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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1174963
審判番号 不服2004-17870  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-30 
確定日 2008-03-21 
事件の表示 特願2001- 83427「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 2日出願公開、特開2002-282492〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1,手続きの経緯
本願は、平成13年3月22日の出願であって、平成15年9月12日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成15年11月14日付けで手続補正がなされ、平成16年7月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年8月30日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものである。

第2,本願発明
本願の請求項1乃至6に係る発明は、上記平成15年11月14日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりのものである。
【請求項1】 遊技者が遊技を行う際に正対する遊技領域を有する遊技機であって、
前記遊技領域の前面を覆うガラスと、
このガラスの枠である、ガラス枠上パネル部,ガラス枠下パネル部,ガラス枠左パネル部およびガラス枠右パネル部と、
このガラス枠の前記ガラスとの臨界部分に設けられ前記ガラスを囲繞する通気孔とを有し、
前記臨界部分は、遊技機前面に対して斜めに張り出し形成された傾斜面である遊技機。(以下、「本願発明」という。)

第3,刊行物に記載された発明
刊行物1:特開平10-305164号公報
刊行物2:特開平11-9792号公報

原査定の拒絶理由通知に引用された、特開平10-305164号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。

(1-a)「【0008】このパチンコ機2は、既知のごとく、枠状の機体21内にゲージ盤を組み込み、該ゲージ盤の前面側を、開閉可能としたウィンドガラス22で覆うと共に、前記機体21の前面側下部には、上受け皿23と下受け皿24と操作ハンドル25とを設けて成るものであり、また設置台1の上面には、各パチンコ機2に対応して灰皿11を設けている。
【0009】以上のパチンコ機2において、該パチンコ機2の前面側にたちこめる紫煙が隣接するパチンコ機2側に拡散するのを規制するための紫煙拡散規制手段3を設けるのである。即ち、図1?図2に示す実施形態では、紫煙拡散規制手段3として、吸引管3aと、この吸引管3a内に組み込んだ送風機3bとから構成しているのであって、具体的には、吸引管3aを、相対向するパチンコ機2の機体21の上端部に沿って配設する一対の吸引筒部31と、相対向するパチンコ機2・2間の上部に配設されるファン収容筒部32と、このファン収容筒部32と各吸引筒部31の長さ方向中間部位とを連絡する連絡管部33とから形成して、前記吸引筒部31に複数の吸引口34を形成している。
【0010】また以上の吸引管3aのファン収容筒部32内には、モータ35及びこのモータ35の駆動軸に組付けたファン36から構成される送風機3bを組み込む一方、該ファン収容筒部32を、パチンコ店内の天井裏に配設した排気ダクト4に連結ダクト41を介して連通させ、送風機3bの回転駆動により、パチンコ機2のウインドガラス22の前面側に漂う紫煙を、前記吸引口34から吸引管3a内に吸引すると共に、前記連結ダクト41を介して排気ダクト4に排出するようにしている。
【0011】斯くして図1から図2に示す実施形態の紫煙拡散防止装置3によれば、各パチンコ機2で遊技中の喫煙者が吐き出して、パチンコ機2のウインドガラス22の前面にたちこめる紫煙は、送風機3bの駆動に伴い、直ちに前記吸引口34を介して吸引管3a内に強制的に吸引されて、前記連結ダクト41から排気ダクト4内に確実に排出され、隣接するパチンコ機2の前面側に流れ込むことがなく、従ってかかるパチンコ機2で遊技中の遊技者に迷惑をかけることが少なくなるのである。
【0012】以上の実施形態では、吸引管3aの吸引筒部31をパチンコ機2の機体21の上端部に沿って配設するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば図3に概略的に示すように、前記吸引筒部31を正面視略逆U字状に形成して、この吸引筒部31をパチンコ機2の機体21の上端部から更に左右側縁部に沿って配設するようにしてもよく、斯く構成することで、パチンコ機2のウインドガラス22の前面側にたちこめる紫煙を、該ウインドガラス22の上方のみならず左右両側方からも吸引除去することが出来、隣のパチンコ機2で遊技中の遊技者に迷惑をかけることがより一層少なくなる。」。

したがって、上記の記載事項を「吸引筒部31を正面視略逆U字状に形成」した場合についてまとめると、引用刊行物1には、
「枠状の機体21内にゲージ盤を組み込み、該ゲージ盤の前面側を、開閉可能としたウィンドガラス22で覆い、
複数の吸引口34が形成された吸引筒部31を正面視略逆U字状に形成して、この吸引筒部31をパチンコ機2の機体21の上端部から更に左右側縁部に沿って配設した、パチンコ機2であって、
遊技中の喫煙者が吐き出して、ウインドガラス22の前面にたちこめる紫煙は、送風機3bの駆動に伴い、直ちに前記吸引口34を介して、該ウインドガラス22の上方のみならず左右両側方からも吸引除去され、隣接するパチンコ機2の前面側に流れ込むことがない、パチンコ機2。」の発明(以下「引用発明1」という。)が、記載されていると認められる。

原査定の拒絶理由通知に引用された、特開平11-9792号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。

(2-a)「【0012】特に、本発実施形態の遊技機1は、遊技機本体内に配設される遊技部材としての遊技盤3や特別図柄表示装置73と、この遊技盤3の前面に装備されると共に開閉自在に構成される前面枠体5と、この前面枠体5の枠内に装着される板状の透明部材7(図2参照)とを備えている。そして、前面枠体5は手前側に膨出する所定の曲面部9と所定の平面部11とにより形成されると共に、平面部11の面の方向が遊技盤3の面の方向に対応して構成されている点に特徴を有している。以下詳細に説明する。
【0013】[前面枠体]前面枠体5は、略矩形形状で且つ額縁状に形成され、遊技機1の内枠13の上部の大部分を覆っている。この前面枠体5は合成樹脂(例えばABS樹脂等)で形成されている。また、額縁状に形成された前面枠体5の窓部にはガラスからなる透明部材7が填め込まれている。このため、遊技者は窓部の透明部材7を通して遊技者は遊技機1の内部の遊技盤3を視認することができる。また、前面枠体5の手前側表面には窓部の枠縁に沿って所定の曲面部9が形成されている。より詳しくは、この曲面部9は遊技機1の手前側に断面山状に膨出している。そして、前面枠体5の内側に向かって傾斜する内面壁9aと、逆に外側に向かって傾斜する外面壁9bとから構成されている。
【0014】前面枠体について図2に基づいて詳細に説明する。図2は図1のX-X線における遊技機1を下から見た断面図を示している。図に示すように、前面枠体5には透明部材7を保持する保持枠8が接合されており、この保持枠8に2枚の透明部材(ガラス板)7が填め込まれている。そして前面枠体5は所定の蝶番30a,30b及び回動軸31a,31bを介して内枠13に固定されている。・・・
【0015】また、前面枠体5の曲面部9は、図3に示すように、その上端部が最も遊技者側に膨出しており、下方に行くに従って徐々にその膨出量が減少するようになっている。即ち、前面枠体5の上部領域の内面壁9a及び外面壁9bは、庇のような形状となっており、遊技機1の真上から遊技盤3に照射される遊技店の照明光等の浸入を一部抑制する役割も有している。一方、前面枠体5の下部は上記したように遊技者側への膨出量が小さく、外面壁9bの傾斜面の幅は下に行くほど徐々に小さくなっている。
【0016】前面枠体5の上部であって内面壁9aの一部には、図1に示すように、所定の発光装置23が設けられている。この発光装置23は、遊技盤3内を照らしたり遊技機1の種々の状態を遊技者に表示する役割を有しており、例えば、遊技機1が大当たり状態になっているときに点滅したりするものである。発光装置23は内面壁9aの傾斜に沿って設けられているので、光は遊技盤3側に照射され遊技盤3内の特別図柄表示装置73や一般入賞装置77などの各種役物等を照らすこととなる。このとき、遊技盤3内にはほかにも種々の照明装置が装備されているので、これらが発する光と混合され、より照明効果が向上する。
【0017】ここで、前面枠体5の内面壁9aは、遊技盤3の色彩の明度より低い明度の縁取り部25となっている。より詳しくは、この縁取り部25には黒等の無彩色が採用されている。これは、遊技盤3と前面枠体5の縁取り部25との色彩の明度の差を大きく採ることにより、色彩上のコントラストが強調される。これにより、遊技者にとって遊技盤3に配設された各種照明手段の照明光がより強調されて感じられることとなり、遊技者の興趣を高めることができるからである。但し、色彩は黒に限定されるものではなく、濃紺等であってもよい。
【0018】尚、本実施形態では明度の低い縁取り部25を、前面枠体5の枠縁に沿って全周について設けている。・・・加えて、内面壁9aのみならず外面壁9bも同様に明度の低い色彩とすることによっても同様の作用効果を奏する。」、
(2-b)「【0050】そして、本発明では上記したように、前面枠体5の枠縁に沿って縁取り部25が形成されている。この縁取り部25は既に述べたように、遊技盤3の色彩より明度の低い色彩で構成されている。このため、遊技者に対して遊技盤3と縁取り部25との間で大きなコントラストを感じさせる。この結果、遊技盤3内の照明装置や縁取り部25に設けられた発光装置23の光がより強調されることとなる。即ち、従来と同様の照明を備えた遊技機であっても、明度の低い縁取り部25を形成することによって、より一層遊技者の興趣を高めることとなる。」。

したがって、上記の記載事項をまとめると、引用刊行物2には、
「遊技盤3や特別図柄表示装置73と、この遊技盤3の前面に装備されると共に開閉自在に構成される前面枠体5と、この前面枠体5の枠内に装着される板状の透明部材7とを備えている遊技機1において、
前面枠体5は、略矩形形状で且つ額縁状に形成され、額縁状に形成された前面枠体5の窓部にはガラスからなる透明部材7が填め込まれ、また、前面枠体5の手前側表面には窓部の枠縁に沿って所定の曲面部9が形成され、この曲面部9は遊技機1の手前側に断面山状に膨出して、前面枠体5の内側に向かって傾斜する内面壁9aと、逆に外側に向かって傾斜する外面壁9bとから構成され、
前面枠体5の内面壁9a全周に、遊技盤3の色彩の明度より低い明度の縁取り部25を設け、これにより、遊技者にとって遊技盤3に配設された各種照明手段の照明光がより強調されて感じられることとなり、遊技者の興趣を高めることができ、
前面枠体5の上部であって内面壁9aの一部には、内面壁9aの傾斜に沿って発光装置23が設けられ、この発光装置23は、遊技機1の種々の状態を遊技者に表示する役割を有している、遊技機1。」の発明(以下「引用発明2」という。)が、記載されていると認められる。

第4,本願発明との比較・検討
本願発明と引用発明1とを比較する。
(4-1)引用発明1の「遊技中の喫煙者」は、本願発明の「遊技者」に相当し、以下同様に「パチンコ機2」は「遊技機」に、「ウィンドガラス22」は「ガラス」に、「吸引口34」は「通気孔」に、それぞれ相当する。
(4-2)引用発明1の「枠状の機体21内にゲージ盤を組み込み、該ゲージ盤の前面側を、開閉可能としたウィンドガラス22で覆い、」の記載事項について検討すると、ゲージ盤の前面を遊技球が落下して遊技が行われることは遊技機における技術常識であるから、引用発明1は、本願発明の「遊技領域の前面を覆うガラス」の技術事項を有しているといえる。
(4-3)遊技者が遊技を行う際に「遊技機に正対する姿勢をとること」、及び「遊技機が遊技領域を有すること」は遊技機における技術常識であるから、引用発明1の「パチンコ機2」は、本願発明の「遊技者が遊技を行う際に正対する遊技領域を有する遊技機」の技術事項を有しているといえる。
(4-4)引用発明1の「複数の吸引口34」について検討すると、吸引口34が形成された吸引筒部31は正面視略逆U字状に形成され、この吸引筒部31がパチンコ機2の機体21の上端部から更に左右側縁部に沿って配設されており、ウインドガラス22の前面にたちこめる紫煙は、前記吸引口34を介して、該ウインドガラス22の上方のみならず左右両側方からも吸引除去されるのであるから、引用発明1は、「ウインドガラス22の近傍部分に設けられ前記ウインドガラス22の上方及び左右方を囲む吸引口34を有し、」の技術事項を有しているといえる。
そこで、当該技術事項と本願発明の「このガラス枠の前記ガラスとの臨界部分に設けられ前記ガラスを囲繞する通気孔を有し、」の技術事項とを比較すると、両者は「ガラスの近傍部分に設けられ前記ガラスの上方及び左右方を囲む通気孔を有し、」の技術事項において一致する。

したがって、本願発明と引用発明1とを比較すると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
遊技者が遊技を行う際に正対する遊技領域を有する遊技機であって、
前記遊技領域の前面を覆うガラスと、
前記ガラスの近傍部分に設けられ前記ガラスの上方及び左右方を囲む通気孔とを有している、遊技機。

相違点A
本願発明は、ガラスの枠である、ガラス枠上パネル部,ガラス枠下パネル部,ガラス枠左パネル部およびガラス枠右パネル部を有しているのに対し、引用発明1はそのような構成を有するかどうか明らかでない点。
相違点B
ガラスの近傍部分に設けられる通気孔が、本願発明ではガラス枠のガラスとの臨界部分に、遊技機前面に対して斜めに張り出し形成された傾斜面に設けられ、前記ガラスを囲繞するのに対し、引用発明ではガラスの上方及び左右方を囲む点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点Aについて
引用発明2の「前面枠体5」は、「略矩形形状で且つ額縁状に形成され」、「前面枠体5の窓部にはガラスからなる透明部材7が填め込まれ」ていることから、当該分野の技術常識によれば、引用発明2の「前面枠体5」が、「ガラス枠上部,ガラス枠下部,ガラス枠左部およびガラス枠右部を有しているガラスの枠」の構成を備えていることは明らかである。そして、ガラス枠部の具体的な形状や構造をどのようなものとするかは、ガラス枠部の意匠や強度、製作時の容易性などを考慮して、当業者が適宜採用できる設計上の事項であるから、ガラス枠部をパネル部とし、相違点Aに係る本願発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。

相違点Bについて
引用発明2には、「遊技機(遊技機1)前面に対して斜めに張り出し形成された傾斜面(内面壁9a)をガラス枠(前面枠体5)のガラス(ガラスからなる透明部材7)との臨界部分(窓部の枠縁)に設けてガラスを囲繞(内面壁9a全周)し、該臨界部分(窓部の枠縁)に発光装置23を設け」た技術事項が記載されている。ところで、傾斜面に設けられる通気孔は、例えば、特開平9-140913号公報に記載された「吸引口16」(【0009】及び【0011】並びに【全図】参照)、及び特開昭60-55979号公報に記載された「空気吸込口2」(公報第2頁右上欄第17行及び第4図参照)、並びに実願平4-51660号(実開平6-5687号)のCD-ROMに記載された「空気吸込み口5」(【0009】及び【図9】参照)のように当該技術分野において周知・慣用の技術(以下、「周知・慣用の技術甲」という。)である。また、遊技機の上方だけでなく下方にも配置した通気孔は、例えば、特開平9-122335号公報に記載された「前面枠の四辺全部に取り付けられた枠飾りに設けられた吸入孔21」(【0005】及び【0006】並びに【0011】参照)、及び特開平8-261530号公報に記載された「パチンコ台前面の上部及び下部に各々取り付けられた上部煙吸引受け口1及び下部煙吸引受け口2」(【0004】及び【0006】並びに【図1】参照)、並びに特開平6-319868号公報に記載された「パネルBに設けられた排煙口5B及び灰皿用開口部2近傍に設けられた排煙口5A」(【0020】及び【0023】、【図1】及び【図3】参照)のように当該技術分野において周知・慣用の技術(以下、「周知・慣用の技術乙」という。)である。そうすると、発光装置及び通気孔は「遊技者にとって有益な付属装置」において共通しているから、引用発明2の「臨界部分、即ち傾斜面に設けられた発光装置23」に替えてガラスを囲繞するように通気孔を傾斜面に設け、相違点Bに係る本願発明を特定する事項とすることは、上記の周知・慣用の技術甲及び乙、特に上記特開平9-122335号公報に記載された「前面枠の四辺全部に取り付けられた枠飾りに設けられた吸入孔21」の技術事項を併せて考慮すれば、当業者が容易になし得ることである。

また、効果においても、上記の引用発明1及び2と比較して、本願発明が格別の効果を奏するものとは認められない。

第5,むすび
したがって、本願発明は、引用発明1及び2並びに周知・慣用の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2008-01-09 
結審通知日 2008-01-15 
審決日 2008-02-01 
出願番号 特願2001-83427(P2001-83427)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米津 潔飯野 茂  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 川島 陵司
太田 恒明
発明の名称 遊技機  
代理人 永田 豊  
代理人 遠山 勉  
代理人 川口 嘉之  
代理人 松倉 秀実  
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