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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200520859 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1169436
審判番号 不服2004-15804  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-29 
確定日 2007-12-13 
事件の表示 平成10年特許願第205673号「レゾルシノール誘導体を含む美白化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月 8日出願公開、特開2000- 38334〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成10年7月21日の出願であって、その請求項1,2に係る発明は、平成16年5月14日付けの手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1,2に記載されたとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】 (a)一般式(I)で表される4-アルキルレゾルシノール及び/又は生理的に許容されるその塩と、(b)シラカバエキス、コウキエキス及び分子量500以下のものを含まない水溶性大豆蛋白から成る群から選ばれる少なくとも一種の物質とを含有することを特徴とする美白化粧料。
【化1】

(但し、R_(1)は炭素数1?7のアルキル基を表す。)」

2.引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前の刊行物である、特開平5-4905号公報には、次のような技術事項が記載されている。
(i)「【請求項1】一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数2?12の直鎖あるいは分枝アルキル基を表わす。)で示されるレゾルシノール誘導体(A)、及び赤外線防護剤(B)を必須構成成分とし、化粧料組成物全量に対して、(A)が0.01?10重量%、(B)が0.1?30重量%であることを特徴とする化粧料。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】参照)、
(ii)「【0002】
【従来の技術】或る種のレゾルシノール誘導体はメラニンの形成に関与するチロシナーゼ活性の阻害作用を有し、これを含有する美白剤は知られている(特開平2-49715号公報)。・・・(後略)。」(段落【0002】参照)、
(iii)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の前記美白剤に関するレゾルシノール誘導体は、メラニン合成の中間体であるドーパ、ドーパキノン及びインドール5,6-キノンの生成段階の触媒として作用すると考えられるチロシナーゼの活性を阻害するものであり、美白効果に優れているが、ほてり感、ヒリヒリ感の低減効果はない。又、前記の無機又は金属粉体からなる赤外線遮断物質等を配合した化粧料では赤外線遮断効果があり、日光による日焼けや老化現象としてのしわやたるみなどの障害を防止或いはほてり感、ヒリヒリ感等の熱感がなく、冷感効果に優れているが、これらはいずれも皮膚の黒化予防効果はないのが欠点であった。」(段落【0003】参照)、
(iv)「【0007】本発明のレゾルシノール誘導体の具体的化合物を例示すると表1の通りである。
【0008】
【表1】

(No.5?No.7省略)
【0009】一般式(1)で表わされるレゾルシノール誘導体は公知の化合物であり、例えば・・・(中略)・・・容易に得ることができる。一般式(1)で表わされるレゾルシノール誘導体の配合割合は化粧料組成物全量に対して0.01?10.0重量%であり、特に好ましい量は0.1?5重量%である。0.01重量%より低濃度では、皮膚の黒化予防効果が弱くなり、本発明の目的を達成し得なくなる。一方、10.0重量%より高濃度では安全性上好ましくない。」(段落【0007】?【0009】参照)、
(v)「【0012】本発明で用いられる上記抗酸化剤としては、例えば、トコフェロールまたはその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ローズマリーエキスなどを、上記紫外線吸収剤としては、例えば、イソフェルラ酸またはその塩、オキシベンゾンまたはその誘導体、p-アミノ安息香酸またはその誘導体、ケイ皮酸またはその誘導体など、上記紫外線反射剤としては、例えば、酸化チタン、雲母チタン、酸化亜鉛などを、上記保湿剤としては、例えば、イソプレングリコール、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸ナトリウムなどのムコ多糖類、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、加水分解ケラチン、大豆リン脂質、卵黄レシチン、カゼインナトリウム、スフィンゴ糖脂質、ステロール配糖体、ムチン、キチンやキトサンまたはそれらの誘導体、シャクヤクエキス、海藻エキスなどを、上記増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、ラポナイト、ベントナイト、天然ガム質(キサンタンガム、グアーガム、クインスシード等)アルギン酸ナトリウムなどを、上記レゾルシノール誘導体以外の美白成分としては、例えば、L-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド、パンテテイン-S-スルホン酸またはその塩、アルブチン、コウジ酸、生薬類(ソウハクヒ抽出液、オウゴンエキス、油溶性甘草エキス等)、ローヤルゼリー、グルタチオンまたはその誘導体、パンテチンなどを、上記細胞賦活成分としては、例えば、牛血液の除タンパク抽出エキス(例えば、エスアール71(ボドガー製))、牛脾臓エキス、水溶性胸腺抽出液、卵核膜加水分解物、微生物由来の核酸関連抽出物、ニワトリのトサカの酵素分解水性抽出物(例えば、フィブラN(三省製薬製)などを、上記肌あれ改善・創傷治癒成分としては、例えば、γ-オリザノール、胎盤エキス(水溶性プラセンタエキス)、トウキエキス、ヒノキチオール、リノール酸トリグリセリドなどを、上記皮膚収れん・発汗防止成分としては、例えば、アラントインまたはその誘導体、塩化アルミニウムなどを、上記ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB2やB6、ビタミンE、ビタミンF、およびこれらの類縁体などを、上記アミノ酸としては、例えば、セリン、グリシン、ハイドロキシプロリン、アラニンなどを、それぞれ挙げることができる。」(段落【0012】参照)、
(vi)「【0042】実施例 6、7、8、9、10 美白乳液
(処方)
【0043】
【表11】

【0044】(製法)Aを70℃に加熱し混合分散する。Bをあらかじめ均質に溶解し、これにCを加え、70℃に加熱する。これを撹拌しながら徐々にAに加え均質に乳化する。40℃まで冷却後Dを加え30℃まで冷却する。」(段落【0042】?【0044】参照)。

3.対比、判断
そこで、本願発明と引用例1に記載された発明とを対比する。
引用例1には、前記「2.」の摘示からみて、特に、レゾルシノール誘導体以外の美白成分として生薬類(ソウハクヒ抽出液、オウゴンエキス、油溶性甘草エキス等)が明示され、かつ、実施例10の美白乳液においてレゾルシノールと併用してオウゴンエキスとソウハクヒ抽出液が用いられていることを勘案すると、次の発明が記載されていると認められる。
「一般式(1)

(式中、Rは炭素数2?12の直鎖あるいは分枝アルキル基を表わす。)で示されるレゾルシノール誘導体(A)、及び赤外線防護剤(B)を構成成分とし、レゾルシノール誘導体以外の美白成分として生薬類を含有する美白化粧料。」

そして、
(イ)引用例発明の「一般式(1)(構造式略)(式中、Rは炭素数2?12の直鎖あるいは分枝アルキル基を表わす。)で示されるレゾルシノール誘導体(A)」は、4位の位置にアルキル基が置換されていることが明らかであるから、本願発明の「(a)一般式(I)で表される4-アルキルレゾルシノール」で且つ該4-アルキルが「炭素数1?7のアルキル基」であることに対応し、4-アルキルの炭素数が2?7で一致する。
(ロ)引用例発明の「レゾルシノール誘導体以外の美白成分として生薬類」は、本願発明の「(b)シラカバエキス、コウキエキス」「から成る群から選ばれ少なくとも一種の物質」に対応し、「少なくとも一種の物質」に相当する。
なお、引用例発明では、赤外線防護剤を構成成分としているが、本願発明では他の成分の配合を格別規制していないことから、相違点とはなり得ない。

してみると、本願発明と引用例発明は、
「一般式(I)で表される4-アルキルレゾルシノールと、少なくとも一種の物質とを含有する美白化粧料。
【化1】 (構造式略) (I)
(但し、R_(1)は炭素数2?7のアルキル基を表す。)」
で一致している。

他方、「少なくとも一種の物質」に関し、本願発明が、「シラカバエキス、コウキエキス」「から成る群から選ばれて」と特定されているのに対し、引用例1発明では、そのよう特定がなされておらず、「レゾルシノール誘導体以外の美白成分として生薬類」を用いるとされている点で相違する。

そこで、この相違点について検討する。
本願発明で特定する「シラカバエキス、コウキエキス」は、いずれも生薬類であり、レゾルシノールと同様に美白成分として知られていること(例えば、原審の拒絶の理由に引用された特開平9-291021号公報の請求項1,2、特開平10-152444号公報の特許請求の範囲、特開平7-223933号公報の特許請求の範囲、段落【0009】参照)に鑑み、引用例発明の実施例10で実際に用いられてもいる段落【0012】の生薬類などのレゾルシノール誘導体以外の併用される美白成分として、例示はないものの美白成分として知られている生薬類のシラカバエキスやコウキエキスなどを用いてみることは、当業者が容易になし得たものである。

ところで、本願明細書の評価結果の表3の場合を例に採れば、比較例1はレゾルシノールを水に置き換え、比較例2はシラカバエキスを水に置き換えているだけで、要は美白成分である片方の成分を除いているのであるから、美白成分の片方を欠くために美白成分が量的にも少なくなる比較例1,2に対し、美白成分の両成分を配合した実施例1の方が良い結果が得られているのは格別予想外のこととは言えない(他の表5,表7についても同様;レゾルシノールもシラカバエキスも共に美白成分であると解されていることに留意)。
なお、評価基準が、著しく白い、明らかに白い、やや白いなどと数値的なものではないこと、且つ、美白成分の量とその美白効果が一次関数的であることが明らかでないことから、比較例1と比較例2の評価を足し合わせたものより実施例1の評価が優れているとの判断もできない。
また、審判請求理由において、「細辛」または「仙鶴草」を成分として用いた参考データが示され、それら成分が美白化粧料の有効成分であることを参考資料1,2(特開平7-25746号公報,特開平8-175957号公報)で明らかにされている。
しかし、(a)それらの成分は、原査定の引用例に使用されているものではなく、特に引用例発明の実施例6?10に示されたレゾルシノールと併用された美白成分である「オウゴンエキス」「ソウハクヒ抽出液」、「アスコルビン酸グルコシド」「アルブチン」「パンテテイン-S-スルホン酸カルシウム」「ローヤルゼリー」や引用例に列記された(摘示(v)参照)レゾルシノール以外の美白成分ではないから、適切な対比例とは言えず、また、(b)提示された参考資料1,2の特許請求の範囲に示された多数の植物由来の成分のうちから、その中の2つがレゾルシノール(とその誘導体)との組合せにおいて、極端に劣るものでも優れたものでもなく、生薬類の典型的な効力を発揮するものとして他(の生薬類)を代表するものであるとする格別の理由もなく、また、あまりにも少ないたった2つのものを対比例としただけでは不十分であって、本願発明のレゾルシノール(とその誘導体)とシラカバエキスまたはコウキエキスの組合わせが、レゾルシノールと他の美白成分との組合せに比べて格別優れていると認めることができない。
したがって、本願明細書に記載された実施例のデータ、及び審判請求理由において追加されたデータでは、本願発明に格別予想外の相乗的な作用効果があるとは判断できないから、本願発明の特定された組合わせに格別予想外の作用効果があるとは認められない。
なお、請求人に対し、期間を指定し、具体的理由を挙げて、本願発明が当業者が予想できない顕著な効果を奏するものとは認められないとの見解を示し、意見及び実験データがあれば回答書として提出するよう審尋したが、何らの反論も釈明もなされなかった。

以上のとおり、上記相違点にかかる構成は、当業者が容易に想到し得る程度のものと認められ、この相違点によって格別予想外の作用効果を奏しているとも認められない。
よって、本願発明は、引用例発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。それ故、他の請求項について論及するまでもなく、本願発明は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-10 
結審通知日 2007-10-16 
審決日 2007-10-29 
出願番号 特願平10-205673
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 円香胡田 尚則  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 塚中 哲雄
穴吹 智子
発明の名称 レゾルシノール誘導体を含む美白化粧料  
代理人 松倉 秀実  
代理人 松倉 秀実  
代理人 遠山 勉  
代理人 川口 嘉之  
代理人 遠山 勉  
代理人 川口 嘉之  
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