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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1178934
審判番号 不服2006-15533  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-20 
確定日 2008-06-06 
事件の表示 特願2004-234155「棒状導光体、照明ユニットおよび画像読取装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 54635〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成16年8月11日の出願であって、平成18年6月15日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年7月20日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
本願の発明は、平成18年8月18日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
端面から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた出射面から出射する棒状導光体において、この導光体の前記出射面と対向する長手方向側面に凹凸面または白色ペイントからなる光の散乱/反射用主パターンが形成され、また前記主パターンが形成された側面とは別の側面で且つ導光体の長手方向を基準として前記主パターンが形成された部分に凹凸面または白色ペイントからなる光の散乱/反射用副パターンが形成されていることを特徴とする棒状導光体。」

2 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された特開平10-112782号公報(以下、「引用例1」という。)には次の事項が図面と共に開示されている。
ア 「【請求項1】 長さをX方向、幅をY方向、高さをZ方向とする四角棒状物のYZ断面のZ方向の一方の端部(頂部)が凸曲線に成形された透明導光体(1)、この透明導光体のX方向の少なくとも一方の端面に配置された光源(2)及び透明導光体の収納容器(3)で構成され、透明導光体の凸曲線で構成される凸曲面が光出射面であって、透明導光体の底面または側面においてX方向に向かって、反射面となる切り欠き部が複数個設けられた線状照明体。」
前記アの記載によると、引用例1には、
「長さをX方向、幅をY方向、高さをZ方向とする四角棒状物のYZ断面のZ方向の一方の端部(頂部)が凸曲線に成形された透明導光体(1)であって、この透明導光体のX方向の少なくとも一方の端面に光源(2)が配置され、透明導光体の凸曲線で構成される凸曲面が光出射面であって、透明導光体の底面または側面においてX方向に向かって、反射面となる切り欠き部が複数個設けられた透明導光体。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された特開2003-348299号公報(以下、「引用例2」という。)には次の事項が図面と共に開示されている。
イ 「【請求項1】 角棒状をなす導光体と、この導光体の一端に配置される光源とを備え、前記導光体の長手方向に沿った隅部には光源から導光体内に入射した光を放出する出射面が形成されたライン照明装置において、前記出射面への反射光量が最も多くなる側面のうち光源の近傍となる箇所には光散乱パターンを設けず光源から離れた箇所に光散乱パターンを設け、また前記反射光量が最も多くなる側面に対し直交する2つの側面のうち少なくとも一方の側面の光源寄りの箇所に光散乱パターンが設けられていることを特徴とするライン照明装置。」

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の長さ方向であるX方向は長手方向といえるから、透明導光体のYZ断面のZ方向の一方の端部(頂部)に凸曲線で構成される凸曲面である光出射面は、長手方向に設けられているといえ、また、引用発明が、一方の端面に配置された光源からの光線を反射面で反射させて出射面から出射させることは明らかな事項であるから、四角棒状物の透明導光体である引用発明は、本願発明と同じ「端面から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた出射面から出射する棒状導光体」に関するものといえる。
引用発明の頂部に設けられた光出射面に対向する透明導光体の底面は「導光体の出射面と対向する長手方向側面」といえるから、引用発明の透明導光体の底面においてX方向に向かって設けられた、反射面となる切り欠き部は、「この導光体の出射面と対向する長手方向側面に凹凸面からなる光の散乱/反射用主パターン」といえ、引用発明は当該主パターンが形成されているといえる。

以上を踏まえると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
【一致点】端面から入射した光線を内面で反射させて長手方向に設けられた出射面から出射する棒状導光体において、この導光体の前記出射面と対向する長手方向側面に凹凸面からなる光の散乱/反射用主パターンが形成されている棒状導光体。
【相違点】
本願発明が「主パターンが形成された側面とは別の側面で且つ導光体の長手方向を基準として主パターンが形成された部分に凹凸面または白色ペイントからなる光の散乱/反射用副パターンが形成されている」のに対し、引用発明が副パターンが形成されていない点。

4 当審の判断
引用例2には、一端に光源が配置され、長手方向に沿った隅部に光源から導光体内に入射した光を放出する出射面が形成され、前記出射面への反射光量が最も多くなる側面のうち光源の近傍となる箇所には光散乱パターンを設けず光源から離れた箇所に光散乱パターンを設け、また前記反射光量が最も多くなる側面に対し直交する2つの側面のうち少なくとも一方の側面の光源寄りの箇所に光散乱パターンが設けられている角棒状をなす導光体(以下、「引用例2記載の発明」という。)が記載されている。
引用例2記載の発明の、出射面への反射光量が最も多くなる側面の光源から離れた箇所に設けられた光散乱パターンを「光の散乱/反射用主パターン」と呼称した場合、反射光量が最も多くなる側面に対し直交する2つの側面のうち少なくとも一方の側面の光源寄りの箇所に設けられた光散乱パターンは、主パターンが形成された側面とは別の側面で、形成された「光の散乱/反射用副パターン」といえる。
そして、引用発明と引用例2記載の発明とはいずれも棒状導光体という共通する技術分野に属する技術であるから、引用発明に引用例2記載の発明を適用し、「主パターンが形成された側面とは別の側面で、光の散乱/反射用副パターンが形成」されている棒状導光体とすることは当業者が容易に想到し得ることといえる。
また、光の散乱/反射用パターンを凹凸面または白色ペイントで形成することは棒状導光体の属する技術分野において周知技術であり、一方で、引用例2記載の発明を引用発明に適用する際に、均一な光量が出射面から出射するように、主及び副パターンの形状、導光体の長手方向での形成位置を決定することは当業者が当然行う事項といえるから、副パターンを「導光体の長手方向を基準として主パターンが形成された部分に凹凸面または白色ペイント」で形成することは、当業者が必要に応じて適宜なし得る事項といえる。

加えて、本願発明の奏する効果を検討してみても、引用例1及び2に記載された発明から想定される範囲を越える格別なものとはいえない。

5 結論
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-07 
結審通知日 2008-04-08 
審決日 2008-04-21 
出願番号 特願2004-234155(P2004-234155)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮島 潤  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 松永 稔
脇岡 剛
発明の名称 棒状導光体、照明ユニットおよび画像読取装置  
代理人 小山 有  

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