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審決分類 |
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 F03D |
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管理番号 | 1169380 |
審判番号 | 不服2006-10519 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-04-19 |
確定日 | 2007-12-03 |
事件の表示 | 特願2004-259030「風力発電開発」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 52715〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成16年8月9日の出願であって、平成18年3月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.原査定の概要 原査定の拒絶の理由(平成17年8月4日付けで通知した拒絶の理由)は、概ね以下のとおりである。 (1) 本件出願の請求項1及び2に係る発明は、特許法29条1項柱書きに規定する要件を満たしていない。(以下「理由1」という。) (2) 本件出願は、発明の詳細な説明について、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 (3) 本件出願は、特許請求の範囲の記載について、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 3.当審の判断 理由1について以下検討する。 特許法2条1項において、「この法律で『発明』とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義されている。 また、特許を受けることができる発明について、特許法29条1項柱書には、「産業上利用することができる発明をした者は、・・・・その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。 そうすると、特許を受けることができる「発明」とは、少なくとも「自然法則を利用した技術的思想の創作」でなければならず、請求項に記載されたものが、「自然法則を利用した技術的思想の創作」でない場合には、その請求項に記載されたものは、特許法29条1項柱書の規定を満たすとはいえないものとなる。 そこで、本件出願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたものが、特許法2条1項に規定された「発明」に該当するか、即ち、少なくとも「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるか否かについて検討する。 ここで、本件出願の特許請求の範囲の請求項1には、次のとおり記載されている。 「段ケ峰高原及びその周辺地帯での風車による、風力発電事業を行なう権利」 請求項1の記載によれば、請求項1に記載されたものは、「風車による、風力発電」なる自然法則を利用した技術的な構成を一部に有するとしても、その請求項1に記載されたもの全体としてみた場合、「段ケ峰高原及びその周辺地帯での」「風力発電事業を行う権利」、即ち、特定の地域での風力発電事業を行う商業上の権利と理解されるものである。 そして、平成16年12月16日付けの手続補正により補正された明細書の全文には次の記載があり、その内容は、上記理解するところと整合するものである。 ・「【技術分野】 【0001】 本発明は兵庫県朝来郡生野町栃原段ケ峰高原及び周辺地帯での風力発電事業を行なうものである. 【背景技術】 平成15年度新エネル-ギ・産業技術総合開発機構 兵庫県生野町段ケ峰における風力発電フィ-ルドテスト事業委託研究の風況精査の結果風力発電による.採算が見込まれる.見通しが生じた. 1ケ年間分の観測デ-タを添付する. 【0002】 【発明の効果】 風況精査の結果出力1500KW級の風車.約40基の建設が.可能となり.推定年間約150,000.000KWの発電が可能となった.」 そうすると、請求項1に記載されたものは、その一部に自然法則を利用した構成が記載されているとしても、請求項全体としては特定の地域での風力発電事業を行う商業上の権利を単に記載しているにすぎないから、少なくとも「自然法則を利用した技術的思想の創作」ということはできず、よって、特許法2条1項に規定された「発明」であるということはできない。 なお、請求人は、審判請求書において、 「【請求の趣旨】 産業活力再生特別処置法第30条の適用お受けるもの。 【請求の理由】 国等の委託研究の成果については特許が認められている。 当該地は誰も風力発電の適地であることわ知らなかった。 平成15年度新エネルギー産業技術総合開発機構風力発電フィードテスト事業によって発明された。 共同研究の成果である。 よって本願特許が登録されるべきである。 」 と主張しているが、請求項1に記載されたものが、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するか否かの判断は、上記主張の点により何ら影響を受けるものではない。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 4. むすび 以上のとおり、請求項1に記載されたものは、特許法2条1項に規定された「発明」に該当せず、特許法29条1項柱書の規定を満たすものとはいえないから、本件出願は、原査定の他の理由について判断するまでもなく、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-09-19 |
結審通知日 | 2007-09-25 |
審決日 | 2007-10-09 |
出願番号 | 特願2004-259030(P2004-259030) |
審決分類 |
P
1
8・
1-
Z
(F03D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川口 真一 |
特許庁審判長 |
田中 秀夫 |
特許庁審判官 |
渋谷 善弘 谷口 耕之助 |
発明の名称 | 風力発電開発 |