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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1185639
審判番号 不服2007-19558  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-12 
確定日 2008-10-06 
事件の表示 平成 6年特許願第157232号「遊技媒体を払い出すシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 1月23日出願公開、特開平 8- 19651〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成6年7月8日の出願であって、平成19年6月5日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年7月12日付けで本件審判請求がされるとともに、同月17日付けで明細書についての手続補正がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成19年7月17日付けの手続補正を却下するとともに、新たな拒絶の理由を通知したところ請求人は平成20年7月10日付けで意見書及び手続補正書を提出した。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年7月10日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載されたとおりの次のものと認める。
「遊技場で、残金額および暗号データが記録された記録媒体を用いて遊技媒体を払い出すシステムであって、
交換装置と、販売装置と、更新装置とを備えており、
前記交換装置は、
前記記録媒体に記録された暗号データを読み込み、
該読み込んだ暗号データと、期間ごとに異なる有効な暗号データとの照合によって、該記録媒体の有効性を判断し、
前記記録媒体が有効と判断される時に前記残金額の範囲内で前記遊技媒体を払い出す装置であり、
前記販売装置は、
販売時点における前記有効な暗号データを、前記記録媒体に記録して、記録媒体を販売する装置であり、
前記更新装置は、
オペレータの操作に応じて、前記記録媒体に記録された暗号データを、現時点で有効な暗号データに更新可能な装置であり、
該更新に先立って、
前記記録媒体の形状と磁気度が規格内か否かを検査し、
前記検査によって規格外と判断された場合には、前記記録媒体を回収し、
前記検査によって規格内と判断された場合にのみ、前記更新のための操作が許容される装置である
遊技媒体を払い出すシステム。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
当審における拒絶の理由に引用した特開昭63-174680号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア?オの記載が図示とともにある。
ア.「遊技客の購入金額に応じた度数データが記録されたプリペイドカードを発行する発券機、プリペイドカードがカード挿入口に差込まれる毎に所定数の玉を貸出す玉貸機、プリペイドカードの残度数に応じた額の通貨を払い戻す精算機等の複数の端末機と、これらの各端末機にセキュリティコードを供給するコード設定機とを具備する遊技店用玉貸管理精算システムにおいて、上記コード設定機と各端末機とを共通の送信回線によって接続し、コード設定機からセキュリティコードを設定された所定時間間隔で上記送信回線へ送出するようにしたことを特徴とする遊技店用玉貸管理精算システム。」(1頁左下欄5?17行)
イ.「この発明はパチンコ店等の遊技店用の玉貸管理精算システムに関し、特にプリペイドカードを用いた玉貸管理精算システムに関する。」(1頁右下欄11?13行)
ウ.「玉貸管理精算システムにおいては、玉貸機あるいは精算機に挿入されるプリペイドカードがその店で正当に発行されたカードであるかどうかをチェックするため、度数データコードの他にセキュリティコードとしてその店独自の暗号コードを入れる必要がある。また、カードの不正防止等のため、セキュリティコードは毎日変更する必要がある。そのため、プリペイドカードを用いた玉貸管理精算システムには、通常、セキュリティコードを上記のような各端末機に供給するためのコード設定機が具備される。」(2頁右上欄1?11行)
エ.「CPU21はカレンダータイマ25より入力される日付データが変わる毎にセキュリティコードを更新する。」(3頁右上欄1?3行)
オ.「発券機3は、遊技客の購入金額に応じて、所定の度数データが記録されたプリペイドカードにセキュリティコードのデータを書込む。玉貸機5は、プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されると、そのカードのセキュリティコードと記憶部に記憶されているセキュリティコードを照合し、一致すれば所定個数の玉を貸出すと共に、その玉数に応じた度数をカードの度数より減じて返却する。もちろん、セキュリティコードが不一致の時および残度数0の時は玉の貸出は行なわない。精算機4は、プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されると、やはりカードのセキュリティコードと記憶部に記憶されているセキュリティコードを照合し、一致すれば、そのカードの残度数に応じた額の通貨を払い戻す。」(3頁右上欄17行?左下欄11行)

2.引用例1記載の発明の認定
記載ア?オを含む引用例1の全記載及び図示によれば、引用例1には次のような発明が記載されていると認めることができる。
「プリペイドカードを発行する発券機、玉貸機、精算機等の複数の端末機と、これらの各端末機にセキュリティコードを供給するコード設定機とを具備する遊技店用玉貸管理精算システムにおいて、
前記セキュリティコードは毎日変更されるものであり、
前記発券機は、遊技客の購入金額に応じて、所定の度数データが記録されたプリペイドカードにセキュリティコードのデータを書込んで発行するものであり、
前記玉貸機はカードリーダライタを有し、プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されると、そのカードのセキュリティコードと記憶部に記憶されているセキュリティコードを照合し、一致すれば所定個数の玉を貸出すと共に、その玉数に応じた度数をカードの度数より減じて返却するものであり、
前記精算機はカードリーダライタを有し、プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されると、そのカードのセキュリティコードと記憶部に記憶されているセキュリティコードを照合し、一致すればそのカードの残度数に応じた額の通貨を払い戻すように構成された遊技店用玉貸管理精算システム。」(以下「引用発明1」という。))

3.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定
引用発明1においては、精算時に「残度数に応じた額の通貨を払い戻す」のであるから、「度数データ」は「残金額」そのものではないかもしれないが、「残金額相当データ」ということができる。
引用発明1の「遊技店」、「セキュリティコード」及び「プリペイドカード」は、本願発明の「遊技場」、「暗号データ」及び「記録媒体」にそれぞれ相当し、「有効な暗号データ」が「期間ごとに異なる」ことは本願発明と引用発明1の一致点であり、「遊技場で、残金額および暗号データが記録された記録媒体を用いて遊技媒体を払い出すシステム」であることは、本願発明と引用発明1の一致点である。
引用発明1の「発券機」は、「遊技客の購入金額に応じて、所定の度数データが記録されたプリペイドカードにセキュリティコードのデータを書込んで発行する」ものであるが、書き込まれる「セキュリティコードのデータ」が「販売時点における前記有効な暗号データ」であることは明らかであるから、本願発明の「販売装置」に相当し、何の相違もない。
引用発明1の「玉貸機」は、「プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されると、そのカードのセキュリティコードと記憶部に記憶されているセキュリティコードを照合し、一致すれば所定個数の玉を貸出す」のであるが、当然「そのカードのセキュリティコード」を読み込むと解さねばならず、「そのカードのセキュリティコードと記憶部に記憶されているセキュリティコードを照合」及び「一致すれば所定個数の玉を貸出す」は、本願発明でいう「該読み込んだ暗号データと、期間ごとに異なる有効な暗号データとの照合によって、該記録媒体の有効性を判断」及び「前記記録媒体が有効と判断される時に前記残金額の範囲内で前記遊技媒体を払い出す」と相違しないから、本願発明の「交換装置」に相当し、何の相違もない。
したがって、本願発明と引用発明1は、
「遊技場で、残金額相当データおよび暗号データが記録された記録媒体を用いて遊技媒体を払い出すシステムであって、
交換装置と、販売装置とを備えており、
前記交換装置は、
前記記録媒体に記録された暗号データを読み込み、
該読み込んだ暗号データと、期間ごとに異なる有効な暗号データとの照合によって、該記録媒体の有効性を判断し、
前記記録媒体が有効と判断される時に前記残金額の範囲内で前記遊技媒体を払い出す装置であり、
前記販売装置は、
販売時点における前記有効な暗号データを、前記記録媒体に記録して、記録媒体を販売する装置である
遊技媒体を払い出すシステム。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点1〉本願発明の「残金額相当データ」は「残金額」であるのに対し、引用発明1のそれは「度数データ」である点。
〈相違点2〉本願発明が「交換装置」、「販売装置」以外に「更新装置」を備え、その「更新装置」が、「オペレータの操作に応じて、前記記録媒体に記録された暗号データを、現時点で有効な暗号データに更新可能な装置」であり、「該更新に先立って、前記記録媒体の形状と磁気度が規格内か否かを検査し、前記検査によって規格外と判断された場合には、前記記録媒体を回収し、前記検査によって規格内と判断された場合にのみ、前記更新のための操作が許容される装置」であるのに対し、引用発明1は「更新装置」を備えない点。

4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
記録媒体に記録する「残金額相当データ」として、返却金額に着目した「残金額」とするか。交換可能な遊技媒体数に着目した「度数データ」とするかは設計事項というよりない。

(2)相違点2について
当審における拒絶の理由に引用した特開平3-196289号公報(以下「引用例2」という。)には、以下のカ?ケの記載がある。
カ.「本発明はプリペイドカードを使用した取引における他人によるカード不正使用を防止するようにした不正使用防止システムに関する。」(1頁左下欄末行?右下欄2行)
キ.「近年、キャッシュカードやクレジットカードの利用が盛んに行われており、その場合のカード取引においては必ず本人確認が行われる。」(1頁右下欄4?6行)
ク.「本発明のカード取引における他人の不正使用防止システムは、暗証番号入力機能、当日限り有効な有効性コードの付与機能をそれぞれ有するカード発売手段および暗証確認手段と、有効性コードによりカードが有効か否か判別する機能を有する端末機を備え、カード発売手段または暗証確認手段で有効性コードが付与された当日に限り、各端末機で本人確認することなくカード取引を行えるようにしたことを特徴とする。」(2頁左上欄14行?右上欄2行)
ケ.「本発明は、取引の際に暗証番号で本人を確認するのでなく、来店の際に本人確認することを特徴としており、店内に設置された暗証確認機で本人確認を行った際にカードに有効性コードを記録し、一度有効化されたカードは当日に限ってどの売場でも新たに本人確認をすることなくカード取引ができるようにし、翌日以降に当該カードを使用する場合には、改めて暗証確認機で本人確認を行って有効性カードを記録し、有効化するようにする。」(2頁右上欄4?12行)

引用例2記載の発明は、「遊技場で、残金額および暗号データが記録された記録媒体を用いて遊技媒体を払い出すシステム」ではないけれども、「カード不正使用を防止するようにした不正使用防止システム」である点では、本願発明及び引用発明1と軌を一にする。
そして、引用例2記載の「暗証確認機」は、当日より前に発行されたカード(本願発明の「記録媒体」に相当)に当日限り有効な有効性コード(本願発明の「現時点で有効な暗号データ」に相当)を記録する装置であるから、「記録媒体に記録された暗号データを、現時点で有効な暗号データに更新可能な装置」であり、「更新装置」と表現することができる。
他方、引用発明1では、プリペイドカード(記録媒体)のセキュリティコード(暗号データ)を更新しないから、使い切らないプリペイドカードを精算しなければならないが、精算を忘れることもあり、閉店間際には精算機が混雑することはたやすく予測できる。これらの問題点が、引用例2記載の発明のように、セキュリティコードを更新することにより解決できることは明らかであるから、引用発明1に引用例2記載の発明を適用、すなわち、システムの一要素として、「記録媒体に記録された暗号データを、現時点で有効な暗号データに更新可能」な「更新装置」を加えることは当業者にとって想到容易である。
ところで、引用例2記載の発明では、有効性コード(暗号データ)の更新条件として、本人確認をすることが記載されており、これは本願発明の更新条件(記録媒体の形状と磁気度が規格内か否か)とは異なる。そこで検討するに、何を更新条件とするかは、記録媒体が属人性のものかどうかにより定まり、キャッシュカードやクレジットカードのように属人性の記録媒体であれば、本人確認することが重要であろうが、記録媒体自体に価値があり、購入者が他人に譲渡しても差し支えないものも多数あり、引用発明1におけるプリペイドカードもそのようなものと解されるところ、そのような記録媒体にあっては、本人確認は重要ではなく、記録媒体の真贋判定が重要なことは明らかである。
そうであれば、引用例2記載の発明の技術における本人確認を記録媒体の真贋判定に変更した上で、引用発明1に引用例2記載の発明の技術を適用することは当業者にとって想到容易である。そして、記録媒体の真贋判定としては、目視判定や各種計測手段による判定が周知であり、計測対象として記録媒体の大きさや磁気度(記録媒体が磁気記録媒体の場合)はありふれたものであるから、「該更新に先立って、前記記録媒体の形状と磁気度が規格内か否かを検査」すること及び「前記検査によって規格内と判断された場合にのみ、前記更新のための操作が許容される装置」とすることには何の困難性もない。
残る検討項目は、「オペレータの操作に応じて、・・・更新可能」とする点及び「前記検査によって規格外と判断された場合には、前記記録媒体を回収」する点である。前者については、最終的な真贋判定をオペレータが行うことは設計事項というよりなく、オペレータが最終判断をする以上、オペレータの操作により規格外又は規格内の決定がされることになるから、結局のところ、オペレータの操作に応じての更新となる。後者については、不正カードを回収することは周知(例えば、特開平3-214391号公報に「不正使用と判定した場合のIDカードは、回収するか、または、係員によるチェックを実行するようにしてもよい」(4頁右下欄13?15行)と、特開平3-136682号公報に「遊技者がゲーム機の挿排口に情報カードを挿入すると、情報カードの遊技関連情報が内部のリーダで読出され、挿入された情報カードが正当なものであれば、ゲーム機が遊技可能状態となり、リーダが読出した遊技関連情報をデータ表示部に表示する。尚、情報カードが正当なものでなければ、当該情報カードをゲーム機内に没収してもよいし、遊技者に挿排口から戻してもよい。」(2頁右上欄6?13行)とそれぞれ記載されているとおりである。)であり、この周知技術を単に採用した程度であるから、これも設計事項程度である。
以上のとおりであるから、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易である。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-25 
結審通知日 2008-08-05 
審決日 2008-08-19 
出願番号 特願平6-157232
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎中澤 真吾  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 深田 高義
川島 陵司
発明の名称 遊技媒体を払い出すシステム  
代理人 加藤 光宏  
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