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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1168233 |
審判番号 | 不服2005-19379 |
総通号数 | 97 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-06 |
確定日 | 2007-11-22 |
事件の表示 | 平成10年特許願第321805号「基板処理方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月14日出願公開、特開2000- 12500〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成10年11月12日(優先日、平成10年4月20日)の出願であって、平成17年8月30日付け(発送日:同年9月6日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月6日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年10月25日に手続補正がなされたものである。 2.平成17年10月25日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年10月25日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)本件補正による補正 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。 「フォトレジスト被膜が被着された基板に処理液を供給してフォトレジスト被膜の除去処理を施す基板処理方法において、 基板を回転する工程と、 オゾンを純水に溶解してなる処理液を、基板に吐出孔を向けたノズルから回転する基板に供給する工程と、 基板に供給された処理液に対して紫外線を照射し、基板に被着されたフォトレジスト被膜を除去する工程とを有することを特徴とする基板処理方法。」 上記補正は、請求項9に記載した発明を特定するために必要な事項である「(塗布)被膜」について「フォトレジスト(被膜)」との限定を付加し、また、「工程」として「基板を回転する工程」、「フォトレジスト被膜を除去する工程」を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した特開平5-47730号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。 ・「【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明は有機物の酸化分解を、オゾンに紫外線照射することによって生成した1重項励起酸素原子と水との反応で生成するヒドロキシルラジカルにより行うことにより、酸化分解の速度を大きくするものである。」 ・「【0011】 オゾンを共存した処理液は、超純水中へオゾンを供給することによって得ているが、オゾンの供給は、沿面放電式などの無声放電を利用した発生装置から得られる気体のオゾンに限らず、気体のオゾンをあらかじめ超純水中に溶解させた高濃度のオゾン水や二酸化鉛電極を陽極とし、フッ素樹脂系の陽イオン交換膜を固体高分子電解質として使用した水の電気分解装置から得られる高濃度のオゾン水を使用しても良い。」 ・「【0015】 本発明の方法で除去することができるフォトレジスト膜はポジ型、ネガ型のいずれのフォトレジスト膜も可能である。 【0016】 また、基板を液中に浸漬しないで、基板を処理装置上に載置して被処理面を超純水で湿潤状態とした後に、基板面に高濃度のオゾンを噴射しながら基板面を紫外線で照射して有機物を除去する場合には、50,000?100,000ppmのオゾンを供給することが好ましい。そして、均一な処理が行われるように被処理基板を回転することが好ましいが、回転数が大きいと基板表面を湿潤状態に保持する水が周囲に飛ばされてしまうので、回転数は20rpm程度が適当である。」 ・「【0021】 図2は、処理液中に浸漬せずに基板を処理する方法を示したものであるが、処理装置21内には、基板22の載置台23が設けられており、載置台は被処理基板は回転軸24によって回転可能に設けられている。回転軸は基板面の水を除去する場合には高速の回転を行う必要があるので、回転数の制御装置が結合されている。処理装置の上部にはオゾン発生装置25からオゾン含有気体を供給する供給管26が取り付けられており、処理装置の内部には紫外線照射用の水銀灯27が設けられている。また、オゾン含有気体が基板面に均一に供給されるように被処理基板の上部には石英等からなる多孔板28が設けられており、多孔板の孔を通じてオゾン含有気体が供給される。さらに、基板の上部には表面に超純水を供給するための超純水供給用ノズル29が設けられており、基板面の有機物の処理の際に基板面を水で被覆する。処理が終了した基板には超純水を供給しながら基板を回転し表面の残渣を除去し、さらに高速に回転して水分を除去する。 【0022】 実施例1 脱脂・乾燥処理により表面を清浄化した6インチウエハをスピンコータに載置して、ウエハ上にポジ型レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR-800)をメスピペットにより滴下した後、3500rpmで回転させ、レジストを均一に塗布した。85℃で20分間加熱乾燥を行い被処理基板とし、被処理基板上のポジ型レジストの膜厚を正確に測定した。」 ・「【0025】 実施例2 実施例1と同様にしてポジ型レジストを基板面に塗布した基板を図2で示す基板載置台に吸引固定し、載置台を15rpmで回転させながら超純水供給ノズルから超純水を散布し、被処理基板の表面を超純水で覆った。その後、被処理面に対向する位置に設けられた開口平板の開口部よりオゾン濃度80,000ppmのオゾン含有酸素をの被処理面に供給すると同時に紫外線ランプにより、波長253.7nmの紫外線を被処理面に照射した。1分間の処理の後に超純水供給ノズルから超純水を供給しながら載置台150rpmで回転させ被処理面を洗浄し、更に載置台の回転数を2000rpmとして水切りを行った。」 また、図2には、超純水供給用ノズル29の吐出孔が基板22に向いた様子が記載されており、さらに、図2の実施例2において、供給されたオゾンは基板の表面を覆った超純水に溶解することになる。 これらの記載及び図2を参照すると、引用例には次の発明が記載されている(以下、「引用例発明」という。)。 「ポジ型レジスト膜が被着された基板に処理液を供給してポジ型レジスト膜の除去処理を施す基板処理方法において、 基板を回転する工程と、 超純水を、基板に吐出孔を向けた超純水供給用ノズルから回転する基板に供給する工程と、 オゾンを供給して超純水に溶解する工程と、 基板に供給された処理液に対して紫外線を照射し、基板に被着されたポジ型レジスト膜を除去する工程とを有することを特徴とする基板処理方法。」 (3)対比 本願補正発明と上記引用例発明とを比較する。 引用例発明の「ポジ型レジスト膜」は本願補正発明の「フォトレジスト被膜」に相当し、同様に「超純水供給用ノズル」は「ノズル」に相当する。 したがつて、両者は、 「フォトレジスト被膜が被着された基板に処理液を供給してフォトレジスト被膜の除去処理を施す基板処理方法において、 基板を回転する工程と、 オゾンを純水に溶解してなる処理液を基板に供給する工程と、 基板に供給された処理液に対して紫外線を照射し、基板に被着されたフォトレジスト被膜を除去する工程とを有することを特徴とする基板処理方法。」の点で一致し、 次の点で相違する。 本願補正発明では、「オゾンを純水に溶解してなる処理液を基板に供給する工程」として、「オゾンを純水に溶解してなる処理液を、基板に吐出孔を向けたノズルから回転する基板に供給する」ことにより行っているのに対して、 引用例発明では、同工程として、超純水を、基板に吐出孔を向けた超純水供給用ノズルから回転する基板に供給し、この超純水に対してオゾンを供給して超純水に溶解することにより実施している点。 (4)判断 引用例の段落【0011】には上記に摘記したように、「オゾンを共存した処理液は、超純水中へオゾンを供給することによって得ているが、・・・略・・・気体のオゾンをあらかじめ超純水中に溶解させた高濃度のオゾン水・・・略・・・を使用しても良い」との記載がある。 また、基板の洗浄において、オゾンをあらかじめ純水中に溶解させた処理液を、ノズルから基板に供給すること自体も、従来周知である(例えば、特開平9-213666号公報、特開平8-162425号公報、特開平5-104071号公報を参照。)。 したがって、引用例の示唆を踏まえ、周知技術を引用例発明に適用して、相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用例に記載された事項、及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成17年10月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項9に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年4月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項9に記載されたとおりの次のものである。 「塗布被膜が被着された基板に処理液を供給して被膜の除去処理を施す基板処理方法において、 オゾンを純水に溶解してなる処理液を、基板に吐出孔を向けたノズルから回転する基板に供給する工程と、 基板に供給された処理液に対して紫外線を照射する工程とを有することを特徴とする基板処理方法。」 (2)引用例 引用例、及びその記載事項は前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から「(塗布)被膜」の限定事項である「フォトレジスト(被膜)」との構成を省き、「工程」から「基板を回転する工程」、「フォトレジスト被膜を除去する工程」を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-19 |
結審通知日 | 2007-09-25 |
審決日 | 2007-10-09 |
出願番号 | 特願平10-321805 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金丸 治之 |
特許庁審判長 |
岡本 昌直 |
特許庁審判官 |
長浜 義憲 前田 仁 |
発明の名称 | 基板処理方法及びその装置 |
代理人 | 杉谷 勉 |