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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1176197
審判番号 不服2005-10736  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-09 
確定日 2008-04-10 
事件の表示 特願2002-185047「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月29日出願公開、特開2004- 24528〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成14年6月25日の出願であって、平成17年4月27日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年6月9日付けで本件審判請求がされるとともに、同年7月8日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年7月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項及び補正目的
本件補正は、特許請求の範囲を補正することを含んでおり、具体的には補正前請求項1記載の「湾曲形成した反射カバー」及び「前記変動表示手段の図柄を直接照射」を「断面視略U字状に湾曲形成した反射カバー」及び「前記冷陰極管の光は前記変動表示手段の図柄を直接照射」と補正するものである(下線部が補正により追加された記載である。)。
前者の補正事項は、特許請求の範囲の減縮(平成18年改正前特許法17条の2第4項2号該当)を目的とするから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)については独立特許要件の判断を行う。
後者については、補正前においても「湾曲形成した反射カバーに内包された冷陰極管を備え」ること及び「前記反射カバーにより、前記変動表示手段の図柄を直接照射する」ことが特定されているから、特許請求の範囲の減縮に該当するとはいえず、厳密にいうと特許法17条の2第4項の規定に違反するというべきであるが、そのことだけを理由として前者の補正目的を無にすることは適切ではないので、ここでは不問に付す。

2.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段と、前記内部当選役決定手段の決定結果と前記操作手段の操作とに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、前記停止制御手段によって停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段と、前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る液晶パネルからなる前側表示手段と、を具備する遊技機において、
前記前側表示手段と変動表示手段との間に前記液晶パネルのバックライトを設け、同バックライトは、断面視略U字状に湾曲形成した反射カバーに内包された冷陰極管を備え、前記反射カバーにより、前記冷陰極管の光は前記変動表示手段の図柄を直接照射するとともに、前記液晶パネルに積層してバックライトの一部を構成した導光板の端部から全体に光を透過させるようにしたことを特徴とする遊技機。」

3.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-124290号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?クの記載が図示とともにある。
ア.「複数の回転リールを横方向に並列し、各回転リールの外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、各回転リールの外周の表面の一部をフロントパネルに開設した表示窓に臨ませるとともに、各回転リールを回転させてシンボルマークを移動表示するスロットマシンにおいて、
上記フロントパネルには、前記表示窓の位置に少なくとも液晶表示装置を配置し、ゲームの開始前には液晶を遮光状態とするとともに、その遮光面にインフォメーションを液晶表示し、ゲーム中は液晶を透光状態としたことを特徴するスロットマシン。」(【請求項1】)
イ.「センターパネル21のほぼ中央には、図2に示すように、3個の表示窓22?24を横並びに形成している。各表示窓22?24の内部には、各回転リール30?32の表面をそれぞれ臨ませている。そして、各表示窓22?24には、回転リール30?32を回転させることにより、上下方向に3個のシンボルマークを所定間隔で高速で移動表示させることができる。」(段落【0016】)
ウ.「前記センターパネル21の裏側には、図1に示すように、液晶表示装置を構成する液晶パネル40が、センターパネル21の裏面のほぼ全体にわたって配置されている。」(段落【0018】)
エ.「液晶パネル40の制御は、スロットマシン10内に設けたマイクロコンピュータ等からなる電気的制御装置(図示せず)により行われている。前記液晶パネル40の裏側には、図1に示すように、液晶パネル40をその裏側から照明するためのバックライトユニット50が配置されている。」(段落【0019】)
オ.「上記バックライトユニット50は、図1に示すように、各表示窓22?24の位置を除き、液晶パネル40の裏面のほぼ全体にわたって配置された面発光板51と、この乱反射板51の端面に配置された蛍光灯52とから構成されている。なお、面発光板51を、各表示窓22?24の位置を除いて配置したことから、液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができる。」(段落【0020】)
カ.「スロットマシン10の前面の図2に示すスタートスイッチ12が操作されると、3個の回転リール30?32がほぼ同時に回転を開始する。そして、全回転リール30?32が回転を開始すると、図7に示すように、各表示窓22?24の下側に、「STOP」の文字が付された計3個のストップ表示部80?82が液晶表示される。3個のストップ表示部80?82は、スロットマシン10の前面の図2に示す3個のストップスイッチ13?15にそれぞれ対応し、各ストップスイッチ13?15の操作が可能であることを示す。」(段落【0027】)
キ.「3個のストップスイッチ13?15を全て操作し、全ての回転リール30?32を停止させる。その結果、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが形成されると、特別の賞態様、例えば、図7に示す右下がりの斜めライン63上に「7」の文字から成る図柄が3個揃うと、いわゆる「ビッグボーナス」の役が成立し、15枚のメダルが遊技者に払い出される。」(段落【0028】)
ク.「「ビッグボーナス」が成立すると、図8に示すように、上下に長く透光状態となっていた各表示窓22?24が、右下がりの斜めライン63上に揃った「7」の図柄を残して遮光状態となり、「ビッグボーナス」の当たり図柄を遊技者から見易いように強調する。さらに、各表示窓22?24の図7において向かって右側に表示されていた5個のメダル投入表示部70?74が、消灯し、その箇所に、図8に示すように、「ビッグボーナス」の文字が表示され、「ビッグボーナス」が成立したことを遊技者にわかり易く表示する。・・・その後、センターパネル21の液晶画面上において、図9に示すように、別遊技、例えばいわゆる「ビッグボーナスゲーム」が開始される。」(段落【0029】?【0030】))

5.引用例1記載の発明の認定
引用例1の記載イ?オ及び【図1】?【図3】によれば、各表示窓22?24の位置に対応する液晶パネル部分にはバックライトユニットが設けられておらず、バックライトユニットと液晶パネルは略同サイズと認めることができ、表現を変えれば、液晶パネルと略同サイズのバックライトユニットに各表示窓22?24該当の開口部があるということができる。
遊技者側からみると、液晶パネル、バックライトユニット(表示窓22?24該当の開口部あり)及び3個の回転リールが並んでいる。
したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「遊技者側からみて、液晶パネル、バックライトユニット及び3個の回転リールが並んで配置されたスロットマシンであって、
各回転リールは、外周の表面に複数の図柄を所定間隔で表示したものであり、
バックライトユニットは、3個の開口部が設けられた面発光板とその端面に配置された蛍光灯からなり、
液晶パネルが透光状態であれば、各開口部を通して背後の回転リールを各リールごとに3図柄を視認できるように構成され、
3個のストップスイッチが操作され、全ての回転リールが停止し、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせとして特別の賞態様が成立すると、15枚のメダルを払い出すとともに、特別の賞態様に対応した遊技を開始するスロットマシン。」(以下「引用発明1」という。)

6.補正発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1において、回転リールが回転すれば複数の図柄が変動して表示される(記載イ参照)から、引用発明1の「3個の回転リール」及び「3個のストップスイッチ」は、補正発明の「複数の図柄を変動表示する変動表示手段」及び「前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段」にそれぞれ相当する。
引用発明1では「全ての回転リールが停止し、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせとして特別の賞態様が成立する」のであるが、「特別の賞態様」という以上それ以外の賞態様も存在し、「特別の賞態様」同様に「メダル」(補正発明の「遊技媒体」に相当)を払い出すものと認めることができる。それゆえ、引用発明1は「変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段」を具備する。
引用発明1では「液晶パネルが透光状態であれば、各開口部を通して背後の回転リールを各リールごとに3図柄を視認できる」のだから、引用発明1の「液晶パネル」は「前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る」ものであり、補正発明の「液晶パネル」及び「前側表示手段」の双方に相当する。
引用発明1の「面発光板」が導光機能を有すること及び「液晶パネルに積層」されていることは明らかであるから、引用発明1の「バックライトユニット」及び「面発光板」は、補正発明の「液晶パネル」及び「液晶パネルに積層してバックライトの一部を構成した導光板」にそれぞれ相当し、引用発明1の「蛍光灯」と補正発明の「冷陰極管」は、「導光板の端部から全体に光を透過させる」光源の限度で一致する。
引用発明1の「スロットマシン」が補正発明の「遊技機」に含まれることはいうまでもない。
したがって、補正発明と引用発明1は、
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段と、停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段と、前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る液晶パネルからなる前側表示手段と、を具備する遊技機において、
前記前側表示手段と変動表示手段との間に前記液晶パネルのバックライトを設け、同バックライトは、光源を備え、前記液晶パネルに積層してバックライトの一部を構成した導光板の端部から全体に光を透過させるようにした遊技機。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉補正発明が「内部当選役を決定する内部当選役決定手段」及び「内部当選役決定手段の決定結果と前記操作手段の操作とに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段」を具備するのに対し、引用発明1がこれら手段を具備するかどうか明らかでない点。
〈相違点2〉補正発明の光源が「冷陰極管」であるのに対し、引用発明1のそれは「蛍光灯」であるものの「冷陰極管」かどうか明らかでない点。
〈相違点3〉補正発明の「バックライト」が、光源を内包する「断面視略U字状に湾曲形成した反射カバー」を備え、「前記反射カバーにより、光源の光は前記変動表示手段の図柄を直接照射する」構成としているのに対し、引用発明1はかかる構成を採用していない点。

7.相違点の判断及び補正発明の独立特許要件の判断
(1)相違点1について
引用発明1はスロットマシンであるが、本願出願当時のスロットマシンの大多数は、相違点1に係る補正発明の構成を採用したものであり、引用発明1において同構成を採用できない理由はない。
したがって、相違点1に係る補正発明の構成を採用することは設計事項というべきである。

(2)相違点2について
導光板を有する面状発光装置(液晶パネルのバックライトもそれに含まれる。)において、導光板の端部から全体に光を透過させる光源として「冷陰極管」を用いることは周知である(後記引用例2記載の「冷陰極ランプ」は「冷陰極管」と同義である。)から、同周知技術を採用して相違点2に係る補正発明の構成を採用することも設計事項というべきである。

(3)相違点3について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-11725号公報(以下「引用例2」という。)には、「導光板41と42は反射シート43を挟んで、各反射面41d,42dが対向するように接合配置されている。」(段落【0018】)、「各導光板41,42それぞれの一方の光入射面41c,42cに沿って、光源としての冷陰極ランプ44が配置されている。」(段落【0019】)、「この冷陰極ランプ44は、導光板41,42の光入射面41c,42c側を除き、ランプリフレクタ46で覆われている。また、ランプリフレクタ46の両端は、各導光板41,42の光入射面41c,42cの光放射面41e,42e側の周縁に接着されている。このランプリフレクタ46は、冷陰極ランプ44から放射された光のうち、導光板41,42の光入射面41c,42cに直接入射しなかった光を、光入射面41c,42cに反射するものである。」(段落【0020】)、「図7を用いて面状発光装置40の動作を説明する。冷陰極ランプ44から放射された光は、一部が各導光板41,42の光入射面41c,42cに直接入射され、残りはランプリフレクタ46により乱反射されて各導光板41,42の光入射面41c,42cに入射される。」(段落【0023】)、「導光板41の光入射面41cから導入された光は、導光板41の内部を透過して、直接又は反射シート43により乱反射され、光放射面41eから放出される。・・・導光板41の光放射面41eから拡散シート48に導入された光は、・・・面方向に均一な光となって、中央パネル31のリール表示窓31a及び表示部31bを除く印刷面31cを照らす。」(段落【0024】)及び「導光板42の光入射面42cから導入された光は、導光板42の内部を透過して、直接又は反射シート43により乱反射され、光放射面42eから放出される。導光板42の光放射面42eから放出された光は、リール34の周面を照らす。」(段落【0025】)との各記載があり、これら記載と【図7】によれば、2つの導光板のうち、導光板41は冷陰極ランプ44、ランプリフレクタ46等と相俟って中央パネル31に対するバックライトとして機能しており、同じく導光板42は冷陰極ランプ44、ランプリフレクタ46等と相俟ってリール34周面に対する照明として機能している。そして、引用例2記載の「ランプリフレクタ」は「反射カバー」と表現することができ、【図7】のとおり「断面視略U字状に湾曲形成した」ものである。すなわち、相違点3のうち、バックライトが光源を内包する「断面視略U字状に湾曲形成した反射カバー」を備える点、及びその光源の光により変動表示手段(リール)の図柄を照射する点では、補正発明と一致している。
同じく引用された特開2001-252394号公報(以下「引用例3」という。)の【図11】には、光源として符番9(明細書中では「照明9」と表現されている。)で示されるものが図示されており、この光源は「変動表示手段の図柄を直接照射する」ものであり、導光板こそ有さないものの、パネル及び変動表示手段(回転リール)に対する位置関係としては、補正発明及び引用発明1の光源並びに引用例2記載の冷陰極ランプと略同一である。
このように、引用例2及び引用例3には、略同位置に配置された光源を用いて、リールを照明する技術が記載されているところ、いかにして照明するかの具体的手段は異なる。どちらの手段が、リール照明に適しているかは一概にはいえないものの、引用例3の手段では「乱反射され、光放射面42eから放出される」(段落【0025】)のであるから、放出方向はさまざまであり、リール周面のうち観察すべき図柄該当部分に到達しない光が相当程度存すると解され、光の有効利用という観点から不都合である。
そうであれば、パネル(引用例2では「中央パネル31」、引用例3では【図11】の「透過型液晶表示器24」)及びリールに対する光源を提供するに当たり、引用例2記載の技術を基本としつつ、リールに対する照明につき導光板42の光放射面42eから放出するのではなく、引用例3記載の技術のように変動表示手段(リール)の図柄を直接照射する構成に変更する(導光板42は省略する。)ことは当業者にとって容易といわざるを得ない。この変更に当たり、引用例2記載のランプリフレクタ形状につき、リールの図柄を直接照射できるように若干変更することは当然であり、そのような変更をしても「断面視略U字状に湾曲形成した」ことに変わりはない。
ところで、引用例1には格別記載がないものの、液晶パネルを通して回転リールの図柄を視認するに当たり、図柄を照射する光源が皆無であれば、図柄を良好に視認できないことは明らかといえるから、そのための光源として、引用例2又は引用例3記載の技術を採用することや、これら技術に基づいて当業者が容易に想到できる技術(具体的には、上記説示のとおり、引用例2記載の技術を基本としつつ、導光板42を省略し、リールの図柄を直接照射する構成)を採用することは設計事項である。
請求人は、引用例2につき、「引用文献3(審決注;審決の引用例2)は、・・・前側表示手段に相当する構成は全く記載されておらず、基本構成が全く異なっている。」(審判請求書を対象として平成17年7月8日付けで提出された手続補正書3頁39?42行)及び「液晶パネルなどからなる前側表示手段を配設するという技術思想がないために、この前側表示手段による演出表示などに必要な輝度とリール34の図柄の表示に必要な輝度とのバランスや、冷陰極ランプからの光量を経時的に安定させるという技術思想は全く欠落している。」(同書4頁14?17行)と主張するが、中央パネル31は液晶パネルではないけれども、「印刷面31cを照らす。」(段落【0024】)のだから「前側表示手段」であることには変わりがないだけでなく、液晶パネルとの相違は表示内容が固定か可変といった程度の相違しかないところ、パネルに対するバックライト及びパネル背後のリール(変動表示手段)に対する照明としては、表示内容が固定であるか可変であるかは直接関係がない。したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
以上のとおりであるから、相違点3に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(4)補正発明の独立特許要件の判断
相違点1?3に係る補正発明の構成を採用することは設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、補正発明は引用発明1、引用例2,3記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は平成18年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反しており、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年1月24日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「複数の図柄を変動表示する変動表示手段と、内部当選役を決定する内部当選役決定手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるための複数の操作手段と、前記内部当選役決定手段の決定結果と前記操作手段の操作とに基づいて前記変動表示手段の変動表示動作を停止制御する停止制御手段と、前記停止制御手段によって停止された変動表示手段の停止態様が、所定の停止態様であった場合に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出手段と、前記変動表示手段の前方に設けて変動表示手段の図柄を透視し得る液晶パネルからなる前側表示手段と、を具備する遊技機において、
前記前側表示手段と変動表示手段との間に前記液晶パネルのバックライトを設け、同バックライトは、湾曲形成した反射カバーに内包された冷陰極管を備え、前記反射カバーにより、前記変動表示手段の図柄を直接照射するとともに、前記液晶パネルに積層してバックライトの一部を構成した導光板の端部から全体に光を透過させるようにしたことを特徴とする遊技機。」

2.本願発明の進歩性の判断
「第2[理由]6」で述べたことを踏まえると、本願発明と引用発明1は、「第2[理由]6」で述べた一致点において一致し、相違点1,2及び次の相違点3’で相違する(一致点及び相違点1,2については「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)。
〈相違点3’〉本願発明の「バックライト」が、光源を内包する「湾曲形成した反射カバー」を備え、「前記反射カバーにより、前記変動表示手段の図柄を直接照射する」構成としているのに対し、引用発明1はかかる構成を採用していない点。
そこで検討するに、相違点1,2に係る本願発明の構成は補正発明の構成そのものであるから、「第2[理由]7」で述べた理由により設計事項である。
相違点3’については、補正発明の構成は必ず本願発明の構成でもあるから、相違点3に係る補正発明の構成を採用することが容易である以上、相違点3’に係る補正発明の構成を採用することも当業者にとって想到容易である。
また、これら相違点に係る本願発明の構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、引用例2,3記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-06 
結審通知日 2008-02-12 
審決日 2008-02-27 
出願番号 特願2002-185047(P2002-185047)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎鉄 豊郎  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 中槙 利明
小林 俊久
発明の名称 遊技機  
代理人 松尾 憲一郎  

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