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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1177005
審判番号 不服2005-11162  
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-15 
確定日 2008-05-01 
事件の表示 特願2003-379100「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 2日出願公開、特開2005-137719〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年11月7日に出願された特願2003-378647号(国内優先権主張 平成14年11月20日)の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願(同条4項の規定により、特願2003-378647号と同じ優先権主張がされているものとみなされる。)としたものであって、平成17年5月10日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年6月15付けで本件審判請求がされるとともに、同年7月14日付けで特許請求の範囲についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年7月14日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項
本件補正は特許請求の範囲(単一請求項からなる。)を補正するものであり、補正後の特許請求の範囲は次のとおりである。
「【請求項1】 遊技に関する結果を表示する遊技結果表示手段と、
該遊技結果表示手段に特定の遊技結果が表示された場合に、遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段と
を備えた遊技機において、
前記遊技結果表示手段は、第1表示手段と、正面側から見て該第1表示手段の表示領域よりも手前側に設けられた第2表示手段とを含んで構成され、該第2表示手段は前記第1表示手段の表示を透過して表示可能な図柄表示領域を有する液晶表示装置を含んで構成され、
該図柄表示領域に遊技情報を表示させる表示制御手段と、
遊技開始を指令する遊技開始指令手段と、
該遊技開始指令手段からの遊技開始指令信号に基づいて内部当選役を決定する内部当選役決定手段と
を備え、
前記内部当選役決定手段が特定の役を内部当選役とした場合に、前記表示領域の予め定められた一部の表示が前記特定の役に関連した表示であることを条件に、前記表示制御手段は、前記遊技情報として、当該特定の役に関わる画像表示を行うことを特徴とする遊技機。」(下線部が補正により追加された。)

2.新規事項追加
上記下線部は、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、これら全体を「当初明細書」という。)の何れにも記載されていない。
請求人は審判請求理由において、補正根拠として、当初明細書の段落【0061】,【0062】及び【図10】をあげている。しかし、段落【0061】及び【0062】には、「遊技者が第1停止操作(リール3L,3C,3Rが変動後、停止ボタン11L,11C,11Rのうちから遊技者が任意に選択した1つの停止ボタンを遊技者が最初に押す操作)として停止ボタン11Lを押した場合の図柄表示領域21L,21C,21R及び演出表示領域23の表示態様を示している。ここでは、リール3Lの停止図柄は、「キャラクタ?キャラクタ?キャラクタ(ドンドンドン)」となっている。」及び「図10(4)において、図10(3)で説明したBBの内部当選を受けて、リール3Lに対応する表示領域である図柄表示領域21Lには、「ドーン」21aという遊技情報が表示され、遊技者に報知される。」と記載されているところ、この記載における「リール3L」は、遊技者が最初に押した停止ボタンに対応するリールであり、遊技者が最初に押すリールは予め定められていない(「任意に選択した」とある。)から、「リール3L」は「表示領域の予め定められた一部」に該当しない。
当初明細書には「第1表示手段のリール3Lの停止図柄態様の表示(ドンドンドン)に迫力を持たせることができ、興趣向上につながる。」(段落【0063】)との記載があるけれども、これは「ドンドンドン」の停止態様と「ドーン」という遊技情報が合致したときの効果をいうにすぎず、この記載があるからといって、リール3L停止時のみ遊技情報を表示することも、「ドンドンドン」の停止態様のみ遊技情報を表示することも当初明細書に記載されていると認めることはできない。
加えて、【図10】(4)には、リール3Lに対応する表示領域21Lのみに「ドーン」という遊技情報が表示されることが示されており、他方「「ドーン」21aが図柄表示領域21L,21C,21Rや演出表示領域23に表示される」(段落【0089】)等の記載によれば、「ドーン」という遊技情報は表示領域21C,21Rにも表示される旨記載されているのだから、リール3C,3Rの停止時にも、遊技情報が表示領域21C,21Rにも表示されると解するべきである。そうすると、キャラクタ(ドン)の停止表示が「ドーン」という遊技情報の表示条件であることが当初明細書の記載から読み取れると仮にしても、表示領域21C,21Rにキャラクタ(ドン)が停止表示した際にも、「ドーン」の表示がされると解すべきである。さらに、補正後の請求項1によれば、「表示領域の予め定められた一部」に該当するリール3Lが2番目又は3番目に停止した場合であっても、1番目に停止した場合と同じく遊技情報が表示されなければならないが、そのようなことも当初明細書の記載からは読み取れないだけでなく、【図10】(1)(前回遊技終了時に停止図柄と解される。)はリール3Lの停止図柄が「キャラクタ?キャラクタ?キャラクタ(ドンドンドン)」であるにもかかわらず、「図10(1)において、・・・停止図柄の組合せがBB役やRB役を発生させる停止態様ではないので、図柄表示領域21L,21C,21Rや演出表示領域23には遊技情報は表示されない。」(段落【0059】)とあるとおり、遊技情報を表示していないこととも整合しない。
そればかりか、段落【0062】の上記記載には「BBの内部当選を受けて」とあり、リール3Lの停止図柄が(ドンドンドン)(【図10】(3)では偶々そのように停止している。)であることが、「ドーン」という遊技情報表示条件であること、換言すれば、キャラクタ(ドン)が停止表示されない場合に「ドーン」という遊技情報が表示されないことも記載されていない。
以上のとおり、本件補正は当初明細書に記載された事項の範囲内でされたものではなく、自明な事項を追加したものと認めることもできないので、特許法17条の2第3項の規定に違反している。

[補正の却下の決定のむすび]
以上によれば、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、特許法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成17年1月19日手続補正により補正された特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「遊技に関する結果を表示する遊技結果表示手段と、
該遊技結果表示手段に特定の遊技結果が表示された場合に、遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段と
を備えた遊技機において、
前記遊技結果表示手段は、第1表示手段と、正面側から見て該第1表示手段の表示領域よりも手前側に設けられた第2表示手段とを含んで構成され、該第2表示手段は前記第1表示手段の表示を透過して表示可能な図柄表示領域を有する液晶表示装置を含んで構成され、
該図柄表示領域に遊技情報を表示させる表示制御手段と、
遊技開始を指令する遊技開始指令手段と、
該遊技開始指令手段からの遊技開始指令信号に基づいて内部当選役を決定する内部当選役決定手段と
を備え、
前記内部当選役決定手段が特定の役を内部当選役とした場合に、前記表示制御手段は、前記遊技情報として、当該特定の役に関わる画像表示を行うことを特徴とする遊技機。」

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-124290号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?クの記載が図示とともにある。
ア.「複数の回転リールを横方向に並列し、各回転リールの外周の表面に複数のシンボルマークを所定間隔で表示し、各回転リールの外周の表面の一部をフロントパネルに開設した表示窓に臨ませるとともに、各回転リールを回転させてシンボルマークを移動表示するスロットマシンにおいて、
上記フロントパネルには、前記表示窓の位置に少なくとも液晶表示装置を配置し、ゲームの開始前には液晶を遮光状態とするとともに、その遮光面にインフォメーションを液晶表示し、ゲーム中は液晶を透光状態としたことを特徴するスロットマシン」(【請求項1】)
イ.「センターパネル21のほぼ中央には、図2に示すように、3個の表示窓22?24を横並びに形成している。各表示窓22?24の内部には、各回転リール30?32の表面をそれぞれ臨ませている。そして、各表示窓22?24には、回転リール30?32を回転させることにより、上下方向に3個のシンボルマークを所定間隔で高速で移動表示させることができる。」(段落【0016】)
ウ.「前記センターパネル21の裏側には、図1に示すように、液晶表示装置を構成する液晶パネル40が、センターパネル21の裏面のほぼ全体にわたって配置されている。」(段落【0018】)
エ.「液晶パネル40の制御は、スロットマシン10内に設けたマイクロコンピュータ等からなる電気的制御装置(図示せず)により行われている。前記液晶パネル40の裏側には、図1に示すように、液晶パネル40をその裏側から照明するためのバックライトユニット50が配置されている。」(段落【0019】)
オ.「上記バックライトユニット50は、図1に示すように、各表示窓22?24の位置を除き、液晶パネル40の裏面のほぼ全体にわたって配置された面発光板51と、この乱反射板51の端面に配置された蛍光灯52とから構成されている。なお、面発光板51を、各表示窓22?24の位置を除いて配置したことから、液晶パネル40の透光状態では、スロットマシン10の内部に配置された各回転リール30?32のシンボルマークを、センターパネル21を透してスロットマシン10の前面より見ることができる。」(段落【0020】)
カ.「液晶の透光面の一部を遮光状態として、図4に示すように、中央ライン60を液晶表示して、1本の有効ラインを表示する。」(段落【0024】)
キ.「スロットマシン10の前面の図2に示すスタートスイッチ12が操作されると、3個の回転リール30?32がほぼ同時に回転を開始する。・・・3個のストップスイッチ13?15を全て操作し、全ての回転リール30?32を停止させる。その結果、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが形成されると、特別の賞態様、例えば、図7に示す右下がりの斜めライン63上に「7」の文字から成る図柄が3個揃うと、いわゆる「ビッグボーナス」の役が成立し、15枚のメダルが遊技者に払い出される。」(段落【0027】?【0028】)
ク.「「ビッグボーナス」が成立すると、図8に示すように、上下に長く透光状態となっていた各表示窓22?24が、右下がりの斜めライン63上に揃った「7」の図柄を残して遮光状態となり、「ビッグボーナス」の当たり図柄を遊技者から見易いように強調する。さらに、各表示窓22?24の図7において向かって右側に表示されていた5個のメダル投入表示部70?74が、消灯し、その箇所に、図8に示すように、「ビッグボーナス」の文字が表示され、「ビッグボーナス」が成立したことを遊技者にわかり易く表示する。」(段落【0029】)

3.引用例1記載の発明の認定
引用例1の記載イ?オ及び【図1】?【図3】によれば、各表示窓22?24の位置に対応する液晶パネル部分にはバックライトユニットが設けられておらず、バックライトユニットと液晶パネルは略同サイズと認めることができ、表現を変えれば、液晶パネルと略同サイズのバックライトユニットに各表示窓22?24該当の開口部があるということができる。
遊技者側からみると、液晶パネル、バックライトユニット(表示窓22?24該当の開口部あり)及び3個の回転リールが並んでいる。
したがって、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「遊技者側からみて、液晶パネル、バックライトユニット及び3個の回転リールが並んで配置されたスロットマシンであって、
各回転リールは、外周の表面に複数の図柄を所定間隔で表示したものであり、
バックライトユニットには3個の開口部が設けられ、液晶パネルが透光状態であれば、各開口部を通して背後の回転リールを各リールごとに3図柄を視認できるように構成され、
液晶パネルの透光面の一部を遮光状態として、有効ラインを表示し、
スタートスイッチ操作により3個の回転リール回転を開始し、3個のストップスイッチの操作により全ての回転リールが停止し、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせとしてビッグボーナスが成立すると、特定の図柄の組み合わせが形成された図柄該当部分を残して液晶パネルの開口部該当部分を遮光状態とし、常時はメダル投入表示部とされる液晶パネル部分にビッグボーナスの文字を表示するスロットマシン。」(以下「引用発明1」という。)

4.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1において、「全ての回転リールが停止し、有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせとしてビッグボーナスが成立」したこと(それ以外にも、全ての回転リールが停止後に表示されるリール図柄も同じである。)及び「ビッグボーナスの文字」は「遊技に関する結果」であるから、引用発明1の「3個の回転リール」及び「液晶パネル」は本願発明の「第1表示手段」及び「第2表示手段」にそれぞれ相当し、これらを併せたものが本願発明の「遊技結果表示手段」に相当する。
引用発明1において「有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせ」となることは、本願発明の「遊技結果表示手段に特定の遊技結果が表示された場合」と異ならず、引用発明1においても「遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態」となることは明らかであるから、引用発明1は本願発明の「利益状態発生手段」を備える。
引用発明1における液晶パネルの開口部該当部分は、同部分に有効ラインの表示がされていても、3個の回転リールを視認できることは明らかであるから、上記開口部該当部分は本願発明の「前記第1表示手段の表示を透過して表示可能な図柄表示領域」に相当する。「前記遊技結果表示手段は、第1表示手段と、正面側から見て該第1表示手段の表示領域よりも手前側に設けられた第2表示手段とを含んで構成され」ることも、当然一致点である。
引用発明1における「有効ライン」は「遊技情報」の1つであるから、「該図柄表示領域に遊技情報を表示させる表示制御手段」を備えることも、本願発明と引用発明1の一致点である。
引用発明1の「スタートスイッチ」は本願発明の「遊技開始を指令する遊技開始指令手段」に相当するが、引用発明1が「該遊技開始指令手段からの遊技開始指令信号に基づいて内部当選役を決定する内部当選役決定手段」を備えることまでは、引用例1の記載のみからは認めることができない。
引用発明1において「有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが成立すると、特定の図柄の組み合わせが形成された図柄該当部分を残して液晶パネルの開口部該当部分を遮光状態とし、常時はメダル投入表示部とされる液晶パネル部分にビッグボーナスの文字を表示」するのであり、かかる液晶パネルの制御は「有効ライン上に、予め設定された特定の図柄の組み合わせが成立する」ことを条件として行われる行われるということができ、「特定の図柄の組み合わせが形成された図柄該当部分を残して液晶パネルの開口部該当部分を遮光状態」とすることと、本願発明において「特定の役に関わる画像表示を行うこと」は、遊技情報の表示である点で一致する。
引用発明1の「スロットマシン」が本願発明の「遊技機」に含まれることはいうまでもない。
したがって、本願発明と引用発明1は、
「遊技に関する結果を表示する遊技結果表示手段と、
該遊技結果表示手段に特定の遊技結果が表示された場合に、遊技者に有利な利益状態を発生させる利益状態発生手段と
を備えた遊技機において、
前記遊技結果表示手段は、第1表示手段と、正面側から見て該第1表示手段の表示領域よりも手前側に設けられた第2表示手段とを含んで構成され、該第2表示手段は前記第1表示手段の表示を透過して表示可能な図柄表示領域を有する液晶表示装置を含んで構成され、
該図柄表示領域に遊技情報を表示させる表示制御手段と、
遊技開始を指令する遊技開始指令手段と、
を備えた遊技機。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉本願発明が「遊技開始指令手段からの遊技開始指令信号に基づいて内部当選役を決定する内部当選役決定手段」を備えるのに対し、引用発明1が同手段を備えるかどうか明らかでない点。
〈相違点2〉本願発明が「前記内部当選役決定手段が特定の役を内部当選役とした場合に、前記表示制御手段は、前記遊技情報として、当該特定の役に関わる画像表示を行う」としているのに対し、引用発明1において表示される遊技情報は、「有効ライン」又はビッグボーナス成立時における「特定の図柄の組み合わせが形成された図柄該当部分を残して液晶パネルの開口部該当部分を遮光状態とし、常時はメダル投入表示部とされる液晶パネル部分にビッグボーナスの文字を表示」である点。

5.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
本願出願当時はいうまでもなく、引用発明1が発明された当時においても、多くのスロットマシンは「遊技開始指令手段からの遊技開始指令信号に基づいて内部当選役を決定する内部当選役決定手段」を備えている。そのことは、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-137774号公報(以下「引用例2」という。)に「近年のスロットマシンでは、ゲーム毎に内部抽選が実施される」(段落【0043】)との記載があることによっても裏付けられる。
そして、引用発明1が「内部当選役決定手段」を備えては不都合な理由は見あたらないから、相違点1は実質的相違点に当たらないか、実質的相違点であるとしてもせいぜい設計事項程度の軽微な相違点にすぎない。

(2)相違点2について
引用例2には、以下のケ?シの記載が図示とともにある。
ケ.「複数のシンボルを可変表示する複数個のリールより成るシンボル可変表示装置と、このシンボル可変表示装置の前側に各リールと対応させて配備された透光性を有する複数の導光板と、導光板毎に各導光板の内部へ端面より光を導入するための複数の光源とを備え、導光板の表面には、前記シンボル可変表示装置のシンボルの停止位置に対応させて、導光板の内部に導入された光を拡散反射させる発光部が形成されて成るシンボル可変表示遊技機。」(【請求項1】)
コ.「各導光板30a,30b,30cの各透明板材33,34,35の表面には、対応するリールのシンボルの停止位置、すなわち上中下の各停止ラインL1?L3の位置に、各透明板材33,34,35の内部に導入された光を拡散反射させて面発光させる発光部41,42,43が形成されている。」(段落0026】)
サ.「上記の実施例では、各導光板30a,30b,30cの発光部を、シンボルの周囲を囲むような矩形枠状に形成しているが、例えば図16に示すように、シンボル(図示例では「7」のシンボル)と重なるように、任意の図柄(図示例では星の図柄)で形成してもよい。」(段落【0041】)
シ.「近年のスロットマシンでは、ゲーム毎に内部抽選が実施されるが、内部抽選が当たったとき、図18に示すように、中央のシンボル表示窓20bの中段位置の発光部42を面発光させて、抽選当たりを遊技者へ報知することも可能である。」(段落【0043】)

引用例2の記載シにおいて、「発光部42」が記載サの「任意の図柄(図示例では星の図柄)」であって不都合な理由はないから、引用例2には、「ゲーム毎に内部抽選を実施するスロットマシンにおいて、複数個のリールより成るシンボル可変表示装置の前側に各リールと対応させて配備された透光性を有する複数の導光板と、導光板毎に各導光板の内部へ端面より光を導入するための複数の光源とを備え、導光板の表面には、前記シンボル可変表示装置のシンボルの停止位置に対応させて、導光板の内部に導入された光を拡散反射させる任意の図柄形状の発光部を形成し、内部抽選が当たったとき、中央のシンボル表示窓の中段位置の発光部を面発光させるスロットマシン。」(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
引用発明1は、それが相違点1に係る本願発明の構成を採用した場合であっても、内部抽選が当たったことを表示するものとはいえないが、引用例2の記載シのほか、内部抽選の結果を報知(表示は報知に含まれる。)ことは本願出願当時周知であるから、引用発明1を出発点として、表示内容を引用発明2に従い、内部抽選が当たったことに変更することは当業者にとって想到容易である。
ここで、引用発明2においては、任意の図柄形状の発光部を面発光させているのであるから、これは画像表示ということができ、他方引用発明1においては、図柄表示領域(液晶パネルの開口部該当部分)には、液晶パネルの一部であるという性質上、任意の図柄を表示可能であるから、引用発明2の技術を適用するに当たり、遊技情報として、内部抽選が当たったことを画像表示することにも何の困難性もない。
さらに、引用例2には「内部抽選が当たったとき」としか記載されておらず、「特定の役を内部当選役とした場合」に該当するとまではいえないものの、スロットマシンにあっては、ビッグボーナス等、利益の多い役(これが本願発明の「特定の役」に相当する。)の内部当選に遊技者は関心を寄せることが多く、利益の多い役の内部当選のみを報知することも周知技術であるから、引用発明1に引用発明2を適用するに際し、任意の図柄形状での表示を「特定の役を内部当選役とした場合に」行うこと、その結果として、「遊技情報として、当該特定の役に関わる画像表示」をすることにも何の困難性もない。
以上のとおりであるから、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは、せいぜい設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-02-27 
結審通知日 2008-03-04 
審決日 2008-03-17 
出願番号 特願2003-379100(P2003-379100)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎鉄 豊郎  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 中槙 利明
土屋 保光
発明の名称 遊技機  
代理人 藤田 和子  

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