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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1188333 |
審判番号 | 不服2006-23881 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-10-23 |
確定日 | 2008-11-19 |
事件の表示 | 特願2004-352555「2次元及び3次元映像を選択的に表示できるディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月21日出願公開、特開2005-196147〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年12月6日(パリ条約による優先権主張2003年12月5日、大韓民国)の出願であって、平成17年11月29日付けで拒絶理由が通知され、平成18年3月1日付けで手続補正がなされたが、同年7月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月23日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。 2.本願発明について 本願の請求項1乃至7に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 「映像表示パネル、 光源、及び、 光吸収手段を有する手段であって、前記映像表示パネルと前記光源との間に位置し、前記光源からの入射光を全面的に透過させることで2次元映像表示用光として前記映像表示パネルに放出し、または前記光吸収手段により前記入射光を部分的に透過させることで3次元映像表示用光として前記映像表示パネルに放出する光スイッチング手段、 を具備することを特徴とする2D/3D用ディスプレイ。」 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平3-119889号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 a.「2.特許請求の範囲 1)透過形液晶表示素子を用いてパララックス・バリヤ・ストライプを電子制御により発生するバリヤ発生手段と、 前記パララックス・バリヤ・ストライプの発生位置から所定距離を離して表示画面が配設されて、左右画像が少なくとも交互に配列された多方向画像を該表示画面に出力表示可能な画像表示手段と を具備したことを特徴とする3次元画像表示装置。」(第1頁左下欄第4?14行) b.「[産業上の利用分野] 本発明は、パララックス・バリヤ方式によるメガネ不要の3次元画像表示装置に関し、特にパララックス・バリヤ・ストライプを電子的手段により発生させ、そのバリヤ・ストライプの形状・位置等を制御できるような機能を有する3次元画像表示装置に関する。 [発明の概要] 本発明では、バララックス・バリヤを用いたメガネ不要の3次元画像表示装置において、バリヤ・ストライプを電子的に発生させるとともに、発生したこのバリヤ・ストライプの形状(ストライプの数、幅、間隔)や位置(位相)、濃度などを使用目的に応じて、電子的に可変制御することにより、2次元画像表示装置としても使用でき、かつ多機能で汎用性のあるメガネなし3次元画像表示装置を容易に実現できるようにしたものである。」(第2頁右上欄第2?19行) c.「第1図は、本発明実施例による電子式パララックス・バリヤを用いた3次元画像表示装置の基本構成を示す。 前述の第2図、および第3図に示したと同様に、パララックス・バリヤ方式の本例では、2方向または多方向から撮像した連続画像を縦のスリット像として画像表示装置の画像表示面10に表示する。この場合、この画像表示装置としては、液晶、プラズマ、EL(エレクトロルミネッセンス)、蛍光表示管等を用いた平面型ディスプレイが好適であるが、後述するようにCRT(陰極線管)やプロジェクション・スクリーンのように曲面状のディスプレイでも適用できる。また、上記画像表示面10から一定距離Dだけ間隔をあけるために、厚さDの透明なガラス又はアクリル板のスペーサ11を画像表示面10の表側に密着して配置する。さらに、そのスペーサ11の手前側(観察側)に電子式パララックス・バリヤ12を密着して配置する。 この電子式パララックス・バリヤ12は、例えば、透過形液晶表示素子などを用いて、そのXYアドレスをマイクロコンピュータ13等の制御手段により指定することにより、バリヤ面上の任意の位置に任意の形状(バリヤ・ストライプの数、幅、開口比)のバリヤ・ストライプを形成することができるものである。 また、このパララックス・バリヤ12に縦縞状のバリヤ・ストライプを発生させるのは、3次元画像表示の場合であって、2次元画像表示の際には、マイクロコンピュータ13はそのバリヤ・ストライプの発生を停止し、画像表示領域の全域にわたって無色透明な状態となるようにパララックス・バリヤ12を駆動制御する。これによって、本装置は、2次元画像表示装置としても使用することができる。」(第3頁右下欄第18行?第4頁右上欄第14行) d.「第9図は、液晶パネルディスプレイと電子式バリヤ発生部とを一体型にした本発明実施例の3次元画像表示装置の構成例を示す。この場合、液晶パネルディスプレイ100と電子式バリヤ12を同様な構成とすることができる。」(第5頁左上欄第18行?同頁右上欄第2行) e.第9図から、電子式バリヤ、液晶パネルディスプレイ、バックライトの順に配設された3次元画像表示装置が見てとれ、また、上記cの記載から、電子式バリヤが最も観察側にあることは、明らかである。 以上の記載事項からみて、引用例には、以下の発明が記載されていると認められる。 「観察側から、透過形液晶表示素子を用いた電子式パララックス・バリヤ、液晶パネルディスプレイ、バックライトの順に配設された3次元画像表示装置であって、 前記電子式パララックス・バリヤは、2次元画像表示の場合は、画像表示領域の全域にわたって無色透明な状態とし、3次元画像の表示の場合は、バリヤ・ストライプを発生させるものである3次元画像表示装置。」(以下「引用例発明」という。) (ii)対比 引用例発明と本願発明とを対比すると、引用例発明の「液晶パネルディスプレイ」、「バックライト」、「電子式パララックス・バリヤ」は本願発明の「映像表示パネル」「光源」「光スイッチング手段」にそれぞれ相当する。 また、引用例発明の3次元画像表示装置は、2次元画像表示も行うものであるから、本願発明の「2D/3D用ディスプレイ」に相当する。 そして、引用例発明の「電子式パララックス・バリヤ」は、2次元画像表示の場合は、画像表示領域の全域にわたって無色透明な状態とするものであるので、バックライトからの光は、透過形液晶表示素子を通過した後、「電子式パララックス・バリヤ」を全面的に通過するものであるから、引用例発明と本願発明とは、「前記光源からの入射光を全面的に透過させることで2次元映像表示用光として放出」する点で一致する。また、引用例発明の「電子式パララックス・バリヤ」は、3次元画像の表示の場合は、バリヤ・ストライプを発生させるものであるので、バックライトからの光は、透過形液晶表示素子を通過した後、部分的に「電子式パララックス・バリヤ」を通過するものであるから、引用例発明と本願発明とは、「前記入射光を部分的に透過させることで3次元映像表示用光として放出する」点で一致する。 したがって、引用例発明と本願発明とは、 「映像表示パネル、 光源、及び、 前記光源からの入射光を全面的に透過させることで2次元映像表示用光として放出し、または前記光吸収手段により前記入射光を部分的に透過させることで3次元映像表示用光として放出する光スイッチング手段、 を具備することを特徴とする2D/3D用ディスプレイ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] i.光スイッチング手段が、本願発明では、光吸収手段を有し、前記光吸収手段により入射光を部分的に透過するものであるのに対し、引用例発明では、透過型液晶素子を用いており、光吸収手段を有するか否か不明である点。 ii.光スイッチング手段が、本願発明では、映像表示パネルと光源との間に位置するのに対し、引用例発明では、映像表示パネルよりも観察側に位置する点。 (iii)判断 上記相違点について検討する。 ア.相違点iについて 液晶表示装置に代わる表示装置として、光吸収手段を有する表示装置は、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2003-248246号公報(【0002】、【0009】、図1を参照。)、特開2003-222912号公報(【0010】、図1を参照。)、特開2003-177432号公報(【0005】、【0034】-【0036】、図9を参照。)に見られるように、表示装置の分野で周知である。 そして、引用例発明の光スイッチング手段は、バリヤ・ストライプを表示する表示装置として、透過形液晶表示素子を用いているが、上記のとおり、液晶表示装置に代わる表示装置として、光吸収手段を有する表示装置は周知であるから、引用例発明の光スイッチング手段として、前記周知の光吸収手段を有する表示装置を採用し、本願発明のように、光スイッチング手段を、光吸収手段を有し、前記光吸収手段により入射光を部分的に透過するものとすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 イ.相違点iiについて 光スイッチング手段を映像表示パネルと光源との間に位置させた3D用ディスプレイは、例えば、特開平10-142572号公報(【0064】、図17を参照。)、特開平07-236164号公報(【0022】、図2を参照。)に見られるように、3D用ディスプレイの分野で周知であるから、引用例発明において、光スイッチング手段の位置を映像表示パネルと光源との間とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 ウ.そして、本願発明の作用効果も、引用例発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-06-12 |
結審通知日 | 2008-06-17 |
審決日 | 2008-07-08 |
出願番号 | 特願2004-352555(P2004-352555) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早川 貴之 |
特許庁審判長 |
服部 秀男 |
特許庁審判官 |
小牧 修 西村 直史 |
発明の名称 | 2次元及び3次元映像を選択的に表示できるディスプレイ |
代理人 | 小野 由己男 |