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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D06F |
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管理番号 | 1168750 |
審判番号 | 不服2005-16693 |
総通号数 | 97 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-09-01 |
確定日 | 2007-11-29 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第298210号「洗濯機用モータおよび洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 5月18日出願公開、特開平11-128588〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件審判に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成9年10月30日の出願であって,平成17年7月29日付け(発送日:同年8月2日)で拒絶査定されたが,同年9月1日に拒絶査定不服審判が請求され,同月28日付けで,請求項の削除を目的とする手続補正がされ,当審で審理し,平成19年7月12日付け(発送日:同月17日)で拒絶理由が通知され,同年9月11日付けで手続補正がされたところである。。 2.本願発明 本件審判に係る出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成19年9月11日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。 【請求項1】 洗濯槽兼脱水槽の下部に設けられ攪拌翼に連結された減速手段の外周側に配設され、前記減速手段の回転軸に固定された回転子と、この回転子の外周側に空隙を介して配設された固定子とを備えた洗濯機用モータであって、 前記回転軸が、 前記減速手段の回転軸部と、 この回転軸部に直交して一体に設けられ、前記回転子の内周部の下方端部に溶接して固定され、前記減速手段の外径より大きい外径を有する固定部とを、 備えたことを特徴とする洗濯機用モータ。 3.先の出願に係る発明 本願の出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされ,平成19年7月12日付けでした拒絶理由に引用した特願平9?148895号(特開平10-337396号。出願人:松下電器産業株式会社。発明者:越賀健二,中島信市,森中準一。以下,「引用出願」という。)の願書に最初に添付された明細書又は図面には,次の事項が記載されている。 ・「【発明の属する技術分野】 本発明は、洗浄、すすぎを低速回転する撹拌翼によって行い、脱水を脱水槽の高速回転によって行う洗濯機に関するものである。」(【0001】) ・「(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について説明する。まず、本実施例の全体構成を図1により説明する。本体21内には、脱水振動を防振するように、サスペンション22によって懸架された受筒23を設け、受筒23内には脱水槽24を回転自在に配し、この脱水槽24の内底部には、洗濯物を撹拌する撹拌翼の一種であるパルセータ25を回転自在に配している。脱水槽24は、受筒23の底部に設けた軸受26によって軸支されている脱水軸27の上端側に固定され、パルセータ25は、脱水軸27の中空部に、脱水軸27と同軸上となるように配された洗濯軸29の上端側に固定されている。また、洗濯軸29は脱水軸27の中空部内に設けた軸受28によって軸支され、洗濯軸29の下端側は減速機構30の出力側に接続されている。減速機構30の減速機構入力軸42には駆動モータ31が取り付けられている。」(【0021】) ・「また、駆動モータ31は、円盤状で、その外周には高さ方向に延びる磁石取り付け部31cを有するロータ31aと、磁石取り付け部31cの外周に貼着された磁石と対向するようにロータ31aの磁石の外周側に配され、ロータ32aに回転磁界を与えるステーター31bとから構成されている。減速機構30の減速機構入力軸42は、駆動モータ31のロータ31aの回転中心部に連結されている。」(【0022】) ・「(実施例2)次に、本発明の第2の実施例を図4及び図5により説明する。なお、上記実施例と同一構成部品には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図4に示すように、駆動モータ31で減速機構30を内包するように構成している。このように、駆動モータ31で減速機構30を内包することで、減速機構30及び駆動モータ31を同軸上に配列しても全体を薄型に構成することができ、洗濯機の本体21の下方の容積が大きく取られることも抑えることができる。」(【0040】?【0041】) ・【図4】の記載からみて,駆動モータは,ステーターの外周部に固定された外郭を洗濯機の受筒に固定することにより洗濯機に固定されているものと認められる。 ・【図1】,【図4】の記載からみて,ロータ31aは減速機構入力軸42にナットで固定されているものと認められる。 以上の摘示事項から,引用出願には次の発明が記載されているものといえる(以下,「引用発明」という。)。 「脱水槽の下部に設けられ攪拌翼に連結された減速機構の外周側に配設され、前記減速機構の入力軸に固定されたロータと、このロータの外周側に空隙を介して配設されたステーターとを備えた駆動モータであって、前記減速機構の入力軸の回転軸部と、この回転軸部に直交してナット固定で設けられ、前記ロータの内周部に貼着して固定され,前記減速機構の外径より大きい外径を有する磁石取付部とを備えた駆動モータ。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると,引用発明における「脱水槽」が本願発明における「洗濯槽兼脱水槽」に相当し,以下,それぞれ「減速機構」が「減速手段」,「減速機構の入力軸」が「減速手段の回転軸」,「ロータ」が「回転子」,「ステーター」が「固定子」,「駆動モータ」が「洗濯機用モータ」,「磁石取付部」が「固定部」に相当する。 してみると,本願発明と引用発明とは 「洗濯槽兼脱水槽の下部に設けられ攪拌翼に連結された減速手段の外周側に配設され、前記減速手段の回転軸に固定された回転子と、この回転子の外周側に空隙を介して配設された固定子とを備えた洗濯機用モータであって、 前記回転軸が、 前記減速手段の回転軸部と、 この回転軸部に直交して設けられ、前記回転子の内周部の下方端部に固定され、前記減速手段の外径より大きい外径を有する固定部とを、 備えたことを特徴とする洗濯機用モータ。」 である点で一致し,次の点で相違する。 (相違点1) 本願発明では,固定部が,回転軸部に直交して「一体に」設けられているのに対して,引用発明では,固定部が,回転軸部に直交して「ナット固定で」設けられている点。 (相違点2) 本願発明では,固定部が,回転子の内周部の下方端部に「溶接して」固定されているのに対して,引用発明では,固定部が,回転子の内周部の下方端部に「貼着して」固定されている点。 5.当審の判断 上記相違点について検討する。 相違点1については,固定部と回転軸部とを別体で形成してナット等の固着手段により固定するか,一体形成するかは,固定部と回転軸部に求められる強度やコストに応じて適宜選択すべき,単なる選択的事項にすぎないというべきである。 また,相違点2についても,固定部と回転子とを貼着して固定するか,溶接して固定するかは,貼着も溶接も,共に固着手段として周知の技術手段であって,単なる周知技術の置換にすぎないものといえる。 しみてると,上記相違点1,2は,単なる選択的事項又は周知技術の置換にすぎないものであって,実質的に,本願発明と引用発明とは同一の発明というべきである。 しかも、本願の発明者が引用発明の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、出願人が引用出願の出願人と同一でもないことは明らかである。 6.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明と実質的に同一の発明であって,しかも、本願の発明者が引用発明の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、出願人が引用出願の出願人と同一でもないことから,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-26 |
結審通知日 | 2007-10-02 |
審決日 | 2007-10-15 |
出願番号 | 特願平9-298210 |
審決分類 |
P
1
8・
161-
WZ
(D06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金丸 治之 |
特許庁審判長 |
新海 岳 |
特許庁審判官 |
間中 耕治 佐野 遵 |
発明の名称 | 洗濯機用モータおよび洗濯機 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 佐々木 宗治 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 大村 昇 |