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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A45C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A45C
管理番号 1175541
審判番号 不服2005-25340  
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-28 
確定日 2008-04-03 
事件の表示 平成9年特許願第133280号「コンタクトレンズ収納容器」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月2日出願公開、特開平10-313928号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成9年5月23日の出願であって、平成17年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成18年1月23日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

第2 平成18年1月23日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年1月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「コンタクトレンズ及び該コンタクトレンズの保存液を収容する収納部を有すると共に、該収納部の開口部を閉止部材で閉塞するように構成されたコンタクトレンズ収納容器において、該収納部の底面にはコンタクトレンズの凹面部を受ける凸部が設けられると共に、該収納部の周壁は底面側から開口部の方向に向かって拡開するように傾斜しており、かつ、該周壁が、該凸部の基端部外周縁から立ち上がるように凹状に湾曲して形成されており、該開口部の大きさは少なくとも20mm四方ないし直径20mmであり、該収納部の深さは4?11mmで、該収納部の深さと該凸部の高さとの差が4mm以下であり、該収納部と該凸部は基板に一体成形されており、該開口部がシール材でシールされるものであることを特徴とするコンタクトレンズ収納容器。」(下線部は補正箇所を示す。)

2 補正の目的
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「収納部」に関し、「周壁が、該凸部の基端部外周縁から立ち上がるように凹状に湾曲して形成されており」、「収納部の深さは4?11mmで、(該)収納部の深さと(該)凸部の高さとの差が4mm以下であり」、さらに、「開口部がシール材でシールされるものである」ことの限定を付加するものであり、かつ、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、実願昭51-106286号(実開昭53-24639号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「本考案は浸漬液(1)を収納した台箱(2)に、底部(3)に孔(4
)のあるコンタクトレンズ収納箱(5)を収め、外部に密閉蓋(6)を施
こした(実際にはねじ込む)コンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記
レンズ収納箱(5)の底部に上方へ膨出する凸レンズ状のコンタクトレン
ズ受部(7)を突設したものである。」(第1ページ第12?17行)
イ コンタクトレンズ保存ケースの縦断正面図である第1図には、台箱(2
)にコンタクトレンズを受けるコンタクトレンズ収納箱(5)と浸漬液(
1)とが収納され、台箱(2)の上方に位置する開口部が密閉蓋(6)に
よって閉塞されている様子、コンタクトレンズ収納箱(5)にコンタクト
レンズ受部(7)が形成され、コンタクトレンズ受部(7)はコンタクト
レンズの凹面部を受けている様子が図示されている。

これら記載事項「ア」及び図示内容「イ」を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「台箱(2)に、コンタクトレンズを受けるコンタクトレンズ収納箱(5)と、浸漬液(1)とを収納し、外部に密閉蓋(6)を施したコンタクトレンズ保存ケースにおいて、前記レンズ収納箱(5)の底部にコンタクトレンズの凹面部を受けるコンタクトレンズ受部(7)を突設したコンタクトレンズ保存ケース。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「コンタクトレンズ」は、その構造または機能からみて、本願補正発明の「コンタクトレンズ」に相当し、同様に、引用発明の「浸漬液(1)」は本願補正発明の「コンタクトレンズの保存液」に、引用発明の「密閉蓋(6)」は本願補正発明の「閉止部材」に、引用発明の「コンタクトレンズ受部(7)」は本願補正発明の「凸部」に、引用発明の「台箱(2)」は本願補正発明の「基板」に、そして、引用発明の「コンタクトレンズ保存ケース」は本願補正発明の「コンタクトレンズ収納容器」にそれぞれ相当し、引用発明の「突設し」は本願補正発明の「設けられ」と同義である。
そして、引用発明における「台箱(2)」は、「コンタクトレンズを受けるコンタクトレンズ収納箱(5)と浸漬液(1)とを収納する」ものであるから、コンタクトレンズ及び浸漬液(1)を収容するものといえ、この、コンタクトレンズ及び浸漬液(1)を収容している部分を、便宜上、「収納部」と呼び、上記図示内容「イ」と合わせてみると、引用発明は、「コンタクトレンズ(コンタクトレンズ)及び浸漬液(1)(コンタクトレンズの保存液)を収容する収納部を有すると共に、該収納部の開口部を密閉蓋(6)(閉止部材)で閉塞するように構成された」ものということができる。

そうすると、本願補正発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「コンタクトレンズ及び該コンタクトレンズの保存液を収容する収納部を有すると共に、該収納部の開口部を閉止部材で閉塞するように構成されたコンタクトレンズ収納容器において、コンタクトレンズの凹面部を受ける凸部が設けられたコンタクトレンズ収納容器。」
(相違点1)
本願補正発明においては、コンタクトレンズの凹面部を受ける凸部が「収納部の底面に」設けられ、「該収納部の周壁は底面側から開口部の方向に向かって拡開するように傾斜しており、かつ、該周壁が、該凸部の基端部外周縁から立ち上がるように凹状に湾曲して形成されており、」「該収納部と該凸部は基板に一体成形されており、該開口部がシール材でシールされるものである」のに対し、引用発明では係る構成を備えていない点。
(相違点2)
本願補正発明においては、「該開口部の大きさは少なくとも20mm四方ないし直径20mmであり、該収納部の深さは4?11mmで、該収納部の深さと該凸部の高さとの差が4mm以下であ」るのに対し、引用発明においては、「開口部の大きさ」、「収納部の深さ」及び「収納部の深さと凸部の高さとの差」の具体的数値範囲が不明である点。

(3)相違点の判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
コンタクトレンズ及び該コンタクトレンズの保存液を収容する収納部を有すると共に、該収納部の開口部を閉止部材で閉塞するように構成されたコンタクトレンズ収納容器において、コンタクトレンズを受ける部分を該収納部の底面に設け、該収納部の周壁を底面側から開口部の方向に向かって拡開するように傾斜させ、かつ、該周壁が、凹状に湾曲して形成され、該収納部とコンタクトレンズを受ける部分とを基板に一体成形されており、該開口部がシール材でシールされる形態のものは、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-296514号公報、特開平7-322911号公報等にみられるように周知のものにすぎない。
そうすると、引用発明においても、このような周知の形態を適用して、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点2について)
コンタクトレンズ収納容器において、「開口部の大きさ」、「収納部の深さ」及び「収納部の深さと凸部の高さとの差」を具体的にどれほどにするかは、収容されるコンタクトレンズの寸法と形状、コンタクトレンズの収容時或いは取り出す時の操作性等の必要に応じて適宜設定され得る設計的事項である。
そして、コンタクトレンズは一般的に9?14mm程度の直径であることからみて、本願補正発明において特定された数値範囲が格別なものとは認められないし、また、特定された数値範囲に臨界的意義が存在するものとも認められない。
そうすると、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者であれば容易になし得たことといえる。

そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という。)は、平成17年3月28日付けの手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「コンタクトレンズ及び該コンタクトレンズの保存液を収容する収納部を有すると共に、該収納部の開口部を閉止部材で閉塞するように構成されたコンタクトレンズ収納容器において、該収納部の底面にはコンタクトレンズの凹面部を受ける凸部が設けられると共に、該収納部の周壁は底面側から開口部の方向に向かって拡開するように傾斜しており、該開口部の大きさは少なくとも20mm四方ないし直径20mmであり、該収納部と該凸部は基板に一体成形されていることを特徴とするコンタクトレンズ収納容器。」

第4 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2 1」の本願補正発明から、「収納部」に関する限定事項である、「周壁が、該凸部の基端部外周縁から立ち上がるように凹状に湾曲して形成されており」、「収納部の深さは4?11mmで、(該)収納部の深さと(該)凸部の高さとの差が4mm以下であり」、さらに、「開口部がシール材でシールされるものである」との事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-29 
結審通知日 2008-02-05 
審決日 2008-02-19 
出願番号 特願平9-133280
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A45C)
P 1 8・ 572- Z (A45C)
P 1 8・ 121- Z (A45C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 鏡 宣宏
中田 誠二郎
発明の名称 コンタクトレンズ収納容器  
代理人 大谷 保  
代理人 大谷 保  

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