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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1188235
審判番号 不服2007-3992  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-08 
確定日 2008-11-20 
事件の表示 特願2002-570597「電磁波シールドフィルム、電磁波シールドユニット及びディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成14年9月12日国際公開、WO02/71824〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2002年2月25日(優先権主張:2001年3月2日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成18年12月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成19年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2.本願発明
本願に係る発明は、平成18年12月1日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?17に記載されたとおりのものである。そのうちの請求項1に係る発明は次のとおりのものである。

「透明基材と、
前記透明基材上のメッシュ状幾何学的模様を有する導電体と、
前記導電体の周辺領域に配設され、導体領域と導体不存在領域とを有する前記透明基材上の接地部と
を備えたことを特徴とする電磁波シールドフィルム。」(以下、「本願発明」という。)

3.原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、次のとおりのものである。
本願請求項1?17に係る発明は、その出願前頒布された下記刊行物1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2000-183585号公報
刊行物2:特開2000-36687号公報
刊行物3:特開平3-145008号公報

4.引用刊行物とその記載事項
原査定の理由で引用された刊行物1(特開2000-183585号公報)には、次の事項が記載されている。

(1)刊行物1:特開2000-183585号公報
(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプレイパネル等、光とともに電磁波を発生する装置の前面に配置される電磁波遮蔽フィルタに関する。」

(1b)「【0017】本実施形態は、プラズマディスプレイパネルの前面に配置される電磁波遮蔽フィルタに関するものである。図1において、プラズマディスプレイ11は、その内部にプラズマディスプレイパネル(以下PDPと記述する)12を内蔵しており、PDP12の前面には電磁波遮蔽フィルタ13が配置されている。電磁波遮蔽フィルタ13は、図2に示されるように透明基板21上に金属メッシュ22を配した構造であり、金属メッシュ22は中央部よりも周辺部が密な構造を採る。」

5.当審の判断
(1)引用発明
原査定で引用された刊行物1の上記(1a)に「本発明は、プラズマディスプレイパネル等、光とともに電磁波を発生する装置の前面に配置される電磁波遮蔽フィルタに関する。」と記載されており、ここで、電磁波遮蔽は、電磁波シールドと言い換えることができるし、電磁波を発生する装置の前面に配置される電磁波遮蔽フィルタは、特開2000-174490号公報、特開平11-26984号公報、特開昭61-253751号公報等に示されるように、フィルムとしても形成できることが明らかであるから、電磁波遮蔽フィルタは、電磁波シールドフィルムともいうことができる。
してみると、刊行物1には、電磁波シールドフィルムについて記載されているといえる。
そして、この電磁波シールドフィルムについて、(1b)に「透明基板21上に金属メッシュ22を配した構造であり、金属メッシュ22は中央部よりも周辺部が密な構造を採る。」と記載されており、ここで、「透明基板」は、透明基材と言い換えることができるし、「金属メッシュ」は、透明基材上の導電体といえるし、「周辺部」は、周辺領域といえるし、この周辺領域の中央より「密な構造」の金属メッシュは、金属メッシュ自体の部分、すなわち導体領域と、金属メッシュで形成される開口部分、すなわち導体不存在領域とを有するといえる。

以上の記載及び認定事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「透明基材と、
前記透明基材上のメッシュ状幾何学的模様を有する導電体と、
前記導電体の周辺領域に配設され、導体領域と導体不存在領域とを有する前記透明基材上の周辺領域部と
を備えた電磁波シールドフィルム。」

(2)本願発明と引用発明との対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明の「接地部」は、導電体の周辺領域に配設されている点で、周辺領域部ともいえるから、両者は、
「透明基材と、
前記透明基材上のメッシュ状幾何学的模様を有する導電体と、
前記導電体の周辺領域に配設され、導体領域と導体不存在領域とを有する前記透明基材上の周辺領域部と
を備えた電磁波シールドフィルム。」という点で一致し、次の点で相違しているといえる。

相違点:
周辺領域部が、本願発明は、「接地部」であるのに対して、引用発明は、接地部であるか否か不明である点

(3)相違点についての判断
次に、この相違点について検討する。
電磁波シールドフィルムにおいて、透明基材上の導電体メッシュの周辺領域部を接地部とすることは、特開2000-156182号公報(段落【0016】、図2,図3等参照)、特開平10-264285号公報(段落【0009】、図3、図4等参照)、特開2000-223886号公報(段落【0083】等参照)等に示されているように、本出願前当業者に周知の事項といえるから、引用発明の周辺領域部を接地部とすることは、前記周知の事項に基づいて当業者が容易に想到することといえる。
してみると、この相違点は、本出願前当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に想到することといえる。

(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明及び本出願前当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえる。

6.結び
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-17 
結審通知日 2008-09-24 
審決日 2008-10-07 
出願番号 特願2002-570597(P2002-570597)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 平塚 義三
坂本 薫昭
発明の名称 電磁波シールドフィルム、電磁波シールドユニット及びディスプレイ  
代理人 三好 秀和  

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