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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1187988
審判番号 不服2006-6159  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-04 
確定日 2008-11-13 
事件の表示 平成 8年特許願第190164号「防爆弁を形成した被膜付コンデンサ用アルミケースと被膜付コンデンサ用アルミケースに防爆弁を形成するために使用する刻印金型」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月13日出願公開、特開平10- 41196〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成8年7月19日の出願であって、平成18年2月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月27日付けで手続補正がなされ、その後、当審において平成20年2月12日付けで審尋がなされ、同年4月16日に回答書が提出されたものである。

第2 平成18年4月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年4月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により、補正前の請求項2は、補正後の請求項1として、
「【請求項1】 外面に被膜を取り付けた一端閉鎖の筒状のアルミケースの内面に防爆弁としての溝を形成し、前記アルミケースの前記溝に対応する外面位置に突出部を形成したものであって、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所と2つの平面が交わる箇所とを有する被膜付コンデンサ用アルミケースにおいて、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所に角張った点を存在させないようにすると共に、前記溝の表面に2つの平面が交わる箇所に直線状の稜線を存在させないようにしたことを特徴とする防爆弁を形成した被膜付コンデンサ用アルミケース。」と補正された。
上記補正は、実質的に、補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「一端閉鎖で筒状のアルミケースの外面に被膜を取り付けたものであってそのアルミケースの内面に防爆弁としての溝を形成した被膜付コンデンサ用アルミケースにおいて」を、「外面に被膜を取り付けた一端閉鎖の筒状のアルミケースの内面に防爆弁としての溝を形成し、前記アルミケースの前記溝に対応する外面位置に突出部を形成したものであって、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所と2つの平面が交わる箇所とを有する被膜付コンデンサ用アルミケースにおいて」と、限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 独立特許要件について
(1)刊行物に記載された発明
(ア)刊行物1:実願平3-93702号(実開平5-38866号)のCD-ROM
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物1には、「電解コンデンサ」(考案の名称)に関して、図1,図2とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は、引用箇所のうち特に強調する部分に付加した。以下、同様。)
「【請求項1】対向する電極箔間にセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子より導出した引き出しリードを封口体に設けたリード穴に挿通し、円筒状金属ケースに収納してなる電解コンデンサにおいて、上記金属ケースの内部底面部に肉薄部分となる溝を形成し防爆構造を備えかつ該溝に接する側のセパレータのマージン寸法Aを、封口体に接する側のセパレータのマージン寸法Bより大きくして構成したことを特徴とする電解コンデンサ。
【請求項2】上記金属ケースの外部底面部に絶縁性の樹脂が塗布され、その上に定格、極性などを表示されていることを特徴とする請求項1の電解コンデンサ。」
「【0006】
【実施例】
以下、本考案を図1および図2の実施例に基づき詳細に説明する。図1は本考案のアルミ電解コンデンサの断面図、図2は図1の平面図で、1はコンデンサ素子であり、アルミニウムの箔の表面を粗面化し、その後酸化皮膜を形成してなる陽極箔と、陰極箔とを電解紙からなるセパレータを介して巻回し、その巻回素子に駆動用電解液を含浸することにより構成し、該コンデンサ素子1はあらかじめ有底円筒状でかつその内部底面部に肉薄部分の溝2を構成する金属ケース3内に収納されている。また該コンデンサ素子1の陰極箔、陽極箔にはそれぞれリード線4が接続され、金属ケース3の開口部は弾性を有する封口体5を装着し封口されて構成されたアルミ電解コンデンサである。
また、上記金属ケースの肉薄部分の溝の面と反対側の外面にはナイロンなどの絶縁性の樹脂が塗布されており、その上に定格、極性などの表示印刷がなされている。さらに上記溝2に接する側の電解紙からなるセパレータのマージン寸法Aは、封口体5に接する側のセパレータのマージン寸法Bより大きく構成されている。」
さらに、図1には、一端閉鎖の筒状の金属ケースの内面に防爆構造としての溝を形成し、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所と2つの平面が交わる箇所とを有するコンデンサ用金属ケースが示されている。
以上から、刊行物1には、「外面に絶縁性の樹脂が塗布された一端閉鎖の筒状の金属ケースの内面に防爆構造としての溝を形成し、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所と2つの平面が交わる箇所とを有するコンデンサ用金属ケース。」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(イ)刊行物2:実願昭52-60684号(実開昭53-154341号)のマイクロフィルム
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物2には、「小型電解コンデンサ用ケース」(考案の名称)に関して、第4,5図とともに以下の事項が記載されている。
「本考案はこれらの欠点を改良したもので、第4図に示すようにケース底面に断面が略半円形をした溝5、あるいは第5図に示すように台形の溝6を設けたもので、ケース内部の圧力の上昇により略半円形溝5、あるいは台形の溝6の底部の肉薄部に亀裂が生じガスを逃がす構造としたものである。
本考案によれば、ケース肉薄部が広くないので外部の力でケースに穴があくこともなく、プレス金型先端が略半円形のカーブもしくは台形の頭部の平坦部で形成されているので摩耗に強く、常に一定した肉薄部を作製することができ、確実な防爆動作性能を持った電解コンデンサケースを得ることができる。」(明細書第3頁第4行?第17行)
以上から、刊行物2には、「プレス金型により、防爆動作性能を有する肉薄部を作製した電解コンデンサケースを形成すること」が記載されている。

(ウ)刊行物3:実願昭63-108826号(実開平2-29518号)のマイクロフィルム
本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物3には、「電解コンデンサ用ケース」(考案の名称)に関して、第1図とともに以下の事項が記載されている。
「(産業上の利用分野)
本考案は、電解コンデンサ用ケース、例えばアルミニウムからなるケースの防爆弁に関するものである。」(明細書第1頁第12行?第15行)
「この考案になる電解コンデンサ用ケースでは、溝の隅を薄肉部寸法より大きい半径の面取りとしたため、この部分の強度が薄肉部の強度より大となり、よって弁動作は薄肉部の破れのみとなるから、弁動作圧力のばらつきは縮小され、ばらつきの小さい弁動作特性を有するケースを提供することができる。」(明細書第3頁第8行?第14行)
さらに、第1図には、防爆弁の溝の隅を面取りすることが示されている。
以上から、刊行物3には、「防爆弁の弁動作圧力のばらつきを縮小するため、薄肉部の溝の隅を面取りすること」が記載されている。

(エ)刊行物4:実願昭46-76215号(実開昭48-32853号)のマイクロフィルム
本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物4には、「電解コンデンサのケース」(考案の名称)に関して、第1図?第4図とともに以下の事項が記載されている。
「そこで従来は図面第4図イに示すように肉厚aが0.5-0.8mmのケースの頭部の一部に肉厚0.1-0.15mmの薄肉部を形成し、この部分を上方に向けて破裂させ、破片が側方に飛散するのを防止していた。
このケースは第4図ロに示すように下型F’上にのせた素材を先端に凸部T’を有するパンチP’で押圧して形成する。
しかしながらパンチおよび下型を超工具鋼で構成してもパンチの凸部T’およびこれに対応する下型F’は他の部分に比し垂直方向の強い衝撃を受けるので第4図ロの点線で示すように摩損して薄肉部を初期のように形成できず、多量生産に適さない欠点があった。
本考案はこれを改良し多量生産ができるようにしたケースである。
これを図面第1図に示す実施例について説明すると、アルミ又はアルミ合金製の円筒体1の頭部に皿状突出部2を押圧形成し、その突出部2の側壁3の厚さを薄く形成して裂開し易いようにする。
なお側壁3は第2図イに示すように全体を薄くしてもよいが、ロに示すようにその一部を薄くすると裂開した部分が飛散しないので都合がよい。
本考案のケースは上述の構造を有するので、ケース内の圧力が高まると頭部の突出部2の側壁3が裂開して上方に向けて飛散するので、他の部品をその頭部を避けてセット内に組込むことによりたとえケースが裂開しても他の部品を損傷しないばかりでなく、第3図に示すようにパンチPの先端の凸部Tに対応して下型Fに皿状の凹部Kを設け、凸部Tと凹部Kの側壁との間を0.1-0.15mmの間隙にしておくことにより本考案のケースは容易に押出し形成でき、凹部Kと凸部Tとの側壁はパンチPによる垂直方向の衝撃を受けることがないので摩損しないから本考案を多量生産できる。」(明細書第2頁第1行?第3頁第19行)
第1,3,4図には、コンデンサのアルミケースの凹部に対応する外面位置に突出部を形成することが示されている。
以上から、刊行物4には、「凹部に対応する外面位置に突出部を形成した、コンデンサのアルミケース」が記載されている。

(2)本願補正発明と引用発明との対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「樹脂」,「防爆構造としての溝」は、それぞれ本願補正発明の「被膜」,「防爆弁としての溝」に相当する。
また、引用発明の「コンデンサ用金属ケース」は、本願補正発明の「被膜付コンデンサ用」「ケース」に相当する。
ゆえに、両者は、
「外面に被膜を取り付けた一端閉鎖の筒状のケースの内面に防爆弁としての溝を形成し、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所と2つの平面が交わる箇所とを有する被膜付コンデンサ用ケース。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本願補正発明は、コンデンサ用ケースとして「アルミケース」を用いるという構成を備えているのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点2]本願補正発明は、「前記アルミケースの前記溝に対応する外面位置に突出部を形成したものであ」るという構成を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点3]本願補正発明は、「前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所に角張った点を存在させないようにすると共に、前記溝の表面に2つの平面が交わる箇所に直線状の稜線を存在させないようにした」という構成を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
刊行物3,4にも記載されるようにコンデンサ用金属ケースとしてアルミケースを用いることは周知の技術である。
よって、引用発明において、本願補正発明のごとく、コンデンサ用金属ケースとしてアルミケースを用いることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2について]
(a)刊行物2には「プレス金型により、防爆動作性能を有する肉薄部を作製した電解コンデンサケースを形成すること」が記載されており、引用発明において、刊行物2のように、プレス金型により、肉薄部(本願補正発明の「溝」に相当)を形成すれば、肉薄部に対応する外面位置には、結果的に、突出部が形成されるものと認められる。
(b)刊行物4には、従来技術として第4図ロとともに、「下型F’は他の部分に比し垂直方向の強い衝撃を受けるので第4図ロの点線で示すように摩損」すると記載されており、薄肉部(本願補正発明の「溝」に相当)を形成すると、下型が摩損して凹状になり、薄肉部に対応する外面位置には、突出部が形成されるものと認められる。
(c)さらに、刊行物4の第1図には防爆弁としての「凹部に対応する外面位置に突出部を形成した、コンデンサのアルミケース」が記載されている。
(d)以上の点を考慮すると、引用発明において、本願補正発明のごとく「前記アルミケースの前記溝に対応する外面位置に突出部を形成したものであ」るという構成を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点3について]
刊行物3には、「防爆弁の弁動作圧力のばらつきを縮小するため、薄肉部の溝の隅を面取りすること」が記載されている。防爆弁の弁動作圧力のばらつきを縮小するためには、すべての角張った点や稜線をなくさなければならないから、引用発明において、本願補正発明のごとく「前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わる箇所に角張った点を存在させないようにすると共に、前記溝の表面に2つの平面が交わる箇所に直線状の稜線を存在させないようにした」という構成を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

なお、課題の認識が相違しても、複数の引用文献を組み合わせることに阻害要因がなく、同等の構成のものが容易に発明できる場合には、進歩性が認められない点に留意されたい。

したがって、本願補正発明は、刊行物1ないし4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、補正後の請求項1とする補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成18年4月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年12月14日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「一端閉鎖で筒状のアルミケースの外面に被膜を取り付けたものであってそのアルミケースの内面に防爆弁としての溝を形成した被膜付コンデンサ用アルミケースにおいて、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させないようにしたことを特徴とする防爆弁を形成した被膜付コンデンサ用アルミケース。」

第4 刊行物に記載された発明
1.刊行物1:実願平3-93702号(実開平5-38866号)のCD-ROM
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物1には、「電解コンデンサ」(考案の名称)に関して、図1,図2とともに以下の事項が記載されている。
「【請求項1】対向する電極箔間にセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子より導出した引き出しリードを封口体に設けたリード穴に挿通し、円筒状金属ケースに収納してなる電解コンデンサにおいて、上記金属ケースの内部底面部に肉薄部分となる溝を形成し防爆構造を備えかつ該溝に接する側のセパレータのマージン寸法Aを、封口体に接する側のセパレータのマージン寸法Bより大きくして構成したことを特徴とする電解コンデンサ。
【請求項2】上記金属ケースの外部底面部に絶縁性の樹脂が塗布され、その上に定格、極性などを表示されていることを特徴とする請求項1の電解コンデンサ。」
「【0006】
【実施例】
以下、本考案を図1および図2の実施例に基づき詳細に説明する。図1は本考案のアルミ電解コンデンサの断面図、図2は図1の平面図で、1はコンデンサ素子であり、アルミニウムの箔の表面を粗面化し、その後酸化皮膜を形成してなる陽極箔と、陰極箔とを電解紙からなるセパレータを介して巻回し、その巻回素子に駆動用電解液を含浸することにより構成し、該コンデンサ素子1はあらかじめ有底円筒状でかつその内部底面部に肉薄部分の溝2を構成する金属ケース3内に収納されている。また該コンデンサ素子1の陰極箔、陽極箔にはそれぞれリード線4が接続され、金属ケース3の開口部は弾性を有する封口体5を装着し封口されて構成されたアルミ電解コンデンサである。
また、上記金属ケースの肉薄部分の溝の面と反対側の外面にはナイロンなどの絶縁性の樹脂が塗布されており、その上に定格、極性などの表示印刷がなされている。さらに上記溝2に接する側の電解紙からなるセパレータのマージン寸法Aは、封口体5に接する側のセパレータのマージン寸法Bより大きく構成されている。」
さらに、図1には、一端閉鎖で筒状のケースの内面に防爆構造としての溝を形成したコンデンサ用金属ケースが記載されている。
以上から、刊行物1には、「一端閉鎖で筒状の金属ケースの外面に絶縁性の樹脂が塗布され、その金属ケースの内面に防爆構造としての溝を形成したコンデンサ用金属ケース。」(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

2.刊行物2:実願昭52-60684号(実開昭53-154341号)のマイクロフィルム
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物2には、「小型電解コンデンサ用ケース」(考案の名称)に関して、第4,5図とともに以下の事項が記載されている。
「本考案はこれらの欠点を改良したもので、第4図に示すようにケース底面に断面が略半円形をした溝5、あるいは第5図に示すように台形の溝6を設けたもので、ケース内部の圧力の上昇により略半円形溝5、あるいは台形の溝6の底部の肉薄部に亀裂が生じガスを逃がす構造としたものである。
本考案によれば、ケース肉薄部が広くないので外部の力でケースに穴があくこともなく、プレス金型先端が略半円形のカーブもしくは台形の頭部の平坦部で形成されているので摩耗に強く、常に一定した肉薄部を作製することができ、確実な防爆動作性能を持った電解コンデンサケースを得ることができる。」(明細書第3頁第4行?第17行)
さらに、第4図には、一端閉鎖で筒状の電解コンデンサ用ケースの内面に断面が略半円形をした防爆動作性能を持った溝を形成した電解コンデンサ用ケースが示されている。
以上から、刊行物2には、「一端閉鎖で筒状の電解コンデンサ用ケースの内面に防爆動作性能を持った溝を形成した電解コンデンサ用ケースにおいて、前記溝の断面が略半円形をした電解コンデンサ用ケース。」(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

第5 本願発明と引用発明1との対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「樹脂」,「防爆構造としての溝」は、それぞれ本願発明の「被膜」,「防爆弁としての溝」に相当する。
また、引用発明1の「コンデンサ用金属ケース」は、本願発明の「被膜付コンデンサ用」「ケース」に相当する。
ゆえに、両者は、
「一端閉鎖で筒状のケースの外面に被膜を取り付けたものであってそのケースの内面に防爆弁としての溝を形成した被膜付コンデンサ用ケース。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本願発明は、コンデンサ用ケースとして「アルミケース」を用いるという構成を備えているのに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。
[相違点2]本願発明は、「前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させないようにした」という構成を備えているのに対して、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
コンデンサ用金属ケースとしてアルミケースを用いることは、例えば、上記刊行物3,4にも示されるように、周知の技術である。
よって、引用発明1において、本願発明のごとく、コンデンサ用金属ケースとしてアルミケースを用いることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2について]
刊行物2には「一端閉鎖で筒状の電解コンデンサ用ケースの内面に、防爆動作性能を持った溝を形成した電解コンデンサ用ケースにおいて、前記溝の断面が略半円形をした電解コンデンサ用ケース。」が記載されている。そして、刊行物2の第4図も参照すれば明らかなように、刊行物2の断面が略半円形をした溝は、溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させない形状になっている。
よって、引用発明1において、本願発明のごとく「溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させないようにした」という構成を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願発明は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 本願発明と引用発明2との対比・判断
本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「断面が略半円形をした」溝は、刊行物2の第4図も参照すれば明らかなように、「溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させないようにした」形状であるから、引用発明2の「溝の断面が略半円形をした」点は、本願発明の「溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させないようにした」点に相当する。
また、引用発明2の「防爆動作性能を持った溝」,「電解コンデンサ用ケース」は、それぞれ本願発明の「防爆弁としての溝」,「コンデンサ用」「ケース」に相当する。
ゆえに、両者は、
「一端閉鎖で筒状のケースの内面に防爆弁としての溝を形成したコンデンサ用ケースにおいて、前記溝の表面に少なくとも3つの平面が交わってできる角張った点を存在させないようにしたことを特徴とする防爆弁を形成したコンデンサ用ケース。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本願発明は、コンデンサ用ケースとして「アルミケース」を用いるという構成を備えているのに対し、引用発明2は、そのような構成を備えていない点。
[相違点2]本願発明は、「ケースの外面に被膜を取り付けたものであ」るという構成を備えているのに対して、引用発明2は、そのような構成を備えていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
電解コンデンサ用ケースとしてアルミケースを用いることは、例えば、上記刊行物3,4にも示されるように、周知の技術である。よって、引用発明2において、本願発明のごとく、電解コンデンサ用ケースとしてアルミケースを用いることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2について]
刊行物1には、コンデンサ用金属ケースにおいて、「ケースの外面に絶縁性の樹脂(本願発明の「被膜」に相当。)が塗布され」ることが記載されている。
よって、引用発明2において、本願発明のごとく「ケースの外面に被膜を取り付けたものであ」るという構成を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願発明は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-03 
結審通知日 2008-09-09 
審決日 2008-09-22 
出願番号 特願平8-190164
審決分類 P 1 8・ 571- Z (H01G)
P 1 8・ 56- Z (H01G)
P 1 8・ 575- Z (H01G)
P 1 8・ 121- Z (H01G)
P 1 8・ 572- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸本 泰広  
特許庁審判長 河合 章
特許庁審判官 橋本 武
大澤 孝次
発明の名称 防爆弁を形成した被膜付コンデンサ用アルミケースと被膜付コンデンサ用アルミケースに防爆弁を形成するために使用する刻印金型  
代理人 八嶋 敬市  
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