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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1175258 |
審判番号 | 不服2005-9460 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-05-19 |
確定日 | 2008-03-27 |
事件の表示 | 特願2001-132405「記録媒体精算システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月12日出願公開、特開2002-325956〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成13年4月27日の出願であって、平成17年4月12日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年5月19日付けで本件審判請求がされるとともに、同年6月16日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成17年6月16日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正内容及び補正目的 本件補正は特許請求の範囲を補正するものであり、補正後の請求項1は実質的には補正前の請求項2に対応するとともに、「精算条件テーブル」が「記録媒体精算装置」に存する旨限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮(平成18年改正前特許法17条の2第4項2号該当)を目的とするものと認める。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうか、以下において検討する。 2.補正発明の認定 補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「遊技場にて使用される記録媒体に記録された識別情報に対応する有価価値を管理する管理装置と、前記記録媒体を受け入れて、該受け入れた記録媒体を前記管理装置が管理する有価価値に基づいて貨幣に精算する記録媒体精算装置とを有する記録媒体精算システムであって、 前記管理装置は、 入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分した有価価値を前記識別情報ごとに記憶する管理テーブルと、 前記記録媒体精算装置から識別情報を受け付けた際に、各入金条件ごとの複数の有価価値からなる精算情報を前記管理テーブルに基づいて返送する返送手段とを備え、 前記記録媒体精算装置は、 前記管理テーブルが区分する所定の入金条件のうち該入金条件に係る有価価値の精算を許可しないものを示した精算不可入金条件を記憶する精算条件テーブルと、 記録媒体を受け入れた際に、該記録媒体に記録された識別情報を前記管理装置に送信して前記精算情報を要求する精算情報要求手段と、 前記精算情報要求手段による要求に応答して前記管理装置から返送される精算情報に含まれる全有価価値から前記精算条件テーブルに記憶された精算不可入金条件に係る有価価値を差し引いた精算可能有価価値を算定し、該算定した精算可能有価価値に相当する金額の貨幣を遊技者に精算する精算手段と、 前記精算手段による精算の内容として、少なくとも前記全有価価値に相当する金額、前記精算手段により精算される精算可能有価価値に相当する金額、前記精算不可入金条件に係る有価価値に相当する金額および該精算不可入金条件に係る有価価値が差し引かれる理由を遊技者に報知する報知手段とを備えた ことを特徴とする記録媒体精算システム。」 3.引用刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-263175号公報(以下「引用例」という。)には、次のア及びイの記載が図示とともにある。 ア.「本発明を実施例により説明すると、図2に示すように、カード発行・精算機1と、ホストパソコン2と、複数台のゲーム機3とを通信ケーブル4で接続して成る遊技システムにおいて、カード発行・精算機1がCPU5と、CPU5に接続される金額指定部6と、金額表示部7と、入金確認部8と、カード情報負荷部9と、カード読取り部10と、出金部11とを内蔵し、ホストパソコン2がMPU12と外部記憶装置13を内蔵し、外部記憶装置13にカード情報と該情報に対応する入金残高と、ゲーム機3の機種NOと機種NOに対応する遊技単価とを格納し、ゲーム機3がゲーム基板14と、CPU15と、CPU15に接続される単価表示部16と、カード読取り部10と、残高表示部17と、遊技指令部18とを内蔵して成り、通信ケーブル4が伝達する情報は、カード情報と、遊技情報と、遊技単価情報と、残高情報であり、カード情報は、店番、発行年月日、発行時刻、ランダムIDで構成される情報群であり、ランダムIDはカード発行時にホストパソコン2が乱数を発生して決定するものである。遊技情報はゲーム機3の単位遊技毎にゲーム機3からホストパソコン2に通知される。遊技単価情報はゲーム機毎の遊技単価であり、ホストパソコン2が管理し、適時に各ゲーム機3に通知する。該遊技単価はシステム管理者が決定し、キーボード19からホストパソコン2に入力される。残高情報は遊技者が購入した各カード毎の入金残高であり、カード発行・精算機1が通知した情報を基にホストパソコン2が管理する。」(段落【0006】) イ.「入金残高が遊技単価より多い場合あるいは遊技中断で出店するように場合には、カード発行・精算機1のカード挿入口35にカード20を挿入すると、カード読取り部10を介してホストパソコン2と相互通信し、カード情報に対応する入金残高が出金部11に指令され、コインホッパー29が作動して該入金残高に相当する現金が払い出され、精算できる。」(段落【0009】) 4.引用例記載の発明の認定 引用例の記載イによれば、カード発行・精算機はホストパソコンと相互通信することより、カード情報に対応する入金残高が出金、すなわち精算するのだから、カード発行・精算機とホストパソコンを併せた精算システムとして次のような発明が引用例に記載されていると認めることができる。 「カード発行・精算機とホストパソコンからなる精算システムであって、 前記カード発行・精算機はCPU、CPUに接続される金額指定部、金額表示部、入金確認部、カード情報負荷部、カード読取り部及び出金部を内蔵し、 前記ホストパソコンはMPU及びカード情報と該情報に対応する入金残高を格納する外部記憶装置を内蔵し、 前記カード発行・精算機のカード挿入口にカードを挿入すると、前記カード読取り部を介して前記ホストパソコンと相互通信し、カード情報に対応する入金残高が出金部に指令され、該入金残高に相当する現金が払い出され、精算できる精算システム。」 5.補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定 引用発明の「カード」及び「カード情報」は、補正発明の「遊技場にて使用される記録媒体」及び「記録媒体に記録された識別情報」に相当する。 引用発明の「カード情報に対応する入金残高」は補正発明の用語に従えば「識別情報に対応する有価価値」と表現することができる。そうすると、引用発明の「カード発行・精算機」及び「ホストパソコン」が補正発明の「受け入れた記録媒体を前記管理装置が管理する有価価値に基づいて貨幣に精算する記録媒体精算装置」及び「遊技場にて使用される記録媒体に記録された識別情報に対応する有価価値を管理する管理装置」に相当することも明らかである。 引用例に明記はないものの、引用発明の「ホストパソコン」が「有価価値を前記識別情報ごとに記憶する」ことは明らかであり、識別情報と有価価値が対応付けられている以上「管理テーブル」が備わっていると認めることができる。また、精算時には「カード発行・精算機」からカード情報をホストパソコンに送信して入金残高を要求することは明らかであり、精算に際しての要求である以上、要求時の入金残高は「精算情報」でもあるから、引用発明のホストパソコン(管理装置)が「精算情報を前記管理テーブルに基づいて返送する返送手段」を備えること、及びカード発行・精算機(記録媒体精算装置)が「記録媒体を受け入れた際に、該記録媒体に記録された識別情報を前記管理装置に送信して前記精算情報を要求する精算情報要求手段」を備えることも明らかである。 また、記録媒体精算装置が「精算情報要求手段による要求に応答して管理装置から返送される精算情報に基づいて精算可能有価価値に相当する金額の貨幣を遊技者に精算する精算手段」を備えることも補正発明と引用発明の一致点であり、引用発明はカードの精算システムであるから、「記録媒体精算システム」であることも補正発明と引用発明の一致点である。 したがって、補正発明と引用発明は、 「遊技場にて使用される記録媒体に記録された識別情報に対応する有価価値を管理する管理装置と、前記記録媒体を受け入れて、該受け入れた記録媒体を前記管理装置が管理する有価価値に基づいて貨幣に精算する記録媒体精算装置とを有する記録媒体精算システムであって、 前記管理装置は、 有価価値を前記識別情報ごとに記憶する管理テーブルと、 前記記録媒体精算装置から識別情報を受け付けた際に、有価価値からなる精算情報を前記管理テーブルに基づいて返送する返送手段とを備え、 前記記録媒体精算装置は、 記録媒体を受け入れた際に、該記録媒体に記録された識別情報を前記管理装置に送信して前記精算情報を要求する精算情報要求手段と、 前記精算情報要求手段による要求に応答して前記管理装置から返送される精算情報に基づいて精算可能有価価値に相当する金額の貨幣を遊技者に精算する精算手段とを備えた記録媒体精算システム。」である点で一致し、以下の各点で相違する。 〈相違点1〉「管理テーブル」につき、補正発明のそれが「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分した有価価値を前記識別情報ごとに記憶する」のに対し、引用発明のそれでそのように区分して記憶していない点。 〈相違点2〉「返送手段」につき、補正発明のそれは「各入金条件ごとの複数の有価価値からなる精算情報を前記管理テーブルに基づいて返送」と限定しているのに対し、引用発明では「各入金条件ごとの複数の有価価値からなる精算情報」を返送しない点。 〈相違点3〉補正発明の「記録媒体精算装置」が「前記管理テーブルが区分する所定の入金条件のうち該入金条件に係る有価価値の精算を許可しないものを示した精算不可入金条件を記憶する精算条件テーブル」を備えるのに対し、引用発明にはかかるテーブルが存在しない点。 〈相違点4〉「記録媒体精算装置」の「精算手段」につき、補正発明では「前記精算情報要求手段による要求に応答して前記管理装置から返送される精算情報に含まれる全有価価値から前記精算条件テーブルに記憶された精算不可入金条件に係る有価価値を差し引いた精算可能有価価値を算定し、該算定した精算可能有価価値に相当する金額の貨幣を遊技者に精算する」のに対し、引用発明では精算可能有価価値と精算不可能有価価値の区別がなく、補正発明のような算定を行っていない点。 〈相違点5〉補正発明の「記録媒体精算装置」が「前記精算手段による精算の内容として、少なくとも前記全有価価値に相当する金額、前記精算手段により精算される精算可能有価価値に相当する金額、前記精算不可入金条件に係る有価価値に相当する金額および該精算不可入金条件に係る有価価値が差し引かれる理由を遊技者に報知する報知手段」を備えるのに対し、引用発明は同手段を備えない点。 6.相違点の判断 相違点1?5はすべて、補正発明の有価価値が精算可能有価価値と精算不可能有価価値に区別されていることに起因する相違点であるからまとめて判断する。 まず、補正発明の「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分した有価価値」について検討するに、「遊技場にて使用される記録媒体」を含み有価価値を有する記録媒体にあっては、入金額に応じてプレミア(文献によっては「プレミアム」と表記されることもあり、以下ではプレミアとプレミアムは区別しない。)を付加することが多く、このプレミアは入金を伴わない有価価値であるから「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分した有価価値」に該当するかどうかは必ずしも明らかでない。そこで発明の詳細な説明を参酌するに、本件補正後の明細書には「入金条件のうち、プレミア額とは、高額貨幣の投入に係る特典として付与されるプレミア」(段落【0053】)との記載がある(段落番号こそ異なるものの、同記載は出願当初からある。)ことからみて、プレミアも「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分した有価価値」に含まれると解すべきである。 そして、プレミアについては、高額入金に対するおまけであるから、これを精算対象とすることが不都合なことは明らかであり、そのことは原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-128598号公報に、「外来者はプリペイドカードを購入しても、小額しか使用せずにこのプリペイドカードを精算すると、販売金額にプレミアムを加算したカード残高から小額の金額を減算した精算金額が支払われるので、カード発行会社は大きな損害を被る。」(段落【0014】)及び「プレミアム返却許可カード残高を越える場合は、カード残高から前回の入力金額に対応するプレミアムを減算した金額が精算金額として返却される。」(段落【0021】)との各記載があるとおりである。なお、請求人は「引用文献3(審決注;特開平9-128598号公報)のものが「通常の残高(入力金額分の残高)とプレミアム分の残高とを区別して管理していない」」(平成17年6月16日付けで提出した審判請求書の手続補正書3頁17?18行)と主張するところ、通常の残高とプレミアム分の残高とを区別していないかもしれないが、プレミアム分の残高は入金金額によって異なり、入金金額を特定する仕組みは構築されていると解さねばならないから、結局のところ、プレミアム分の残高をいかにして特定するかの手法が補正発明と若干異なるだけであって、プレミアム分の残高を特定するに当たり、他の残高と区別して管理することはありふれた手法というよりない。 また、プレミア以外でも、入金方法としては、現金による入金のほか、「クレジットカードを用いた支払い、キャッシュカード等を挿入して当該遊技者の銀行口座からの引落しによる支払い」(本件出願前に頒布された特開平10-52563号公報の段落【0097】にこのとおりの記載がある。)などがあり、これらの支払い方法に対して、現金での入金と同一の精算を行うことが必ずしも適当でないことは明らかである。より具体的には、クレジットカードを用いた支払いであれば、取引をキャンセルするのが普通であるし、銀行口座からの引落しによる支払い(本願明細書の実施例にあるデビット決済はこれに該当する。)であれば、入金直後に精算を許容することは実質的に預金引き出しと等価になり、口座のある銀行以外からの預金引き出しには手数料を要求する場合があることを考慮すると、デビット決済による入金を精算する場合には手数料徴収を伴うことが想定できる。もちろん、デビット決済に対しては、手数料を徴収する代わりに決済を不可とすることも想定できる。 さらに、発生原因又は発生時期の異なる有価価値を個別に管理するものとしては、クレジットカード利用時に付与されるポイントを発生時期毎に管理する(ポイント有効期限がポイント発生時期から一定期間とされている場合に多い。)ことや、通常ポイントとは別に期間を狭く限定して使用可能な期間限定ポイントを個別管理すること(例えば、楽天株式会社運営のスーパーポイントがこの例である。)が周知である。 そうすると、引用発明を出発点として、多様な入金方法を可とし、有価価値を「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分」し、現金による精算可能な有価価値とそうでない有価価値に分け、前者のみを現金化して遊技者に精算することは当業者にとって想到容易といわなければならない。 ここで、引用発明においては、有価価値をホストパソコン(管理装置)にて管理しているのだから、有価価値を区分するに当たり、ホストパソコン側の「管理テーブル」において「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分」することは設計事項というべきであるから、相違点1に係る補正発明の構成に至ることは当業者にとって容易である。 また、有価価値を「入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分」し、現金による精算可能な有価価値とそうでない有価価値に分けるのであれば、どの有価価値が精算を許可し、どの有価価値が精算を許可しないかを定めておかなければならないから、管理装置又は記録媒体精算装置のどちらか一方に「前記管理テーブルが区分する所定の入金条件のうち該入金条件に係る有価価値の精算を許可しないものを示した精算不可入金条件を記憶する精算条件テーブル」を備えることも設計事項というべきである。 さらに、現金による精算可能な有価価値とそうでない有価価値に分け、前者のみを現金化して遊技者に精算することは、補正発明でいう「全有価価値から前記精算条件テーブルに記憶された精算不可入金条件に係る有価価値を差し引いた精算可能有価価値を算定し、該算定した精算可能有価価値に相当する金額の貨幣を遊技者に精算する」ことにほかならず、精算可能有価価値の算定は管理装置又は記録媒体精算装置のいずれで行うことも可能である。1つの管理装置が少数の記録媒体精算装置と接続されているのであれば、有価価値を管理している管理装置にて算定することが合理的であろう(その場合には、精算条件テーブルは管理装置に備わり、算定後の精算額や精算不可入金条件に係る有価価値が差し引かれる理由を記録媒体精算装置に送信することになる。)が、1つの管理装置が多数の記録媒体精算装置と接続されている場合には、管理装置の負担軽減の観点からみて、記録媒体精算装置にて算定することが合理的である。要するに、精算可能有価価値の算定を管理装置又は記録媒体精算装置のどちらで行うかは、双方の装置の処理負担を考慮して決すべき設計事項にすぎない。また、精算可能有価価値の算定という行為は、管理装置にて管理しているデータに対しての一種の加工であるところ、データ管理部からデータを他の装置に送信し、データを受信した側にて加工することは、例えば特開平11-339003号公報に見られるように周知であるから、データの加工を精算可能有価価値の算定に限った場合に、それを「管理装置」ではなく「記録媒体精算装置」で行うことには何ら困難性がないことは明らかである。そして、記録媒体精算装置にて算定するとすれば、精算条件テーブルについても、管理装置ではなく、記録媒体精算装置に備えておく(相違点3に係る補正発明の構成)ことが合理的である(逆であれば、精算の都度精算条件テーブルのデータを送信しなければならない。)し、記録媒体精算装置に返送する情報が「各入金条件ごとの複数の有価価値からなる精算情報」となる(相違点2に係る補正発明の構成)となることは当然である。さらに、算定を記録媒体精算装置で行うとすれば、相違点4に係る補正発明の構成を採用せざるを得ない。 そして、精算に当たっては、顧客(遊技者)に疑念を抱かせないよう、精算に関する情報を報知することは当然のことであり、全有価価値のすべてが出金されない以上、相違点5に係る補正発明の構成を採用することは設計事項というべきである。 7.補正発明の独立特許要件の判断 以上のとおり、相違点1?5に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 すなわち、補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 [補正の却下の決定のむすび] 補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反しており、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての判断 1.本願発明の認定 本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年5月20日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。 「遊技場にて使用される記録媒体に記録された識別情報に対応する有価価値を管理する管理装置と、前記記録媒体を受け入れて、該受け入れた記録媒体を前記管理装置が管理する有価価値に基づいて貨幣に精算する記録媒体精算装置とを有する記録媒体精算システムであって、 前記管理装置は、 入金日または入金方法を含む所定の入金条件ごとに区分した有価価値を前記識別情報ごとに記憶する管理テーブルと、 前記記録媒体精算装置から識別情報を受け付けた際に、各入金条件ごとの複数の有価価値からなる精算情報を前記管理テーブルに基づいて返送する返送手段とを備え、 前記記録媒体精算装置は、 記録媒体を受け入れた際に、該記録媒体に記録された識別情報を前記管理装置に送信して前記精算情報を要求する精算情報要求手段と、 前記精算情報要求手段による要求に応答して前記管理装置から返送される精算情報および所定の精算条件テーブルに記憶された精算条件に基づいて、当該精算情報に含まれる全有価価値に相当する金額から前記精算条件によって定まる所定の金額を差し引いた金額の貨幣を遊技者に精算する精算手段と、 前記精算手段による精算の内容として、少なくとも前記全有価価値に相当する金額、当該金額から差し引かれる金額および当該金額が差し引かれる理由を遊技者に報知する報知手段とを備えた ことを特徴とする記録媒体精算システム。」 2.本願発明の進歩性の判断 本願発明を限定的に減縮した補正発明が引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたことは第2で述べたとおりであり、そうである以上、本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたことは明らかであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり決定する。 |
審理終結日 | 2008-01-23 |
結審通知日 | 2008-01-29 |
審決日 | 2008-02-12 |
出願番号 | 特願2001-132405(P2001-132405) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 池谷 香次郎、鉄 豊郎 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
▲吉▼川 康史 太田 恒明 |
発明の名称 | 記録媒体精算システム |
代理人 | 中辻 史郎 |