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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L |
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管理番号 | 1182135 |
審判番号 | 不服2006-3407 |
総通号数 | 105 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-02-23 |
確定日 | 2008-07-30 |
事件の表示 | 特願2003-36277「グリル組立体及びそれを備えた真空掃除機用サイクロン集塵装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年6月17日出願公開、特開2004-167206〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成15年2月14日(パリ条約による優先権主張2002年11月21日、大韓民国)の特許出願であって、平成17年11月22日付けで拒絶査定され(発送日:平成17年11月29日)、これに対して、平成18年2月23日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。 本願の請求項1?13に係る発明は、平成17年11月1日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「吸込み空気が旋回気流を形成するようにし、遠心力によって前記旋回気流から汚物を分離するサイクロンボディーの空気排出管の入口に配置されて汚物の逆流を防ぐものであって、 グリルボディーと; 前記グリルボディーに形成された複数の流路と; 前記グリルボディー側に向く上昇気流に含まれた汚物を反射させてその進行方向を前記旋回気流側へ転換させるために前記グリボディーの下部に配置される汚物遮断部材とを含み、 前記汚物遮断部材は、 下部に行くほどその直径が大きくなる円錐形の第1部材と; 前記円錐形の第1部材から直下方に該第1部材の下方向への延出量よりも長い長さ延ばされる円筒形の第2部材とを備えることを特徴とする真空掃除機用サイクロン集塵装置のグリル組立体。」 2.刊行物 原査定の拒絶の理由に示された、特開2002-143052号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 ア.「図10は従来のサイクロン集塵装置8の構造を示す縦断面図であり、接続パイプ5の長手方向を垂直にした場合を示している。10はサイクロン集塵装置8のサイクロン本体である。サイクロン本体10は、接続パイプ5に連結する連結管11の上端に、横方向に張り出す形で遠心分離室12を形設している。遠心分離室12は水平断面形状がほぼ円形であり、その内周壁の一部に、連結管11からの空気の流入口13が開口する。流入口13は、空気の流入方向が遠心分離室12の内周壁に対し接線方向となる位置に設けられている。遠心分離室12の中心には排気筒14を配置する。 排気筒14は底面が閉じ、上面が開口した円筒形の部材であって、外周部に複数個の排気口15を設けている。排気口15にはナイロン等の合成繊維を織って細かいメッシュとしたフィルター16を被着する。排気筒14の上面開口部は遠心分離室12の天井面に形設された連結管17に挿入される。排気筒14の外面上部は雄ネジ部18となっており、その下に形設したフランジ19の上にゴム等弾性材料からなるシール20を載せ、ネジ部18を連結管17の下端(こちらは雌ネジ部となっている)にネジ込んで行けば、排気筒14は遠心分離室12の天井面から垂下する形で取り付けられる。連結管17の他端にはサクションホース4が接続される。遠心分離室12の下端は開口部21となっており、ここにダストカップ9の上端の開口部22が気密に挿入される。」(段落【0004】?【0005】) イ.「【発明の実施の形態】以下、本発明の各種実施形態を図1?図7に基づき説明する。なお、これらの実施形態は、電気掃除機としての基本構成は図9、10で紹介した従来構造と同じであり、この従来構造と共通する構成要素については前の符号を流用し、説明は省略する。 図1?図3に本発明の第1の実施形態を示す。・・・(中略)・・・ 排気筒14の下端には傘状の分離部材40を取り付ける。分離部材40は、排気筒14の下端に螺合する雌ネジ部41を上端に有し、そこから斜め下へ円錐形に広がり、円錐形状の外端に円筒壁を有する外輪42を垂設した形状になっている。外輪42とダストカップ9の間には環状の空間43が形成される。」(段落【0019】?【0021】) ウ.「上記実施形態における集塵動作について説明する。サイクロン集塵装置8に空気が吸込まれると、吸気流は連結管11から流入口13を通って遠心分離室12の中に、遠心分離室12の内周壁に沿って接線方向に流入し、排気筒14の周囲に高速の旋回気流を形成する。気流に含まれていた塵埃は高速旋回による遠心力で気流から分離する。塵埃を分離した気流は排気口15から排気筒14の中に入り、サクションホース4に吸込まれる。 排気筒14の周囲に高速旋回気流が発生するのに伴い、ダストカップ9の内部全体に副次的な旋回気流が生じる。高速旋回気流から分離した塵埃は、この副次的旋回気流に乗って旋回しつつ、分離部材40の外周とダストカップ9の間の空間43を通り分離部材40の下に落下する。分離部材40が円錐形なのはこの塵埃の流れを円滑にするためである。」(段落【0024】?【0025】) エ.「副次的旋回気流は時として分離部材40の外周を抜けて上昇しようとする挙動を示すことがある。分離部材40の外周から垂下した外輪42は、上昇する気流に向かって設けられているので、気流と共に塵埃が上昇し、遠心分離室12に逆流することが阻止される。」(段落【0028】) オ.「自身の周囲に旋回気流を形成する排気筒をサイクロン集塵装置に設け、該排気筒の下端に塵埃の逆流防止用の分離部材を取り付けたので、折角分離した塵埃が再び高速の旋回気流に巻き込まれることがない。」(段落【0045】) これらの事項及び図面の記載内容をふまえ、刊行物には、次の発明(以下、「刊行物記載の発明」という。)が記載されていると認める。 「吸込み空気が旋回気流を形成するようにし、遠心力によって前記旋回気流から塵埃を分離するサイクロン本体のサクションホースの入口に配置されて塵埃の逆流を防ぐものであって、 排気筒と; 前記排気筒に形成された複数の排気口と; 塵埃の逆流防止のために前記排気筒の下部に配置される分離部材とを含み、 前記分離部材は、 排気筒の下端に螺合する雌ネジ部を上端に有し、そこから斜め下へ円錐形に広がり、円錐形状の外端に円筒壁を有する外輪を垂設したものであるサイクロン集塵装置の塵埃の逆流防止手段。」 3.対比 本願発明と刊行物記載の発明を対比する。 刊行物記載の発明における「塵埃」は、本願発明における「汚物」に相当する。以下、同様に、「サイクロン本体」は「サイクロンボディー」に、「サクションホース」は「空気排出管」に、「排気筒」は「グリルボディー」に、「排気口」は「流路」に、「サイクロン集塵装置」は「真空掃除機用サイクロン集塵装置」に、それぞれ相当する。 刊行物記載の発明における「分離部材」は、汚物(塵埃)の逆流防止のためのものであって、グリルボディー(排気筒)側に向く上昇気流に含まれた汚物(塵埃)を反射させてその進行方向を旋回気流側へ転換させるものといえるから、本願発明の「汚物遮断部材」に相当する。 そして、刊行物記載の発明の「塵埃の逆流防止手段」とは、グリルボディー(排気筒)に汚物遮断部材(分離部材)を組み合わせたものであるから、本願発明の「グリル組立体」に相当する。 また、刊行物記載の発明の汚物遮断部材(分離部材)において、円錐形状の部位は、本願発明の「第1部材」に相当し、円筒壁の部位は、本願発明の「第2部材」に相当する。 そうしてみると、本願発明と刊行物記載の発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「吸込み空気が旋回気流を形成するようにし、遠心力によって前記旋回気流から汚物を分離するサイクロンボディーの空気排出管の入口に配置されて汚物の逆流を防ぐものであって、 グリルボディーと; 前記グリルボディーに形成された複数の流路と; 前記グリルボディー側に向く上昇気流に含まれた汚物を反射させてその進行方向を前記旋回気流側へ転換させるために前記グリルボディーの下部に配置される汚物遮断部材とを含み、 前記汚物遮断部材は、 下部に行くほどその直径が大きくなる円錐形の第1部材と; 前記円錐形の第1部材から直下方に延ばされる円筒形の第2部材とを備える真空掃除機用サイクロン集塵装置のグリル組立体。」 [相違点] 第2部材の長さが、本願発明では第1部材の下方向への延出量よりも長いものであるのに対して、刊行物記載の発明ではそのようなものであるのかどうか明らかでない点。 4.当審の判断 相違点について検討する。 刊行物記載の発明における汚物遮断部材(分離部材)は、グリルボディー(排気筒)から上昇する気流に向かって垂下されることにより、気流と共に汚物が上昇することを阻止するものである(摘記事項「エ.」参照)から、その長さを大きくとることは、当業者が容易に想到し得たことであり、そのために第2の部材を長くすることは、当業者が通常の創作能力を発揮してなし得たことである。 そして、そのような第2の部材の長さとして、第1部材の下方向への延出量よりも長くする程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。 しかも、本願発明において、特に第2部材の長さと第1部材の下方向への延出量の相対的な関係によって、刊行物記載の発明から予期される以上の格別顕著な効果が奏されるものでもない。 したがって、本願発明は、刊行物記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶の査定をされるべきものである。 よって、 結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-02-27 |
結審通知日 | 2008-03-04 |
審決日 | 2008-03-17 |
出願番号 | 特願2003-36277(P2003-36277) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A47L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金丸 治之 |
特許庁審判長 |
新海 岳 |
特許庁審判官 |
関口 哲生 長崎 洋一 |
発明の名称 | グリル組立体及びそれを備えた真空掃除機用サイクロン集塵装置 |
代理人 | 伊東 忠彦 |