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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1182415
審判番号 不服2008-2480  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-05 
確定日 2008-08-06 
事件の表示 平成10年特許願第 34025号「シンボル可変表示装置付きパチンコ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 8月10日出願公開、特開平11-216236〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成10年1月30日の出願であって、平成19年7月11日付け拒絶理由通知に対して、同年9月13日付けで手続補正がされたが、平成20年1月18日付けで拒絶査定され、これに対し、同年2月5日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、手続補正がされたものである。

第2.平成20年2月5日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年2月5日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正前及び本件補正後の本願発明、及び補正目的
本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、以下のように補正された。

(補正前)
【請求項1】
複数種のシンボルを可変表示させる複数個の可変表示部より成るシンボル可変表示装置を備え、盤面に打ち出されたパチンコ玉がこの盤面の所定位置に設けられた始動入賞口に入ったことに応じて大当たりを成立させるか否かを決定する大当たり抽選を実行し、この後に各可変表示部にて可変表示動作を開始し、前記抽選結果が当たりのときには大当たりのシンボル組合せが成立し、それ以外のときには、はずれのシンボル組合せが成立するように、各可変表示部の可変表示を特定の順序で1つずつ停止させ、少なくとも1つの可変表示部が可変表示を実行している状態下で前記始動入賞口にパチンコ玉が入ったときは、このパチンコ玉に対する前記大当たり抽選の結果を保留し、この結果が保留された抽選より前に実行された抽選に対するシンボルの可変表示がすべて終了したことを契機に、各可変表示部による可変表示を開始するようにしたパチンコ遊技機であって、前記保留された大当たり抽選の結果が当たりである可能性を表すシンボル組合せとして、少なくとも1つの可変表示部が可変表示を実行している状態下で大当たりシンボル組合せが成立する可能性がないことを示す、非リーチはずれシンボル組合せが複数とおり設定されるとともに、これらの非リーチはずれシンボル組合せが表す当選の可能性がそれぞれ異なる値になるように、前記保留された大当たり抽選の結果が当たりであるときに各非リーチはずれシンボル組合せが選択される確率と、前記保留された大当たり抽選の結果がはずれであるときに各非リーチはずれシンボル組合せが選択される確率とが、それぞれ個別に定められた抽選テーブルが設けられ、抽選結果がはずれとなった大当たり抽選に対する可変表示が開始されたとき、当該大当たり抽選より後に実行された大当たり抽選の結果が保留されていることを条件に、前記抽選テーブルを用いて前記複数とおりの非リーチはずれシンボル組合せのいずれか1つを選択する組合せ選択抽選を実行し、この組合せ選択抽選で選択されたシンボル組合せが成立するように、各可変表示部の停止動作を制御する停止動作制御手段を具備して成るシンボル可変表示装置付きパチンコ機。

(補正後)
【請求項1】
複数種のシンボルを可変表示させる複数個の可変表示部より成るシンボル可変表示装置を備え、盤面に打ち出されたパチンコ玉がこの盤面の所定位置に設けられた始動入賞口に入ったことに応じて大当たりを成立させるか否かを決定する大当たり抽選を実行し、この後に各可変表示部にて可変表示動作を開始し、前記抽選結果が当たりのときには大当たりのシンボル組合せが成立し、それ以外のときには、はずれのシンボル組合せが成立するように、各可変表示部の可変表示を特定の順序で1つずつ停止させ、少なくとも1つの可変表示部が可変表示を実行している状態下で前記始動入賞口にパチンコ玉が入ったときは、このパチンコ玉に対する前記大当たり抽選の結果を保留し、この結果が保留された抽選より前に実行された抽選に対するシンボルの可変表示がすべて終了したことを契機に、各可変表示部による可変表示を開始するようにしたパチンコ遊技機であって、前記保留された大当たり抽選の結果が当たりである可能性を表すシンボル組合せとして、少なくとも1つの可変表示部が可変表示を実行している状態下で大当たりシンボル組合せが成立する可能性がないことを示す、非リーチはずれシンボル組合せが複数通り設定されるとともに、これらの非リーチはずれシンボル組合せが表す前記保留された大当たり抽選の結果が当たりである可能性がそれぞれ異なる値となるように、前記保留された大当たり抽選の結果が当たりであるときに各非リーチはずれシンボル組合せが選択される確率と、前記保留された大当たり抽選の結果がはずれであるときに各非リーチはずれシンボル組合せが選択される確率とが、それぞれ個別に定められた2つの抽選テーブルが設けられ、抽選結果がはずれとなった大当たり抽選に対する可変表示が開始されたとき、当該大当たり抽選より後に実行された大当たり抽選の結果が保留されていることを条件に、該保留された大当たり抽選の結果に応じて、前記2つの抽選テーブルのうち何れかの抽選テーブルを選択するとともに、選択した抽選テーブルを用いて前記複数とおりの非リーチはずれシンボル組合せのいずれか1つを選択する組合せ選択抽選を実行し、この組合せ選択抽選で選択されたシンボル組合せが成立するように、各可変表示部の停止動作を制御する停止動作制御手段を具備して成るシンボル可変表示装置付きパチンコ機。

上記補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「抽選テーブル」について限定的に減縮するものである。また、発明の詳細な説明の記載に関する補正は、上記請求項の補正に対応させるためのものである。よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-336648号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

【請求項3】
表示状態が変化可能な可変表示装置を有する遊技機であって、前記可変表示装置を可変開始させた後、表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段と、前記可変表示装置の表示結果内容を該可変表示装置が可変開始する以前の段階から予め決定しておく表示結果内容事前決定手段と、前記可変表示制御手段は、前記表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に、該特定の表示態様が表示結果として導出表示される予定となっている回の可変表示以前の段階からの複数回の可変表示結果を、予め定められた特定の関係にすることを特徴とする、遊技機。

段落【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、たとえば、パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシン等で代表される遊技機に関し、詳しくは、表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機に関する。

段落【0013】
遊技領域3の中央には、複数種類の識別情報を可変表示して表示状態が変化可能な可変表示装置4が設けられている。・・・

段落【0014】
・・・始動口9が開成状態となり、打玉がより入賞しやすい状態(小当り)となる。この始動口9に入賞した始動入賞玉は始動玉検出器21により検出され、その検出出力に基づいて可変表示装置4が可変開始される。

段落【0015】
この可変表示装置4は、たとえば液晶表示装置等で構成されており、可変表示部5が設けられている。この可変表示部5は、図1に示すように、左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とに3分割されており、すべての可変表示部が一斉に可変開始することにより複数種類の図柄等からなる識別情報が上から下に向かってスクロール表示され、まず左可変表示部が停止制御され、次に右可変表示部が停止制御され、最後に中可変表示部が停止制御される。

段落【0016】
この可変表示装置4が可変停止された状態で、識別情報が、予め定められた特定の識別情報の組合せ(たとえば777)となり、表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合には、特定遊技状態が発生して可変入賞球装置10が第1の状態に制御されて所定の遊技価値が付与可能な大当り状態となる。このように、このパチンコ遊技機には、図柄を可変表示するものとして、第1の図柄表示装置としての普通図柄表示器14と、第2の図柄表示装置としての可変表示装置4とが設けられている。したがって、このパチンコ遊技機においては、普通図柄表示器14による第1の図柄と、可変表示装置4による第2の図柄とが表示されることとなる。

段落【0017】
このような可変表示装置4の可変表示中においては、リーチ状態が発生する場合がある。ここで、リーチとは、表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特定の表示態様の組合せになった場合に、所定の遊技価値が付与される遊技機において、前記複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が前記特定の表示態様の組合せとなる条件を満たしている表示態様をいう。

段落【0019】
可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉が記憶され、可変表示装置4が可変停止した後、再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始される。この始動入賞記憶の上限は、たとえば「4」と定められている。・・・

段落【0030】
図3は、可変表示装置4の可変表示制御に用いられる各種ランダムカウンタを説明するための説明図である。C RND1は、大当りを発生させるか否かを事前決定するために用いられ、0からカウントアップしてその上限である219までカウントアップし、再度0からカウントアップし直すように構成されている。・・・

段落【0031】
C RND ZU1は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の左可変表示部の停止時に表示する予定の予定停止図柄の種類を決定するために用いられるものであり、0からカウントアップしてその上限である14までカウントアップした後再度0からカウントアップし直されるものである。・・・

段落【0032】
次にC RND ZU2は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の中可変表示部に停止表示するべき予定停止図柄を事前決定するために用いられるものであり、0からカウントアップしてその上限である14までカウントアップした後再度0からカウントアップし直される。・・・

段落【0033】
次にC RND ZU3は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の右可変表示部に停止表示する予定の予定停止図柄を事前決定するためのものであり、0からカウントアップされてその上限である14までカウントアップした後再度0からカウントアップし直される。・・・

段落【0034】
次に、C RND RCHは、リーチの種類を決定するためのものであり、0からカウントアップしてその上限である10までカウントアップした後、再度0からカウントアップし直されるものである。そして、そのカウントアップの更新は、C RND ZU3の桁上げのときにC RND RCHが「1」ずつ加算されることにより行なわれる。すなわち、C RND ZU3の値が「14」から「0」に変化したときにC RND RCHが「1」ずつ加算更新されるのである。

段落【0035】
次にC RND2は、大当り予告決定用に用いられ、0からカウントアップしてその上限である1までカウントアップした後、再度0からカウントアップし直される。このカウントアップの加算更新は、C RND RCHの桁上げ、すなわち、C RND RCHの値が「10」から「0」に変化したときに、C RND2が「1」ずつ加算更新されるのである。このC RND2の抽出値が「0」の場合には、大当り予告をしない旨が事前決定され、その抽出値が「1」の場合には、大当り予告を行なう旨が事前決定される。

段落【0036】
図4は、可変表示装置4の可変表示制御の第1の例を示すフローチャートである。この第1の例では、大当り予告報知を、連続的に発生するリーチ状態の表示により行ない、それぞれのリーチ状態における停止図柄を段階的に大当り状態に近づける可変表示制御動作を行なう例を説明する。

段落【0037】
打玉が始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その時点におけるC RND1の値を抽出し、その抽出値が「3」以外のときには、はずれが事前決定される。その場合には、C RND ZU1の抽出値により左可変表示部の予定停止図柄が決定され、C RND ZU2の抽出値により中可変表示部の予定停止図柄が決定され、C RND ZU3の抽出値により右可変表示部の予定停止図柄が決定される。

段落【0038】
なお、これら3つのランダムカウンタの抽出値により予定停止図柄を決定した際に、その決定内容がたとえばぞろ目となり大当りを発生させるための図柄の組合せが偶然一致した場合には、C RND ZU2の抽出値に「1」を加算して強制的にはずれの図柄となるように制御する。

段落【0039】
一方、C RND1の抽出値が「3」のときには、大当りを発生させることが事前決定される。そして、大当りを発生させることが事前決定された場合には、以下のように、大当りとなる図柄の決定、大当り予告用のリーチ図柄の決定、および、大当り予告用の中停止図柄の決定がなされる。

段落【0040】
C RND ZU1の抽出値により、大当りとなる図柄が決定される。さらに、大当り予告用のリーチ図柄の決定は、C RND2の抽出値が「1」になった場合に、次のようになされる。

段落【0041】
すなわち、大当りを発生させることが事前決定された前に始動入賞記憶が2つある場合に、各始動入賞記憶に対応する可変表示においてリーチ表示を強制的に行なわせるために、各可変表示におけるC RND ZU3の値がC RNDZU1(「C RND ZU1」の誤記と認める。)の抽出値に一致させられる。たとえば、始動入賞記憶値が「3」の場合を仮定すると、1回目の可変表示において、C RND ZU3の値を、1回目の可変表示に伴って抽出したC RND ZU1の値に一致させる動作が行なわれるとともに、2回目の可変表示において、C RND ZU3の値を、2回目の可変表示に伴って抽出したC RND ZU1の値に一致させる動作が行なわれる。その結果、実際に大当りとなる識別情報の組合せが表示される以前に連続して2回にわたって、左停止図柄(左可変表示部の停止図柄)、右停止図柄(右可変表示部の停止図柄)とが同じ種類の図柄となり、強制的なリーチ表示が行なわれる。

段落【0042】
遊技者は、このように連続したリーチ表示を視認して、大当りが発生することを予感する。なお、稀に偶然リーチ表示が連続して行なわれる場合も生じるが、その場合には、実際には大当りが発生しない。

段落【0043】
大当りが事前決定され、大当り予告を行なう場合には、さらに、後述する図8の第1の大当り予告テーブルにより、大当りが事前決定されたときの始動入賞記憶数に応じて、前述のように強制的に発生される各リーチ表示の際の中停止図柄が決定される。それらの中停止図柄は、左,中,右の停止図柄が段階的に大当り状態に近づく図柄になるように、第1の大当り予告テーブルによって予め定められている。

段落【0056】
図8は、第1の大当り予告テーブルの内容を示す説明図である。この図8に示される第1の大当り予告テーブルにおいては、大当り予告を行なう場合の「大当り予告処理内容」が、大当りを発生させることが事前決定された際に存在する始動入賞記憶数である「大当り判定時の始動記憶数」に応じて予め定められている。

段落【0057】
大当り予告処理内容を詳しく説明すると次のとおりである。大当り判定時の始動記憶数が「1」である場合には、1回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の3図柄手前の図柄にする。そして、2回目の可変表示において、大当たりを発生させる。大当り判定時の始動記憶数が「2」である場合には、1回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の3図柄手前の図柄にする。そして、2回目の可変表示において中停止図柄をリーチ図柄の1図柄手前に図柄にする。そして、3回目の可変表示において、大当りを発生させる。大当り判定時の始動記憶数が「3」である場合には、1回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の5図柄手前の図柄にする。そして、2回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の3図柄手前の図柄にする。そして、3回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の1図柄手前の図柄にする。そして、4回目の可変表示において、大当りを発生させる。

段落【0058】
この第1の大当り予告テーブルに設定された大当り予告処理内容に基づいて得られる左,中,右可変表示部の停止図柄の具体的な一例を挙げると次のようになる。たとえば、大当り判定時の始動記憶数が「2」である状態において、大当り予告を行ない、左,中,右の大当り図柄が「777」になる場合を仮定すると、各可変表示において、「414」、「545」、「777」のようになる。これは単なる一例である。このように、第1の大当り予告テーブルにおいては、可変表示の回が、大当りが事前決定されている可変表示の回に近づくにつれて、リーチ表示の際の停止図柄が大当りに近づくように中停止図柄が設定されている。

段落【0059】
したがって、第1の例の可変表示制御が行なわれると、遊技者は、リーチ表示が連続して行なわた(「行なわれた」の誤記と認める。)ことを視認し、かつ、各リーチ表示の際の停止図柄が大当りに近づいていくことを視認することにより、大当りが発生することを予感することができる。

段落【0091】
また、本実施例においては、大当りを発生させることが事前決定された場合にすべての始動入賞記憶に対応する可変表示をリーチ表示にするようにした。しかし、これに限らず、複数の始動入賞記憶について1つおきに強制的にリーチ表示をさせるようにしてもよく、また、予め定められた始動入賞記憶の箇所(たとえば、2つ目の始動入賞記憶)に対応する可変表示の回に強制的にリーチ表示をさせるようにしてもよい。また、本実施例においては、大当りを発生させることが事前決定された場合に、大当り以前の始動入賞記憶に対応する可変表示を強制的にリーチ表示にするようにしたが、これに限らず、リーチ状態を発生させる確率をランダムカウンタによって高くするようにしてもよい。すなわち、大当りを発生させることが事前決定された場合に、リーチ表示がなされる頻度が高くなる制御が行なわれればよい。

(3)引用発明
摘記した上記(2)の記載等から観て、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が、開示されていると認められる。

「遊技領域3の中央には、複数種類の識別情報を可変表示して表示状態が変化可能な可変表示装置4が設けられ、始動口9に入賞した始動入賞玉は始動玉検出器21により検出され、その検出出力に基づいて可変表示装置4が可変開始され、可変表示装置4の可変表示制御に用いられるランダムカウンタC RND1は、大当りを発生させるか否かを事前決定するために用いられ、この可変表示装置4は、たとえば液晶表示装置等で構成されており、可変表示部5が設けられ、左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とに3分割されており、すべての可変表示部が一斉に可変開始することにより複数種類の図柄等からなる識別情報が上から下に向かってスクロール表示され、まず左可変表示部が停止制御され、次に右可変表示部が停止制御され、最後に中可変表示部が停止制御され、この可変表示装置4が可変停止された状態で、識別情報が、予め定められた特定の識別情報の組合せ(たとえば777)となり、表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合には、特定遊技状態が発生して可変入賞球装置10が第1の状態に制御されて所定の遊技価値が付与可能な大当り状態となり、可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉が記憶され、可変表示装置4が可変停止した後、再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始されるパチンコ遊技機において、
打玉が始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その時点におけるランダムカウンタC RND1の値を抽出し、その抽出値が「3」以外のときには、はずれが事前決定され、一方、C RND1の抽出値が「3」のときには、大当りを発生させることが事前決定され、そして、大当りを発生させることが事前決定された場合には、大当りとなる図柄の決定、大当り予告用のリーチ図柄の決定、および、大当り予告用の中停止図柄の決定がなされ、
ランダムカウンタC RND ZU1は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の左可変表示部の停止表示するべき予定停止図柄を事前決定するために用いられ、
ランダムカウンタC RND ZU2は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の中可変表示部に停止表示するべき予定停止図柄を事前決定するために用いられ、
ランダムカウンタC RND ZU3は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の右可変表示部に停止表示するべき予定停止図柄を事前決定するために用いられ、
ランダムカウンタC RND RCHは、リーチの種類を決定するために用いられ、
ランダムカウンタC RND2が、大当り予告決定用に用いられ、
その抽出値が「0」の場合には、大当り予告をしない旨が事前決定され、
その抽出値が「1」の場合には、大当り予告を行なう旨が事前決定され、
大当り判定時の始動記憶数が「1」である場合には、
1回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の3図柄手前の図柄にして、
2回目の可変表示において、大当たりを発生させ、
大当り判定時の始動記憶数が「2」である場合には、
1回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の3図柄手前の図柄にして、
2回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の1図柄手前に図柄にして、
3回目の可変表示において、大当りを発生させ、
大当り判定時の始動記憶数が「3」である場合には、
1回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の5図柄手前の図柄にして、
2回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の3図柄手前の図柄にして、
3回目の可変表示において、中停止図柄をリーチ図柄の1図柄手前の図柄にして、
4回目の可変表示において、大当りを発生させ、
たとえば、大当り判定時の始動記憶数が「2」である状態において、大当り予告を行ない、左、中、右の大当り図柄が「777」になる場合を仮定すると、各可変表示において、1回目「414」、2回目「545」、3回目「777」のようにして、可変表示の回が、大当りが事前決定されている可変表示の回に近づくにつれて、リーチ表示の際の停止図柄が大当りに近づくように中停止図柄が設定されることで、遊技者は、リーチ表示が連続して行なわれたことを視認し、かつ、各リーチ表示の際の停止図柄が大当りに近づいていくことを視認することにより、大当りが発生することを予感することができ、
大当りが事前決定され、大当り予告を行なう場合には、大当り予告テーブルにより、大当りが事前決定されたときの始動入賞記憶数に応じて、前述のように強制的に発生される各リーチ表示の際の中停止図柄が決定され、それらの中停止図柄は、左、中、右の停止図柄が段階的に大当り状態に近づく図柄になるように予め定められ、
リーチ状態を発生させる確率をランダムカウンタによって高くするようにして、大当りを発生させることが事前決定された場合に、リーチ表示がなされる頻度が高くなる制御が行なわれるもの。」

(4)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較する。

(一致点)
本願補正発明の前提部である
「複数種のシンボルを可変表示させる複数個の可変表示部より成るシンボル可変表示装置を備え、盤面に打ち出されたパチンコ玉がこの盤面の所定位置に設けられた始動入賞口に入ったことに応じて大当たりを成立させるか否かを決定する大当たり抽選を実行し、この後に各可変表示部にて可変表示動作を開始し、前記抽選結果が当たりのときには大当たりのシンボル組合せが成立し、それ以外のときには、はずれのシンボル組合せが成立するように、各可変表示部の可変表示を特定の順序で1つずつ停止させ、少なくとも1つの可変表示部が可変表示を実行している状態下で前記始動入賞口にパチンコ玉が入ったときは、このパチンコ玉に対する前記大当たり抽選の結果を保留し、この結果が保留された抽選より前に実行された抽選に対するシンボルの可変表示がすべて終了したことを契機に、各可変表示部による可変表示を開始するようにしたパチンコ遊技機」は、
引用発明の前提部である
「遊技領域3の中央には、複数種類の識別情報を可変表示して表示状態が変化可能な可変表示装置4が設けられ、始動口9に入賞した始動入賞玉は始動玉検出器21により検出され、その検出出力に基づいて可変表示装置4が可変開始され、可変表示装置4の可変表示制御に用いられるランダムカウンタC RND1は、大当りを発生させるか否かを事前決定するために用いられ、この可変表示装置4は、たとえば液晶表示装置等で構成されており、可変表示部5が設けられ、左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とに3分割されており、すべての可変表示部が一斉に可変開始することにより複数種類の図柄等からなる識別情報が上から下に向かってスクロール表示され、まず左可変表示部が停止制御され、次に右可変表示部が停止制御され、最後に中可変表示部が停止制御され、この可変表示装置4が可変停止された状態で、識別情報が、予め定められた特定の識別情報の組合せ(たとえば777)となり、表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合には、特定遊技状態が発生して可変入賞球装置10が第1の状態に制御されて所定の遊技価値が付与可能な大当り状態となり、可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉が記憶され、可変表示装置4が可変停止した後、再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始されるパチンコ遊技機」に相当するので、
両者で、表現上の相違は有るにしても、技術思想上の実質的な差異は無い。
よって、両発明は、上記前提部において一致している。

(相違点1)
本願補正発明は、「保留された大当たり抽選の結果が当たりである可能性を表すシンボル組合せとして、少なくとも1つの可変表示部が可変表示を実行している状態下で大当たりシンボル組合せが成立する可能性がないことを示す、非リーチはずれシンボル組合せが複数通り設定されるとともに、これらの非リーチはずれシンボル組合せが表す前記保留された大当たり抽選の結果が当たりである可能性がそれぞれ異なる値となるように、前記保留された大当たり抽選の結果が当たりであるときに各非リーチはずれシンボル組合せが選択される確率と、前記保留された大当たり抽選の結果がはずれであるときに各非リーチはずれシンボル組合せが選択される確率とが、それぞれ個別に定められた2つの抽選テーブル」を有しているが、
引用発明は、大当り予告テーブルを有するが、上記本願補正発明のような抽選テーブルではない。
(相違点2)
本願補正発明は、「抽選結果がはずれとなった大当たり抽選に対する可変表示が開始されたとき、当該大当たり抽選より後に実行された大当たり抽選の結果が保留されていることを条件に、該保留された大当たり抽選の結果に応じて、前記2つの抽選テーブルのうち何れかの抽選テーブルを選択するとともに、選択した抽選テーブルを用いて前記複数とおりの非リーチはずれシンボル組合せのいずれか1つを選択する組合せ選択抽選を実行し、この組合せ選択抽選で選択されたシンボル組合せが成立するように、各可変表示部の停止動作を制御する停止動作制御手段」を有しているが、
引用発明は、各可変表示部の停止動作を制御する大当り予告テーブルに基づいた停止動作制御手段を有するが、上記本願補正発明のような停止動作制御手段ではない。

(5)相違点の判断及び本願補正発明の独立特許要件の判断
以下、上記相違点1、2について判断する。

(相違点1について)
本願出願前に頒布された刊行物である、特開平8-117390号公報には、次のことが記載されている。
段落【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)などの電子回路により遊技態様を制御する遊技機、特に複数の図柄(シンボル)を可変表示する可変表示部を備えたスロットマシン、いわゆるパチスロ、及びパチンコ機等の弾球遊技機を含む遊技機に関する。
段落【0010】
大ヒットのリクエスト信号が発生した状態になっていることを遊技者に知らせるには、別設のランプ等を用いることもできるが、スロットマシンのシンボル表示そのものを利用することが部品点数を減らし、また、シンボル表示に対して遊技者の興味をひきつける上でも有利である。
段落【0011】
例えば“7-7-7”が大ヒットのシンボルの組合せであるとき、マイコンは、この大ヒットシンボルの組合せが入賞ライン上に並ぶように可変表示部を停止制御するが、実際に可変表示が停止した時に大ヒットのシンボルの組合せになるかどうかは、遊技者の停止操作のタイミングに依存する。従って、“7-7-7”の大ヒットリクエスト信号が発生した状態になっていても、遊技者がその大ヒットシンボルの組合せを入賞ライン上に並ばせることができなかった場合には、入賞ライン上に“7-7-α”(αは“7”以外の特定のシンボル)のような組合せのシンボル表示を行うように制御すると、大ヒットが近いという状態を表すのに好適である。このように大ヒットが近いことを示すシンボルの組合せは、「リーチ目」と称されている。
段落【0043】
更に、ROM22の記憶部22c内には、概念的に図6のように表わされる入賞シンボル組合せテーブルが格納されている。この入賞シンボル組合せテーブルでは、入賞となるシンボルの組合せ及び前述の「リーチ目」を構成するシンボルの組合せと、入賞のメダル配当枚数と、その入賞を表わす入賞判定コードとが対応づけられている。入賞判定コードは、例えば、“AH”が大ヒット、“BH”が中ヒット、“CH”が小ヒット、“RH”がリーチ目を表している。
段落【0044】
・・・更に、リーチ目は、“A-E-D”のようにシンボル間に何ら関連性のない組合せであってもよい。

上記の特開平8-117390号公報の摘記した記載及び【図6】、並びに、平成7年11月1日に発行された雑誌「月刊パチスロ必勝ガイド」11月号の第11頁の「クランキーコンドル」のリーチ目の例示や、同雑誌の第16、17頁の「SUPER MOGMOG2」のリーチ目の例示から観て、パチンコ、パチスロ等を含む遊技機において、シンボル間に何ら関連性のない組合せ、即ち「非リーチはずれシンボル組合せ」を複数通り設定して、可変表示部に表示させることにより、これらの非リーチはずれシンボル組合せが表す大当たり抽選の結果が当たりである可能性を遊技者に報知することは、本願出願前の周知技術であったと認められる(以下、「周知技術1」という。)。

さらに、本願拒絶査定時に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平8-336642号公報には、次のことが記載されている。
段落【0086】
第2実施例
次に、第2実施例について説明する。前述の第1実施例では、集中リーチによって大当りの予告報知をする例を説明したが、この第2実施例においては、大当りの予告報知を、通常の遊技時と異なる表示、効果音、または表示および効果音の両方で行なう場合において、大当り予告の報知に、偽りの大当り予告の報知を含ませた例を説明する。
段落【0088】
図12は、第2実施例による可変表示装置4の可変表示制御に用いられる各種ランダムカウンタを説明するための説明図である。この図12に示されたランダムカウンタC RND1,C RND ZU1?ZU3のそれぞれは、図4に示されたものと同じであるため、ここでの説明は省略する。
段落【0090】
次に、C RND YOKは、大当り予告決定用に用いられ、0からカウントアップしてその上限である899までカウントアップした後、再度0からカウントアップし直される。このカウントアップの加算更新は、C RND RCHの桁上げ、すなわち、C RND RCHの値が「14」から「0」に変化したときにC RND YOKが「1」ずつ加算更新されるのである。このC RND YOKの抽出は、C RND1の読出と同時期に行なわれる。
段落【0091】
図13は、第2実施例による可変表示装置4の可変表示制御を示すフローチャートである。この可変表示制御においては、大当り予告の報知が、音、キャラクタ、音およびキャラクタの3種類のいずれかにより行なわれる。音による予告報知は、音出力装置52によって行なわれ、キャラクタによる予告報知は、可変表示装置4によって行なわれる。
段落【0092】
打玉が始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その時点におけるC RND1の値を抽出し、その抽出値が通常時においては「3」のとき、前述した高確率状態時においては「3」,「5」,「7」,「11」,「13」のうちのいずれかであるときには、大当りを発生させることが事前決定される。そして、大当りを発生させることが事前決定された場合には、C RND ZU1の抽出値により、大当りとなる図柄が決定され、さらに、C RND YOKの抽出値により大当り予告を実行するか否かの決定および大当り予告の種類の決定が行なわれる。この決定は、後述する大当り予告テーブルを用いて行なわれる。
段落【0094】
次に、図13において説明した可変表示制御で用いられる大当り予告テーブルの内容を詳細に説明する。
段落【0095】
図14は、大当り予告テーブルの内容を示す説明図である。この図14に示される大当り予告テーブルにおいては、各種の遊技状態ごとにC RND YOKの抽出値と、大当り予告の報知方法との関係が予め定められている。
段落【0096】
詳しくは次のとおりである。遊技状態は、大当りが事前決定されていない遊技状態(図中「大当り以外」)、大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(図中「大当り・始動記憶2以上」)、および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(図中「大当り・始動記憶1以下」)の3種類に分類されている。
段落【0097】
「大当り以外」の場合は、C RND YOKの抽出値と、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「3」である場合には、音による大当り予告の報知を行なう。抽出値が「500」?「503」である場合には、キャラクタによる偽りの大当り予告の報知を行なう。抽出値が「800」である場合には、音およびキャラクタの両方による偽りの大当り予告の報知を行なう。抽出値が「4」?「499」,「504」?「799」,「801」?「899」の場合には、偽りの大当り予告の報知をしない。
段落【0098】
遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には、C RND YOKとの抽出値、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「99」の場合には、音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」?「199」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」?「449」の場合には、音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。
段落【0099】
遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には、C RND YOKと、「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」?「224」の場合には、音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」?「449」の場合には、キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」?「899」の場合には、大当り予告の報知をしない。
段落【0110】
以上に説明した大当り予告処理をまとめると、次のとおりである。大当り予告をするか否かは、大当り予告テーブルに基づいて決定され、大当り予告を行なう場合の報知方法も大当り予告テーブルに基づいて決定される。大当り予告には、真の大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されている場合の予告報知)と、偽りの大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されていない場合の予告報知)とが含まれる。真の大当り予告と、偽りの大当り予告とのそれぞれの報知方法の種類は同じである。さらに、この大当り予告は、複数種類の報知方法を選択的に用いた報知が行なわれる。
段落【0125】
なお、以上のようにキャラクタ等により複数種類の報知を行なう場合においては、次のように、報知の種類によって、大当りが発生する信頼度に差をつけるようにしてもよい。たとえば、音のみの報知の場合の信頼度を50%にし、キャラクタのみの報知の場合の信頼度を70%にし、音およびキャラクタによる報知の場合の信頼度を90%に設定することが考えられる。

上記の特開平8-336642号公報の摘記した記載及び【図14】、並びに、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平8-238362号公報の【図49】に関する箇所に記載された始動記憶表示器を用いた大当り予告報知制御用テーブルや、同じく、特開平8-238362号公報の【図53】に関する箇所に記載された運メータを用いた大当り予告報知制御用フローチャートから観て、パチンコ遊技機において、大当たり抽選の結果が当たりである可能性を表す際に、大当たり抽選の結果が当たりである場合とはずれである場合に分けて、大当りが発生する信頼度に差をつけた複数種類の予告報知態様が選択される確率が、それぞれ個別に定められた複数の抽選テーブルを利用することは、本願出願前の周知技術であったと認められる(以下、「周知技術2」という。)。

従って、引用発明の大当り予告テーブルに関し、保留された抽選結果が大当たりである可能性を報知する際に、リーチはずれシンボル組合せの態様に代えて、上記周知技術1の非リーチはずれシンボル組合せの態様を利用すると共に、上記周知技術2の複数の抽選テーブルを採用し、本願補正発明の抽選テーブルのように変更することは、当業者が適宜成し得たことである。
結局、上記相違点1は当業者が容易に成し得たことである。

(相違点2について)
上記相違点1に関して述べたように、引用発明の大当り予告テーブルを、本願補正発明の抽選テーブルように変更することは、当業者が適宜成し得たことである。そして、この抽選テーブルを利用すると、当然、その抽選結果に応じて各可変表示部が停止動作制御される。それ故、上記相違点1が当業者が容易に成し得たことであるのと同じく、相違点2も当業者が容易に成し得たことである。

よって、上記相違点1、2に係る本願補正発明の構成は、全て、当業者が容易に想到し得たというべきものである。
さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び本願出願前の周知技術から、当業者が予測可能な範囲のものである。
従って、本願補正発明は、引用発明及び本願出願前の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

[補正却下の決定のむすび]
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
(1)本願発明の認定
平成20年2月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年9月13日付の手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであって、上記第2.の(1)(補正前)の欄に記載されたとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び引用発明は、上記第2.(2)(3)に記載されたとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記第2.で検討した本願補正発明の限定事項を削除したものである。そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2.に記載したとおり、引用発明及び本願出願前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び本願出願前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-29 
結審通知日 2008-06-03 
審決日 2008-06-16 
出願番号 特願平10-34025
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 太田 恒明
森 雅之
発明の名称 シンボル可変表示装置付きパチンコ遊技機  

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