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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G08C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08C
管理番号 1180129
審判番号 不服2006-7640  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-21 
確定日 2008-06-27 
事件の表示 特願2005- 36683「センサコントローラ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月16日出願公開、特開2006- 48632〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成17年2月14日(優先権主張平成16年3月15日、平成16年6月30日)の出願であって、平成18年2月10日付けで特許請求の範囲、明細書又は図面についての手続補正がなされ、同年3月24日付けで拒絶査定(同年3月29日発送)がなされ、これに対し、同年4月21日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで特許請求の範囲、明細書又は図面についての手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。


第2.本件補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
本件補正を却下する。


〔理 由〕
1.補正の内容及び本件補正後の発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、補正前の請求項1である

「【請求項1】
1つのユニットとして構成されたセンサコントローラであって、
プログラム可能な論理回路とセンサコントローラの動作を制御するCPUとを有する制御部と、
他のセンサコントローラとの接続に用いることのできるユニット間コネクタと、
制御部とユニット間コネクタとの間の信号伝送経路であって、プログラム可能な論理回路とユニット間コネクタとの間に設けられたセンシングデータ伝送経路を含むユニット間経路と、を備え、
プログラム可能な論理回路は、センシングデータ伝送経路を介して波形データ又は画像データを含むセンシングデータを送信又は受信するようにプログラムされ、
それにより、ユニット間コネクタに他のセンサコントローラが接続されたときに、プログラム可能な論理回路と当該他のセンサコントローラのプログラム可能な論理回路との間で波形データ又は画像データを含むセンシングデータの伝送を行うことができるようにした、センサコントローラ。」

から、

「【請求項1】
1つのユニットとして構成されたセンサコントローラであって、プログラム可能な論理回路とセンサコントローラの動作を制御するCPUとを有する制御部と、他のセンサコントローラとの接続に用いることのできるユニット間コネクタと、制御部とユニット間コネクタとの間の信号伝送経路であって、プログラム可能な論理回路とユニット間コネクタとの間に設けられたセンシングデータ伝送経路を含むユニット間経路と、を備え、プログラム可能な論理回路は、センシングデータ伝送経路を介して画像データを含むセンシングデータを送信又は受信するようにプログラムされ、それにより、ユニット間コネクタに他のセンサコントローラが接続されたときに、プログラム可能な論理回路と当該他のセンサコントローラのプログラム可能な論理回路との間で画像データを含むセンシングデータの伝送を行うことができるようにした、センサコントローラ。」

と補正する補正事項を含むものである。

この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「波形データ又は画像データを含むセンシングデータ」について「画像データを含むセンシングデータ」と限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。


2.引用例記載の事項及び引用例記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前の平成7年12月12日に頒布された刊行物である米国特許第5475583号明細書(以下「引用例」という。)には、次の事項(ア)?(カ)が図面とともに記載されている(以下において、和訳はその基礎とする優先権主張番号が引用例のものと同じである、特開平7-168610号公報の記載を参照している。)。

(ア)「The present invention relates to a storage-programmable control system having several inputs and outputs for linking process control elements,for example sensors or final controlling elements.The present invention also relates to a method for operating a storage-programmable control system and a method for the computer-controlled,internal electrical connection of a field-programmable gate array.」(1列7?13行)
(和訳:本発明は、プロセス制御要素、たとえばセンサまたは操作端を接続するための複数の入力端(8)および出力端(9)を有する、特に包装およびラベリング機械に対するメモリプログラミング可能な制御装置ならびにメモリプログラミング可能な制御装置の作動方法およびプログラミング可能な論理フィールドの計算機制御による内部の電気的接続のための方法に関する。(段落【0001】参照))

(イ)「Also apparent from FIG.1,the subassembly 3 has a logic module 10,which can be a field-programmable gate array (FPGA),for example.The logic module 10 is connected via processor 11 to the bus 5 and,consequently, to the central processing unit 2.」(3列44?48行)
(和訳:さらに図1から明らかなように、アセンブリ3はたとえばプログラミング可能な論理フィールド(FPGA)であり得る論理モジュール10を有する。論理モジュール10はプロセッサ11を介してバス5と、従ってまた中央ユニット2とも接続されている。(段落【0018】参照))

(ウ)「The logic module 10 is connected,via bus 16 and controllines 17,to the processor 11,and thus also to the processor 6.Therefore,monitoring the correct function of the logic module 10 is possible,even during operation.
To monitor the logic module 10,the values of corresponding inputs 8 and outputs 9 can be transmitted simultaneously to the processor 11 and, in addition,to the processor 6 for processing in the logic module 10.」(4列25?32行)
(和訳:論理モジュール10はバス16および制御線17を介してプロセッサ11と、従ってまたプロセッサ6とも接続されている。それにより、論理モジュール10の正しい機能を、作動の間にも、監視することが可能である。論理モジュール10の監視のためには、対応する入力端8および出力端9の値が同時に論理モジュール10内での処理のためにプロセッサ11に、またさらにプロセッサ6に伝達され得る。(段落【0023】参照))

(エ)「As shown in Fig.1,interconnecting several of these logic modules 10,10’ serially and/or in parallel to one another is possible such that the program to be run is divided between the central processing unit 2 and the subassemblies 3,3’.」(5列25?29行)
(和訳:その際に、図1に示されているように、これらの論理モジュール10、10’の複数を直列かつ(または)並列に互いに接続することが可能である。プログラム進行はそれにより中央ユニット2およびアセンブリ3、3’に分配される。(段落【0029】参照))

(オ)図面のFIG.1から、『subassembly 3(和訳:アセンブリ3)がlogic module 10(和訳:論理モジュール10)とprocessor 11(和訳:プロセッサ11)を具備する』点が読みとれる。

(カ)図面のFIG.4から、『subassembly 3(和訳:アセンブリ3)が1つのユニットとして構成される』点が読みとれる。


上記(ア)(イ)の記載により、引用例記載の発明は『プログラミング可能な論理フィールド(FPGA)であり得る論理モジュール10を有する、センサが接続されるアセンブリ3』に関するものである点を認定することができ、 また、「センサが接続されるアセンブリ3」について、アセンブリ3にはセンサが接続されているのであるから、センサから出力された信号が受信されているものと認められる。

上記(オ)の記載において、「論理モジュール10」と「プロセッサ11」を総じて『制御部』と称すれば、引用例記載の発明は『論理モジュール10とプロセッサとを有する制御部』を具備する点を認定することができる。

上記(ウ)の記載により、引用例記載の発明は『プロセッサ11は論理モジュール10の正しい機能を、動作中監視する』点を認定することができ、
ここで、「論理モジュール10」は「アセンブリ3」の一部分であり、また、「論理モジュール10の正しい機能を、動作中監視する」とは実質的には『論理モジュール10が正しく機能するようにその動作を制御する』の意味であるから、これらを踏まえれば、引用例記載の発明は『プロセッサ11はアセンブリ3の動作を制御する』点を認定することができる。

上記(エ)の記載により、引用例記載の発明は『論理モジュール10、10’の複数を互いに接続することが可能である』点を認定することができ、
ここで、「論理モジュール10」は「アセンブリ3」の一部分であり、「論理モジュール10’」は他の「アセンブリ3’」の一部分であり、「アセンブリ3」も他の「アセンブリ3’」もそれぞれユニットを構成するから(上記(カ)参照)、これらを踏まえれば、引用例記載の発明は『アセンブリ3と他のアセンブリ3’はユニット間接続手段を介して接続が可能である』点を認定することができる。

また、「論理モジュール10」は「制御部」の一部分であるから、「制御部」と「ユニット間接続手段」との間は接続されており、この経路を『信号伝送経路』と称し、さらに、「論理モジュール10」と「ユニット間接続手段」との間の経路を『データ伝送経路』と称し、さらに、「信号伝送経路」と「データ伝送経路」を総じて『ユニット間経路』と称すれば、引用例記載の発明は『制御部とユニット間接続手段との間の信号伝送経路であって、論理モジュール10とユニット間接続手段との間に設けられたデータ伝送経路を含むユニット間経路』を具備する点を認定することができる。

また、引用例記載の発明が『データ伝送経路はデータを送信又は受信する』ものであることは、データ伝送経路の作用からして明らかであり、また、『ユニット間接続手段に他のアセンブリ3’が接続されたときに、論理モジュール10と当該他のアセンブリ3’の論理モジュール10’との間でデータの伝送を行うことができる』ものであることは、ユニット間接続手段の作用からして明らかである。


したがって、引用例には、

『1つのユニットとして構成された、センサが接続されセンサから出力された信号が受信されるアセンブリ3であって、論理モジュール10とアセンブリ3の動作を制御するプロセッサとを有する制御部と、他のアセンブリ3’との接続に用いることのできるユニット間接続手段と、制御部とユニット間接続手段との間の信号伝送経路であって、論理モジュール10とユニット間接続手段との間に設けられたデータ伝送経路を含むユニット間経路と、を備え、論理モジュール10は、データ伝送経路を介してデータを送信又は受信するようにプログラムされ、それにより、ユニット間接続手段に他のアセンブリ3’が接続されたときに、論理モジュール10と当該他のアセンブリ3’の論理モジュール10’との間でデータの伝送を行うことができるようにした、プログラミング可能な論理フィールド(FPGA)であり得る論理モジュール10を有する、センサが接続されセンサから出力された信号が受信されるアセンブリ3。』
(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。


3.対比
(ア)本願補正発明と引用発明との対比
まず、引用発明の「論理モジュール10」、「プロセッサ」は、本願補正発明の「プログラム可能な論理回路」、「CPU」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の「センサから出力された信号」について、この信号が生データなのか又は生データを演算処理して得られた加工済みデータなのかについては引用発明において特定されていないものの、本願発明の「センシングデータ」は「一般にセンサヘッドが出力する映像信号、電圧値、電圧波形のような生データと、生データを演算処理して得られた特徴量、判定結果のような加工済みデータとのいずれをも指す」(本願明細書の段落【0011】参照)のであるから、引用発明の「センサから出力された信号」は、本願発明の「センシングデータ」に相当するといえる。
また、引用発明の「センサが接続されセンサから出力された信号が受信されるアセンブリ3」は、センサから出力された信号を受信して、プログラム可能な論理回路とアセンブリ3の動作を制御するCPUとを有する制御部によって任意の信号処理を行うものであるところ、一般に、「センサコントローラ」とはセンサから出力された信号を受信して任意の信号処理を行う手段を指し、本願発明の「センサコントローラ」についても、センサが出力する生データ、又は生データを演算処理して得られた加工済みデータのいずれかの信号を受信して、プログラム可能な論理回路とアセンブリ3の動作を制御するCPUとを有する制御部によって任意の信号処理を行うものであることから、引用発明の「センサが接続されセンサから出力された信号が受信されるアセンブリ3」は、本願発明の「センサコントローラ」に相当するといえる。
同様に、引用発明の「他のアセンブリ3’」、「他のアセンブリ3’の論理モジュール10’」についても、本願補正発明の「他のセンサコントローラ」、「他のセンサコントローラのプログラム可能な論理回路」に相当するといえる。
また、本願補正発明の「ユニット間コネクタ」は、ユニット間を接続するための手段であるから、引用発明の「ユニット間接続手段」は、本願補正発明の「ユニット間コネクタ」と、ユニット間を接続するための手段である点で共通している。

したがって、両者は、
《一致点》
「1つのユニットとして構成されたセンサコントローラであって、プログラム可能な論理回路とセンサコントローラの動作を制御するCPUとを有する制御部と、他のセンサコントローラとの接続に用いることのできるユニット間を接続するための手段と、制御部とユニット間を接続するための手段との間の信号伝送経路であって、プログラム可能な論理回路とユニット間を接続するための手段との間に設けられたセンシングデータ伝送経路を含むユニット間経路と、を備え、プログラム可能な論理回路は、データ伝送経路を介してセンシングデータを送信又は受信するようにプログラムされ、それにより、ユニット間を接続するための手段に他のセンサコントローラが接続されたときに、プログラム可能な論理回路と当該他のセンサコントローラのプログラム可能な論理回路との間でセンシングデータの伝送を行うことができるようにした、センサコントローラ。」である点で一致し、以下の点で相違している。

《相違点1》
センシングデータに関し、本願補正発明では、画像データを含むものであるのに対して、
引用発明では、画像データを含むものとの特定はされていない点。

《相違点2》
ユニット間を接続するための手段が、本願補正発明は、「コネクタ」であるのに対して、
引用発明は、「コネクタ」であるとの特定はされていない点。


4.判断
以下、上記相違点1,2について検討する。
まず、相違点1について、『プログラム可能な論理回路を有するセンサコントローラを、画像データを含むセンシングデータを処理するためのセンサコントローラとして使用する』点は、例えば原査定の拒絶理由において引用された特開2002-357408号公報(【図1】、【図4】参照)に記載されているようにプログラム可能な論理回路を有するセンサコントローラの技術分野において周知技術である。
また、プログラム可能な論理回路を有するセンサコントローラを、画像データを含むセンシングデータを処理するためのセンサコントローラとして使用した場合、センサコントローラに接続されたセンシングデータ伝送経路を介して送信又は受信されるセンシングデータが、画像データを含むものとなることは明らかである。
よって、引用発明に上記周知技術を適用して、本願補正発明のごとく構成することは、当業者が容易になし得たものである。
次に、相違点2について、『接続手段としてコネクタを使用する』点は、例えば原査定の拒絶理由において引用された特開2002-286413号公報(【図2】、【図3】参照)に記載されているように接続手段として周知技術である。
よって、引用発明に上記周知技術を適用して、本願補正発明のごとく構成することは、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願補正発明の奏する効果も引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測し得る範囲内のものにすぎない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。


5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明の認定
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至32に係る発明は、平成18年2月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至32に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載される事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
1つのユニットとして構成されたセンサコントローラであって、
プログラム可能な論理回路とセンサコントローラの動作を制御するCPUとを有する制御部と、
他のセンサコントローラとの接続に用いることのできるユニット間コネクタと、
制御部とユニット間コネクタとの間の信号伝送経路であって、プログラム可能な論理回路とユニット間コネクタとの間に設けられたセンシングデータ伝送経路を含むユニット間経路と、を備え、
プログラム可能な論理回路は、センシングデータ伝送経路を介して波形データ又は画像データを含むセンシングデータを送信又は受信するようにプログラムされ、
それにより、ユニット間コネクタに他のセンサコントローラが接続されたときに、プログラム可能な論理回路と当該他のセンサコントローラのプログラム可能な論理回路との間で波形データ又は画像データを含むセンシングデータの伝送を行うことができるようにした、センサコントローラ。」


2.引用例記載の事項及び引用発明の認定
上記「第2.」「2.」のとおりである。


3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.」で検討した本願補正発明の「画像データを含むセンシングデータ」という構成を、「波形データ又は画像データを含むセンシングデータ」と上位概念化したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含む本願補正発明が、上記「第2.」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明については論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-25 
結審通知日 2008-05-01 
審決日 2008-05-14 
出願番号 特願2005-36683(P2005-36683)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G08C)
P 1 8・ 575- Z (G08C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 櫻井 健太  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 山田 昭次
森口 正治
発明の名称 センサコントローラ  
代理人 飯塚 信市  

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