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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1175055
審判番号 不服2004-14563  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-12 
確定日 2008-03-17 
事件の表示 特願2000-165123「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月11日出願公開、特開2001-340524〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年6月1日の出願であって、平成16年6月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年7月12日に拒絶査定不服審判が請求されると共に、平成16年8月3日付けで手続補正がなされたが、その後当審において、平成19年10月11日付けで補正却下されると共に拒絶理由通知がなされ、これに対し、平成19年12月5日付けで手続補正がなされたものであり、その請求項1及び2に係る発明は、平成19年12月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により複数種類の入賞役の内部入賞の当否を確定し、各々の前記メインリールに対応した停止操作に対して、各々の前記メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいた絵柄の組合せが前記リール絵柄表示窓上に表示されるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞であると判断された場合、前記入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払出す遊技台であって、
前記遊技台は、前記入賞役の種類に応じて異なる複数種類の絵柄が施してあり、かつ、各々の前記メインリールに対応した数の補助リールを備え、
各々の前記補助リールは所定の場合に回転を開始し、
前記停止操作に応じて、当該停止操作に対応する前記補助リールを停止し、
停止時の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類により、当該絵柄の種類に対応する種類の前記入賞役の前記内部抽選の結果を報知し、
停止時の少なくとも1つの前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、他の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、が異なる場合があり、
停止時の前記補助リールに表示される同一の前記絵柄の個数と、前記絵柄を表示する前記補助リールがどの前記補助リールかとによって、各々の前記入賞役の前記報知の信頼度が異なることを特徴とする遊技台。」

2.引用例に記載の発明
(1)引用例1に記載の発明
当審の拒絶理由に引用された本願の出願の日前である平成12年5月23日に頒布された特開2000-140208号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

【0002】
【従来の技術】従来の典型的なスロットマシンは、シンボル可変表示器として、外周面に複数種のシンボルが表された3個のリールを有している。メダル投入口へメダルが投入された後、始動レバーが操作されると、3個のリールが一斉に始動する。リール毎に停止釦スイッチが設けられており、いずれかの停止釦スイッチが押操作されると、対応するリールが個別に停止する。
【0003】全てのリールが停止したとき、入賞ライン上に、所定のシンボルの組み合わせが成立すると、そのゲームは入賞となり、入賞の種類に応じて、予め決められた枚数のメダルがそのゲームの配当として払い出される。入賞ライン上に、特定のシンボルの組み合わせが成立すると、そのゲームは特別入賞となり、遊技者へ付与される特典として、ボーナスゲームを実施する機会が与えられる。
【0004】近年の機種では、ボーナスゲームとして、「レギュラーボーナス」と称されるボーナスゲームと、この「レギュラーボーナス」が複数回(例えば3回)実施できる「ビッグボーナス」と称されるボーナスゲームとが用意されている。遊技者は、これらのボーナスゲームを実施することで、多量のメダルが獲得できる。
【0005】従来のスロットマシンでは、始動レバーの操作があると、機械内部で抽選処理が実行される。遊技者による停止操作があったとき、停止操作のタイミングと抽選結果とに基づいて、入賞ライン上に、所定のシンボルを引き込んでリールを強制的に停止させる、いわゆる引込制御が行われる。この引込制御では、抽選当たりがあったときは、入賞ライン上に、入賞に関わるシンボルが停止するようにリールの停止動作が制御される。一方、抽選当たりがなかったときは、入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないようにリールの停止動作が制御される。抽選当たりのうち、特別入賞に関わる抽選当たり(以下、「特別抽選当たり」という。)のときは、特別入賞が成立するまで、特別抽選当たりの状態が以後のゲームまで持ち越される。特別入賞以外の入賞に関わる抽選当たり(以下、「通常抽選当たり」という。)のときは、そのゲーム限りであり、通常抽選当たりの状態は以後のゲームに持ち越されない。
【0037】前記リールブロック4は、金属フレーム7に3個のリール8a,8b,8cが一体に組み付けられて成る。各リール8a,8b,8cは、リール枠の外周面に帯状テープを貼設して成る。帯状テープには、特別入賞を成立させる特別入賞シンボル、その他の入賞を成立させる入賞シンボル、入賞に関わらない複数種のシンボルなどが印刷されている。…
【0039】…始動レバー14は3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させるために遊技者により操作される。…
【0046】このスロットマシンでは、メダル投入口16へのメダルの投入またはベット釦スイッチ33,34,35の操作で、いずれかの入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14を操作すると、機械内部で抽選処理が行われる。その後、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、抽選当たりであれば、前記内部抽選処理の抽選結果に基づく所定のシンボルが、有効化された入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。特に、前記の特別抽選当たりがあると、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルが停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御される。
【0047】この実施例では、「ビッグボーナス」および「レギュラーボーナス」に関わる2種類の特別入賞シンボルが設けてあるので、特別抽選当たりも、「ビッグボーナス」のための特別抽選当たり(以下、「BBの特別抽選当たり」という。)と、「レギュラーボーナス」のための特別抽選当たり(以下、「RBの特別抽選当たり」という。)との2種類がある。
【0048】前記抽選処理は、乱数発生器が発生する乱数をサンプリングして、そのサンプリングされた乱数値が所定の範囲内の値であるかどうかを判断することにより、特別入賞シンボルやそれ以外の入賞シンボルについての抽選当たりであるかどうかを決定する。なお、この種の抽選処理は公知であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0049】このスロットマシンでは、内部抽選処理による抽選結果に関わる情報を遊技者に報知するために、シンボル表示窓20a,20b,20cの一側部に、図4に示すような情報表示部50が設けてある。この情報表示部50は、7セグメントのLEDで形成された2桁表示の文字表示器より成る第1の情報表示部51と、同じ7セグメントのLEDで形成された1桁表示の文字表示器より成る第2の情報表示部52とを備える。各情報表示部51,52は、変動表示を行った後、変動表示を停止して、所定の数字や文字を表示する。
【0050】特別抽選当たりがあると、第1の情報表示部51が変動表示を開始し、まず10位の桁の文字表示器が前記変動表示を停止した後、1位の桁の文字表示器が前記変動表示を停止し、最終的に、図5(1)?図5(4)に示すように、特別抽選当たりがあったことを示す文字を表示する。
【0051】この実施例では、RBの特別抽選当たりがあったときは、図5(4)に示す「dd」の文字が表示される確率を最も高く設定し、次いで図5(3)に示す「CC」の文字、次いで図5(2)に示す「bb」の文字、次いで図5(1)に示す「AA」の文字が表示される確率を順次低くなるよう設定しており、この確率に従った乱数抽選により、第1の情報表示部51に表示される文字を選定する。上記表示がされたときのRBの当選確率は、例えば大きい順に、70?100%、30?70%、10?30%、0?10%にそれぞれ設定する。
【0052】BBの特別抽選当たりがあったときは、図5(1)に示す「AA」の文字が表示される確率を最も高く設定し、次いで図5(2)に示す「bb」の文字、次いで図5(3)に示す「CC」の文字、次いで図5(4)に示す「dd」の文字が表示される確率を順次低くなるよう設定しており、この確率に従った乱数抽選により、第1の情報表示部51に表示される文字を選定する。上記表示がされたときのBBの当選確率は、例えば大きい順に、70?100%、30?70%、10?30%、0?10%にそれぞれ設定する。
【0053】第2の情報表示部52は、特別抽選当たりがあった場合において、第1の情報表示部51の表示動作が終了した後に、同様に変動表示を行い、その後、前記変動表示を停止し、最終的に、図6(1)?図6(3)に示すような、どの特別抽選当たりがあったかを示す文字を表示する。この実施例では、基本的には、BBの特別抽選当たりがあったときは、図6(3)に示す「7」の文字を、RBの特別抽選当たりがあったときは、図6(1)に示す「3」の文字を、それぞれ表示するようにし、BBまたはRBの特別抽選当たりがあったとき、適当な確率(例えば、3回に1回程度の確率)で、図6(2)に示す「5」の文字を表示するようにしている。
【0057】全リール8a,8b,8cが停止したとき、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立すると、所定枚数のメダルが払い出される。…
【0059】図9は、上記したスロットマシンの電気的な構成を示す。同図中、40はマイクロコンピュータより成る制御部であり、制御、演算の主体であるCPU41、プログラムや固定データが格納されるROM42、データの読み書きに用いられるRAM43の他に、タイマ44や乱数発生器45を含んでいる。
【0092】図16?図18は、前記情報表示部50として、図8に示すように、3個の文字表示器より成る情報表示器51a,51b,51cが用いられた実施例についての制御部40による制御の流れを示す。この実施例では、3個の情報表示器51a,51b,51cに表示された数字の組み合わせにより、特別抽選当たりがあったかどうかを遊技者へ報知するようにしたものであり、各情報表示器51a,51b,51cの変動表示の開始および停止のタイミングを3個のリール8a,8b,8cの始動および停止のタイミングに合わせるように構成してある。
【0093】この実施例では、BBの特別抽選当たりのときは、数字の「7」が3個表示され、RBの特別抽選当たりのときは、「7」以外の同じ数字が3個表示され、それ以外は、異なる任意の数字が3個表示されるように構成している。なお、文字表示器に代えて、リールや液晶表示板を用いて3個の情報表示器51a,51b,51cを構成し、各情報表示器51a,51b,51cにリール8a,8b,8cと同じシンボルを表示するようにしてもよい。そのような構成にすると、例えばBBの特別抽選当たりがあった場合において、たとえ3個のリール8a,8b,8cについて、BBの特別入賞シンボルの組み合わせが成立しなくても、3個の情報表示器51a,51b,51cの方は、BBの特別入賞シンボルの組み合わせが成立することになる。
【0094】図16において、遊技者がメダル投入口16へメダルを投入するか、いずれかのベット釦スイッチ33,34,35を押操作した後、始動レバー14を操作すると、ST1の判定が「YES」であり、つぎのST2で、大当たりフラグFが1にセットされているかどうかがチェックされる。この場合、ST2の判定は「NO」であるから、ST3へ進み、CPU41は乱数発生器44が発生した乱数値をサンプリングすることにより内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理で特別抽選当たりがあると、ST5へ進み、大当たりフラグFがセットされる。
【0095】前記内部抽選処理による抽選結果は、特別抽選当たりがあった否かにかかわらず、遊技者へ報知されるもので、つぎのST6では、情報表示部50の3個の情報表示器51a,51b,51cが一斉に変動表示を開始する。続くST7?9では、情報表示部50に表示させる数字の組み合わせが決定されるもので、もし、大当たりフラグFがセットされていれば、ST7の判定が「YES」であり、BBの特別抽選当たりに対しては、数字「7」が3個並ぶ組み合わせが、RBの特別抽選当たりに対しては、「7」以外の同じ数字が3個並ぶ組み合わせが、それぞれ決定される(ST8)。もし、特別抽選当たりでなければ、異なる任意の数字が3個並ぶ組み合わせが決定される(ST9)。
【0096】かくして、ST10で3個のリール8a,8b,8cが一斉に始動し、遊技者は、いずれかの停止釦スイッチ15a,15b,15cを押操作する。最初の停止操作があると、ST11の判定が「YES」となり、該当するリールが停止し、リール停止数の計数値nが1加算される(ST12,13)。
【0097】つぎのST14,15では前記計数値nをチェックしており、この場合、計数値nは「1」であるから、ST14の判定が「YES」となり、つぎのST16で第1の情報表示器51aが変動表示を停止し、ST8またはST9で決定されえた数字が表示される。
【0098】つぎの停止釦スイッチの操作があると、ST11の判定が「YES」となり、該当するリールが停止し、リール停止数の計数値nが1加算される(ST12,13)。この場合、前記計数値nは「2」であるから、ST14の判定が「NO」、ST15の判定が「YES」となってST17へ進み、第2の情報表示器51bが変動表示を停止し、ST8またはST9で決定された数字が表示される。
【0099】最終の停止釦スイッチの操作があると、ST11の判定が「YES」となり、該当するリールが停止し、リール停止数の計数値nが1加算される(ST12,13)。この場合、前記計数値nは「3」であるから、ST14,15の判定がともに「NO」となってST18へ進み、第3の情報表示器51cが変動表示を停止し、ST8またはST9で決定された数字が表示される。3個のリール8a,8b,8cが停止すると、ST19の判定が「YES」となって図18のST20へ進み、計数値nがゼロにクリヤされた後、入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立したかどうかが判定される(ST21)。
【0100】ST21の入賞判定の結果、もし入賞が成立しておれば、ST22の判定が「YES」であり、CPU41は、遊技者に対して入賞や特別入賞に応じたメダル枚数の配当を行う(ST23)。そして、特別入賞である場合、ST24の判定が「YES」となってST25へ進み、大当たりフラグをリセットするなどの復帰処理が行われる。

段落0002乃至0005の記載は従来のスロットマシンに関するものであるが、ここに記載されるスロットマシンの基本的事項は、引用例1の実施例に開示されるスロットマシンにおいても共通することが明らかであるから、前記摘示の記載を含む引用例1の全記載及び図示によれば、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「複数種のシンボルが印刷された帯状テープを貼設した3個のリール8a,8b,8cを備え、
メダル投入口16へのメダルの投入で、いずれかの入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14を操作すると、前記3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させ、制御部40で抽選処理が行われ、少なくともビッグボーナス及びレギュラーボーナスを含む抽選当たりを決定し、
停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、抽選当たりであれば、前記内部抽選処理の抽選結果に基づく所定のシンボルが、有効化された入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御され、
抽選当たりがなかったときは、入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないようにリールの停止動作が制御され、
全リール8a,8b,8cが停止したとき、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立すると、所定枚数のメダルが払い出されるスロットマシンにおいて、
前記3個のリール8a,8b,8cと同じシンボルを表示したリールを用いた3個の情報表示器51a,51b,51cを備え、
遊技者が始動レバー14を操作すると、3個の情報表示器51a,51b,51cが一斉に変動表示を開始し、
最初の停止操作があると、該当するリールが停止すると共に、第1の情報表示器51aが変動表示を停止し、つぎの停止釦スイッチの操作があると、該当するリールが停止すると共に、第2の情報表示器51bが変動表示を停止し、最終の停止釦スイッチの操作があると、該当するリールが停止すると共に、第3の情報表示器51cが変動表示を停止し、
例えば、ビッグボーナスの特別抽選当たりがあった場合において、たとえ前記3個のリール8a,8b,8cについて、BBの特別入賞シンボルの組み合わせが成立しなくても、前記3個の情報表示器51a,51b,51cの方は、ビッグボーナスの特別入賞シンボルの組み合わせが成立することになり、前記内部抽選処理による抽選結果に関わる情報を遊技者に報知し、
ビッグボーナスの特別抽選当たりのときは、数字の「7」が3個表示され、レギュラーボーナスの特別抽選当たりのときは、「7」以外の同じ数字が3個表示され、それ以外は、異なる任意の数字が3個表示されるように構成されたスロットマシン。」

(2)引用例2に記載の発明
当審の拒絶理由に引用された本願の出願の日前である平成11年6月22日に頒布された特開平11-164948号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 判定条件が成立したことに起因して当たり外れを判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づいて複数の表示図柄の組合せを決定する図柄決定手段と、
前記複数の表示図柄を変動表示した後に前記複数の表示図柄を順次停止して、前記図柄決定手段によって決定された前記組合せを確定表示する可変表示手段と、
前記判定条件が成立した際に前記可変表示手段による表示が実施できない場合に該判定条件の成立を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に前記判定条件の成立が記憶されていることを表示する判定条件成立表示手段と、
前記可変表示手段に確定表示された前記組合せが予め定められた特別組合せであったことに起因して、遊技者に有利な特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを備える弾球遊技機において、
前記記憶手段に記憶されている前記判定条件の成立に起因して前記判定手段が実行した判定結果に基づいて図柄決定手段が決定した前記複数の表示図柄の組合せが、前記可変表示手段によって表示される際に前記複数の表示図柄のうち最後に停止される表示図柄によっては前記特別組合せとなるリーチ状態となることを予告表示するリーチ状態予告表示手段を備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【0036】例えば図7に示される例では、2つの保留ランプ28が点灯して保留数は2個あることを表示し、リーチランプ29の点灯数で信頼度を表している。この例では、リーチランプ29が1個点灯すれば、保留記憶中にリーチになる組合せがあることを示し、リーチランプ29の点灯数が増加するほど信頼度が高い(当たりの可能性が高い)ことを示している。さらにリーチランプ29を点滅することで、信頼度が一層高いことを示してもよい。
【0037】また、図8に示すように、リーチランプ29の点灯位置でリーチの信頼度の高低を示すこともできる。この例では、図8(a)のように左端と右から2番目のリーチランプ29が点灯したときには信頼度は低く、図8(b)のように右端と左から2番目のリーチランプ29が点灯したときには信頼度は高いことを示す設定であるが、これ以外にもさまざまな組合せにより信頼度の高低を表示できる。

前記摘示の記載を含む引用例2の全記載及び図示によれば、引用例2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「可変表示手段にリーチ状態となることを、リーチランプ29が点灯することで予告表示するリーチ状態予告表示手段を備え、リーチランプ29の点灯数又はリーチランプ29の点灯位置により予告表示の信頼度を表す弾球遊技機。」

3.対比・判断
本願発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「複数種のシンボルが印刷された帯状テープを貼設した3個のリール8a,8b,8cを備え、」は本願発明の「複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、」に対応し、以下同様に、
「メダル投入口16へのメダルの投入で、いずれかの入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14を操作すると、3個のリール8a,8b,8cを一斉に始動させ、」は「メダルまたは玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、」に、
「制御部40で抽選処理が行われ、少なくともビッグボーナス及びレギュラーボーナスを含む抽選当たりを決定し、」は「制御部の内部抽選により複数種類の入賞役の内部入賞の当否を確定し、」に、
「停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、抽選当たりであれば、内部抽選処理の抽選結果に基づく所定のシンボルが、有効化された入賞ライン上に停止するよう、各リール8a,8b,8cの停止動作が制御され、抽選当たりがなかったときは、入賞に関わるシンボルが入賞ライン上に停止しないようにリールの停止動作が制御され、」は「各々の前記メインリールに対応した停止操作に対して、各々の前記メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいた絵柄の組合せが前記リール絵柄表示窓上に表示されるように制御して停止させ、」に、
「全リール8a,8b,8cが停止したとき、有効化された入賞ライン上に特別入賞シンボルや通常の入賞シンボルの組み合わせが成立すると、所定枚数のメダルが払い出される」は「停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞であると判断された場合、前記入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払出す」に、
「スロットマシン」は「遊技台」に対応すると共に、以下(ア)乃至(オ)のことがいえる。

(ア)引用発明1の「3個のリール8a,8b,8cと同じシンボルを表示したリールを用いた3個の情報表示器51a,51b,51cを備え」る構成について、「3個のリール8a,8b,8cと同じシンボル」が、「少なくともビッグボーナス及びレギュラーボーナス」の入賞に対応するシンボル、即ち、入賞役の種類に応じた異なる複数種類の絵柄を含むことは明らかであるから、引用発明1の上記構成は、本願発明の「入賞役の種類に応じて異なる複数種類の絵柄が施してあり、かつ、各々のメインリールに対応した数の補助リールを備え」る構成に対応するものである。

(イ)引用発明1の「遊技者が始動レバー14を操作すると、3個の情報表示器51a,51b,51cが一斉に変動表示を開始」する構成について、「遊技者が始動レバー14を操作する」ことを、「所定の場合」ということができるから、引用発明1の上記構成は、本願発明の「各々の補助リールは所定の場合に回転を開始」する構成に対応するものである。

(ウ)引用発明1の「最初の停止操作があると、該当するリールが停止すると共に、第1の情報表示器51aが変動表示を停止し、つぎの停止釦スイッチの操作があると、該当するリールが停止すると共に、第2の情報表示器51bが変動表示を停止し、最終の停止釦スイッチの操作があると、該当するリールが停止すると共に、第3の情報表示器51cが変動表示を停止」する構成について、遊技者が第1、第2、第3の順序で停止操作した場合には、「停止操作に応じて、当該停止操作に対応する補助リールを停止」するものであるから、引用発明1の上記構成は、遊技者が第1、第2、第3の順序で停止操作した限りにおいて、本願発明の「停止操作に応じて、当該停止操作に対応する補助リールを停止」する構成に対応するものである。

(エ)引用発明1の「例えば、ビッグボーナスの特別抽選当たりがあった場合、たとえ3個のリール8a,8b,8cについて、BBの特別入賞シンボルの組み合わせが成立しなくても、3個の情報表示器51a,51b,51cの方は、ビッグボーナスの特別入賞シンボルの組み合わせが成立することになり、内部抽選処理による抽選結果に関わる情報を遊技者に報知」する構成について、ビッグボーナスの特別抽選当たりがあった場合、3個の情報表示器51a,51b,51cにビッグボーナスの特別入賞シンボルの組み合わせが成立することから、ビッグボーナスの特別抽選当たりを報知することが明らかであるから、引用発明1の上記構成は、本願発明の「停止時の補助リールに表示される絵柄の種類により、当該絵柄の種類に対応する種類の入賞役の内部抽選の結果を報知」する構成に対応するものである。

(オ)引用発明1の「ビッグボーナスの特別抽選当たりのときは、数字の「7」が3個表示され、レギュラーボーナスの特別抽選当たりのときは、「7」以外の同じ数字が3個表示され、それ以外は、異なる任意の数字が3個表示される」構成について、「異なる任意の数字が3個表示される」場合は、表示された3個の数字が意味するところは別にして、少なくとも、「停止時の少なくとも1つの補助リールに表示される絵柄の種類と、他の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、が異なる場合」といえるから、引用発明1の上記構成と本願発明の「停止時の少なくとも1つの前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、他の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、が異なる場合があり、停止時の前記補助リールに表示される同一の前記絵柄の個数と、前記絵柄を表示する前記補助リールがどの前記補助リールかとによって、各々の前記入賞役の前記報知の信頼度が異なる」構成は、「停止時の少なくとも1つの前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、他の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、が異なる場合があ」る点において共通するものである。

以上を勘案すると、両者は、「複数種類の絵柄を施したメインリールを複数列備え、メダルまたは玉等の遊技媒体を投入し、ゲームの開始操作により前記複数列のメインリールをリール絵柄表示窓上で移動を開始させ、制御部の内部抽選により複数種類の入賞役の内部入賞の当否を確定し、各々の前記メインリールに対応した停止操作に対して、各々の前記メインリールを、ハズレを含む前記内部抽選の結果に基づいた絵柄の組合せが前記リール絵柄表示窓上に表示されるように制御して停止させ、停止した前記リール絵柄表示窓上の前記絵柄の組合せが入賞であると判断された場合、前記入賞に対応する所定の数の遊技媒体を払出す遊技台であって、
前記遊技台は、前記入賞役の種類に応じて異なる複数種類の絵柄が施してあり、かつ、各々の前記メインリールに対応した数の補助リールを備え、
各々の前記補助リールは所定の場合に回転を開始し、
遊技者が第1、第2、第3の順序で停止操作した限りにおいて、前記停止操作に応じて、当該停止操作に対応する前記補助リールを停止し、
停止時の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類により、当該絵柄の種類に対応する種類の前記入賞役の前記内部抽選の結果を報知し、
停止時の少なくとも1つの前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、他の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、が異なる場合がある遊技台。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;「停止操作に応じて、当該停止操作に対応する補助リールを停止」させる点について、本願発明は、停止操作したメインリールと補助リールが対応しており、停止操作の順序に関わらないのに対して、引用発明1は、停止操作の順序と補助リールが対応しており、遊技者が第1、第2、第3以外の順序で停止操作した場合には、メインリールの停止と補助リールの停止が対応しない場合があり得る点。

相違点2;「停止時の少なくとも1つの補助リールに表示される絵柄の種類と、他の前記補助リールに表示される前記絵柄の種類と、が異なる場合があ」る点について、本願発明は、「停止時の補助リールに表示される同一の絵柄の個数と、前記絵柄を表示する前記補助リールがどの前記補助リールかとによって、各々の入賞役の報知の信頼度が異なる」のに対して、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。

次に、上記各相違点について検討する。
相違点1について;引用例1には、「文字表示器に代えて、リール…を用いて3個の情報表示器51a,51b,51cを構成し、各情報表示器51a,51b,51cにリール8a,8b,8cと同じシンボルを表示するようにしてもよい。」(段落0093)と記載されており、この記載によれば、引用発明1は、リール8a,8b,8c(メインリール)と各情報表示器51a,51b,51c(補助リール)の対応関係を意図したものと認められる。
ところで、一般的なスロットマシンにおける遊技者の停止操作順序は、遊技者の意思に任され、左中右の順序で停止操作されるとは限らないことは、当該技術分野における常識的事項であるから、そのような遊技者の停止操作に対応するために、補助リールの停止を、停止操作の順序に対応させるのではなく、直接的に各メインリールとの対応関係で規定しておくことは、引用例1の上記記載に基づけば、当業者が容易に想到できることである。

相違点2について;引用例1には、「第2の情報表示部52は、特別抽選当たりがあった場合において、第1の情報表示部51の表示動作が終了した後に、同様に変動表示を行い、その後、前記変動表示を停止し、最終的に、図6(1)?図6(3)に示すような、どの特別抽選当たりがあったかを示す文字を表示する。この実施例では、基本的には、BBの特別抽選当たりがあったときは、図6(3)に示す「7」の文字を、RBの特別抽選当たりがあったときは、図6(1)に示す「3」の文字を、それぞれ表示するようにし、BBまたはRBの特別抽選当たりがあったとき、適当な確率(例えば、3回に1回程度の確率)で、図6(2)に示す「5」の文字を表示するようにしている。」(段落0053)と記載されており、この記載によれば、引用例1には、適当な確率で「5」の文字を表示するようにして、遊技者から見て、内部抽選による入賞役の種類が明確に把握されない報知をすることが記載されており、さらに、引用例1には、そのような不確定な報知をするに際して、所定の信頼度を設定しておくことも記載(段落0051-0052)されている。
そして、同一の文献である引用例1に記載される上記記載事項を、同様な目的を有する他の実施例である引用発明1に採用し、引用発明1の「異なる任意の数字が3個表示される」態様に、ビッグボーナスの特別抽選当たり、又は、レギュラーボーナスの特別抽選当たりであるか不確定な報知の意味を持たせると共に、所定の信頼度を設定しておくことは、当業者が設計的に成し得る程度のことである。
ところで、遊技台の一種である弾球遊技機の発明である引用発明2は、「可変表示手段にリーチ状態となることを、リーチランプ29が点灯することで予告表示するリーチ状態予告表示手段を備え、リーチランプ29の点灯数又はリーチランプ29の点灯位置により予告表示の信頼度を表す弾球遊技機。」であり、引用例1及び2は、遊技機内部の状態を、所定の信頼度を設定した不確定な報知をする技術に関して共通するものであるから、上記した引用発明2を引用発明1に適用することは、当業者にとって格別創意工夫を要することではない。
また、引用発明2は、点灯するリーチランプ29の個数によって報知の信頼度が異なる態様と、どのリーチランプ29が点灯するかによって報知の信頼度が異なるようにする態様を並列的に備えたものであるが、各態様を組み合わせて遊技者の興趣を高めることは、当業者ならば普通に考慮することといえるから、並列的に記載された上記各態様を共に採用し、「停止時の補助リールに表示される同一の絵柄の個数と、前記絵柄を表示する前記補助リールがどの前記補助リールかとによって、各々の入賞役の報知の信頼度が異なる」構成とすることは、引用発明2を引用発明1に適用するに際して設計的に成し得る程度のことである。

作用効果について;本願発明の作用効果も、引用発明1及び2から当業者が予測できる域を超えるものではない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-21 
結審通知日 2008-01-25 
審決日 2008-02-05 
出願番号 特願2000-165123(P2000-165123)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 小林 俊久
土屋 保光
発明の名称 遊技台  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  

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