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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B22F
管理番号 1179996
審判番号 不服2006-15180  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-13 
確定日 2008-06-19 
事件の表示 特願2003-173098「金属粉末および金属粉末製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年1月13日出願公開、特開2005-8930〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年6月18日の出願であって、平成18年6月7日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月13日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成20年1月16日付けで当審より拒絶の理由が通知され、同年3月24日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願に係る発明は、平成20年3月24日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?9に記載されたとおりのものである。その内の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「タンディッシュの出口から落下する金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れる高圧のガス流を形成する工程と、
前記溶湯流を取り囲む高圧ガスを急激に膨張させて高圧ガスの圧力を減少させることにより、溶湯流を周囲に分散させて多数の微細液滴を形成する工程と、
分散した前記微細液滴に水を噴霧することにより、微細液滴を凝固させ、平均粒径が0.5?5μm、真球度が0.7?0.85、酸素含有量が500?3000ppmである金属粉末を得る工程とを備える、金属粉末の製造方法。」

3.当審拒絶理由の概要
当審より通知された拒絶の理由の概要は、次のとおりのものである。

本願請求項1?10に係る発明は、その出願前頒布された下記刊行物1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:Metal Powder Report Volume45 No7;第529頁;July/August 1990発行(平成17年4月21日付けの刊行物等提出書に添付された刊行物1)
上記刊行物1についての日本語訳が記載されている次の文献も参照
素形材2 VOL.32 NO.2 1991;林 俊太;第48頁、第49頁;財団法人素形材センター;平成3年2月20日発行(平成17年4月21日付けの刊行物等提出書に添付された刊行物2)

刊行物2:特公平2-53482号公報

刊行物3:Electronic Powders;Canadian Electronic Powders Corp.;2001年6月発行(平成17年4月21日付けの刊行物等提出書に添付された刊行物7)

4.引用刊行物とその記載事項
当審より通知された拒絶の理由で引用された刊行物1?3には、それぞれ、次の事項が記載されている。

(1)刊行物1:
(1a)「In the new process the metal stream・・・shown schemattically in Fig.1.」(第529頁左欄第21?26行)

日本語訳「新しいプロセスは、ガス噴霧と水噴霧を2段階で行うもので、溶湯流をまず高圧ガスジェットにより粉砕した後、短距離を垂直に飛行させ、更に高圧水ジェットにより冷却・噴霧するもので、これらの配置は模式図で示した。」(日本語訳として示した文献の第48頁右欄の粉末冶金2段噴霧プロセスにより製造した微細金属粉末の項目の本文第16?22行)

(1b)「The function of the water jets is, mainly to freeze the droplets before such collisions occur,」(第529頁左欄第48?50行)

日本語訳「その場合、水ジェットの主な機能は、このような衝突が起こる前に、溶滴を凝固させることにある。」(第49頁左欄の同項目の本文の第9?12行)

(2)刊行物2:
(2a)
「本発明は、金属粉の製造方法および装置に関する。」(第1頁第2欄第18?19行)

(2b)「本発明により、金属粉が密で無孔であり、且つ非常に球形に近い形状を有し、50μ以下の平均直径を有するような金属粉の製造を可能にする方法が確立される。
従つて、本発明による金属粉の製造方法の要旨は、次のものである。即ち、溶融金属流とガスが容器の開口部内へ流入し、このとき溶融金属流がこれに同軸に流動するガス流により引き出される金属粉の製造方法において、ガス流の流動速度が超音速を含む音速範囲にあること、および単繊維状溶融金属流がこれに対し層流状に流れるガス流の力により多繊維状溶融金属流にされ、この多繊維状溶融金属流がついで点滴状に分解され、固化後金属粉となる。」(第2頁第3欄第19?32行)

(2c)「溶融金属は、容器開口部内の位置でガスと接触し、この位置でガス圧は開口部前方の圧力の60%以下に降下する。即ち、この位置でのガスの流速はほぼ音速に近い。しかしながら、溶融金属とガスが接触する位置での圧力は、容器開口部前方のガス圧の少なくとも1/5であり、特に有利には1/3である。
特に、溶融金属との最初の接触位置でのガスの流速は音速を越えている。
ガスとしては、溶融金属と反応しないガスであればどのようなガスでも装入することができる。従つて、一般に酸素の装入は避けられる。特に、ヘリウムまたはアルゴン等の純度の高い不活性ガスが装入される。金属が水素化物を形成しない場合には、水素も装入することができる。さらに金属が窒化物を形成しない場合には、窒素も装入することができる。一酸化炭素等の焼焼排ガスもある種の条件のもとでは有利である。さらにガスの構成を制御することにより、特別な効果を得ることもできる。例えば酸素分圧の小さなガスを装入することにより、表面に酸化膜をもつ金属粉が得られ、これは例えば触媒として有利に使用することができる。」(第2頁第3欄第38行?同頁第4欄第16行)

(2d)「本発明において、微細金属粉の生成は、単繊維溶融金属流の形成という中間段階を経て行われ、その際粘度に比べて表面張力が大きいため、単繊維溶融金属流は熱力学的に極めて不安定な中間状態を示す。この不安定性により、単繊維溶融金属流は崩壊する傾向がある。上記の中間状態は極めて短いもので、容器開口部における音速範囲の高速ガス流の圧力降下により崩壊するが、ガス流が層流状態であるため、微細な多繊維状溶融金属流の束となる。この多繊維状溶融金属流の束が、ついで更に崩壊して点滴となり、これが固化して微細金属粉が生ずる。このように、非常に微細な金属粉をつくるには、点滴に崩壊する前に微細な多繊維状溶融金属流を形成することが重要である。」(第2頁第4欄第17?30行)

(2e)「容器の開口部前方の圧力は1barないし30barであり、特に有利には1barないし10barである。一般には、1barの圧力で十分である。より高圧にすれば、溶融金属流の炸裂を促す圧力勾配△p/△lを高めることも、並びに炸裂した溶融金属の抽出を促す超音速流の密度を増すことも可能になる。」(第2頁第4欄第38?44行)

(2f)「本発明は、金属粉を製造するための装置に関するものでもある。この装置には、少なくとも1つのガス通過用開口部によつて結合される2つのガス室と、両ガス室の間に圧力差を生じさせるための手段と、高圧のガス室に配置され少なくとも1つの溶融金属流出開口部を具備する溶融金属用るつぼが設けられ、該溶融金属流出開口部は、ガス通過用開口部に対して対称に配置されている。ガス通過用開口部は、隙間状の開口部として形成することもでき、その際るつぼは、隙間状のガス通過用開口部の中心面内に配置される多数の溶融金属流出開口部を有する。一方ガス通過用開口部を円対称な開口部として形成することも可能で、その際各ガス通過用開口部の軸線上に溶融金属流出開口部が設けられている。溶融金属流出開口部は、特に溶融金属流出用ニツプルの形状で形成されている。溶融金属流出用ニツプルは、ガス通過用開口部の最も狭い横断面の面内に通じている。
軸線方向でのガス通過用開口部の長さは、ガス通過用開口部の最も狭い位置での直径よりも短い。ガス通過用開口部は、横断面が最も狭い位置から流動方向にて90゜以上の開口角度で、特に有利には120゜以上の開口角度で拡がつている。
さらに、るつぼの溶融金属流出用ニツプルは、ガス通過用開口部が拡がりはじめる面内に溶融金属流出開口部が通じているような深さで、ガス通過用開口部内へ達している。」(第3頁第5欄第18?44行)

(2g)「第1図は、溶融金属2を含有する溶融金属用るつぼ1を示す。溶融金属用るつぼ1は、例えば石英ガラス、焼結セラミクス、黒鉛から成ることができる。溶融金属用るつぼ1は、その下面に少なくとも1つの溶融金属流出用ニツプル3を有している。」(第3頁第6欄第3?8行)

(2h)「下部ガス室9は、該下部ガス室内のガス圧調整のための送出ポンプ15を備えるガス排出管14を有する。下部ガス室9の底部は円錐形に形成され、そして形成された金属粉を送出するための閘門部16を有する。さらに円錐形の中間底部17を設けることができ、該中間底部17は、金属粉の集積及び金属粉とガスとの分離に用いられる。その際、熱絶縁部18を特に上部ガス室のために設けることができる。
本発明による方法を実施するために、まず溶融金属用るつぼ1を粉末化されるべき金属で満たす。次に、弁13を介してガス状媒体を装入する。るつぼ内の金属が溶融しはじめたならば、ポンプ15を用いて下部ガス室9を例えば10トルないし100トルの圧力まで真空にし、同時に上部ガス室を例えば1barの圧力に維持できる程度の量のガスを、弁13を介して順次供給する。供給されたガスは、例えば溶融液2の温度を有することができる。金属がるつぼ1内で溶融すると、ニツプル3にて溶融液が流出する。この溶融液は、ガス通過用開口部10内につくられる圧力勾配の作用のもとに分配され、そして超音速で流れるガスの作用のもとにまず繊維状溶融液19として引き出され、次にこの繊維状溶融液は滴状溶融液20に分解する。次に、ガス状媒体が開口部10を通過する際の断熱冷却により冷却が行なわれる。ガス状媒体として不活性ガスを装入する場合には、この不活性ガスをポンプ15と図示していない結合管を介して並びにガス供給管12を介して上部ガス室8に戻すことができる。形成される金属粉は、ガス室9内のガス圧を維持しながら閘門部16から周期的に排出する。」(第3頁第6欄第26行?第4頁第7欄第14行)

(3)刊行物3:
(3a)「銅粉末」「Cu-1000」の「物理データ」として「平均粒径 μm」「0.75-1.20」、「タップ密度 g/cm^(3)」「2.5-3.5」及び「(比)表面積 m^(2)/g」「0.55-0.90」と「典型的な分析値(ppm)」として「O<5000」が示されている。

5.当審の判断
(1)引用発明
当審より通知された拒絶の理由において引用された刊行物2の上記(2a)には、「本発明は、金属粉の製造方法および装置に関する。」と記載されており、ここで金属粉は、金属粉末ともいうことができるから、刊行物2は、金属粉末の製造方法について記載されたものといえる。

A.この金属粉末の製造方法は、(2b)の「溶融金属流とガスが容器の開口部内へ流入し、このとき溶融金属流がこれに同軸に流動するガス流により引き出される金属粉の製造方法」という記載によれば、「溶融金属流」は、金属溶湯流ということができ、これに「同軸に流動するガス流」は、(2f)の「該溶融金属流出開口部は、ガス通過用開口部に対して対称に配置されている。ガス通過用開口部は、隙間状の開口部として形成することもでき、その際るつぼは、隙間状のガス通過用開口部の中心面内に配置される多数の溶融金属流出開口部を有する。・・・各ガス通過用開口部の軸線上に溶融金属流出開口部が設けられている。」という記載によれば、金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れるといえるから、金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れるガス流を形成する工程を備えているといえる。また、この工程の「ガス流」は、(2d)の「容器の開口部前方の圧力は1barないし30barであり、特に有利には1barないし10barである。」という記載によれば、高圧の範囲を含むものといえる。さらに、(2g)の「溶融金属2を含有する溶融金属用るつぼ1を示す。・・・溶融金属用るつぼ1は、その下面に少なくとも1つの溶融金属流出用ニツプル3を有している。」という記載によれば、溶融金属用のるつぼの下面に有する溶融金属流出用ニップルから溶融金属が流出するといえるし、ここで、溶融金属用のるつぼ及び溶融金属流出用ニップルは、それぞれ、タンディシュ及びその出口ともいうことができるから、金属溶湯流は、タンディッシュの出口から落下するものといえる。
してみると、この金属粉末の製造方法は、タンディッシュの出口から落下する金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れる高圧のガス流を形成する工程を備えているといえる。

B.この金属粉末の製造方法は、(2e)の「容器の開口部前方の圧力は1barないし30barであり、特に有利には1barないし10barである。一般には、1barの圧力で十分である。より高圧にすれば、溶融金属流の炸裂を促す圧力勾配△p/△lを高めることも、並びに炸裂した溶融金属の抽出を促す超音速流の密度を増すことも可能になる。」という記載、(2c)の「溶融金属は、容器開口部内の位置でガスと接触し、この位置でガス圧は開口部前方の圧力の60%以下に降下する。・・・溶融金属とガスが接触する位置での圧力は、容器開口部前方のガス圧の少なくとも1/5であり、特に有利には1/3である。」という記載、及び(2d)の「本発明において、微細金属粉の生成は、単繊維溶融金属流の形成という中間段階を経て行われ、・・・上記の中間状態は極めて短いもので、容器開口部における音速範囲の高速ガス流の圧力降下により崩壊するが、ガス流が層流状態であるため、微細な多繊維状溶融金属流の束となる。この多繊維状溶融金属流の束が、ついで更に崩壊して点滴となり、これが固化して微細金属粉が生ずる。」という記載によれば、溶融金属流(溶湯流)を取り囲む高圧ガスの圧力勾配△p/△lを高める(高圧ガスを急激に膨張させて高圧ガスの圧力を減少させる)ことにより溶融金属流を周囲に分散させて多数の微細点滴(液滴)を形成し、これを固化させ金属粉末を得るものといえる。
してみると、この金属粉末の製造方法は、溶湯流を取り囲む高圧ガスを急激に膨張させて高圧ガスの圧力を減少させることにより、溶湯流を周囲に分散させて多数の微細液滴を形成する工程と、微細液滴を凝固させ、金属粉末を得る工程とを備えているといえる。

C.この金属粉末の製造方法は、(2b)の「本発明により、金属粉が密で無孔であり、且つ非常に球形に近い形状を有し、50μ以下の平均直径を有するような金属粉の製造を可能にする方法が確立される。」という記載、及び(2c)の「ガスの構成を制御することにより、特別な効果を得ることもできる。例えば酸素分圧の小さなガスを装入することにより、表面に酸化膜をもつ金属粉が得られ、」という記載によれば、50μ以下の平均直径(すなわち、粒径)を有し、非常に球形に近い(すなわち、真球度の高い)形状を有し、酸素含有量が制御された金属粉末を得る工程を備えているといえる。
してみると、この金属粉末の製造方法は、液滴を凝固させ、50μ以下の平均粒径を有し、真球度の高い形状を有し、酸素含有量が制御された金属粉末を得る工程を備えているといえる。

以上の記載及び該記載から導かれた認定事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物2には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「タンディッシュの出口から落下する金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れる高圧のガス流を形成する工程と、
前記溶湯流を取り囲む高圧ガスを急激に膨張させて高圧ガスの圧力を減少させることにより、溶湯流を周囲に分散させて多数の微細液滴を形成する工程と、
分散した前記微細液滴を凝固させ、平均粒径が50μ以下、真球度が高く、酸素含有量が制御された金属粉末を得る工程とを備える、金属粉末の製造方法。」

(2)本願発明と引用発明との対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、
「タンディッシュの出口から落下する金属溶湯流を取り囲みながら溶湯流とともに流れる高圧のガス流を形成する工程と、
前記溶湯流を取り囲む高圧ガスを急激に膨張させて高圧ガスの圧力を減少させることにより、溶湯流を周囲に分散させて多数の微細液滴を形成する工程とを備える、金属粉末の製造方法。」という点で一致し、次の点で相違しているといえる。

相違点:
本願発明は、「分散した微細液滴に水を噴霧することにより、微細液滴を凝固させ、平均粒径が0.5?5μm、真球度が0.7?0.85、酸素含有量が500?3000ppmである金属粉末を得る工程」を備えるのに対して、引用発明は、分散した微細液滴を凝固させ、平均粒径が50μ以下、真球度が高く、酸素含有量が制御された金属粉末を得る工程を備えている点

(3)相違点についての判断
そこで、この相違点について検討する。
引用発明の、分散した微細液滴を凝固させる手段について、刊行物2の(2h)には、「下部ガス室9の底部は円錐形に形成され、そして形成された金属粉を送出するための閘門部16を有する。さらに円錐形の中間底部17を設けることができ、該中間底部17は、金属粉の集積及び金属粉とガスとの分離に用いられる。・・・形成される金属粉は、ガス室9内のガス圧を維持しながら閘門部16から周期的に排出する。」と記載されているところからみると、ガス雰囲気下で自然に冷却されて凝固するものといえる。しかしながら、刊行物1の(1a)の「溶湯流をまず高圧ガスジェットにより粉砕した後、短距離を垂直に飛行させ、更に高圧水ジェットにより冷却・噴霧する」という記載、及び(1b)の「水ジェットの主な機能は、このような衝突が起こる前に、溶滴を凝固させることにある。」という記載に示されているように、分散した微細液滴を凝固させる手段として、分散した微細液滴に水を噴霧することは、本出願前当業者に周知の事項といえるから、引用発明において、分散した微細液滴を凝固の凝固手段として、水噴霧を用いることは、前記周知の事項に基づいて当業者が容易に想到することといえる。
また、得られる金属粉末について、引用発明のものは、平均粒径が50μ以下であり、真球度が高く、その酸素含有量を制御することが可能であるから、これらの条件を満たす範囲内において金属粉末の平均粒径、真球度及び酸素含有量を本願発明の範囲を含め所望の値に定めることは、当業者が適宜なし得ることといえる。
そして、例えば、刊行物3の(3a)の銅粉末:Cu-1000に示されるように、平均粒径、真球度(計算により求められる。)及び酸素含有量の数値範囲は、本願発明の範囲と重複するといえるから、本願発明のこれらの数値範囲は、本出願前当業者に周知の事項といえるものであって、格別特異な範囲ともいえない。

(4)小括
したがって、上記相違点は、上記で述べたように、当業者が容易に想到し得ることといえるから、本願発明は、引用発明及び本出願前当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

6.結び
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、その他の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-21 
結審通知日 2008-04-22 
審決日 2008-05-07 
出願番号 特願2003-173098(P2003-173098)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B22F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米田 健志  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 平塚 義三
近野 光知
発明の名称 金属粉末および金属粉末製造方法  
代理人 森下 八郎  
代理人 吉田 博由  
代理人 伊藤 英彦  

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