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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62D |
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管理番号 | 1188228 |
審判番号 | 不服2006-24935 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-11-02 |
確定日 | 2008-11-20 |
事件の表示 | 平成9年特許願第240049号「スペアータイヤ固定構造」拒絶査定不服審判事件〔平成11年3月23日出願公開、特開平11-79000〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成9年9月4日の出願であって、平成18年9月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月2日に本件審判請求がなされたものである。 2 本願発明 本願発明は、平成18年8月31日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものと認められるが、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりである。 【請求項1】 「クロスメンバの下側にスペアータイヤを吊り上げて固定するスペアータイヤ固定構造であって、 前記クロスメンバの下面に交差して前後両端部がアーム状に延設され、前記固定するスペアータイヤのサイドウォールに接触する揺動防止プレートを設け、 前記揺動防止プレートは、前記スペアータイヤのサイドウォールにおけるタイヤ中心回りの湾曲に対応して湾曲していることを特徴とするスペアータイヤ固定構造。」 3 引用刊行物及びその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された刊行物である実公昭43?19871号公報(以下「引用例1」という)及び実願昭54?140386号(実開昭56?57186号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という)には、以下の事項が記載されている。 なお、下記記載中における下線指標等は、いずれも当審で加入したもの。 [引用例1] 自動車用スペヤタイヤストツパーに関するものであって、 1頁右欄15行?25行には、 「1はシャシーフレームで、該シャシーフレーム1に、クロスメンバー2をリベット等で固定し、該^(A)クロスメンバーの中央に、スペヤタイヤハンガー装置3を取付け、且つクロスメンバー2と水平直角方向に、ストッパー4,4を例えば第2図の如く溶接6して取付け、前記スペヤタイヤハンガー装置により巻き上げたタイヤ5を、ストツパー4,4で完全確実に固定するものである。尚、第4図に示すストツパー4は其のフランジ4′によってクロスメンバーに取付ける様にしたものである。」 と記載され、 1頁左欄31行?34行には、 「しかし、^(B)このクロスメンバーでは、幅が狭くタイヤは、不安全で、特に走行時の路面からのショック等により微動し、タイヤがクロスメンバーと接触して損傷する結果となっている」 と記載されている。 [引用例2] 車輌用スペアタイヤ保持装置に関するものであって、 2頁最下行?3頁6行には、 「スペアタイヤとして前記保持装置により挟持された場合、前記支持部材の当接面に押圧された前記文字部が前記支持部材との摩擦により摩耗し、《中略》その結果前記タイヤのデザイン効果が損なわれることがあった。」 と記載され、 5頁16行?6頁1行には、 「中央部34には、タイヤ12を保持した状態でタイヤ12の一方のサイドウオール部14の白文字部18が形成された内周縁部分16と間隔を置くために下方に開放する凹所38が設けられ、該凹所の外側に位置する一対の肩部40がタイヤ12の一側の外周縁部分42に当接する。」 と記載されている。 また、本願出願前の周知例として、以下のものがある。 [周知例]実願昭59?187094号(実開昭61?101079号) のマイクロフィルム 自動車のスペアホイールキャリア構造に関するものであって、 第5図の示されているような略V字状キャリア本体1ではタイヤの寿命が短くなるので、第3図に示されているように「キャリア本体をタイヤの周側面に沿つた形状、即ち円弧状に形成する」(4頁1行、2行) ことが記載されている。 4 発明の対比 本願発明と引用例1に記載の上記摘記事項とを対比すると、 引用例1の下線部^(A)の「ストッパー4,4」は、下線部^(B)の記載を考慮すると「揺動防止」の為のものであるから本願発明の「揺動防止プレート」に相当し、第1,2図を見ると、該ストッパー4,4の両端部がアーム状に延設され、スペアータイヤのサイドウォールに接触している。 そうすると、下線部^(A)には、本願発明でいうところの 「クロスメンバの下側にスペアータイヤを吊り上げて固定するスペアータイヤ固定構造であって、前記クロスメンバの下面に交差して前後両端部がアーム状に延設され、前記固定するスペアータイヤのサイドウォールに接触する揺動防止プレートを設けたスペアータイヤ固定構造」 が示されていることになる。 よって、両者は、 「クロスメンバの下側にスペアータイヤを吊り上げて固定するスペアータイヤ固定構造であって、 前記クロスメンバの下面に交差して前後両端部がアーム状に延設され、前記固定するスペアータイヤのサイドウォールに接触する揺動防止プレートを設けたスペアータイヤ固定構造。」 に関する発明である点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。 <相違点> 本願発明では、「揺動防止プレートは、前記スペアータイヤのサイドウォールにおけるタイヤ中心回りの湾曲に対応して湾曲している」のに対して、引用例1に記載の発明ではそのような構成にはなっていない点 5 相違点の検討 上記相違点について検討すると、揺動防止プレートにおいて、干渉に支障のある部分を避けるように構成することは、引用例2の図面にみられる支持部材20における「凹所38」のように当該分野では周知の技術である。 そして、その際には支障のある部分を避けるための具体的な形態については設計上の事項であるといえ、本願発明のように「スペアータイヤのサイドウォールにおけるタイヤ中心回りの湾曲に対応して湾曲」させる形態例としては上記周知例を示すことができる。 したがって、本願発明は、引用例1に記載の発明に引用例2に記載の技術並びに上記周知例に記載の技術を勘案することにより、当業者であれば容易に想到することができたものである。 6 むすび 以上によると、本願発明(本願の請求項1に係る発明)は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-09-18 |
結審通知日 | 2008-09-24 |
審決日 | 2008-10-07 |
出願番号 | 特願平9-240049 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B62D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川向 和実 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
佐藤 正浩 柴沼 雅樹 |
発明の名称 | スペアータイヤ固定構造 |
代理人 | 三好 秀和 |