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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1185093
審判番号 不服2006-5490  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-23 
確定日 2008-09-25 
事件の表示 平成8年特許願第174699号「電子部品装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年1月23日出願公開、特開平10-22693〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年7月4日の出願であって、平成18年2月15日付けで拒絶査定され、これに対して、同年3月23日に拒絶査定に対する審判が請求されたが、平成20年4月24日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年7月7日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成20年7月7日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」ともいう。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】電子部品を順次供給可能なカセットを複数個隣接配置した電子部品供給部と、複数本のノズルを備えて前記電子部品供給部より供給される前記電子部品を吸着する第1吸着ヘッド部と、この第1吸着ヘッド部を前記電子部品供給部より電子部品位置決め部まで搬送する第1吸着ヘッド搬送部と、この第1吸着ヘッド搬送部により搬送された前記電子部品を4方向より爪で保持して前記4方向のセンター基準で前記電子部品を位置決めするとともに、前記電子部品を前記電子部品の下方から真空吸着して位置決めする前記電子部品位置決め部と、前記第1吸着ヘッド部が前記電子部品位置決め部に前記電子部品を受け渡しできる所定の位置から、第2吸着ヘッド部が前記電子部品位置決め部から前記電子部品を吸着可能な位置まで、前記電子部品位置決め部を移動可能な電子部品位置決め搬送部と、複数本のノズルを備えて前記電子部品位置決め部に位置決め保持された前記電子部品を吸着する前記第2吸着ヘッド部と、この第2吸着ヘッド部を任意の位置まで移動可能な第2吸着ヘッド搬送部と、この第2吸着ヘッド搬送部の移動経路の途中に、前記第2吸着ヘッド部のノズルにより搬送される前記電子部品の高さ方向を検出し吸着の有無及び吸着ミスによる立ち、傾きを検出し、この検出結果に基づいて吸着動作を制御する吸着ミスの検査部と、前記電子部品を装着する基板を位置決めする基板位置決め部と、前記電子部品を装着する基板を前記基板位置決め部へ搬入し、前記電子部品を装着した基板を前記基板位置決め部より搬出する基板搬送部と、電子部品装着装置を構成する各構成部の動作の同期を取るための制御部からなる電子部品装着装置。」

3.当審の拒絶理由の概要
本願の請求項1?4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物1?2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1;特開平1-317000号公報
刊行物2;特開平7-142897号公報

4.引用例とその主な記載事項
上記刊行物1及び2の主な記載事項は、次のとおりである。
なお、以下において、刊行物1及び刊行物2を、それぞれ「引用例1」及び「引用例2」という。

(1)引用例1;特開平1-317000号公報
(1a)全体構成について
「(2)多数の供給ユニットを配列した固定供給部と、複数の移替ステーションと、前記固定供給部より電子部品を吸着して前記移替ステーション上に載置する複数本の吸着ピンを持つ1個の取込ヘッド部と、複数本の吸着ピンを持ち、前記移替ステーションと同数設けられる装着ヘッド部と、該装着ヘッド部の各吸着ピンで吸着された電子部品の画像を得るカメラとを備え、
前記装着ヘッド部は前記移替ステーションより電子部品を吸着して前記カメラ上を通過し、前記移替ステーションと同数の位置決めされた基板上に電子部品を装着することを特徴とする電子部品装着機。」(特許請求の範囲の請求項2)

(1b)ベルトコンベア機構について
「さらに、第2図の平面図は、固定供給部4によりチップ部品を取り出して移替ステーション5A,5B上に載置する取込ヘッド部9と、移替ステーションの個数と同数の装着ヘッド部10A,10Bと、ベルトコンベア機構7上で移替ステーションの個数と同数だけ位置決め停止されたプリント基板11A,11Bのは位置を示す。」(第2頁右下欄第9?15行)

(1c)取込ヘッド部の移動手段について
「前記取込ヘッド部9は、第2図及び第3図の如く総ての供給ユニット3上を横断するボール螺子軸12に沿って全供給ユニット上をX方向に移動自在であり、かつX方向に垂直なY方向にも移動自在に指示されており、供給ユニット3のチップ部品を吸着可能に露出する供給位置より移替ステーション5A,5B上に移動できるようになっている。この取込ヘッド部9は独立して昇降可能な多数の吸着ピンを有している。」(第2頁右下欄第16行?第3頁左上欄第4行)

(1d)装着ヘッド部の移動手段について
「前記装着ヘッド部10A,10Bは多数の吸着ピンを有し、それぞれ別個のX-Yテーブルの下側に取り付けられており、X方向及びY方向に移動自在であって、一方の装着ヘッド部10Aは一方の移替ステーション5A上のチップ部品を吸着保持してベルトコンベア機構7の左側にて位置決めされたプリント基板11Aの所定位置(予め接着剤が塗布されている)に装着する機能を持つ。」(第3頁左上欄第5?12行)

(1e)移替ステーションの移動手段について
「第7図は移替ステーション5Aの平面図である。この図において、基台8上に固定された移替ステーションフレーム70にはY方向スライドガイド軸71が固定され、該Y方向スライドガイド軸71によって部品載置台72がY方向に摺動自在に支持されている。」(第4頁左下欄第20行?同右下欄第5行)

(1f)移替ステーションにおけるチップ部品位置決め手段について
「一方、フレーム70に対してX方向に摺動自在に位置規制板80が配置され、該位置規制板80とフレーム70との間にX方向の位置決め用エアーシリンダ81が設けられている。位置規制板80の縁部は8図のようにY方向の位置決め面82とX方向の位置決め面83を持つように突出した多数の位置決め歯84とを有している。
第8図は移替ステーション5Aの動作を説明するもので、まず同図(A)のように、Y方向位置決めのための位置決め用エアーシリンダ74を作動させて各吸引穴73と位置規制板80側のY方向位置決め面82との間隔を所定値とし、次にX方向の位置決め用シリンダ81を作動させて同図(B)のように各吸引穴73と位置規制板側のX方向位置決め面83との間隔を所定値として吸引穴73で吸引保持されたチップ部品20の略中心に吸引穴73が来るようにする。」(第5頁左上欄第2?18行)

(1g)カメラについて
「装着ヘッド部10Aの各吸着ピン90,91は下降して移替ステーション5A上の位置決め後のチップ部品20を吸着保持して上昇し、移替ステーション5Aの近傍のカメラ6上をX方向に定速度で走行し既にベルトコンベア機構7の部品装着位置に位置決めされたプリント基板11A上に移動する。 カメラ6により第12図で示す円Q内の静止画像を得て、この静止画像からマークピン140とカメラ6の視野中心OとのX方向に位置ずれSを算出し、さらにはマークピン140と対を成す吸着ピン90(又は91)の位置を算出し、第14図(A)のように吸着ピン90,91に対して正しい姿勢でチップ部品が吸着されているかどうかを画像処理により判定する。
・・・(中略)・・・
このように、カメラ6により取り込んだ静止画像の処理結果に応じてX-Yテーブル100の位置、吸着ピン90,91の回転方向位置を必要に応じて修正しながら第13図のようにプリント基板11A上の複数の接着剤塗布位置T、すなわちチップ部品装着位置に装着ヘッド部10Aの吸着ピン90,91が下降してチップ部品20の装着を実行する。」(第7頁左上欄第18行?同左下欄第9行)

(2)引用例2;特開平7-142897号公報
(2a)「【請求項1】 先端部に結合した爪が開閉するように支点部を介して揺動自在に対向して配置された第1の一対のレバーと、この第1の一対のレバーと直交して配置されると共に同様に構成された第2の一対のレバーと、上記されぞれの一対のレバーの下端部に当接するベアリングを備えて上下動自在に配置されたピストンと、これらを配置結合した本体部からなる電子部品位置決め装置。」

3.当審の判断
(1)引用発明
引用例1の(1a)には、「多数の供給ユニットを配列した固定供給部と、複数の移替ステーションと、前記固定供給部より電子部品を吸着して前記移替ステーション上に載置する複数本の吸着ピンを持つ1個の取込ヘッド部と、複数本の吸着ピンを持ち、前記移替ステーションと同数設けられる装着ヘッド部と、該装着ヘッド部の各吸着ピンで吸着された電子部品の画像を得るカメラとを備え、
前記装着ヘッド部は前記移替ステーションより電子部品を吸着して前記カメラ上を通過し、前記移替ステーションと同数の位置決めされた基板上に電子部品を装着することを特徴とする電子部品装着機」が記載されている。 ここで、この電子部品装着機は、各構成部の動作の同期を取るための制御部を有することは明らかである。
また、以下に述べるとおり、(1b)?(1f)には、この電子部品装着機の実施例が記載されており、これらの記載から、この電子部品装着機は、次のa)?e)の構成を有するものと認められる。

a)ベルトコンベア機構について
(1b)の「移替ステーションの個数と同数の装着ヘッド部10A,10Bと、ベルトコンベア機構7上で移替ステーションの個数と同数だけ位置決め停止されたプリント基板11A,11Bのは位置を示す。」という記載によれば、この電子部品装着機は、ベルトコンベア機構上でプリント基板を位置決め停止するベルトコンベヤ機構を有するといえる。

b)取込ヘッド部の移動手段について
(1c)の「前記取込ヘッド部9は、第2図及び第3図の如く総ての供給ユニット3上を横断するボール螺子軸12に沿って全供給ユニット上をX方向に移動自在であり、かつX方向に垂直なY方向にも移動自在に指示されており、供給ユニット3のチップ部品を吸着可能に露出する供給位置より移替ステーション5A,5B上に移動できるようになっている。」という記載によれば、この電子部品装着機は、取込ヘッド部を固定供給部より移替ステーション上に搬送する取込ヘッド搬送部を有するといえる。

c)装着ヘッド部の移動手段について
(1d)の「前記装着ヘッド部10A,10Bは多数の吸着ピンを有し、それぞれ別個のX-Yテーブルの下側に取り付けられており、X方向及びY方向に移動自在であって、一方の装着ヘッド部10Aは一方の移替ステーション5A上のチップ部品を吸着保持してベルトコンベア機構7の左側にて位置決めされたプリント基板11Aの所定位置(予め接着剤が塗布されている)に装着する機能を持つ。」という記載によれば、この電子部品装着機は、装着ヘッド部を任意の位置まで移動可能な装着ヘッド搬送部を有するといえる。

d)移替ステーションの移動手段について
(1e)の「第7図は移替ステーション5Aの平面図である。この図において、基台8上に固定された移替ステーションフレーム70にはY方向スライドガイド軸71が固定され、該Y方向スライドガイド軸71によって部品載置台72がY方向に摺動自在に支持されている。」という記載によれば、この電子部品装着機は、移替ステーションをY方向に移動可能なY方向スライドガイド軸を有するといえる。

e)移替ステーションにおけるチップ部品位置決め手段について
(1f)の「一方、フレーム70に対してX方向に摺動自在に位置規制板80が配置され、該位置規制板80とフレーム70との間にX方向の位置決め用エアーシリンダ81が設けられている。位置規制板80の縁部は8図のようにY方向の位置決め面82とX方向の位置決め面83を持つように突出した多数の位置決め歯84とを有している。
第8図は移替ステーション5Aの動作を説明するもので、まず同図(A)のように、Y方向位置決めのための位置決め用エアーシリンダ74を作動させて各吸引穴73と位置規制板80側のY方向位置決め面82との間隔を所定値とし、次にX方向の位置決め用シリンダ81を作動させて同図(B)のように各吸引穴73と位置規制板側のX方向位置決め面83との間隔を所定値として吸引穴73で吸引保持されたチップ部品20の略中心に吸引穴73が来るようにする。」という記載によれば、この電子部品装着機の移替ステーションは、Y方向の位置決め面とX方向の位置決め面を持つように突出した位置決め歯とで電子部品を位置決めするとともに、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めする手段を有するといえる。

以上の記載及び認定事項を、本願発明1の記載ぶりに則り整理して記載すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「多数の供給ユニットを配列した固定供給部と、前記固定供給部より電子部品を吸着して前記移替ステーション上に載置する複数本の吸着ピンを持つ取込ヘッド部と、この取込ヘッド部を前記固定供給部より前記移替ステーション上に搬送する取込ヘッド搬送部と、Y方向の位置決め面とX方向の位置決め面を持つように突出した位置決め歯とで電子部品を位置決めするとともに、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めする移替ステーションと、移替ステーションをY方向に移動可能なY方向スライドガイド軸と、複数の吸着ピンを持ち、移替ステーション上のチップ部品を吸着保持する装着ヘッド部と、この装着ヘッド部を任意の位置まで移動可能な装着ヘッド搬送部と、該装着ヘッド部の各吸着ピンで吸着された電子部品の画像を得るカメラと、ベルトコンベア機構上でプリント基板を位置決め停止するベルトコンベヤ機構と、電子部品装着機を構成する各構成部の動作の同期を取るための制御部からなる電子部品装着機。」

(2)本願発明1と引用発明との対比
引用発明の「固定供給部」、「取込ヘッド部」、「取込ヘッド部搬送手段」、「移替ステーション」、「Y方向スライドガイド軸」、「装着ヘッド部」及び「プリント基板」は、それぞれ、本願発明1の「電子部品供給部」、「第1吸着ヘッド部」、「第1吸着ヘッド搬送部」、「電子部品位置決め部」、「電子部品位置決め搬送部」、「第2吸着ヘッド部」及び「電子部品を装着する基板」に相当するし、引用発明の「ベルトコンベア機構」は、(1b)の記載によれば、プリント基板を、位置決め位置に搬入し、また、位置決め位置から搬出するものであるとともに、このプリント基板の位置決め保持を行うものであるから、本願発明1の「基板位置決め部」と「基板搬送部」に相当するといえる。
また、引用発明の「カメラ」は、(1g)の記載によれば、電子部品の吸着姿勢を検出し、検出結果に基づいて吸着動作を制御する検査部ということができるから、本願発明1の「吸着ミスの検査部」に相当するといえる。
そして、引用発明の「電子部品装着機」は、「電子部品装着装置」と言い換えることができる。
したがって、両者は、「電子部品を順次供給可能なカセットを複数個隣接配置した電子部品供給部と、複数本のノズルを備えて電子部品供給部より供給される電子部品を吸着する第1吸着ヘッド部と、この第1吸着ヘッド部を電子部品供給部より電子部品位置決め部まで搬送する第1吸着ヘッド搬送部と、この第1吸着ヘッド搬送部により搬送された電子部品を位置決めする電子部品位置決め部と、この電子部品位置決め部が移動可能な電子部品位置決め搬送部と、複数本のノズルを備えて前記電子部品位置決め部に位置決め保持された前記電子部品を吸着する第2吸着ヘッド部と、この第2吸着ヘッド部を任意の位置まで移動可能な第2吸着ヘッド搬送部と、この第2吸着ヘッド搬送部の移動経路の途中に、前記第2吸着ヘッド部のノズルにより搬送される前記電子部品の吸着姿勢を検出し、検出結果に基づいて吸着動作を制御する吸着ミスの検査部と、前記電子部品を装着する基板を位置決めする基板位置決め部と、前記電子部品を装着する基板を前記基板位置決め部へ搬入し、前記電子部品を装着した基板を前記基板位置決め部より搬出する基板搬送部と、電子部品装着装置を構成する各構成部の動作の同期を取るための制御部からなる電子部品装着装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点;
(イ)本願発明1の電子部品位置決め部は、電子部品を4方向より爪で保持して4方向のセンター基準で電子部品を位置決めするとともに、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めするものであるのに対して、引用発明の電子部品位置決め部は、Y方向の位置決め面とX方向の位置決め面を持つように突出した位置決め歯とで、2方向から電子部品を位置決めするとともに、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めするものである点
(ロ)本願発明1の電子部品位置決め搬送部は、第1吸着ヘッド部が電子部品位置決め部に電子部品を受け渡しできる所定の位置から、第2吸着ヘッド部が電子部品位置決め部から電子部品を吸着可能な位置まで、電子部品位置決め部を移動可能なものであるのに対して、引用発明の電子部品位置決め搬送部は、Y方向に移動可能なものであるが、その移動可能な範囲が、第1吸着ヘッド部が前記電子部品位置決め部に電子部品を受け渡しできる所定の位置から、第2吸着ヘッド部が電子部品位置決め部から電子部品を吸着可能な位置までであるか否か不明である点
(ハ)本願発明1の吸着ミスの検査部は、電子部品の高さ方向を検出するものであるのに対して、引用発明の吸着ミスの検査部は、電子部品の下方から電子部品の平面の画像を検出するカメラである点

(3)相違点についての判断
相違点(イ)について
引用発明の電子部品位置決め部は、Y方向の位置決め面とX方向の位置決め面を持つように突出した位置決め歯とで、2方向から電子部品を位置決めするとともに、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めすることを併用したものである。
一方、引用例2の(2a)には、「先端部に結合した爪が開閉するように支点部を介して揺動自在に対向して配置された第1の一対のレバーと、この第1の一対のレバーと直交して配置されると共に同様に構成された第2の一対のレバーと、上記されぞれの一対のレバーの下端部に当接するベアリングを備えて上下動自在に配置されたピストンと、これらを配置結合した本体部からなる電子部品位置決め装置。」が記載されており、さらに、引用例2の図2(a)には、この電子部品位置決め装置の正面断面図が示されている。ここで、この図を詳細に見れば、この電子部品位置決め装置の上に載置された電子部品1の下方には、穴が設けられ、それに続いて配管が、下方に伸びるとともに、その途中で左方向に曲折して設けられていることが見て取れることから、引用例2の電子部品位置決め装置は、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めすることができるものであることが窺える。
ところで、この電子部品位置決め装置は、本願の明細書及び図面の図13等において、本願発明1の実施例の電子部品位置決め装置として記載されているものと同構成のものであるから、電子部品を4方向から爪で保持して4方向のセンター基準で電子部品を位置決めするものといえる。
そうすると、引用発明において、電子部品位置決め部として、上記引用例2に記載の公知の位置決め装置を用いることを想到し、その際に、位置決めを一層確実に行うために、引用例2の図2に記載されているように、電子部品1の下方に、吸引穴やそれに続いて配管を設けることにより、電子部品を4方向から爪で保持して4方向のセンター基準で電子部品を位置決めするとともに、電子部品を電子部品の下方から真空吸着して位置決めすることができるものとすることは、当業者が容易に想到することができたことといえる。

相違点(ロ)について
引用発明は、第1吸着ヘッド部を電子部品供給部より電子部品位置決め部まで搬送する第1吸着ヘッド搬送部と、この第1吸着ヘッド搬送部により搬送された電子部品を位置決めする電子部品位置決め部と、この電子部品位置決め部が移動可能な電子部品位置決め搬送部と、複数本のノズルを備えて前記電子部品位置決め部に位置決め保持された前記電子部品を吸着する第2吸着ヘッド部とを備えるものである。
そうすると、引用発明の電子部品位置決め搬送部は、第1吸着ヘッド部(取込ヘッド部)から、電子部品を受け渡される位置から、この電子部品を第2吸着ヘッド部(装着ヘッド部)が吸着する位置まで、電子部品位置決め部(移替ステーション)を移動可能なものであることはあきらかであるので、結局、引用発明も、その電子部品位置決め搬送部は、第1吸着ヘッド部が前記電子部品位置決め部に電子部品を受け渡しできる所定の位置から、第2吸着ヘッド部が電子部品位置決め部から電子部品を吸着可能な位置まで、電子部品位置決め部を移動可能なものというほかはなく、この点において、両者が相違するものではない。

相違点(ハ)について
電子部品の実装技術において、電子部品を吸着ノズルで吸着した場合の電子部品の吸着姿勢を検査する手段として、吸着した電子部品の両側に、発光部と受光部を配置し、発光部から投射する光が電子部品により遮られた影を受光部で検出することにより、電子部品の高さ方向を検出することは、本願出願前に周知の技術であったと認められるから(例えば、特開平6-152194号公報参照)、引用発明において、吸着ミスの検査部として、上記周知の技術を用いてみることは、当業者であれば容易に想到することができたことといえる。

(4)小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明及び引用例2に記載された発明並びに周知に技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

4.むすび
したがって、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の発明については検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-24 
結審通知日 2008-07-29 
審決日 2008-08-11 
出願番号 特願平8-174699
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 長者 義久
特許庁審判官 平塚 義三
坂本 薫昭
発明の名称 電子部品装着装置  
代理人 永野 大介  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  

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