-275187号公報にも示されるように、当業者に周知であるから、MOS系デバイスであるIGBTをドライブするIGBTドライブ回路を構成するレベルシフタとバッファ回路を、同じ電圧制御系であって上記のように慣用されるCMOSとすることも当業者が格別の困難性を要することなくなし得たことといえる。
以上のようであるから、引用発明におけるIGBTドライブ回路の具体的構成について、相違点Aに係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものと認められる。そしてそのことによる効果も当業者が容易に想到し得たものといえる。

イ.相違点Bについて
一般に、撮像装置には、レンズを駆動する等各種のモータとその駆動回路、及びそのための電源を有することは周知である。また、モータ以外にもストロボ回路や測光装置等の各種の回路が含まれることや、これら各種の回路の電源を共用することも周知である。例えば、特開平6-89794号公報には、図11や図18に、カメラにおいて、ストロボの主コンデンサを充電する電源とは別に回路系へ一定電圧Vccを供給するDC/DCコンバータが示されるとともに、CPU60、測光、測距駆動回路61、モータコントロール回路62、ストロボのIGBT71を駆動するバッファアンプ72が示されており、さらに実願平2-13982号(実開平3-105823号)のマイクロフイルムや特開昭63-23112号公報にも電源をモータやストロボ等の各種回路で共用することが示されている。
そうすると、引用発明におけるIGBTドライブ回路用電源を、撮像装置のモータを駆動するための電圧を出力する電源と共用することは、当業者が格別の困難性を要することなくなし得たこといえる。
同様の電圧を用いる回路と電源を共用することに、格別の技術的困難性は見出せない。
一方、チャージポンプ回路により電源を構成することは引用刊行物2((2)イ.(ア)及び(イ))に示されるように周知であり、カメラの分野においても、例えば、特開平2-165499号公報、特開平2-144708号公報や特開平6-22472号公報、特開平6-113529号公報等に示されるように周知である。また、上記特開平2-165499号公報や特開平6-22472号公報には、CMOSとすることも示され、本願明細書段落【0011】にもCMOSのチャージポンプ回路が周知であると記載されている。
そうすると、カメラの電源をCMOSのチャージポンプ回路で構成することは、当業者が適宜採用し得る設計的事項であるといえる。
そして、IGBTドライブ回路用電源が上記のように構成されるとき、IGBTドライブ回路のレベルシフタが変換する電圧のレベルも、当然、上記の電源の電圧となるものである。
したがって、引用発明において相違点Bに係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことというべきである。

そして上記相違点A及びBを合わせ考えても、本願補正発明の効果が格別であるとはいえない。

ウ.まとめ
したがって、本願補正発明は、引用刊行物1に記載された発明、引用刊行物2に記載された事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年6月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年2月21日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「閃光管に直列にIGBTを接続し、該IGBTのオンとオフを切り替えることで発光制御を行なうストロボ装置において、
前記IGBTのオンとオフを制御するための制御信号と、撮像装置内部のモータを駆動するための電圧を出力するCMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧とを受けて、前記制御信号を前記CMOSのチャージポンプ回路から出力された電圧のレベルに変換し、変換した制御信号を前記IGBTのゲートに印加して前記IGBTをオンするIGBTドライブ回路を設けたことを特徴とするストロボ装置。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」で検討した本願補正発明のIGBTドライブ回路に関し、CMOSのレベルシフタを有すること及びCMOSのバッファ回路を介することとの限定を削除するものである。
そうしてみると、本願発明に包含される本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用刊行物1に記載された発明、引用刊行物2に記載された事項及び周知の事項に事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるのであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物1に記載された発明、引用刊行物2に記載された事項及び周知の事項に事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明、引用刊行物2に記載された事項及び周知の事項に事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうすると、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-09-12 
結審通知日 2007-09-18 
審決日 2007-10-01 
出願番号 特願平6-152081
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
P 1 8・ 575- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中川 真一宮崎 光治  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 岸 智章
平上 悦司
発明の名称 ストロボ装置  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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