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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01G
管理番号 1186409
審判番号 不服2006-19830  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-07 
確定日 2008-10-16 
事件の表示 特願2002- 7319「粉粒体計量装置及び粉粒体計量方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月25日出願公開、特開2003-207384〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年1月16日の特許出願であって、平成18年8月4日付け(発送日:同月8日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1ないし10に係る発明は、平成18年7月18日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
目標重量Wtから所定許容範囲内にある粉粒体を秤量するための粉粒体計量装置であって、
一定の流速で粗投入用の粉粒体を供給する粉粒体供給手段を有し、前記目標重量Wtより所定値だけ小さい粗投入重量Wmから所定許容範囲内にある粗投入用の粉粒体の重量W1を計量して排出する粗投入秤量部と、
それぞれ最小分割単位の粉粒体を収容してその重量を計量する複数の秤ユニットを有し、前記各最小分割単位の粉粒体の計量値の任意の組合せの合計値のうち、前記目標重量Wtと前記粗投入秤量部内の粗投入用の粉粒体の重量W1との差(Wt-W1)から所定許容範囲内にある合計値が得られる組合せを決定し、該組合せを構成する前記秤ユニットから粉粒体を精密投入用の粉粒体として排出する組合せ秤量部と
を備えたことを特徴とする粉粒体計量装置。」

第2 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-278189号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
1 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 目標重量Woより小さく、且つ、該目標重量Woに近い重量の被計量物を貯溜する大投入貯槽と、
それぞれ加算投入用の被計量物を貯溜し、少なくとも2種類の異なる容量からなる複数の加算貯槽と、
前記大投入貯槽に投入された被計量物の重量を大投入重量Waとして計量する第1の計量手段と、
前記各加算貯槽に備えられ、前記各加算貯槽に投入された被計量物の重量をそれぞれ計量する複数の第2の計量手段と、
前記目標重量Wo と前記大投入重量Wa との差Wo -Wa を不足重量Wb として求め、前記第2の計量手段で計量した前記各加算貯槽に貯溜されている被計量物の重量に基づいて、前記不足重量Wbに最も近くなる前記加算貯槽の組み合わせを選択し、該選択された加算貯槽内の被計量物を前記大投入貯槽内の被計量物とともに排出するように制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする被計量物の定量充填装置。」
2 「【0002】
【従来の技術】粉粒体の定量充填は古くから行われており、その中で、升はかり、即ち容積計量は以前から広く採用されている。しかし、容積計量は後に重量による計量に変わってきた。その大きな理由は、より正確に計量する必要が生じてきたためである。例えば化学合成物などがその代表である。昔から、米、むぎ等の農産物の計量ではそれほど重要視されなかった問題である。現在主に実施されている粉粒体の定量充填装置の代表例を図4に示す。
・・・・
【0007】本発明はこのような従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、本発明の目的は、被計量物の重量の広範囲の調節と微調整が可能であり、しかも高速充填が可能な定量充填装置を提供することである。」
3 「【0013】
【作用】本発明の定量充填装置では、大投入を行う大投入貯槽と、この大投入を補うための加算投入を行う複数の加算貯槽とが設けられている。大投入貯槽の容量は、目標重量Wo より小さく且つこの目標重量Wo に近い重量の被計量物を貯溜し得るように設定されている。また、加算貯槽は少なくとも2種類の異なる容量からなり、加算投入用の被計量物を複数の異なる容量に分割して貯溜するために設けられている。大投入貯槽及び各加算貯槽への被計量物の投入は、ほぼ同時に行うことができる。
【0014】大投入貯槽に投入された被計量物の重量は、第1の計量手段によって大投入重量Wa として計量される。また、加算貯槽のそれぞれには第2の計量手段が備えられており、この第2の計量手段によって各加算貯槽に貯溜されている加算投入用の被計量物のそれぞれの重量が計量される。第1の計量手段と第2の計量手段とによる被計量物の重量の計量は、ほぼ同時に行うことができる。
【0015】制御手段は、目標重量Woから第1の計量手段によって計量された大投入重量Wa を差し引いたWo -Wa を不足重量Wb として求める。大投入貯槽の容量は目標重量Woより小さい重量の被計量物が貯溜されるように設定されているので、この不足重量Wbの値は常に正となる。次に制御手段は、第2の計量手段のそれぞれによって計量された各加算貯槽内の被計量物の重量に基づいて、不足重量Wbに最も近くなる加算貯槽の組み合わせを選択し、この選択された加算貯槽内の被計量物を大投入貯槽内の被計量物とともに排出するように制御を行う。
【0016】不足重量Wbを求める演算と加算貯槽の組み合わせの選択は、コンピュータ等を使用すれば即座に行うことができるので、高速充填が可能となっている。また、本発明の定量充填装置は、少なくとも2種類の異なる容量からなる複数の加算貯槽を備えているので、被計量物の重量の広範囲の調節と微調節が可能となっている。」
4 「【0020】【実施例】本発明の実施例について、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0021】図1は本発明の第一の実施例に係る定量充填装置の概略構成を示している。本実施例の定量充填装置は、目標重量Woの被計量物を箱、袋等の所定の容器に充填するために使用されるものであり、被計量物を貯溜する大投入貯槽1と、5つの加算貯槽4a,4b,4c,4d及び4eとを有している。大投入貯槽1と5つの加算貯槽4a?4eには、投入装置11から被計量物が、例えば擦り切りによりほぼ同時に投入される。大投入貯槽1にはロードセル7が設けられており、大投入貯槽1に投入される大投入用の被計量物の重量は、このロードセル7により計量される。5つの加算貯槽4a?4eにもそれぞれロードセル2a,2b,2c,2d及び2eが設けられており、加算投入用の被計量物のそれぞれの重量が計量される。ロードセル7及びロードセル2a?2eからの出力は、後述する図2に示す回路を有する制御装置に入力される。
【0022】大投入貯槽1の底部には被計量物を排出するためのゲート8が設けられており、また、加算貯槽4a?4eにもそれぞれ独立に開閉する5つのゲート6が設けられている。大投入貯槽1及び加算貯槽4a?4e内の被計量物は、シュート9を通じて箱、袋等の容器10に排出される。上述のゲート8及び5つのゲート6の開閉は、前述の制御装置の制御により行われる。」
5 「【0024】図2のブロック回路図に示すように、大投入貯槽1に投入される被計量物の重量を計量するロードセル7からの出力と、加算貯槽4a?4e投入される被計量物の重量を計量するロードセル2a?2eからの出力とは、それぞれ増幅器21,21…で増幅され、マルチプレクサ22に接続される。マルチプレクサ22は、各増幅器21からの出力を時分割で切り替えてA/D変換器23に入力し、A/D変換器23は入力されるアナログデータをデジタルデータに変換し、CPU(中央処理装置)24での処理を可能ならしめている。CPU24ではROM(読み出し専用メモリ)25に格納されているプログラムに従って処理が行われ、その際、RAM(ランダムアクセスメモリ)26が一時的に利用される。目標重量Wo 、被計量物のかさ比重等のデータはキーボード27を介して入力され、不揮発性RAM30に格納される。CPU24に於ける処理の結果に基づくゲート8及び5つのゲート6の開閉は、入出力28を介して制御される。表示器29は充填される被計量物の重量、不揮発性RAM30への設定値等の表示を行う。
6 「【0025】本実施例の装置では、図3のフローチャートに従って定量充填が行われる。まず、ステップ32でシュート9の下部に容器10がセットされ、ステップ33で大投入貯槽1及び5つの加算貯槽4a?4eに投入装置11から、被計量物が充填される。ステップ34では、大投入貯槽1に投入された被計量物の全重量が大投入重量Wa としてロードセル7により計量され、それと同時に、各加算貯槽4a?4eに投入された被計量物の重量がそれぞれロードセル2a?2eにより計量される。
【0026】次に、ステップ35で不足重量Wd =Wa -Wo が求められ、ステップ36では、不足重量Wdが最もゼロに近くなるように、加算貯槽の組合せが選択される。ステップ37では、選択された加算貯槽内の被計量物が大投入貯槽1内の被計量物とともに排出され、容器10に充填される。更に、ステップ38で充填後の容器が空の容器に取り替えられ、再びステップ32に戻って計量が繰り返される。」

上記摘記事項2から、刊行物1において「本発明」として記載されている「定量充填装置」は、従来の技術の定量充填装置と同様に粉粒体を被計量物とするものであることが読み取れる。

したがって、上記摘記事項1?6及び図面の記載から、引用刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「粉粒体の定量充填装置であって、
大投入貯槽に粉粒体の被計量物を投入する投入装置と、
目標重量Woより小さく、且つ、該目標重量Woに近い重量の被計量物を貯溜する大投入貯槽と、
それぞれ加算投入用の被計量物を貯溜し、少なくとも2種類の異なる容量からなる複数の加算貯槽と、
前記大投入貯槽に投入された被計量物の重量を大投入重量Waとして計量する第1の計量手段と、
前記各加算貯槽に備えられ、前記各加算貯槽に投入された被計量物の重量をそれぞれ計量する複数の第2の計量手段と、
前記目標重量Wo と前記大投入重量Wa との差Wo -Wa を不足重量Wb として求め、前記第2の計量手段で計量した前記各加算貯槽に貯溜されている被計量物の重量に基づいて、前記不足重量Wbに最も近くなる前記加算貯槽の組み合わせを選択し、該選択された加算貯槽内の被計量物を前記大投入貯槽内の被計量物とともに排出するように制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする粉粒体の定量充填装置。」

第3 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「粉粒体の定量充填装置」、「目標重量Wo 」、「大投入重量Wa 」、「差Wo -Wa 」は、本願発明の「粉粒体計量装置」、「目標重量Wt」、「粗投入用の粉粒体の重量W1」、「差(Wt-W1)」に相当する。
(2)引用発明の「大投入貯槽に粉粒体の被計量物を投入する投入装置」と、本願発明の「一定の流速で粗投入用の粉粒体を供給する粉粒体供給手段」とは、引用発明の「大投入」が本願発明の「粗投入」に相当するものであることを考慮すれば、両者は、ともに、粗投入用の粉粒体を供給する粉粒体供給手段である点で共通している。
(3)引用発明の「目標重量Woより小さく、且つ、該目標重量Woに近い重量の被計量物を貯溜する大投入貯槽」と「前記大投入貯槽に投入された被計量物の重量を大投入重量Wa として計量する第1の計量手段」との両者からなるものは、「制御手段」が「選択された加算貯槽内の被計量物を前記大投入貯槽内の被計量物とともに排出するように制御を行う」点を勘案すると、本願発明の「前記目標重量Wtより所定値だけ小さい粗投入重量Wmから所定許容範囲内にある粗投入用の粉粒体の重量W1を計量して排出する粗投入秤量部」と、前記目標重量Wtより小さい粗投入用の粉粒体の重量W1を計量して排出する粗投入秤量部である点で共通する。
(4)引用発明の「それぞれ加算投入用の被計量物を貯溜し、少なくとも2種類の異なる容量からなる複数の加算貯槽」と「前記各加算貯槽に備えられ、前記各加算貯槽に投入された被計量物の重量をそれぞれ計量する複数の第2の計量手段」との両者からなるものは、本願発明の「それぞれ最小分割単位の粉粒体を収容してその重量を計量する複数の秤ユニット」と、それぞれ粉粒体を収容してその重量を計量する複数の秤手段である点で共通する。
したがって、引用発明の「それぞれ加算投入用の被計量物を貯溜し、少なくとも2種類の異なる容量からなる複数の加算貯槽」、「前記各加算貯槽に備えられ、前記各加算貯槽に投入された被計量物の重量をそれぞれ計量する複数の第2の計量手段」及び「前記目標重量Wo と前記大投入重量Wa との差Wo -Wa を不足重量Wb として求め、前記第2の計量手段で計量した前記各加算貯槽に貯溜されている被計量物の重量に基づいて、前記不足重量Wbに最も近くなる前記加算貯槽の組み合わせを選択し、該選択された加算貯槽内の被計量物を前記大投入貯槽内の被計量物とともに排出するように制御を行う制御手段」の三者からなるものは、本願発明の「それぞれ最小分割単位の粉粒体を収容してその重量を計量する複数の秤ユニットを有し、前記各最小分割単位の粉粒体の計量値の任意の組合せの合計値のうち、前記目標重量Wtと前記粗投入秤量部内の粗投入用の粉粒体の重量W1との差(Wt-W1)から所定許容範囲内にある合計値が得られる組合せを決定し、該組合せを構成する前記秤ユニットから粉粒体を精密投入用の粉粒体として排出する組合せ秤量部」と、それぞれ粉粒体を収容してその重量を計量する複数の秤手段を有し、前記各粉粒体の計量値の任意の組合せの合計値のうち、前記目標重量Wtと前記粗投入秤量部内の粗投入用の粉粒体の重量W1との差(Wt-W1)に近い合計値が得られる組合せを決定し、該組合せを構成する前記秤手段から粉粒体を精密投入用の粉粒体として排出する組合せ秤量部である点で共通する。

よって、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し相違点で相違する。
[一致点] 「粉粒体計量装置であって、
粗投入用の粉粒体を供給する粉粒体供給手段を有し、前記目標重量Wtより小さい粗投入用の粉粒体の重量W1を計量して排出する粗投入秤量部と、
それぞれ粉粒体を収容してその重量を計量する複数の秤手段を有し、前記各粉粒体の計量値の任意の組合せの合計値のうち、前記目標重量Wtと前記粗投入秤量部内の粗投入用の粉粒体の重量W1との差(Wt-W1)に近い合計値が得られる組合せを決定し、該組合せを構成する前記秤手段から粉粒体を精密投入用の粉粒体として排出する組合せ秤量部と
を備えたことを特徴とする粉粒体計量装置。」

[相違点1] 粗投入用の粉粒体の供給を、本願発明では、一定流速で行うのに対し、引用発明では、この点が不明である点。
[相違点2] 粗投入用の粉粒体の重量が、本願発明では、目標重量Wtより所定値だけ小さい粗投入重量Wmから所定許容範囲内にあるものであるのに対し、引用発明では、目標重量Wo より小さく、且つ、該目標重量Wo に近い重量である点。
[相違点3] 秤手段が、本願発明では、それぞれ最小分割単位の粉粒体を収容する秤ユニットであるのに対し、引用発明では、少なくとも2種類の異なる容量からなる加算貯槽である点。
[相違点4] 本願発明では、粉粒体計量装置が、「目標重量Wtから所定許容範囲内にある粉粒体を秤量するための」ものであり、組合せ秤量部が、差(Wt-W1)から所定許容範囲内にある合計値が得られる組合せを決定するのに対し、引用発明では、粉粒体の定量充填装置にはそのような目的の限定がなく、また、組合せ秤量部は、差Wo-Waに最も近くなる加算貯槽の組み合わせを選択する点。

2 判断
上記相違点1ないし4について検討する。
相違点1について
計量装置において、被計量物の供給を一定流速で行うことは、例えば、特開平8-327439号公報、特開平6-317451号公報に示されるように本願出願前周知の事項であるから、該周知技術を引用発明に適用して、大投入貯槽への被計量物の投入を一定流速で行うようにすることは当業者が容易になし得たことである。

相違点2について
引用発明において、目標重量Woより小さく、且つ、該目標重量Woに近い重量である大投入重量Wa を計量する趣旨は、目標重量Woに対する該大投入重量Waの不足重量Wb を求め、該不足重量Wbに最も近い加算貯槽の組み合わせを選択して、ほぼ目標重量Woに等しい重量を計量するためであるから、大投入重量Wa は、その目標重量Woに対する不足重量Wbが加算貯槽の組み合わせにより得られる合計重量でカバーされる範囲に収まる程度の重量でなければならず、その不足重量Wbが大きすぎては所望の計量精度が得られないことは明らかである。
したがって、 引用発明において、大投入重量Waを、その不足重量Wbが上記合計重量でカバーされる範囲に収まる程度の重量となるように、目標重量より所定値だけ小さい粗投入重量から所定許容範囲内にあるものとすることは当業者が容易に想到し得たことである。

相違点3について
目標重量に満たない不足分を補うための組合せ計量を行う各補助槽を同じ容量のものとすることは、引用刊行物に記載されている。(段落【0005】の「このタイプの定量充填装置では、目標重量より小さく且つ目標重量に近い重量の被計量物が大投入用の貯槽に貯溜されるとともに、目標重量に満たない不足分を補うための、同じ容量を有する複数の補助槽が設けられる。そして、この装置では、各補助槽に貯溜される被計量物の重量にバラツキが生ずるのを利用して定量充填が行われる。即ち、この装置では、目標重量から大投入貯槽内の被計量物の重量を差し引いた不足重量が求められ、この不足重量に最も近い補助槽の組合せが選択される。このような同じ容量の複数の補助槽を設けることにより、目標重量に近い重量の被計量物の充填が可能となっている。」という記載参照。)
そして、この補助槽の容量は、各補助槽の組合せにより得られる合計の計量値の最小単位に対応するものであるから、引用発明において、目標重量に満たない不足分を補うための組合せ計量を行う各加算貯槽を、同じ容量のものとし、これを最小分割単位の粉粒体を収容するものとして、相違点3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

相違点4について
計量装置において、目標重量から所定許容範囲内の被計量物を秤量することは、例えば、特開平7-63599号公報、特開平7-128125号公報に示されるように周知技術である。
そして、引用発明において、目標重量と秤量された粉粒体の重量との最終的な差は、目標重量Wo と大投入重量Wa との差Wo -Wa と、加算貯槽の組み合わせにより得られた合計重量との差で与えられるから、この差が上記所定許容範囲内となるような加算貯槽の組み合わせを選択すればよいこと、すなわち、差Wo -Waから所定許容範囲内にある合計重量が得られるような加算貯槽の組合せを選択すればよいことは明らかである。
したがって、引用発明において、相違点4に係る本願発明の構成とすることは周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明(請求項1に係る発明)が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2ないし10に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-18 
結審通知日 2008-08-19 
審決日 2008-09-01 
出願番号 特願2002-7319(P2002-7319)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森 雅之  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 下中 義之
岡田 卓弥
発明の名称 粉粒体計量装置及び粉粒体計量方法  
代理人 角田 嘉宏  

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