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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47C |
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管理番号 | 1188394 |
審判番号 | 不服2006-10430 |
総通号数 | 109 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-05-22 |
確定日 | 2008-11-04 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第536186号「締めワイヤー領域区分マットレス」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月16日国際公開、WO97/37568、平成12年 7月 4日国内公表、特表2000-508198号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、1997年2月28日(パリ条約による優先権主張1996年4月10日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成18年2月9日に拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年5月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 その請求項1に係る発明は、平成17年12月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という)。 「複数個のスプリングと、複数個の螺旋形締めコネクターとを有するベッドマットレススプリング芯にして、各前記スプリングが上方平面に上面を、下方平面に下面を、その間に複数個の螺旋形巻きを有し、前記螺旋形締めコネクターが一般に前記平面内に横たわり、それぞれ、前記行に一般に平行に延び、スプリングの隣接する行の隣接する面の隣接する部分を取り巻いており、前記スプリング芯が、多くの隔置された螺旋形締めコネクターを有する、剛性を異にする領域に分割され、該各領域の異なる剛性が、螺旋形締めコネクターが、選択された領域において、他の領域におけるよりも大きいゲージのワイヤーを有することに帰因されることを特徴とするスプリング芯。」 2.引用例 これに対し、原査定の拒絶の理由で引用した、実公昭48-13364号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。 (1)「本案はベツド用スプリング連結構造体の改良に関するものである。」(1欄22?23行) (2)「このベツド用スプリング連結構造体は一様な弾力性と強度を有しているから、重量が余計に掛かつた部分は長年の使用により凹み、その弾力性が減少し又は失われて感触が固くなる欠点があるこれは一つにはその部分のヘリカルスプリングが長年の使用により延びて回復しないからである。」(1欄33?38行) (3)「この欠点を解消するために重量の余計に掛かる部分の鼓型スプリングを連結するヘリカルスプリングを一本の太いヘリカルスプリングに換えて連結する方法が採られたがこの場合にはヘリカルスプリングは強力になつたために凹みができにくくなつたがヘリカルスプリングが太いためにその部分が筋高となりスプリング連結構造体の面が平坦でなくなり且つ肌に当る感触が却つて固くなる。一つの欠点を解消するために他の欠点が増大する結果になる。」(2欄1?10行) (4)「本案ベツド用連結構造体は重量の余計に掛かるスプリング連結構造体の部分の鼓型スプリングの連結に太い一本のヘリカルスプリングを使用する代りに同じ太さのヘリカルスプリングを二本並列にして螺旋連結したものである。これによりその部分が全然筋高にならず弾力性と強度が良くなり長年の使用により凹むことも少なく且つスプリング連結構造体の面が平坦で感触も固くならず良好である利点がある。」(2欄11?19行) (5)「本案の実施例を図面によって説明する。1.8?2.9mm径の鼓型スプリング2適当数を一定の間隔を置いて横方向に一列に配置し、この列を適当数作り、隣接相互の鼓型スプリング2,2の上下部分を接触せしめ、この接触部分を1.2?1.4mm径のヘリカルスプリング3一本にて螺旋連結すると同時に重量の余計に掛かる部分の鼓型スプリング2,2は同じ太さの二本並列のヘリカルスプリング4にて螺旋連結する。 これにより縦方向は鼓型スプリング2が連続する。作られたスプリング連結体の外周の鼓型スプリング2はその上部と下部をそれぞれスプリング上枠5と下枠5にヘリカルスプリング6により螺旋連結されてベツド用スプリング連結構造体1が出来る。」(2欄20?34行) 摘記(5)及び第5、6図から、引用例には、ベツド用スプリング連結構造体を構成する鼓型スプリング2は、上方平面に上面を、下方平面に下面を、その間に複数個の螺旋形巻きを有しており、複数個の鼓型スプリング2を隣接相互の上下部分で接触せしめて、その接触部分で複数個のヘリカルスプリング3,4で螺旋連結していることが記載されている。 また、摘記(5)及び第5、6図から、ヘリカルスプリング3,4は一般に上面あるいは下面の平面内に横たわり、横方向に平行に延び、鼓型スプリング2の隣接する横方向の隣接する面の隣接する部分を取り巻いているといえる。 第1図に見るように、引用例のベツドの上部と下部の領域では、ヘリカルスプリング3一本で鼓型スプリング2同士を螺旋連結し、中間部分の領域では同じ太さの二本並列のヘリカルスプリング4にて鼓型スプリング2同士を螺旋連結しているので、上部と下部との領域に比較すると、ベツドの中間部分の領域は多くの隔置されたヘリカルスプリング4を有する高い剛性の領域であり、ベツド全体では剛性の異なる領域に分割されているといえる。 摘記(5)から、引用例には、複数個の鼓型スプリング2をベツドの上下方向に対し横方向に複数列に配列し、複数個のヘリカルスプリング3,4で隣接する相互の鼓型スプリング2を螺旋連結していることが記載されている。 そこで、上記記載事項及び図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「複数個の鼓型スプリング2と、複数個のヘリカルスプリング3,4とを有するベツド用スプリング連結構造体1にして、各前記鼓型スプリング2が上方平面に上面を、下方平面に下面を、その間に複数個の螺旋形巻きを有し、前記ヘリカルスプリング3,4が一般に前記上面あるいは下面の平面内に横たわり、それぞれ、前記横方向に一般に平行に延び、鼓型スプリング2の隣接する横方向の隣接する面の隣接する部分を取り巻いており、前記ベツド用スプリング連結構造体1が、多くの隔置されたヘリカルスプリング4を有する、剛性を異にする領域に分割され、該各領域の異なる剛性が、ヘリカルスプリング4が、選択された領域において、他の領域よりもヘリカルスプリング4の本数の多いことに帰因される、ベッド用スプリング連結構造体1。」 3.対比 そこで、本願発明(以下、「前者」という。)と引用発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、後者の「鼓型スプリング2」は前者の「スプリング」に相当し、以下同様に「ヘリカルスプリング3,4」は「螺旋形締めコネクター」に、「ベツド用スプリング連結構造体1」は「ベッドマットレススプリング芯」、「スプリング芯」に、「前記上面あるいは下面の平面内に横たわり、」は「前記平面内に横たわり、」に、「剛性を異にする領域に分割され、」は「剛性を異にする領域に分割され、」に相当する。 後者の「横方向」は引用例の第1図のベツドの上下方向に対し横方向を示しており、前者の「行」は、本願の第1図のベッドマットレスの上下方向に対し横方向を示しているので、後者の「横方向」は前者の「行」に相当する。 そうすると、両者は本願発明の用語を用いて表現すると、 「複数個のスプリングと、複数個の螺旋形締めコネクターとを有するベッドマットレススプリング芯にして、各前記スプリングが上方平面に上面を、下方平面に下面を、その間に複数個の螺旋形巻きを有し、前記螺旋形締めコネクターが一般に前記平面内に横たわり、それぞれ、前記行に一般に平行に延び、スプリングの隣接する行の隣接する面の隣接する部分を取り巻いており、前記スプリング芯が、多くの隔置された螺旋形締めコネクターを有する、 剛性を異にする領域に分割されたスプリング芯。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> 剛性を異にする領域に分割されたことが、本願発明では螺旋形締めコネクターが、選択された領域において、他の領域におけるよりも大きいゲージのワイヤーを有することに帰因されるのに対して、引用発明では螺旋形締めコネクター(ヘリカルスプリング)が、選択された領域において、他の領域よりも螺旋形締めコネクター(ヘリカルスプリング)の本数の多いことに帰因される点。 4.判断 上記相違点について判断する。 <相違点について> 螺旋形締めコネクター(ヘリカルスプリング)を太い一本のものに換えて重量の余計に掛かる部分を強力にすることは、引用例の摘記(3)にも記載されているように本願出願前周知の技術であるから、引用発明の剛性の異なる領域を、本数の多い螺旋形締めコネクター(ヘリカルスプリング)に換えて、太い一本の螺旋形締めコネクター(ヘリカルスプリング)とし、選択された領域において、他の領域におけるよりも大きいゲージのワイヤーを有するものとすることは当業者が容易になし得たことである。 そして、本願発明の相違点に係る発明特定事項とすることによる効果も格別なものではない。 5.むすび 以上のことから、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-06-09 |
結審通知日 | 2008-06-10 |
審決日 | 2008-06-23 |
出願番号 | 特願平9-536186 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A47C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩崎 晋 |
特許庁審判長 |
山崎 豊 |
特許庁審判官 |
増沢 誠一 鏡 宣宏 |
発明の名称 | 締めワイヤー領域区分マットレス |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 岩本 行夫 |
代理人 | 森 徹 |