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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1178690
審判番号 不服2005-24720  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-22 
確定日 2008-05-30 
事件の表示 特願2000-230478「画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月 8日出願公開、特開2002- 44443〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年7月31日の出願であって、平成17年11月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月22日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、平成18年1月23日付けで手続補正がされたものである。


第2 平成18年1月23日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年1月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正
本件補正は、明細書についてするもので、その特許請求の範囲の請求項1については、補正前に、

(a)
「【請求項1】 読み取り手段で読み取った標準白色板の画像データに基づいて、読み取り手段で読み取った原稿画像をシェーディング補正する画像処理装置において、
前記原稿の1ページ分の画像データを書き込むメモリに、シェーディング補正時の前記シェーディング補正用標準白色板の画像データを記憶することを特徴とする画像処理装置。」

とあったものを、

(b)
「【請求項1】 原稿の1ページ分の画像データを書き込むメモリに、シェーディング補正時にラインセンサで読み取ったシェーディング補正用標準白色板の画像データを記憶し、 前記メモリに記憶されている前記シェーディング補正用標準白色板の画像データの同じ主走査位置ごとに飛び飛びのラインのデータから算出した補正データに基づいて、前記ラインセンサで読み取った前記原稿の1ページ分の画像データをシェーディング補正することを特徴とする画像処理装置。」

と補正しようとするものである。すると、本件補正は、請求項1については、補正前の請求項1において、「読み取り手段」が「ラインセンサ」であること、また、原稿画像をシェーディング補正するためのデータについて、「シェーディング補正用標準白色板の画像データ」を「シェーディング補正用標準白色板の画像データの同じ主走査位置ごとに飛び飛びのラインのデータから算出した補正データ」とする事項を限定する内容の補正を含むものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。
本願補正発明は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 原稿の1ページ分の画像データを書き込むメモリに、シェーディング補正時にラインセンサで読み取ったシェーディング補正用標準白色板の画像データを記憶し、 前記メモリに記憶されている前記シェーディング補正用標準白色板の画像データの同じ主走査位置ごとに飛び飛びのラインのデータから算出した補正データに基づいて、前記ラインセンサで読み取った前記原稿の1ページ分の画像データをシェーディング補正することを特徴とする画像処理装置。」(再掲)

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日の前である平成5年1月29日に頒布された特開平5-20444号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 読み取り対象としての原稿からの反射光または透過光を受光して電気信号に変換する多数の光検知素子からなる撮像素子と、
この撮像素子により無地の基準原稿から読み取られた画像データを記憶する記憶手段と、
この記憶手段の内容を読み出し、前記撮像素子の各光検知素子に対応する画像データを基に、各光検知素子ごとの感度補正係数を算出する算出手段と、
一般原稿の読み取りに際し、前記撮像素子の各光検知素子から出力される画像信号に対し、前記演算手段により算出された各光検知素子ごとの感度補正係数をそれぞれ対応させて乗じる乗算手段
とを具備し、光検知素子間の感度のばらつきを補正する機能を有する画像読み取り装置であって、
前記撮像素子により読み取られた画像パターンのエッジを強調する処理を行うためのディジタルフィルタを有し、このディジタルフィルタによるエッジ強調処理対象の画像データの格納先として前記記憶手段を用いることを特徴とする画像読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮像素子で読み取った画像データのエッジを強調する機能と、撮像素子の感度の不均一を補正する機能とを有する画像読み取り装置に関する。」

(b)
「【0009】
【作用】本発明に係る画像読み取り装置では、原稿読み取り用の光検知素子の感度補正に用いる記憶手段を、画像エッジ強調処理用のディジタルフィルタで用いる記憶手段としても共用することができる。
【0010】
【実施例】以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0011】図1は本発明の一実施例における画像読み取り装置の要部を表わしたものである。この装置には光源11が備えられ、矢印Sの方向に一定速度で移動する原稿12を照明するようになっている。この光源11で照明された原稿12上の文字や図形等のパターンは、レンズや光学フィルタ等からなる光学系13により集光され、所定寸法の微細な多数の光検知素子からなる一次元撮像素子14上に結像するようになっている。この一次元撮像素子14の各光検知素子からは、各画素に対応して画素クロック(VCLK)15に同期したアナログの画像信号16が順次出力され、アナログディジタル(A/D)変換器18に入力されるようになっている。ここでは、各主走査ラインにおける画像信号16の出力は、矢印Mの方向に行われるものとする。一次元撮像素子14からは画素クロック15のほか、各主走査ラインごとにライン同期クロック(LSNC)22が出力され、共にクロック制御回路19に入力されるようになっている。
【0012】A/D変換器18の出力側は、乗算器23の一方の入力端子Aに接続されている。乗算器23の他の入力端子Bは、シフトレジスタ25を介してマイクロプロセッサ26へと接続されている。この乗算器23は、マイクロプロセッサ26からの指示により乗算機能のオンオフができるようになっている。乗算器23の出力側は2分岐され、画素平均回路27と記憶回路28に接続されている。このうち画素平均回路27は、クロック制御回路19から供給される各種クロックに同期して、入力された画像データの平均化処理を行い、また、記憶回路28は、乗算器23から出力された画像データを順次記憶するようになっている。この記憶回路28の内容は、必要に応じてマイクロプロセッサ26により読み出されるようになっている。
【0013】画素平均回路27の出力側は、減算器29の一方の入力端子Cに接続されている。この減算器29の他の入力端子Dは、記憶回路28に接続されている。
【0014】以上のような構成の画像読み取り装置の動作を説明する。まず一次元撮像素子14の各検知素子の感度を補正するために、無地の基準用紙の読み取りを行う場合の動作を説明する。
【0015】光源11で照明された基準原稿17からの反射光が光学系13により集光され、一次元撮像素子14の光検知素子上に結像すると、これらの光検知素子は受光した光の強度に応じた画像信号16を順次出力する。そして、1ライン分の画像信号出力が終了するタイミングで、基準原稿17は矢印Sの方向(副走査方向)に1ライン分移動する。ここで1ライン分とは、一次元撮像素子14の読み取り分解能に対応した1主走査分の画素データをいう。
【0016】次のラインについても、同様に、一次元撮像素子の各光検知素子から基準原稿17の各画素に対応した画像信号が順次出力される。以下同様にして、基準原稿17上のすべての画像パターンの読み取りが行われる。
【0017】一次元撮像素子14から出力された画像信号16は、A/D変換器18によりディジタルの画像信号21に変換され、乗算器23に入力される。このとき、乗算器23はマイクロプロセッサ26の指示により乗算機能がオフされているため、画像信号21はそのまま出力され、画素平均回路27と記憶回路28に入力される。これにより、記憶回路28には基準原稿17の1ページ分の画像データが格納される。そして、マイクロプロセッサ26は、この記憶回路28の内容を基に一次元撮像素子14の各光検知素子についての感度補正係数を算出してシフトレジスタ25に出力する。以下、図2と共に、この動作を詳細に説明する。
【0018】図2は、一次元撮像素子14の各光検知素子と記憶回路28の内容を対応付けて表わしたものである。同図(A)に示すように、この一次元撮像素子14にはn個の光検知素子C_(0) ?C_(n-1) が配列され、これらの各々で読み取られた画素データが、同図(B)に示すような配列で記憶回路28に格納される。ここで、第1ラインで読み取られた画素データをP_(00)?P_(0(n-1))とし、最終の第(m-1)ラインで読み取られた画素データをP_((m-1)0)?P_((m-1)(n-1))とすると、例えば光検知素子C_(0) により副走査方向に(m-1)回繰り返し読み取られた画素データは、P_(00)?P_((m-1)0)となる。
【0019】さて、マイクロプロセッサ26は、記憶回路28のデータを基に、各光検知素子について、副走査方向にページ終端まで繰り返し読み取った画素データを加算してmで除することにより、その平均値a_(i) (i=0?n-1)を求める。例えば光検知素子C_(0) については、P_(00)?P_((m-1)0)を加算したものをmで除することにより、平均値a_(0) を得る。
【0020】次に、マイクロプロセッサ26は、次の(1)式で得られる値を感度補正係数k_(i) としてシフトレジスタ25に書き込む。但し、hは所定の定数である。
【0021】k_(i) =h/a_(i) ……(1)
これによりシフトレジスタ25には一次元撮像素子14の各光検知素子C_(0) ?C_(n-1) に対応したn個の感度補正係数k_(0) ?k_(n-1) がセットされることとなる。次に、一般の原稿を読み取る際の動作を説明する。原稿12上の画像パターンの読み取りは、上記した基準用紙の場合と同様にして行われる。そして、一次元撮像素子14から出力された画像信号16は、A/D変換器18によりディジタルの画像信号21に変換され、乗算器23に入力される。このとき、乗算器23はマイクロプロセッサ26の指示により乗算機能がオンされているため、画像信号21はシフトレジスタ25からの出力と乗ぜられて画素平均回路27と記憶回路28に入力される。すなわち、このとき、シフトレジスタ25にはすでに基準用紙から得た感度補正係数k_(0) ?k_(n-1) がセットされており、一次元撮像素子14の各光検知素子からの画素データにそれぞれ対応してこれらの感度補正係数k_(0) ?k_(n-1) が乗ぜられて出力される。これにより、各光検知素子間の感度のばらつきが補正された画素データ24が画素平均回路27に入力されると共に、記憶回路28に入力される。そして、記憶回路28には1ページ分の補正済みの画素データが格納され、画素平均回路27での演算が終了するまでそのまま保持される。」

(c)
「【0053】このように、画像エッジの強調処理と撮像素子の感度補正係数算出処理とは、同時に行われることがないことから、記憶回路を双方の処理に兼用することができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、原稿読み取り用の光検知素子の感度補正に用いる記憶手段を、画像エッジ強調処理用のディジタルフィルタで用いる記憶手段としても共用することとしたので、記憶回路を別途設ける必要がない。従って、回路規模の増大やコストアップを抑えつつ、かかる多機能を実現することができるという効果がある。」

引用例の上記記載事項及び図1及び図2の内容を総合勘案すると、引用例には、結局、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているとすることができる。

「光源で照明された読み取り対象としての原稿からの反射光または透過光を受光して電気信号に変換する多数の光検知素子からなる一次元撮像素子と、
この一次元撮像素子により無地の基準原稿から読み取られた1ページ分の画像データを記憶する記憶手段と、
この記憶手段の内容を読み出し、前記一次元撮像素子の各光検知素子に対応する1ページ分の画像データを基に、各光検知素子ごとの感度補正係数を算出する算出手段と、
一般原稿の読み取りに際し、前記一次元撮像素子の各光検知素子から出力される画像信号に対し、前記演算手段により算出された各光検知素子ごとの感度補正係数をそれぞれ対応させて乗じる乗算手段
とを具備し、光検知素子間の感度のばらつきを補正する機能を有する画像読み取り装置であって、
一般の原稿を読み取る際は、一次元撮像素子の各光検知素子からの画素データにそれぞれ対応して前記感度補正係数が乗ぜられて、各光検知素子間の感度のばらつきが補正された画素データが前記記憶手段に入力され、前記記憶手段には1ページ分の補正済みの画素データが格納される画像読み取り装置。」

3.対比
本願補正発明と引用発明とを比較する。
引用発明では、「光源で照明された原稿からの反射光または透過光を受光して電気信号に変換する多数の光検知素子からなる一次元撮像素子」「により無地の基準原稿から読み取られた1ページ分の画像データ」「を基に、各光検知素子ごとの感度補正係数を算出」し、「前記一次元撮像素子の各光検知素子から出力される画像信号に対し、前記演算手段により算出された各光検知素子ごとの感度補正係数をそれぞれ対応させて乗じ」て、「光検知素子間の感度のばらつきを補正する機能を有する」ものであることから、引用発明は、シェーディング補正する機能を有しているといえ、また、引用発明の「画像読み取り装置」は「画像処理装置」といえることは技術的に明らかである。
引用発明の「記憶手段」、「一次元撮像素子」、「感度補正係数」は、本願補正発明の「メモリ」、「ラインセンサ」、「補正データ」に相当する。
引用発明は、前述のようにシェーディング補正する機能を有するものであって、「一次元撮像素子により無地の基準原稿から読み取られた1ページ分の画像データを記憶する記憶手段」を具備し、「一般の原稿を読み取る際は、一次元撮像素子の各光検知素子からの画素データにそれぞれ対応して前記感度補正係数が乗ぜられて、各光検知素子間の感度のばらつきが補正された画素データが前記記憶手段に入力され、前記記憶手段には1ページ分の補正済みの画素データが格納される」構成を有しているから、「原稿の1ページ分の画像データを書き込むメモリに、シェーディング補正時にラインセンサで読み取った基準となる画像データを記憶し」ている点で本願補正発明と共通している。
引用発明は、「一次元撮像素子により無地の基準原稿から読み取られた1ページ分の画像データを記憶する記憶手段」「の内容を読み出し、前記一次元撮像素子の各光検知素子に対応する1ページ分の画像データを基に、各光検知素子ごとの感度補正係数を算出」し、「一般原稿の読み取りに際し、前記一次元撮像素子の各光検知素子から出力される画像信号に対し、前記演算手段により算出された各光検知素子ごとの感度補正係数をそれぞれ対応させて乗じ」て、「光検知素子間の感度のばらつきを補正する機能」すなわちシェーディング補正するための構成を有しており、また、「感度補正係数」は「一次元撮像素子の各光検知素子」ごとに算出されるため本願補正発明でいう「同じ主走査位置」ごとに算出されるといえるから、「メモリに記憶されている前記基準となる画像データの同じ主走査位置ごとに複数のラインのデータから算出した補正データに基づいて、前記ラインセンサで読み取った前記原稿の1ページ分の画像データをシェーディング補正する」点で本願補正発明と共通している。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
「原稿の1ページ分の画像データを書き込むメモリに、シェーディング補正時にラインセンサで読み取った基準となる画像データを記憶し、
前記メモリに記憶されている前記基準となる画像データの同じ主走査位置ごとに複数のラインのデータから算出した補正データに基づいて、前記ラインセンサで読み取った前記原稿の1ページ分の画像データをシェーディング補正することを特徴とする画像処理装置。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
[相違点1]
「基準となる画像データ」が、本願補正発明では、「シェーディング補正用標準白色板」を読み取ったものであるのに対し、引用発明では、「無地の基準原稿」から読み取られたものである点。

[相違点2]
「補正データ」が算出される「複数のラインのデータ」が、本願補正発明では、「飛び飛びのラインのデータ」であるのに対し、引用発明では、「1ページ分の」データである点。

4.判断
そこで、上記各相違点について検討する。
[相違点1について]
シェーディング補正の技術分野において、シェーディング補正用標準白色板を読み取った画像データを用いることは周知慣用の技術にすぎない。これを引用発明に採用して、シェーディング補正時に、「無地の基準原稿」に替えて、「シェーディング補正用標準白色板」を読み取る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

[相違点2について]
シェーディング補正の技術分野において、シェーディング補正用の標準白色板面上の埃や汚れ等の影響が除去された補正データを得るために、シェーディング補正用の標準白色板における、それぞれ分離された領域のデータを用いることは周知の技術である。これを引用発明に採用して、記憶されている基準となる画像データの内、飛び飛びのラインのデータから補正データを算出する構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
例えば、特開昭63-155868号公報には、下記のように記載されている。
「本発明においては、基準面を複数回読み取って誤差補正用のデータを得るに際し、複数回の読み取りを連続した領域について行なうのではなく、それぞれ分離されている領域について行うようにしている。このため、基準面上に複数本の読み取りラインに跨がった埃等が付着している場合でも、誤差が連続して発生することがない。したがって、読み取った複数のデータから平均値或いはメジアン値を得た場合に誤差の影響が少なくなる。」(公報第2ページ右下欄第12-20行)

そして、本願補正発明の効果についてみても、引用発明及び周知技術から当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成18年1月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成17年5月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】 読み取り手段で読み取った標準白色板の画像データに基づいて、読み取り手段で読み取った原稿画像をシェーディング補正する画像処理装置において、
前記原稿の1ページ分の画像データを書き込むメモリに、シェーディング補正時の前記シェーディング補正用標準白色板の画像データを記憶することを特徴とする画像処理装置。」(再掲)

2.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2 [理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2 [理由]」で検討した本願補正発明から、本願発明の「読み取り手段」が「ラインセンサ」であること、また、原稿画像をシェーディング補正するためのデータについて、「シェーディング補正用標準白色板の画像データ」を「シェーディング補正用標準白色板の画像データの同じ主走査位置ごとに飛び飛びのラインのデータから算出した補正データ」とする事項の限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに発明特定事項に限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 [理由]4.」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-26 
結審通知日 2008-04-01 
審決日 2008-04-14 
出願番号 特願2000-230478(P2000-230478)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 井上 健一
松永 稔
発明の名称 画像処理装置  
代理人 小澤 壯夫  
代理人 小森 久夫  

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