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審決分類 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1175527
審判番号 不服2005-18837  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-29 
確定日 2008-04-03 
事件の表示 特願2001-365210「電子部品」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月13日出願公開、特開2003-168884〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判に係る出願は、平成13年11月29日に出願されたもので、平成17年6月17日付け拒絶理由通知書が送付され、同年8月24日付けで拒絶査定されたものである。
そして、本件審判は、この拒絶査定を不服として請求されたもので、平成17年12月9日付け手続補正によって補正された審判請求書が提出され、更に、願書に添付した明細書又は図面についての同年10月28日付け手続補正書が提出されている。

2.原査定
原査定の拒絶理由の1つは、以下のとおりのものと認める。

「この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である実願平3-82833号(実開平5-36895号)のCD-ROMに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」

実願平3-82833号(実開平5-36895号)のCD-ROMを、以下、「引用刊行物」という。

3.当審の判断

3-1.平成17年10月28日付け手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)について
本件補正は、以下に詳述するように、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3-1-1.本件補正の内容
本件補正は、以下の補正事項aを有するものと認める。

補正事項a;特許請求の範囲請求項1の記載につき、以下の(CL)を(cl)と補正する。
(CL);回路基板と、当該回路基板上に実装された半導体デバイスと、冷却風の入口および出口を備え前記回路基板を覆うダクトと、前記回路基板と前記ダクトとの間の空間に、前記冷却風を送給する手段とを有する電子部品であって、
前記回路基板と前記ダクトとの間で前記半導体デバイスよりダクト入口側の空間に、所定の形状のセルが、前記冷却風の風向と並行に設置され前記ダクトと接合された整流板によって形成されたことを特徴とする電子部品。
(cl);回路基板と、当該回路基板上に実装された半導体デバイスと、冷却風の入口および出口を備え前記回路基板を覆うダクトと、前記回路基板と前記ダクトとの間の空間に、前記冷却風を送給する手段とを有する電子部品であって、
前記回路基板と前記ダクトとの間で前記半導体デバイスよりダクト入口側の空間に、所定の形状のセルが、前記冷却風の風向と並行に設置され前記ダクトと接合された整流板によって形成され、さらに前記ダクトと前記整流板とを一体構造としたことを特徴とする電子部品。」と補正する。

ここ「3-1」では、本件補正前の請求項1を旧【請求項1】という。

3-1-2.本件補正の適否

1)補正事項aは、「第36条第5項に規定する請求項の削除」(以下、単に、「請求項の削除」という。)、「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」(以下、「限定的減縮」という。)、「誤記の訂正」又は「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」(以下、単に、「明りようでない記載の釈明」という。)のいずれかの事項を目的にしている、とする根拠は見当たらない。
これに対し、請求人は、審判請求書において、要するに、限定的減縮を目的にするものである、と主張しているが、以下に詳述する理由から、該主張に理由はない。

2)補正事項aは、旧【請求項1】に記載されていた「形成されたことを特徴とする電子部品」を「形成され、さらに前記ダクトと前記整流板とを一体構造としたことを特徴とする電子部品」とすることにより、ダクトと整流板とを一体構造としたとの事項を、発明を特定するために必要な事項、いわゆる、発明特定事項にしようとするものである。
一方、旧【請求項1】には、「ダクトと接合された整流板」との記載があり、整流板がダクトと接合されたとの事項を、発明特定事項としており、該事項は、この接合されたことにより、ダクトと整流板とが一体構造となっていることを実質的に意味しているから、旧【請求項1】においては、ダクトと整流板とを一体構造としたとの事項を、既に、発明特定事項としていたということができる。
してみると、補正事項aは、発明特定事項を限定したことにはなっておらず、限定的減縮を目的にしている、ということはできない。

3-1-3.まとめ
補正事項aは、請求項の削除、限定的減縮、誤記の訂正又は明りようでない記載の釈明のいずれかの事項を目的にしている、ということはできず、補正事項aを有する本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

3-2.原査定の拒絶理由について

3-2-1.本件の発明

1)本件補正は、先に「3-1」で述べたように却下すべきものであり、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、本件補正前の願書に添付した明細書の請求項1に記載の事項により特定されるものであって、同項の記載は、以下のとおりのものと認める。

「回路基板と、当該回路基板上に実装された半導体デバイスと、冷却風の入口および出口を備え前記回路基板を覆うダクトと、前記回路基板と前記ダクトとの間の空間に、前記冷却風を送給する手段とを有する電子部品であって、
前記回路基板と前記ダクトとの間で前記半導体デバイスよりダクト入口側の空間に、所定の形状のセルが、前記冷却風の風向と並行に設置され前記ダクトと接合された整流板によって形成されたことを特徴とする電子部品。」

3-2-2.刊行物の記載

1)引用刊行物には、以下の記載が認められる。

ア;「【請求項1】電子装置の筐体の一面側に吸込み用ファンモータを、他面側に吐出し用ファンモータを取付ける電子装置の強制空冷構造において、
前記吸込み用ファンモータの背面の近傍にハニカムプレートを配設することを特徴とする電子装置の強制空冷構造。」
イ;「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、ICテスタのテストヘッドなどのように、電子回路を搭載した多数のプリント基板が実装され、発熱量の多い電子装置の強制空冷構造に関する。」
ウ;「【0002】
【従来の技術】
ICテスタのテストヘッド1は、図2に示すように、前後方向の長さL=70?80cm、高さH=25?30cm、幅W=40?70cmの箱形の筐体2内に、ピンエレクトロニックスカードと呼ばれる30?40枚のプリント基板(50×(20?25)cm)3が幅W方向に並列に並べられ、前後方向に配設される。筐体2の前面板2aの近傍に吸込み用のファンモータ4a,4b,4c(4はこれらの総称)がそれぞれ取付けられる。また筐体の背面板2b側に吐き出し用のファンモータ5a,5b,5c(5はこれらの総称)が取付けられる。
【0003】
ファンモータ4,5の前後方向の厚さは6cm程度で、プリント基板3との間に5?6cmの間隔が設けられる。前面板2a及び背面板2bにはファンモータと対向してファンモータの外径とほぼ同じ大きさの通風孔8(8a,8b,8c)があけられている。図2のように吸込み用ファンと吐出用ファンを筐体の前後に設ける強制空冷方式をプッシュプル(Push-Pull)方式と呼んでいる。」
エ;「【0007】
【実施例】
この考案の実施例を図1に、図2と対応する部分に同じ符号を付して示し、重複説明を省略する。この考案では、吸込み用のファンモータ4の背面より6mm程度のところに、金属又は合成樹脂製の図1Cに示すように厚さ10mm程度のハニカムプレート7が配設される。またファンモータ4,5とプリント基板3との間隔が20?30mm程度に圧縮される。ハニカムプレート7には蜜蜂の巣によく似た6角形の多数のコア7aが隙間なく前後方向(板面の厚味方向)に形成されている。各コアの寸法は、例えば対向する2面の間隙が5mm程度、コアの長さが10mm程度とされる。
【0008】
ファンモータ4によって吹き出される渦巻き状の風はこのハニカムプレート7を通じて各プリント基板間に吹き出されるが、ハニカムコアによってコアの長手方向の風に整流されると共に、各コアを流れる風が比較的均一化される。」及び【図1】

2)引用刊行物には、記載ア及びイによれば、「電子回路を搭載した多数のプリント基板が実装された電子装置における、その筐体の一面側に吸込み用ファンモータを、他面側に吐出し用ファンモータを取付けた電子装置において、前記吸込み用ファンモータの背面の近傍にハニカムプレートを配設する、強制空冷構造を有する電子装置」についての発明が記載されているものと認められる。
そこで、上記発明について詳しく見ていくと、まず、上記発明における「プリント基板」は、回路基板といえるものであり、また、上記発明における「電子回路」として、半導体デバイスは、引用刊行物の記載から普通に理解されるものである。
次に、記載エには、記載ウを参照すると、上記発明における「筐体」として、通風孔8があけられた前面板2a及び背面板2bを構成要素とする箱形の筐体2が記載され、筐体2は、プリント基板3、ハニカムプレート7、ファンモータ4及びファンモータ5、すなわち、上記発明における「プリント基板」、「ハニカムプレート」、「吸込み用ファンモータ」及び「吐出し用ファンモータ」を収納し、これらを覆うように構成されていることが見て取れる。
また、記載エには、上記ファンモータ4について記載され、このファンモータ4は、これから吹き出される風がプリント基板3と筐体2との間の空間にも吹き出され、該空間に風を送給するように構成されているものと認められる。
更に、記載エには、上記ハニカムプレート7について記載され、記載エの【図1】を見ると、これは、セルから構成され、該セルは、プリント基板3と前面板2aとの間の空間にファンモータ4と共に形成され、板状物によって形成されていることが見て取れる。また、記載エには、ファンモータ4からの風が、ハニカムプレート7のコアの長手方向の風に整流されることが記載されていることなどから、上記板状物は、風の風向と並行に設置されているといえる。
してみると、引用刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「半導体デバイスを搭載した多数の回路基板が実装された電子装置における、その筐体の一面側に吸込み用ファンモータを、他面側に吐出し用ファンモータを取付けた電子装置であって、前記吸込み用ファンモータの背面の近傍にハニカムプレートを配設する、強制空冷構造を有する電子装置において、
上記筐体は、通風孔があけられた前面板及び背面板を構成要素とする箱形で、回路基板、ハニカムプレート、吸込み用ファンモータ及び吐出し用ファンモータを収納し、これらを覆うように構成されており、また、上記吸込み用ファンモータは、これから吹き出される風が回路基板と筐体との間の空間にも吹き出され、該空間に風を送給するように構成され、更に、上記ハニカムプレートは、セルから構成され、該セルは、回路基板と前面板との間の空間に、風の風向と並行に設置されている板状物によって形成された電子装置」についての発明

3-2-3.対比判断

1)引用発明は、電子装置に係るもので、電子部品に係るものともいえ、引用発明と本件発明とを対比すると、引用発明の「筐体」、「前面板にあけられた通風孔」、「背面板にあけられた通風孔」、「吸込み用ファンモータ」及び「板状物」は、本件発明の「ダクト」、「冷却風の入口」、「冷却風の出口」、「冷却風を送給する手段」及び「整流板」に対応し、そして、引用発明において、セルは、回路基板と通風孔があけられた前面板との間の空間、すなわち、回路基板と筐体との間で、しかも、半導体デバイスより筐体の入口側の空間に形成されているといえ、両者は、「回路基板と、当該回路基板上に実装された半導体デバイスと、冷却風の入口および出口を備え前記回路基板を覆うダクトと、前記回路基板と前記ダクトとの間の空間に、前記冷却風を送給する手段とを有する電子部品であって、前記回路基板と前記ダクトとの間で前記半導体デバイスよりダクト入口側の空間に、所定の形状のセルが、前記冷却風の風向と並行に設置された整流板によって形成された電子部品」である点で一致し、以下の相違点aで相違していると認められる。

相違点a;本件発明は、セルを形成する整流板がダクトと接合されている点。

2)そこで、相違点aについて検討すると、引用発明において、ハニカムプレートは、装置部材として、箱形の筐体内で、支持或いは固定等された状態にあることは明らかで、前記筐体は、該ハニカムプレートを含めた吸込み用ファンモータ等の装置部材を収納し、引用発明である電子装置の全体骨格を形作るものであるから、これに上記ハニカムプレートを支持或いは固定等させ、しかも、その手段として接合手段を採用することは容易に思いつくものである。そして、このことは、ハニカムプレートを構成している「セル」を形成する板状物を、筐体に接合することが容易に思いつくことに他ならない。

3)してみると、引用発明において、板状物が筐体と接合されているよう構成すること、すなわち、相違点aは、容易に為し得たものであって、本件発明は、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。

3-2-4.まとめ
本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできず、原査定の拒絶理由は、相当である。

4.結び
原査定は、妥当である。
したがって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-01 
結審通知日 2008-02-05 
審決日 2008-02-18 
出願番号 特願2001-365210(P2001-365210)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
P 1 8・ 56- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 近野 光知
井上 猛
発明の名称 電子部品  
代理人 机 昌彦  
代理人 谷澤 靖久  
代理人 下坂 直樹  
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