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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1170469
審判番号 不服2005-1404  
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-24 
確定日 2008-01-09 
事件の表示 特願2001-523719「色安定化ホスホン酸塩を含有する食器洗浄用洗剤組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成13年3月22日国際公開、WO 01/19947、平成15年3月11日国内公表、特表2003-509572〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年2月8日(パリ条約による優先権主張、外国庁受理1999年9月16日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、拒絶理由通知に対し平成16年3月16日付けで意見書とともに手続補正書が提出され、平成16年10月12日付けで拒絶査定がされ、平成17年1月24日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに平成17年2月23日付けで手続補正がされたものである。

第2 平成17年2月23日付け手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年2月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成17年2月23日付けの手続補正
平成17年2月23日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を以下のとおりとする補正事項を含むものである。
「【請求項1】 手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効量の有機ジアミンと、
b)アミンオキシド半極性非イオン性界面活性剤と、
c)香料と、
d)不純物として存在する鉄カチオンと、
e)0.0001%?0.5%の、次の一般式:
【化1】
X-N-(R-N)_(n)-X
| |
X X
(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rは2?6個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2または3個の脂肪族または脂環式ジラジカルであり;MはHまたは水溶性を高める非遷移金属カチオンのいずれかであり;yは1または2であり、nは1?4の整数である)で表わされるアルキレンアミノメチレンホスホン酸またはその塩と、
を含み、前記洗剤組成物が12.5より低いpH(10%水溶液で測定)を有し、且つハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示す前記組成物。」

2 特許法17条の2第3項に規定する要件について
上記請求項1についての補正は、液体食器洗浄用洗剤組成物について、「且つハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示す」という補正事項
(以下、「ハンターb値に関する補正事項」という。)を追加する補正を含むものである。
しかしながら、液体食器洗浄用洗剤組成物について、ハンターb値に関する補正事項は、この出願の願書に最初に添付した明細書(以下「本願当初明細書」という。)に明示的に記載された事項ではなく、しかも、本願当初明細書の記載から自明な事項でもない。
すなわち、本願当初明細書におけるハンターb値に関する記載は、
(1)「『色安定性』とは、洗剤組成物の色がある期間にわたって変化する傾向にあることを説明する洗剤組成物の特性を意味する。色の変化は、洗剤組成物のハンターb値をある期間にわたって連続的に測定することによってモニターすることができる。従って、『色安定性の改良』とは、ある成分の添加によって、一定期間に対する洗剤組成物のハンターb値変化の絶対量が、ある成分の添加前の同じ期間に対する洗剤組成物のハンターb値変化の絶対量よりも小さいことを意味する。」(【0015】)
(2)「組成物IおよびIIの相対的な色安定性を評価するための色安定性テストでは、上記組成物のそれぞれについて視覚的に認められた色と分析測定された色が測定された。
色はハンターカラー測定テストによって分析的に測定することができ、溶液の色は反射スペクトロメトリによって決定される。本テストのために、ハンター『b値』のみが表示される。」(【0074】)
(3)本願当初明細書の【0075】の【表2】におけるテスト結果について、「ハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値変化」が、ホスホン酸塩を含まない場合に6.77であるのに対し、ホスホン酸塩を0.009重量%含む場合は1.66であること、
(4)「ホスホン酸塩を含む組成物についてエージング後のハンターb値変化は、ホスホン酸塩を含まない組成物よりも著しく小さく、ホスホン酸塩を含む組成物はホスホン酸なしの組成物よりも色安定性が高いということが示された。この結果は、エージング前後の製品の視覚的外観によって確認される。」(【0076】)
のみであり、また、本願当初明細書に記載されている色安定性についての原理的な説明は
(5)「上記で議論されたように、アルキレンアミノメチレンホスホン酸の添加は、ジアミンと、オレフィン誘導アミンオキシドと、香料と、不純物として存在する遷移金属イオンと、を含有する洗剤組成物の色安定性を大幅に高める。理論によって限定されるものではないが、既に言及した色の不安定は、遷移金属および他の成分によって触媒される複雑な色形成反応の結果であると考えられている。上記のホスホン酸およびその塩のような金属イオン封鎖剤を含むことによって、金属イオンは錯化され、溶液中で他の成分と自由に反応できる金属イオンはほんの僅か低濃度で残されるだけである。」(【0017】)
のみであるから、液体食器洗浄用洗剤組成物について、ハンターb値に関する補正事項が、本願当初明細書に明示的に記載された事項であるということはできない。
また、上記(1)?(5)の記載からは、
(ア)「色の不安定は、遷移金属および他の成分によって触媒される複雑な色形成反応の結果であると考えられている」(【0017】)のであるから、軽々に色の変化(不安定さ)について予測することはできず、しかも、
(イ)本願当初明細書において「ハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値」(以下、「エージング後のハンターb値」という。)について具体的に記載されているのは【0075】の【表2】に記載されたもののみであって、また、他にエージング後のハンターb値を推認し得るに足る記載はないところ、【0075】の【表2】では、エージング後のハンターb値変化について、ホスホン酸塩を含まない場合には6.77であったものが、ホスホン酸塩を0.009重量%含む場合には1.66であったことしか示されておらず、エージング後のハンターb値変化が1.66より小さくなるケースについては何ら示されていないのであるから、本願当初明細書の記載からは、エージング後のハンターb値変化が1.66より小さくなるケースが果たして存在するのかどうかすら窺い知るに足る技術的根拠は何ら示されていないというほかないのである。
したがって、そもそもエージング後のハンターb値変化の数値範囲は予測できず、まして、エージング後のハンターb値変化が1.66未満となるケース(例えば、0.1となるケース)が果たして存在するのか、また、仮に存在するとすればどのような条件下であるのか、に至っては皆目見当が付かないといわざるを得ないのであるから、ハンターb値に関する補正事項が自明な事項であるともいえない。
よって、ハンターb値に関する補正事項を含む請求項1についての補正は、本願当初明細書に記載した事項の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)であるから、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。

3 特許法17条の2第4項に規定する要件について
先に指摘したように、本件補正は、ハンターb値に関する補正事項を追加する補正を含むものである。
ところで、特許請求の範囲についてする補正が特許法17条の2第4項2号に該当するためには、「発明を特定するために必要な事項を限定するもの」であることが必要である。
ここで、本件について「発明を特定するために必要な事項を限定するもの」であるといい得るためには、補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とする必要がある。
しかしながら、本件補正前の特許請求の範囲には、ハンターb値に関する補正事項については、補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とするための対象である、「発明を特定するための事項」に該当するものが存在しない。つまり、本件補正においてハンターb値に関する補正事項が認められるためには、補正前の請求項にハンターb値に関連する何らかの記載(発明を特定するための事項)がなされていることが必要であるが、かかる記載は存在しないのである。
したがって、ハンターb値に関する補正事項は、補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とする補正であるとは認められないので、かかる補正事項は特許法17条の2第4項2号に該当しない。
また、ハンターb値に関する補正事項を追加する補正は、請求項の削除、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明、のいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
したがって、ハンターb値に関する補正事項を追加する補正を含む本件補正は、特許法17条の2第4項の規定に違反するものである。

4 その他
(1)請求人は、審判請求書において、「本願請求項1における補正事項は、・・・ハンターカラー測定テストでのハンターb値を特定するものであり、明細書段落[0075]の記載によって・・・支持されている。そして、当該補正は、補正前発明の上記発明特定事項・・・を限定したものであり、さらに発明の解決しようとする課題が補正前と同一であるので、限定的減縮に該当するものである。」と主張するが、本件補正が特許法17条の2第3項、及び同第4項の規定に違反するものであることは先に指摘したとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(2)上記のとおり、本件補正は、本願当初明細書に記載した事項の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)であるとともに、特許法17条の2第4項の規定に違反するものであって、限定的減縮に該当するものではないが、仮に本件補正が本願当初明細書に記載した事項の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)ではなく、しかも、請求項の限定的減縮に該当するものと仮定しても、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たさないので、本件補正は、特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するため、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
(本件補正における特許請求の範囲の請求項1に係る発明が独立特許要件を満たさない理由は、最後の「付記:」の項目において指摘するとおりである。)

5 まとめ
よって、本件補正は、その余の補正事項について検討するまでもなく、特許法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたから、この出願の請求項1に係る発明は、平成16年3月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】 手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効量の有機ジアミンと、
b)半極性の非イオン性界面活性剤と、
c)香料と、
d)不純物として存在する鉄カチオンと、
e)次の一般式:
【化1】
X-N-(R-N)_(n)-X
| |
X X
(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rは2?6個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2または3個の脂肪族または脂環式ジラジカルである。Mは、Hまたは水溶性を高める非遷移金属カチオンのいずれかである。yは1または2であり、nは1?4の整数である。)
で表わされるアルキレンアミノメチレンホスホン酸またはその塩と、を含み、前記洗剤組成物が12.5より低いpH(10%水溶液で測定)を有する当該組成物。」

2 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、
(1)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記刊行物1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、
(2)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記刊行物1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。

1.国際公開第99/24539号パンフレット
2.特開平03-063286号公報
3.国際公開第98/28393号パンフレット
(以下、これらの刊行物をそれぞれ「刊行物1」、「刊行物2」、及び「刊行物3」という。)

3 刊行物の記載事項
(1)刊行物1の記載事項
刊行物1には以下の事項が記載されている。
a 「発明の分野 本発明は、硬質表面上に沈着した汚れの軟化方法に関する。」(1頁2?4行)
b 「発明の背景 典型的な市販の硬質表面クリーナーは、汚れた硬質表面へのクリーナー、またはクリーナーの希釈溶液の適用を包含する。典型的には、その場合、時間に伴って硬化してしまったような焦げたミルク、カラメル化した砂糖、調理済みの卵のような頑強な汚れに関しては特に、ユーザーはごしごし洗い落とす必要がある。これは、食器、深鍋、平鍋を手でクリーニングする場合に特に言えることである。手洗い食器クリーニングにおける種々の異なる表面、例えば繊細な陶磁器皿、銅製深鍋、ステンレス平皿、木製スパチュラ、セラミック製乳鉢および乳棒等の上の、軽度のおよび重度のまたは頑強な汚れをともに有することも少なくない。」(1頁5?13行)
c 「本発明の方法に用いられる組成物は、低pHまたは高pHを提供する。“低pH”とは、10%水性溶液が6?8.5のpHを有することを意味する。“高pH”とは、10%水性溶液が8.5より大きく12までのpHを有することを意味する。さらに好ましくは、高pH組成物は、本明細書中では、pH9.5?11.5の10%水性溶液を有する。
汚れ軟化添加剤 本発明の方法に用いられる組成物は、汚れ軟化添加剤、即ち高pHの汚れ軟化添加剤または低pHの汚れ軟化添加剤を含む。これらの汚れ軟化添加剤は、好ましくは、0.001重量%?99.9重量%、さらに好ましくは0.01重量%?75重量%、さらに好ましくは0.1重量%?約50重量%の量で本発明の方法に用いられる組成物中に存在する。
高pHの汚れ軟化添加剤は、pH緩衝剤、酵素、溶媒、ビルダー、キレート化剤、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される。」(6頁10?22行)
d 「pH緩衝剤
本発明の高pHの汚れ軟化法は、好ましくは、1つ又はそれ以上のpH緩衝剤を包含し得る。本発明の方法に用いられる組成物は、用いられる場合、即ち希釈され、汚れた硬質表面に適用される場合に、食物汚れにより生じる酸性の力を受ける。本発明の方法に用いられる緩衝剤のpKa値は、好ましくは7?12、さらに好ましくは8?10.5、さらに好ましくは8.5?10であるべきである。これらの条件下で、緩衝剤は、その最小量を用いながら、最も有効にpHを制御する。」(14頁30?15頁2行)
e 「特に好ましい緩衝剤は、有機ジアミンとして既知の種類の物質である。好ましい有機ジアミンは、pK1およびpK2が8.0?11.5の範囲、好ましくは8.4?11の範囲、さらに好ましくは8.6?10.75の範囲である。性能および供給を考慮して好ましい物質は、1,3プロパンジアミン(pK1=10.5;pK2=8.8)、1,6-ヘキサンジアミン(pK1=11;pK2=10)、1,3ペンタンジアミン(ダイテックEP)(pK1=10.5;pK2=8.9)、2-メチル1,5ペンタンジアミン(ダイテックA)(pK1=11.2;pK2=10.0)である。その他の好ましい物質は、C4?C8の範囲のアルキレンスペーサーを有する第一級/第一級ジアミンである。概して、第一級ジアミンは、第二および第三級ジアミンより好ましいと考えられる。」(15頁22?30行)
f 「好ましいジアミンの例としては、以下のものが挙げられる:
ジメチルアミノプロピルアミン:
1,6-ヘキサンジアミン:
1,3-プロパンジアミン-
2-メチル1,5-ペンタンジアミン-
1,3-ペンタンジアミン(ダイテックEPの商品名で入手可能)
1-メチル-ジアミノプロパン-
ジェフアミンEDR148-
イソフォロンジアミン-
1、3-ビス(メチルアミン)-シクロヘキサン
およびそれらの混合物。」(16頁下から4行?17頁7行;式省略)
g 「キレート化剤 本明細書中で用いられる組成物は、1つ又はそれ以上の鉄および/またはマンガンキレート化剤も任意に含有し得る。このようなキレート化剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能性置換芳香族キレート化剤、およびそれらの混合物(全て後述される)から成る群から選択され得る。理論に縛られることなく、これらの物質の利点は、一部は、可溶性キレートの生成により、鉄およびマンガンイオンを洗浄溶液から除去するそのひときわ優れた能力による、と考えられる。
任意のキレート化剤として有用なアミノカルボキシレートとしては、エチレンジアミン四酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、およびエタノールジグリシン、それらのアルカリ金属、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
アミノホスホネートも、少なくとも低レベルの全リン量が洗剤組成物中に許される場合には、本発明の組成物中のキレート化剤として用いるのに適しており、その例としては、DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)が挙げられる。」(24頁7?22行)
・・・(中略)・・・
「用いられる場合、これらのキレート化剤は、好ましくは、本明細書中の組成物の重量の0.1重量%?15重量%を構成する。さらに好ましくは、用いられる場合、キレート化剤は、このような組成物の重量の0.1重量%?3.0重量%を構成する。」(25頁3?5行)
h 「界面活性剤 本発明の方法に用いられる組成物は、好ましくは、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤を任意に含有し得る。界面活性剤は、用いられる場合、「短」鎖長の界面活性剤であるのが好ましい。即ち、分子の疎水性部分は、典型的には7?12個の炭素原子を含有すべきである。しかしながら、これは、本発明の方法に用いられる組成物中で、単独でまたは短鎖界面活性剤と組合せた長鎖界面活性剤の使用を排除しない。
広範なこれら界面活性剤は、本発明の方法で使用される組成物に使用できる。」(25頁6?16行)
i 「iv)両性(非双性イオン性)界面活性剤 これらの界面活性剤は、双性イオン性界面活性剤と類似しているが、しかし第四級基を含有しない。しかしながら、それらは低pH(pH5.5以下)の組成物でプロトン化されて陽イオン基を生成するアミン基を含有し、そしてそれらはこれらのpHで陰イオン基も有し得る。両性界面活性剤は、本発明の方法に用いられる組成物中で用いられ得る。
・・・(中略)・・・
その他の適切な両性界面活性剤としては、次式:
RR’R”N→O
[式中、Rは炭素数6?24、好ましくは10?18の第一級アルキル基であり、R’およびR”は各々別々に、炭素数1?6のアルキル基である]に対応するアミンオキシドが挙げられる。式中の矢印は、半極性結合の慣用的表現である。好ましいアミンオキシドは、第一級アルキル基が少なくともほとんどの分子中に、一般的には少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%の、分子中に直鎖を有するものであり、そして特に好ましいアミンオキシドは、Rの炭素数が10?18で、R’およびR”がともにメチルであるものである。好ましいアミンオキシドの例は、N-ヘキシルジメチルアミンオキシド、N-オクチルジメチルアミンオキシド、N-デシルジメチルアミンオキシド、N-ドデシルジメチルアミンオキシド、N-テトラデシルジメチルアミンオキシド、N-ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、N-オクタデシルジメチルアミンオキシド、N-エイコシルジメチルアミンオキシド、N-ドコシルジメチルアミンオキシド、N-テトラコシルジメチルアミンオキシド、メチル基の一方または両方がエチルまたは2-ヒドロキシエチル基で置換される対応するアミンオキシド、ならびにそれらの混合物である。本明細書中で用いるための最も好ましいアミンオキシドは、N-デシルジメチルアミンオキシドである。」(32頁16?33頁19行)
j 「その他の成分 組成物中で有用な広範な種々のその他の成分が本明細書中で用いられる組成物中に含まれ得る。それらの例としては、その他の活性成分、担体、ハイドロトロープ、酸化防止剤、加工処理助剤、染料または顔料、香料、棒状組成物用の固体充填剤等が挙げられる。」(47頁12行?15行)
k 「以下の実施例は本発明を説明するものであるが、しかし本発明の範囲を限定したり、そうでなければ定義するものではない。部、パーセンテージおよび比は全て、本明細書中で用いる場合、別記しないかぎり、重量%で表される。
以下の実施例では、レベルは全て、組成物の重量の%である。」(51頁12行?15行)
l 「実施例II
以下の液体組成物を製造する:


(52頁6行以下)
m 「pH緩衝剤は、ジアミン(例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3プロパンジアミン、2-メチル1,5ペンタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、1-メチル-ジアミノプロパン)リシン、トリ-エタノールアミン、ジ-エタノールアミン、炭酸ナトリウム、ビシン、トリシンおよびトリス(TRIS)から選択される。」(53頁2?5行)
n 「キレート化剤は、EDDS(米国特許第4,704,233号に記載)、EDTA、DEQUEST、ニトリロ-トリ-アセテートおよびMGDAから選択される。」(54頁4?5行)
o 「実施例III
・・・(中略)・・・


(54?55頁)
p 「pH緩衝剤は、ジアミン(例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3プロパンジアミン、2-メチル1,5ペンタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、1-メチル-ジアミノプロパン)リシン、トリ-エタノールアミン、ジ-エタノールアミン、炭酸ナトリウム、ビシン、トリシンおよびトリス(TRIS)から選択される。」(55頁1?4行)
q 「キレート化剤は、EDDS(米国特許第4,704,233号に記載)、EDTA、DEQUEST、ニトリロ-トリ-アセテートおよびMGDAから選択される。」(55頁17?18行)
r 「特許請求の範囲「1. 硬質表面上の汚れの軟化方法であって、硬質表面を、該硬質表面上の前記汚れを軟化するのに十分な時間、高pHの汚れ軟化添加剤を含有する組成物であって、8.5より大きく12までのpHを有し、少なくとも15の汚れ軟化指数を有する組成物を、汚れ軟化量で接触させることを包含する汚れの軟化方法。」(56頁1?6行)
「8. 前記高pHの汚れ軟化添加剤がpH緩衝剤であり、前記pH緩衝剤がpK1およびpK2を有する低分子量有機ジアミンであり、前記ジアミンのpK1およびpK2がともに8.0ないし11.5の範囲である請求項1、3、5または7のいずれか1記載の方法。」(57頁1?4行)

(2)刊行物2の記載事項
刊行物2には以下の事項が記載されている。
a 「〔産業上の利用分野〕
本発明は、アミン官能基を含む基体の反応特に第二級又は第三級アミンの反応中ニトロソアミンの形成を低下させる方法に関する。
〔従来の技術〕
第二級又は第三級アミンを酸化する認められた方法の一つは、ときには反応を促進する触媒又は他の添加物の存在下、基体を過酸化水素とを反応させることよりなる。
・・・(中略)・・・
第一の点において、・・・現在の観察では、たとえ第三級アミンが比較的有効にアミンオキシドに転換されつつあるときですら、副生物としてニトロソアミンが生成する明らかな傾向がある。それらの存在は、二、三の理由から不利であり、・・・それらが通常白色の生成物に与える代表的な黄色を示すという事実を特に含み、何れの不利も生成物について目のこえた消費者に受入れられない・・・。
本発明者は、アミンと過酸化水素との反応がかなり目立つ黄色に着色した生成物をもたらすことを観察した。恐らくすべてではないが若干の黄色化はニトロソアミン化合物の存在から生じ、そして若干は他の着色して不純物の存在から生ずる。黄色の存在はしばしばニトロソアミンが存在する指示であるが、色の不存在はニトロアミンも存在していないということを保証しない。それは、ヒトの眼は、ニトロソアミンの許容可能なレベルと過剰の残存するレベルとを区別するのに十分な感度の検出器ではなく、材料が肉眼にとりかなり白く見えても、なお過剰のニトロソアミンを含むからである。・・・
第二の点は、本発明者の最近の研究が又過酸化物/アミンの反応が多数の干渉する物質及び特に遷移金属の存在に敏感なことを示しているので、重要である。このような材料は、恐らくそれらの製法の結果として反応物に不純物として存在するか、又は反応混合物中に希釈剤として加えられる水に導入されるか、又は反応容器又は貯蔵タンクのパイプ又は壁から抽出されるか又は異物例えばちりの不注意な侵入により生ずる。存在するこのような物質の結果が積み重なって生成物の収量を低下させ、そして反応の能率の実質的な低下が大きな汚染の場合に生ずることになる。ここで、高いレベルの干渉する材料が存在するとき、条件はときには「ストレス条件」と記述される。」(2頁右上欄2行?3頁左上欄9行)
b 「〔発明の概要〕
第二級又は第三級アミノを含む基体と過酸化水素との反応中ニトロソアミンの形成を低下又は抑制するのが本発明の目的である。
遷移金属からの汚染が顕著でなく又は完全に存在していないときの理想的な条件下の生産の能率を損なうことなく、遷移金属の汚染した条件下第三級アミンからのアミンオキシドの生産能率を改善させることが本発明の第二の目的である。」(3頁右上欄8?16行)
c 「有効量の前記の有機アミノホスホン酸化合物の使用により、ニトロソアミンの問題を改善ししかも同時に顕著な量の遷移金属の存在下のアミン酸化の能率を改善することができる。」(3頁左下欄14?17行)
d 「〔実施例〕
・・・(中略)・・・
実施例3,4,6及び7並びに比較例C1,C2及びC5
これらの実施例及び比較例は下記の一般的な方法を用いて行われた。ドデシルジメチルアミン(0.2012モル、42.94g)。全反応混合物を150gにするのに十分な水(即ち約92.85g)及び遷移金属不純物の有害な量をもたらす(即ちストレス条件)ための少量(0.16g)の原料金属溶液を外界温度で皮膜保護の250d容反応フラスコに装入した。
原料金属溶液は、・・・Fe(NH_(4))_(2)(SO_(4))_(2)・6H_(2)O(3.5106g)、・・・を、・・・500mlの水(脱イオン化)に溶解することにより得られた。それは合計2350ppmの金属濃度を含んだ。従って、反応混合物中の金属の濃度は2.5ppmであった。少量の選択したホスホナート又は他の材料を次に混合物に導入して約4.3:1の金属対のモル比をもたらし、ただし実施例3ではホスホナートは過酸化水素溶液と予め混合された。」(6頁右上欄15行?左下欄18行)

(3)刊行物3の記載事項
刊行物3には以下の事項が記載されている。
a 「発明の分野 本発明は、低分子量有機ジアミン類を含有した洗剤組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、改善された脂肪除去性能および起泡上の効果を有した、手による皿洗い用の洗剤組成物に関する。」(1頁2?6行)
b 「更に、本明細書で記載されたジアミン類の強い脂肪除去性能は、対脂肪性能上の効果を維持しながら、処方物からMg/Caイオンの減少/排除を行えるのである。Mg/Caの排除は、溶解性、すすぎ性および低温製品安定性にも、改善された効果を更に発揮する。」(2頁14?18行)
c 「ジアミン類 好ましい有機ジアミン類は、pK1およびpK2が約8.0?約11.5の範囲内、好ましくは約8.4?約11、更に一層好ましくは約8.6?約10.75の範囲内にある場合である。性能および供給面からみて好ましい物質は、1,3‐プロパンジアミン(pK1=10.5;pK2=8.8)、1,6‐ヘキサンジアミン(pK1=11;pK2=10)、1,3‐ペンタンジアミン(Dytek EP)(pK1=10.5;pK2=8.9)、2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン(Dytek A)(pK1=11.2;pK2=10.0)である。他の好ましい物質は、C4?C8のアルキレンスペーサーを有する一級/一級ジアミン類である。一般的に、一級ジアミン類は二級および三級ジアミン類よりも好ましいと考えられる。」(7頁23?31行)
d 「好ましいジアミンの例には以下がある:
ジメチルアミノプロピルアミン:
1,6‐ヘキサンジアミン:
1,3‐プロパンジアミン-
2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン-
商品名Dytek EPで市販の1,3‐ペンタンジアミン-
1‐メチルジアミノプロパン-
Jeffamine EDR148-
イソホロンジアミン-
1,3‐ビス(メチルアミン)シクロヘキサン
およびそれらの混合物」(8頁下から4行?9頁7行;式省略)
e 「二次界面活性剤 二次洗浄界面活性剤は、ノニオン性、カチオン性、両性、双極性およびそれらの混合物からなる群より選択できる。本明細書で開示された他の補助成分と一緒に、洗浄界面活性剤のタイプおよび量を選択することにより、本洗剤組成物は洗濯クリーニング関係または他の異なるクリーニング適用、特に皿洗いで用いられるように処方することができる。したがって、用いられる具体的な界面活性剤は、考えられる具体的な最終用途に応じて様々である。適切な二次界面活性剤は以下で記載されている。
ノニオン性洗剤界面活性剤 」(12頁11?19行)
f 「半極性ノニオン性洗剤界面活性剤には、下記式を有するアミンオキシド界面活性剤がある。
(式省略)
上記式中R^(3)は約8?約22の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルフェニル基またはそれらの混合である;R^(4)は約2?約3の炭素原子を有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの混合である;xは0?約3である;各R^(5)は約1?約3の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基、または約1?約3のエチレンオキシド基を有するポリエチレンオキシド基である。R^(5)基は、例えば酸素または窒素原子を介して互いに結合されて、環構造を形成していてもよい。
これらのアミンオキシド界面活性剤には、特に、C_(10)‐C_(18)アルキルジメチルアミンオキシド、およびC_(8)‐C_(12)アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドがある。(14頁14?26行)
g 香料‐本組成物および方法で有用な香料および香料成分には、アルデヒド、ケトン、エステルなどを含めた様々な天然および合成化学成分があるが、それらに限定されない。オレンジ油、レモン油、ローズエキス、ラベンダー、ジャコウ、パチョリ、バルサムエッセンス、ビャクダン油、パイン油、セダーなどのような成分の複合混合物からなる、様々な天然エキスおよびエッセンスも含まれる。最終香料がこのような成分の極めて複雑な混合物からなることもある。最終香料は典型的には本洗剤組成物の約0.01?約2重量%であり、個別の香料成分は最終香料組成物の約0.0001?約90%である。」(27頁14?24行)
h 「キレート化剤‐本洗剤組成物は、1種以上の鉄および/またはマンガンキレート化剤も場合により含有している。このようなキレート化剤は、すべて以下で記載されているようなアミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能性置換芳香族キレート化剤およびそれらの混合物からなる群より選択できる。理論に拘束されることなく、これら物質の効果は、可溶性キレートの形成により洗浄液から鉄およびマンガンイオンを除去しうる、それらの格別な能力に一部起因していると考えられる。
任意のキレート化剤として有用なアミノカルボキシレートには、エチレンジアミン四酢酸、N‐ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸およびエタノールジグリシン、それらのアルカリ金属、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩、およびそれらの混合物がある。
アミノホスホネートも、少くとも低レベルの全リンが洗剤組成物で許容されるときに、本発明の組成物でキレート化剤として使用に適しており、DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)がある。好ましくは、これらのアミノホスホネートは炭素原子約7以上のアルキルまたはアルケニル基を含まない。
・・・(中略)・・・
利用されるならば、これらのキレート化剤は本洗剤組成物の通常約0.1?約15重量%である。更に好ましくは、利用されるならば、キレート化剤はこのような組成物の約0.1?約3.0重量%である。」(33頁11行?34頁7行)
i 「下記例は本発明の例示であるが、その範囲を制限または限定する意味ではない。本明細書で用いられるすべての部、パーセンテージおよび比率は、別記されないかぎり、重量%として表示されている。
下記例において、すべてのレベルは組成物の重量%として示されている。」(37頁4?8行)
j 「例II
・・・(中略)・・・

ジアミンは:ジメチルアミノプロピルアミン;1,6‐ヘキサンジアミン;1,3‐プロパンジアミン;2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン;1,3‐ペンタンジアミン;1‐メチルジアミノプロパンから選択される。
・・・(中略)・・・
DTPAはジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤である。」(39頁19行?41頁4行)
k 「特許請求の範囲
1.手による食器洗浄での使用に適切な洗剤組成物であって、該組成物は:
a)有効量の、pK1およびpK2を有する低分子量有機ジアミン;但し、該ジアミンのpK1およびpK2は双方とも8.0?11.5の範囲内である;および
b)洗浄有効量の界面活性剤;
を含んでなり、
pH(10%水溶液として測定したとき)は8.0?12である、上記洗剤組成物。」(42頁1?8行)

4 当審の判断
A.特許法29条1項3号について
(1) 刊行物1に記載された発明
刊行物1に記載された発明は、
「1. 硬質表面上の汚れの軟化方法であって、硬質表面を、該硬質表面上の前記汚れを軟化するのに十分な時間、高pHの汚れ軟化添加剤を含有する組成物であって、8.5より大きく12までのpHを有し、少なくとも15の汚れ軟化指数を有する組成物を、汚れ軟化量で接触させることを包含する汚れの軟化方法。」、及び
「8. 前記高pHの汚れ軟化添加剤がpH緩衝剤であり、前記pH緩衝剤がpK1およびpK2を有する低分子量有機ジアミンであり、前記ジアミンのpK1およびpK2がともに8.0ないし11.5の範囲である請求項1、3、5または7のいずれか1記載の方法。」
に関するもの(刊行物1の摘示r)であって、刊行物1における硬質表面クリーナーの使用対象が手洗い食器クリーニングを含むこと(刊行物1の摘示b)、及びその例として「液体組成物」が記載されている(刊行物1の摘示l、及び摘示o)。
また、実施例IIのBには、液体組成物の例として、「pH10%(適量)」を10、「アミンオキシド」を3、「キレート化剤」を0.5、「pH緩衝剤」を5、としたもの中に香料が含まれていることが記載されている(刊行物1の摘示l)。
また、実施例IIのEには、液体組成物の例として、「pH10%(適量)」を8.5、「アミンオキシド」を15、「キレート化剤」を0.2、「pH緩衝剤」を5、としたもの中に香料が含まれていることが記載されている(刊行物1の摘示l)。
更に、実施例IIIのIには、液体組成物の例として、「pH10%」を9、「アミンオキシド」を5、「キレート化剤」を0.1、「pH緩衝剤」を2、としたもの中に香料が含まれていることが記載されている(刊行物1の摘示o)。
(ここで、「本発明の方法に用いられる組成物は、低pHまたは高pHを提供する。“低pH”とは、10%水性溶液が6?8.5のpHを有することを意味する。“高pH”とは、10%水性溶液が8.5より大きく12までのpHを有することを意味する。」(刊行物1の摘示c)とされていることなどを考慮すると、上記の「pH10%(適量)」、及び「pH10%」とは、「10%水溶液で測定した場合のpH値」の趣旨であることは明らかである。)
そして、刊行物1には、実施例II、及び実施例IIIで用いる「pH緩衝剤」は、「ジアミン(例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3プロパンジアミン、2-メチル1,5ペンタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、1-メチル-ジアミノプロパン)リシン、トリ-エタノールアミン、ジ-エタノールアミン、炭酸ナトリウム、ビシン、トリシンおよびトリス(TRIS)から選択される。」ことが記載されている(刊行物1の摘示m、及び摘示p)とともに、有効にpHを制御ために特に好ましい緩衝剤としてジアミン類が記載されている(刊行物1の摘示c、摘示d)。
以上によれば、刊行物1には、
「手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効にpHを制御ために特に好ましい緩衝剤としてのジアミン(例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3プロパンジアミン、2-メチル1,5ペンタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、1-メチル-ジアミノプロパン)と、
b)アミンオキシドと、
c)香料と、
e)キレート化剤と
を含み、前記洗剤組成物が8.5より大きく12までのpH(10%水溶液で測定)を有する当該組成物。」
の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
(2) 本願発明と引用発明1との対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、両者は、
「手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効量の有機ジアミンと、
c)香料と、
を含み、前記洗剤組成物が12.5より低いpH(10%水溶液で測定)を有する当該組成物。」
である点で一致するが、以下のア?ウの点で一応相違すると認められる。
ア b)成分が、本願発明においては「半極性の非イオン性界面活性剤」であるのに対し、引用発明1においては「アミンオキシド」である点、
イ d)成分として、本願発明においては「不純物として存在する鉄カチオン」と規定するのに対し、引用発明1においてはかかる規定はなされていない点、
ウ e)成分が、本願発明においては「次の一般式:
【化1】
X-N-(R-N)_(n)-X
| |
X X
(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rは2?6個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2または3個の脂肪族または脂環式ジラジカルである。Mは、Hまたは水溶性を高める非遷移金属カチオンのいずれかである。yは1または2であり、nは1?4の整数である。)
で表わされるアルキレンアミノメチレンホスホン酸またはその塩」であるのに対し、引用発明1においては「キレート化剤」である点。
(以下、これらの一応の相違点を、それぞれ「引用発明1との相違点ア」、「引用発明1との相違点イ」、及び「引用発明1との相違点ウ」という。)
(3) 相違点についての判断
ア 引用発明1との相違点アについて
「半極性の非イオン性界面活性剤」に関するものとして、本願明細書には以下の記載がある。
「半極性の非イオン性洗浄界面活性剤は次式を有するアミンオキシド界面活性剤を含む。・・・これらのアミンオキシド界面活性剤は特に、C_(10)?C_(18)アルキルジメチルアミンオキシドおよびC_(8)?C_(12)アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを含む。」(【0045】?【0046】)
これに対し、刊行物1には、実施例II、及び実施例IIIについて、そこで用いている「アミンオキシド」の説明は特に記載されていないが、先に刊行物1の摘示iで示したように、刊行物1には「好ましいアミンオキシドの例は、N-ヘキシルジメチルアミンオキシド、N-オクチルジメチルアミンオキシド、N-デシルジメチルアミンオキシド、N-ドデシルジメチルアミンオキシド、N-テトラデシルジメチルアミンオキシド、N-ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、N-オクタデシルジメチルアミンオキシド、N-エイコシルジメチルアミンオキシド、N-ドコシルジメチルアミンオキシド、N-テトラコシルジメチルアミンオキシド、メチル基の一方または両方がエチルまたは2-ヒドロキシエチル基で置換される対応するアミンオキシド、ならびにそれらの混合物である。本明細書中で用いるための最も好ましいアミンオキシドは、N-デシルジメチルアミンオキシドである。」と記載されている。
してみると、例えば、刊行物1において最も好ましいアミンオキシドとされている「N-デシルジメチルアミンオキシド」は、本願発明における「半極性の非イオン性界面活性剤」の例として示されている「C_(10)?C_(18)アルキルジメチルアミンオキシド」に包含されているから、両者は重複している。
したがって、引用発明1との相違点アは、実質的な相違点ではない。

イ 引用発明1との相違点イについて
確かに、刊行物1には、液体食器洗浄用洗剤組成物中に「不純物として存在する鉄カチオン」を含むことは特に記載されていない。
しかしながら、刊行物1の実施例IIにおけるB、E、及び実施例IIIにおけるIでは、組成物中に「キレート化剤」を含むことが記載されている(刊行物1の摘示l、及び摘示o)ところ、先に刊行物1の摘示gで示したように、刊行物1の組成物においてキレート化剤を用いる理由は、鉄および/またはマンガンキレート化剤として、「可溶性キレートの生成により、鉄およびマンガンイオンを洗浄溶液から除去する」ためである。
してみると、刊行物1の実施例IIにおけるB、E、実施例IIIにおけるIでは、組成物中に「不純物として存在する鉄カチオン」を含んでいるからこそ、そのような不純物として存在する鉄イオン(鉄カチオン)を洗浄溶液から除去するために、「キレート化剤」を含ませるようにしたものであることは明らかである。
このことは、刊行物2において、
「本発明者の最近の研究が又過酸化物/アミンの反応が多数の干渉する物質及び特に遷移金属の存在に敏感なことを示しているので、重要である。このような材料は、恐らくそれらの製法の結果として反応物に不純物として存在するか、又は反応混合物中に希釈剤として加えられる水に導入されるか、又は反応容器又は貯蔵タンクのパイプ又は壁から抽出されるか又は異物例えばちりの不注意な侵入により生ずる。」(刊行物2の摘示a;下線は当審判合議体による。以下、同様。)
と指摘していることなどからも明らかなように、鉄カチオン等の遷移金属カチオンは、水、反応物、反応容器、貯蔵タンクのパイプ、壁、及び異物等、各種の経路により、微量に混入してくる不純物であることが記載されていることとも符合する。
そして、刊行物1に記載されている洗剤組成物は、不純物として存在する鉄カチオンを予め除去する精製手段を採用しているものとも認められない。
したがって、刊行物1の実施例IIにおけるB、E、実施例IIIにおけるIの組成物においても、当然に「不純物として存在する鉄カチオン」を含むものと認められるので、引用発明1との相違点イは、実質的な相違点ではない。

ウ 引用発明1との相違点ウについて
刊行物1の実施例IIにおけるB、E、及び実施例IIIにおけるIで用いている「キレート化剤」について、刊行物1には、「キレート化剤は、EDDS(米国特許第4,704,233号に記載)、EDTA、DEQUEST、ニトリロ-トリ-アセテートおよびMGDAから選択される。」(刊行物1の摘示n、及び摘示q)と記載されているところ、刊行物1には、また、「キレート化剤」についての解説中で、「アミノホスホネートも、少なくとも低レベルの全リン量が洗剤組成物中に許される場合には、本発明の組成物中のキレート化剤として用いるのに適しており、その例としては、DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)が挙げられる。」(刊行物1の摘示g)と記載されている。
そして、刊行物1でDEQUESTとして挙げられている「エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)」は、本願発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されることは明らかである。
[すなわち、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)は、本願発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸のうち、「(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rが2個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2個の脂肪族ジラジカルである。MはHである。yは2であり、nは1である。)」ものに対応する。]
してみると、刊行物1の実施例IIにおけるB、E、及び実施例IIIにおけるIで用いている「キレート化剤」として挙げられているもののうちのDEQUESTは、本願発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されるので、引用発明1との相違点ウは、実質的な相違点ではない。

(4) 小括
したがって、本願発明は、引用発明1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。

B.特許法29条2項について
(1) 刊行物3に記載された発明
刊行物3に記載された発明は、
「1.手による食器洗浄での使用に適切な洗剤組成物であって、該組成物は:
a)有効量の、pK1およびpK2を有する低分子量有機ジアミン;但し、該ジアミンのpK1およびpK2は双方とも8.0?11.5の範囲内である;および
b)洗浄有効量の界面活性剤;
を含んでなり、
pH(10%水溶液として測定したとき)は8.0?12である、上記洗剤組成物。」(刊行物3の摘示k)
に関するものであって、その例として「液体洗剤組成物」が記載されている(刊行物3の摘示j、摘示k)。
そして、例IIのIには、液体洗剤組成物の例として、「pH10%」を9、「アミンオキシド」を5、ジアミンを2、DTPAを0.1、としたもの中に香料が含まれていることが記載されている(刊行物3の摘示j)。
また、例IIのJには、液体洗剤組成物の例として、「pH10%」を9.2、「アミンオキシド」を7、ジアミンを5、DTPAを0.1、としたもの中に香料が含まれていることが記載されている(刊行物3の摘示j)。
更に、例IIで用いる「ジアミン」は、「ジメチルアミノプロピルアミン;1,6‐ヘキサンジアミン;1,3‐プロパンジアミン;2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン;1,3‐ペンタンジアミン;1‐メチルジアミノプロパンから選択される。」こと、及び「DTPAはジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤である。」ことが記載されている(刊行物3の摘示j)。
以上によれば、刊行物3には、
「手による食器洗浄での使用に適切な洗剤組成物であって、該組成物は:
a)ジメチルアミノプロピルアミン;1,6‐ヘキサンジアミン;1,3‐プロパンジアミン;2‐メチル‐1,5‐ペンタンジアミン;1,3‐ペンタンジアミン;1‐メチルジアミノプロパンから選択される、有効量の有機ジアミンと、
b)アミンオキシドと、
c)香料と、
e)DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)と、
を含んでなり、
pH(10%水溶液として測定したとき)は8.0?12である、上記洗剤組成物。」
の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

(2) 本願発明と引用発明3との対比
本願発明と引用発明3とを対比すると、両者は、
「手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効量の有機ジアミンと、
c)香料と、
を含み、前記洗剤組成物が12.5より低いpH(10%水溶液で測定)を有する当該組成物。」
である点で一致するが、以下のア?ウの点で一応相違すると認められる。
ア b)成分が、本願発明においては「半極性の非イオン性界面活性剤」であるのに対し、引用発明3においては「アミンオキシド」である点、
イ d)成分について、本願発明においては「不純物として存在する鉄カチオン」と規定するのに対し、引用発明3においてはかかる規定はなされていない点、
ウ e)成分が、本願発明においては「次の一般式:
【化1】
X-N-(R-N)_(n)-X
| |
X X
(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rは2?6個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2または3個の脂肪族または脂環式ジラジカルである。Mは、Hまたは水溶性を高める非遷移金属カチオンのいずれかである。yは1または2であり、nは1?4の整数である。)
で表わされるアルキレンアミノメチレンホスホン酸またはその塩」であるのに対し、引用発明3においては「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」である点。
(以下、これらの一応の相違点を、それぞれ「引用発明3との相違点ア」、「引用発明3との相違点イ」、及び「引用発明3との相違点ウ」という。)

(3) 相違点についての判断
ア 引用発明3との相違点アについて
「半極性の非イオン性界面活性剤」に関するものとして、本願明細書には以下の記載がある。
「半極性の非イオン性洗浄界面活性剤は次式を有するアミンオキシド界面活性剤を含む。・・・これらのアミンオキシド界面活性剤は特に、C_(10)?C_(18)アルキルジメチルアミンオキシドおよびC_(8)?C_(12)アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを含む。」(【0045】?【0046】)
これに対し、刊行物3の例IIには、そこで用いている「アミンオキシド」についての説明は特に記載されていないが、先に刊行物3の「摘示f」で示したように、刊行物3には
「半極性ノニオン性洗剤界面活性剤には、下記式を有するアミンオキシド界面活性剤がある。
(式省略)
上記式中R^(3)は約8?約22の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルフェニル基またはそれらの混合である;R^(4)は約2?約3の炭素原子を有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの混合である;xは0?約3である;各R^(5)は約1?約3の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基、または約1?約3のエチレンオキシド基を有するポリエチレンオキシド基である。R^(5)基は、例えば酸素または窒素原子を介して互いに結合されて、環構造を形成していてもよい。
これらのアミンオキシド界面活性剤には、特に、C_(10)‐C_(18)アルキルジメチルアミンオキシド、およびC_(8)‐C_(12)アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドがある。」
と記載されている。
してみると、刊行物3に記載されているように、アミンオキシド界面活性剤は「半極性ノニオン性洗剤界面活性剤」、すなわち「半極性の非イオン性界面活性剤」であるし、しかも、例えば、刊行物3においてアミンオキシド界面活性剤の例として特に例示されている「C_(10)‐C_(18)アルキルジメチルアミンオキシド、およびC_(8)‐C_(12)アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド」は本願発明における「半極性の非イオン性界面活性剤」として例示されているものと差異がないのであるから、引用発明3との相違点アは、実質的な相違点ではない。

イ 引用発明3との相違点イについて
確かに、刊行物3には、液体食器洗浄用洗剤組成物中に「不純物として存在する鉄カチオン」を含むことは特に記載されていない。
しかしながら、刊行物3の例IIにおけるI、及びJでは、組成物中に「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」を含むことが記載されている(刊行物3の摘示j)ところ、先に刊行物3の摘示hで示したように、刊行物3の組成物においてジエチレントリアミン五酢酸の如きキレート化剤を用いる理由は、鉄および/またはマンガンキレート化剤として、「可溶性キレートの形成により洗浄液から鉄およびマンガンイオンを除去」するためである。
してみると、刊行物3の例IIにおけるI、及びJでは、組成物中に「不純物として存在する鉄カチオン」を含んでいるからこそ、そのような不純物として存在する鉄イオン(鉄カチオン)を洗浄溶液から除去するために「キレート化剤」を含ませるようにしたものであることは明らかである。
このことは、刊行物2に、
「本発明者の最近の研究が又過酸化物/アミンの反応が多数の干渉する物質及び特に遷移金属の存在に敏感なことを示しているので、重要である。このような材料は、恐らくそれらの製法の結果として反応物に不純物として存在するか、又は反応混合物中に希釈剤として加えられる水に導入されるか、又は反応容器又は貯蔵タンクのパイプ又は壁から抽出されるか又は異物例えばちりの不注意な侵入により生ずる。」(刊行物2の摘示a)
と記載されていることなどからも明らかなように、鉄カチオン等の遷移金属カチオンは、水、反応物、反応容器、貯蔵タンクのパイプ、壁、及び異物等、各種の経路により、微量に混入してくる不純物であることが記載されていることとも符合する。
そして、刊行物3に記載されている洗剤組成物は、不純物として存在する鉄カチオンを予め除去する精製手段を採用しているものとも認められない。
したがって、刊行物3の例IIにおけるI、及びJの組成物においても、当然に「不純物として存在する鉄カチオン」を含むものと認められるので、引用発明3との相違点イは、実質的な相違点ではない。

ウ 引用発明3との相違点ウについて
上述のように、刊行物3の例IIにおけるI、及びJの組成物においてジエチレントリアミン五酢酸の如きキレート化剤を用いる理由は、鉄および/またはマンガンキレート化剤として、「可溶性キレートの形成により洗浄液から鉄およびマンガンイオンを除去」するためである。
ところで、刊行物3には、キレート化剤として、ジエチレントリアミン五酢酸と同様に、「DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)」が使用に適する旨が記載されている(刊行物3の摘示h)。
(なお、先に指摘したように、刊行物3に記載されている「エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)」は、本願発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されることは明らかである。)
しかも、キレート化剤として、ジエチレントリアミン五酢酸と同様に、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)が用いられることは良く知られている(例えば、刊行物1の摘示g参照。)。
してみると、引用発明3における「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」に代えて、本願発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されるエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)等のアミノホスホネートを用いることは当業者が容易に想到することができたものである。

しかも、引用発明3における「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」に代えて、本願発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されるエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)等のアミノホスホネートを用いることにより、本願発明が格別顕著な効果を奏し得たものとも認めることができない。

(4) 小括
以上のとおり、上記各相違点は実質的な相違点ではないか、あるいは当業者が容易に想到することができたものであり、本願明細書を検討しても、本願発明がこれらの相違点に係る特定事項により格別顕著な効果を奏するものとは認められないから、本願発明は、引用発明1?3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。


C.請求人の主張について
(1)請求人は、
(i)刊行物1は、本願発明の要件であるエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示すことを一切開示していない、
(ii)刊行物1は、硬質表面上の汚れの軟化方法を提供することを技術的課題としており、窒素含有界面活性剤、ジアミンおよび香料の組合せを含む洗剤組成物が、不安定な色を有する傾向にあることについては何ら問題にされていない、
として、本願発明は刊行物1に記載された発明ではない旨主張する。
しかしながら、上記(i)については、請求人の主張の前提となる本件補正は補正却下されたので、請求人の主張はその前提において誤りである。
また、上記(ii)については、発明の技術的課題は発明者の主観的意図に過ぎないから、本願発明の発明特定事項が刊行物1に開示されている以上、本願発明の技術的課題が刊行物1に記載されていると否とを問わず、本願発明は引用発明1に記載された発明であるものと認めざるを得ないのである。

(2)また、請求人は、刊行物1および3はいずれも、窒素含有界面活性剤、ジアミンおよび香料の組合せを含む洗剤組成物が、不安定な色を有するという問題について全く認識しておらず、そのため、これら刊行物には、そのような課題を解決するための手段を教示する記載は一切ないので、刊行物1および3に刊行物2を組み合わせる動機付けは全くないと言わざるを得ない、として、本願発明は、刊行物1?3を組み合わせたとしても、当業者が容易になし得ることではない旨主張する。
しかしながら、請求人の主張は、本願発明の構成に想到するための動機付けは、本願発明の技術的課題の認識以外に存在し得ないことを当然の前提とするものであるが、そもそも、このような前提自体、既に誤りである(一般に、異なった動機で同一の行動をとることは珍しいことではない。発明もその例外ではなく、異なった技術的課題の解決が同一の構成により達成されることは、十分あり得ることである。)。問題とすべきは、本願発明の技術的課題ではなく、刊行物1?3に記載された発明等、本願発明以外のものの中に、本願発明の発明特定事項に至る動機付けとなるに足りる技術的課題が見いだされるか否かである。上記技術的課題は、本願発明におけるものと同一であってももちろん差し支えないが、これと同じである必要はないのである。そして、引用発明3に、本願発明に至る動機付けとなるに足りる技術的課題(キレート化剤の均等物による置換可能性)が認められることは、既に述べたとおりであるから、刊行物1?3に本願発明と同様の課題を解決するための手段を教示する記載がなく、また、刊行物1?3に原告所論の動機付けに関する記載がないとしても、その点をもって、本願発明は刊行物1?3を組み合わせたとしても当業者が容易になし得ることではない、と結論付けることはできないのである。

(3)したがって、請求人の主張は採用できない。

第4 結語
以上のとおりであるから、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

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付記:本件補正における特許請求の範囲の請求項1に係る発明が独立特許要件を満たさない点について

先に指摘したように、本件補正は、本願当初明細書に記載した事項の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)であるとともに、特許法17条の2第4項の規定に違反するものであって、限定的減縮に該当するものではないが、仮に本件補正が本願当初明細書に記載した事項の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)ではなく、しかも、請求項の限定的減縮に該当するものと仮定しても、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、独立特許要件を満たさないものである。
以下、念のため、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に係る発明が独立特許要件を満たさない点についても判断しておく。

1 補正後の本願補正発明
請求人が本件補正により補正することを求めた特許請求の範囲の請求項1は、「第2[理由]1」に記載したとおりである。
(以下、請求人が本件補正により補正することを求めた特許請求の範囲における請求項1に係る発明を、「本願補正発明」という。)

2 「原査定の理由の概要」、及び「刊行物の記載事項」
「原査定の理由の概要」、及び「刊行物の記載事項」は、それぞれ、「第3 2」、及び「第3 3」に記載したとおりである。

3 当審の判断
A.特許法29条1項3号について
(1) 刊行物1に記載された発明
刊行物1に記載された発明については、「第3 4 A.(1)」に記載したとおりである。

(2) 本願補正発明と引用発明1との対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、両者は、
「手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効量の有機ジアミンと、
c)香料と、
を含み、前記洗剤組成物が12.5より低いpH(10%水溶液で測定)を有する当該組成物。」
である点で一致するが、以下のア?エの点で一応相違すると認められる。
ア b)成分が、本願補正発明においては「アミンオキシド半極性非イオン性界面活性剤」であるのに対し、引用発明1においては「アミンオキシド」である点、
イ d)成分として、本願補正発明においては「不純物として存在する鉄カチオン」と規定するのに対し、引用発明1においてはかかる規定はなされていない点、
ウ e)成分が、本願補正発明においては「0.0001%?0.5%の、次の一般式:
【化1】
X-N-(R-N)_(n)-X
| |
X X
(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rは2?6個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2または3個の脂肪族または脂環式ジラジカルであり;MはHまたは水溶性を高める非遷移金属カチオンのいずれかであり;yは1または2であり、nは1?4の整数である)で表わされるアルキレンアミノメチレンホスホン酸またはその塩」であるのに対し、引用発明1においては「キレート化剤」である点。
エ 液体食器洗浄用洗剤組成物について、本願補正発明においては「且つハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示す」と規定するのに対し、引用発明1においてはかかる規定はなされていない点、
(以下、これらの一応の相違点を、それぞれ「本件補正後の引用発明1との相違点ア」、「本件補正後の引用発明1との相違点イ」、「本件補正後の引用発明1との相違点ウ」、及び「本件補正後の引用発明1との相違点エ」という。)

(3) 相違点についての判断
ア 本件補正後の引用発明1との相違点アについて
「第3 4 A.(3)ア」において、「半極性の非イオン性界面活性剤」を「アミンオキシド半極性非イオン性界面活性剤」と置き換え、また「本願発明」を「本願補正発明」と置き換えたものと同様の理由により、本件補正後の引用発明1との相違点アは、実質的な相違点ではない。

イ 本件補正後の引用発明1との相違点イについて
「第3 4 A.(3)イ」におけるものと同様の理由により、本件補正後の引用発明1との相違点イは、実質的な相違点ではない。

ウ 本件補正後の引用発明1との相違点ウについて
本願補正発明においては、一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸について、「0.0001%?0.5%の」という数値限定を付しているが、刊行物1の実施例IIにおけるB、E、及び実施例IIIにおけるIで用いている「キレート化剤」の濃度は、何れも当該数値限定を満たしている。
その点に加えて、「第3 4 A.(3)ウ」において、「本願発明」を「本願補正発明」と置き換えたものと同様の理由により、本件補正後の引用発明1との相違点ウは、実質的な相違点ではない。

エ 本件補正後の引用発明1との相違点エについて
[繰り返し、念のため指摘しておくが、ここに「付記:」の項を設けて論ずるにあたり前提としているのは、仮に、「本件補正が当初明細書に記載した事項の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)ではなく、しかも、請求項の限定的減縮に該当するもの」である場合について、である。
したがって、以下に述べる内容は、かかる前提の下で、予備的に判断したに過ぎないものであることに留意されたい。]

まず、本願明細書には以下の点が記載されている。
(1)ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)を、0.009重量%加えた実施例IIにおいてはエージング後のハンターb値が1.66の変化を示すのに対し、加えない場合においてはエージング後のハンターb値が6.77の変化を示す旨(【0075】の【表2】)、
(2)ホスホン酸(塩)を含む組成物についてエージング後のハンターb値変化は、ホスホン酸(塩)を含まない組成物よりも著しく小さく、ホスホン酸(塩)を含む組成物はホスホン酸(塩)なしの組成物よりも色安定性が高くなる旨(【0076】)、及び、
(3)「上記で議論されたように、アルキレンアミノメチレンホスホン酸の添加は、ジアミンと、オレフィン誘導アミンオキシドと、香料と、不純物として存在する遷移金属イオンと、を含有する洗剤組成物の色安定性を大幅に高める。理論によって限定されるものではないが、既に言及した色の不安定は、遷移金属および他の成分によって触媒される複雑な色形成反応の結果であると考えられている。上記のホスホン酸およびその塩のような金属イオン封鎖剤を含むことによって、金属イオンは錯化され、溶液中で他の成分と自由に反応できる金属イオンはほんの僅か低濃度で残されるだけである。」(【0017】)。
また
(4)先に示したように、刊行物1や刊行物3の組成物においてキレート化剤を用いる理由は、鉄および/またはマンガンキレート化剤として、「可溶性キレートの生成により、鉄およびマンガンイオンを洗浄溶液から除去する」ためである(刊行物1の摘示g、刊行物3の摘示h)。

ところで、刊行物1の実施例IIにおけるB、E、及び実施例IIIにおけるIについては、それぞれ、キレート化剤の濃度は、0.5重量%、0.2重量%、及び0.1重量%と、本願明細書【0075】の【表2】における実施例IIで加えているジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)の濃度(0.009重量%)より高く、しかも、本願補正発明で規定するe)の数的範囲を満たしているのであるから、キレート化剤としての能力からみて、何れも本願補正発明に勝るとも劣らないエージング後のハンターb値変化性能や優れた色安定性を示すものと推認される。
してみると、引用発明1においても、「ハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示す」と推認されるので、本件補正後の引用発明1との相違点エは、実質的な相違点ではない。

(4) 小括
したがって、本願補正発明は、引用発明1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。

B.特許法29条2項について
(1) 刊行物3に記載された発明
刊行物3に記載された発明については、「第3 4 B.(1)」に記載したとおりである。

(2) 本願補正発明と引用発明3との対比
本願補正発明と引用発明3とを対比すると、両者は、
「手による食器洗浄での使用に適切な液体食器洗浄用洗剤組成物であって、
a)有効量の有機ジアミンと、
c)香料と、
を含み、前記洗剤組成物が12.5より低いpH(10%水溶液で測定)を有する当該組成物。」
である点で一致するが、以下のア?ウの点で一応相違すると認められる。
ア b)成分が、本願補正発明においては「アミンオキシド半極性非イオン性界面活性剤」であるのに対し、引用発明3においては「アミンオキシド」である点、
イ d)成分について、本願補正発明においては「不純物として存在する鉄カチオン」と規定するのに対し、引用発明3においてはかかる規定はなされていない点、
ウ e)成分が、本願補正発明においては「0.0001%?0.5%の、次の一般式:
【化1】
X-N-(R-N)_(n)-X
| |
X X
(式中、Xは-CH_(2)-PO_(3)M_(y)基であり、Rは2?6個の炭素原子を含み、長さが炭素原子2または3個の脂肪族または脂環式ジラジカルであり;MはHまたは水溶性を高める非遷移金属カチオンのいずれかであり;yは1または2であり、nは1?4の整数である)で表わされるアルキレンアミノメチレンホスホン酸またはその塩」であるのに対し、(引用発明3においては「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」である点、
エ 液体食器洗浄用洗剤組成物について、本願補正発明においては「且つハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示す」と規定するのに対し、引用発明3においてはかかる規定はなされていない点、
(以下、これらの一応の相違点を、それぞれ「本件補正後の引用発明3との相違点ア」、「本件補正後の引用発明3との相違点イ」、「本件補正後の引用発明3との相違点ウ」、及び「本件補正後の引用発明3との相違点エ」という。)

(3) 相違点についての判断
ア 本件補正後の引用発明3との相違点アについて
「第3 4 B.(3)ア」において、「半極性の非イオン性界面活性剤」を「アミンオキシド半極性非イオン性界面活性剤」と置き換え、また「本願発明」を「本願補正発明」と置き換えたものと同様の理由により、本件補正後の引用発明3との相違点アは、実質的な相違点ではない。

イ 本件補正後の引用発明3との相違点イについて
「第3 4 B.(3)イ」におけるものと同様の理由により、本件補正後の引用発明3との相違点イは、実質的な相違点ではない。

ウ 本件補正後の引用発明3との相違点ウについて
本願補正発明においては、本願補正発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸について、「0.0001%?0.5%の」という数値限定を付しているが、刊行物3の例IIにおけるI、及びJで用いている、キレート化剤である「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」の濃度は、何れも当該数値限定を満たしている。また、刊行物3には、
「利用されるならば、これらのキレート化剤[注.DTPAや、DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)を含むもの]は本洗剤組成物の通常約0.1?約15重量%である。更に好ましくは、利用されるならば、キレート化剤はこのような組成物の約0.1?約3.0重量%である。」(刊行物3の摘示h)
と記載されており、DTPAと、DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)とは、キレート化剤として同等であることが示されていると共に、本願補正発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸についての「0.0001%?0.5%の」という数値範囲は刊行物3のキレート化剤の数値範囲と重複している。
この点に加えて、「第3 4 B.(3)ウ」において、「本願発明」を「本願補正発明」と置き換えたものと同様の理由により、引用発明3における「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」に代えて、本願補正発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されるエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)を用いることは当業者が容易に想到することができたものである。

しかも、引用発明3における「DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)」に代えて、本願補正発明における一般式(【化1】)で示されるアルキレンアミノメチレンホスホン酸に包含されるエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)を用いることにより、本願補正発明が格別顕著な効果を奏し得たものとも認めることができない。

エ 本件補正後の引用発明3との相違点エについて
まず、本願明細書には以下の点が記載されている。
(1)ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)を、0.009重量%加えた実施例IIにおいてはエージング後のハンターb値が1.66の変化を示すのに対し、加えない場合においてはエージング後のハンターb値が6.77の変化を示す旨(【0075】の【表2】)、
(2)ホスホン酸(塩)を含む組成物についてエージング後のハンターb値変化は、ホスホン酸(塩)を含まない組成物よりも著しく小さく、ホスホン酸(塩)を含む組成物はホスホン酸(塩)なしの組成物よりも色安定性が高くなる旨(【0076】)、及び、
(3)「上記で議論されたように、アルキレンアミノメチレンホスホン酸の添加は、ジアミンと、オレフィン誘導アミンオキシドと、香料と、不純物として存在する遷移金属イオンと、を含有する洗剤組成物の色安定性を大幅に高める。理論によって限定されるものではないが、既に言及した色の不安定は、遷移金属および他の成分によって触媒される複雑な色形成反応の結果であると考えられている。上記のホスホン酸およびその塩のような金属イオン封鎖剤を含むことによって、金属イオンは錯化され、溶液中で他の成分と自由に反応できる金属イオンはほんの僅か低濃度で残されるだけである。」(【0017】)。
また
(4)先に示したように、刊行物1や刊行物3の組成物においてキレート化剤を用いる理由は、鉄および/またはマンガンキレート化剤として、「可溶性キレートの生成により、鉄およびマンガンイオンを洗浄溶液から除去する」ためである(刊行物1の摘示g、刊行物3の摘示h)。

ところで、刊行物3の例IIにおけるI、及びJでは、組成物中で用いるキレート化剤として、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸キレート化剤)を0.1重量%としているが、これは本願明細書【0075】の【表2】における実施例IIで加えているキレート化剤の濃度(0.009重量%)より高く、しかも、かかる濃度条件は本願補正発明におけるe)の数的範囲を満たすものである。そして、刊行物3には、
「利用されるならば、これらのキレート化剤[注.DTPAや、DEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)を含むもの]は本洗剤組成物の通常約0.1?約15重量%である。更に好ましくは、利用されるならば、キレート化剤はこのような組成物の約0.1?約3.0重量%である。」(刊行物3の摘示h)
と記載されており、DTPAとDEQUESTのようなエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート)とはキレート化剤として同等であることが示されていると共に、これらのキレート化剤の濃度は本願補正発明と重複するか、又はそれ以上であることが記載されているのであるから、キレート化剤としての能力からみて、刊行物3の例IIにおけるI、及びJについては、何れも本願補正発明に勝るとも劣らないエージング後のハンターb値変化性能や優れた色安定性を示すものと推認される。
してみると、引用発明3においても、「ハンターカラー測定テストによって測定した際に、10日間50℃でエージング後のハンターb値が1.66以下の変化を示す」と推認されるので、本件補正後の引用発明3との相違点エは、実質的な相違点ではない。

(4) 小括
以上のとおり、上記各相違点は実質的な相違点ではないか、あるいは当業者が容易に想到することができたものであり、本願明細書を検討しても、本願補正発明がこれらの相違点に係る特定事項により格別顕著な効果を奏するものとは認められないから、本願補正発明は、引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
 
審理終結日 2007-08-08 
結審通知日 2007-08-14 
審決日 2007-08-28 
出願番号 特願2001-523719(P2001-523719)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (C11D)
P 1 8・ 561- Z (C11D)
P 1 8・ 113- Z (C11D)
P 1 8・ 121- Z (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守安 智井上 典之  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 唐木 以知良
井上 彌一
発明の名称 色安定化ホスホン酸塩を含有する食器洗浄用洗剤組成物  
代理人 曾我 道治  
代理人 梶並 順  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 古川 秀利  

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