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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1173557
審判番号 不服2005-3006  
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-21 
確定日 2008-02-21 
事件の表示 平成11年特許願第326008号「画像形成装置及び画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 5月25日出願公開、特開2001-142358〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成11年11月16日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成19年9月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される、次のとおりのものである。(下線は当審で付与。)

「原稿の画像を読み取り、画像情報として出力する画像入力部と、原稿を前記画像入力手段に対し表裏反転可能に順次搬送する原稿搬送部と、前記画像情報に基づいて記録紙の表裏面に画像を形成する画像形成部と、前記記録紙を前記画像形成部に対し表裏反転可能に順次搬送する記録紙搬送部と、前記画像入力部からの画像情報を格納する記憶部と、前記各部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置において、
前記制御部は、
複数の記録紙の両面に画像を連続して形成するに際し、前記画像入力部によって読み取られた画像情報を前記記憶部に一旦格納し、
前記記憶部に格納された偶数頁の画像情報に基づいて、前記記録紙の裏面側に、前記記録紙の搬送方向両端に前記記録搬送部が必要とする同一幅だけ余白を確保しながら、前記記憶部に格納した偶数頁の画像情報に基づいて画像を形成し、
その後、前記記憶部に格納された奇数頁の画像情報に基づいて、前記記録紙の表面側に、前記記録紙の搬送方向両端に前記裏面側に確保した幅と同一幅だけ余白を確保しながら画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

ここで、上記下線を付した部分の技術的事項は重複するので、以後は最初の下線を付した部分を省略して本願発明1を認定する。
また、「前記画像入力手段」、「前記記録搬送部」とあるが、それぞれ、「前記画像入力部」、「前記記録紙搬送部」の誤記である。

2.刊行物に記載された事項
これに対して、本願出願前に頒布され、当審における平成19年7月19日付けで通知した拒絶の理由に引用され、原査定の拒絶の理由にも引用された刊行物である特開平9-298620号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-1)「【請求項1】 原稿の画像を読み取る画像読取手段と、画像データに基づいて転写紙上に画像を形成する画像形成手段と、原稿を1枚ずつ自動給送して前記画像読取手段の読み取り位置にセットする自動原稿給送手段とを備えたデジタル複写機において、
前記画像読取手段によって読み取られた画像データを記憶する第1の記憶手段と、前記画像形成手段に画像データを送るための第2の記憶手段と、原稿の両面画像を転写紙の両面に複写する両面複写モードを設定する両面複写モード設定手段と、該手段によって両面複写モードが設定された場合に両面複写制御を実行する両面複写制御手段とを設け、
その両面複写制御手段が、前記自動原稿給送手段によって原稿を1枚ずつ自動給送させて前記画像読取手段の読み取り位置にセットさせた後、所定のタイミングで搬送させて表裏面を反転させた状態で前記読み取り位置に再びセットさせ、所定のタイミングで排出させる原稿搬送制御手段と、前記画像読取手段によって読み取り位置に順次セットされる原稿の両面の各画像を順次読み取らせる画像読取制御手段と、該手段によって先に読み取られた面の画像データを前記第1の記憶手段に順次記憶させた後、次に読み取られた面の画像データを前記第2の記憶手段に順次記憶させる画像記憶制御手段と、前記第2の記憶手段内の画像データを順次前記画像形成手段に出力して転写紙の一方の面に画像を形成させた後、該転写紙の表裏面を反転させ、前記第1の記憶手段内の画像データを順次前記画像形成手段に出力して前記転写紙の他方の面に画像を形成させる画像形成制御手段とからなることを特徴とするデジタル複写機。」

(2-2)「【0017】このように、このデジタル複写機では、両面複写制御時に第1,第2の記憶手段(メモリ)を使用する。すなわち、第1の記憶手段は1枚の原稿の一方の面の画像データを記憶するため(ジャムリカバリのため)の画像メモリとして使用し、第2の記憶手段は画像形成手段に画像データを送るためのバッファメモリとして使用する。したがって、両面複写制御時に使用するメモリの容量を大幅に軽減することができる。」

(2-3)「【0029】また、両面複写モードが設定されている時には切替爪17が実線の位置に切り替えられるため、その原稿は反転ローラ16により反転され、搬送ベルト14により再びコンタクトガラス61上に送り込まれてその読み取り位置にセットされる。そして、その原稿の他方の面の画像読み取りが終了すると、その原稿は搬送ベルト14によりコンタクトガラス61から送り出された後、切替爪17が仮想線の位置に切り替えられるため、反転ローラ16によってそのまま排出トレイ18に排出される。」

(2-4)図5及び段落【0052】ないし【0057】に両面複写モードが選択されたときの複写制御について記載されており、転写紙の裏面に画像形成が行われた後にその表面に画像形成が行われることが示されている。

引用例の画像形成手段が、画像形成部、転写紙搬送部、及び、それらを制御する制御部を有していることは技術常識であることを考慮して上記摘記事項を総合勘案すると、引用例には以下の発明が実質的に記載されている。

「原稿の画像を読み取り、画像データとして出力する画像読取手段と、原稿を前記画像読取手段に対し表裏反転可能に順次搬送する自動原稿給送手段と、前記画像データに基づいて転写紙の表裏面に画像を形成する画像形成部と、前記転写紙を前記画像形成手段に対して表裏反転可能に順次搬送する転写紙搬送部と、前記画像読取手段からの画像データを格納する第1の記憶手段及び第2の記憶手段と、前記各部の動作を制御する制御部とを備えたデジタル複写機において、
前記制御部は、
複数の転写紙の両面に画像を連続して形成するに際し、前記画像読取手段に読み取られた画像データを前記第1の記憶手段及び第2の記憶手段に一旦格納し、
前記転写紙の裏面側に、前記第2の記憶手段に格納された偶数頁の画像データに基づいて画像を形成し、
その後、前記第1の記憶手段に格納された奇数頁の画像データに基づいて、前記転写紙の表面側に画像を形成するデジタル複写機。」

3.本願発明1(前者)と引用例に記載された発明(後者)の対比
後者の「画像データ」、「画像読取手段」、「自動原稿給送手段」、「転写紙」、「転写紙搬送部」、「デジタル複写機」は、それぞれ、前者の「画像情報」、「画像入力部」、「原稿搬送部」、「記録紙」、「記録紙搬送部」、「画像形成装置」に相当し、後者の「第1の記憶手段」、「第2の記憶手段」は前者の「記憶部」に相当するものといえるから、両者は、
「原稿の画像を読み取り、画像情報として出力する画像入力部と、原稿を前記画像入力部に対し表裏反転可能に順次搬送する原稿搬送部と、前記画像情報に基づいて記録紙の表裏面に画像を形成する画像形成部と、前記記録しを前記画像形成部に対し表裏反転可能に順次搬送する記録紙搬送部と、前記画像入力部からの画像情報を格納する記憶部と、前記各部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置において、
前記制御部は、
複数の記録紙の両面に画像を連続して形成するに際し、前記画像入力部によって読み取られた画像情報を前記記憶部に一旦格納し、
前記記録紙の裏面側に、前記記憶部に格納した偶数頁の画像情報に基づいて画像を形成し、
その後、前記記憶部に格納された奇数頁の画像情報に基づいて、前記記録紙の表面側に画像を形成する画像形成装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(3-1)相違点
前者は、記録紙の搬送方向両端に記録紙搬送部が必要とする同一幅だけ余白を確保しながら、記録紙の裏面側に画像を形成するとともに、記録紙の搬送方向両端に裏面側に確保した幅と同一幅だけ余白を確保しながら、記録紙の表面側に画像を形成するものとしているのに対して、後者は、記録紙(転写紙)の表面側及び裏面側の搬送方向両端に設けられる余白について明記していない点。

4.判断
原稿の画像を読み取り、画像情報として出力する画像入力部を有し、記録紙の表裏面に画像形成を行うことが可能な画像形成装置において、記録紙の搬送方向両端に所定幅の余白を形成するように画像を形成することは、例えば特開昭61-179461号公報(第3図ないし第5図、及びそれらの説明文等)、特開昭62-276570号公報(第7図、第8図及びそれらの説明文等)、特開平3-223875号公報(第6図及びその説明文等)、特開平3-283973号公報(第4図、第5図及びそれらの説明文等)、特開平11-266356号公報(図14及びその説明文等)に記載されているように、本願出願前に周知の技術的事項である。
また、記録紙搬送部の端部に記録紙搬送部が必要とする余白を確保して記録紙に画像を形成することも、審査時に引用された特開平1-244859号公報、特開平4-55864号公報、特開平5-142928号公報の他に、例えば、特開平4-55865号公報、特開平5-142878号公報、特開平9-288390号公報、特開平9-311593号公報、特開平10-157200号公報に、定着ジャムを防止するために所定幅の余白を記録紙の搬送方向の先端部に設けることが記載されているように、本願出願前に周知の技術的事項にすぎない。
してみると、引用例に記載された発明において、記録紙(転写紙)の搬送方向両端に所定幅の余白を有する画像を形成し、余白の所定幅を記録紙搬送部が必要とする同一幅を確保できるものとすることにより、相違点に係る構成を有するものとすることは、上記周知技術を勘案して当業者が適宜行うことである。
また、引用例に記載された発明において、相違点に係る構成を有するものとしたことにより当業者が予期せざる格別の効果が奏せられるものとすることもできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒
絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-14 
結審通知日 2007-12-18 
審決日 2008-01-04 
出願番号 特願平11-326008
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小牧 修▲高▼橋 祐介金田 理香  
特許庁審判長 山下 喜代治
特許庁審判官 下村 輝秋
木村 史郎
発明の名称 画像形成装置及び画像形成方法  
代理人 神田 正義  
代理人 宮尾 明茂  
代理人 藤本 英介  

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