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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05H
管理番号 1186894
審判番号 不服2007-15334  
総通号数 108 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-31 
確定日 2008-10-30 
事件の表示 特願2002-241730「プラズマ生成装置およびプラズマ処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月11日出願公開、特開2004- 79465〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成14年8月22日の出願であって、平成19年4月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成19年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成18年6月30日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「プラズマが形成されるプラズマ生成室と、
前記プラズマ生成室の端面に近接して設けられ、高周波磁界を形成する平面状のコイルと、
前記プラズマ生成室内のプラズマ生成領域に配設されて、プラズマ分布密度を調整する誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロックの配設位置を、少なくとも前記コイルの軸に直交する方向に移動する位置変更手段とを設けたことを特徴とするプラズマ生成装置。」

3 引用刊行物に記載された発明
原査定の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特表平8-508852号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、「スパッタエッチング制御用のプラズマ成形プラグ」の発明に関して、以下の事項が記載されている。
<記載事項1>
「発明の分野 この特許は、一般にイオン化ガスプラズマを用いた基板表面のスパッタエッチングに関し、特にイオン化ガスプラズマを制御して基板の表面全体に、より均一な、または選択的に可変のエッチングを行うことに関する。」(第5ページ第3?6行)
<記載事項2>
「発明の概要 この発明は、処理室内のイオン化プラズマ雲を成形することによりウエーハ表面全体のエッチング速度を選択的に変えて、ウエーハ表面全体のプラズマのフラックスすなわちイオン濃度を選択的に増減する。プラズマを成形してウエーハ全体のイオン濃度をより均一にすることにより、エッチングをより均一にする。この発明ではプラズマ雲を成形するのに、プラグを用いて雲を所定の方法で物理的に置き換えて、プラズマ雲の一部をウエーハの或る場所からウエーハの他の場所に移動させる。プラズマ雲を物理的に置き換えて成形するために、この発明は内向き(re-entrant)プラグ構造を用いる。」(第6ページ第16?24行)
<記載事項3>
「この発明の一実施態様では、一般に内向きプラグは代表的な処理室の円筒形に従って円筒形であり、プラズマ雲の中心に対称的に延びて、中心付近のプラズマ雲を全方向に均等に置き換える。処理室の形が円筒形などの対称形の場合、および室内のプラズマ雲が一般に対称形の場合は、対称形のプラグを用いる。」(第7ページ第4?7行)
<記載事項4>
「この発明の別の実施態様では、内向きプラグは非対称形であって、中心以外の場所のプラズマ雲の中に延びる。この発明の内向きプラグを用いる場合、プラグの直径、長さ、および/または形を変えることにより、またはプラグをプラズマ雲の中に挿入する場所を雲の形やエッチングするウエーハの場所に対して変えることにより、プラズマ雲の形を正確に変えることができる。(中略)この発明の内向きプラグ構造は、別個の、位置が変えられる部材を用いて、いろいろの挿入深さで処理室の内部に設けることができる。」(第7ページ第7?17行)
<記載事項5>
「第1図は、イオン化ガスプラズマ雲12を用いて基板すなわち半導体ウエーハ10をスパッタエッチングする、従来のプラズマ・スパッタエッチング処理室5を示す。処理室5はベース14を備え、ベース14はエッチング中に室5内にウエーハ10を保持するウエーハ支持物16を持つ。ウエーハ10を支持物16の上に置き、誘電体カバー18で室5内に囲う。誘電体カバー18とベース14とを真空シールし、ウエーハ10をプラズマエッチングするのに適した処理空問22を処理室5内に作る。アルゴンなどのエッチングガスをガス入り口20を通して室5内に導入し、ウエーハ10を室5内の支持物16の上に置き、ガス入り口20を経て処理空間22に導入したエッチングガスをウエーハ10の表面29の上に集める。
誘電室カバー18は代表的に石英製で、電気エネルギーは、処理室5のカバー18を囲む誘導コイル24を通して処理空間22内のガスと誘導的に結合する。コイル24には、代表的に450KHz程度の周波数で動作する中間周波数電源26から電力を供給する。コイル24からの電気エネルギーはエッチングガスと誘導的に結合してガスをイオン化し、イオン化粒子15と自由電子15から成るイオン化ガスプラズマ雲12を作る。プラズマ雲12はウエーハ支持物16とウエーハ10の上に制限される。」(第8ページ第15行?第9ページ第3行)
<記載事項6>
「第2A図はこの発明の内向きプラグを示すもので、処理室30はベース32とカバー34を備える。カバー34は、ウエーハ40をスパッタエッチングする真空処理空間36を形成する。支持物38をベース32に取り付けて、スパッタエッチングするウエーハ40の下に置く。イオン化してプラズマ48を作るエッチングガスを、ガス入り口42から導入する。電源44は、カバー34の周りに巻いた誘導コイル46に電力を供給する。コイル46はガスにエネルギーを誘導的に供給してガスをイオン化し、スパッタエッチングするウエーハ40の近くに、一般にその上に、プラズマ雲48を作る。高周波電源50はウエーハ支持物38をバイアスしてウエーハ40を帯電させ、プラズマ雲48のイオン化粒子をウエーハ40の表面51に衝突させてウエーハ表面をスパッタエッチングする。」(第10ページ第10?19行)
<記載事項7>
「ウエーハ40の表面51全体のエッチング速度をより均一にするため、処理室30は、ウエーハ40の表面51に向かって処理空間36を下向きに延びる内向きプラグ52を用いる。プラグ52は第2A図に示すようにカバー34に対して固定した内向きプラグ構造でもよいし、第2B図に示すプラグ構造のように位置が変えられるプラグ54でもよい。位置が変えられるプラグ54は室カバー55の頂部にあって上下に滑り、処理室55の処理空間56の中に入るプラグ54の深さを増減する。」(第10ページ第20?26行)
<記載事項8>
「第2A図では、内向きプラグ52は室カバー34の頂部と一体に成形されており、室カバー34と同じ材料、例えば石英で作る。」(第11ページ第4?5行)
<記載事項9>
「プラグ52を処理空間36の中に挿入するとプラズマ雲48はプラグ表面53の外形に従うので、ウエーハ表面51の中心領域57の上のイオン化プラズマ粒子の濃度は減少し、ウエーハ40の外周縁58の付近の表面領域の上のイオン化プラズマ粒子の濃度は増加する。」(第11ページ第21?24行)
<記載事項10>
「内向きプラグ52の形とプラズマ雲48の中に挿入する深さによって、プラグ52が室30内のプラズマを置き換え、またウエーハ40全体のエッチング速度をより均一にする効果が決定する。従って、プラグ52の直径や長さや形を変えたり、ウエーハ40に対するプラグ52の位置を変えたりして調整することにより、所望のプラズマイオン濃度、プラズマ雲の厚さや形、ウエーハ40の表面51全体のエッチング速度の均一度を得ることができる。」(第12ページ第2?7行)
<記載事項11>
「この発明を幾つかの望ましい実施態様により示し、これらの望ましい実施態様を詳細に説明したが、特許請求の範囲をこれらに限定し制限するつもりはない。当業者には、別の利点や修正が可能なことは容易に明らかである。例えば、この発明では処理室の周りの導体コイルにより、誘導的に結合したエネルギーを用いてガスをイオン化するよう説明したが、この発明の範囲から逸れない他のイオン化法や、他の型のエッチングガスや各種のガスの入り口構造を用いることができる。」(第14ページ第10?16行)

そして、プラズマエッチング装置の従来例が図示されたFIG.1とFIG.2Bとを対比してみると、FIG.2Bに示されたプラズマエッチング装置は、プラグ54以外の構成がFIG.1に示された上記プラズマエッチング装置と共通することは、明らかである。
また、引用刊行物1には、「プラグ52は第2A図に示すようにカバー34に対して固定した内向きプラグ構造でもよいし、第2B図に示すプラグ構造のように位置が変えられるプラグ54でもよい。」(記載事項7)と記載されており、記載事項7の上記プラグ52、即ち内向きプラグ52について、「第2A図では、内向きプラグ52は室カバー34の頂部と一体に成形されており、室カバー34と同じ材料、例えば石英で作る。」(記載事項8)、と記載されている。
この記載からみて、第2B図に示される位置が変えられる(内向き)プラグ54は、プラグ52と同様に、石英で作られていることを読み取ることができる。

したがって、上記記載事項1?11、及び図面に基づけば、引用刊行物1には、
「イオン化ガスプラズマ雲12が作られるプラズマ・スパッタエッチング処理室5と、
前記プラズマ・スパッタエッチング処理室5のカバー18を囲んで、450KHz程度の周波数で動作する中間周波数電源から電力が供給される誘導コイル24と、
プラズマ・スパッタエッチング処理室5の処理空間56の中に挿入されて、ウエーハ表面51の中心領域57の上のイオン化プラズマ粒子の濃度は減少させ、ウエーハ40の外周縁58の付近の表面領域の上のイオン化プラズマ粒子の濃度を増加させる石英で作られた内向きプラグ54と、
前記石英で作られた内向きプラグ54をいろいろの挿入深さで、前記誘導コイル24がその回りに設けられるプラズマ・スパッタエッチング処理室5の内部での位置を変える部材とを設けたプラズマ・スパッタエッチング処理室5。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

同じく、原査定の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特表平4-504025号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、「イオン銃」の発明に関して、以下の事項が記載されている。
<記載事項12>
「本発明は、イオンビーム処理装置において用いられるイオン銃、及び同様のイオン銃が組み込まれているイオンビーム処理装置、及びイオンビーム中和器に関する。
従来、幅広ビームイオン源を用いてスパッタ蒸着、スパッタエツチング、又はスパッタミリングのいずれかにより物体の表面加工を行う為、様々な提案が行われてきた。そのような幅広ビームイオン源は、多孔イオン光学゛を利用しており、その典型的な直径の範囲は、約25から約500nmまでである。
典型的なイオンビーム源(又はイオン銃)においては、加熱されたカソードとアノードとを備えた低圧放電チャンバへガス又は蒸気を入れることによりプラズマが生成される。」
(第2ページ左下欄第3?13行)
<記載事項13>
「異なる形態のイオン源として、プラズマが生成されるべきチャンバを取り囲むソレノイドコイルを用いたものが、英国特許公開第2180686号に説明されている。」(第3ページ左下欄第13?15行)
<記載事項14>
「好ましくは、誘電性部材と組み合わされた高周波放射手段は、誘電性部材に隣接して置かれた。又は誘電性部材に埋め込まれた、コイルを含むものである。よって、このコイルは好ましくは平坦であり、又、出来る限り平坦に近いものが実際的である。このようなコイルは、例えば、銅等の導電性材料からなるチューブ形状を有し、その中に水等の冷却剤を通すことが出来る。これは、好ましくは渦巻コイルよりなるものである。」(第5ページ左上欄第17?23行)
<記載事項15>
「プラズマ生成器4は、プラズマチャンバ5の上部の開放端部を閉鎖する誘電性部材よりなるものである。また、矢印11で示されるように、幾つかのガス注入ノズルが設けられており、それらを通って、アルゴン等のプラズマ生成ガス、又はプラズマ生成ガスと酸素等の反応性ガスとの混合気がプラズマチャンバ5へ注入可能である。高周波コイル12は、誘電性部材10の上部に配設されると共に、例えば、13.56MHz等の周波数で動作する適当な高周波電源に接続されている。」(第6ページ左下欄下から2行目?同ページ右下欄第5行)

これらの記載からみて、引用刊行物2には、プラズマ生成装置において、高周波放射手段として、プラズマチャンバ5の上部の開放端部を閉鎖する誘電性部材に隣接した平坦状のコイルを用いる点が記載されている。

4 対比
本願発明と引用発明とを比較する。
(1)引用発明の「イオン化ガスプラズマ雲12」、「作られる」、「プラズマ・スパッタエッチング処理室」は、本願発明の「プラズマ」、「形成される」、「プラズマ生成室」に相当する。

(2)
ア 引用発明の「前記プラズマ・スパッタエッチング処理室5のカバー18を囲んで」と本願発明の「前記プラズマ生成室の端面に近接して設けられ」とは、前記プラズマ生成室に近接して設けられる点で一致する。
イ 引用発明の「450KHz程度の周波数で動作する中間周波数電源から電力が供給される誘導コイル24」は、高周波磁界を形成する機能を有することは明らかであるから、引用発明の「450KHz程度の周波数で動作する中間周波数電源から電力が供給される誘導コイル24」と本願発明の「高周波磁界を形成する平面状のコイル」とは、高周波磁界を形成するコイルの点で一致する。
ウ したがって、引用発明の「前記プラズマ・スパッタエッチング処理室5のカバー18を囲んで、450KHz程度の周波数で動作する中間周波数電源から電力が供給される誘導コイル24」と本願発明の「前記プラズマ生成室の端面に近接して設けられ、高周波磁界を形成する平面状のコイル」とは、前記プラズマ生成室に近接して設けられ、高周波磁界を形成するコイルの点で一致する。

(3)
ア 引用発明の内向きプラグ54が挿入される「処理空間56」の領域は、イオン化ガスプラズマ雲12が作られている領域であるから、本願発明の「プラズマ生成領域」に相当する。
イ 引用発明の「挿入されて」は、本願発明の「配設されて」に相当する。
ウ 引用発明の「ウエーハ表面51の中心領域57の上のイオン化プラズマ粒子の濃度は減少させ、ウエーハ40の外周縁58の付近の表面領域の上のイオン化プラズマ粒子の濃度を増加させる」は、本願発明の「プラズマ分布密度を調整する」に相当する。
エ 引用発明の「石英で作られた内向きプラグ54」は、石英で作られているから、誘電体であり、またその形状はFIG.2Bの記載からみてブロック形状といえるから、引用発明の「石英で作られた内向きプラグ54」は、本願発明の「誘電体ブロック」に相当する。
オ したがって、引用発明の「前記プラズマ・スパッタエッチング処理室5の処理空間56の中に挿入されて、ウエーハ表面51の中心領域57の上のイオン化プラズマ粒子の濃度は減少させ、ウエーハ40の外周縁58の付近の表面領域の上のイオン化プラズマ粒子の濃度を増加させる石英で作られた内向きプラグ54」は、本願発明の「前記プラズマ生成室内のプラズマ生成領域に配設されて、プラズマ分布密度を調整する誘電体ブロック」に相当する。

(4)引用発明の「いろいろの挿入深さ」、「位置を変える部材」は、本願発明の「配設位置」、「配設位置を移動する位置変更手段」に相当する。
したがって、引用発明の「前記石英で作られたプラグ54をいろいろの挿入深さで、前記誘導コイル24がその回りに設けられるプラズマ・スパッタエッチング処理室5の内部での位置を変える部材」と本願発明の「前記誘電体ブロックの配設位置を、少なくとも前記コイルの軸に直交する方向に移動する位置変更手段」とは、前記誘電体ブロックの配設位置を移動する位置変更手段の点で一致する。

したがって、本願発明と引用発明の両者は、
「プラズマが形成されるプラズマ生成室と、
前記プラズマ生成室に近接して設けられ、高周波磁界を形成するコイルと、
前記プラズマ生成室内のプラズマ生成領域に配設されて、プラズマ分布密度を調整する誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロックの配設位置を移動する位置変更手段とを設けたプラズマ生成装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
高周波磁界を形成するコイルが、本願発明は、「プラズマ生成室の端面に近接して設けられ」た「平面状のコイル」であるのに対して、引用発明は、「プラズマ・スパッタエッチング処理室5のカバー18を囲」む「誘導コイル24コイル」である点。
[相違点2]
誘電体ブロックの配設位置を移動させる位置変更手段における移動方向が、本願発明は、「少なくとも前記コイルの軸に直交する方向」であるのに対して、引用発明は、そのように限定されていない点。

5 当審の判断
(1)相違点1
上述したように、引用刊行物2には、プラズマ生成装置において、高周波放射手段として、プラズマチャンバ5の上部の開放端部を閉鎖する誘電性部材に隣接した平坦状のコイルを用いるものがある点が記載され、また、その点は特開平9?289193号公報(図14等)、特開平9-321029号公報(図4等)、特開平8-88190号公報(図1等)にも示されており、従来周知の技術といえる。
してみると、相違点1に係る本願発明の発明特定事項は、引用刊行物2に記載された発明又は従来周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

(2)相違点2
引用刊行物1には、「この発明の別の実施態様では、内向きプラグは非対称形であって、中心以外の場所のプラズマ雲の中に延びる。この発明の内向きプラグを用いる場合、プラグの直径、長さ、および/または形を変えることにより、またはプラグをプラズマ雲の中に挿入する場所を雲の形やエッチングするウエーハの場所に対して変えることにより、プラズマ雲の形を正確に変えることができる。」(記載事項4)と記載されている。
引用発明の「内向きプラグ」は、FIG.2Bから対称形をしているが、上記記載事項4の、「内向きプラグ」についての「非対称形」とは、引用刊行物1のFIG.1やFIG.2Bのプラズマ雲12,被処理物である(半導体)ウエーハ10の左右方向に対して、非対称であることを意味することは文脈上明らかであり、また、「プラグをプラズマ雲の中に挿入する場所を雲の形やエッチングするウエーハの場所に対して変える」とは、本願発明と同様にプラズマ雲12の左右方向に対してプラグの挿入位置を変えることを意味することも文脈上明らかである。

そして、上記「(1)相違点1」の項で述べたように、相違点1に係る本願発明の発明特定事項、すなわち、前記プラズマ生成室の端面に近接して設けられ、高周波磁界を形成する平面状のコイルを設けることは、引用刊行物2に記載された発明又は従来周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

また、相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、引用刊行物1の記載事項4に記載された、内向きプラグの配設位置を移動させる位置変更手段における移動方向をプラズマ雲12(プラズマ)の左右方向と規定する際、引用刊行物2に記載された発明や従来周知の技術である、プラズマ生成室の端面に近接して設けられた平面状のコイルとの関係において、「少なくとも前記コイルの軸に直交する方向」であると規定したものである。
してみると、相違点1に係る本願発明の発明特定事項が、引用刊行物2に記載された発明又は従来周知の技術に基づいて基づいて当業者が容易に想到し得る事項である以上、相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、引用刊行物1の記載された発明、及び引用刊行物2に記載された発明又は従来周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

そして、本願発明の効果は、引用刊行物1の記載、引用刊行物2の記載から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明、及び引用刊行物2に記載された発明又は従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明、及び引用刊行物2に記載された発明又は従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-01 
結審通知日 2008-08-05 
審決日 2008-09-08 
出願番号 特願2002-241730(P2002-241730)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村田 尚英岡▲崎▼ 輝雄  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 越河 勉
末政 清滋
発明の名称 プラズマ生成装置およびプラズマ処理装置  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  

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