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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60G |
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管理番号 | 1183005 |
審判番号 | 不服2005-7613 |
総通号数 | 106 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-04-27 |
確定日 | 2008-08-15 |
事件の表示 | 特願2001-546497「自動車のリジッドアクスルのためのホイールサスペンション」拒絶査定不服審判事件〔平成13年6月28日国際公開、WO 01/45972、平成15年6月3日国内公表、特表2003-517964〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1手続の経緯 本願は、平成12年12月21日(パリ条約による優先権主張、1999.12.22、独国(DE))を国際出願日とする出願であって、平成17年1月20日付けで拒絶査定がなされた。 請求人(出願人)は、この査定を不服として、平成17年4月27日に本件審判を請求したが、当審において拒絶理由が通知された。 そして、これに対して平成20年1月10日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところである。 2本願の発明 本願の発明は、平成20年1月10日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項によって特定されるものと認められるが、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」)は、次のとおりである。 「【請求項1】 自動車、特に空気ばねで支持される商用車、のリジッドアクスルのためのホイールサスペンションであって、 - アクスル(3)の上方で、それぞれ2つの、自動車横方向で互いに間隔をおいて配置されている継手(5,6,7,8)を介して、一面ではアクスル(3)と、かつ他面では自動車上部構造(1,2)と結合されている、ねじり可能な4点連接部材(4)、 - ばね支持のためにアクスル(3)と自動車上部構造(1,2)との間にある自動車の左右両側に配置されたそれぞれ少なくとも1つのばね構造ユニット(19,20)、 - ほぼ自動車横方向でみて自動車中央で自動車縦方向に延び、アクスル(3)を自動車上部構造(1,2)と鉛直に可動に結合するアクスル案内のためのアクスルステー(21)、 を有しており、 自動車上部構造(1,2)が2つの平行な縦枠(1a,1b)と、これらの縦枠をほぼ自動車横方向で結合する互いに間隔をおいて配置されている横材(2a,2b)とを有しており、 両側に継手(13,14)を有しているアクスルステー(21)が、一面ではアクスル(3)の、4点連接部材(4)と向き合う側に結合されており、かつ他面では支持ブラケット(10)を介して横材(2a又はb)と結合されており、 前記継手(13,14)は、ケーシング(32)と、継手部(30)と、前記ケーシングと継手物の間に設けられた、弾性を有するエラストマ(31)とを備えており、前記継手部(30)は、継手軸(33)と該継手軸(33)を取り囲む外側部(34)とを有していることを特徴とする、自動車のリジッドアクスルのためのホイールサスペンション。」 3引用例等及びその記載事項 当審で通知した拒絶理由に引用した本願の優先日前に頒布された刊行物及びその記載事項は、以下のとおりである。 なお、下記記載中における下線指標等は、いずれも当審で加入。 [引用刊行物] 特表平10?503989号公報(以下「引用例1」) 欧州特許出願公開第0949093号明細書(以下「引用例2」) (1999年10月13日公開) 英国特許出願公開第1382215号明細書(以下「引用例3」) (1975年1月29日公開) 特開昭64?46010号公報(以下「引用例4」) [引用例1]特表平10?503989号公報 【特許請求の範囲】 1.2.には、 「1.^(A)車両特に商用車の剛性車軸の懸架装置であって,車軸を案内するために,車両の各側でほぼ同じ高さのところに,^(B)車両縦方向に延び車両車軸を車両上構と鉛直に可動に結合する少なくとも1つの縦揺れ止めが配置され,かつこれとは高さ位置が異なったところに,一面では車両車軸とかつ他面では車両上構と枢着結合されている複合揺れ止めが配置されており,更に側方に向かう揺れ運動をトーション応力によって抑制する安定化装置が設けられている形式のものにおいて,複合揺れ止め及び安定化装置が揺れ止め機能と安定化機能とを合わせ持つねじれ可能な4点揺れ止め(4)として構成されており,^(C)この4点揺れ止めは,それぞれ車両横方向で互いに間隔をおいている2つずつの枢着部(5・6及び7・8)で,一面では車両車軸(1)にかつ他面では車両上構に結合されていることを特徴とする,車両の剛性車軸の懸架装置。 2.^(D)4点揺れ止め(4)が車両車軸(1)の上方で車両車軸に枢着されていることを特徴とする,請求項1記載の懸架装置。」 と記載されている。 6頁7行?17行には、 「図示の実施例において,車両車軸1は,^(E)両方の車両側で車両縦中心から著しい間隔をおいて縦揺れ止め2及び3によって,かつ車両中心のところで縦揺れ止めに対して高さ位置をずらせて配置されている4点揺れ止め4によって,車両上構と結合されている。車両上構は図1?図3においては,その一部を概略的に示されている。図1?図3においては,図面を見やすくするために,4点揺れ止めは単に一方の側でシャシー12に結合されている。^(F)縦揺れ止め2及び3の枢着結合部は車両車軸1の下方に存在するのに対し,4点揺れ止め4は車両車軸1の上方で縦揺れ止め2及び3とは異なった高さ水準に配置されている。すべての枢着結合部はカルダン継ぎ手状に可動に構成されていて,有利には玉継ぎ手から成っている。」 と記載されている。 また、【図3】には、シャシー12と横材が見られ、4点揺れ止めの枢着部(5,6)が、シャシー12と横材との結合部に結合されている。 【図1】【図2】の縦揺れ止め2,3を見ると、継ぎ手を有し、車両車軸1の下面で結合し、反対側の接ぎ手は、鉛直部材を介して、シャシー12と結合している。 [引用例2]欧州特許出願公開第0949093号明細書 車両、特に実用車両の固定軸の懸架装置に関する発明であって、Fig1及び明細書2頁43行、44行の記載を参照すると、本願発明でいう 「ばね支持のためにアクスルと自動車上部構造との間にある自動車の左右両側に配置されたそれぞれ少なくとも1つのばね構造ユニット」 (Luftfederbalge 11, 12 bzw. 13, 14 und eines Stossdampfers 15 bzw. 16 )が見られる。 [引用例3]英国特許出願公開第1382215号明細書 空気ばねで支持されるリジッドアクスルのためのホイールサスペンションに関する発明であって、 Fig1及び明細書1頁右欄89?92行の記載を参照すると、本願発明でいう 「自動車横方向中央で自動車縦方向に延びたアクセル設置ロッド6(アクスルステーに相当)」が、玉軸受け7,8を介してアクセル上面とフレーム(自動車上部構造に相当)に結合されている。 (A longitudinal guide rod 6 is mounted on the axle by means of a spherical bearing 7, and on the vehicle flame by means of a spherical bearing 8) また、Fig2には、アクセルに対し、スタビライザー1(4点連接部材に相当)と反対側のアクセル上面にアクセル設置ロッド6(アクスルステーに相当)を設ける懸架構造が示されている。 Fig2には、本願発明でいう 「ばね支持のためにアクスルと自動車上部構造との間にある自動車の左右両側に配置されたそれぞれ少なくとも1つのばね構造ユニット」が見られる。 [引用例4]特開昭64?46010号公報 車両用の継手に関する発明で、第2図は、両側で固定フランジを備えた分子継手の概略的な部分断面図で、ケーシング1(本願発明のケーシング(32)に相当)と、継手ピン3(同じく、継手部(30)に相当)と、ケーシング1と継手ピン3の間に設けられた、エラストマーより成る継手本体5(同じく、弾性を有するエラストマ(31)に相当)とから成る継手が示されている。 [周知例]実願平5-12113号(実開平6?69052号) のCD-ROM 車体支持装置の左右ダンパ取付用ブッシュに関するものであって、【図3】には「固定軸83(本願発明の継手軸に相当)と該固定軸83を取り囲む内筒金具本体21(同じく、外側部に相当)」から構成する継手部が示されている。 4発明の対比 本願発明の構成要件と引用例1に記載された事項とを対比すると、 引用例1の下線部^(ACD)の記載と【図3】から、懸架装置である4点揺れ止め(4)は、本願発明でいう 「自動車、特に空気ばねで支持される商用車、のリジッドアクスルのためのホイールサスペンションであって、 アクスル(3)の上方で、それぞれ2つの、自動車横方向で互いに間隔をおいて配置されている継手(5,6,7,8)を介して、一面ではアクスル(3)と、かつ他面では自動車上部構造(1,2)と結合されている、ねじり可能な4点連接部材(4)」 に相当し、 同じく上記下線部^(BEF)の縦揺れ止めは、本願発明でいう 「自動車縦方向に延び、アクスル(3)を自動車上部構造(1,2)と鉛直に可動に結合するアクスル案内のためのアクスルステー(21)」に相当するものと認められる。 また、【図1】【図2】の縦揺れ止め2,3を見ると、本願発明でいう「両側に継手(13,14)を有しているアクスルステー(21)が、一面ではアクスル(3)・・・に結合され」ている構成が見られる。 【図3】のシャシー12と横材は、本願発明でいう「自動車上部構造(1,2)が2つの平行な縦枠(1a,1b)と、これらの縦枠をほぼ自動車横方向で結合する互いに間隔をおいて配置されている横材(2a,2b)」に相当する。 よって、両者は、 「自動車のリジッドアクスルのためのホイールサスペンションであって、 アクスルの上方で、それぞれ2つの、自動車横方向で互いに間隔をおいて配置されている継手を介して、一面ではアクスルと、かつ他面では自動車上部構造と結合されている、ねじり可能な4点連接部材、 自動車縦方向に延び、アクスルを自動車上部構造と鉛直に可動に結合するアクスル案内のためのアクスルステー、 を有しており、 自動車上部構造が2つの平行な縦枠と、これらの縦枠をほぼ自動車横方向で結合する互いに間隔をおいて配置されている横材とを有しており、 両側に継手を有しているアクスルステーが、一面ではアクスルに結合されており、かつ他面では自動車上部構造と結合されている自動車のリジッドアクスルのためのホイールサスペンション。」である点で一致しているので、この点は引用例1に記載された発明と認定できる。 そして、本願発明と引用例1に記載の発明とは、以下の点で相違しているものと認められる。 <相違点1> 自動車が、本願発明では、特に空気ばねで支持される商用車であるのに対して、引用例1に記載の発明は、商用車ではあるが、空気ばねで支持される型式の商用車であるとは限定されていない点 <相違点2> 本願発明では、「ばね支持のためにアクスルと自動車上部構造との間にある自動車の左右両側に配置されたそれぞれ少なくとも1つのばね構造ユニット(19,20)」を有しているのに対して、引用例1に記載の発明では、その点について具体的に明示されていない点 <相違点3> 本願発明では、アクスルステーは「ほぼ自動車横方向でみて自動車中央で」アクスルを自動車上部構造と結合、即ち、支持ブラケットを介して横材と結合しているのに対し、引用例1に記載の発明においては、縦揺れ止め2,3(本願発明のアクスルステーに相当)が自動車横方向でみて左右で、車両車軸1(同じく、アクスルに相当)をシャシー12(同じく、自動車上部構造に相当)と結合している点 <相違点4> 本願発明では、アクスルステーは「4点連接部材と向き合う側」に結合されているのに対し、引用例1に記載された発明では、縦揺れ止め2,3(アクスルステーに相当)は、車両車軸1(アクスルに相当)の下面で結合されている点 <相違点5> 本願発明では、「継手は、ケーシングと、継手部と、前記ケーシングと継手物の間に設けられた、弾性を有するエラストマとを備えており、前記継手部は、継手軸と該継手軸を取り囲む外側部とを有している」のに対し、引用例1に記載された発明では、そのような構成になっていない点 5相違点の検討 これらの相違点について検討する。 <相違点1>について 空気ばねで支持される型式のサスペンションは周知のものであるから、引用例1に記載の商用車の懸架装置おいても、空気ばねで支持される型式のサスペンションを適用することには何ら技術的な困難性はない。 <相違点2>について 上記相違点2で指摘した構成については、引用例2のFig1及び引用例3のFig2に示されている。 一方、引用例1が懸架装置と記載されている以上、「ばね作用をなす部材」は通常有しているから、この「ばね作用をなす部材」として、上記引用例2,3に開示された「ばね構造ユニット」を用いて上記相違点2でいう本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得る程度のことである。 <相違点3>について 引用例3には、スタビライザー1(4点連接部材に相当)と反対側のアクセル面に結合し、アクセルとフレーム(自動車上部構造に相当)とを継手を介して接続するアクセル設置ロッド6(アクスルステーに相当)を設けた懸架構造において、該アクセル設置ロッド6(アクスルステーに相当)を、自動車横方向でみて自動車中央に設けた構造のものが開示されているから、この技術を引用例1に記載の発明において適用し、縦揺れ止め2,3(アクスルステーに相当)に関して、自動車横方向でみて間隔をあけて左右一対あった縦揺れ止め2,3を中央のみに配置するようなすことは当業者であれば容易に設計変更し得る事項である。 なお、引用例3に記載の上記技術を引用例1に記載の発明に適用するにあたり、引用例3に記載のアクセル設置ロッド6(アクスルステーに相当)をアクセルの下方となるように配置して、引用例1に記載の発明に適用することは技術的に困難なことではない。 また、その場合には、適宜、支持ブラケットを介して横材と結合するようなすことも設計的事項といえよう。 <相違点4>について アクスルステーは、アクスルの下面で結合するか、4点連接部材と向き合う側(アクスル前側面)で結合するかは当該技術分野では単なる設計上の事項に過ぎない(例えば、サスペンション用ロッドをアクスル前側面に設けるものとして実願平1?139101号(実開平3?77783号)のマイクロフィルム参照)。 <相違点5>について ケーシングと継手部と、ケーシングと継手物の間に設けられた弾性を有するエラストマとから成る継手は、引用例4に示されており、そして、継手部を「継手軸と該継手軸を取り囲む外側部」から構成することも上記周知例に示したように従来から普通に採用されている周知の技術にすぎない。 そして、上記相違点1?5を併せ備える本願発明の作用効果について検討しても、引用例1に記載の発明、引用例2?4に記載の技術事項並びに上記周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。 6むすび 以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用例1に記載の発明、引用例2?4に記載の事項並びに上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-03-18 |
結審通知日 | 2008-03-19 |
審決日 | 2008-04-02 |
出願番号 | 特願2001-546497(P2001-546497) |
審決分類 |
P
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8・
121-
WZ
(B60G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 増岡 亘、太田 良隆 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
佐藤 正浩 山内 康明 |
発明の名称 | 自動車のリジッドアクスルのためのホイールサスペンション |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | ラインハルト・アインゼル |
代理人 | 山崎 利臣 |