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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1176301
審判番号 不服2006-7005  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-13 
確定日 2008-04-07 
事件の表示 特願2004- 10048「電子部品自動装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月 8日出願公開、特開2004-112003〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年1月13日に出願した特願平7-4154号の一部を平成16年1月19日に新たな特許出願としたものであって、平成17年12月5日付けで拒絶理由通知がなされ、これに応答して平成18年2月13日付けで手続補正がなされたが、同年3月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月13日に審判が請求されたものである。

2.本願発明
本願発明は、平成18年2月13日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明1」という。)。

「ヘッド昇降テーブルに装着ヘッドを設け、この装着ヘッドにより電子部品供給装置からチップ状電子部品を吸着し、プリント基板上に装着するようにした電子部品自動装着装置において、前記ヘッド昇降テーブルに、ケーブルを備えた真空バルブと、該真空バルブに連通する真空引き通路及びエアーブロー通路を有するマニホールドブロックとを一体に設け、前記真空バルブは、前記装着ヘッドに連通するヘッド側通路と、前記真空引き通路、又は前記エアーブロー通路のいずれか一方の通路との連通を切り替えることを特徴とする電子部品自動装着装置。」

3.原査定の理由の概要
原審の拒絶査定の理由の概要は、次のとおりのものである。
本願の請求項1?2に係る発明は、その出願前頒布された下記刊行物1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開平6-204687号公報
刊行物2:実願昭62-83043号(実開昭63-196313号)のマイクロフィルム
刊行物3:特開昭62-166281号公報

4.引用刊行物とその記載事項
原審の拒絶査定に引用された刊行物1には、次の事項が記載されている。

(1a)「複数の部品を収容し、所定の部品取出位置に順次部品を送出する複数の部品供給ユニットを移動テーブル上にその移動方向に並列して配置した部品供給部と、部品を実装する実装部材の位置決め手段と、部品供給部の所定位置で部品を保持し、保持した部品を実装部材上に実装する実装手段とを備えた部品実装装置において、実装手段が、上下方向に移動可能な可動部と、鉛直軸心回りに回転可能な回転部を有し、これら可動部及び回転部にその動作中にエアの受け渡しを行うエア通路を設けたことを特徴とする電子部品実装装置。」(特許請求の範囲の請求項1)

(1b)「本発明は、部品供給部から供給された電子部品を回路基板等の実装部材に実装するために利用される電子部品実装装置に関するものである。」(段落【0001】)

(1c)「実装ヘッド5は上下移動可能に構成され、部品供給位置で下降して吸着ノズル6にて部品3を吸着した後上昇し、部品吸着位置認識部7で部品3の吸着位置の位置ずれ量を認識し、ノズル回転部で図示しない回転手段に接合して部品3が所定の実装角度になるように位置ずれを考慮しながら吸着ノズル6を回転し、部品実装位置で下降して部品3の吸着を解除し、部品3を回路基板8に実装した後上昇し、図示しないノズル回転戻し部で吸着ノズル6を元の原点角度に戻し、その後吸着ノズル6の吸着穴がゴミ等による穴詰まりを起こしそうになった時、図示しないノズルクリーナ部で吸着ノズル6に正圧を送り込み、吸着穴のゴミ等を吹き飛ばし、図示しない集塵部でゴミ等を収集するように構成されている。」(段落【0015】)

(1d)「図1において、12は実装ヘッド5のハウジングで、吸着ノズル6を下端に固定したロッド13を回転可能に保持している。15はハウジング13の一側面にピン14回りに揺動可能に装着された切換レバーで、図示しないスプリングピンで揺動のストロークが決められている。16はリニアガイドで、ハウジング12はこのリニアガイド16の可動部16aに固定され、上下方向に移動可能に支持されている。17はエア伝達プレートで、リニアガイド16とハウジング12の間のエアの伝達を行っている。
18は回転テーブルで、一定軸心回りに間歇回転可能なインデックスドライブ(図示せず)に取付けられている。19は円筒カムで、周方向に溝カムが構成され、リニアガイド16の可動部16aに取付けられたカムフォロア20がこの溝カムに係合されており、回転テーブル18の回転に伴って上下方向に所定の動きをするように構成されている。」(段落【0018】、【0019】)

(1e)「次に、エア経路について説明する。まず、真空吸着側経路について説明すると、図示しない真空ポンプが図示しないインデックスドライブの出力円筒軸の内部を介して回転テーブル18の軸心部の真空穴21に連通されている。回転テーブル18には各実装ヘッド5に対応して真空穴21から放射状にエア通路22が形成されており、リニアガイド16に設けられたエア通路23に接続されている。
エア伝達プレート17には、図2に示すような上下方向に長い溝状のエア通路24が形成され、ハウジング12が上下方向にストロークSだけ移動しても、ハウジング12に形成されたエア通路25に連通するように構成されている。エア通路25は、ロッド13の外周に環状に形成されたエア通路26を介してハウジング12の切換レバー15に対向する負圧穴27に連通されている。」(段落【0020】、【0021】)

(1f)「切換レバー15は、図3に示すように、V字状のエア溝28が形成されている。このエア溝28は、その屈曲部がロッド13の外周に環状に形成されたエア通路29に常時連通し、かつ切換レバー15の位置切換によってその一端部が負圧穴27に連通した状態とその他端部がハウジング12に設けられた正圧穴32に選択的に連通するように構成されている。エア通路29はロッド13の径方向のエア通路30を介してロッド13の軸心を通るエア通路31を通して吸着ノズル6に連通されている。」(段落【0022】)

(1g)「次に、正圧ブロー側経路について説明すると、回転テーブル18の下側から、正圧ブローを行うステーション(例えば実装ブローやノズルクリーナー用ブロー等)位置に空圧源に接続されたパイプ33が配置され、このパイプ33は回転テーブル18に各実装ヘッド5に対応して放射状に形成されたエア通路34に連通可能であり、エア通路34はリニアガイド16のエア通路35、エア伝達プレート17の長溝状のエア通路36、ハウジング12のエア通路37を介して、ロッド13に正圧穴32に連通するように形成された環状のエア通路38に連通されている。
以上の構成によると、切換レバー15を図3(b)に矢印で示すように時計方向に回転させると、V字状のエア溝28の一端部が負圧穴27に連通する。すると、吸着ノズル6はロッド13の軸心のエア通路31、径方向のエア通路30、環状のエア通路29を介して切換レバー15のV字状のエア溝28の屈曲部に連通しており、負圧穴27は環状のエア通路26、ハウジング12のエア通路25、エア伝達プレート17のエア通路24、リニアガイド16のエア通路23、回転テーブル18のエア通路22を介して真空穴21に連通しているため、吸着ノズル6の先端が真空圧となり、部品3を吸着保持することができる。
また、正圧ブローを行うステーションにおいて、切換レバー15を図3(c)に矢印で示すように反時計方向に回転させると、V字状のエア通路28の他端部が正圧穴32に連通する。すると、吸着ノズル6は上記の通りV字状のエア通路28の屈曲部に連通しており、正圧穴32はロッド13の環状のエア通路38、ハウジング12のエア通路37、エア伝達プレート17のエア通路36、リニアガイド16のエア通路35、回転テーブル18のエア通路34を介して空圧源に接続されたパイプ33に連通しているため、吸着ノズル6の先端が正圧となり、部品3を実装したり、吸着ノズル6の穴詰まりを吹き飛ばしたりすることができる。」(段落【0023】?【0025】)

5.当審の判断
(1)引用発明
(1a)の「複数の部品を収容し、所定の部品取出位置に順次部品を送出する複数の部品供給ユニットを移動テーブル上にその移動方向に並列して配置した部品供給部と、部品を実装する実装部材の位置決め手段と、部品供給部の所定位置で部品を保持し、保持した部品を実装部材上に実装する実装手段とを備えた部品実装装置において、実装手段が、上下方向に移動可能な可動部と、鉛直軸心回りに回転可能な回転部を有し、これら可動部及び回転部にその動作中にエアの受け渡しを行うエア通路を設けたことを特徴とする電子部品実装装置。」という記載によると、刊行物1には、『複数の部品を収容する部品供給部と、部品供給部の所定位置で部品を保持し実装部材上に実装する実装手段とを備えた部品実装装置において、実装手段が、上下方向に移動可能な可動部を有し、可動部にその動作中にエアの受け渡しを行うエア通路を設けた電子部品実装装置。』が記載されているといえる。
ここで、(1b)の「本発明は、部品供給部から供給された電子部品を回路基板等の実装部材に実装するために利用される電子部品実装装置に関する」という記載によると、上記「部品」及び「実装部材」は、それぞれ「電子部品」及び「回路基板」のことであり、(1c)の「実装ヘッド5は上下移動可能に構成され、部品供給位置で下降して吸着ノズル6にて部品3を吸着した後上昇し、・・・部品実装位置で下降して部品3の吸着を解除し、部品3を回路基板8に実装し」という記載によると、上記「実装手段」及び「保持」は、それぞれ「実装ヘッド」及び「吸着」のことであることは明らかである。
そして、上記「実装ヘッド」に関して、(1d)の「12は実装ヘッド5のハウジングで、吸着ノズル6を下端に固定したロッド13を回転可能に保持している。15はハウジング13の一側面にピン14回りに揺動可能に装着された切換レバーで、図示しないスプリングピンで揺動のストロークが決められている。16はリニアガイドで、ハウジング12はこのリニアガイド16の可動部16aに固定され、上下方向に移動可能に支持されている。」という記載によると、上記「実装ヘッド」は、『回転可能なロッドと、これを保持する上下方向に移動可能なハウジングを有し、このハウジングの一側面に切換レバーが装着されている』といえる。
また、上記「ハウジング」に関して、(1e)の「真空吸着側経路について説明すると・・・エア通路24が形成され、・・・ハウジング12に形成されたエア通路25に連通するように構成されている。エア通路25は、ロッド13の外周に環状に形成されたエア通路26を介してハウジング12の切換レバー15に対向する負圧穴27に連通されている。」という記載によると、上記「ハウジング」は、『真空吸着のための、負圧穴に連通するエア通路25を有する』といえるし、(1g)の「正圧ブロー側経路について説明すると、・・・空圧源に接続されたパイプ33が配置され、このパイプ33は回転テーブル18に各実装ヘッド5に対応して放射状に形成されたエア通路34に連通可能であり、エア通路34は・・・ハウジング12のエア通路37を介して、ロッド13に正圧穴32に連通する」という記載によると、上記「ハウジング」は、『正圧ブローのための、正圧穴に連通するエア通路37を有する』といえる。
そして、上記「切換レバー」に関して、(1f)の「切換レバー15は、・・・V字状のエア溝28が形成されている。このエア溝28は、その屈曲部がロッド13の外周に環状に形成されたエア通路29に常時連通し、切換レバー15の位置切換によってその一端部が負圧穴27に連通した状態とその他端部がハウジング12に設けられた正圧穴32に選択的に連通するように構成されている。」という記載によると、上記切換レバーは、エア溝によって、上記ロッドのエア通路29と常時連通し、位置切換によって上記負圧穴、又は正圧穴との連通を切り替えるものであるといえ、上記ハウジングの一側面に装着された切換レバーと、ハウジングに保持され、実装ヘッドの一部であるロッドのエア通路29とが常時連通しているのであるから、上記切換レバーは、上記実装ヘッドに連通する通路と常時連通していることは明らかである。すると、(1f)には、上記「切換レバー」は、『位置切換によって、上記実装ヘッドに連通する通路と、上記負圧穴、又は正圧穴との連通を切り替える』ことが記載されているといえる。

上記記載及び認定事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次のとおりの発明が記載されているといえる。

「上下方向に移動可能なハウジングを有する実装ヘッドを設け、この実装ヘッドにより複数の電子部品を収容する部品供給部から電子部品を吸着し、回路基板上に実装するようにした電子部品実装装置において、真空吸着のための、負圧穴に連通するエア通路25と、正圧ブローのための、正圧穴に連通するエア通路37を有する前記ハウジングの一側面に、切換レバーを設け、前記切換レバーは、位置切換によって、上記実装ヘッドに連通する通路と、前記負圧穴、又は前記正圧穴のいずれか一方との連通を切り替えるものである電子部品実装装置。」(以下、「引用発明」という。)

(2)本願発明と引用発明との対比
本願発明1と引用発明を対比すると、まず、引用発明の「実装ヘッド」、「部品供給部」、「電子部品」、「回路基板」及び「電子部品実装装置」は、それぞれ、本願発明1の「装着ヘッド」、「電子部品供給装置」、「チップ状電子部品」、「プリント基板」及び「電子部品自動装着装置」に相当する。
また、引用発明の「真空吸着のための、負圧穴に連通するエア通路25」は、真空吸着のために、真空引きの際に用いられる通路であるから、本願発明1の「真空引き通路」に相当するといえるし、同様に、引用発明の「正圧ブローのための、正圧穴に連通するエア通路37」は、正圧でエアーブローする際にエアが通過する通路であるから、本願発明の「エアーブロー通路」に相当するといえる。
また、引用発明の「切換レバー」は、「位置切換によって、上記実装ヘッドと連通するエア通路と、前記負圧穴、又は前記正圧穴のいずれか一方との連通を切り替えるもの」であり、負圧穴は真空吸着時に、正圧穴は正圧ブロー時にそれぞれ用いられるものであるから、実装ヘッドと連通するエア通路と、真空吸着用のエア通路25、又は、正圧ブロー用のエア通路37のいずれか一方との連通を切り替える、バルブ機能を有する一種のバルブであるといえる。一方、本願発明1の「真空バルブ」は、「前記装着ヘッドに連通するヘッド側通路と、前記真空引き通路、又は前記エアーブロー通路のいずれか一方の通路との連通を切り替える」ものである。すると、引用発明の「切換レバー」は、本願発明1の「真空バルブ」に対応するといえる。
そして、引用発明の「ハウジング」は「上下方向に移動可能」であり、これにより実装ヘッドを上下方向に移動させる、すなわち、昇降させるものであるから、引用発明の「ハウジング」のうち、上下方向に移動可能とする機能を有する部分は、本願発明1の「ヘッド昇降テーブル」に相当するといえる。更に、この「ハウジング」は、負圧穴に連通するエア通路25と、正圧穴に連通するエア通路37を有するものであり、しかも、これらのエア通路は、引用発明の「前記切換レバーは、位置切換によって、・・・前記負圧穴、又は前記正圧穴のいずれか一方との連通を切り替える」という記載によると、切換レバーの位置切換によって、負圧穴、又は正圧穴を介して、本願発明1の「真空バルブ」に相当する「切換レバー」に連通するのであるから、「ハウジング」のうち、負圧穴に連通するエア通路25と正圧穴に連通するエア通路37を有する部分は、本願発明1の「マニホールドブロック」に相当するといえる。

そうすると、本願発明1と引用発明は、「ヘッド昇降テーブルに装着ヘッドを設け、この装着ヘッドにより電子部品供給装置からチップ状電子部品を吸着し、プリント基板上に装着するようにした電子部品自動装着装置において、前記ヘッド昇降テーブルに、バルブと、該バルブに連通する真空引き通路及びエアーブロー通路を有するマニホールドブロックとを一体に設け、前記バルブは、前記装着ヘッドに連通するヘッド側通路と、前記真空引き通路、又は前記エアーブロー通路のいずれか一方の通路との連通を切り替えることを特徴とする電子部品自動装着装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:バルブが、本願発明1では「ケーブルを備えた真空バルブ」であるのに対して、引用発明では、切換レバーである点。

(3)相違点についての判断
そこで、上記相違点について検討する。
ガス通路内の状態を真空と真空以外とに切り替える機能を有するバルブとして、電磁弁を用いる真空バルブは、実願平3-15582号(実開平4-111971号)のマイクロフィルムの段落【0011】?【0015】及び図2に記載されるように、本願出願前に周知の事項である。そして、この電磁弁は、電磁石への給電をオン/オフして弁の開閉を制御するものであるから、電磁弁を用いる真空バルブが給電のためのケーブルを有することは当業者にとって明らかである。
すると、引用発明における「切換レバー」も、ガス通路内の状態を真空と真空以外とに切り替えるバルブとして機能を有するものであるから、上記周知の事項を採用して、「切換レバー」をケーブルを備えた電磁弁からなる真空バルブに置き換えることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。
したがって、上記相違点における本願発明の特定事項は、当業者が容易に想到し得たことであり、本願発明1は、引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

6.むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-22 
結審通知日 2008-02-12 
審決日 2008-02-25 
出願番号 特願2004-10048(P2004-10048)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 一正  
特許庁審判長 吉水 純子
特許庁審判官 近野 光知
平塚 義三
発明の名称 電子部品自動装着装置  
代理人 相澤 清隆  
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