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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01M
管理番号 1181727
審判番号 不服2007-5812  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-23 
確定日 2008-07-24 
事件の表示 平成10年特許願第268865号「アルカリ電池用セパレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 4月 7日出願公開、特開2000-100409〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年9月24日の出願であって、平成19年1月26日に拒絶査定がなされ、同年2月23日にこれに対する審判請求がなされたものであり、その請求項1?5に係る発明は、平成18年7月12日付けで補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は以下に示すとおりのものと認められる(以下、請求項1に係る発明を、「本願発明」という。)。

「引張り強さが20g/d以上のパラ系芳香族ポリアミド繊維と接着性繊維を含み、前記接着性繊維の接着のみによって結合した不織布からなるアルカリ電池用セパレータであり、前記アルカリ電池用セパレータを構成する繊維はフィブリル化していないことを特徴とする、アルカリ電池用セパレータ。」

2.原査定の理由の概要
原審の拒絶査定の理由の概要は、本願の請求項1?5に係る発明はその出願前日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1?3に基いてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

刊行物1:特開平09-027311号公報
刊行物2:特開平08-185848号公報
刊行物3:社団法人 日本化学会,化学便覧 応用化学編,日本,丸善株式会社,1988年11月15日,第2刷,第1142?1143頁

3.刊行物の記載事項
(1)刊行物1
[1-a]「【請求項1】 少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された有機繊維を含有してなり、且つ透気度が100mmHg以上であることを特徴とする電池セパレーター用不織布。」(特許請求の範囲の請求項1)
[1-b]「【請求項5】 有機繊維が、パラ系アラミド繊維であることを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の電池セパレーター用不織布。」(特許請求の範囲の請求項5)
[1-c]「従来、ニッケル-カドミウム電池やニッケル-水素電池などのアルカリ二次電池用のセパレーターとしては、ポリアミド繊維やポリオレフィン系繊維からなる不織布が・・・多く使用されている。」(【0002】)
[1-d]「本発明は、従来技術に見られる上記問題点を解決するものである。即ち、本発明の目的は、ガス透過性および電解液保持性に優れ、ピンホールがなく、内部短絡を防止することができる電池セパレーター用不織布を提供することにある。」(【0011】)
[1-e]「少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された有機繊維としては、以下のような方法で加工されたものが挙げられる。
有機繊維を繊維長5mm以下、好ましくは3mm以下に切断したものを原料とし、これを水に分散させて懸濁液とする。懸濁液の濃度は重量百分率で最大25%、好ましくは1?10%であり、さらに好ましくは、1?2%である。この懸濁液をエマルジョンや分散体製造用の高圧均質化装置に導入し、少なくとも100kg/cm^(2)、好ましくは200?500kg/cm^(2)、さらに好ましくは400?500kg/cm^(2)の圧力を加え、繰り返し均質化装置に通過させる。この間に高速で器壁に衝突させ、急速に減速させることにより生じる剪断力がパラ系アラミド繊維に加えらえるが、その効果は主として繊維軸と平行な方向に引き裂き、ほぐすような力として与えられ、次第にフィブリル化する。」(【0022】、【0023】)
[1-f]「パラ系アラミド繊維とは、例えばデュポン・東レ・ケブラー社や帝人社からケブラー、帝人社からテクノーラ、オランダのアクゾ社からトワロンの商品名で市販されているものである。」(【0026】)
[1-g]「上記3つの発明における繊維状バインダーとしては、繊維自身が熱により一部または全部溶融して繊維間の結着力を生じせしめる熱溶融タイプ、繊維自身が水または熱水に一部または全部溶解し、乾燥過程で繊維間に結着力を生じさせるタイプ、さらには細かい繊維の絡み合いの力により繊維間に結着力を生じさせるタイプ等が目的に応じて単独または2種以上混合して用いられる。
これら繊維状バインダーの具体例としては、ビニロン繊維、・・・ポリエチレンとポリプロピレンからなる複合繊維、ポリプロピレンとエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる複合繊維・・・などが好ましく用いられる。不織布が高強度になり、耐熱性、耐電解液性に優れる点からビニロン繊維・・・がより好ましく用いられる。」(【0034】、【0035】)
[1-h]「比較例6
パラ系アラミド繊維(デュポン・東レ・ケブラー社製、ケブラーチョップドファイバー、繊維長6mm)90%およびビニロン繊維(クラレ社製、VPB107-1×3)10%を水中に分散させたスラリーを調製し、円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量30g/m^(2)、厚み140μmの電池セパレーター用不織布を作製した。」(【0081】)
[1-i]「一方、比較例6?8の電池セパレーター用不織布は、空隙率が高いため電解液保持性は実用上問題ないレベルであったが、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された有機繊維を含有せず、太デニールの繊維を90%含有するためピンホールが存在し、内部短絡を起こした。」(【0118】)

(2)刊行物2
[2-a]「1種以上の熱可塑性短繊維と熱融着短繊維とが相互に三次元的に水流交絡されており、熱融着短繊維の一部又は全部が熱溶融されて繊維間が接着されてなる湿式不織布において、繊維表面に不織布の全重量に基いて0.05?0.5重量%のノニオン系界面活性剤が付着していることを特徴とする、電池用セパレーター」(特許請求の範囲の【請求項1】)
[2-b]「本発明は、・・・電池用セパレーター及び上記電池用セパレーターを組み込んだサイクル特性に優れたアルカリ蓄電池を提供することを目的とするものである。」(【0005】)
[2-c]「本発明に用いる熱可塑性短繊維、熱融着短繊維の素材としては、電解液のアルカリ溶液に対し耐久性を有するもの、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系:COOH、SO_(3) H、OH、COOM、SO_(3 )M、OM(Mは軽、重金属)などの親水基を持つポリオレフィン系:ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン10、ナイロン12などのポリアミド系:ポリパラフェニレンテレフタルアミド等のアラミド系繊維等の単独または組合せたものが好ましい。
本発明に用いる熱可塑性短繊維として、より好ましくは適度の親水性を有し、耐アルカリ性を有するポリアミド系繊維であり、具体的には特に好ましくはナイロン6、ナイロン66が使用される。」(【0009】、【0010】)
[2-d]「不織布製造工程において、水流交絡が無い製造工程では、基布を乾燥機に導布する場合、混抄シート中の熱可塑性短繊維と熱融着短繊維が三次元的に絡み合っていないことから、混抄シートはほとんど引張強度を持っていない。強度発現のためには、一度熱融着短繊維を溶融させ繊維相互間を仮接着せねばならず、その後でないと乾燥機に導布することが出来ない。直接混抄シートをそのまま乾燥させる面接触型の乾燥機などにより乾燥させることが考えられるが、混抄シートの表面だけしか熱が伝わらないため強度が充分発現できなかったり、表面の熱融着短繊維によるフィルム化により通気度の低下を招いたりするため余り実用的でなく、また低温高圧力で混抄シートを圧着すれば厚みが薄くなり、通気度、液体の保持の低下を招くこととなる。
一方では、熱可塑性短繊維と熱融着短繊維の交絡点の数が減少するために、上記に記載した熱融着短繊維の効果が発現しにくいと解釈される。この様な工程上の問題を解決するために水流交絡工程が必要不可欠となってくる。」(【0027】、【0028】)
[2-e]「(実施例1)繊維長L=7.5mmである0.5デニール(単糸直径D=7.8μm)のナイロン66短繊維80%とL=15mmである2デニール(単糸直径D=14.1mm)の熱融着短繊維ユニメルトUL-61〔ユニチカ(株)製、芯部:ナイロン6、鞘部:共重合ナイロン〕20%を水に分散し1%濃度のスラリー液に調整した。このスラリー液から傾斜型長網抄紙機により85g/m2 の混抄シートを得た。得られた混抄シ-トを80メッシュの金網に乗せ、ノズル径0.15mmのノズルを装着したノズルヘッダーを285rpmで円運動させ、圧力15kg/cm^(2) の水を噴射させて混抄シートに衝突させることにより短繊維、熱融着短繊維を交絡させた。更に同じ処理を6回行った後、シートの表裏を逆転させて同じ処理を7回施した。続いてノズルヘッダーを420rpmで回転させ、水圧10kg/cm^(2) で表裏各2回ずつ処理して交絡シートが完成した。
得られた交絡シートを温度を160℃に設定したピンテンター乾燥機で乾燥すると同時に交絡シート間のユニメルトUL-61の鞘部(融点140℃)を溶融せしめた。次いで、ノニオン系界面活性剤エマルゲン120(花王(株)製)を0.05%含有する水溶液に浸漬した後、付着率が不織布の200%になるように絞り、温度を130℃に設定したピンテンター乾燥機で乾燥した。更に、100℃に加熱した一対の金属ロールに導き、線圧45kg/cmでカレンダー加工を施して目付65g/m^(2)、厚さ0.15mmの電池用セパレーターを得た。」(【0034】、【0035】)
[2-f]「(比較例3)実施例1と同様にナイロン66が80%、ユニメルトUL-61が20%からなる混抄シートに実施例記載の流体流処理を全く施さず、温度160℃、圧力70g/cm^(2) の条件で熱プレスし、続いて温度を160℃に設定したピンテンター乾燥機でシート内のユニメルトUL-61を溶解せしめた。更に実施例1と同様に同じ界面活性剤付与、カレンダー加工を行い目付65g/m^(2 )、厚さ0.15mmの電池用セパレーターを得た。」(【0038】)
[2-g]【0039】の表1には、実施例1?3、及び比較例1?3の電池用セパレータについての、目付、厚み、活性剤付着量、プレス圧、引張強度、通気度、保液率、吸液速度、抱液率のデータが示されている。
[2-h]「比較例3の場合は熱可塑性短繊維と熱融着短繊維が三次元的に絡み合っていない。つまり混抄シートはほとんど引張強度を持っていないので、一度熱融着短繊維を溶融させ繊維相互間を仮接着した後、乾燥機で融着しているのも関わらず引張強度が低い。また、厚み調整のためのプレス圧が高くなり、通気度も低くなる。」(【0040】)

(3)刊行物3
刊行物3には、芳香族ナイロン(アラミド)フィラメントとして、商品名Kevlar(ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド))の引張り強さが20?25gD^(-1)(g/d)であり、軟化、溶融しないことが記載されている。

4.当審の判断
(1)刊行物2に記載された発明
刊行物2の[2-a]、[2-b]によると、刊行物2には、『1種以上の熱可塑性短繊維と熱融着短繊維とが相互に三次元的に水流交絡されており、熱融着短繊維の一部又は全部が熱溶融されて繊維間が接着されてなる湿式不織布において、繊維表面に不織布の全重量に基いて0.05?0.5重量%のノニオン系界面活性剤が付着しているアルカリ蓄電池用セパレーター』が記載されているといえる。
そして、[2-c]には「本発明に用いる熱可塑性短繊維、熱融着短繊維の素材としては、・・・例えば・・・ポリパラフェニレンテレフタルアミド等のアラミド系繊維等・・・が好ましい」と記載されており、刊行物3には、ポリパラフェニレンテレフタルアミドは溶融しないと記載されているから、上記の記載における「ポリパラフェニレンテレフタルアミド」は、上記セパレーターの熱可塑性短繊維として例示されていることが明らかである。
以上によると、刊行物2には、『ポリパラフェニレンテレフタルアミドよりなる熱可塑性短繊維と熱融着短繊維を含み、水流交絡及び熱融着短繊維の溶融による接着によって結合した不織布からなるアルカリ蓄電池用セパレーター』の発明が記載されているといえる。(以下、この発明を「刊行物2発明」といい、「セパレーター」は「セパレータ」と表記する。)

(2)本願発明と刊行物2発明との対比
本願発明(前者)と刊行物2発明(後者)とを対比すると、後者の「ポリパラフェニレンテレフタルアミドよりなる熱可塑性短繊維」は、前者の「パラ系芳香族ポリアミド繊維」に相当し、後者の「熱融着短繊維」は、前者の「接着性繊維」に相当するから、両者は、「パラ系芳香族ポリアミド繊維と接着性繊維を含み、前記接着性繊維の接着によって結合した不織布からなるアルカリ電池用セパレータ」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:前者は、パラ系芳香族ポリアミド繊維の「引張り強さが20g/d以上」であるのに対して、後者は、パラ系芳香族ポリアミド繊維の引張り強さが不明である点
相違点2:前者は、不織布が「接着性繊維の接着のみによって結合した」ものであるのに対して、後者は、「水流交絡及び接着性繊維の接着によって結合した」ものである点
相違点3:前者は、繊維が「フィブリル化していない」のに対して、後者はフィブリル化について規定されていない点

(3)判断
(i)相違点1について
刊行物1の[1-f]、及び刊行物3の記載によると、刊行物2発明におけるパラ系芳香族ポリアミドである「ポリパラフェニレンテレフタルアミド」として、引張強度が20?25g/dである商品名Kevlarは、本願出願前より周知のものと認められるから、刊行物2発明におけるポリパラフェニレンテレフタルアミドとして、引張強度が20?25g/dである商品名Kevlarを選択することは、上記周知の事項に基づいて当業者が容易になし得る設計的事項と認められる。

(ii)相違点2について
刊行物2の[2-d]には、「水流交絡が無い製造工程」による不織布の問題点が記載され、[2-f]には、[2-e]に記載の実施例1と同じ製造条件で、水流絡合のみを省略した比較例3の不織布によるセパレータの製造工程が記載されており、[2-g]には、比較例3の不織布によるセパレータは、実施例1と同じ目付、厚み、活性剤付着量であっても、実施例1より引張強度や、通気度、保液率、吸液速度、抱液率で劣ることが示され(以下、後者の四種の特性は、いずれも不織布の多孔構造に関する特性と認められるから、まとめて「通気度等」という。)、[2-h]には、比較例3の不織布について、「熱可塑性短繊維と熱融着短繊維が三次元的に絡み合っていない。つまり混抄シートはほとんど引張強度を持っていないので、一度熱融着短繊維を溶融させ繊維相互間を仮接着した後、乾燥機で融着しているのも関わらず引張強度が低い。また、厚み調整のためのプレス圧が高くなり、通気度も低くなる。」と記載されている。
してみると、刊行物2発明における「水流交絡による結合」は、熱可塑性繊維と接着性繊維とが三次元的に絡み合うことによって、引張強度を高め、かつプレス圧を高くする必要がないので、適切な多孔構造を保ち、通気度等を高める作用を奏する工程であると認められる。
これに対して、「水流交絡による結合」を行うことなく、接着性繊維の接着のみによって結合した不織布よりなる電池用セパレータは、原査定の備考に示す各文献(特開平7-94163号公報【0040】、特開平6-251760号公報【0026】、特開平4-212267号公報第3頁第4欄第6?18行、特開平3-93154号公報第4頁左下欄第9?20行)に記載された周知の事項である。
そうすると、刊行物2発明は、引張強度及び通気度等の性能面から、「水流交絡による結合」を行うものであるが、「水流交絡による結合」を行うためには、別途製造工程を増やす必要があることが明らかであるし、上記の比較例3のセパレータが全く実用不可能なものであるとも認められないから、引張強度や通気度等の性能の要求水準がさほど高くないセパレータの場合においては、性能の要求度と工程簡略化とのバランスを考慮して、「水流交絡による結合」工程を省略し、上記周知の接着性繊維の接着のみによる結合を行うことも、当業者が容易に想到し得ることといえる。

(iii)相違点3について
刊行物1の[1-e]には、繊維のフィブリル化について、「有機繊維を繊維長5mm以下、好ましくは3mm以下に切断したものを原料とし、これを水に分散させて懸濁液とする。・・・この懸濁液をエマルジョンや分散体製造用の高圧均質化装置に導入し、・・・圧力を加え、繰り返し均質化装置に通過させる。この間に高速で器壁に衝突させ、急速に減速させることにより生じる剪断力がパラ系アラミド繊維に加えらえるが、その効果は主として繊維軸と平行な方向に引き裂き、ほぐすような力として与えられ、次第にフィブリル化する」と記載されているから、繊維のフィブリル化には、上記のような剪断力の印加による引き裂きやほぐしの工程が必要なものと認められる。
これに対して、刊行物2には、刊行物2発明における熱可塑性繊維及び接着性繊維に対して、格別の剪断力を印加して引き裂きやほぐしを行うことは記載されていないし、示唆するところもない。
そうすると、刊行物2発明における熱可塑性繊維及び接着性繊維は、フィブリル化していないと認められる。
したがって、相違点3は実質的な相違点であるとは認められない。

(iv)小括
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物2発明、刊行物1,3の記載事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

(4)補足
なお、原査定の備考欄には、刊行物1を主引例とする場合の判断が示されていないが、本願発明は刊行物1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するということもできるので、以下に補足する。
すなわち、刊行物1の[1-a]?[1-g]の記載、及び刊行物3に記載の商品名Kevlarの物性によると、刊行物1には、「引張り強さが20g/d以上のパラ系芳香族ポリアミド繊維と接着性繊維であるビニロン繊維を含み、前記接着性繊維の接着のみによって結合した不織布からなるアルカリ二次電池用セパレータであり、前記アルカリ電池用セパレータを構成する繊維はフィブリル化しているアルカリ二次電池用セパレータ」(以下、「実施例のセパレータ」という。)が記載されており、[1-h]、[1-i]の記載によると、刊行物1には、実施例のセパレータの比較例として、「引張り強さが20g/d以上のパラ系芳香族ポリアミド繊維と接着性繊維であるビニロン繊維を含み、前記接着性繊維の接着のみによって結合した不織布からなるアルカリ二次電池用セパレータであり、前記アルカリ電池用セパレータを構成する繊維はフィブリル化していないアルカリ二次電池用セパレータ」(以下、「比較例のセパレータ」という。)も記載されているといえる。
そうすると、本願発明は、刊行物1に記載された比較例のセパレータと何ら変わるところがないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物2に記載された発明、刊行物1,3の記載事項及び周知の事項に基いて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-22 
結審通知日 2008-05-27 
審決日 2008-06-10 
出願番号 特願平10-268865
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨士 美香  
特許庁審判長 吉水 純子
特許庁審判官 近野 光知
鈴木 由紀夫
発明の名称 アルカリ電池用セパレータ  

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